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第101回ILO総会(2012年6月11日)太田厚生労働審議官日本政府代表 演説

冒頭挨拶

 議長、ありがとうございます。
 第101回ILO総会で日本政府を代表して発言する機会をいただいたことを光栄に思います。

ソマビア事務局長の業績の評価

 まず、今年9月での退任を表明されたソマビア事務局長に対し、13年以上にわたるそのリーダーシップと功績に敬意を表します。ソマビア事務局長が提唱した「ディーセント・ワーク」の実現は、ILOの現代における使命と位置付けられ、ILO、ひいては雇用社会政策の重要性を国際社会に強く訴え、印象付けました。今日では、日本を含め、加盟国が一体となって、「すべての人へのディーセント・ワーク」の実現に取り組んでいます。

アジア太平洋地域会議の成功への謝意

 議長、日本は昨年12月、光栄にもアジア太平洋地域会議の開催国となり、会議の成功に大きく貢献しました。この会議は、昨年3月に発生した東日本大震災の影響で開催が延期されましたが、ILO事務局とアジア太平洋、アラブ地域の政労使の皆様の理解と力強い支援により、京都での開催が実現しました。改めて、心から感謝したいと思います。自然災害発生時の雇用対策における「教訓」の取りまとめを含め、日本での会議の開催は、地域におけるディーセント・ワークの実現のための大きな一歩であると同時に、震災から復興する日本の姿を世界にアピールする重要な機会となりました。

日本再生の基本戦略

 議長、東日本大震災、原発事故、世界的な信用不安など、日本は過去に経験したことがない多くの重大な困難に直面しています。この歴史的な危機の中で、日本は、「希望と誇りある日本」を取り戻さなければなりません。日本再生のため、日本政府は、基本戦略を策定しました。震災・原発事故からの復活、経済成長と財政健全化の両立とともに、成長力の強化と「分厚い中間層」の復活に向けた施策を強く推進しています。

社会保障と税の一体改革

 その戦略の中で、今、日本政府は、「社会保障と税の一体改革」に着手しています。雇用を通じて人々の参加が保障され、誰もが居場所のある共生の社会、「分厚い中間層」が支える大きな格差のない社会。そのような安心で希望と誇りが持てる社会を実現するため、給付・負担の両面で世代間・世代内の公平を確保した「全世代対応型の社会保障制度」の構築を目指しています。このような社会保障の実現が、持続可能な発展につながると確信しています。

新事務局長への要望

 議長、総会前に開催された理事会においてガイ・ライダー氏が新事務局長に選出されました。ガイ・ライダー氏には、心からお祝いを申し上げます。
 ガイ・ライダー氏のリーダーシップにより、ILOに新しい風が吹き込まれ、変革の時を迎えます。日本には、「初心忘るべからず(remember your original intention)」という言葉があります。同氏には、ILOの根本理念である「世界の永続する平和は、社会正義を基礎としてのみ確立することができる」とのILO憲章の実現に改めて取り組んでいただきたいと思います。その本質は、「雇用」、「社会的保護」、「社会対話」、「労働における基本的原則及び権利」というILOの4本柱に体現されていると考えます。

結びに

 議長、世界的な金融・雇用危機に揺れる国際社会において、社会正義の実現を目指すILOの存在感は、ますます高まっています。ILOは、三者構成主義を尊重し、その専門知識とリソースを最大限に活用し、国際労働基準の設定・監視や技術協力、国際的な政策の策定によって、国際社会の期待に応える必要があります。その点に関し、今総会中に、国際労働基準の監視機構に生じている事態については、三者の合意により適切に解決されることを願っています。

 日本政府は、引き続き、そのような重要な使命を担うILOの活動を最大限支援していくことを表明し、私の演説の結びとします。

 ありがとうございました。

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