特産品「あいなんブランド」確立による雇用機会創出事業
(1)地域 :愛媛県愛南町
(2)地域の現状
愛南町は、豊かな自然と温暖な気候に恵まれ、古くから開かれた地域である。産業では、タイ、ハマチ、真珠母貝等の養殖漁業を中心とする水産業や、美生柑(みしょうかん)等の柑橘農業が盛んである。また、足摺宇和海国立公園に属し、磯釣りやマリンスポーツ等の観光資源にも恵まれている。
しかしながら、近年、消費者ニーズの多様化や消費停滞により農林水産業が低迷しているほか、公共事業の縮減により基幹産業の一つであった建設業が人員整理を余儀なくされている。さらに、経済のグローバル化に伴う国際価格競争の激化により、町内最大の事業所(従業員462人)である電子関連の製造業大企業が平成17年3月をもって閉鎖され、若者の流出や失業者の増加、地域活力の低下、町財政の悪化等地域経済に与える影響は計り知れない。
(3)地域で行っている取組
[1]有機トラフグ等水産加工業の振興
原材料として出荷されているトラフグやハマチ、タイ、カツオ等を、先進加工技術の導入により第二次産品として付加価値を高め、他産地との差別化による「あいなんブランド」の確立を図ろうとしている。そのために、商品の生産・流通履歴が把握できるトレーサビリティの導入によって安全・安心の供給体制を整備している。また、道の駅や町営温泉施設に併設されている特産物販売所を活用して、販路・消費拡大につとめ、生産から加工、販売まで一貫した体制の構築を支援する。また、地域資源や新技術等を活かした生産加工業等の創業や近代化、新規立地を促進する。さらに、「あいなんブランド」の特産物による観光商品を産学官が連携して開発し、観光産業の振興を図ることとしている。
[2]高付加価値農業の振興
農家に対する総合支援策として、平成17年度に新たに農業支援センターを設立し、農業に関する企画立案、担い手育成、市場開発及び営農指導等を行うこととしている。平成18年度以降には、ハウス等の農業生産施設の整備等も行う予定である。平成19年度には、農協等の出資により、農業生産法人を設立し、無農薬・低農薬栽培による高付加価値・省力型農業の創業や新規立地を促進するとともに、高齢農業者を支援することとしている。さらに、新規就農者数の増加を図るため、就農施設等資金等の貸付を実施している。また、農産物を活用した観光産業を振興している。
(4)課題
[1]地域において、創業や事業拡大、特産品の開発・ブランド化を図ろうとする中核的な人材が必要である。
[2]専門的知識を有し食品加工が行える人材、食品の安全管理が行える人材、水産加工や農産物栽培に熟練した人材が必要である。
[3]販売・流通戦略に優れた人材、販売促進のためにインターネットを活用できる人材が必要である。
(5)パッケージ事業での取組
[1]創業・事業拡大の支援
企業に専門アドバイザーを派遣し、経営者等を対象に、創業や事業拡大に必要な人事戦略・労務管理を助言する。
ii 特産品ブランド化セミナー開催事業特産品のブランド化に造詣の深い講師を招聘して、地元企業の従業員等を対象に研修会を実施し、特産品のブランド化に関するノウハウを習得させる。
iii 特産品開発派遣研修事業特産品を開発するため、地元企業の人材等を愛媛県立農業大学校や愛媛県立水産試験場、先進地等へ派遣し、研修する。
[2]食品加工技術者の育成
特産品の最新加工技術を習得するため、先進地への国内留学や、講習会を開催し、専門知識を有し食品加工が行える人材を育成する。
ii 衛生管理セミナー開催事業特産品の衛生面での質を確保するため、衛生管理に関する研修会を開催し、食品の安全・安心を管理する人材を育成する。
[3]情報提供・相談
消費者ニーズを的確に把握し、売れる商品作りを促進するため、販売・流通戦略や市場調査に係る研修会を開催するとともに、現地視察を実施し、販売・流通戦略に優れた人材を育成する。
ii インターネット活用セミナー開催事業企業のイメージアップや特産品等の販売促進を図るため、インターネットに係る研修を実施し、ホームページやバーチャルモール等が開設できる人材を育成する。
iii U・Iターン相談事業都市部での産業フェア開催にあわせて、U・Iターンのための相談コーナーを設置し、水産加工業や農業に関する優秀な人材の確保を図る。
iV 就業相談事業brU・Iターン及び地域での職業相談や求人開拓等に対応するため、協議会事務局に非常勤の相談員を配置する。
V 情報提供のためのホームページ運営事業協議会のホームページを開設し、求人情報の提供や、セミナー・研修会の開催等を周知する。
(6)パッケージ事業実施による将来像
有機トラフグや付加価値の高いトマト等の地元食材のブランド化を進め、将来的には、これらの特産品を活用した飲食業や漁家民宿等の観光業の発展につなげていく等、第一次産業から第三次産業までの総合的な産業振興政策を推進とともに、パッケージ事業での創業・事業拡大、人材育成、販路拡大等を推進することによって、水産加工業・高付加価値農業による地域経済の活性化、雇用機会の創出を図る。また、併せて、原材料を提供する水産業や農業、商品を輸送する流通業の発展を図る。
<雇用創出目標>
- 平成17年度:22人
- 平成18年度:31人
- 平成19年度:56人
- 合計 :109人