先進性を生かしたニュービジネスの街、人にやさしいおもてなしの街
「さっぽろ」雇用創出プログラム事業
(1)地域 :北海道札幌市
(2)地域の現状
札幌市は小売・サービス業や建設業の割合が大きく、製造業の集積が低いといった産業構造を持っている。また、同市は北海道の人口の約3分の1を占めており、これまでは人口増加や公共事業等に支えられて経済発展を遂げてきた。しかし、人口増加率の鈍化、公共事業の縮減傾向などにより廃業率が創業を大きく上回っており、依然景気回復への足取りは重い。情報産業やバイオ産業等の知的集約産業の振興に積極的に取り組むとともに、創業支援にも力を入れており、一定の成果を上げているものの、雇用情勢は厳しくなっている。
(3)地域で行っている取組
[1]情報関連産業
昭和61年の「札幌テクノパーク」の整備を皮切りに、情報関連産業の振興に努めた結果、「サッポロバレー」と呼ばれるほどの集積を生んだ。北海道大学等との産業連携プロジェクトやベンチャー企業の設立も活発で、近年ではアジア地域とのビジネス連携を強めている。また、同産業は人材の質が産業の発展を左右する大きな要因となるため、現在IT人材の育成に力を入れている。
[2]集客交流産業
北海道の豊かな自然や新鮮な食といった観光産業を活用し、観光客やコンベンション誘致などの集客交流産業の振興に取り組んでいる。最近は、中国語圏からの観光客が急増しており、中国を始めとする東アジアからの観光誘致を図るため、北京に駐在員事務所を設置したほか、トップセールスによるインセンティブツアー、テクニカルツアーの誘致などに積極的に取り組んでいる。
[3]雇用効果の高い企業誘致
コールセンター誘致事業として、積極的に企業訪問を実施するほか、ダイレクトメールの送付・展示会への出展など立地優位性のアピールをして企業誘致を図っている。また、バックオフィス業務を行う企業を誘致するニュービジネス立地促進事業も実施している。
[4]小売・サービス産業
相談・情報提供事業や融資制度、インキュベーション事業などの創業支援や経営革新支援のほか、地域に密着した商店街活動を促進するため、空き店舗の活用に関する助成等を実施している。
(4)課題
[1]情報関連分野
・大規模開発案件を進めるためのプロジェクトマネジメント人材の育成
・地場情報通信関連企業における優秀な人材の確保
・製造業関連の受注を集中化するため、自動車業界等における3次元CAD技術者の確保
・セールススキルの高いIT人材の育成・確保
[2]集客交流分野
・異文化理解や接遇マナーのスキルが高い人材の育成
[3]企業誘致分野
・求職者のコールセンターに対する認知度不足の解消による、コールセンター業務を担う人材の確保
[4]小売・サービス分野
・新たなサービス産業を担う人材の育成
(5)パッケージ事業での取組
[1]IT関連人材の育成・強化
高度IT人材及び3次元CAD技術者の育成・企業への派遣、またIT人材のセールススキルアップを行う。
[2]集客交流産業を担う人材の充実
海外観光客対応スタッフ養成研修(中国語観光コンシェルジュ人材育成講座、中国語研修講座)、集客交流産業への就職を目指す人のための研修を行い、合同就職面接会を開催する。
[3]ニュービジネスを支える人材の育成
ITスキル、証券スキル、保険スキル等のスキルアッププログラムを実施する。また、パンフレット・web・求職情報誌等での情報提供を行い、合同企業面接会によりマッチングを促進する。
[4]小売・サービス産業の高度化を担う人材の育成
コミュニケーションスキル、ITスキル、接客スキルなどのスキルアッププログラム及び合同就職面接会を開催する。
(6)パッケージ事業実施による将来像
北海道における産業、とりわけ情報産業や卸・小売業は札幌市に集中しており、同市は厳しい状況が続く北海道の経済を牽引すべく産業の活性化を図る必要がある。このため、上記の事業による地域の産業を担う人材の育成、札幌の特性や資源を生かした産業の活性化を促し、大きな雇用を創出することを見込んでいる。
<雇用創出目標>
平成17年度:917人
平成18年度:1,035人
平成19年度:1,144人
合計 :3,096人