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96/07/26  第60回人口問題審議会総会議事録NO2

中田課長 前半の、離婚率を出す時の分母のことですが、残念ながら、現在分母となり
   ます婚姻数、ある意味では婚姻の累積数ですが、ある時点における婚姻数という
   のは、国勢調査の時はとらえることができますが、ほかの年にはうまく捉える数
   字がなかなかないということで、私どもとしても問題意識を持ちまして、現在検
   討しているところですが、現段階ではまだお出しするところまでには至らないと
   いう実態です。
    それから、同居期間の関係、これも同じことですが、同居期間別の離婚の率を
      見る時には、本来ならばその分母となる同居期間別の婚姻数が必要だと思います
      が、現在それをうまく捉える数値がないために、分子のほうだけで出しているた
      めに見掛け上増えてきているわけですが、これもいろいろ議論がありまして、2
      0年以上のところで確かに増えているんですが、これは20年以上の婚姻数自体
      が増えているんじゃないかということがございまして、そこのところの数字、現
      在分母の数字、20年以上の婚姻の累積数字がうまく捉えられないので、そのへ
      んも私どもとしては問題意識をもっているんですが、こちらについては現在適当
      な数字がないというのが実情でございます。
宮澤会長 そういうことは、注みたいにコメントを書くことはかえって理解を混乱させ
   るんでしょうかね。数字を読む場合に、こういう注意が要るとかいうことは。そ
   れでだいぶ数字が変わる可能性があるとすると、与える印象が違ってくると思う
   んですけどね。
中田課長 そのへんは勉強させていただきたいと思います。
井上委員 少子化の問題を考えるについて、婚姻数の変化が注目されているわけですが
      、平成7年はこれが若干増えたということのようです。なぜ平成7年にこの数字
      が増えたのか。婚姻年齢の人口が増えたためなのか、あるいはそうではなくて、
      結婚する傾向が出てきたためなのか。そのへんがもしおわかりでしたらというこ
      と。それから、もし、平成7年に婚姻数が増えますと、その影響が平成8年に出
   てきて、出生数、合計特殊出生率が次の発表の時にはまた回復するような見通し
   がもてるのかどうか。そのへんを伺いたいんですが。
中田課長 婚姻数の増えているところについては、17ページの表9で、婚姻数は20
   代の後半と30代というところで増えているということです。これについても、
   先ほどから出ていますが、もとになる、今度は未婚のこの年代の人がどのくらい
   の数かという数がうかくなかなか捉えられないということで、そのへんの動きが
   、この増え方がどういうふうに増えてきたのかということがなかなかうまくご説
   明できないというのが、勉強の足りないところです。それと、全体的には第2次
   ベビーブームの昭和40年代の後半の子どもが少しずつ婚姻年齢に入ってきてい
   るということで、このへんのところ、率が変わらなければ婚姻の数自体は少しず
   つ増えてきているということです。したがって、出生への影響についても、そう
   したことで婚姻が増えて、率が変わらなければ、これから出生の数自体は増える
   可能性がある時期になってきているわけです。婚姻が増えている理由、もう一つ
   はっきりいたしませんので、それが直ちに8年以降の出生数、極端に婚姻数が増
   えれば別ですが、増え方が微妙な場合にはそれが出生に強く出てくるかどうかま
   では私どもとしては正直申し上げてわからないというところです。
袖井委員 6ページの合計特殊出生率のところですが、いつもわからないのは、県別で
   合計特殊出生率を出しているんですが、大都市がこういうふうに低いというのは
   、出ていってしまうということがあるんじゃないかと思うんですね。子どもを持
   っている人が住みにくい。だから、妊娠したらとか生まれたら外へ出て行っちゃ
   う。そういう影響もあるんじゃないかと思うので、そういう人口移動的なものと
   絡み合わせていかないと、こういう数字だけ見ると、東京の人は産まないという
   ふうになっちゃうんじゃないかと思うような気がするんですが、そのへんはいか
   がでしょう。
中田課長 これは基本的には住所地でとっていますので、例えば、東京の人が里帰りを
   して長野県で産んでも、もちろんそれは東京に出てくるわけですが、統計的には
   住所地でとっております。それから、東京が住みにくいので、実際によそで産ん
   で、そちらに住所も移して住んでしまうということがあれば、それは東京には出
   て来ないということです。したがって、そこまで取ろうとすれば、先生おっしゃ
   るように、人口移動と絡めないと単に数字だけ出しても、あるいは産んだあと、
   結果としてそこにいた人ということですので、おっしゃるとおりおかしいという
   ことになるかもしれませんが、現在のとり方ではこういう形しかできないという
   ことです。
袖井委員 これは出生して届けた地点の統計ですか。
中田課長 いや、違います。届けた場所ではなくて、例えば、東京の人が長野県で産ん
   で届けを長野県で出しても、それは住所地の東京になります。
宮澤会長 これはブロック別に分けてみると平均化するとか、そういうような集計はご
   ざいませんか。
中田課長 現在しておりませんが、先生おっしゃるとおり、ブロックでやればもう少し
   違う形が出るかもしれません。
井上委員 17ページに、平均婚姻年齢の年次推移という統計、ご説明ありましたよう
   に、初婚の男性の場合、ほとんど年齢的な変化がないわけですね。それにもかか
   わらず、最初にご報告のありました国勢調査のほうからいいますと、男性の未婚
   者の割合が大幅に増えている。という2つの統計をつき合わせますと、これは矛
   盾ではないかもしれませんが、どういうふうに説明をしたらいいんでしょうか。
   お伺いしたいと思います。
高橋部長 私のほうからお答えいたします。男性の場合は未婚者の増加が結婚に結びつ
   いていない。だから、結婚が発生しませんので平均年齢が上昇されない。ところ
   が、女性の場合は、未婚者は増えているんですが、増えている中でも結婚が発生
   しているので、発生分布をもとにした統計で平均値が上がってしまう、という男
   性と女性の結婚構造の違いのパターンが、未婚率と平均結婚年齢の間に違いを見
   せている。そのように理解しています。
 井上委員 ということは、男の場合、適当な時期に結婚しないと、ずっと結婚しない
   で終ってしまう傾向があるということなんですか。
高橋部長 最近の統計を見る限り、5年前の国勢調査の未婚者の年齢分布はそのまま5
   歳上のところに、もちろんそこから結婚は発生していますが、持ち上がっている
   という形になっていますので、そういう傾向だろうと理解しています。
宮澤会長 ほかに何かございましょうか。それでは、引き続きまして「第2回人口問題
   に関する意識調査」について、人口問題研究所の金子人口情報部長からご説明を
   お願いいたします。
金子専門委員 それでは「第2回人口問題に関する意識調査の結果」について簡単にご
   報告させていただきます。資料は3でございます。
    まず1ページは、調査の概要ですが、この調査は1990年に引き続いて、国
   民の人口問題に関する意識を明らかにするために、全国の20〜69歳の男女を
   対象として平成7年6月15日に行ったものです。
    時間の関係もありますので、早速結果についてご報告させていただきます。
    2ページですが、結婚の意志ですが、未婚率はいままでの報告にもあったとお
   り、いまもなお上昇傾向が続いていますが、本調査では前回調査に引き続き、未
   婚者の結婚の意志について尋ねております。「いずれ結婚するつもり」「一生結
   婚するつもりはない」と二者択一で尋ねております。結果が表II−1と図II−1
   です。生涯独身志向者は「意志なし」の欄ですが、男子においては前回調査より
   も独身志向が若干強まって、4.8から7.0へと上昇しています。これを年齢
   別にみますと、30代前半までの男子においては独身志向が上昇したといえまし
   て、男子のそのほかの年齢と女子については、必ずしも独身志向が強まったとは
   いえません。ほぼ前回並みとみなせます。
    次に、出生力と出生意識ですが、今回の調査でも、前回意識調査及び出生動向
   基本調査にあわせて、満50歳未満の有配偶者に対して、出生児数、予定子ども
   数、理想子ども数を尋ねています。まず、出生児数ですが、結果は表III−1で、
   有配偶女子の平均出生児数は、全体では減少傾向にあると見られます。5年前の
   意識調査では1.91でしたが、3年前の出生動向では1.90、今回1.89
   と減少しております。ただ、年齢別にみた場合は、その変化は必ずしも一貫した
   ものではありません。
    それから、一般に結婚出生力は結婚持続期間に強く依存していますので、表III
   −2によって、結婚持続期間別に出生児数をみてみますと、第10回出生動向基
   本調査とよく似ております。また、前回意識調査と比較しますと、結婚持続期間
   別の出生児数は各期間とも若干低下しております。
    以上のことから、1990年代前半の結婚出生力は僅かながら減少傾向が見え
   ますが、その変化は極めて小さいものであるといえます。
    次に、予定子ども数と理想子ども数ですが、有配偶女子の予定子ども数は、表
   III−3ですが、5年前の前回調査結果と比べて、ほぼ完結出生力に等しい40歳
   以降の予定子ども数のレベルはほとんど変わっていません。しかし、40歳未満
   においては、予定子ども数は若干上昇ぎみのように観察されます。特に、無子を
   予定している40歳未満の人は1〜2%しかおらず、また2子を予定する人の割
   合は40歳未満では増加しています。
    以上のことから、一夫婦当たり2人という子ども数規範は各年齢層で強く共有
   されていると考えられます。
    理想子ども数は、表III−4ですが、前回調査よりもすべての年齢層においてや
   や減少しています。理想子ども数別にみますと、3人以上を理想とする人が減少
   しており、2人以下を理想とする人が増えています。結果的には、予定子ども数
   と理想子ども数の乖離は若干減少しています。
    前回同様、今回調査においても、個人の理想子ども数とは別に、一般に日本の
   夫婦にとって理想と思われる子ども数について尋ねています。表III−5ですが、
   前回調査においては、2つの理想の間に若干の乖離がみられましたが、今回の調
   査では2つの理想の平均値は2.58と一致しております。
    予定子ども数と2つの理想子ども数の分散について比較したのが表III−6です
   が、2つの理想子ども数の平均値は2.58と一致しましたが、分散は大きく異
   なっており、自己にとっての理想のほうがバラつきがあり、自己にとっての理想
   子ども数は予定子ども数とほぼ同程度のバラつきがあるということになります。
    続いて、晩婚化についてですが、本調査では日本の晩婚化の傾向を「望ましい
   」「どちらともいえない」「望ましくない」の3段階評価で尋ねています。結果
   は表IV−1ですが、全体として7割が「どちらともいえない」ということで多い
   のですが、「望ましくない」とする人の割合が17.6%で、「望ましい」と感
   ずる人の割合6.0%の3倍になっています。
    年齢別にみますと、「望ましくない」とする割合は男女とも年齢が高くなるに
   したがって増大して、60歳代では約3割の人が「望ましくない」と回答してい
   ます。20歳代ではこの割合は10%以下ですので、世代間で感覚のズレが大き
   いということになります。
    また、注目すべき点としては、20歳代から30歳代前半の結婚適齢期女子に
   おいて晩婚化を「望ましい」とする人が「望ましくない」とする人よりも多くな
   っています。30歳代後半以降とかなり違った回答が出てきており、この年齢層
   は晩婚化現象に関しては比較的受容的であるといえます。
    次に、晩婚化の理由ですが、今回の調査では、晩婚化の是非にかかわらず、そ
   の理由として考えるものを9項目から、最大の理由と2番目の理由を選択の形で
   尋ねています。選択肢は表IV−2の注に示されている1〜9ですが、その中で最
   も多かったのが「結婚を選択しない人の増加」が24.3%です。続いて「女性
   の経済力の向上」「異性への要求が高すぎる」「わずらわしい」「若い世代に経
   済的ゆとりがない」「単身生活が不自由でない」となっておりまして、「男女の
   出会いの場が不十分」「仕事と結婚生活の両立が困難」「子育てへの要求が衰え
   ている」とする人は僅かでした。2番目の理由としては、「女性の経済力の向上
   」と「単身生活が不自由でない」が二大理由として挙げられています。
    つまり、晩婚化現象は、結婚しなければならないという規範的意識の束縛がな
   くなり、多様な生き方が構成されてきた結果として捉えられており、そうした選
   択を可能にしたものとして「女性の経済力の向上」と「単身生活が不自由でない
   」という環境変化があったと認識されていると考えられます。逆に「男女の出会
   いの場が不十分」「仕事と結婚生活の両立が困難」とする人が少ないということ
   は、結婚難という言葉から連想されるような、結婚を望んでいるにもかかわらず
   、障害があると感ずる人はそれほど多くないと考えられます。
    これを男女・年齢別にみますと、図IV−1ですが、「女性の経済力の向上」を
   理由として挙げている人は×印ですが、男子では年齢とともにはっきりと増大し
   ています。女子ではそれほどはっきりした結果はみられません。また「若い世代
   に経済的ゆとりがないから」を理由とする人は▲印ですが、男子では20歳代と
   その親世代、50歳代以降に多くなっています。つまり、若い男子にとっては自
   己の経済力の有無が結婚を左右するファクターとして意識されているといえます
   。
    10ページは、今後の結婚動向を直接左右すると考えられる未婚者の意識につ
   いて特にみると、表IV−3のように、第1の理由は、男子では「結婚をしない人
   の増加」が21.5%で最も多く、次いで「若い世代に経済的ゆとりがない」「
   わずらわしい」が3大理由となっています。女子では「結婚しない人の増加」が
   24.1%で最も多く、次いで「女性の経済力が向上」「わずらわしい」が3大
   理由として挙げられています。1番目と3番目が同じで、2番目が違うわけで、
   つまり、男女とも晩婚化はまず、選択肢の増大の結果であると意識されています
   が、同時に経済的ファクターが大きな影響力をもっており、男子では経済力のな
   さ、女子では逆に経済力の向上が未婚という選択につながっていると認識してい
   ることになります。3番目として、晩婚化の将来ですが、日本人の晩婚化の傾向
   が将来どうなるかということを4つの選択肢の中から1つを選ぶ方法で尋ねてお
   ります。その結果が表IV−4です。「晩婚化がさらに進行して生涯未婚で過ごす
   人が増加する」と答えた人が最も多くて38.2%。次いで「晩婚化は定着する
   がこれ以上進まない」とした人が31.7%となっています。つまり、7割の人
   が晩婚化傾向は定着、または進行するという予測していることになります。
    12ページからは、出生率低下についてですが、出生率低下への評価を、前回
   調査と同じように、望ましいか、望ましくないかを5段階評価で尋ねていますが
   、結果が表V−1と図X−1です。「どちらともいえない」が最も多くて46.
   8%でありますが、「望ましくない」と「非常に望ましくない」という否定的回
   答は合計で42.3%を占めており、「望ましい」と「非常に望ましい」の肯定
   的見解の合計5.1%を大きく上回っています。この傾向は前回調査結果と同じ
   ですが、前回よりも肯定的見解の割合がやや減少して、否定的見解の割合がやや
   上昇したということになります。
    次に、出生率低下を望ましくないと見る理由ですが、前回調査とまったく同様
   に、日本の出生率低下を「(非常に)望ましくない」と答えた回答者に対して、
   望ましくない理由を4つの選択肢から1つを選ぶ方法で尋ねています。結果が表
   V−3と図X−2です。最も多かったのが「高齢化が深刻になるから」で52.
   4%、以下「若い労働力が少なくなる」「日本民族の活力が衰える」「日本の人
   口が減ってしまう」という順になっています。この順序は前回の調査と同じです
   が「高齢化が深刻になるから」を挙げた人の割合が前回の41.4%から上昇し
   ています。この5年間に出生率低下と人口高齢化の関連が国民により深く認識、
   危惧されてきている結果と考えられます。
    一方において、人口減少を理由とする人が少ないということは、人口の規模を
   心配しているのではなくて、年齢構造が問題であると意識されているということ
   になります。ただ、年齢別にみますと、表V−4のように、高年齢層では、人口
   減少と民族の活力の喪失を危惧する人が多くなっており、高齢化を最も危惧して
   いるのは20歳代と30歳代の年齢層です。
    次に、低出生率対策の必要性と内容ということですが、前回調査に引き続いて
   、「日本の出生率低下は望ましくない」と答えた回答者に限って、出生率を引き
   上げるために何らかの対策をとるべきかを3つの選択肢によって尋ねております
   。結果が表V−5と図X−3ですが、「何らかの対策をとるべき」は81.1%
   で圧倒的に多くなっています。以下「どちらでも構わない」10.4%、「いか
   なる対策もとるべきでない」3.7%となっております。この順序は前回調査結
   果と変わりありませんが、「何らかの対策をとるべき」と考える人の割合が前回
   よりも増加しており、出生率低下問題への国民の関心の深まりと危機意識を反映
   している結果といえます。
    さらに、前回調査とまったく同様に、出生率低下を「望ましくない」と答え、
   かつ「何らかの対策をとるべき」と答えた人に対して「どのような対策をとるべ
   きか」を5項目からの選択、最も重要なものと次に重要なものの選択の形で尋ね
   ています。結果が表V−6と図X−4です。最も重要な項目としては「子育ての
   経済的負担の軽減」が49.9%。以下「結婚しやすい環境づくり」「育児休業
   制度をより一層充実」「保育所などの施設を充実」の順です。前回調査と比較し
   ますと「経済的負担の軽減」と「結婚しやすい環境づくり」の比重がやや低くな
   り、育児休業と保育所の施設の充実を挙げる人がやや増加しています。前回調査
   以降、育児休業制度の導入がより一般化されてきており、既に具体化しつつある
   出産・子育て支援制度の改善に対する期待が高まっているといえるかと思います
   。
    男女別にみますと、表V−7ですが「子育ての経済的負担の軽減」と「結婚し
   やすい環境づくり」は男性のほうが女性より多くなっており、「育児休業制度の
   充実」と「保育所などの施設と充実」は女性が男性を上回っています。つまり、
   子育てと職業生活を両立させるような支援政策へのニーズが女性においてより強
   く表れていることではないかと思われます。
    16ページからは、日本人口の高齢化について。
    前回と同様に、日本人口の高齢化が進んで、20年後には日本人の4人に1人
   が65歳以上の高齢者になるという情報をまず与えて、これについての評価を5
   段階評価で尋ねています。結果が表VI−1と図VI−1です。「困ったことだ」と
   する人が42.6%で最も多く、「非常に困ったことだ」とあわせると57.3
   %と、半数以上の人が高齢化については望ましくないという否定的見解をもって
   います。前回調査では「困ったことだ」をあわせると51.5%でしたから、否
   定的見解の人が増加したことになります。将来の人口高齢化に対する危機感がよ
   り浸透しているということがわかります。
    次に、将来の人口高齢化への緩和対策ですが、将来の人口高齢化を「困ったこ
   とだ」と回答した人に対して、高齢化を緩和するために何か対策をとる必要があ
   るか。あるとすればどのような対策か、を尋ねております。結果は表VI−3と図
   VI−2ですが、「いかなる対策もとる必要はない」は僅かに7.9%で、前回調
   査とほぼ同じ割合です。高齢化の緩和対策が必要とした人の中で最も多いのが「
   出産奨励のための対策をとるべきである」で半数以上の68.1%で、前回調査
   では53.8%でしたから大きく上昇しています。逆に「外国人の入国を容易に
   すべきである」「外国人受け入れと出産奨励の両方の対策をとるべきである」と
   した人の割合は減少しています。これは好景気による労働力不足の時代とそうで
   ない時代背景の違いも一つの要因であろうかと思われます。
    前にも述べましたように、出生率低下に対して否定的見解を理由とした中で最
   も多かったのが「高齢化がますます深刻になるから」でしたが、その結果と符合
   しており、少子化と高齢化を結びつけて危惧する人が多くなっているということ
   ではないかと思います。
    次に19ページ、老人の扶養・介護ならびに出産と子育てについて、というこ
   とですが、今回調査では初めてこの問題について意識を尋ねております。
    老人の扶養・介護については「老人の扶養・介護は家族・親族が負担すること
   は困難であるから、家族・親族の助けを頼らずとも老人が自活していけるような
   仕組みを国や自治体が整備していくべきである」。出産と子育てについては「出
   産と子育ては社会を支える次世代を育成するという意味では社会全体の問題であ
   り、国や自治体は両親・家族の負担を減らすように積極的な支援政策をとるべき
   である」という質問に対して、それぞれ5段階評価で尋ねています。
    結果は表VII−1で、老人の扶養・介護に関する国や自治体の整備については「
   どちらかといえば賛成」が33.5%で最も多く、「まったく賛成」が32.2
   %。賛成があわせて65.7%と約3分の2の人が国や自治体の整備を望んでい
   ることになります。年齢別には、40歳代から50歳代に賛成が多くなっており
   、老人の扶養・介護に直面している年代の要求を反映している結果であろうと思
   われます。
    出産と子育てに関する国や自治体の支援政策については、「まったく賛成」の
   人が38.7%で最も多く、次いで「どちらかというと賛成」31.2%、賛成
   があわせて69.9%にものぼり、国や自治体の支援政策を望んでいることがわ
   かります。年齢別には、20歳代後半から30歳代に賛成が多くなっており、出
   産と子育てに直面している年代の要求を反映している結果であろうかと思われま
   す。
NO3に続く
  問い合わせ先 厚生省大臣官房政策課調査室
     担 当 真鍋(内2250)、大内(内2931)
     電 話 (代)[現在ご利用いただけません]


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