
重症急性呼吸器症候群(SARS)関連情報
(別添)
(2003年5月15日改訂)
この消毒例はSARSの「疑い例」あるいは「可能性例」が確認された場合に、家庭や職場での消毒について記載したもので、新たな知見の集積などにより変更されることがあります。
また、入手の容易さを考慮して家庭用の漂白剤を使った例を記載しています。消毒用エタノール(薬局などで入手可能)など、エンベロープのあるウイルスに効果のあるとされている消毒薬が入手可能な場合はこれらを使うことも推奨されます。有効性が認められると考えられている消毒薬については、「SARSコロナウイルスに対する消毒剤の適用(例)」を参照して下さい。また、消毒薬の種類によっては、有機物を取り除いておかないと効果が薄れるもの、引火性、粘膜刺激性、あるいは発ガン性があるものもあるので必ず注意書きをよく読み、それらを守って使用する必要があります。最近のSARSコロナウイルスの環境中での生存に関する知見や、感染経路が完全には解明されていないことなどを考慮し、「疑い例」「可能性例」の患者に関連した家庭や職場での消毒を行う際には、これらの患者の医療機関での対応に準じることが望ましいと考えられます。N95マスク(最低限)、手袋(両手)、ゴーグル、使い捨てガウン、エプロン、汚染除去可能な履物で個人的な防御を行った上で行うことが望まれます。
また、電化製品などを消毒する場合には細心の注意を払い、機器に水分などが入り込まないようにします。また、下痢便などではこのウイルスが4日間程度生存することも指摘されており、トイレの消毒の際は、飛沫などが飛び散らないように注意が必要と考えられます。ここで使用している家庭用漂白剤は次亜塩素酸ナトリウムが成分である塩素系の漂白剤(5%濃度)のことです。(例:ハイター、キッチンキレイキレイ)
1:家庭や職場
●居間・食事部屋
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【対象】
ドアノブ・窓の取手・照明のスイッチ・ソファー・テーブル・椅子・電話 機・コンピュータのキーボードとマウス・小児の玩具・床・壁など
【方法】
・ 100倍に希釈された家庭の漂白剤(家庭漂白剤1に対して水道水99)で完全に拭く(最終濃度0.05%) ・ 特に手などが触れる部分は、50倍に希釈した漂白剤(家庭漂白剤1に対して水道水49)を使用する。(最終濃度0.1%)その後、「から拭き」をする。
●台所とトイレ
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【対象】
水道の蛇口・シャワーヘッド・浴槽・洗面器・ドアノブ・窓の取っ手・照明スイッチ・排水溝・水洗便器と流水レバー・便座とフタ・汚物入れ・壁・床など
【方法】
・ 便器
100倍に希釈された家庭の漂白剤(家庭漂白剤1に対して水道水99)(最終濃度0.05%)とトイレブラシを使ってきれいにする。その後、水を流す。・ 浴槽や洗面台
100倍に希釈された家庭の漂白剤(家庭漂白剤1に対して水道水99)(最終濃度0.05%)通常のブラシを使ってきれいにする。その後、水でよくすすぐ。・ 排水溝
100倍に希釈された家庭の漂白剤(家庭漂白剤1に対して水道水99)(最終濃度0.05%)を注ぐ。5分間経過したら、水を流して排水する。
●その他(食器・衣類・寝具)
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【方法】
「疑い例」あるいは「可能性例」の患者が着ていた衣類や寝具については、 衣類・布団や枕のカバーは熱湯消毒(80℃、10分以上)してから洗濯機にか ける、熱水洗濯を行う。
または、10-100倍に薄めた家庭の漂白剤(最終濃度0.5-0.05%)で清拭ま たは30分間浸漬。
2:職場や集合住宅の共用部分
現在のところ建物全体や近所の家などに対して特別な消毒は必要ないと考えられます。しかし、以下の共用部分については、清掃・消毒を行うことが推奨されます。
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【対象】
・ エレベーター(昇降機)あるいはエスカレータ
特にエレベーターの呼出しボタン、停止階ボタン、エスカレータの手摺り部分・ 建物への出入り口
建築の入口にあるドアノブやハンドル、セキュリティ対応のオートロックボタンなど不特定の人が触れる部分。・ 共用のトイレ、給水場所など
【方法】
・ 100倍に希釈された家庭の漂白剤(家庭漂白剤1に対して水道水99)(最終濃度0.05%)で完全に拭く ・ 特に手などが触れる部分は、50倍に希釈した漂白剤(家庭漂白剤1に対して水道水49)(最終濃度0.1%)を使用する。その後、「から拭き」をする。 ・ トイレについては家庭や職場の例を参照。