「国際リゾート都市“くっちゃん”確立に向けた人材育成及び雇用増大事業」
(1)地域 :北海道虻田郡倶知安町
(2)地域の現状
倶知安町は,北海道の南西部に位置し,農業と観光を基幹産業とした人口1万6千人の町である。農業分野では食用男爵イモの生産が全国一の規模を誇り,観光産業では,スキー場関係が好調で、特に良質のパウダースノーが好評を博している。こうした評判がインターネットで世界に配信され,オーストラリアを中心に外国人観光客が急速に増加し始めた。外国人観光客はウィンタースポーツを目的に1〜2週間の長期滞在を基本とするため,地元商店街,地元企業には接客サービス,英語標記等のホスピタリティの向上、倶知安町民全体には英語力の向上が求められている。
(3)地域で行っている取組
[1]地元企業振興対策事業…観光客増加に繋げるため,中小企業者等の育成振興,設備の近代化,合理化を目的に中小企業者に対して補助金を支給する。
[2]ひらふ地区飲食店マップ(英語版)作成事業…イラスト入りの英語版マップを配布。
[3]商店街空き店舗活用事業…空き店舗を有効活用するため,改装費,家賃等を補助する。
[4]3カ国語観光案内板の設置事業…英語,韓国語,中国語で標記された案内板を駅に設置。
[5]バス停留所の英語標記事業…夜間無料シャトルバスの停留所を英語標記にする。
[6]英語版バス時刻表の発行事業…市街地に買い物に行く外国人観光客向けに配布。
[7]市街地飲食店マップ(英語版)作成事業…市街地の英語版マップを外国人観光客に配布する。
[8]くっちゃんタウンマップ(英語版)作成事業…商店街の英語マップを1万部作成し,外国人観光客が倶知安町で買い物,飲食などするのに役立てる。
[9]姉妹都市・サンモリッツ交流事業(スキーインストラクター交流)…スキーリゾートの本場から技術や指導方法を学び,相互間での交流促進,発展に繋げる。
[10]ホスピタリティ快話集発行事業…英語,韓国語,中国語での簡単な接客会話集を作成し,地元商店,企業に配布する。
[11]地域創業助成金…観光関連分野を地域重点分野に設定し,助成対象としている。
[12]外国語青年招致事業…外国人助手を雇用し,中学生がネイティブな英語にふれ,語学に対する興味を向上させる機会を増やす。
(4)課題
[1]倶知安町の商店街では,フレンドリーに観光客に対して接客できるものの,外国語に対応できる人材が育成されておらず,買い手や外国企業に十分な説明ができない。
[2]外国人観光客の増加、今後予想される外国資本による企業進出に伴い、就職希望者が英語力を身に付けていることは採用にあたって大きな武器となるが,英会話を習得する場が不足している。
[3]現在、町全体として外国人観光客の受け皿が未整備な状態であり,町全体が英語力を基礎とするホスピタリティの向上に向けて取り組まなければならない。
(5)パッケージ事業での取組
[1]観光客へのホスピタリティ向上事業
i経営者・従業員実践英会話教室事業
商業者・サービス業者等を対象として、外国人観光客に対する実践的な英会話能力を習得させ、満足のいく接客・商品説明ができる人材を育成するとともに、外国資本の企業との取引や契約に際し、十分に対応できる人材を育成する。
ii外国人コーディネーター設置事業
外国人観光客向けに事業拡大や新規開業等を行う企業の事業主や従業員に対し、人材面での課題を中心とした様々な相談・援助等を実施するため、コーディネーターを配置する。
iiiホスピタリティ研修事業
オーストラリアからの観光客の増加に対応するため、オーストラリアに関する国民性、文化・習慣等を把握し、オーストラリア人の真のニーズ、サービス等を把握することを目的として、現地で研修を実施し、倶知安の観光にフィードバックできる中核的な人材を育成する。
iVホスピタリティ・フィードバック研修
ホスピタリティ研修の参加者を講師として、国際リゾート地のサービス、ホスピタリティに関する知識・ノウハウを倶知安にフィードバックするための研修会を開催する。
[2]外国人観光客と外国資本に対応するスキルアップ事業
i就業を目的とした実践英会話教室事業(一般求職者対象)
外国人観光客の増加、外国資本企業の進出により、倶知安町で就職するためには、英会話能力を求められるのは必至である。そこで、町内観光・商業事業所に就職を希望する一般求職者等を対象に実践英会話教室を開催する。
ii就職を目的とした実践英会話教室事業(新規高卒就職予定者対象)
一般求職者対象の実践英会話教室と同様に、町内観光・商業事業所に就職を希望する新規高卒就職予定者を対象とした実践英会話教室を開催する。
(6)パッケージ事業実施による将来像
長引く経済低迷を打開する道として,外国人観光客の増加と外国資本企業との取引の拡大は,倶知安町の活性化にとって格好の契機である。外国人観光客の多様なニーズに応えるには,英会話能力の習得だけでなく,彼らのニーズや嗜好を把握することも重要である。そこで,町をあげてパッケージ事業に取り組むことにより,地域住民が中心となって、より高いホスピタリティをもったまちづくりを発展させ,地域の雇用創出と持続的で魅力溢れた,活力のあるまちづくりを目指す。
<雇用創出目標>
平成17年度:54人
平成18年度:54人
平成19年度:54人
合計 :162人