北九州市 人づくり・未来づくりプロジェクト
(1)地域 :福岡県北九州市
(2)地域の現状
北九州市は,官営八幡製鉄所の操業開始以来,素材型の重化学工業を中心とする工業都市として日本経済の発展を支えてきた。しかし,エネルギー革命や深刻な公害,鉄冷え不況といった構造転換の大きな波にさらされ,経済・雇用情勢ともに厳しい状況下におかれている。さらに,少子高齢化の急速な進行や団塊の世代が大量退職することも雇用情勢に影響を及ぼしている。そこで,本市の産業振興施策を着実に雇用拡大に繋げるためには,専門的な知識,技能を持つ人材の育成が不可欠であり,特に,若年層の人材育成が雇用創造推進の鍵になる。
(3)地域で行っている取組
[1]北九州市物流拠点都市構想の推進
空港や道路等の物流インフラの整備や,国際物流特区計画の推進など,物流機能を高めるソフト面の取り組みを通じて,物流拠点都市の形成を目指している。
[2]「世界の環境首都」構想の推進
本市は,エコタウン事業等の環境政策に積極的に取り組んできた。この取組の実績を背景として,都市づくり全般の機軸に「環境」を据え,「世界」という視点からさらなる発展を目指す。環境産業の振興や新たなビジネスの展開・創出を推進し,環境経営の促進に力を入れている。
[3]北九州市モノづくり産業振興プラン等の推進
モノづくり産業の持続的な発展に向けて,企業の競争力の強化や新規創業・育成の支援,企業誘致に取り組んでいる。特に,自動車関連産業の企業誘致を促進する。
(4)課題
・物流関連企業の競争力を高められる中核的人材を育成しなければならない。
・環境に関する幅広いビジネス能力を有する人材を確保するための,体系的な専門教育を実施しなければならない。
・モノづくり産業の中核を担う中小製造業に対し,環境配慮経営に関する意識啓発だけでなく、具体的なノウハウを付与する必要がある。
・中小製造業の競争力強化のために,若年者の計画的かつ継続的な確保を支援する必要がある。
・知名度の低さから,専門的技術をもつU.Iターン人材の確保が進まない企業への支援が求められる。
・自動車関連産業の集積には,特殊な技能を有する人材を育成する体制が必要となる。
(5)パッケージ事業での取組
[1]物流分野の人づくり
物流拠点都市としての発展に向け,関連する広範な知識を習得させることで,企業における即戦力,中核的人材となる要員の育成を図る。
・物流管理・貿易実務基礎講座・対中国ビジネス基礎講座
[2]環境分野の人づくり
環境保全に関する法令やISO資格の取得など,企業活動において必要な、環境適応対策に関する基礎知識の習得や,技術開発能力、ビジネス創造能力を高めるための研修を行い、地元企業において必要な人材の育成を図る。
・環境経営基礎講座・環境技術人材育成講座
[3]モノづくり分野の人づくり
自動車関連産業における技術開発等に必要な資格の取得を支援したり,中小製造業で人材拡大の意欲がある企業等を対象に,人材育成に関するセミナー等を実施する。
・自動車生産技術者育成講座・中小製造業人材力強化支援事業
[4]若年者を中心としたマッチング支援
専門人材を求める企業を積極的にPRすることでU.Iターンの促進をねらい,また中小製造業の若年者の確保を支援するため、求人開拓を行うとともに、情報提供窓口を設置する。
・重点分野専門人材U.Iターン支援事業・重点分野若年求人開拓事業
・重点分野合同会社説明会
・情報提供窓口の設置
(6)パッケージ事業実施による将来像
当取組によって,人材の育成体制を整備し,今後の産業振興を支えていく若年人材の育成に力を注ぐ。これによって人材供給の基盤を確実なものにし,本市が重点分野として位置づける「物流・環境・モノづくり分野」への就業及び関連企業の事業拡大や競争力強化の実現を図る。北九州市の,産業都市としてのポテンシャル,東アジアの玄関窓口としての地理的特性,公害克服の実績という強みを活かし,かつ若年者雇用対策に力を入れることで,市域における雇用創造と地域経済の活性化を目指す。
<雇用創出目標>
- 平成17年度:251人
- 平成18年度:346人
- 平成19年度:396人
- 合計 :993人