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第100回ILO総会小宮山厚生労働副大臣日本政府代表 演説

 議長、ありがとうございます。
 第100回ILO総会で政府を代表して発言する機会をいただいたことを光栄に思います。

東日本大震災

 まず、3月11日に日本で発生した東日本大震災に関し、各国の政労使、ILOを含む国際機関や世界中の数えきれない方々からいただいたお見舞いとご支援に対し,心より感謝申し上げます。
 震災後三ヶ月経過し、ご支援のおかげで被災地は仮設住宅の建設などの復旧段階に入り、さらに復興へと向かっていきます。地震の被害を受けなかった大部分の地域と被災地域が心をひとつにして復旧、復興に取り組んでいます。

被災地の雇用

 雇用の回復は、復興の中心的課題です。私は、被災者の就労支援・雇用創出のまとめ役として、復旧事業での雇用の場づくり、被災者を雇い入れる企業や被災地で雇用を維持する企業への助成の拡充、中小企業の経営再建支援などの対策を緊急にとりまとめ、実行しています。対策を推進する上では、特に被災者としごととのマッチングが重要になりますが、日本の公共職業安定機関の全国ネットワークが効果を上げていることを強調したいと思います。

原発労働者等の保護

 議長、東京電力福島第一原子力発電所で、重大な事故が発生し、政府としては、1日も早い事態の収束に向けて、全力を挙げています。その際、現場で懸命の作業に当たっている労働者の健康管理がおろそかにされてはなりません。政府は、線量管理、健康診断などの徹底、夏期の作業での熱中症対策の強化、作業の長期化による心身への負担の蓄積に対応するメンタルヘルス対策等に力を入れています。さらに、復旧作業に従事した労働者の健康管理を退職後も含め、長期的に行うためのデータベース構築も進めています。これらの対策を通じ、労働者の保護に万全を期していきます。

社会保障と税制の一体改革

 議長、私は東日本大震災の被災地に、改めて社会保障の根本を認識させられました。被災者が支え合う姿、全国からのボランティアが支援する姿。「共に助け合う」ことこそが、社会保障が本来目指すべき姿であると考えます。
 日本では、現在、社会保障と税の一体改革について検討を進めています。私は、社会保障の機能を強化し、子どもや子育てを支援することは、「未来への投資」であると確信しています。この考え方は、職業訓練や教育、社会的保護等を「人への投資」として重視するILOのSocial Protectionの考え方とも共通するものと考えます。

雇用を通じた参加保障

 今取り組んでいる社会保障改革のひとつの特徴は、「就労促進」を高齢者や子どもへの社会保障と並んで入れたことです。それは、「すべての人が働くことを通じて参加する」社会にすることで、労働力の減少を跳ね返して、将来にわたって安心して暮らせる活力ある社会を実現するためです。
 その鍵になるのは、女性と若者、そして職業訓練です。女性は、出産のときに仕事を辞めることが多く、日本ではM字型カーブが残っています。そのため、仕事と家庭の両立のための長時間労働の抑制などのワークライフバランスの実現と保育など子育て支援を車の両輪として推進していきます。若者については、学校でのキャリア教育や職業教育の充実、非正規労働者になった若者のキャリア形成支援の仕組みの整備などに力を入れていきます。職業訓練については、職業訓練と訓練期間中の生活支援の給付を行う「求職者支援制度」を創設する法律が成立し、雇用のセーフティーネットを強化していきます。

公務員制度改革

 議長、日本政府は昨年の総会で公務員の労働基本権の回復の検討に触れました。今年の4月、政府は非現業国家公務員への協約締結権の付与をはじめとする国家公務員制度に関する改革案を決定し、今月、関係法案を国会に提出しました。また、消防職員の団結権のあり方については、昨年12月に、政府内に設置した検討会で検討結果を取りまとめました。今後、付与することを基本的な方向としつつ、日本政府として、さらに必要な検討をしていくこととしています。

結びに

 最後に、今年日本を襲った災害の傷跡は大きなものですが、今回の国難は、将来に向けてより活力のあるより良い国を創造するための好機と捉えることもできます。今年4月に京都で予定していたILOアジア太平洋地域会議が震災の影響により延期されましたが、この会議は、日本とILO、アジア太平洋諸国が連帯して 地域のディーセント・ワークの実現に立ち向かう好機であり、日本としても開催国として引き続き最大限の貢献をしたいと考えています。日本での開催が、復興への力強い後押しになると期待しています。
 12月に、京都でお会いできることを願って、私の結びに代えさせていただきます。

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