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96/07/26  第60回人口問題審議会総会議事録NO3
(引き続き金子専門委員)
    20ページは、日本の人口規模について。
    ここでは平成6年の1億3千万人が多すぎるか少なすぎるかを5段階評価で尋
   ねております。結果が表VIII−1と図VIII−1ですが、「ちょうどよい」が38
      .3%で最も多く、次が「やや多過ぎる」が37.2%となっています。前回調
      査では「やや多過ぎる」が「ちょうどよい」を上回っていたのですが、今回は「
      ちょうどよい」が増加したために両者が逆転しています。ただ、「非常に多過ぎ
      る」と「やや多過ぎる」を加えた「多過ぎる」という回答が45.8%と、全体
      の半数弱を占めており、依然として人口過剰感を抱く人が多いようです。
    次に、人口減少についてですが、ここでは日本人口が2011年にピークに達
   したあとで減少すると予想されることに対して、望ましいか望ましくないかを5
   段階評価で尋ねています。結果は表VIII−3と図VIII−2ですが、前回同様「ど
      ちらともいえない」が過半数で最も多くなっていますが、「望ましくない」と「
      非常に望ましくない」を加えた人口減少への否定的見解が、「望ましい」と「非
      常に望ましい」を加えた肯定的見解を上回っております。現在の日本の人口規模
      については、50%弱が「多過ぎる」と回答しているにもかかわらず、将来の人
      口減少については「望ましくない」とする人のほうが多いというのは、一見矛盾
      するようですが、生活実感としては過剰人口感が強いけれども、民族意識として
      は人口減少に対して不安感をもっているためだと思われます。
    次に、人口減少対策ですが、ここでは今後予想される日本人口の減少を「望ま
   しくない」あるいは「非常に望ましくない」と否定的にみた人に対して、人口を
   減らさないための対策の必要性とその対策の種類を尋ねています。
    結果が表VIII−5と図VIII−3ですが「出産奨励のための対策をとるべきであ
      る」というのが圧倒的に多く78.8%になっています。そして「外国人の入国
      を容易にする」あるいは「外国人の受入れと出産奨励の両方の対策をとる」があ
      わせた意見が11.4%と少なくなっています。前回結果と比較しますと「出産
      奨励のための対策をとるべきである」を挙げた人の割合が大きく増加しており「
      外国人の受け入れにかかわる対策をとるべき」という意見の人の割合は低下して
      おります。理由としては、先ほど人口高齢化のところでも挙げましたように、好
      景気であった前回調査の時点では外国人労働力の必要性の認識が高かったけれど
      も、不景気になって外国人の受け入れに対してやや消極的になったという側面と
      、出生率低下がさらに広く知れ渡るようになって、人々のあいだに出産奨励の対
      策がより現実的に感じられるようになったという2つの側面が考えられるかと思
      います。
    24ページは、人口の一極集中について。
    ここでは「首都圏(この場合、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県に限定)へ
   の人口の一極集中傾向に対して、国や自治体は何らかの対策をとるべきか」につ
   いて尋ねています。結果は表IX−1ですが、「一極集中を緩和するために何か対
   策をとるべき」という一極集中是正派の人は58.4%と過半数を占めています
   。そして「一極集中は仕方のないことなのでむしろ首都圏における居住環境改善
   のための施策を推進すべき」という現状追認派が25.9%になっています。ま
   た「いかなる対策もとる必要はない」という人は僅かに3.0%と少なく、人々
   の大半がなんらかの対策を求めているということになります。
    次に、一極集中への緩和対策ですが「一極集中を緩和するために何か対策をと
   るべき」という一極集中是正派に具体的にどのような対策が望ましいかを尋ねて
   います。結果が表IX−3で、「行政機構や教育機関等の地方移転・分散化」が4
   4.3%と最も多く、続いて「就業機会の地方分散化」、「首都圏と他の地方を
   結ぶ交通・通信網の充実」という順で、対策として「首都を東京から他の都市に
   移転(遷都)」を挙げる人は6.9%と少ないことがわかります。
    最後に27ページ、世界の人口について。
    ここでは「世界人口の57億人のうち20%が先進地域に、80%が発展途上
   地域に居住している。30年後には世界人口は83億人に達するが、その間の人
   口増加の90%以上が発展途上地域で発生する」という世界人口の現状に対して
   、先進国と発展途上国がどのように対処すべきかを4つの選択肢から選択する方
   法で尋ねています。
    結果は表X−1と図]−1ですが「少なくとも発展途上国に関しては抑制の努
   力をすべき」という意見が全体の71.0%になっています。
    2番目として、発展途上国の人口問題解決に対する日本の協力ということでは
   、「少なくとも発展途上国に関しては抑制の努力をすべき」と回答した人に対し
   て、日本はどの程度協力すべきかを尋ねています。結果が表X−3と図]−2で
   すが、「ある程度協力すべき」が50.6%で最も多く、次いで「積極的に協力
   すべき」が32.5%で、前回調査と比較しますと、協力すべきという考えの人
   が増加しているようです。
    以上簡単ですが、要点だけをご説明させていただきました。
宮澤会長 どうもありがとうございました。なかなか多面にわたる意識調査ですが、ご
   意見、ご質問ございましたら、お願いいたします。
    1ページの1に、この意識調査の目的みたいなことが書いてあって、1つは国
   民の人口問題に対する意識を明らかにする。もう1つは、わが国の人口再生産に
   関する統計を得るために行ったと。1番目のほうはよくわかるんですが、2番目
   の、人口再生産に関する基本的な統計を得るためということに照らして、このデ
   ータをどういう形で組織化して、そういう問題に役立てようとしているのか、あ
   るいは出生率その他の予測可能性に結びつくようなことをお考えになっているの
   か、そのへんのこの意識調査の利用の点。それから、この意識調査と前の実態調
   査を比較して、両者の間はなんとなくコンシステント、整合的なのか、または違
   った面白い結果が出たのか、そのへんの印象もあわせてお聞かせいただけると有
   難いと思います。
金子専門委員 最初の、人口再生産ということで、出生力に関するところがこれに当た
   り、出生児数、あるいは予定子ども数というのがその指標ということです。
    2点目の、実態と照らしあわせて意外な点ということですが、ほぼ常識的な結
   果となっております。人口問題、人口の規模、あるいは出生率低下についても常
   識的でございますし、晩婚化の理由についても、実態としても、収入と未婚率と
   の相関がありますが、それと符合するような結果が出てきています。
井上委員 一つは、1回、2回と調査をされて、その間の変化が読みとれるわけですが
   、これは標本調査で、標本数が2万以上とかなり大きいんですが、変化が統計的
   にみて有意な変化の場合と、変わってはいるけれどもこれは標本誤差の範囲内だ
   というようなことがあるかと思うんですが、いますぐということではありません
   が、2つの調査を比較した場合の変化が意味があるものかどうかということがわ
   かりますとたいへん助かると思うんですが。
金子専門委員 一応検定はしてございまして、その結果でございます。一つ例を申し上
   げますと、2ページの結婚の意志ですが、先ほどこの結果で男子の20歳代と3
   0歳代前半は結婚の意志なしが増えた、そのほかの年齢では増えたとはいえない
   ということを申し上げましたが、これは検定の結果で、その年齢だけの変化が有
   意であったということで、ほかの年齢でも増加しているところがあるんですが、
   これは検定結果で有意とは出なかったということです。ほかのところも一応検定
   はしております。
井上委員 2つ目ですが、国民の大多数が高齢化を心配していて、そのためになんらか
   の対策をとるべきだと思っていると。その対策は何かというと、子育ての経済的
   負担の軽減と、結婚しやすい環境づくり。この二つが大きいように読みとれるん
   ですが、言葉としてはそのとおりなんですが、具体的に、これをどういうふうに
   解釈をしたらよろしいんでしょうか。
金子専門委員 難しいところですね。
井上委員 例えば、15ページの出生率低下対策の内容ということで、子育ての経済的
   負担の軽減という場合、これがすぐ児童手当に結びついていくのか、あるいは教
   育費の軽減にいくのか。結婚しやすい環境づくりというのは一体どういうことな
   のか。そのへんが具体的に見えてこないわけなんですが。
金子専門委員 いまおっしゃったのも一つの理由だと思うんですが、特に今回調査では
   、抽象的な言葉で質問をして、あまり具体的なことは、質問項目が多くなってし
   まうということで外してしまったのですが、たぶんこの中にはいまおっしゃった
   ものが含まれているということは考えて回答者は答えているんだと思いますが。
熊崎委員 いまの質問に関係するんですが、この意識調査の設問事項が、出生率低下の
   ところだったと思いますが「日本民族の活力が衰える」という設問項目があるん
   ですが、それは何を意図しているのか、ちょっと私はわからないので、それを教
   えていただきたいということがまず1点です。
    もう1点は、今回この審議会で説明されました資料と意識調査をこれからどこ
   に向けてどのように知らそうとされているのか。できれば具体的に教えていただ
   きたいと思います。
金子専門委員 まず1点目の日本民族の活力ということですが、日本人、日本民族論と
   いうのは、結果として高齢者に多いということもありますように、そういう意識
   をもっている人は多いのではないかと思います。
    そして、どう生かすかということですが、当然のことながら、あとで推計の話
   がありますが、推計のところでは生かせるものは生かせるのではないかと考えて
   おります。あと、厚生行政のほうでも生かせることもあるのではないかと思って
   おりますが、具体的にどうということは私のほうからちょっと申し上げられませ
   ん。
熊崎委員 それで、これは私の考え方になるかもしれませんが、日本民族の活力が衰え
   るというような設問のイメージからいきますと、私はいま説明があったような、
   いわゆる日本人としてそういうものを残していきたいというようなことになれば
   、もちろん出生のことですから、出生率を高めるという施策、ここにもあります
   、先ほども質問がありましたように、どういうふうにしていったらば出生率が高
   まるか。その要因の中に、私は高める施策がお金だとか、施設といったものも入
   るかもしれませんが、私は経験したんですが、いわゆる民法の問題ですね、民法
   の婚姻にかかわる改正は廃案というか、今回は継続審議になりましたが、あの民
   法改正の時に、その中身が、民族を滅ぼす、というような表現を使って廃案にな
   ったのを私は記憶しているんですが、というようなことを考えると、これからど
   のように考えるか、いろんな施策をつくっていくために、私は施設、設備、手当
   だけの問題ではない、もっと広いものが必要ではないかなと感じましたので、質
   問をいたしました。
金子専門委員 そのとおりかもしれませんね。
福田委員 いまのご質問との関連ですが、この調査対象は日本国籍を有する者で、他の
   統計も全部そうですね。
金子専門委員 この意識調査はそうです。
福田委員 意識調査はそうですか。統計のほうは如何でしょう。
金子専門委員 国勢調査は外国人も含まれています。
福田委員 全部入っている。そうすると、人口の中には外国籍の在留人口も入っている
   わけですね。
金子専門委員 この調査には入っておりません。
福田委員 これは世論調査ですけども、いままで3つの資料について伺った。それは、
   国籍を問わないで日本に居住しているということで。
中田課長 国勢調査はそうですが、人口動態統計については日本人ということです。
福田委員 国籍を持っている者、そういうことですか。その点がどうなるのか。それが
   施策の中で、例えば、育児休業とか、まして保育所というようなことになると国
   籍をもたない者は保育所に入れないというようなことに直結することがあるのか
   ないのか。これはたいへん大事な問題があると思うんです。いま民法改正の話が
   出ましたが、片一方で、少なくとも地方自治体について、外国人の参政権が現実
   に問題になっているという状況の中で、タックスペイヤーとしてはまったく同じ
   じゃないかという論拠があるだけに、その点は、施策についていえば国籍は問わ
   ない。しかし、施策の基礎になっている統計についていえば、国籍をもっている
   者だけでやっているというのが現状と了解してよろしゅうございますか。
金子専門委員 いまおっしゃったように、外国人に対しては、特に外国人に対してまた
   意識調査みたいなものをやって意見を聴取することも必要だと思います。
福田委員 私は外国との比較ということを商売柄すぐにするくせがあるんですが、その
   中には経験的なもの、つまりむこうの学者仲間でよく知っている家庭を考えるこ
   ともあれば、統計的なものもございますが、統計的なものから申しますと、かつ
   ては女が容貌の衰えを警戒して子どもを産まないといわれたフランスのほうがお
   そらく今は出生率は高くなっている。しかもカトリック国ですから家庭を崩壊さ
   せるということに非常に厳しかったという事情がありますが。ただ、外国の場合
   には「フランス家庭事情」などという本はずいぶん読まれたと思いますが、我々
   の知ってる仲間でも離婚して再婚するなんていうことがほんとに普通になっちゃ
   って、連れ子と前からいる子どもとで家庭を形成している。そういうのが普通に
   なっちゃえば、必ずしも結婚しないとかなんとかいうことではなくて、多くの場
   合事実婚もあるわけですが、人口の減少には直結していない。この点は一昨年も
   伺ったんですが、イリジティメイトチャイルドの数は比較にならないほど日本は
   少ない。そして、モラルの問題といいますか、道徳観の問題があり、それは例え
   ば民法の相続法の上で庶子と嫡出子の相続分の差別をなくすということですむよ
   うな問題ではないですね。
    しかし、国際化ということで片方でやりながら、また、こういう家庭を非常に
   大事にするという傾向がなくなることがいいか悪いかという問題と、逆に家庭が
   有名無実化していくのを促進するかどうかという問題と2つあるわけですが、短
   期的な尺度でみる限り、ほとんど従来の家庭の考え方、あるいはモラルについて
   も変化はないと、数字的にご覧になって、そういう変化が生まれることはまった
   くないというふうに了解してよろしゅうございますね。
金子専門委員 一つ説明を省略させていただきましたが、11ページの晩婚化の将来見
   通しの図ですが、4つの選択の中の1つで「同棲や事実婚の増大によって法律婚
   における晩婚化が問題とされなくなる」というのは、全体では12.7%ですが
   、注目すべき点は、女子において事実婚や同棲に対してより受容的な傾向が見ら
   れまして、11ページの下の図の×印ですが、20歳代後半から40歳代前半ま
   では17〜18%になっています。これは今回初めて調査した項目ですが、今後
   はこれが増えるかどうかということになると思います。
宮澤会長 ほかにまだございましょうか。根本的な問題まで広げて考えていくといろい
   ろな問題がまだあろうかと思いますが、もう一つ、昨年国勢調査が実施されたこ
   とを踏まえて、今年は人口推計が実施されるということです。ここで次のテーマ
   に移しまして「将来人口推計の基本的考え方について」人口問題研究所の高橋人
   口動向研究部長からご説明をお願いいたします。
高橋部長 それでは、資料4に基づいて「将来人口推計の基本的考え方について」ご報
   告させていただきます。
    人口問題研究所はこれまで、戦後10回の全国将来人口推計を公表してきてい
   るところです。現在平成7年の国勢調査に基づきまして、年齢別人口の公表を受
   けてこの改定のために準備作業を進めているところです。
    本日は、前回平成4年9月に行った推計がその後実績値が出ておりますので、
   その比較を報告するとともに、現在考えております新推計の方法についてご報
   告し、専門の先生方にご意見を伺いたいと思っております。
    それでは早速ですが、資料の2ページ目に、前回、平成4年9月推計と実績、
   そのうちの総人口について、1985年以降2000年までの分をプロットして
   図に示してあります。これをみますと、1994年までですが、総務庁の各年1
   0月1日の推計人口との間で比較をしてみますと、非常に高い精度で一致してい
   ることがわかります。一致率を計算してみますと、99.9%のレベルで中位の
   推計結果と合致しているという実態が見られます。ただし1995年についてみ
   ますと、95年1%の抽出結果ですが、実績値が1億2556万9千人という数
   値が出ています。それに対して、中位推計が1億2546万3千人ということで
   、10万6千人ぐらい人口推計のほうが過小になっているということです。ただ
   し、95年については、人口動態統計の時にも話がありましたように、1%とい
   う抽出の結果ですのでその数値は最終的な値ではありません。
    3ページは、出生数の予測結果と実績の比較です。この出生数について実績の
   数は、実は人口動態の統計と若干違っています。といいますのは、人口推計では
   日本人人口ではなくて、日本の総人口をベースにして推計を行っていますから、
   その出生数は外国人の出生数も含まれた数字になっています。
    これをみますと、実績の場合は、先ほど話がありましたように、1993年に
   皇太子殿下のご結婚があり、それによる結婚数の変動との関連で出生数自体振幅
   しており、現実のほうは振幅しながら来ている。人口推計の場合はモデルで計算
   しておりますので、そうした年々の変化は反映しないわけですが、そことの関連
   でみますと、中位推計と低位推計の間を通っているというのが現状であろうと考
   えております。
    4ページは、合計特殊出生率の予測結果と実績との比較です。合計特殊出生率
   は過去3年の平均ぐらいのところで比較をしたほうがいいのではないかと思って
   います。といいますのも、先ほどいいましたように、1994年については前年
   の結婚数増加効果が表れて合計特殊出生率が上昇しておりますし、特に1995
   年については、我々がデータをみている限りにおいては、阪神大震災以降の月別
   出生数の落ち込み等がありまして、ある年次の特異な効果によって低くなってい
   るということもありますので、3年平均でみてみますと、実績値が大体1.46
   となります。中位推計が1.50で、低位推計が1.41です。人口推計の結果
   と比べてみますと、実績値はその間を通っているというところです。したがいま
   して、合計特殊出生率の中位推計はやや高めであったということがわかるかと思
   います。
    5ページは、死亡数についてみたものです。死亡数自体が毎年のインフルエン
   ザの流行であるとか、あるいは例えば昨年についていいますと、阪神・淡路大震
   災の影響による死亡数の増加であるとかいうふうに年次的にはブレるというのが
   常識的なものです。人口推計の結果と比べてみますと、中位推計の結果に添って
   動いてきているということが窺えます。ただし、1994年については若干ズレ
   がありますが、ほぼ推計の予測どおりに動いてきています。
    6ページは、平均寿命について予測したものと実績値を比較しています。平均
   寿命のほうは、現在統計が1994年までしか出ておりませんので、そこまでの
   比較ということになりますが、概ね予測された平均寿命の将来予測に添って平均
   寿命は動いてきていうということが窺えます。
    7ページは、年少(0〜14歳)人口の推移について、実績値と中位推計を比
   べたものを図にしています。これをみますと、先ほどの出生数との関連になりま
   すが、0〜14歳人口は中位推計と低位推計の間を通ってきているということが
   窺えます。 8ページは、老年(65歳以上)人口の推移。これをみますと、1
   990年以降、91、92、93、94年と、65歳以上人口については中位推
   計とほとんど一致した数で推移しています。ただし、95年については約38万
   人のアンダーエスティメイト、過小推計になっています。ここには一つ大きな理
   由がありまして、基本的には1990年から94年については90年国勢調査に
   基づいて行われた各年の総務庁の推計人口と比較してあり、95年については9
   5年に実施した平成7年の国勢調査の65歳以上人口と比較してあるということ
   です。したがいまして、95年については1%人口の精度の問題、もう一つ、9
   0年の国勢調査と95年の国勢調査における精度の問題といったものが複雑に絡
   み合って95年には若干推計人口との間に乖離があるということです。
    9ページは、老年(65歳以上)人口割合の推移。一般に高齢者割合と呼ばれ
   るものです。これを比較してみますと、中位推計との間でみますと、92、93
   、94年とも0.1%推計のほうがアンダーエスティメイト、過小推計になって
   います。95年については、国勢調査で14.8%という数値が報告されていま
   すが、中位推計では14.5%であった。その間には0.3ポイントの差があり
   、推計結果が過小であったということですが、95年の差異については基本的に
   は国勢調査人口との違いがここに反映しているということがいえます。
    以上が、前回推計と実績値との間で比較をしたものです。これらを総合して考
   えますと、これまでも各国勢調査の人口が出た場合には新たにわかった人口に基
   づいて推計をやり直すということが慣例になっておりますし、より新しい人口デ
   ータが出た時に人口推計を改訂することが新たな将来の予測を立てる上には重要
   だと考えておりまして、その意味からも新人口推計に新たに取り組まなければな
   らないということで準備をしているということです。
    次の10ページでは、新しい人口推計は、どのような方法で、どのような考え
   方に基づいてやるのかということを報告させていただきたいと思います。
    まず、1.推計の期間ということですが、これは平成8(1996)年から平
   成42(2030)年、これまでも35年の人口推計を行っておりますが、今回
   も同様の推計期間とする。ただし、参考として、2031年から2095年、即
   ち1995年を基準にして100年間の人口推計を付け加えるということです。
   この推計期間については、前回とまったく同様であります。
    2.推計方法については、いわば人口推計の基本的な方法でありますコーホー
   ト要因法によるということです。このやり方のフローチャートは12ページの図
   II−1の6にコーホート要因法による全体計算という流れ図が書いてありますが
   、その流れ図にしたがって計算をやるやり方がコーホート要因法と呼ばれるもの
   です。
    これには前提条件がいくつかありまして、それが1〜5ということになるわけ
   です。1番目は、基準人口を前提とする。平成7年国勢調査1%結果を補整して
   平成7年男女年齢別各歳基準人口というものをつくりあげて、それをもとに将来
   の人口を予測する。
NO4に続く
  問い合わせ先 厚生省大臣官房政策課調査室
     担 当 真鍋(内2250)、大内(内2931)
     電 話 (代)[現在ご利用いただけません]


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