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96/07/26  第60回人口問題審議会総会議事録NO1

                        第60回人口問題審議会総会議事録


                       日時:平成8年7月26日(金)
                          14:05〜16:35
                       場所:厚生省特別第一会議室


宮澤会長 本日はご多用のところご出席いただきましてありがとうございます。
     只今より第60回の人口問題審議会の開催いたしたいと思います。
    まず最初に、前回の総会以降、新たな委員及び専門委員の任命がありましたの
    で、新任の委員並びに専門委員の方を紹介させていただきます。
    本日はご欠席でございますが、日本医師会会長の坪井栄孝委員が新たに委員に
    任命されました。また、人口問題研究所人口情報部長の金子専門委員が新たに
    専門委員に任命されました。
    次に、本日の出席状況ですが、都合によりご欠席は、大石、大淵、岡沢、木村
    、河野洋太郎、小林、坂本、千葉、坪井、南、宮武、各委員、並びに、網野、
    河野稠果、清家、高山の各専門委員であります。その他の委員はご出席です。
     それから、事務局のほうでも人事異動がございましたので、ご紹介申し上げ
    ます。岡光序治厚生事務次官。よろしくお願いいたします。中西明典総務審議
    官。辻哲夫政策課長。山崎史郎政策課調査室長。以上でございます。
     続きまして、岡光厚生事務次官からご挨拶をお願いいたします。
岡光次官 本審議会におかれましては、平素より広い視点から種々ご審議をいただいて
    おりますことをこの機会に厚くお礼を申し上げます。
     わが国の人口問題につきましては、急速な高齢者の増加、それから、最近で
    は出生率が急激に低下をしてきておりまして、このまま推移をいたしますと、
    日本の人口構造が大変な変化をしていく。そしてそのことが社会経済に大きな
    影響を及ぼすと思われているわけです。各界でも、そういう意味で英知を集め
    て人口問題について関心を持っていただき、またご審議をしていただく必要が
    あるんじゃないかと考えておりますし、また、国民の皆様にもご理解を深めて
    いただくことが極めて大切なことだと考えております。
     私ども厚生省といたしましても、本審議会の議論を踏まえまして、人口動向
    を的確に把握しながら、少子問題、高齢化問題、この両問題に対応する諸施策
    の推進に努めて参りたいと考えております。
     育児支援ということでエンゼルプランをスタートさせました。一方また課題
    になっております高齢者の介護制度の導入に向けて現在鋭意努力を行っており
    ます。この7月、8月は各地でセミナーのようなものを開きますし、また一日
    厚生省も開きまして、特に一日厚生省では、少子問題と併せて高齢化問題、介
    護問題を議論していただく。そんな試みもしているところです。
     それから、この人口問題審議会の人口問題と社会サービスに関する特別委員
    会を設置していただいておりますが、人口問題と政府の行う施策の関係につい
    て幅広くご審議をいただいておりますけれども、この特別委員会のご審議にも
    期待を申し上げている次第でございます。
     委員の皆様方におかれましては、今後ども尚一層ご指導とご協力を賜ります
    ようにお願い申し上げて、簡単でございますがご挨拶とさせていただきます。
     どうぞよろしくお願いいたします。
宮澤会長 ありがとうございました。次官は所用がございますのでこれで退席されます
        。
岡光次官 申し訳ございません、どうぞよろしくお願いいたします。
宮澤会長 それではこれから本日の議題に入らせていただきます。議題は議事進行予定
   に書かれておりますが、前回の総会以降にまとまりましたいろいろな統計調査に
   ついて、資料の説明をしていただきます。そこでまず、平成7年度国勢調査の抽
   出速報集計結果について、大臣官房政策課の山崎調査室長から説明をお願いいた
   します。
山崎室長 それではお手元の資料1でございます。平成7年国勢調査抽出速報集計結果
   ですが、これは、今年6月に総務庁から発表されたものです。5年に1度国勢調
   査が行われていますが、1%の抽出として集計結果をまとめております。
    その内容ですが、まず第1に、平成7年の人口は1億2557万人ですが、こ
   のうち老年人口の割合がたいへん高くなっています。老年人口の割合が2.8ポ
   イント拡大しており、まさに高齢化がさらに進んでいるという状況です。
    次に、わが国の人口ピラミッドですが、これは現在はひょうたん型といわれて
   いますが、従来の富士山型からこういう形に変わってきているという状況です。
    2ページにいって、今回の調査結果で大きな特徴になっているのが、3番目の
      、男女とも未婚率の上昇傾向が顕著である。この部分です。先ほど、次官から少
      子化の話がありましたが、少子化の一つの大きな要因として未婚率が高まってい
      るということです。これを見ますと、未婚率は15歳以上人口の、男子が31.
      8%、女子が24.0%となっており、男女とも未婚率が上昇しております。
    特に、このグラフでは見にくいですが、女子の場合、25〜29歳の未婚率が
   たいへん高まっています。数字を申し上げますと、昭和60年の国勢調査の段階
   では30.6%の未婚率でしたが、平成2年は40.2%、今回平成7年では4
   9.0%とたいへん高くなっています。ほかの年齢においても未婚率は高まって
   きているということが大きな特徴になっています。
    次の4は、産業別の人口ですが、これについては、第3次産業の割合が初めて
   6割をこえるということで、この割合が引き続き拡大しているという状況です。
    3ページの5は、職業4部門では、事務・技術・管理関係職業の方々が約40
   %を占めて最も高い割合になっているという状況です。
    6番目は、世帯の人員です。一世帯当たり人員をみますと、平成2年が2.9
   9ということで3人を下回ったわけですが、平成7年においても2.84という
   数字で減少を続けております。世帯人員がたいへん少なくなってきているという
   状況です。下にグラフがありますが、点線が平成2年の段階における割合です。
   そして実線が平成7年ですので、1人、2人、3人までの割合は全部高まってお
   り、4人〜7人以上についてはその割合は平成2年に比べても割合は全部下がっ
   ているという状況です。
    4ページの7は、世帯の状況で、一般世帯の家族類型別割合で、グラフを見ま
   すと、核家族世帯のうち、増えているのが夫婦のみの世帯で、夫婦と子どもから
   成る世帯は減っているという状況です。一方、一番右の単独世帯の割合が大変高
   まっているわけで、全体から見ますと、夫婦のみの世帯、もしくは単独世帯の割
   合が高まっているという状況です。
    最後に8番目ですが、65歳以上の高齢者のいる世帯で見てみますと、同じよ
   うな状況で、高齢者の夫婦のみの世帯、または単独世帯の割合が高まっており、
   その他の親族世帯の割合は減少しているという状況です。
    以上が、平成7年の国勢調査の抽出速報集計結果の概要です。
宮澤会長 どうもありがとうございました。それでは只今の速報結果についてご意見、
   ご質問がございましたら、どうぞ。ございませんでしょうか。近ごろは、驚くべ
   き数字が出ても慣れてしまってあまり驚かなくなってしまっている。これもたい
   へん驚くべき現象であると思いますが、何かございませんでしょうか。
    それでは後ほどの説明に併せてご質問ございましたらお願いすることにいたし
   まして、次に、平成7年人口動態統計の概況について、統計情報部の中田人口動
   態統計課長からご説明をお願いします。
中田課長 人口動態統計課長の中田でございます。先日公表いたしました平成7年の人
   口動態月報年計、1年間の計の概況についてご説明させていただきます。
    この概況、率を算出します時、いまご説明ございました国勢調査の1%の抽出
   結果を使っております。したがいまして、今年の年末ぐらいになろうかと思いま
   すが、最終的な率を出す場合には、確定数ということで1%から100%の集計
   に変わりますので、その関係で率が多少動くことがあるということを予めお断わ
   りしたいと思います。
    平成7年の大きな特徴は2つございます。1つは、出生率がまた低下いたしま
   して、いわゆる合計特殊出生率で1.43という人口動態史上最低になったとい
   うことです。もう1つが、死亡の関係ですが、死因別の統計をとる際に使ってお
   ります死因の統計分類、これを平成7年1月から変えておりまして、その関係で
   死因の中身、順位なども変わってきているということです。
    それでは、中身についてご説明させていただきます。資料の2、3ページに全
   体の概要をさらに要約して載せてございます。
    (1)の出生数は、先ほど申しましたように、減少しました。118万7067
   人ということで、前年の123万8327人から5万人ほど減少しております。
    合計特殊出生率も1.43ということで、前年の1.50をさらに下回ってお
   ります。
    (2)の死亡数は、逆に増加いたしました。92万2062人ということで、前
   年の87万5933人よりも4万6129人増加しております。これは、1月、
   2月、3月の死亡数の増加が前年に比べて非常に大きくなっておりまして、その
   原因としては、一つが、阪神・淡路大震災で5千人強ほど亡くなったこと、それ
   から、おそらく、昨年の1〜3月はインフルエンザが流行った年で、その影響で
   死亡数が増加しているのではないかと思います。
    死因別に見ますと、第1位の悪性新生物は変わりませんが、先ほど申しました
   ように、死因のとり方が変わった関係で、第2位は脳血管疾患、第3位が心疾患
   と、2位と3位が入れ替わっております。
    (3)の自然増加数は、出生数から死亡数を引いた数ですが、26万5千人とい
   うことで、これも人口動態統計史上最低となっております。出生数が減って、死
   亡数が増えたということで、自然増加数が20万台に落ちたということです。ち
   なみに、現在の人口は1億2500万人ぐらいですから、人口増加率はおよそ0
   .2%程度というところまで落ちてきております。
    都道府県別にみますと、そこに書いてある県で死亡数が出生数を上回って、こ
   の8つの県で自然増加数がマイナスになっております。40ページの右から4つ
   目の欄に自然増加数を県別に書いてありますが、秋田、和歌山、鳥取、島根、山
   口、徳島、高知、鹿児島の各県で自然増加数がマイナスになっているということ
   です。もちろん、各県別の人口を見る場合には、社会的な移動もかなり大きな影
   響を与えますので、これが直ちに県の人口の増減ということにはならないわけ
   ですが、自然増加数を見ますと、この8つの県で減少しているということです。
    下のほうの神戸市をご覧いただきますと、2500人ほど減っていますが、こ
   れは阪神・淡路の震災の関係で死亡数が増加したものによると思われます。出生
   数自体が1年前の平成6年とそれほど大きく変わっておらないわけですが、死亡
   数が増加したために、神戸において自然増加数がマイナスになったというもので
   す。
    2ページに戻って、(4) の死産数は減少いたしました。
    3ページの、(5) 婚姻件数、(6) 離婚件数はともに増加しております。
    4ページ以降、出生について少し細かく見ております。
    図1の棒グラフが出生数を表していますが、戦後すぐの第1次ベビーブームか
   らいったん減った出生数が、昭和48年の第2次ベビーブームのピークに向けて
   序々に増えてきて、昭和48年の第2次ベビーブームのピークの209万という
   数から、それ以降傾向的に減ってきているということです。たまたま平成6年に
   若干、5万人ほど増えたわけでが、平成7年にはまたいままでの傾向上の数値に
   戻ってしまったということです。この傾向からみますと、平成6年のほうがどち
   らかというと、異常に増えたのではないかと考えることができようかと思います
      。少子化の原因となっているといわれています、晩婚、晩産のうちの晩産の数値
   が表3です。第1子出生時の母の平均年齢で見ていますが、この数値も少しずつ
   伸びている。晩産化は依然として進んでいると見ることができようかと思います
      。
    17ページの表10に晩婚の関係の婚姻年齢の推移を書いています。初婚のほ
   うをご覧いただきますと、夫のほうは62年あたりから28.4歳、あるいは2
   8.5歳ということで大体同じ年齢になっていますが、妻のほうは依然として少
   しずつ伸びておりまして、晩婚化の現象の歯止めは依然としてかかってないので
   はないかと考えることができるかと思います。
    こうした、晩婚化、晩産化、あるいは先ほどご説明ございました未婚の割合の
   増加を考えますと、これはこれからご議論されるところだと思いますが、少なく
   とも私どもの統計からみますと、短期的に出生率がすぐに回復する兆しをみつけ
   ることはなかなかできないと考えることができようかと思います。
    6ページに戻って、(2) 合計特殊出生率ですが、1.43ということで、前年
   の1.50に増えたものがまた従来の傾向に戻ってしまったということです。
    図2は、25〜29歳の出生率が昭和60年、あるいはその少し前頃から急激
   に落ちております。20〜24歳、これは点線で書いてありますが、この出生率
   も昭和50年頃から傾向的に下がってきています。これに比べて、30〜34歳
      、あるいは35〜39歳、このへんが50年代中頃から少し増えているわけです
      が、少し増えても20代の出生率の減少が非常に大きいために一番上のように全
      体としては傾向的に合計特殊出生率は落ちているということになっているわけで
      す。8ページ以降は死亡に関して書いております。
    9ページの図4の棒グラフが死亡数ですが、昭和50年代中頃から死亡数は傾
   向的に増えてきています。これは、人口の高齢化ということから老人人口が増え
   たためにそこの死亡数が増えて、全体的に増えてきているということです。
    最後の平成7年のところで急に増えているのは、先ほど申しましたように、イ
   ンフルエンザあるいは阪神・淡路の震災の関係だと考えることができるかと思い
   ます。ちなみに、表6の死亡数をご覧いただきますと、年齢階級別に見て、ほと
   んどすべての年齢階級で死亡数が増えているわけですが、このうち40歳前後か
   ら若いほう、このへんのところはおもに阪神・淡路の震災の影響、40歳以降で
   はどちらかというとインフルエンザの影響ということがいえようかと思います。
   阪神・淡路の震災では、割合だけ見ますともちろん老人の死亡のほうが多いわけ
   ですが、死亡率でみますと、相対的には若い人の死亡率が高くなっているという
   ことがあって、その結果がここに表れていると考えることができようかと思いま
   す。
    10ページ以降は、死因別の分析をしたものですが、先ほどから申しておりま
   すように、死因の統計に使いました分類の基礎、私どもでICDといっています
   が、国際疾病分類、これが変わっておりまして、その影響を受けて大きく数値が
   動いているということです。
    11ページの図5をご覧いただきますと、死因の第1位の悪性新生物、これは
   傾向的に伸びているということです。しかし、2位と3位、脳血管疾患と心疾患
      、これは書き方がわかりにくいんですが、点線が心疾患、実線が脳血管疾患とい
      うことで、心疾患はずっと増えてきたわけですが、平成7年に大きく落ち込んで
      おり、逆に脳血管疾患は40年頃から傾向的に減ってきたわけですが、平成7年
      に増えているということです。これは先ほどから申していますが、ICDの変更
      でこういったことが起きてきているということです。
    最後のページに、心疾患と脳血管疾患について、死亡統計のとり方の変更によ
   ってこういう影響が起きたということが書いてあります。
    まず、心疾患減少の理由ですが、死亡統計をとるもとになっている死亡診断書
   の書き方が少し変わって「疾患の終末期の状態としての心不全、呼吸不全等は書
   かないでください」という記述を入れたことにより、死亡診断書から「心不全」
   という記述が減ったということです。心不全の記述が減りますと、心疾患の全体
   の数も当然のことながら減るということです。
    もう一つは(2) ですが、脳血管疾患の死亡数の増加です。ここは死亡原因選択
   ルールの明確化による、と書いてありますが、いままでですと、死亡診断書上、
   肺炎、肺炎と因果関係の弱い脳出血という書き方がされた場合に、この人の死因
   としては肺炎を選んでいたわけですが、新しい死因のとり方では、この場合は「
   脳出血」つまり、脳出血があったために体が弱って、そのせいで肺炎になった。
   したがって、肺炎で死んだというよりは、その前の脳出血を死因としたほうがよ
   り適切であろう。医師がこの人に対する対策を行う時に、肺炎の対策を行うので
   はなくて、脳出血の対策を行うことによってこの人は死亡をまぬがれた。そうい
   う考え方ですが、そういったことで脳出血を死亡原因とする、というふうに変え
   たということがあって「脳血管疾患」が増えているということです。
    次に16ページの4.婚姻です。婚姻は件数が少し増えています。図8をみま
   すと、昭和60年、あるいはその少し先ぐらいから婚姻件数が傾向的には増えて
   きているということがあります。このうち、平成5年には、トレンド的な線より
   もさらに上に増えているということがあります。これは、この年の6月に皇太子
   が結婚されたということで、そのあやかり結婚でおそらく婚姻が増えたのではな
   いかと思われます。平成5年に婚姻数が増えたために、先ほど出生率のところで
   申しましたが、平成6年に出生数が5万人ほど増えたのではないかと考えること
   ができるかと思います。
    18ページは、離婚で、図9ですが、平成に入ってから離婚件数が少しずつ増
   えているということがあります。ただ、離婚件数の伸び方自体は以前に比べて少
   し落ちています。ぐんぐん伸びているということではない、もちろん伸びてはい
   るんですが、伸び方は少し落ちてきているという状況です。
    以上、簡単ですが、平成7年の人口動態の年計の概況についてのご説明を終ら
   せていただきます。
宮澤会長 どうもありがとうございました。それでは、只今の平成7年人口動態統計(
   概数)について、ご意見、ご質問ございましたら、お願いいたします。
福田委員 一昨年は久しぶりで合計特殊出生率が1.50となって、1.57ショック
   以来の逆転ということで、この審議会も非常に明るかったわけですが、その時に
   原因の議論が出まして、いまご説明ございましたように、前年に結婚数が増えた
   というご意見がどちらかといえば優勢であったかと思います。片一方で、母性に
   対するさまざまな配慮が進んでいることはどうだろうかという視点があったかと
   思いますが、いまのご説明を伺いますと、やはり支援というより結婚数が増えた
   というまったく特殊な原因だったということになるのかという印象を受けたわけ
   ですが、女性に対するさまざまな施策という面から何か思い当たる原因があるよ
   うでしたら、お聞かせください。
中田課長 私ども、いま先生がおっしゃいましたように、どちらかというと、平成5年
   に結婚数が増えて、それが効いてきたのではないかと考えております。第1子の
   うち40%ぐらいが結婚をした翌年に生まれていますので、やはり婚姻数が増え
   ると次の年には子どもが増える傾向が当然出て来るのではないかと思います。
    母性に対する施策の効果ですが、これは急には、前年やったから次の年にすぐ
   出るというより、もうちょっと中長期的なものではないかと考えることができる
   のではないかと個人的には思います。したがって、毎年の動きを、私どもは毎年
   統計をとっておりまして、見方が短期的なんですが、そういう短期的な見方をし
   た場合には、母性に対する施策、これをやったから増えたとか、なかなかそうい
   うのは難しいのではないかと、私個人的には思っています。
福田委員 逆にいいますと、結婚の数が増える期待があまりないとすれば、もう一つの
   ほうで何か考えないと、ということかと思いますので。
中田課長 そういうことになろうかと思います。
福田委員 もう一つは、離婚率の伸びは少し落ちているというご説明でしたが、これを
   そのまま数字だけで見ていいのか。家庭内離婚というような社会的実態がずいぶ
   んいわれているわけですが、いろんなケースを見聞することはあっても、統計的
   にはなかなか難しいと思いますが、何かそういうことで把握しておられることが
   あったらお教えください。
中田課長 残念ながら、ここに出てきている統計は離婚の届けを出したものの統計です
   ので、家庭の中での離婚というのは変ですが、家庭内離婚といったものはこれで
   は基本的にとらえることはできません。そういうものについての統計については
      、私としてはまだ見たことはありません。
八代委員 離婚についてですが、前から不思議に思っていたのは、出生のほうは人口の
   年齢構成の変化を中立化するように合計特殊出生率という指標があるんですが、
   離婚のほうはひたすら人口1000対という非常にクルードな数字しかないんで
   すが、これはおかしいのでないか。つまり離婚するためには結婚しなければいけ
   ないわけですから、本来の離婚数というのは、婚姻者数に対する離婚者の比率で
   みないと、逆に未婚人口がどんどん増えてくると相対的に人口1000に対する
   離婚率は下がってしまうけれども、これは別に離婚が減っているわけではないの
   で、是非その数字もほんとは出していただければ有難いと思います。
    それから、離婚率は確かに、増加率では下がっていますが、その中身は、いま
   家庭内離婚とおっしゃいましたが、もう一つ数字に表れる深刻度では、表12を
   みますと、同居期間の長いほうでかなり高い伸びを示している。25年及び35
   年のところですね。要するに、これまでの離婚というのは、結婚直後というか、
   短期間に別れるというのが普通なんですが、こういう長期間結婚していた人が別
   れ出すというのがかなり深刻というか、逆にこちらの人のほうが数は多いわけで
   すから、今後の離婚数の増加を示唆するものであるということで興味深いと思い
   ます。
NO2に続く
  問い合わせ先 厚生省大臣官房政策課調査室
     担 当 真鍋(内2250)、大内(内2931)
     電 話 (代)[現在ご利用いただけません]


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