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事業評価書(事前)

事務事業名 自閉症・発達障害支援センター(仮称)運営事業費
事務事業の概要 (1)目的  自閉症については、その70〜80%に知的障害が見られることから、知的障害者福祉施策の中でサービスが提供されてきたが、知的能力の障害というより人間関係の障害のために社会生活への適応ができないという自閉症の特性を踏まえたきめ細かな対応が必要である。また、近年、知的障害を伴わない自閉症(いわゆる高機能自閉症)やアスペルガー症候群などの自閉症の周辺領域にある発達障害が、社会的事件を通じてクローズアップされてきており、こうした自閉症の周辺領域にある発達障害に対しても、対応を図る必要がある。
 このため、こうした自閉症及びその周辺領域にある発達障害に対する支援を行う「自閉症・発達障害支援センター(仮称)運営事業」を創設し、自閉症児(者)等の福祉の向上を図ることを目的とする。
(2)内容  地域における自閉症児(者)等対策の推進を図るため、自閉症児施設、知的障害児(者)施設等に「自閉症・発達障害支援センター(仮称)」を附置し、(1)関係機関、関係施設等に対する情報提供及び関係者の研修、(2)自閉症児(者)、その家族等からの相談への対応及び助言指導、(3)自閉症児(者)等への療育及び就労支援の実施、(4)福祉事務所、児童相談所、知的障害者更生相談所等の関係機関との連絡調整等を実施する。

予算額(案) 103百万円
(3)達成目標  原則として、各都道府県(47)・指定都市(12)に1か所設置し、自閉症児(者)等の福祉の向上を図る。
評価 (1)必要性 〔国民や社会のニーズに照らした妥当性、公益性〕
 自閉症の発生頻度は、一般的に千人に1人と言われているにもかかわらず、その70〜80%に知的障害が見られるため、現在は、知的障害者福祉施策の中で、福祉サービスが提供されている。しかしながら、自閉症は、知的障害とは異なる自閉症特有の症状があり、こうした特性を踏まえた対応が求められていることから、自閉症等に特化した施策が必要である。
 自閉症等に対しては、こだわり等の行動、強度行動障害等への対応が特に必要であり、在宅の自閉症児(者)等の家族においては、その対処方法に苦慮するケースが多いことから、こうした家族への支援が求められている。
 地域の関係機関、関係施設等に対する情報提供及び関係者の研修、自閉症児(者)等への療育及び就労支援を行うこと等により、自閉症等についての理解が進み、取組みが進展するとともに、自閉症児(者)等の自立と社会参加が促進されることから、ノーマライゼーションの理念の実現に資する。

〔行政関与の必要性、緊要性の有無〕
 知的障害者については、知的障害者福祉法に基づき、知的障害者の福祉に関する国民の理解を深めるとともに、知的障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するための援助、必要な保護に努めることが国及び地方公共団体の責務とされており、自閉症等の特に配慮が必要となる障害者についても、取扱いは同様である。
 自閉症及び自閉症の周辺領域にある発達障害については、社会的事件を通じて社会的な関心が高まっており、自閉症等への対応は喫緊の課題となっている。
 さらに、自閉症等の診断や療育については、現在、民間施設においても取り組まれているが、その手法は統一されておらず偏りが見られることから、行政の責任において、速やかに一定の質と方向性を持った施策を実施することが必要である。
 なお、本事業の対象は、主として在宅の自閉症児(者)やその家族等が対象となることから、地域住民に対するサービス主体である地方公共団体が実施することとし、国としては、事業を担当する職員の研修や自閉症等に関する研究を引き続き実施し、適切な運営の確保に努めることとする。
(2)有効性 〔今後見込まれる効果〕
 自閉症児(者)等や、その家族への相談指導を行うことにより、福祉の向上が図られるとともに、これらの家族の負担軽減が図られる。
 関係機関、関係施設等に対する情報提供や関係者の研修を行うとともに、関係機関の連携を図ることにより、地域における自閉症児(者)等に対する理解が進み、取組みが進展するとともに、保健・医療・福祉・教育などの分野において専門的かつ一貫性のある支援を行うことができるなど、効果的な取組みが図られる。
 適切な療育を行うことにより、二次障害を予防し、強度行動障害等へのリスクの軽減が図られる。
 関係機関、関係施設等に対する情報提供を行うとともに、関係者の研修を実施することにより、知り得た知識・技術等がより多くの関係者に対して普及され、取組みの一層の拡大が図られるなどの波及効果が見込まれる。
 本事業により、家族を含め地域における療育機能の強化が図られることから、自閉症児(者)等の自立と社会参加に向けて、センターにおける療育支援と合わせた相乗効果が期待される。

〔効果の発現が見込まれる時期〕
 関係機関、関係施設等に対する情報提供や関係者の研修を行うとともに、関係機関の連携により、地域社会における自閉症等の理解が徐々に進み、取り組みが進展する。また、療育及び就労支援により、自立や社会参加に向けて徐々にその効果が現れるなど、自閉症児(者)等の福祉の向上が見込まれる。
(3)効率性 〔手段の適正性〕
 在宅の自閉症児(者)への支援を行うことは、ノーマライゼーションの理念に沿ったものであり、適切であるとともに、自閉症児(者)に特化することにより、効率的かつ効果的な療育支援が実施できる。
 自閉症に対する専門施設としては、自閉症児施設があるが、措置された児童に対する適切な処遇を行うための最低限必要となる体制が整備されているのみであり、地域の自閉症児(者)への支援をも併せて行うことは困難である。
 このため、本事業は、そうした自閉症児施設等にセンターを附置し、専門施設の知見や短期入所等の施設機能の活用を図りながら実施することとしており、方法として効率的かつ効果的である。
(4)その他 なし
関連事務事業  国立秩父学園において、自閉症子育て支援セミナー等の自閉症児等に対する療育指導技術の普及事業を実施している。
特記事項 心身障害者対策基本法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(平成5年11月16日)
 政府は次の事項について適切な措置を講ずべきである。
二 てんかん及び自閉症を有する者並びに難病に起因する身体上又は精神上の障害を有する者であって長期にわたり生活上の支障があるものは、この法律の障害者の範囲に含まれるものであり、これらの者に対する施策をきめ細かく推進するよう努めること。
主管課
及び関係課
(主管課)社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課


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