基幹産業と連携した地場産業振興による雇用創出計画
(1)地域 :北海道滝上町
(2)地域の現状
滝上町は、農業、林業、観光を基幹産業としているが、農林業は輸入産物との競合、産地間競争に影響されやすく、生産年齢人口の減少もあり、地元企業の経営をめぐる環境は一層厳しいものとなっている。観光資源の代表としては「芝ざくら」があるが、観光客の大半が日帰りであり、開花時期の春に集中するため観光入込も頭打ちであり、観光産業も厳しくなっている。また、町は過疎という状況もあり、地域経済の活性化が重要課題となっている。
(3)地域で行っている取組
[1]農畜産物に関する地場産業振興事業
・事業者が、創業・新商品の開発・販路拡大を行う場合に専門家の指導や助言が受けられるよう、月に1回専門家を招聘する。
・企業振興促進のため、事業者が行う農水産物の製造加工施設及び店舗等の施設整備に対して助成を行う。
・町の農畜産物の販路拡大・PRを目的に、じゃがいも、かぼちゃ、スィートコーン等の株主を募集し、産地から消費者へ直送し、収穫などで滝上町に宿泊する場合は宿泊費を補助するなど、生産者と消費者との交流を図る株主オーナー制度を実施している。
[2]地場産品の販路拡大・誘致の支援に関する事業
・地場産品の新商品開発や販路拡大を目的に組織された滝上町地場産品振興会へ補助を行う。
[3]木質バイオマス関係地場産業振興事業
・林産業の振興と雇用の安定を図るため、間伐時に発生する林地残材や製材工場から発生するバーグ、鋸屑等を活用し、木質ペレット燃料や農業堆肥を製造販売する事業設備の設置に対して補助を行う。
・民有林の造林、除間伐、下草苅等の事業を推進することにより、滝上町の森林保全機能の充実と枝条等の隣地残林の有効活用を図るため、事業者に補助を行う。
[4]通年・滞在・体験型観光振興事業
・鑑賞散策を推進するため、渚滑川滝上峡谷錦仙峡遊歩道の整備を行う。
・渓流釣りを活用した観光振興を行う。
・渚滑川渓谷ウォークガイドへの補助を行う。
・通年、滞在型観光の基盤整備としてホテル渓谷を設置し、管理運営を第3セクターに委託している。
[5]地域創業助成金の活用
・食料品製造業、木材・木製品製造業(家具を除く)を地域重点分野に設定し、助成対象としている。
(4)課題
・各種バイヤーや都市消費者から高い評価を受けている加工製品だが、生産者が加工製造を兼ねていたり、町外に外注していたりするために、品質の安定・価格・生産量に限界があり、また営業・販路拡大の専門職がいないため、事業の拡大や収益の向上に至っていない。
・滝上町は豊かな自然を有しており、童話やおとぎ話にでてくるような景観があることから、まちづくりのイメージコンセプトを「童話村」と位置づけている。そのためのブランド形成及び地場産品の品質向上に努める必要がある。
・株主オーナー制度の取扱件数が年々減少している傾向にあり、今後の振興を図るためにも抜本的な見直しや、農業生産を支える人材・物産交流を進める人材の育成が急務となっている。
・具体的な事業展開を図るために、地域で利用されやすい製品の開発・森林作業の担い手の育成が急務である。また、基本的な調査研究及び広域的な周知理解を求める必要がある。
・有望な観光資源としての渚滑川の活用が不十分であるため、国、道と協力して具体的な活用方法を検討し、フィッシング、自然観察などの体験ガイドの育成・創業支援を行う必要がある。
・宿泊事業者に多様な観光ニーズに対応するコーディネート能力やサービス能力が不足しており、人材のスキルアップを図る必要がある。
(5)パッケージ事業での取組
[1]地場産品能力開発講習訓練事業
特産品の開発・改良を行おうとする者を対象とし、専門家による研修会や個別指導等を行い、必要とされる人材の育成を図る。
[2]木質バイオマス活用研究セミナー
木質バイオマス資源の開発・改良や新たな活用方法について習得するため、研究者を招聘して研修を行うことにより、地場産業や住民生活と連携した資源循環利用に関する専門知識を持った人材を育成し、林業振興による新たな雇用につなげる。
[3]渚滑川体験ガイド育成創業支援セミナーの開催
渚滑川の豊かな自然環境を観光資源として活用し、フィッシングガイド・自然観察ガイド等の体験観光を推進するため、体験ガイド育成創業支援セミナーを実施し、人材の育成を図る。
(6)パッケージ事業実施による将来像
地域資源の利用方法や特産品の開発・改良、また観光地としての環境改善等を行い、専門家の指導により人材育成に努め、農業、林業、観光、製造・加工業といった滝上町の産業の活性化及びブランド化を図り、新たな雇用創出をめざす。
<雇用創出目標>
平成17年度:11人
平成18年度:39人
合計 :50人