ながさき“しま自慢プロガイド”等育成による観光産業を中心とした雇用機会の拡大
(1)地域 :長崎県五島市、壱岐市、対馬市、新上五島町全域
(2)地域の現状
本地域は全て離島で構成されており、人口流出や高齢化、地域経済の低迷が深刻化する中、各地域の特色を活かした観光による交流人口拡大に取り組んでいる。
特に近年では、体験型観光のための観光ガイドの必要性が有料・無料を問わず急激に高まっていることから、観光ガイド業が雇用の場となる可能性を秘めている。
しかし、現行のガイド養成講座等では、ボランティアガイドの域から脱することができず、ガイド業としての起業や民間企業にプロガイドとして起用されるような人材の育成には至っていない。また、ガイドの斡旋やガイドツアーの企画実践、ニーズやマーケティングに基づく商品企画開発等、地元で対応すれば新規雇用につながる業務について、ノウハウや人材の不足から島外企業等に頼らざるを得ないため、地元雇用につながっていない。
(3)地域で行っている取組
[1]観光ガイドの育成事業(五島市・対馬市・新上五島町)
五島の歴史・自然・祭り・郷土芸能・方言等の講座及び現地研修を行い、一般の観光客からの依頼に対応できる観光ガイドを育成し、これらの講座等の卒業者(認定者)による観光ガイドの実践組織として、「五島市ふるさとガイドの会」を設立した。
[2]五島地域観光地づくりプロデューサー事業(五島市・新上五島町)
専門的な知識やノウハウを持つプロデューサーを迎え、地域密着型の観光振興事業の具体的な計画づくりにアドバイスを受け、五島観光の振興方針を「海とつばきと教会」に定めて、つばき祭りの開催、教会ルートマップの作成等の各種事業を生み出してきた。
[3]五島地域新観光商品開発・宣伝事業(五島市・新上五島町)
各地域の教会で、コンサート及び写真展を開催する「チャーチウィークin五島」等のイベントを実施し、また、福岡地区で「海と教会」をテーマとした観光展等の情報発信を行った。さらに、「五島の教会」をテーマとして九州各地のタウン誌の記者を取材招待して記事化を図った。
[4]体験型観光推進事業(五島市・壱岐市・対馬市・新上五島町)
体験型観光の専門家を招聘して、地域の農林漁家・住民をインストラクターとして養成し、交流促進に地域ぐるみで取り組んでいく体制を作り、体験メニューの創出を図っている。すでに、定置網体験、ウナギ塚づくり等の漁業体験や、椿油づくり、五島うどんづくり等の農林業・地場産業体験(五島市・新上五島町)等のメニューが構築されている。
[5]歴史・自然を活かした体験型・滞在型観光地「一支國」事業(壱岐市)
壱岐市内外の民間の歴史研究者や教育関係有志を中心に結成された「一支國研究会」が、県補助金を活用し、行政の取組と連携しながら、生涯学習ニーズへの対応や歴史の語り部ボランティアの養成を図っている。
[6]地域創業助成金の活用
食料品製造業、飲食料品小売業、一般飲食店を地域重点分野に設定し、助成対象としている。
(4)課題
・観光新商品開発や、接客、ガイド斡旋、広報宣伝、他企業との連携・折衝等を行う“しま自慢クリエーター”を育成する必要がある。
・ブルー・グリーンツーリズムの企画実践から、旅行代理店等と連携したツアー造成、民泊や産品加工販売まで対応できるプロの“しま自慢インストラクター”を育成する必要がある。
・体験型観光の先導役やガイド業をコーディネートする“観光リーダー”を育成する必要がある。
(5)パッケージ事業での取組
[1]しま自慢プロガイド・クリエーター・インストラクター及び観光リーダー人材等育成研修の実施
育成推進委員を配置し、カリキュラムとテキストを作成する。テキストは紙媒体に加え、予習復習での活用や後進の育成等に幅広く活用できるよう、ビデオやCD等の映像データも作成する。その後、カリキュラムに基づき研修を行い、研修の最終段階には、民間企業への派遣による実践トレーニングを行う。また、本事業に地域求職者及びU・Iターン希望者、民間企業等が多数参加するように、事業の概要を説明するガイダンス等を地域内外で実施する。
[2]インターネットによる情報発信体制の構築
就職情報や研修情報等を発信するホームページを開設する。
(6)パッケージ事業実施による将来像
“しま自慢プロガイド““しま自慢インストラクター“を養成し、旅行業者、交通機関、大規模宿泊施設、ガイドの斡旋機関等で活用することによって、観光ガイドへの需要拡大を誘導し、雇用・就業機会を創出する。
<雇用創出目標>
- 平成17年度:80人
- 平成18年度:104人
- 平成19年度:140人
- 合計 :324人