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11. こころの健康科学研究事業

11. こころの健康科学研究事業
  <事業概要>
 わが国の精神疾患による受療者は200万人を超え、また年間の自殺死亡者は3万人を超えている。また、思春期のひきこもり、問題行動など、心の問題と関連する社会問題もクローズアップされている。このように、「精神疾患」は、統合失調症等はもちろんのこと、うつ状態、神経症、摂食障害、ストレス性障害、睡眠障害、幼少期からの発達障害等、非常に広範かつ深刻な問題にまで及んでいる。また高齢化の中で神経疾患も重要になってきており、多くの神経・筋疾患は難病として依然、根本的な治療法が無い状態である。
 これらの問題の特性として、遺伝子解析・分子機構解明・画像解析等による脳内機構解明から、表現される行動面の評価、福祉を含む社会システムとの関連、倫理や人権上の問題までをも含む多角的、重層的な視野での取組みが不可欠となってきている。
 これらのことから、「精神疾患」に対する予防、診断、治療法の開発や疫学調査などについて、行政において戦略的、主体的に進めることが必要である。
 また、神経・筋疾患分野においては「若手育成型」による研究課題を募集する。

 基本理念 健康安心の推進
 政策目標 生活習慣病対策とこころの健康の推進
 実現目標 うつ病対策等による自殺率の低減
精神疾患の病態解明と画期的な治療法の開発

 厚生労働科学研究費補助金の電子システム化に向けて、申請書類は申請書作成支援システム(https://mhlw-sinsei.niph.go.jp/)を用いて申請すること。


<新規課題採択方針>
 精神疾患及び神経・筋疾患について、データの蓄積と解析を行うことにより、病因・病態の解明、画期的な予防、診断、治療法等の開発のための研究を実施する。また、心神喪失者等医療観察法における処遇及び医療等に関する研究・精神保健医療福祉の改革ビジョンの成果に関する研究を実施する。

 研究費の規模 1課題当たり10,000〜50,000千円程度(1年当たり)
ただし、「若手育成型」については、1課題当たり10,000〜50,000千円程度
(1年当たり)

 研究期間 1〜3年
ただし若手育成型については3年

 新規採択予定課題数 20課題程度
「若手育成型」については数課題程度

 若手育成型の応募対象
  平成18年4月1日現在で満37歳以下の者(昭和44年4月2日以降に生まれた者に限る。)
   ※ 新規採択時にのみ本条件を適用する。
   ※ 満年齢の算定は誕生日の前日に一歳加算する方法とする。


<公募研究課題>
(精神疾患分野)
 【一般公募型】
 (1)  心神喪失者等医療観察法における処遇及び医療等に関する研究(18260101)
(留意点)
 今般施行された同法における運用状況の分析を含め、今後のより適切な運用及び医療の実施に資する研究を採択する。

 (2)  多数例を対象(多施設共同)とした新しい治療法の研究(2課題)(18260201)
(留意点)
 統合失調症、うつ病その他各種精神疾患について、現に明らかとなっているエビデンスに立脚しまたはその批判的吟味を行い、わが国で新たに採用及び普及可能な治療技法の開発を行うこと。

 (3)  精神疾患の客観的診断法の開発に関する研究(18260301)
(留意点)
 従来及び今日における精神科診断学を考察し、客観的かつ科学的な精神科診断技法及びその習得方法についての研究を採択する。精神科的診察、検査、画像診断等の診断技法の吟味及び開発に当たっては、感度及び特異度、信頼性及び妥当性といった見地からの検証を行うこと。

 (4)  精神保健分野における地域サポート等に関する日豪共同研究(18260401)
(留意点)
 2001年より実施している精神保健に関する日豪共同研究の第3フェーズを推進することを目的とする。第3フェーズのテーマは「精神保健行政の取組みと評価」、「地域におけるサポート(住民意識の啓発を含む)」等を予定している。

 (5)  精神保健医療福祉の改革ビジョンの成果に関する研究(18260501)
(留意点)
 平成16年9月に厚生労働省精神保健福祉対策本部がとりまとめた「精神保健医療福祉の改革ビジョン」に示された達成目標の実現に向け、国民意識の変革や、精神保健医療福祉体系の再編といった国家的な課題についての研究である。精神保健医療福祉の現状を把握し、改革ビジョンの目標に関する進捗状況を把握すること。
 また現在までに行われた精神保健福祉に関する調査内容につき、改革ビジョンの成果に関する部分を引き続き把握できるものとすること。

 (6)  高次脳機能障害者に対する地域支援ネットワークの構築に関する研究(18260601)
(留意点)
 高次脳機能障害者の効果的・効率的な地域生活支援を行うため、既存の社会資源を活用したネットワークの構築や具体的支援手法の開発に関する研究を採択する。

 (7)  自殺未遂者・自殺者遺族等ケアに関する研究(18260701)
(留意点)
 自殺未遂者のケア・遺族や友人など自殺者の周囲の人のケアに関する現状と課題を分析し、支援方策について検討すること。また、行政とNPO等民間団体との支援連携方法を検討すること。

 (8)  ヒトを対象にした精神疾患の生物学的病態解明に関する研究(2課題)(18260801)
(留意点)
 特定の精神疾患について、ヒトを対象として遺伝・脳画像・分子生物学的解析等を行い、その病態を明らかにすること。

(神経・筋疾患分野)
 【一般公募型】
 (1)  ニューロパチーの病態解明に関する研究(18260901)
(留意点)
 遺伝的背景など内的要因、感染・免疫や酸化ストレスなど外的要因の両面から、ニューロパチーの原因を特定するとともに、発症機序を解明し、もって予防や治療への展望を広げる提案を求める。
 (2)  肢帯型筋ジストロフィーの病態解明に関する研究(18261001)
(留意点)
 筋ジストロフィーの中でも研究が遅れている肢帯型につき、症例を集積することにより原因遺伝子同定やその発症機序の解明を効果的に進める提案を求める。
 (3)  大脳白質病変による病態の解明に関する研究(18261101)
(留意点)
 大脳白質病変は、画像の進歩によって一般臨床で遭遇する頻度が極めて高いことがわかり、アルツハイマー病とは異なる高次脳機能障害をきたすことも明らかになっている。その原因が血管障害から遺伝性のものまで、きわめて多彩であることに鑑み、この病態の理解とその予防に資する提案を求める。
 (4)  神経疾患あるいは筋疾患に対する画期的治療法の開発に関する研究 (18261201)
(留意点)
 難治性といわれた神経疾患や筋疾患に対しても、近年では治療法の開発研究が盛んになり大きな潮流になっている。この流れを大きく進める、あるいは新しい流れを作る画期的な提案を求める。

 【若手育成型】
 (1)  自己抗体が関係する神経・筋疾患の病態に関する研究(18261301)
(留意点)
 神経系には自己抗体の出現に関連した病態が少なくない。そうした症例の経験を 基に、この病態を惹起する機序などを究明する若い研究者の意欲的提案を求める。

<研究計画書を作成する際の留意点>
 目標を明確にするため、上記公募研究課題(精神疾患分野:(1)から(8)、神経・筋疾患分野:一般公募型の(1)から(4)および若手育成型の(1))において、研究計画書の「8.研究の目的、必要性及び期待される成果」に、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「11.研究計画・方法及び倫理面への配慮」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の医療等への応用に至る工程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式任意)。
 なお、研究課題の採択に当たっては、これらの記載事項を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。


12. 難治性疾患克服研究事業
  <事業概要>
 原因が不明で、根本的な治療法が確立しておらず、かつ後遺症を残すおそれが少なくない難治性疾患のうち、患者数が少なく研究の進みにくい疾患に対して、重点的・効率的に研究を行うことにより進行の阻止、機能回復・再生を目指した画期的な診断・治療法の開発を行い、患者のQOLの向上を図ることを目的とする。

 基本理念 健康安心の推進
 政策目標 障害・難病等のQOLの向上
 実現目標 難病患者のQOLの指標及び治療効果測定手法の確立

<新規課題採択方針>
 難治性疾患の克服に向け、特定疾患調査研究分野の範疇に含まれる疾患の臨床調査研究、横断的基盤研究並びに治療成績及びQOLを著しく改善させることが期待できる治療法の開発を優先する。

 研究費の規模 1課題当たり20,000千円〜50,000千円(1年当たり)

 研究期間 3年

 新規採択予定課題数 5課題程度

<公募研究課題>
【一般公募型】
 (1)  横断的基盤研究分野
 臨床調査研究や他の先端的厚生科学研究(ヒトゲノム・遺伝子治療研究、免疫・アレルギー研究等)における研究者との情報交換、技術的支援等の連携のもと、特定疾患に係る基盤的・基礎的な科学的根拠を集積・分析し、医療に役立てることを目的とする研究のうち、次に掲げるもの。
(ア)  難治性疾患に関する有効な治療法選択等のための情報収集体制の構築に関する研究(18270101)
(イ)  難治性疾患患者の検査検体保存に関する研究(18270201)

(留意点)
 稀少な難治性疾患に関しては、臨床情報の収集や検体保存の体制を整えて幅広く共同研究が行える研究基盤を構築することが早急の課題である。これらの情報は難治性疾患克服研究の進展に貢献する上に、さらなる治療法の改善に役立つため、国民の安心・安全につながるものである。以上の趣旨を十分に理解した研究であること。

 (2)  重点研究分野
 特定疾患患者の予後や生活の質の改善を目指し、又は明確かつ具体的な目標を設定し、画期的な成果を得ることを目的とする研究のうち、次に掲げるもの。
(ア)  炎症性腸疾患の画期的治療法に関する臨床研究(18270301)
(イ)  パーキンソン病の画期的治療法に関する臨床研究(18270401)
(ウ)  特発性間質性肺炎の画期的治療法の開発に関する臨床研究(18270501)

(留意点)
 患者数が急増傾向にある難治性の疾患については、患者を治癒に導くような根本的な治療法が強く望まれているところである。その中でも特に上記疾患を喫緊の課題と捉え、根治療法の開発に努める研究であること。


<留意点>
 なお、研究計画の提出に当たり、以下の点に留意すること。
  (1)  「8.研究の目的、必要性及び期待される成果」につき、より具体的に把握するため、申請研究終了時に期待される目標と研究分野の長期的な目標(特異性の高い早期診断法、効果的な治療法、低侵襲性の診断・治療法等の開発等)とを別々に明記すること。
 また、研究対象となる治療法が当該疾患の治療成績の向上あるいは患者のQOLの向上に対して具体的にどのように寄与するかについても記載すること。さらに、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。
  (2)  「11.研究計画・方法及び倫理面への配慮」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の医療等への応用に至る工程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式任意)。
  (3)  「12.申請者の研究歴等」につき、より詳細に把握するため、以下のア及びイの項目に該当する及当該研究に関連した論文3編を添付すること(各編毎に、論文(全文)の写し20部を添付すること。)。欧文のものについては日本語要旨を添付すること。
 ア.  申請する課題に係る分野に特に関連するもの。
 イ.  申請者が第一著者、もしくは主となる役割を担ったもの。後者の場合はその簡潔な理由を添付すること。
  (4)  なお、研究課題の採択に当たっては、これらの記載事項を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。


13. 医療安全・医療技術評価総合研究事業
  <事業概要>
 労働集約型サービスである医療サービスの分野においては、人口の少子・高齢化、医療ニーズの多様化・高度化に適切に対応するため、医学・医療技術や情報通信技術の進歩等を活用するとともに、より一層の省力化、効率化を図り、良質な医療サービスが提供できる体制を構築し、豊かで安心できる国民生活を実現することが求められている。
 このため、本研究事業は、医療システムを構築・評価する研究、医療安全体制を確保するための研究、医療の質と信頼を確保するための研究等を支援し、より質の高い効率的な医療サービスの提供に資することを目的としている。
 なお、本研究事業においては、医療の質と信頼の確保に関する研究分野等において積極的に人材育成を進める観点から、若手研究者による【若手育成型】の研究を募集する
 
 基本理念 健康安全の確保
 政策目標 医療等の安全確保
 実現目標 医療等の安全の確保を図る

<新規課題採択方針>
 課題採択に当たっては、平成15年8月の「医療提供体制の改革のビジョン(厚生労働省)」(https://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/04/h0430-3a.html)に示された医療提供体制の将来像のイメージの実現に資するような研究及び社会保障審議会医療部会における「医療提供体制に関する意見中間まとめ」(http://www.mhlw.go/jp/singi/2005/08/s0801-2b.html)において個別論点となっている研究課題を優先的に採択する。
 それぞれの公募研究課題において特に優先して採択する研究等がある場合には、該当する公募研究課題のところに示している。

 研究費の規模 1課題当たり3,000千円〜30,000千円程度(1年当たり)
「若手育成型」については、3,000千円〜10,000千円程度(1年当たり)

 研究期間 1〜3年

 新規採択予定課題数 40課題程度(「若手育成型」を含む)

 若手育成型の応募対象
  平成18年4月1日現在で満37歳以下の者(昭和44年4月2日以降に生まれた者に限る。)
   ※ 新規採択時にのみ本条件を適用する。
   ※ 満年齢の算定は誕生日の前日に一歳加算する方法とする。

<公募研究課題>
【一般公募型】
 (1)  医療安全の推進に関する研究
(留意点)
   院内感染対策に関するものを含む。
(ア)  事故事例等の分析による医療安全対策に関する研究(18280101)
(イ)  医療事故の発生後の課題(裁判外紛争処理・無過失補償制度等)に関する研究(18280201)
(ウ)  医療の安全性及び安全対策の評価指標の開発と有効性の検証(18280301)
(エ)  医療安全対策における患者参加の在り方に関する研究(18280401)
(オ)  ハイリスクの部署、診療科別、医療行為等個別領域に的を絞った安全と質の確保方策の研究(18280501)
(カ)  ITを活用した医療安全対策に関する研究(18280601)
(キ)  安全性の高い療養環境及び作業環境の確立に関する研究(18280701)
(ク)  医療安全に係る教育、訓練、コミュニケーションスキルに関する研究(18280801)

 (2)  医療の質と信頼の確保に関する研究 
(ア)  行政処分を受けた医療従事者の再教育の進め方に関する研究(18280901)
(イ)  医師と医療関連職種等との連携や勤務形態の在り方に関する研究(18281001)
(ウ)  在宅医療における療養環境の整備に関する研究(18281101)
(留意点)
 課題採択に当たっては、在宅医療におけるたんの吸引に関連した研究について 優先する。
(エ)  医療の質の向上に関する研究(アウトカム指標の開発・活用等)(18281201)
(オ)  医療・看護技術の質の向上に関する研究 (18281301)
(留意点)
 課題採択に当たっては、看護基礎教育における教育内容、教育方法、臨地実習の在り方等に関する研究、新人看護職員の臨床実践能力の向上に関する研究、Evidence-Based Nursingの手法を用いた看護ガイドラインの開発に関する研究を優先する。
(カ)  死体検案業務の質の確保向上に関する研究(18281401)
(キ)  医師国家試験の改善の提言等に関する研究(18281501)
(ク)  在宅における終末期医療の充実に関する研究 (18281601)
(ケ)  口腔と全身のQOLに関する研究(18281701)

 (3)  効果的な危機管理体制の確保に関する研究
(ア)  救急医療体制の推進に関する研究(18281801)
(イ)  災害時における迅速かつ有効な医療提供体制整備の推進に関する研究(18281901)
(ウ)  テロに対する医療体制の充実及び評価に関する研究(18282001)
(エ)  救急救命士の資質の向上に関する研究(18282101)
(オ)  小児救急医療体制の整備推進に関する研究(18282201)

 (4)  電子カルテシステム等の開発・評価と利活用に関する研究 (
(ア)  医療安全対策の推進基盤となる電子カルテシステム等の開発・評価と利活用に関する研究(18282301)
(イ)  標準的電子カルテシステムの導入・普及に関する研究(18282401)
(留意点)
 特に優れたマン・マシンインターフェースの開発・評価、電子カルテシステムの導入による効果・影響の評価等について優先的に採択する。

 (5)  適切な情報通信技術を活用した医療情報ネットワークの推進に関する研究
(ア)  医療情報ネットワークの総合的なセキュリティ確保に関する研究(18282501)
(イ)  医療情報ネットワークの活用による地域医療連携の効果検証及び評価に関する研究(18282601)
(ウ)  遠隔医療等の情報通信技術の活用による医療の質向上、効率化の推進に関する研究(18282701)

 (6)  根拠に基づく医療(Evidence-based Medicine:EBM)の効果的な普及と臨床への適用に関する研究
(ア)  医療従事者及び患者向け診療ガイドラインの評価及び体系化、EBM手法の開発に関する研究(18282801)
(イ)  臨床におけるEBMの普及・推進、一般国民のEBMに対する理解の促進に関する研究(18282901)
(ウ)  統合医療に関する研究
(留意点)
 西洋医学に含まれない医療領域である相補・代替医療に該当する漢方、あん摩マッサージ、はり、きゅう等のほか、食事療法、カイロプラクティック等及びヨガ・精神療法等を現代西洋医療と効果的に組み合わせた医療を統合医療と呼ぶ。
 上記、統合医療について、下記ア)、イ)に該当する研究課題を公募する。
 ア)  内外における統合医療の現状調査。その内容(具体的手法、採用機序)、 施行規模、経済学適評価など。(18283001)
 イ)  現代西洋医学との併用により、その効果を高めたり、新たな効果を示す統合医療の開発研究。(18283101)


【若手育成型】
 (1)  若手研究者が上記(1)〜(6)の公募課題において主体となって行う研究(18283201)

<研究計画書を作成する際の留意点>
 目標を明確にするため、研究計画書の「8.研究の目的、必要性及び期待される成果」に、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「11.研究計画・方法及び倫理面への配慮」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の施策等への応用に至る工程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式任意)。
 なお、研究課題の採択に当たっては、これらの記載事項を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。


14. 労働安全衛生総合研究事業
  <事業概要>
 労働災害により今なお年間53万人が被災するとともに、職業性疾病も依然として後を絶たない状況にある。また、一般健康診断において所見を有する労働者が5割近くを占め、仕事や職業生活に関する強い不安やストレスを感じている労働者が6割を超える中で、過重労働対策やメンタルヘルス対策の充実が求められている。さらに、職場における化学物質の健康影響については、社会的な問題となっている。
 このような課題に今後より一層的確に対応するため、本研究事業は、職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進するための研究を総合的に推進することとする。

 基本理念 健康安全の確保
 政策目標 医療安全の確保
 実現目標 事業場における安全衛生水準の向上

<新規課題採択方針>
 石綿による健康障害の発生が社会問題化していることから、石綿による健康障害予防、石綿が全面使用禁止された場合の労働者の安全確保等に資する研究を実施する。
 また、職場における精神障害等の認定件数が急増していることから、事業場における自殺防止対策を促進させるための研究を実施する。
 行政施策に直結する実証的研究で短期間に具体的な成果を上げることが見込まれるものを積極的に評価する。

 研究費の規模 1課題当たり5,000〜15,000千円程度(1年当たり)

 研究期間 1〜3年

 新規採択予定課題数 5課題程度
<公募研究課題>
【一般公募型】
 (1)  石綿による健康障害の予防等に資する研究
(ア)  治療中の中皮腫患者の実態調査と中皮腫登録制度の構築に関する研究(18290101)
(イ)  石綿ばく露による健康障害のリスク評価及びリスクコミュニケーションに関する研究(18290201)
(ウ)  非石綿ガスケット等非石綿製品に係る安全性の評価に関する研究(18290301)

 (2)  事業場における自殺予防対策を促進する方策についての研究(18290401)
(留意点)
 自殺企図者などリスクの高い労働者に対して事業場として実際に講じることが効果的な対策に係る研究を優先する。

 (3)  上記課題以外の、労働安全衛生に関し重要性、緊急性が高い研究(18290501)

<研究計画書を作成する際の留意点>
 目標を明確にするため、研究計画書の「8.研究の目的、必要性及び期待される成果」に、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「11.研究計画・方法及び倫理面への配慮」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の施策等への応用に至る工程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式任意)。
 なお、研究課題の採択に当たっては、これらの記載事項を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。


15. 食品医薬品等リスク分析研究事業

 (1) 食品の安心安全確保推進研究事業
  <事業概要>
 昨今、食品安全を脅かす様々な問題(例:牛海綿状脳症(BSE)と変異型クロイツフェルトヤコブ病(V−CJD)、遺伝子組み換え食品BT10 等)の発生や「食育基本法」の制定などにより、国民の「食」に対する関心が高く、安心・安全な社会の構築を実現するため必須の課題である。「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005(骨太方針)」においても、「食」の安全は、「消費者に信頼される食の安全・安心体制の確保を図る」とされているところであり、政府としてもトッププライオリティに上げられている。
 このようなことから厚生労働省では、食品安全行政における「リクス管理」を実施し、国民に対し「安全」な食品が提供されることを目的に、それに必要な研究課題を設定し研究事業を推進する。
 なお、本研究事業においては、食品安全におけるレギュラトリーサイエンス分野の研究で積極的に人材育成を進める観点から、若手研究者による研究を募集する。

 基本理念 健康安全の確保
 政策目標 食の安全の確保
 実現目標 食品による健康被害事例の低減

<新規課題採択方針>
 次に掲げる課題について募集を行う。
 ただし、基本的に、食品衛生法等による食品安全行政に応用が可能な研究を採択する。
 また、採択に当たっては、国際的動向も踏まえつつ、食品等の安全性及び信頼性の確保の観点から、国民の保健衛生の向上に資するものを優先的に採択する。

 研究費の規模 1課題当たり10,000千円〜50,000千円程度(1年当たり)
 ※ ただし、若手研究については、5,000千円程度(1年当たり)

 研究期間 1〜3年
ただし、若手研究については1〜2年

 新規採択予定課題数 14課題程度
若手研究15課題程度(ただし、評価が低い場合はこの限りではない)

 若手育成型の応募対象
  平成18年4月1日現在で満37歳以下の者(昭和44年4月2日以降に生まれた者に限る。)
   ※ 新規採択時にのみ本条件を適用する。
   ※ 満年齢の算定は誕生日の前日に一歳加算する方法とする。

<公募研究課題>
【一般公募型】
 (1)  食品の安心・安全推進研究分野
 ・ 食品の危機管理に関する研究(18300101)
(留意事項)
 課題採択に当たっては、フードチェーンを通した危機管理体制のあり方に関する 研究、食品を介したテロ対策に関する研究を含む研究を優先的に採択する。
 ・ 食品安全に関する知識・情報の普及・啓蒙に関する研究(18300201)
(留意事項)
 課題採択に当たっては、最終的に一般国民・食品関係者に対する研究カリキュラ ムの作成、研究マニュアルの作成等の成果が期待できる研究を優先的に採択する。

 (2)  食品リスク分析調査研究分野(18300301)
 ・ 薬剤耐性食中毒菌サーベイランスに関する研究
(留意事項)
 課題採択に当たっては、薬剤耐性食中毒菌について関係研究機関(家畜疾病、食品微生物及びヒト感染症等に関する研究機関)が参画するサーベイランスシステムの構築、収集データのデータベース化などに成果が期待できる研究を優先的に採択する。

 (3)  バイオテクノロジー応用食品分野
 ・ モダンバイオテクノロジー応用食品の安全性確保に関する研究(18300401)
(留意事項)
 課題採択に当たっては、
 (ア)  ポストゲノム手法導入のためのデータ整備、エピトープ解析を導入したアレルゲン予測等の安全性確保手法の高度化
 (イ)  安全性未審査のモダンバイオテクノロジー応用食品の海外からの流入や非食用生物の食品への混入等のリスクを迅速に探知するための精度の高い検知法・分析法の開発 等に関する研究を優先する。

 (4)  健康食品等の安全性・有効性評価研究分野
 ・ いわゆる健康食品の安全性に影響する要因に関する研究(18300501)
(留意事項)
 課題採択に当たっては、いわゆる健康食品の主たる成分自体の安全性や有効性の検討にとどまらず、成分以外の要因(摂取者、摂取方法、含有物質、相互作用等)による安全性への影響を明らかにしうる研究を優先する。

 (5)  牛海綿状脳症対策研究分野
 【公募課題なし】

 (6)  添加物に関する研究分野
 ・ 既存添加物等の安全性に関する研究分野(18300601)
(留意事項)
 課題採択に当たっては、安全性の確認を急ぐ必要のある既存添加物について、国際機関等における安全性評価の状況、データ収集を行うとともに、慢性毒性及び発がん性等の安全性の解明を行う研究を優先的に採択する。
 ・ 食品添加物等における遺伝毒性評価のための戦略構築に関する研究(18300701)
(留意事項)
 課題採択に当たっては、遺伝毒性評価に関し、解決すべき課題の抽出、論点整理を行ったうえで、海外の専門家を含めた議論等により遺伝毒性評価の統一的な戦略構築を目指すとともに、戦略構築に必要なデータが欠落している場合には遺伝毒性試験を実施する研究を優先的に採択する。

 (7)  汚染物質に関する研究分野
 ・ 食品中に残留する農薬等におけるリスク管理手法の精密化に関する研究(18300801)
(留意事項)
 課題採択に当たっては、食品中に残留する農薬、汚染物質による健康影響に関するリスク管理手法を精密化することを目的として、畜水産食品中の残留農薬分析の開発及び残留農薬実態調査、残留農薬基準の検証手法の開発が期待できる研究を優先的に採択する。

 (8)  食品中の微生物対策分野
 ・ 微生物を原因とする食中毒の迅速検査法等の開発及び検証に関する研究(18300901)
(留意事項)
 課題採択に当たっては、ノロウィルスなど食中毒の原因となるウィルス及び細菌について、迅速検査法、一括検査法及び簡易検査法の開発、各種検査キットの信頼性及び有効性の検証に成果が期待できる研究を優先的に採択する。

 (9)  食品中の化学物質対策研究分野
 ・ 食品を介した熱媒体の人体影響に関する研究(18301001)
(留意事項)
 課題採択に当たっては、熱媒体(ダイオキシン類等)により汚染された食品を摂取することによるヒトへの健康影響について、(1)サーベイランス、(2)治療法の確立等の成果が期待できる研究を優先的に採択する。
 ・ 食品中の遺伝毒性を有する有害物質のリスク管理に資する総合研究(18301101)
(留意事項)
 課題採択に当たっては、アクリルアミドを対象物質とし、成長期、成人期などのライフステージにおける感受性に係る調査、アクリルアミドの毒性を阻害する作用を有する食品の探索及び検証などに関する研究を優先的に採択する。

 (10)  アレルギー表示に関する研究分野
 【公募課題なし】

 (11)  輸入食品の安全性等に関する研究分野
 ・ 輸入食品における食中毒菌等サーベイランスに関する研究(18301201)
(留意事項)
 課題採択に当たっては、輸出国、生産地域や時期による汚染状況、諸外国におけるサーベイランス及び食品衛生管理状況について情報収集し、輸入食品における食中毒菌に関するサーベイランスの確立に成果が期待できる研究を優先的に採択する。

 (12)  乳幼児食品の安全性に関する研究分野
 【公募課題なし】

【若手育成型】
 (13)  年齢条件に加え、博士号取得後5年以内または常勤の研究職に就いて5年以内の若手研究者が上記の(1)〜(12)において主体となって行う研究(18301301)

<研究計画書を提出する際の留意点>
 目標を明確にするため、研究計画書の「8.研究の目的、必要性及び期待される成果」に、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「11.研究計画・方法及び倫理面への配慮」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、食品安全行政等への応用に至る工程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式任意)。
 なお、研究課題の採択に当たっては、これらの記載事項を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。


(2) 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究事業
  <事業概要>
 国民の保健衛生の向上に資する医薬品・医療機器等については、使用する国民にとって「安全」を確保しつつ、「有効性」をもたらすことが求められており、また有効性・安全性の前提として「品質」が確認されていなければならない。科学技術の進展等に伴い、より先端的な医薬品・医療機器等の上市に向けた取組が活発になる一方で、情報技術の発達・普及により国民において国内外の医薬品・医療機器関連情報へのアクセスが容易になったこと等により、国際的に使用されている医薬品・医療機器等をできるだけ早く使用する機会を求めるニーズが高まっている。そのような情勢の下、医薬品・医療機器等の「品質」、「安全性」及び「有効性」は、国際的に調和された、科学的でかつ国民のニーズを踏まえたレギュレーション(規制)により確保されている。また、わが国の医療において国民が求める医薬品・医療機器を使用するには、それらが安定的に供給され、適正に提供される必要がある。
 新しい医療技術の実用化を図り、より有効かつ安全な医薬品・医療機器等を提供するためにはそれらの科学的評価が必要であり、医薬品・医療機器等の「品質」、「安全性」及び「有効性」の評価等を政策的に実行するためのレギュレーションは透明でなければならない。本事業は、技術革新に対応した医薬品・医療機器等の科学的評価のための基盤整備を図るため、「品質」、「有効性」及び「安全性」の確保のための評価手法の確立、市販後に発現する副作用等の解析技術・提供法の確立、ワクチン・血液等の安全かつ安定的供給方法の確立、医薬品・医療機器等の適正かつ安全な提供体制等の整備、違法ドラッグ(これまで脱法ドラッグと呼ばれていたもの)等の乱用薬物の規制手法の確立等に関する総合的かつ計画的な研究を推進し、研究成果を行政施策に反映することを通じて、国民に有益な医薬品・医療機器等の迅速かつ確かな承認、安心・安全な社会の構築等の社会的要請に応えるものである。

 基本理念 健康安全の確保
 政策目標 医療等の安全確保
 実現目標 医薬品・医療機器・薬物等の安全確保のためのレギュレーション整備

<新規課題採択方針>
 次に掲げる課題について募集を行う。
  (1)  医薬品・医療機器等の品質、安全性及び有効性の評価・管理等に関する研究
  (2)  医薬品・医療機器等の市販後安全対策に関する研究
  (3)  安全な改良型ワクチン・血液製剤等の安定供給等に関する研究
  (4)  医薬品・医療機器等の適正かつ安全な提供等に関する研究
  (5)  違法ドラッグ等の乱用薬物対策等に関する研究

 研究費の規模 1課題当たり3,000千円〜50,000千円程度(1年当たり)

 研究期間 1〜3年

 新規採択予定課題数 35課題程度

<公募研究課題>
【一般公募型】
 (1)  医薬品、医療機器等の品質、安全性及び有効性の評価・管理等に関する研究のうち次に掲げるもの
(ア)  国家検定の国際調和に関する研究(18310101)
(イ)  医薬品等の製造管理及び品質管理法に関する研究(18310201)
(ウ)  ファーマコゲノミクスに基づく医薬品開発に対する評価の在り方に関する研究(18310301)
(エ)  国際的動向を踏まえた医薬品等の品質・安全性評価に関する研究(18310401)
(オ)  医薬品の製造方法等の変更に伴う規格・物性比較に関する研究(18310501)
(カ)  医薬品の使用成績に基づく有効性、安全性の評価方法に関する研究(18310601)
(キ)  生薬及び漢方処方の有用性評価手法・安全性確保と国際調和に関する研究(18310701)
(ク)  混合ワクチンの規格・試験方法の標準化に関する研究(18310801)
(ケ)  新しい無菌医薬品製造技術の無菌性評価に関する研究(18310901)
(コ)  医薬品の規制範囲及び国際調和に関する研究(18311001)

 (2)  医薬品・医療機器等の市販後安全対策に関する研究のうち次に掲げるもの
(ア)  国際化を踏まえた医薬品・医療機器の安全性情報の伝達に関する研究(18311101)
(イ)  プラスティック製医療機器の安全性に関する研究(18311201)
(ウ)  個人輸入による未承認薬の医療機関における安全対策に関する研究(18311301)
(エ)  医薬品添加物の安全性情報の活用に関する研究(18311401)

 (3)  安全な改良型ワクチン・血液製剤等の安定供給等に関する研究のうち次に掲げるもの
(ア)  血液製剤の安定確保のための手法等に関する研究(18311501)
(イ)  洗浄血小板の臨床評価に関する研究(18311601)
(ウ)  特殊免疫グロブリンの国内製造に係る基盤整備に関する研究(18311701)
(エ)  医療機関における血液製剤の適正使用の推進に関する研究(18311801)
(オ)  採血基準の拡大に関する研究(18311901)
(カ)  輸血用血液製剤の安全性向上に関する研究(18312001)
(キ)  新型インフルエンザ用ワクチンの有効性・安全性の向上に関する研究(18312101)
(ク)  抗毒素製剤の効率的製造方法の開発に関する研究(18312201)
(ケ)  血液製剤等の発熱試験に替わるエンドトキシン試験法及びその基準化に係る研究(18312301)

 (4)  医薬品・医療機器等の適正な提供等に関する研究のうち次に掲げるもの
(ア)  薬剤師の専門的資質の向上及び実務実習の在り方等に関する研究(18312401)
(イ)  地域に密着した薬局機能の確立に関する研究(18312501)
(ウ)  薬剤師の実践的臨床業務の在り方に関する研究(18312601)
(エ)  薬局等における医薬品等の安全管理体制の確立に関する研究(18312701)

 (5)  違法ドラッグ等の乱用薬物対策等に関する研究のうち次に掲げるもの
(ア)  薬物再乱用防止のための関係機関との連携方策に関する研究(18312801)
(イ)  麻薬の代替となる薬用植物栽培の国際的普及に関する研究(18312901)
(ウ)  違法ドラッグの依存性に基づく乱用防止策等に関する研究(18313001)

<研究計画書を作成する際の留意点>
 研究計画書の提出に当たっては、目標を明確にするため、研究計画書の「8.研究の目的、必要性及び期待される成果」に、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「11.研究計画・方法及び倫理面への配慮」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の医療・規制等への応用に至る工程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式任意)。
 なお、研究課題の採択に当たっては、基本的に、薬事法、薬剤師法、麻薬及び向精神薬取締法、安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律等による医薬行政施策への応用が可能なものや、国際的動向も視野に入れつつ、医薬品等の品質・有効性・安全性確保の観点から、国民の保健衛生の向上に資するものを優先的に取り扱うが、その際、研究計画書の「8.」及び「11.」を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。


 (3) 化学物質リスク研究事業
  <事業概要>
 我が国の日常生活において使用される化学物質は数万種に及ぶといわれ、国民生活を豊かなものとすることに貢献している反面で、その人への有害影響が社会的に懸念されている。
 本研究事業では、これら化学物質によるリスクに関して、評価手法の開発を通じ、総合的かつ迅速な評価を加速化し、規制基準の設定など必要な管理、的確な情報の発信などを通じて、国民の不安を解消し、安全な生活の確保を図るとともに、我が国の持続可能な発展に貢献することを狙いとするものである。

 基本理念 健康安全の確保
 政策目標 医療等の安全確保
 実現目標 化学物質のヒト健康影響に関する効率的な新評価手法の開発
ナノ物質のヒト健康影響に関する体系的な評価手法の開発


<新規課題採択方針>
 化学物質リスク評価・管理技術に関する研究、ナノマテリアルのヒト健康影響に関する研究、家庭用化学物質安全対策に関する研究

 研究費の規模(1課題、1年当たり)
課題(1)  30,000千円〜120,000千円程度
課題(2)  40,000千円〜80,000千円程度
課題(3)  50,000千円〜100,000千円程度
課題(4)  30,000千円程度
課題(5)  10,000千円程度

 研究期間 1〜3年

 新規採択予定課題数
課題(1)  3課題程度
課題(2)  2課題程度
課題(3)  1〜2課題程度
課題(4)  1課題程度
課題(5)  1課題程度

<公募研究課題>
【一般公募型】
 (1)  化学物質の有害性評価手法の迅速化、高度化に関する研究
(ア)  化学物質リスク評価におけるトキシコゲノミクスの利用に関する研究(18320101)
 遺伝子の網羅的な発現プロファイリング及び蓄積データによるインフォマティクス技術を活用した化学物質の安全性評価のための評価システムの構築及びシステム構築のための基盤整備に関する研究。特に、従来の評価法に比べて迅速化、定量化、高精度化させるための総合的かつ安定的な評価システムの開発研究を優先する。
(イ)  化学物質リスク評価における(定量的)構造活性相関((Q)SAR)の利用に関する研究(18320201)
 毒性が明らかでない化学物質について、化学物質の構造及び毒性発現メカニズムの観点から、毒性学的影響を高精度で予測するための方法を研究することを目的とする。特に、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」における評価、OECD(経済協力開発機構)の枠組み等による国際協同研究及び毒性発現メカニズム関する代謝活性化の可能性を踏まえた予測の開発に資するものを優先する。
(ウ)  化学物質リスク評価法の国際的バリデーションに関する研究(18320301)
 動物愛護の観点から、各種開発されている化学物質リスク評価のための代替試験に関して、国際的に試験の信頼性、正確性を保証するためのバリデーションに関する研究。

 (2)  化学物質の暴露に関する研究
(ア)  化学物質の暴露評価手法の開発に関する研究(18320401)
 化学物質の暴露評価スキームの構築、特に、家庭用品をはじめとする身近な製品からの暴露量を推定し、評価する手法の開発に関する研究。
(イ)  難分解性有機汚染物質(POPs)の胎児期暴露に関する研究(18320501)
 疫学的な手法を用いて、PCB等の難分解性有機汚染物の胎児期暴露と神経発達を含めた健康への影響を解明するための研究

 (3)  ナノマテリアルのヒト健康影響の評価手法の開発に関する研究 (18320601)
 産業利用を目的として意図的に生成、製造されるナノマテリアルについて、ヒト健康影響を評価するための生体内存在量の計測法、体内動態の確認法及び有害性評価手法の開発に関する研究。

 (4)  家庭用化学製品のリスク管理におけるヒトデータの利用に関する研究(18320701)
 家庭用化学製品によるヒトでの中毒症例の収集体制を構築し、収集された症例の暴露状況、臨床症状、臨床検査値、血中濃度等の情報を年齢、暴露経路別等の種々の因子毎に解析することにより、家庭用化学製品のリスク評価及びリスク管理の基盤となる情報を提示するための研究、及びこれら解析結果に製品中の化学物質成分の毒性情報等を加味して、小児や高齢者などを含む消費者の中毒事故防止対策をまとめ、リスク管理体制を構築するための研究

 (5)  化学物質安全性情報の収集と発信に関する研究(18320801)
 GHS(化学品の分類及び表示に関する世界調和システム)の導入等にむけ、事業者等が国内外で数多く提供されている化学物質安全性情報の中から、質が高く、目的に沿った正確な情報を迅速に選び出す必要性が高まっていることを踏まえ、精度の高い化学物質の健康有害性情報、特にIPCS(国際化学物質安全性計画)/WHO(世界保健機関)やOECD(経済協力開発機構)等の国際機関やEU,米国等で公表されている化学物質の安全性情報の利用に当たって、効率的かつ簡便な情報収集を可能とし、また、これらの情報を活用した自社の製品情報等を発信するための支援ツールを開発するための研究

<研究計画書を作成する際の留意点>
 目標を明確にするため、研究計画書の「8.研究の目的、必要性及び期待される成果」に、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「11.研究計画・方法及び倫理面への配慮」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、試験法活用等への応用に至る工程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式任意)。
 なお、研究課題の採択に当たっては、これらの記載事項を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。


16. 地域健康危機管理研究事業
  <事業概要>
 国民の安全、安心を確保するため、地域健康危機管理の基礎として「地域健康危機管理の基盤形成に関する研究」、「水安全対策研究」、「生活衛生安全対策研究」の3分野の研究を行い、(1)地域における健康危機管理体制の基盤を強化・推進、(2)水道等による水供給における原水水質事故、災害、テロ等に対してもより安全で安定的な水提供、(3)建築物や生活衛生関係営業等の生活環境に起因する健康危機の未然防止及び適切な対応等に資する研究を実施する。

 基本理念 健康安全の確保
 政策目標 健康危機管理対策の充実
 実現目標 安心・安全な社会形成にむけた地域健康危機管理の基盤形成、安全な水の安定供給確保、安全な生活環境の形成に資する研究の推進

<公募研究課題>
【一般公募型】
 (1)  地域健康危機管理の基盤形成に関する研究分野
 SARS、鳥インフルエンザ等、健康危機への対応は多様化してきている。地域において、健康危機発生時における迅速な初動体制の確保や効率的な対応、及び各関係機関との連携体制を確立するために、健康危機管理体制の評価指標、効果の評価に関する研究、健康危機管理情報の収集、伝達、公開及びその活用・評価に関する研究、地域の健康危機管理を担う保健所職員等の資質向上に関する研究、卒前教育・卒後臨床研修における公衆衛生医師の専門技能評価と育成手法等に関する調査研究等を行うことにより、地域の健康危機管理対策を担う公衆衛生行政の基盤の向上を図る。

(ア)  健康危機管理体制の評価指標、効果の評価に関する研究 (18330101)
(留意事項)
 課題採択に当たっては、地域保健対策検討会の中間報告で指摘された保健所における健康危機主要12分野に関して、地域の健康危機管理体制の具体的な評価指標あるいは評価基準の開発をモデル的に行い、また、その効果を評価するために応用する際の標準的手法の確立を進めることを中心とした調査研究を優先する。

 研究費の規模 1課題当たり30,000千円〜50,000千円程度(1年当たり)

 研究期間 1〜3年

 新規採択予定課題数 1課題程度

(イ)  健康危機管理情報の収集、伝達、公開及びその活用・評価に関する研究(18330201)
(留意事項)
 課題採択に当たっては、地域における健康危機管理情報の収集、伝達、公開及びその活用・評価に関する研究のうち、特に、健康危機事例発生時における個人情報の収集、伝達、公開の具体的方法を確立するため、個人情報の利用に関する除外規定の設定などの国内外における制度面での対応状況を含めた調査研究及び現行の法体系下では対応が困難な初動時に原因が特定できない健康危機事例への対応等に関する調査研究を優先する。

 研究費の規模 1課題当たり3,000千円〜5,000千円程度(1年当たり)

 研究期間 1〜3年

 新規採択予定課題数 1課題程度

(ウ)  地域の健康危機管理を担う保健所職員等の資質向上に関する研究(18330301)
(留意事項)
 課題採択に当たっては、地域の健康危機管理を担う公衆衛生医師等の保健所職員等の資質向上に資するため、研修体制の強化充実の方法に関して検討することを目的とする研究のうち、保健所職員等に対する体系的な教育プログラムであり、特に、地域保健対策検討会の中間報告で指摘された保健所における健康危機分野に対する、効果的な図上演習(シミュレーション)や実地訓練等の具体的方法や研修媒体の開発を行う調査研究を優先する。

 研究費の規模 1課題当たり5,000千円〜15,000千円程度(1年当たり)

 研究期間 1〜3年

 新規採択予定課題数 1課題程度

(エ)  卒前教育・卒後臨床研修における公衆衛生医師の専門技能評価と育成手法等に関する調査研究(18330401)
(留意事項)
 課題採択に当たっては、地域の健康危機管理を担う公衆衛生医師について、卒前教育・卒後臨床研修における養成機能の評価と効果的な手法を調査研究し、実践に必要な能力を備えた公衆衛生医師の養成方策等を明らかにし、公衆衛生医師の確保の方策に資する調査研究を優先する。

 研究費の規模 1課題当たり5,000千円〜10,000千円程度(1年当たり)

 研究期間 1〜3年

 新規採択予定課題数 1課題程度

 (2)  水安全対策研究分野
 水安全対策の強化のため、原水の悪化、突発的水質事故、災害等に対しても清浄な水を可能な限り安定的に供給していくための研究、水源から給水栓に至るまでの水道システムのリスク低減に関する研究を行う。

(ア)  飲料水危機管理対策強化研究(18330501)
(留意事項)
 課題採択に当たっては、飲料水への混入が懸念されるもののその動態が明らかではない水中の微生物や微量化学物質について、迅速・容易な監視・検出方法の開発、原水や浄水システム内での挙動実態、浄水処理及び消毒による効果等の把握、緊急時における的確な対応方策に関する研究のうち、特に危機管理関連物(病原性細菌やウイルス、微量有害化学物質等)による水質異常の常時監視又は簡易検知手法に関する研究、危機管理関連物が混入した場合の被害の予測手法に関する研究、病原性細菌やウイルスの水中での生残性、ろ過での除去や塩素消毒の効果に関する研究、緊急時における的確な対応方策に関する研究を優先する。

 研究費の規模 1課題当たり5,000千円〜10,000千円程度(1年当たり)

 研究期間 1〜3年

 新規採択予定課題数 1課題程度

(イ)  水道システムに係るリスクの低減対策研究(18330601)
(留意事項)
 課題採択に当たっては、水道による清浄で安心できる水の安定的確保のための原水から蛇口までの重要施設における処理及び管理の多重化や強化に関する研究、水道水質に関する新たな知見に対応したリスク低減方策等に関する研究のうち、特に原水状況や緊急事態に対応した処理フローの多重化や処理方法の変更を含む最適浄水処理プロセスの選定手法に関する研究、配水・給水過程における病原性微生物及び消毒副生成物の監視や影響低減化方策等の安全性確保対策に関する研究を優先する。

 研究費の規模 1課題当たり5,000千円〜10,000千円程度(1年当たり)

 研究期間 1〜3年

 新規採択予定課題数 1課題程度

 (3)  生活環境安全対策研究分野

 建築物や生活衛生関係営業等に関係する生活環境については、その適切な保持が行われない場合、(1)短時間に重症の健康被害が大量に発生する、(2)同時期に複数の者が非特異的な健康被害を訴える、(3)早期に対応がなされないと、危機的状況を招く恐れがある等、健康危機管理に直結するものであり、これらの健康危機の未然防止及び発生時に備えた準備、発生時の適切な対応等に関する研究を推進する必要がある。
 このため、室内空気汚染問題をはじめとした建築物における空気環境や給排水等の衛生的環境の確保に関する研究、公衆浴場等の生活衛生関係営業における衛生的環境の確保に関する研究、その他生活環境が人体に及ぼす影響等の研究を推進する。

(ア)  建築物の衛生的環境の維持管理に関する研究(18330701)
(留意事項)
 課題採択に当たっては、室内空気汚染問題をはじめとした建築物における空気環境や給排水等の衛生的環境の確保に関する研究、特に建築物における衛生的環境の確保に関する法律で規定する特定建築物以外の建築物の衛生管理等も含めた総合的な研究を優先する。

 研究費の規模 1課題当たり20,000千円〜30,000千円程度(1年当たり)

 研究期間 1〜3年

 新規採択予定課題数 1課題程度

(イ)  シックハウス症候群の実態解明及び具体的対応方策に関する研究(18330801)
(留意事項)
 課題採択に当たっては、いわゆるシックハウス症候群と呼ばれている室内空気質による健康影響について、室内空気汚染の実態調査、健康障害との関係を検証する疫学研究等を実施し、具体的な対応方策につながる研究を採択するものとし、研究成果として保健所等で活用できる相談マニュアルを作成する研究を優先する。

 研究費の規模: 1課題当たり20,000千円〜30,000千円程度(1年当たり)

 研究期間: 1〜2年

 新規採択予定課題数: 1課題程度

(ウ)  シックハウス症候群の診断・治療法及び具体的対応方策に関する研究(18330901)
(留意事項)
 課題採択に当たっては、いわゆるシックハウス症候群と呼ばれている室内空気質による健康影響について、健康障害に関する基礎・臨床研究等、具体的な対応方策につながる研究を採択するものとし、研究成果として医師等が臨床の場で活用できる診断・治療の手引きを作成する研究を優先する。

 研究費の規模 1課題当たり10,000千円〜30,000千円程度(1年当たり)

 研究期間 1〜3年

 新規採択予定課題数 1〜2課題程度

(エ)  温泉等を利用する公衆浴場における泉質等に応じた適切な衛生管理手法の検討に関する研究(18331001)
(留意事項)
 課題採択に当たっては、温泉の湧出量・湯温・泉質等に応じた公衆浴場における適切な衛生管理手法の検討に資するため、入浴者数・湯の入れ替え頻度・消毒法・汚染指標・泉質等の実地調査を行うことにより、施設に応じた衛生管理の在り方を検討することを目的とする研究であり、泉質等に対応した新たな維持管理指標の探索・消毒法の選択など施設毎の特性に応じた適切な衛生管理手法の提言を含めた実践的な研究を優先する。

 研究費の規模 1課題当たり10,000千円〜20,000千円程度(1年当たり)

 研究期間 1年

 新規採択予定課題数 1課題程度

<研究計画書を作成する際の留意点>
 目標を明確にするため、研究計画書の「8.研究の目的、必要性及び期待される成果」に、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「11.研究計画・方法及び倫理面への配慮」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の医療等への応用に至る工程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式任意)。
 なお、研究課題の採択に当たっては、これらの記載事項を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。


 公募研究事業計画表

公募研究事業計画表

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