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3.基礎年金について
 基礎年金については、平成9年度現在、給付は月額65,458円(40年加入の場合)、保険料は月額12,800円となっているが、少子高齢化の進行により、最終保険料は月額24,300円まで上昇することが見込まれている。
 基礎年金をめぐっては、次のような論点がある。

(1)基礎年金の給付水準
 基礎年金の給付水準については、現行の水準を維持・拡大していくべきという考え方がある一方で、将来の保険料負担の限界、高齢者の消費の実態や地域間の生活費の格差等を勘案して水準を抑制すべきという考え方がある。

(2)国民年金の保険料負担
 現在の基礎年金水準を将来にわたり維持していくためには、国民年金の最終保険料は現在の倍程度の月額24,300円にまで上昇していくこととなるが、このような保険料負担は現実的には無理ではないかという意見がある。

(3)国庫負担
 基礎年金の国庫負担については、前回の平成6年改正において国庫負担の割合を引き上げることについて検討を加えることとされたが、財政構造改革に関する閣議決定において、財政再建目標達成後、改めて検討を行うこととされている。

  (注)  平成9年6月3日 閣議決定  
  「基礎年金国庫負担率の引き上げについては、6年改正の附帯決議等において所要財源を確保しつつ検討することとされているが、現下の厳しい財政状況に鑑み、財政再建目標達成後、改めて検討を行うこととする。」  

(4)厚生年金の給付水準を抑制する場合の基礎年金の在り方
 厚生年金の給付水準を見直す場合に、1階の基礎年金部分と2階の厚生年金部分の比率をどう考えるか。
 この場合、両方を同程度に抑制していくという考え方と、基礎年金の給付水準は少なくとも維持し、報酬比例部分である厚生年金の給付水準を抑制するという考え方がある。

(参考)

高齢者の食料、住居、被服等に関する消費 2人暮らし 12万円/月
(平成6年全国消費実態調査) 1人暮らし 8〜9万円/月

高齢者夫婦世帯の1人当たり食料、住居、被服等に関する消費の地域間格差
(平成6年全国消費実態調査) 3.5〜6.4万円/月

老齢基礎年金の給付水準と最終保険料(平成6年度価格)

・ 現行(月額65,000円)
・ 仮に月額60,000円とした場合
・ 仮に月額55,000円とした場合
・ 仮に月額50,000円とした場合
24,300円
21,600円
19,100円
17,000円
(注1) 平成9年1月の新人口推計(中位推計)を前提としている。
(注2) 経過措置として、平成11年の制度改正前の旧給付水準に基づく旧年金額と、新給付水準に基づく新年金額を政策改定・物価スライドしたものを比較し、新年金額が上回るまでは、旧年金額を保証する(従前額保証方式)。
これにより、制度改正前の年金受給者及び制度改正後に裁定される者について、平成11年度における年金額が保証される。
(注3) 給付水準の抑制のみにより支出総額の抑制を行った場合の額であり、他の手法を組み合わせた場合、この年金額まで抑制する必要はなくなる。

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