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4. 長寿科学総合研究事業

4. 長寿科学総合研究事業
  <事業概要>
 超高齢社会を迎えた今、社会全体で高齢者を支え、国民が安心して生涯を過ごすことができる社会へと転換するため、高齢者に特徴的な疾病・障害の予防、診断及び治療並びにリハビリテーションについて研究を行う。
 また、高齢者を支える基盤としての介護保険制度にも着目し、介護ケアの確立、権利擁護等の社会科学的検討及び保健・医療・福祉施策の連携方策に関する研究を行うことにより、総合的な長寿科学研究を積極的に推進する。

 基本理念 健康安心の推進
 政策目標 介護予防の推進
 実現目標 自立高齢者の要介護状態への移行及び軽度要介護者の悪化の防止(低減)

<新規課題採択方針>
 老化、老年病、リハビリテーション、支援機器及び技術評価等に関する研究を行う「老化・老年病等長寿科学技術分野」、介護予防、高齢者の健康増進、介護、保健サービスの評価、社会科学等に関する研究を行う「介護予防・高齢者保健福祉分野」、認知症・軽度認知障害、及び運動器疾患等に着目し、より効果的かつ効率的予防、診断、治療、リハビリテーション及び介護等を確立するための研究を行う「認知症・運動器疾患等総合研究分野」について研究課題の募集を行う。
 ただし、基本的に、厚生労働行政と一体的に推進する研究や、高齢者医療、介護保険制度及び老人保健事業等によるサービス提供への応用が可能な研究を採択する。
 また、「老化・老年病等長寿科学技術分野」及び「介護予防・高齢者保健福祉分野」と「認知症・運動器疾患等総合研究分野」との重複を避ける観点から、高齢者の認知症・軽度認知障害又は運動器疾患に関する研究は、原則として「認知症・運動器疾患等総合研究分野」に申請するものとする。
 なお、より短期間で成果を得られる研究を優先的に採択するとともに、特に介護保険制度改革や健康フロンティア戦略の趣旨を踏まえ、高齢社会の将来像を見据えた高齢者の尊厳を支える介護及び保健福祉施策の確立に資するものを優先的に取り扱う。
 また、同一研究者への資源配分の集中を排除する観点から、一研究者に対し一つの研究課題のみを採択することとする。

 研究費の規模 1課題当たり5,000〜30,000千円程度(1年当たり)

 研究期間 原則として3年以内
(ただし、より短期間に成果が得られる研究課題を優先的に採択する。)

 新規採択予定課題数 40課題程度
 (1) 老化・老年病等長寿科学技術分野
・一般公募型: 10課題程度
・プロジェクト提案型: 1課題
・若手育成型: 1〜2課題

 (2) 介護予防・高齢者保健福祉分野
・一般公募型: 10課題程度

 (3) 認知症・運動器疾患等総合研究分野
・一般公募型:10課題程度
・プロジェクト提案型:2課題
・若手育成型:1〜2課題

 若手育成型の応募対象
  平成18年4月1日現在で満37歳以下の者(昭和44年4月2日以降に生まれた者に限る。)
   ※ 新規採択時にのみ本条件を適用する。
   ※ 満年齢の算定は誕生日の前日に一歳加算する方法とする。


<公募研究課題>
 (1) 老化・老年病等長寿科学技術分野
 【一般公募型】
  (1)  老化機構の解明に関する研究
(ア)  早期老化症の原因、発症メカニズムに関する研究(18150101)
(イ)  酸化ストレスによる老化の発現機序の解明とその制御法に関する研究(18150201)
(ウ)  環境要因が老化に及ぼす影響に関する研究(18150301)
(留意点)
 ヒトの老化要因の解明及びその制御法に関する研究であって、今後臨床応用が期待できると判断されるものを採択する。

  (2)  主要な老年病の診断治療に関する研究(認知症及び運動器疾患に関するものを除く)
(ア)  早期診断治療のための老年病発症因子に関する研究(18150401)
(イ)  高齢者の摂食・嚥下機能の評価・治療法に関する研究(18150501)
(ウ)  褥そうの新しい分類と予防・治療法の開発に関する研究(18150601)
(エ)  高齢者施設における感染対策に関する研究(18150701)
(留意点)
 平成17年6月に公表した「高齢者介護施設における感染対策マニュアル」
(https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/tp0628-1/index.html)の趣旨を踏まえ、本ガイドラインに基づく対策の実施状況の調査や、施設職員に対する効率的な研修方策等も含め、科学的根拠に基づく具体的な感染対策の運用方法について、調査研究を実施するものを採択する。なお、単に高齢者に対する感染症治療のみに着目したものは採択しない。

  (3)  高齢者リハビリテーションに関する研究
(ア)  高齢者の生活機能低下に対する効果的なリハビリテーション技術に関する研究(18150801)
(イ)  訪問・通所リハビリテーションを通じた自立支援に関する研究(18150901)
(留意点)
 上記に掲げる高齢者のリハビリテーションについて、国際生活機能分類 (ICF)の概念に基づき、全人的な生活機能の向上をめざす方向性が明確なものを採択するものとし、部分的な身体機能の向上に着目したものは採択しない。

  (4)  高齢者支援機器及び居住環境に関する研究
(ア)  高齢者の支援機器の適合技術に関する研究(18151001)
(イ)  多様な住まい類型の提供体制に関する研究(18151101)

  (5)  技術評価に関する研究
(ア)  老化機構の解明に係る技術評価及び普及に関する研究(18151201)
(イ)  老年病に係る臨床技術の評価及び普及に関する研究(18151301)
(ウ)  高齢者リハビリテーションの技術評価及び普及に関する研究(18151401)
(エ)  高齢者支援機器に係る技術評価及び普及に関する研究(18151501)

  (留意点)
 (1)〜(4)に係る研究分野における、既に研究及び臨床の現場において活用されている技術についてその効率性や有効性に係る評価及び普及方法に関する研究を行うものとする。

 【プロジェクト提案型】
  (1)  高齢者の老化プロセスに関する研究(18151601)
(留意点)
 ヒトの個体としての老化のプロセス及びその要因について、生活機能も含めた評価分析を体系的に実施する研究をプロジェクト提案型研究として公募する。

 【若手育成型】
  (1)  個体老化の予防及びその要因となる細胞老化に関する研究(18151701)
  (2)  高齢者の歩行維持の機能的評価システムの開発に関する研究(18151801)

 (2) 介護予防・高齢者保健福祉分野
 【一般公募型】
  (1)  介護予防、介護技術に関する研究
(ア)  多様な世代及び心身の状態に着目した要介護状態の評価指標の開発に関する研究(18151901)
(留意点)
 介護保険制度における被保険者・受給者の範囲の検討状況や、現行の要介護認定や障害者自立支援法案における障害程度区分の認定手法を十分に理解した上で、若年の障害者や要介護者も含めた要介護状態の評価について、評価指標及び評価方法の開発を行うものとする。
(イ)  効果的な介護予防技術の開発に関する研究(18152001)
(留意点)
 平成18年4月から施行予定の介護保険の(新)予防給付及び地域支援事業において実施可能な効果的な介護予防技術について研究開発を進めることが明確なものを優先的に採択する。
(ウ)  介護予防ケアマネジメントの標準化に関する研究(18152101)
(留意点)
 平成18年4月施行予定の介護予防支援の現場における効率的な実施を支援するための標準化策について調査研究を行うものを採択する。なお、介護給付に係る一般的な居宅介護支援のみに係る研究を実施する課題については採択しない。

  (2)  高齢者の健康増進に関する研究
(ア)  高齢者の廃用症候群(生活不活発病)予防に関する研究(18152201)
(留意点)
 国際生活機能分類(ICF)の概念に基づき、全人的な生活機能の向上をめざす方向性を明確にし、高齢者介護の現場における廃用症候群(生活不活発病)の簡便なスクリーニング手法や適切な介入方法に係る研究を実施するものとする。
(イ)  高齢者の栄養ケア・マネジメントに関する研究(18152301)
(留意点)
 平成17年10月から介護報酬で評価されることとなった、栄養ケア・マネジメントについて、その実施状況の把握や効果的な普及策等を含めた介護現場の支援に着目した課題を採択するものとする。
(ウ)  生活機能低下のスクリーニング手法に関する研究(18152401)
(留意点)
 特に、介護保険の地域支援事業における介護予防事業の対象者を把握することを目的としたスクリーニング手法の開発に係る研究を優先的に採択する。

  (3)  介護及び高齢者保健福祉サービスの評価に関する研究
(ア)  新予防給付及び地域支援事業の実施体制と評価に関する研究(18152501)
(留意点)
 平成18年4月に施行予定の新予防給付及び地域支援事業を実施している市町村の実態把握と事業の継続性に係る課題及び解決策等に係る調査分析を行うものとする。
(イ)  地域密着型サービスの提供実態に関する研究(18152601)
(ウ)  介護保険事業の経営状況及びサービスの質の評価に関する研究(18152701)
(留意点)
 平成18年4月施行の改正介護保険法及び介護報酬改訂後の事業者の経営状況及びサービスの質の評価の実態に係る調査研究を行うものとする。

  (4)  高齢者福祉、社会科学に関する研究
(ア)  高齢者の権利擁護施策の利用促進に関する研究(18152801)
(留意点)
 改正介護保険法で創設された地域支援事業の一つである権利擁護事業の実施状況の実態把握を含め、成年後見制度等の権利擁護施策の利用促進に関する調査研究を実施するものとする。
(イ)  高齢者虐待への早期介入に関する研究(18152901)

 (3) 認知症・運動器疾患等総合研究分野
 【一般公募型】
  (1)  認知症、軽度認知障害に関する研究
(ア)  軽度認知障害のスクリーニング手法に関する研究(18153001)
(留意点)
 軽度認知障害(MCI)状態の早期把握のためのスクリーニング手法の開発とともに、スクリーニング後の地域における介入対策も含めた総合的なシステムづくりに着目した課題を優先的に採択する。
(イ)  認知症に対する非薬物療法の有効性に関する研究(18153101)
(ウ)  認知症を主体とする脳老化の病因解明とその制御法の開発に関する研究(18153201)
(エ)  認知症高齢者に対するケアの評価に関する研究(18153301)

  (2)  骨折、骨粗鬆症等の運動器疾患に関する研究
(ア)  転倒及び骨折に係る予防技術の評価に関する研究(18153401)
(留意点)
 高齢者の生活機能面からみた効果的な転倒・骨折の予防技術について研究を実施するものとし、部分的な身体機能面に着目したものは採択しない。
(イ)  高齢者骨折の発生及び診療実態に関する研究(18153501)
(ウ)  高齢者の腰痛に係る診断・治療・リハビリテーションに関する研究(18153601)
(留意点)
 高齢者の腰痛症に係る大規模な患者対照研究を含めた、具体的な診断・治療・リハビリテーションのガイドライン作成に結びつく課題を優先的に採択する。
(エ)  脳血管障害に伴う運動器障害予防・治療・リハビリテーションに関する臨床研究(18153701)
(留意点)
 特に、脳卒中による運動器障害の予防、SUを含む診療体制、急性期から維持期にかけたリハビリテーションの連携方策について総合的に検討を行う大規模な研究体制を構築した課題を採択するものとする。

  (3)  高齢者医療・介護の総合的な提供体制の確立に関する研究
(ア)  終末期医療・介護における意志決定及び地域連携に関する研究(18153801)
(留意点)
 悪性腫瘍等による高齢者の終末期の医療・介護における自己実現に係る意思決定プロセスのモデル作成と評価を行うとともに、これらの保健・医療・福祉の連携方策について複数の地域における試行をもとに連携ガイドラインの作成を行う課題を優先的に採択する。
(イ)  在宅医療のための各種医療機関の機能と連携の強化に関する研究(18153901)
(ウ)  療養病床の機能分化に関する研究(18154001)
(留意点)
 今後の医療計画制度の見直し状況も踏まえ、介護保険と医療保険の双方にまたがる療養病床の今後の機能分化とその評価方法(特に介護報酬、診療報酬上の評価方法)について研究を実施するものとする。
(エ)  災害時における居宅介護・医療の継続に関する研究(18154101)
 (留意点)
 新潟県中越地震において明らかとなった、被災高齢者の生活機能低下と孤立集落における医療・介護ケアの提供体制に係る課題に着目し、居宅における介護や医療の継続的支援方法のモデル作成を目的として調査研究を実施するものとする。

  (4)  今後の長寿科学の推進に係るグランドデザインに関する研究(18154201)
(留意点)
 基礎・臨床領域から医療・介護・社会科学分野まで幅広い概念を持つ長寿科学(または老年学)の各分野ごとの学際的連携や総合的な推進について、研究の観点だけでなく社会貢献も含めたグランドデザインを検討するものを優先的に採択する。

 【プロジェクト提案型】
  (1)  認知症の総合的な予防・治療・介護の確立に関する研究(18154301)
  (2)  運動器疾患の総合的な予防・治療・リハビリテーションの確立に関する研究(18154401)
(留意点)
 認知症及び運動器疾患に関する予防・治療等に係る総合的な研究をさらに体系的に実施することを目的とした研究プロジェクトを1課題ずつ採択する。認知症については、市町村における介護保険や地域支援事業におけるサービスの評価や健康フロンティア戦略における介護予防の観点にも留意するとともに、運動器疾患については、「運動器の10年」において指摘されている課題に着目し、課題解決への目標を明確にした研究を実施するものとする。

 【若手育成型】
  (1)  高齢者の認知機能の維持・改善に資するライフスタイルに関する研究(18154501)
  (2)  老化及び高齢者に対する意識の変化に対する社会及び医学的観点からの分析研究(18154601)

<研究計画書を作成する際の留意点>
 目標を明確にするため、研究計画書の「8.研究の目的、必要性及び期待される成果」に、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「11.研究計画・方法及び倫理面への配慮」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の医療等への応用に至る工程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式任意)。
 なお、研究課題の採択に当たっては、これらの記載事項を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。


5. 子ども家庭総合研究事業

 (1) 子ども家庭総合研究事業
  <事業概要>
 「子どもが健康に育つ社会、子どもを生み、育てることに喜びを感じることができる社会」の実現のために、次世代を担う子どもの健全育成と、生涯を通じた女性の健康の支援に資する研究について募集を行う。

 基本理念 健康安心の推進
 施策目標 生涯を通じた女性の健康の向上・次世代育成
 実現目標 不妊及び周産期障害の克服
単一遺伝子疾患・小児難治性疾患の効果的治療法・予防法の確立
安全・安心な母子医療の効率的・効果的な提供体制の整備、

<新規課題採択方針>
 基本的に、晩婚化/少子化や不妊治療の普及など、近年の社会環境を踏まえ、当面、厚生労働行政において解決しなければならない諸課題の解決のための新たな施策の企画と推進のために応用が可能な研究を採択する。なお、より短期間で成果を得られる研究を優先的に採択する。
 また、生命誕生のプロセス解明と生殖補助医療の安全性の確立、及びあと一歩で原因究明と治療法の確立が期待される子どもの慢性疾患について、基礎/臨床/社会医学分野の大型多施設共同研究を推進するための基盤となる、プロジェクト提案型研究について募集を行う。

 研究費の規模 1課題当たり 10,000〜50,000千円程度(1年当たり)

 研究期間 1〜3年

 新規採択予定課題数 10課題程度
プロジェクト提案型は2課題程度

<公募研究課題>
【一般公募型】
 (1)  健やか親子21を推進するための研究
(ア)  若年者の人工妊娠中絶対策を効果的に推進するための研究(18160101)
(留意点)
 人工妊娠中絶率の変動や地域間格差に関する疫学的要因分析及び地域や海外の効果的な取組み事例の収集・分析等を踏まえた、問題解決型の研究を優先する。
(イ)  発達障害の早期診断のための新しい乳幼児健診の在り方に関する研究(18160201)
(留意点)
 乳幼児健診の現場等で発達障害の早期発見やフォローが課題となっているが、成果が期待される地域や海外の取組み事例の収集・疫学的分析等を通じて、乳幼児健診の活用による今後の対策を検討する。

 (2)  安虐待対策の推進及び家族の支援体制の構築のための研究(18160301)

 (3)  生涯を通じた女性の健康の向上を支援するための研究
(ア)  性差医療の科学的根拠の形成に関する研究(18160401)
(イ)  妊娠/出産/育児期における女性の健康支援に関する研究(18160501)

 (4)  男女の不妊の原因究明と予防・治療・ケア体制の確立に関する研究
(ア)  男女の不妊症の根本原因の究明と克服に関する研究(18160601)
(イ)  晩婚化と出産年齢の高まりへの対応に関する研究(18160701)

 (5)  小児の難病・慢性疾患への新しいアプローチに関する研究(18160801)
(留意点)
 これまでに行われてきた疫学的研究や社会医学的研究の成果を踏まえ、小児の難病・慢性疾患について、ポストゲノムのアプローチ等を用いて、病因・病態の解明、診断法の開発と標準化、治療法の開発を行う。新規課題においては、小児の先天疾患等における遺伝子診断法の標準化と国内実施施設の整備に向けた研究を優先的に採択する。

 (6)  小児医療・産科医療を支える科学的根拠の形成に関する研究
(ア)  乳幼児死亡と妊産婦死亡の分析と提言に関する研究(18160901)
(イ)  小児科/産科医療とこれに従事する医師の確保に関する研究(18161001)


【プロジェクト提案型】
(留意点)
 研究計画段階から行政と研究者の対話を重ねつつ1年間かけて詳細な研究計画を審査・改善し、最終的な研究計画に対する評価結果に基づき、一般公募に比し大規模な研究の本格実施を目的とする(ただし、研究計画評価結果に応じて、一般公募型への移行、研究の中止などを含めた事業規模の決定を行う)。

(1)  リプロダクション・メカニズムの解明と生殖補助医療の向上に関する研究(18161101)
 晩婚化が進むとともに、不妊治療のニーズが高まっており、生殖補助医療技術の安全性確保の重要性が一層高まっている。近年、例えば、初期発生機序の解明には、ポストゲノム情報の有効な活用が図られ、受精については、精子と卵子の膜融合に決定的な役割の分子が同定され、ヒトへの応用が期待できるなど、研究の推進において新たな展開がみられる。そのため、
 (ア)  生殖細胞、受精・着床、初期発生メカニズムの解明のための研究
 (イ)  体外受精等の生殖補助医療技術の標準化を図るための研究
 (ウ)  急速に進展する生殖技術の安全性、倫理・社会的側面についての研究基盤整備を図ること等を目的とした研究を推進する。

(2)  遺伝子治療や分子生物学的アプローチによる子どもの先天性疾患や慢性疾患の原因究明と効果的な治療の確立に関する研究(18161201)
 子どもの先天性疾患や慢性疾患については、近年分子生物学の進歩や遺伝子レベルでの原因究明が進み、酵素欠損や単一遺伝子欠損等に対する治療が可能となってきた。そのため、
 (ア)  子どもの免疫不全症や代謝異常症等のゲノムワイドな網羅的解析とその応用による遺伝子機能異常と病態の関連の解明
 (イ)  子どもの難治性疾患の組織バンク構築等によるトランスレーショナルリサーチの推進基盤の整備等を目的とした研究を推進し、我が国では現在ごく限られた研究機関で行われている子どもの難治性疾患克服のための研究を大規模に拡充することを目的としている。

<研究計画書を作成する際の留意点>
 目標を明確にするため、研究計画書の「8.研究の目的、必要性及び期待される成果」に、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「11.研究計画・方法及び倫理面への配慮」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。


6. 第3次対がん総合戦略研究事業
  <事業概要>
 我が国の死亡原因の第1位であるがんについて研究、予防及び医療を総合的に推進することにより、がんの罹患率と死亡率の激減を目指した「第3次対がん10か年総合戦略」が、平成16年度からスタートしたことを受け、本研究事業においては、がんの臨床的特性の分子基盤等の研究を行うことにより、がんのさらなる本態解明を進め、応用・臨床研究に資源を重点的に配分し、基礎的研究の成果を国民の福祉に繋げることとしている。がんの罹患・死亡は主として50〜60歳代以降に多く発生することから、高齢化社会においてはがん患者の高齢化も進むと予測され、働き盛り層の人々に対応する効果的治療法の開発と共に、高齢患者にも適応可能な、低侵襲治療法の開発に重点を置く。また、がん患者の個別ニーズに対応できるような、地域に根ざした通院治療・在宅医療・緩和医療を充実させ、患者の正しい理解と納得を得られる医療の推進に資する研究を実施する。
 科学的革新を有効に発展させて国民一人一人が実際に安全に利用できる診療技術として実用化するには、その橋渡しとなる研究を段階的に進展させていく必要がある。基礎から臨床への橋渡しの段階にある研究開発については、基礎科学における多くの研究から創出されるシーズをがんに応用していこうとするシーズアプローチと、実際のがん診療等の現場の問題から求められる技術革新に取り組もうとするニーズアプローチがある。
 具体的に、実用可能性のあるシーズをより効率的にヒトへの実用科学へと成長させる積極的取り組みとして創設されたのが「がんTR事業(文部科学省)」であり、この事業においては、実現可能性の高いとされた11の研究課題に研究費を配分し、その進捗を総合的に支援している。厚生労働省では、この11の課題とは別に、第3次対がん総合戦略研究課題を公募しており、文部科学省の支援する研究と有機的な連携をとりつつも役割分担を明確にしている。重複を排除しつつ更なる連携と調整を図るため、文部科学省及び厚生労働省の「第3次対がん研究推進会議」を組織し、第3次対がん10か年総合戦略を最大限効率的、効果的に推進することとしている。

 基本理念 健康安心の推進
 政策目標 がん医療水準の均てん化、がん予防・診断・治療法の開発
 実現目標 がん患者の5年生存率の改善

 (1) 第3次対がん総合戦略研究事業
  <新規課題採択指針>
 平成16年度にスタートした「第3次対がん10か年総合戦略」に基づく本研究事業では、総合科学技術会議において医療経済的に効率的な予防・治療システムの重要性が指摘されたことを受け、がんに関する疫学研究を推進することにより、効果的ながん検診の開発等からなる実践的な予防方策の構築に重点を置いている。
 生活習慣の変化等によって予防しうるがんについては、その改善が何よりも重要であり、生活習慣とがんの関連についてのエビデンス、望ましい生活習慣や、革新的な診断技術等を具体的に提示するための効果的かつ効率的な方法の開発を目指した研究を推進する。
 今年度に関しては、現在進行中の他の研究分野との重複を避けるため、特にがん予防・がん検診に重点を置いた研究分野とともに、患者のニーズや情報源に関する調査やがんの実態把握・動向分析に関する疫学研究分野を優先的に採択する。

 研究の規模: 1課題当たり@50,000千円〜60,000千円程度(1年当たり)

 研究期間 1〜3年

 新規採択予定課題数 10課題程度


<公募研究課題>
 分野1から7のうち、今年度は重点的に下記の分野のみ公募する。

【一般公募型】
 分野3  革新的ながん予防法の開発に関する研究
(1)  生活習慣とがん予防に関する研究(18170101)
(2)  その他、がん予防に資する重要な研究(18170201)
 ※ (1)以外の研究とする。

 分野4  革新的な診断技術の開発に関する研究
(1)  標準的検診法と精度管理や医療経済的効果に関する研究(18170301)
(2)  新しい診断機器の検診への応用に関する研究(18170401)
(3)  がん検診に有用な腫瘍マーカーの開発に関する研究(18170501)
(4)  バイオマーカーやリンパ節検索等、リスク分類による診療の個別適正化に関する研究(18170601)
(5)  その他、がん検診に資する重要な研究(18170701)
 ※ (1)〜(4)以外の研究とする。

 分野7  がんの実態把握とがん情報の発信に関する研究
(1)  がん罹患・死亡動向の実態把握に関する研究(18170801)
(2)  社会学・心理学等との連携による国民のリテラシー向上と患者の納得形成に関する研究(18170901)
(3)  その他、情報工学等の連携による国民・患者のリテラシー向上に関する研究(18171001)
 ※(2)以外の研究とする。

<研究計画書を作成する際の留意点>
 目標を明確にするため、研究計画書の「8.研究の目的、必要性及び期待される成果」に、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「11.研究計画・方法及び倫理面への配慮」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の医療等への応用に至る工程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式任意)。
 なお、研究課題の採択に当たっては、これらの記載事項を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。


 (2) がん臨床研究事業
  <新規課題採択指針>
 本研究事業は、着実に成果を得られる研究を優先的に採択すると共に、平成17年4月にとりまとめられた「がん医療水準均てん化の推進に関する検討会」報告書(https://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/04/s0419-6.html)の趣旨を踏まえ、特に「分野1 主に政策分野に関する研究」においては、高齢社会の将来像を見据えたがん患者の納得や尊厳を支えるがん診療の普及に資するものを優先的に取り扱う。
 マンパワーやコストを有効に活用できる環境作りのためには、円滑にがん登録や検体収集を推進することを視野に入れた、病院間に共通のコンピュータシステムの開発が不可欠である。また、がん患者の高齢化に伴い、侵襲の大きな標準的治療が適切でない患者層が増えると予測され、これらの患者個別の治療目的や適応に対応できる、低侵襲治療法開発の重要性がますます高まっている。高齢患者の有意義な生活を支えつつ診療を続けられる通院治療・在宅緩和医療等を、在宅医の早期参加をはじめとする地域社会の信頼・連携の上に築き、早期退院・社会復帰に繋がる研究を推進する。
 また、延命効果のある効果的治療法の開発や、転移・再発・進行がん等、難治性のがん治療法の開発を引き続き実施すると共に、これらの臨床試験を遂行し国民に有用なデータを示すため不可欠な症例登録を推進するために、地域医療施設との連携に基づく患者紹介の動態に関する調査研究についても更に推進する。

 研究費の規模 1課題当たり10,000〜20,000千円程度(1年当たり)

 研究期間 1〜3年

 新規採択予定課題数 9課題程度

 若手育成型の応募対象
  平成18年4月1日現在で満37歳以下の者(昭和44年4月2日以降に生まれた者に限る。)
   ※ 新規採択時にのみ本条件を適用する。
   ※ 満年齢の算定は誕生日の前日に一歳加算する方法とする。

<公募研究課題>

【一般公募型】
 分野1  主に政策分野に関する研究
(1)  症例登録を踏まえた病院共通のコンピュータシステム開発とコストに関する研究(18180101)
(2)  在宅医の早期参加による在宅緩和医療推進に関する研究(18180201)
(3)  がん臨床研究に不可欠な症例登録を推進するための患者動態に関する研究(18180301)

 分野2  主に診断・治療分野に関する研究
(1)  乳がんに対する薬物療法や手術療法等による効果的治療法の開発に関する研究(18180401)
(2)  多発性転移がんに対する効果的治療法確立に関する研究(18180501)
(3)  再発または進行がんに対する効果的治療法の確立に関する研究(18180601)
(4)  進行性大腸がんに対する低侵襲治療法の確立に関する研究(18180701)
(5)  定位放射線治療による予後改善に関する研究(18180801)

【若手育成型】
 分野1  主に政策分野に関する研究
(1)  通院治療・在宅医療等、地域に根ざした医療システムの展開に関する研究(18180901)

<研究計画書を作成する際の留意点>
 目標を明確にするため、研究計画書の「8.研究の目的、必要性及び期待される成果」に、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「11.研究計画・方法及び倫理面への配慮」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の医療等への応用に至る工程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式任意)。
 なお、研究課題の採択に当たっては、これらの記載事項を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。


7. 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業
  <事業概要>
 平成18年度より、生活習慣病の一次予防から診断・治療までを網羅し、生活習慣病対策について体系的かつ戦略的に進めていく研究事業を行う。特に運動分野に関しては、遅れている若手研究者の育成を図るため、若手育成型の研究を実施する。また、近年心疾患、脳卒中等の生活習慣病の危険因子として注目が集まっているメタボリックシンドロームの有効な対策に資するエビデンス構築に関する研究や、有病者が増加し患者のQOL(生活の質)を低下させるだけでなく、医療経済的にも大きな社会負担を強いている糖尿病にターゲットを絞った研究等を実施する。

 基本理念 健康安心の推進
 政策目標 生活習慣病対策とこころの健康の推進
 実現目標 健康維持、生活習慣病の発症及び死亡の減少等による健康寿命の延伸

 <新規課題採択方針>
 糖尿病、脳卒中、心筋梗塞や、その他の生活習慣病について、より効果的かつ効率的な予防、診断、治療法等を確立するための質の高い研究であって、各公募研究課題例にある留意点を考慮した総合的な研究を優先して採択することとする。

 研究費の規模 初年度1課題当たり1,000〜50,000千円程度(1年当たり)

 研究期間 1〜3年

 新規採択予定課題数 一般公募型は20課題程度、若手育成型は2課題程度

 若手育成型の応募対象
  平成18年4月1日現在で満37歳以下の者(昭和44年4月2日以降に生まれた者に限る。)
   ※ 新規採択時にのみ本条件を適用する。
   ※ 満年齢の算定は誕生日の前日に一歳加算する方法とする。

<公募研究課題>
【一般公募型】
(1)  健康づくり分野(18190101)
  例1 離島・農村地域における生活習慣病対策の環境整備に関する研究
(留意点)
 離島・農村地域住民の生活習慣環境要因に関する調査は、企業に勤務する都市部の住民に比して少ない状況にあると考えられる。都市部の住民と異なる生活習慣を持つ離島・農村地域における生活習慣病対策を行うためにどのような環境整備が必要かについての研究となるよう留意すること。

  例2 健康教育における温泉利用に関する研究
(留意点)
 医療従事者等が行う健康教育においては、栄養指導、食事指導等様々な視点からの教育が必要である。温泉は日本において普及した習慣であり、健康教育において、温泉の効果的な利用方法等について研究を行う。その際、教育を行う者として医療従事者等の関与を求めるなど科学的かつ効果的な研究となるよう留意すること。

  例3 健康・栄養調査等による各種指標のモニタリングに関する基盤的研究
(留意点)
 健康増進計画等の目標設定及び評価に活用される国民健康・栄養調査等における、各種モニタリング指標、その把握方法、精度管理及びデータの活用に関する研究とする。

  例4 特定給食施設等を活用した健康づくりのための食環境整備に関する研究
(留意点)
 特定給食施設の事業所等において、望ましい食事や適切な情報提供等の食環境整備と健康管理等の部門が連携した、働き盛りの層に対する生活習慣病予防のためのポピュレーションアプローチとハイリスクアプローチの取組を検証するとともに、効果的な取組事例を収集、分析し健康づくりのための食環境整備に関する検証を行う研究とする。

  例5 食事バランスガイド等を活用した栄養教育手法の検証に関する研究
(留意点)
 ライフステージや肥満・耐糖能異常を有する者などの対象特性別に、「食事バランスガイド」等を活用した行動科学的な手法による栄養教育プログラムを行い、「食事バランスガイド」の効果的な活用及び普及方策に資する介入研究とする。

  例6 生活習慣病におけるアルコール(飲料)の役割に関する臨床的並びに疫学的な研究
(留意点)
 アルコール(飲料)と肝疾患、膵疾患、循環器疾患、糖尿病等の生活習慣病との関連においてその因果関係を明らかにし、適正飲酒の在り方についても検討する研究とする。

  例7 喫煙と禁煙の経済影響に関する研究
(留意点)
 たばこ価格の値上げによる、成人の喫煙率、未成年者の喫煙率、医療費、たばこ消費量、税収等の変動について、最新のデータに基づき分析・推計する。

  その他 この分野に関する質の高い研究

(2)  健康づくりの基盤整備に関する研究分野(18190201)
  例1 生活衛生施設を活用した健康増進のための効果的な手法に関する研究
(留意点)
 身近なサービスとして定着している生活衛生施設(飲食店、旅館、公衆浴場、興業場その他多数の者の集合する場所)を活用した、健康増進の効果的な推進方策についての研究を実施する。

  その他 この分野に関する質の高い研究

(3)  疾病の早期発見と対策に関する研究分野(18190301)
  例1 健診・保健指導による行動変容に係る成功事例の収集及びガイドラインの作成に関する研究
(留意点)
 今後の生活習慣病対策を推進していく上で、効果的・効率的な保健指導の実施は不可欠である。よってこれまで行われた健診・保健指導により行動変容を達成した成功事例について詳細(例えば年齢、ライフスタイルの特性を考慮したグループ毎など)に事例を収集し、提示する。さらにそれらの事例の解析・検討を行うことにより、一般化できる部分についてはガイドライン(健診・保健指導の具体的方策、評価方法、人材育成などを含む)として作成・公表することを目指した研究を行う。

  その他 この分野に関する質の高い研究

(4)  循環器疾患分野(18190401)
  例1 自動体外式除細動器(AED)を用いた心疾患の救命率向上のための体制の構築に関する研究
(留意点)
 自動体外式除細動器の使用について、機器の配置、訓練、情報伝達の向上等についての科学的知見の集積を行う研究を採択する。単に知見の集積にとどまらず、適切な仮説を構築し、介入研究等の実施により科学的根拠を提示しうる研究を優先して採択する。

  例2 脳卒中地域医療におけるインディケーターの選定と監査システム開発に関する研究
(留意点)
 地域における脳卒中医療については救命救急、急性期診断治療から社会復帰あるいは介護までのつなぎ目のない治療が重要であり、かつ地域内完結が望ましい。地域全体の評価システムを確立するため、本研究では、脳卒中医療に関する適切なインディケーターによる評価システムを確立し、モデル地域における統合型脳卒中医療評価システムの構築を目指すことに留意する研究であること。

  例3 内臓肥満の成立機転と動脈硬化促進に関する総合的研究
(留意点)
 内臓肥満の発生要因、機序、遺伝素因の解明に資するため、基盤研究と臨床研究の両面から総合的に取り組む研究とする。

  例4 循環器疾患治療薬剤のクラス内予後改善効果の差異に関する研究
(留意点)
 循環器疾患の治療薬剤についてはその診療ガイドラインの中において、使用すべき薬剤のクラス分類がなされているが、同一クラス内の薬剤の予後改善効果に関する差異は考慮されていない。同一クラス内薬剤の予後改善効果について比較を行うことにより、医師が薬剤を選択することに資する研究であることとする。

  例5 慢性心不全予防におけるメタボリックシンドロームの意義に関する研究
(留意点)
 近年、メタボリックシンドロームは心血管疾患のリスクであることが明らかにされ注目を集めている。そこでスタチンやアルファGIなどのメタボリックシンドローム治療薬と慢性心不全予防や治療との関係について検証を行う臨床研究であることが求められる。

  例6 メタボリックシンドロームにおける生活習慣病変容のための最適システム確立に関する研究
(留意点)
 糖尿病・メタボリックシンドロームの予防や治療における生活習慣変容を効率的、効果的に進めうるシステムの確立を目指す研究を採択する。採択する研究は、医療経済面や費用対効果についての検討にも留意した内容であることが求められる。

  例7 糖尿病合併症のデータベース構築に関する研究
(留意点)
 増加する糖尿病の合併症の正確な把握は重要であり、各地域レベルで糖尿病合併症のデータベースを構築しデータを収集する。糖尿病合併症データベースは、将来全国的なデータベースに継承されうるものであることが求められる。

  例8 糖尿病による視力障害の実態把握に関する研究
(留意点)
 糖尿病の眼科的合併症である網膜症・白内障やこれによる失明を含む調査を全国的に行うとともに、将来にわたる調査システムの確立につながるものであることが求められる。

  例9 慢性疾患の増悪阻止に関する研究
(留意点)
 生活習慣病又は循環器疾患に関し、発症を左右する因子とは別個に存在すると考えられる増悪を左右する因子についての研究とする。こうした視点に立った研究で質の高い物であれば臓器種類の如何を問わない。

  例10 糖尿病患者の自己管理に関する研究
(留意点)
 糖尿病患者が自己管理を適切に行えず、低血糖等を起こし救急外来を受診する例があることから、糖尿病患者の自己管理について、適切な自己管理の指標の作成等、糖尿病患者の自己管理の向上に資する研究であること。

  例11 いわゆる小児生活習慣病の概念、自然史、頻度に関する研究
(留意点)
 小児の生活習慣病については、成人とは特徴が異なる事が考えられるため、その概念、診断基準、対策等について小児独自のものを作成する。その際に、生物学的な視点のみならず、家族や地域社会との相関関係等も考慮すること。

  その他 この分野に関する質の高い研究

【若手育成型】
(1)  運動・身体活動分野(18190501)
  例1 地域保健活動における身体運動プログラムの開発とその有効性に関する研究
(留意点)
 地域及び職域の保健活動におけるメタボリックシンドローム、糖尿病予防のための運動プログラムを開発し、その有効性について検討を行うもので、厚生労働省において策定予定の「運動所要量」や「運動指針」に基づいた具体的な運動プログラムとなるように留意されたい。

  例2 運動による生活習慣病一次予防効果に関する大規模介入研究
(留意点)
 厚生労働省において策定される「運動所要量」や「運動指針」に基づいた運動指導介入を行った群と、対照群とについて、生活習慣病の発症リスクの蓄積を観察し、身体活動による生活習慣病発症リスクの蓄積を未然に防ぐ方策を明らかにするものとする。

  その他  この分野における質の高い研究

<研究計画書を作成する際の留意点>
 これまでに公募研究課題と同様な課題について研究実績がある場合は、研究計画書に詳細を記載すること。
 目標を明確にするため、研究計画書の「8.研究の目的、必要性及び期待される成果」に、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「11.研究計画・方法及び倫理面への配慮」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の医療等への応用に至る工程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式任意)。
 なお、研究課題の採択に当たっては、これらの記載事項を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。


8. 障害関連研究事業

 (1) 障害保健福祉総合研究事業
  <事業概要>
 障害保健福祉施策については、平成15年4月より支援費制度を中心にその推進を図ってきたところであるが、サービスのニーズと配分が適切に行われているか、今後の必要なサービス量を安定して提供可能か、などの課題があり、障害者自立支援法において、新たな障害保健福祉制度の構築を図ろうとしているところである。
 また、自立支援のための就労対策、住まい対策などの充実・推進、従来のいわゆる三障害の枠にはまらない発達障害や高次脳機能障害への対応、障害者の社会参加支援、福祉用具の評価の在り方等、障害者の総合的な保健福祉施策に関する研究を推進する。

 基本理念 健康安心の推進
 政策目標 障害・難病等のQOLの向上
 実現目標 障害者の自立を支援する手法の開発

<新規課題採択方針>
 障害全般について、治療からリハビリテーションに至る適切なサービス、社会参加の推進、地域における生活を支援する体制等に関する研究を実施する。ただし、障害保健福祉総合研究において現在実施中の課題と重複する課題は原則として採択しない。

 研究費の規模 1課題当たり5,000〜15,000千円程度(1年当たり)

 研究期間 1〜3年

 新規採択予定課題数 10課題程度

<公募研究課題>
【一般公募型】
 (1)  障害保健福祉施策推進のための基盤的政策研究(18200101)
(留意点)
 障害保健福祉の制度改正を視野に入れた、障害者の総合的保健福祉施策を推進するための社会的基盤づくりを推進するため、三障害に共通する課題の横断的な研究を採択する。

 (2)  障害児の障害程度に関する客観的な評価指標の開発に関する研究(18200201)
(留意点)
 障害児の発達や障害の程度に応じた多様な支援・介護の必要性に関する評価指標の開発研究を採択する。

 (3)  障害者支援に係る個別プログラム作成に関する研修及び人材養成に関する研究(18200301)
(留意点)
 障害者に対する生活訓練や就労支援等を効果的に実施するため、個別プログラムの作成に関する研修及び障害者支援に関わる人材の養成の在り方に関する研究を採択する。

 (4)  障害児施設サービスの効果的な在り方に関する研究(18200401)
(留意点)
 障害児に対する施設入所による福祉サービスの効果的在り方及び利用に関する手続き・基準の在り方に関する研究を採択する。

 (5)  障害者の社会参加支援とQOL向上に係る効果的な支援方策に関する研究(18200501)
(留意点)
 障害者の社会参加支援やQOLの向上に関し、福祉機器等の利用やマンパワーの効果的な活用方策に関する研究を採択する。

 (6)  福祉用具の評価の在り方に関する研究(18200601)
(留意点)
 福祉用具の評価に関し、適切な判断基準の開発に関する研究を採択する

 (7)  障害者の健康状態の把握と効果的な支援に関する研究(18200701)
(留意点)
 障害者の健康状態を把握し、健康増進のために必要な効果的な支援方策に関する研究を採択する。

 (8)  精神障害者の自立支援のための住居確保に関する研究(18200801)
(留意点)
 精神障害者の住居確保に関して、一般住宅を利用する方策を検討する研究課題。一般住宅の供給者と一般住居への入居を希望する精神障害者のニーズを検討し、精神障害者の一般住居への入居の増加を図るための具体的方策(例えば当事者の土地や住居を活用して住居・収入の確保を行うような取組など)に関する研究を採択する。

<研究計画書を作成する際の留意点>
 目標を明確にするため、上記(1)から(8)の公募研究課題において、研究計画書の「8.研究の目的、必要性及び期待される成果」に、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「11.研究計画・方法及び倫理面への配慮」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の施策等への応用に至る工程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式任意)。
 なお、研究課題の採択に当たっては、これらの記載事項を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。

 (2) 感覚器障害研究事業
  <事業概要>
 高齢化に伴い視覚、聴覚・平衡覚等の感覚器機能に対する治療や障害を有する者の社会参加が重要性を増している。本研究事業では、感覚器障害について、その原因疾患の病態・発症のメカニズムの解明、発症予防、診断・重症化防止等の研究を行うとともに、神経の再生技術を生かした治療およびリハビリテーション等による生活機能の改善に資する研究を実施する。感覚器障害により廃した機能を補助・代替する機器開発に関する研究では、コミュニケーションツールに対しその成果の広汎な応用を期待するものである。

 基本理念 健康安心の推進
 政策目標 障害・難病等のQOLの向上
 実現目標 障害者の自立を支援する手法の開発

<新規課題採択方針>
 視覚、聴覚・平衡覚等の感覚器障害における研究開発を進めることにより、感覚器障害の軽減や重症化の防止、障害の予後判定、機能の補助・代替等に関する成果を得ることを目的とする。ただし、感覚器障害研究において現在実施中の課題と重複する課題は原則として採択しない。

 研究費の規模 :1課題当たり10,000〜50,000千円程度(1年当たり)

 研究期間 1〜3年

 新規採択予定課題数 5課題程度

<公募研究課題>
【一般公募型】
 (1)  感覚器障害の原因疾患に着目した発症予防及び治療法に関する研究 (18210101)
(留意点)
 増加が指摘されている緑内障や糖尿病眼症や先天性聴覚障害等の予防、治療法の開発等に資する研究を採択する。

 (2)  感覚器障害を有する者のリハビリテーション及び自立支援に係る機器開発等に関する研究(18210201)
(留意点)
 感覚器障害を有する者の自立と社会参加を促進するための効果的なリハビリテーション手法に関する研究および感覚器障害により廃した機能を補助・代替する機器開発に関する研究を採択する。

 (3)  急性感音性難聴、急性前庭障害の治療方法に関する研究(18210301)
(留意点)
 急性感音難聴、急性前庭障害等の疾患に関する急性期の治療法について、多施設共同の研究を行うことにより最適な治療法の確立及び予後判定についての研究を行うこと。

<研究計画書を作成する際の留意点>
 目標を明確にするため、上記(1)から(3)の公募研究課題において、研究計画書の「8.研究の目的、必要性及び期待される成果」に、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「11.研究計画・方法及び倫理面への配慮」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の医療等への応用に至る工程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式任意)。
 なお、研究課題の採択に当たっては、これらの記載事項を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。


9. エイズ・肝炎・新興再興感染症研究事業

 (1) エイズ対策研究事業
  <事業概要>
 国内における新規HIV・AIDS患者報告数は昭和59年のサーベイランス開始以降、依然として増加が続いており、平成16年のHIV感染者報告数は780件、AIDS患者報告数は385件と、併せて初めて1,000件を超え、予断を許さない状況にある。また、アジア・太平洋地域においてもHIVの急速な感染拡大がみられ、我が国への波及阻止が重要な課題となっている。
 平成9年からの多剤併用療法(HAART)の開発により、HIV・AIDSは「不治の特別な病」から「コントロール可能な一般的な慢性感染症」に移りつつあるとはいえ、根治的治療法や予防薬がない疾患であることから常に最新の治療法の開発、治療ガイドラインの作成や、社会的側面や政策的側面にも配慮した医学的・自然科学的研究等、エイズに関する基礎、臨床、社会医学、疫学等の研究を総合的に推進する必要がある。また、平成8年のHIV訴訟の和解を踏まえた恒久対策の一環として、人権に配慮しつつ予防と医療の両面におけるエイズ対策研究の一層の推進を図るものである。
 このような状況の中、平成18年度から「後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針(以下、エイズ予防指針)」の改正を行い、今後5年間のエイズ対策の新たな方向性を示すこことしており、この実現に資する研究を優先的に採択する。(「エイズ予防指針の見直し検討会報告書(https://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/06/s0613-5b.html)」を参照。)
 また、HIV感染者・AIDS患者が増加する中、エイズ研究分野に新たな研究者が参画することを狙って、「若手育成型」研究枠を新たに設ける。

 基本理念 健康安全の確保
 政策目標 新興・再興感染症対策等の充実
 実現目標 エイズ・肝炎・新興再興感染症から国民を守るための研究の推進

<新規課題採択方針>
 HIV/AIDSに関する(1)臨床医学、(2)基礎医学、(3)社会医学、(4)疫学研究。

 研究費の規模 1課題当たり10,000千円〜70,000千円程度(1年当たり)
ただし、「若手育成型」については、10,000千円〜20,000千円程度

 研究期間 1〜3年

 新規採択予定課題数 20課題程度

 若手育成型の応募対象
  平成18年4月1日現在で満37歳以下の者(昭和44年4月2日以降に生まれた者に限る。)
   ※ 新規採択時にのみ本条件を適用する。
   ※ 満年齢の算定は誕生日の前日に一歳加算する方法とする。

<公募研究課題>
【一般公募型】
 (1)  臨床医学研究のうち次に掲げるもの
HIV感染症の医療の均てん化に関する研究(18220101)
(留意点)
 課題採択に当たっては、新設する中核拠点病院を中心とした医療提供体制の再構築に関して、社会医学的視点を踏まえた具体的方策を提言する研究を優先する。また、HIV医療の経済的側面についての調査、エイズ患者の急性期から回復期、慢性期、終末期に至る療養上の課題とその対策等に関する研究を併せて実施すること。

服薬アドヒアランスの向上・維持に関する研究(18220201)
(留意点)
 多剤併用療法を継続して実施している患者の精神的、身体的負担の軽減は薬剤耐性ウィルスの減少、治療効果の促進、ひいては医療費の抑制に繋がる重要な問題であり、それに必要な医療従事者向けマニュアル、介入方法の開発を行うこと。

血友病の治療とその合併症の克服に関する研究(18220301)
(留意点)
 薬害エイズの経緯から日本には血友病を伴うHIV感染者が多いという特徴がある。そこで、血友病の治療とその合併症の克服に関する研究、特に根治に繋がる可能性のある遺伝子治療に関する研究を優先的に採択する。また、患者の視点から血友病を捉えるため、血友病患者のQOLに関する調査を併せて実施することが望ましい。

HIV感染者の垂直感染等の防止に関する研究(18220401)
(留意点)
 現在HIV感染の経路として頻度は低いが、少子化の中、次世代を担う新生児への感染防止に係る研究は不可欠である。母子感染対策マニュアルの改訂・普及に関する研究、HIV感染母胎からの経膣分娩の可能性を検討する研究等についても優先的に採択する。

 (2)  基礎医学研究のうち次に掲げるもの
HIV感染予防に関する研究(18220501)
(留意点)
 HAARTの出現はHIVをコントロール可能な慢性感染症へと変化させつつあるが、服薬継続の困難さ、高額な薬剤費用等を考慮すれば、HIV感染の予防法の確立は依然として重要である。その可能性を秘める当ワクチン等の薬剤に関する研究を優先的に採択する。

HIV感染症に合併する各種疾病に関する研究(18220601)
(留意点)
 HIV感染者の予後を左右するB型・C型肝炎等の合併疾患、カリニ肺炎等の日和見感染症についての治療法を中心とした研究を行う。特に、HIV感染合併B型肝炎治療のレジメの作成、日和見感染症の予知及びそれを元にした予防に関する研究を優先的に採択する。

エイズの発症阻止、治療に関する研究(18220701)
(留意点)
 HIV感染症はHAARTによりコントロール可能な疾患になりつつあるが、依然として、エイズを発症して死亡に至るケースが見られる。このため、エイズの発症を阻止する研究、及びHIV感染症の治療に繋がる基礎的研究を採択する。

 (3)  社会医学研究のうち次に掲げるもの
HIV検査の機会を捉えた効果的なカウンセリング手法等に関する研究(18220801)
(留意点)
 検査陰性者に対して性行動の変容を促す相談を行う手法の開発・普及を行う。また、医療機関における検診目的でのエイズ検査実施に係るマニュアル作成を行うほか、陽性的中率の高い迅速検査、血液によらない検査手法の開発など、患者の利便性に配慮した検査・相談体制の構築に資する研究を行うこと。

薬物使用者、性風俗に係る人への支援・予防対策の開発に関する学際的研究(18220901)
(留意点)
 薬物使用者などの個別施策層に対して、行動変容を起こしうる効果的な情報の提供手法及びコンテンツについての具体的な提言並びにマニュアルの作成を行う。特に、薬物使用者の研究については、合成麻薬や違法ドラック(これまで脱法ドラッグと呼ばれていたもの。)の使用にも留意すること。性風俗産業従事者及び利用者の研究については地方公共団体や関連マスコミを含めた班構成とし、出張型性産業にも留意した社会的影響を持ちうる構成とすること。

HIV陽性者のリプロダクティブ・ヘルスに関する研究(18221001)
(留意点)
 女性HIV陽性者が抱える固有の課題について明らかにし、その具体的な解決策を構築する研究を行う。

若年者等におけるHIV感染症の性感染予防に関する学際的研究(18221101)
(留意点)
 社会科学的手法と疫学的手法を総合し、若年層、職域、地域、HIV感染者などの属性に対応した性感染症予防法を開発・評価し、かつ全国的に普及する方策を研究する。若者については、文部科学省や教育現場との連携可能性に留意し、PTAや民生委員、医師組織など、従来のNGOの枠にとどまらない非営利活動者へも研究協力の幅を広げること。また、学校の保健室や保健所などにおけるハイリスクアプローチの具体的手法についても開発すること。

 (4)  疫学研究のうち次に掲げるもの
アジア・太平洋地域におけるHIV・エイズの流行・対策状況と日本への波及に関する研究(18221201)
(留意点)
 わが国の流行を理解するために、アジア等近隣諸国及びわが国のHIV流行形成過程のメカニズムの解明、ワクチン開発の基盤整備及び薬剤耐性株の発生状況を調べるために、内外で分子疫学的研究やウイルス学的研究を行う。特に、近年のアジアにおける流行(台湾、中国他)の要因を分析するとともに、日本への影響・知見を明らかにすること。

HIV感染の動向と政策のモニタリングに関する研究(18221301)
(留意点)
 わが国のHIV/AIDSに関連する動向について総合的な情報整理と相互関連を分析し、それらに基づく国際水準の数理的推計・将来予測や予防対策効果のシミュレーション、医療経済的影響の分析を行い、かつ全国・地方レベルの政策とその効果(検査・相談・知識等)を科学的に調査・評価し、内外の流行動向にふさわしい施策の展開のあり方について総合的に研究すること。

【若手育成型】
 エイズ研究の分野に新たに参画する研究者を促進し、増加しているHIV・エイズの各種研究の推進を図ることを目的としている。社会医学、疫学研究については研究課題は設定しないが、「エイズ予防指針見直し検討会報告書(https://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/06/s0613-5b.html)」を踏まえた上で、特に行動変容科学等を用い成果を定量的に評価する研究でかつユニークな研究を優先的に採択する。基礎、臨床研究分野については、HAARTの長期的副作用のメカニズムに関する研究、免疫再構築症候群の予防と治療に関する研究、悪性リンパ腫の治療に関する研究、HIV感染症に合併する日和見感染症の予知と予防に関する研究、宿主因子同定及び構造・生物情報を元にした薬剤開発の基礎となる研究について優先的に採択する。(18221401)

<留意点>
 なお、研究計画書の提出に当たり、以下の点も留意すること。
  (1)  「8.研究の目的、必要性及び期待される成果」につき、より具体的に把握するため、申請研究終了時に期待される成果と、研究分野の長期的な成果(目標)とを別々に示すこと。
  (2)  「12.申請者の研究歴等」につきより詳細に把握するため、以下のア及びイの項目に該当する論文(全文)の写し3編を添付した研究計画書を1組として20部提出すること。外国語文のものについては、日本語の要旨も添付すること。
 ア  申請する課題に係る分野に特に関連するもの。
 イ  申請者が第一著者、もしくは主となる役割を担ったもの。後者の場合はその簡潔な理由を添付すること。
  ※  若手育成型については、アは必ずしも満たす必要性はない。


 (2) 肝炎等克服緊急対策研究事業
  <事業概要>
 肝炎ウイルスの病態及び感染機構の解明並びに肝炎、肝硬変、肝がん等の予防及び治療法の開発等を目的とする。

 基本理念 健康安全の確保
 政策目標 新興・再興感染症対策の充実
 実現目標 エイズ・肝炎・新興再興感染症から国民を守るための研究の推進

<新規課題採択方針>
 肝炎ウイルス等について、その病態や感染機構の解明を進めるとともに、肝炎、肝硬変、肝がん等の予防、診断及び治療法等に資する研究

 研究費の規模  1課題当たり10,000〜100,000千円程度(全3課題1年当たり)

 研究期間 3年

 新規採択予定課題数 3課題程度

<公募研究課題>
【一般公募型】
 (1)  E型肝炎の感染経路の解明に関する研究(18230101)
(留意点)
 課題採択に当たっては、E型肝炎の感染の実態、感染経路の解明に向けた疫学的研究を優先する。

 (2)  C型肝炎の状況・長期予後の疫学像の解明に関する研究(18230201)
(留意点)
 課題採択に当たっては、C型肝炎ウイルスの感染による長期の経過、予後解明、透析施設、歯科診療、母子感染 の経過に関する疫学的研究を優先する。

 (3)  肝炎ウイルス感染の肝外病変の基礎的及び臨床的包括研究(18230301)
(留意点)
 課題採択に当たっては、肝炎ウイルスが肝外の臓器組織に及ばす影響等について、基礎医学、臨床医学との総合的研究を優先する。

<研究計画書を作成する際の留意点>
 目標を明確にするため、研究計画書の「8.研究の目的、必要性及び期待される成果」に、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「11.研究計画・方法及び倫理面への配慮」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の医療等への応用に至る工程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること。(様式任意)。
 なお、研究課題の採択に当たっては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。


 (3) 新興・再興感染症研究事業
  <事業概要>
 近年、新たにその存在が発見された感染症や既に制圧したかにみえながら再び猛威をふるいつつある感染症が世界的に注目されている。これらの感染症は、その病原体感染源、感染経路、感染力、発症機序、診断、治療法等について解明すべき点が多い。
 また、日米包括経済協議の一環として、地球的展望に立った協力のための共通課題(コモン・アジェンダ)において、1996年4月に新たに追加された協力分野として「新興・再興感染症」についての研究協力が求められている。
 このため、本事業は、世界保健機関、米国疾病管理センター等との研究ネットワークを構築・強化していくことにより国内外の新興・再興感染症研究を推進し、研究の向上に資するとともに、新興・再興感染症から国民の健康を守るために必要な施策を行うための研究成果を得ることを目的とする。
 なお、本研究事業は、総合的かつ効果的な推進のために文部科学省、農林水産省、環境省との共同・連携を図っていくこととしている。

 基本理念 健康安全の確保
 政策目標 新興・再興感染症対策の充実
 実現目標 エイズ、肝炎、新興再興感染症から国民を守るための研究の推進

<新規課題採択方針>
 ウイルス、細菌、寄生虫・原虫による感染症等に関する研究で新型インフルエンザ、ウエストナイル熱、アジアで流行している感染症等の国内でのまん延防止のための研究でそれらの解明、予防法、診断法、治療法、情報の収集と分析、行政対応等に関する研究を行う。

 研究費の規模  1課題あたり10,000〜100,000千円程度(全11課題1年当たり)

 研究期間 1〜3年

 新規採択予定課題数 11課題程度

<公募研究課題>
【一般公募型】
 (1)  性感染症に関する特定感染症予防指針の推進に関する研究(18240101)
(留意点)
 課題採択に当たっては、(1)迅速かつ正確に結果が判明する検査等の開発等、検査や治療等に関する研究開発、(2)性感染症の無症状病原体保有者の推移、地域を限定した性感染症の全数調査、エイズの発生動向との比較、発生動向の分析を行うための追加調査、指定届出機関の選定の在り方等、性感染症の発生動向等に関する疫学研究、(3)若年者の性感染症を早期に発見し、治療に結び付けるための試行的研究、性感染症予防策のまん延防止効果に関する研究等の社会面と医学面における性の行動様式等に関する研究を優先する。

 (2)  病原微生物の使用、管理及び廃棄の適正化に関する研究(18240201)
(留意点)
 課題採択に当たっては、生物テロに使用されるおそれのある病原微生物の検出法の開発・普及等のバイオセキュリティに関する研究や、その保管方法、輸送法、安全性の強化のためのバイオセーフティに関する研究を優先する

 (3)  小児が罹患しやすい感染症の重症化防止及び予防接種に関する研究(18240301)
(留意点)
 課題採択に当たっては、(1)インフルエンザ脳症の発症因子の解明に向けた研究、(2)インフルエンザ脳症の予防方法の確立に向けた研究等を優先する。

 (4)  動物由来感染症のコントロール法の確立に関する研究(18240401)
(留意点)
 課題採択に当たっては、(1)輸入動物感染症対策に関する研究、(2)輸入蠕虫疾患の監視と医療対応整備に関する研究、(3)輸入動物に由来する新興感染症侵入防止策に関する研究、(4)愛玩動物の衛生管理の徹底に関する研究を優先する。

 (5)  節足動物媒介感染症の効果的な防除等の対策研究(18240501)
(留意点)
 課題採択に当たっては、節足動物媒介感染症及びそれを媒介する節足動物の形態、動態等に対応した防除法の対策に関する研究を優先する。

 (6)  ハンセン症の予防・診断・治療に関する研究(18240601)
(留意点)
 課題採択に当たっては、(1)ハンセン病の診断・治療に関する一般医、医学生等に対する普及啓発及び難治性感染症に対する治療法の研究(2)免疫不全状態での再興感染症の予防・治療に関する研究を優先する。

 (7)  薬剤耐性菌及び結核菌に関する研究(18240701)
(留意点)
 課題採択に当たっては、(1)小児結核、多剤耐性結核の診断・治療体制の構築に関する研究(2)薬剤耐性菌の耐性機序解明と新規検出方法の開発に関する研究、(3)薬剤耐性菌発生の監視体制のあり方に関する研究、(4)薬剤耐性菌の発生状況等に関する疫学的研究を優先する。

 (8)  臓器移植や悪性腫瘍による免疫低下状態で発生するウイルス感染症の予防と治療に関する研究(18240801)
(留意点)
 課題採択に当たっては、ウイルス感染症の発生機序の解明と、効果的な予防策に関する研究を優先する。

 (9)  リケッチア感染症の国内実態調査及び早期診断体制の確立による早期警鐘システムの構築(18240901)
(留意点)
 課題採択に当たっては、日本紅斑熱やつつがむし病などのリケッチア感染症に関する疫学的研究とサーベイランスシステムの構築に向けた研究を優先する。

 (10)  効果的な感染症サーベイランスの評価並びに改良に関する研究(18241001)
(留意点)
 課題採択に当たっては、現行 のサーベイランスシステムの評価や症候群サーベイランスの今後の実施に向けた課題の解決のための研究を優先する。

 (11)  広域における食品由来感染症を迅速に探知するために必要な情報に関する研究(18241101)
(留意点)
 課題採択に当たっては、ウイルス性または細菌性の感染症の迅速診断及びそれらに対する対策に関する研究を優先する。

<研究計画書を作成する際の留意点>
 目標を明確にするため、研究計画書の「8.研究の目的、必要性及び期待される成果」に当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「11.研究計画・方法及び倫理面への配慮」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の医療等への応用に至る行程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式任意)。
 なお、研究課題の採択に当たっては、これらの記載事項を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。


10. 免疫アレルギー疾患予防・治療研究事業
  <事業概要>
 リウマチ、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、及び花粉症などの免疫アレルギー疾患は、長期にわたり生活の質を低下させるため、国民の健康上重大な問題となっている。このためこれらの疾患について、発症原因と病態との関係を明らかにし、予防、診断及び治療法に関する新規技術を開発するとともに、既存の治療法の再評価を行うことにより、国民に対してより良質かつ適切な医療の提供を目指す。また、プロジェクト提案型及び若手育成型による研究を募集する。

 基本理念 健康安心の推進
 政策目標 免疫・アレルギー疾患の克服
 実現目標 平成22年度までに免疫アレルギー疾患を適切に管理する方法の開発・普及

<新規課題採択方針>
 免疫アレルギー疾患に影響を与える要因及び治療法、診断法に関する研究等を優先する。

 研究費の規模 1課題当たり10,000千円〜50,000千円 程度(1年当たり)

 研究期間 3年

 新規採択予定課題数 7課題程度  (うち、プロジェクト提案型1課題、若手育成型3課題)

 若手育成型の応募対象
  平成18年4月1日現在で満37歳以下の者(昭和44年4月2日以降に生まれた者に限る。)
   ※ 新規採択時にのみ本条件を適用する。
   ※ 満年齢の算定は誕生日の前日に一歳加算する方法とする。

<公募研究課題>
【一般公募型】
 厚生科学審議会疾病対策部会リウマチ・アレルギー対策委員会の報告書をふまえ、免疫アレルギー疾患の病因・病態、予防、治療に関する研究を行う。
 (1)  免疫アレルギー疾患の病因・病態に関する研究(18250101)
(留意点)
 自然免疫と獲得免疫の機序の解明、遺伝的要因と環境要因の寄与の解明、小児と成人との発症機構の病態異同の解明、免疫アレルギー性疾患の中心となる細胞の同定、免疫抑制、組織破壊、及び組織リモデリングの解明などを行うものとする。

 (2)  免疫アレルギー疾患の予防に関する研究(18250201)
(留意点)
 早期診断による重症化予防、胎内環境の影響、安全で正確な抗原特定手法の開発、自宅で実施可能な環境中抗原調整手法の開発、及び食物アレルギーの予防薬の開発などを行うものとする。

 (3)  免疫アレルギー疾患の治療法の開発に関する研究(18250301)
(留意点)
 自宅で実施可能な減感作療法の開発と推進、外科的治療法の開発、免疫療法の開発、生物学的製剤の開発、及びテイラーメード医療の応用などを行うものとする。

【プロジェクト提案型】
 治療効果を含めた免疫アレルギー疾患患者の動向を適切に把握することは、治療研究を効果的かつ効率的に進める上で重要であり、科学的根拠に基づいた縦断調査を研究者との対話を重ねつつ(1)の研究を1課題実施する。
 (1)  免疫アレルギー疾患診療の有効性、及び有害事象の評価に関する研究(18250401)
 (留意点)
 免疫アレルギー疾患の重症度の判定のための指標作り、早期治療と予後改善の関係の解明などを視野に入れた研究を行うこととする。

【若手育成型】
 日本における免疫アレルギー疾患分野の基礎研究は世界水準に近いにも関わらず、治療につながる研究はさらなる前進の余地があるとの意見がある。研究水準の向上、従来の手法にとらわれない新たな手法の開発のために、(1)から(3)の課題につき若手研究者を積極的に採択してゆく枠を3課題程度設ける。(18250501)

<留意点>
 なお、研究計画書の提出に当たり、以下の点も留意すること。
  (1)  「8.研究の目的、必要性及び期待される成果」につき、より具体的に把握するため、申請研究終了時に期待される成果と、研究分野の長期的な成果(目標)とを別々に示すこと。さらに、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。
  (2)  「11.研究計画・方法及び倫理面への配慮」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の医療等への応用に至る工程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式任意)。
  (3)  「12.申請者の研究歴等」につき、より詳細に把握するため、以下のア及びイの項目に該当する論文(全文)の写し3編を添付した研究計画書を1組として20部提出すること。欧文のものについては日本語要旨も添付すること。
 ア  申請する課題に係る分野に特に関連するもの。
 イ  申請者が第一著者、もしくは主となる役割を担ったもの。後者の場合はその簡潔な理由を添付すること。
  (4)  申請者は、主任研究者及び分担研究者の研究内容が、他の研究課題と重ならないよう研究計画書を作成すること。
  (5)  なお、研究課題の採択に当たっては、これらの記載事項を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。

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