作って・食べて・楽しんで!まるごと「帯広・とかち」の活性化プラン
地域資源を活用した産業の活性化による雇用機会の増大
(1)地域 :北海道帯広市
(2)地域の現状
帯広市は豊かな自然の恵みを受け、基幹産業である農業は道内有数の生産額を誇っているが、高齢化や後継者不足の問題を抱えている。
全国的に知名度の高い食料品製造業の企業を有し十勝圏を特長づけているが、農産物の移・輸出率は高く、地域での付加価値化が進んでいない。
また、農業と並んで主要な産業である建設業は不振となっている。そのため、地域ブランドの確立、体験型観光の推進を図り、自立した経済構造を確立して地域産業全体の活性化を図ることが必要となっている。
(3)地域で行っている取組
[1]加工・流通・販売の促進、環境と調和した農業の推進
農業者が自ら取組む加工や販売活動を推進するため、調査・研究を実施し、また、バイオマスプラスチックに切り替えた農業者への補助等、有機性廃棄物の再資源化など、環境に配慮した循環型農業を推進している。
[2]技術開発力の向上
技術開発、製品開発による起業化や新分野への進出など、企業の創造的な事業活動を総合的に支援する拠点施設である十勝産業振興センターを設置している。また、技術コーディネーターが地元企業からの技術相談に応じる等、企業の技術開発を支援している。
[3]経営基盤の強化
事業規模の拡大や経営の効率化、新技術・新製品の開発、新事業分野への進出等を支援する地域経済の活性化のための融資制度や、地場産業の振興に資する事業への補助金制度を実施している。
[4]良質な食料生産の推進
「地産地消」による消費拡大や「十勝ブランド化」等基幹産業である農畜産業の健全な発展と消費者の信頼維持を図るため、『「食」の安全・安心推進プラン』を策定し、その行動計画を実施している。
[5]観光宣伝・受入環境の整備
観光・物産情報の提供を行う拠点の設置、観光プロモーション事業やマスメディアを通じたPR活動、帯広・十勝エリアツアー造成の促進、国際チャーター便の誘致促進、観光ニーズの把握や個性的な商品開発による体験型観光振興の推進により、観光宣伝・受入環境の整備を行っている。
[6]都心機能の強化
中心市街地における起業・新規開業への支援や空き店舗での事業費の補助を行っている。
[7]地域創業助成金の活用
食料品製造業、飲食料品小売業、一般飲食店を地域重点分野に設定し助成対象としている。
[8]地域雇用創造バックアップ事業の活用
地域雇用創造支援人材派遣事業を活用し、専門家のアドバイスを受け、パッケージ事業の事業構想を構築した。
(4)課題
[1]大規模農家の育成
農業後継者の減少から法人化された大規模農家が増えているため、大規模農家を一企業として育成し、雇用の安定・拡大を支援することが急務となっている。
[2]有機性廃棄物のリサイクルによる堆肥化などの再資源化
ブランドイメージの向上と環境負荷の低減の両面において再資源化は有効であるが、システムとして確立されていないため、その分野での人材育成が求められている。
[3]地場産品のブランド化に必要な人材の不足
地場産品のブランド化を推進する上で必要な、生産から販売までの安全衛生管理を担う人材や、加工・製造技術の高度化を支える人材が不足している。
[4]専門的技術者や中核的人材の不足
新製品の開発や加工技術の高度化・産業化に対応できる専門的技術者や事業の企画・立案、マーケティング戦略に精通した中核的人物が不足している。
[5]滞在型観光の推進に必要な人材の不足
滞在型観光を推進する上で、食の分野における観光資源化を担う人材と、質の高い観光サービスを提供できる人材が不足している。
(5)パッケージ事業での取組
[1]大規模農家・メガファームの育成
セミナーや先進地研修を行い、生産から流通、販売に至るまでのノウハウ修得を支援することで安定的な経営のノウハウを有する人材を育成する。
[2]エコフードシステムを推進する人材の育成
食品残渣等の有機性廃棄物の再資源化を推進する人材を育成するため、セミナーを開催する。
[3]地域企業のニーズに応える人材の育成
地域ブランドとして定着しつつあるチーズづくり等において、乳製品加工業、食料品加工業の基礎技術獲得と就職促進セミナーを開催し、ブランド技術の継承や高度化を図るうえで求められている人材を育成する。また、ブランド化に不可欠であるHACCP等品質管理システム導入に必要な人材の育成に向けて、セミナーや研修を開催する。
[4]専門的技術者や中核的人材の確保
地元求職者、Uターン者を対象とした就職フォーラムの開催、札幌・首都圏での合同企業説明会の開催により「帯広・とかち」の魅力のPR・周知と優れた人材の掘り起こし及び確保に努めるとともに、求人サイトを活用して人材の確保と合同企業説明会への参加促進を図る。
[5]滞在型観光を推進する人材の育成(食観光の推進や質の高い観光サービスの提供)
「北の屋台」が基調とする「地産地消」の推進、そこにみられるホスピタリティ精神の普及、質の高い観光サービスを提供するための人材育成に向けたセミナーを開催する。また、独立開業を目指す人材を育成する人事管理・経営に関するセミナーを開催する。
(6)パッケージ事業実施による将来像
「食」の安全や新製品の開発、経営、ホスピタリティ精神を推進する人材の育成・確保は、農産品の地域での付加価値を高めるとともに、滞在型観光の推進にもつながると期待される。パッケージ事業の実施によって、地域全体が活性化され、安定した雇用を創出すると見込んでいる。