竹資源を有効活用した地域産業の振興を通じた雇用機会の拡大
(1)地域 :福岡県立花町
(2)地域の現状
立花町は町村単位では全国一の竹林面積を有する町である。現在、地域経済の活性化に向け、竹のまちづくり「夢たちばなプロジェクト」構想を掲げ、「竹炭関連製品の開発研究・製造販売支援」「事業規模拡大・町内への企業誘致の推進」「地産地消の取組み」という3つの観点から、「竹資源を有効活用した地域産業の振興を通じた雇用機会の拡大」に向けた取組を始めようとしている。
竹については、食品残渣(ざんさ)処理に竹チップを用いて堆肥化するなどの循環農業の取組を行う企業が存在し、たけのこについても食の安全性から国産たけのこが見直されていることがあることなどからも、竹資源の多面的な活用が注目されている。
竹林被害が深刻な問題となっているが、行政・企業・町民が一体となって荒廃した竹林を蘇らせる「竹林整備プロジェクト」を実施することで、竹林資源を再生し、「日本一の竹のまち」を目指している。
(3)地域で行っている取組
[1]竹炭関連製品の開発研究・製造・販売の取組
第3セクター「立花バンブー株式会社」を設立し、竹炭・竹活性炭・竹酢液の製造販売を行いながら竹林保全や地域雇用の促進に取り組んでいる。
[2]事業規模の拡大・町内への企業誘致の推進
食品残渣、竹資源(新竹、若竹、間伐竹)を使った堆肥化の研究開発をJA福岡八女等と協力しながら産学官共同で進めている。
[3]地産地消の取組「道の駅たちばな」
「道の駅たちばな」において農産物直売所を設置・運営し、地元農産物の販売を行い、従来のタケノコ生産・流通と併せて、町民だけでなく観光客も対象とした地産地消啓発活動を行っている。
(4)課題
[1]竹炭関連製品について製品の売上高が平成13年度をピークに減少傾向にあることから、現在保有する先進的な設備の活用と、商品開発・販路拡大に向けた専門的な知識やノウハウが必要となっている。また、IT技術を活用したインターネット販売等に対応できる技術者の育成も必要となっている。
[2]町として企業の事業規模拡大や企業誘致に向けて、食品残渣と竹資源を活用した研究開発に携わる高度な知識を有する人材、事業の組み立て、スケジュール管理、予算管理などの販路拡大に関する専門的な知識やノウハウを持つ人材、事業の拡大や誘致した企業のニーズに対応できる地域人材の確保・育成が必要となっている。
[3]地産地消の推進を図るため、観光イベントや観光プログラムを企画・立案できる中核的人材、イベント事業の運営・広報活動ができる人材、農産物の販路拡大を図るため、都市住民に対し情報発信源となるインターネットの活用に必要な知識や経験を有する人材が必要となっている。
(5)パッケージ事業での取組
[1]雇用創出メニュー
竹製品の流通、竹資源の活用、竹林の新たな活用を推進するため、ヘッドハンティングによる人材の誘致や公募による経験者・知識者等の人材を発掘し、セミナーを実施することにより、企業の体質を強化し雇用の創出を図る。
[2]能力開発メニュー
遊休施設をセミナーハウス等の能力開発施設として整備し、情報相談コーナーを併設しながら、雇用ニーズにあった求職者の養成と、企業保有人材や新規創業者を対象としたセミナーを開催する。
[3]情報・相談メニュー
雇用機会の増大を促進するため、相談コーナーを設置して、求職者に対する情報提供を行い、また、ホームページの開設によりUIターン希望者に対する情報提供も行う。
(6)パッケージ事業実施による将来像
立花町では、「日本一の竹のまち」をめざした「夢たちばなプロジェクト」構想による竹資源を有効活用した地域産業の振興を図り、企業人材の育成や技術指導、ヘッドハンティング等により人材の誘致や公募を実施して不足する人材の確保を図り、情報提供の充実を図ることにより、さらなる地域の雇用創出を目指す。
<雇用創出目標>
- 平成17年度:9人
- 平成18年度:50人
- 平成19年度:63人
- 合計 :122人