厚生労働省：平成２１年建設業労働災害防止対策等総合実態調査

【労働者調査】

１　ヒヤリ・ハット体験

(1) ヒヤリ・ハット体験の有無及び周知状況

現在の工事現場での作業中、自分の身に危うく労働災害がふりかかるような「ひやり」としたり、「はっ」としたりした体験（ヒヤリ・ハット体験）が「ある」労働者の割合は６０．０％[前回７０．３％]となっている。また、その体験を他の労働者に対して「周知する機会があった」労働者の割合は９３．０％[前回９５．２％]となっており、周知する機会（複数回答）をみると、「朝礼など現場のミーティングで話し合いをした」７１．７％[前回７３．３％]が最も高くなっている。（第２２表、第２３表）

第２２表　　現在の工事現場でのヒヤリ・ハット体験の有無別労働者割合

（単位：％）
区分	労働者計			ヒヤリ・ハット体験（平成１６年）
		ヒヤリ・ハット体験		ヒヤリ・ハット体験（平成１６年）
		ある	ない	ある

平成２１年	100.0	60.0	39.9	70.3
（年齢階級）
29歳以下	100.0	65.2	34.7	65.2
30～39歳	100.0	62.9	37.1	72.8
40～49歳	100.0	58.0	41.9	70.9
50～59歳	100.0	57.7	42.2	70.7
60歳以上	100.0	53.4	46.4	68.2
（性）
男	100.0	60.2	39.8	70.8
女	100.0	51.1	48.3	27.1
（職種）
建築作業者（大工、鉄筋工、型枠工など）	100.0	60.6	39.4	68.4
土木作業者（土工、舗装工など）	100.0	63.2	36.7	77.6
建設機械オペレーター（クレーン、トラックなど）	100.0	54.6	45.2	78.4
軽作業者（清掃、片づけ等雑役を行う者）	100.0	45.7	54.2	66.5
その他（溶接工、工事現場で事務を行う者など）	100.0	59.3	40.6	68.7
（経験年数）
1年未満	100.0	40.8	59.2	48.3
1年以上3年未満	100.0	60.9	39.1	66.2
3年以上5年未満	100.0	55.2	44.7	59.4
5年以上10年未満	100.0	65.7	34.2	69.5
10年以上	100.0	59.9	40.1	72.9

平成１６年	100.0	70.3	29.6	・・・

注：「労働者計」には「ヒヤリ・ハット体験不明」が含まれる。

第２３表　　ヒヤリ・ハット体験の周知状況別労働者割合

（単位：％）
区分	ヒヤリ・ハット体験あり										周知する機会あった（平成１６年）
			周知する機会があった							周知する機会がなかった
					周知する機会（複数回答）
					朝礼など現場のミーティングで話し合いをした	元方事業者の安全衛生教育時に話し合いをした	事業主の店社で行うミーティング中に話し合いをした	個人的に他の労働者に対して知らせた	その他の機会で知らせた

平成２１年	[60.0]	100.0	93.0	(100.0)	(71.7)	(32.1)	(27.0)	(48.7)	(24.8)	7.0	95.2
（年齢階級）
29歳以下	[65.2]	100.0	89.7	(100.0)	(63.1)	(21.4)	(19.2)	(52.6)	(27.6)	10.3	91.8
30～39歳	[62.9]	100.0	94.4	(100.0)	(75.3)	(29.6)	(26.9)	(50.8)	(25.7)	5.6	94.4
40～49歳	[58.0]	100.0	91.7	(100.0)	(75.4)	(37.0)	(31.4)	(46.4)	(22.6)	8.3	95.8
50～59歳	[57.7]	100.0	93.2	(100.0)	(68.3)	(36.6)	(25.3)	(46.5)	(24.6)	6.8	97.9
60歳以上	[53.4]	100.0	96.7	(100.0)	(71.4)	(35.5)	(33.3)	(45.3)	(22.7)	3.3	96.6
（性）
男	[60.2]	100.0	92.9	(100.0)	(71.6)	(32.4)	(27.3)	(49.0)	(24.5)	7.1	95.2
女	[51.1]	100.0	94.1	(100.0)	(72.6)	(6.8)	(3.2)	(26.5)	(43.9)	5.9	92.2
（職種）
建築作業者	[60.6]	100.0	92.9	(100.0)	(65.6)	(28.9)	(29.8)	(57.4)	(23.3)	7.1	95.5
土木作業者	[63.2]	100.0	93.1	(100.0)	(73.1)	(34.8)	(23.3)	(46.9)	(24.0)	6.9	95.5
建設機械オペレーター	[54.6]	100.0	91.8	(100.0)	(66.1)	(24.8)	(22.6)	(47.6)	(27.7)	8.2	95.8
軽作業者	[45.7]	100.0	90.3	(100.0)	(60.9)	(12.4)	(12.1)	(48.2)	(24.5)	9.7	97.7
その他	[59.3]	100.0	93.2	(100.0)	(78.1)	(35.5)	(27.4)	(41.1)	(26.3)	6.8	94.3
（経験年数）
1年未満	[40.8]	100.0	89.4	(100.0)	(57.5)	(13.5)	(5.5)	(50.2)	(24.1)	10.6	76.0
1年以上3年未満	[60.9]	100.0	82.3	(100.0)	(68.3)	(28.4)	(27.7)	(48.4)	(33.8)	17.7	86.9
3年以上5年未満	[55.2]	100.0	95.0	(100.0)	(59.5)	(20.8)	(16.3)	(56.3)	(26.9)	5.0	94.3
5年以上10年未満	[65.7]	100.0	92.3	(100.0)	(61.8)	(25.3)	(26.0)	(48.9)	(21.7)	7.7	92.8
10年以上	[59.9]	100.0	93.9	(100.0)	(75.5)	(35.3)	(28.6)	(47.9)	(24.7)	6.1	97.0

平成１６年	[70.3]	100.0	95.2	(100.0)	(73.3)	(28.8)	(23.4)	(51.6)	(20.4)	4.8	・・・

注：１）「ヒヤリ・ハット体験あり」には「周知する機会の有無不明」が含まれる。

２）「周知する機会があった」には「周知する機会不明」が含まれる。

２　安全衛生教育の受講

(1) 安全衛生教育及び新規入場者教育の受講状況

現在の工事現場で作業をしていく上で、安全衛生教育（本調査では、新規に現場に入場したときの教育・作業内容が変更されたときの教育・危険又は有害な業務についての教育・職長に対する教育・安全管理者等に対する教育・その他の教育が対象。）（※２０）を「受けたことがある」労働者の割合は９７．１％[前回９６．５％]となっている。

また、「新規に現場に入場したときの教育」を受けた労働者のうち、教育の「効果があった」労働者の割合は９６．０％[前回９６．３％]となっている。（第２４表）

第２４表　　安全衛生教育の受講の有無並びに新規に現場に入場したときの教育の受講及び教育効果の有無別労働者割合

（単位：％）
区分	労働者計	現在の工事現場で安全衛生教育を受けたことがある					現在の工事現場で安全衛生教育を受けたことがない	現在の工事現場で安全衛生教育を受けたことがある（平成１６年）
				新規に現場に入場したときの教育
				受けた		受けなかった
				効果があった	効果はなかった	受けなかった

平成２１年	100.0	97.1	(100.0)	(96.0)	(1.7)	(2.4)	2.8	96.5
（年齢階級）
29歳以下	100.0	97.5	(100.0)	(97.1)	(1.9)	(1.0)	2.5	94.2
30～39歳	100.0	97.9	(100.0)	(96.9)	(1.4)	(1.7)	2.1	97.6
40～49歳	100.0	96.1	(100.0)	(95.4)	(2.0)	(2.5)	3.7	97.2
50～59歳	100.0	96.8	(100.0)	(93.9)	(1.8)	(4.3)	3.0	96.5
60歳以上	100.0	97.6	(100.0)	(97.3)	(1.0)	(1.7)	2.3	95.0
（性）
男	100.0	97.2	(100.0)	(95.9)	(1.7)	(2.4)	2.7	96.7
女	100.0	94.8	(100.0)	(98.2)	(1.6)	(0.3)	5.2	84.8
（職種）
建築作業者	100.0	98.2	(100.0)	(97.7)	(2.2)	(0.1)	1.8	96.4
土木作業者	100.0	99.1	(100.0)	(97.0)	(1.9)	(1.1)	0.8	98.2
建設機械オペレーター	100.0	97.8	(100.0)	(98.0)	(1.8)	(0.2)	2.2	96.2
軽作業者	100.0	100.0	(100.0)	(99.1)	(0.7)	(0.2)	0.0	91.2
その他	100.0	94.9	(100.0)	(93.2)	(1.0)	(5.8)	4.9	96.6
（経験年数）
1年未満	100.0	92.2	(100.0)	(97.1)	(0.4)	(2.4)	7.8	92.0
1年以上3年未満	100.0	94.8	(100.0)	(94.9)	(3.1)	(2.0)	5.2	94.3
3年以上5年未満	100.0	96.9	(100.0)	(97.8)	(2.1)	(0.1)	3.1	96.7
5年以上10年未満	100.0	99.1	(100.0)	(96.8)	(1.6)	(1.6)	0.9	96.3
10年以上	100.0	97.1	(100.0)	(95.7)	(1.6)	(2.8)	2.8	96.9

平成１６年	100.0	96.5	(100.0)	(96.3)	(1.5)	(2.2)	3.4	・・・

注：１）「労働者計」には「現在の工事現場で安全衛生教育の受講の有無不明」が含まれる。

２）「現在の工事現場で安全衛生教育を受けたことがある」には「作業内容が変更されたときの教育」「危険又は有害な業務についての教育」「職長に対する教育」「安全管理者等に対する教育」「その他の教育」及び「安全衛生教育の種類不明」が含まれる。

３　工期短縮による安全衛生面への影響、希望する安全衛生対策

(1) 工期短縮による安全衛生面への影響

５年前(平成１６年)と現在を比較して、工事全体の工期が短縮されていると「思う」労働者の割合は５５．５％[前回６１．２％]となっている。

また、工期短縮によって、安全衛生面で「何らかの影響が生じている」と感じている労働者の割合は８３．４％[前回７９．４％]となっている。（第２５表）

第２５表　　工期短縮による安全衛生面への影響に対する労働者の意識別労働者割合

（単位：％）
区分	労働者計	工期が短縮されていると思う				工期が短縮されていると思わない	わからない	工期が短縮されていると思う（平成１６年）
				安全衛生面への影響
				何らかの影響が生じている	特段の影響は生じていない

平成２１年	100.0	55.5	(100.0)	(83.4)	(16.6)	22.8	21.1	61.2
（年齢階級）
29歳以下	100.0	41.9	(100.0)	(91.9)	(8.1)	7.4	49.8	41.0
30～39歳	100.0	58.1	(100.0)	(82.1)	(17.9)	24.4	16.4	65.1
40～49歳	100.0	60.9	(100.0)	(87.4)	(12.6)	24.9	14.0	67.6
50～59歳	100.0	52.7	(100.0)	(82.9)	(17.1)	28.6	18.4	64.5
60歳以上	100.0	60.8	(100.0)	(69.1)	(30.9)	21.6	17.2	63.5
（性）
男	100.0	55.7	(100.0)	(83.3)	(16.7)	23.0	20.9	61.5
女	100.0	43.7	(100.0)	(92.3)	(7.7)	10.8	30.8	29.2
（職種）
建築作業者	100.0	62.6	(100.0)	(86.6)	(13.4)	17.7	18.9	70.2
土木作業者	100.0	48.8	(100.0)	(78.0)	(22.0)	24.4	26.0	52.1
建設機械オペレーター	100.0	40.3	(100.0)	(77.8)	(22.2)	31.6	27.6	51.0
軽作業者	100.0	68.1	(100.0)	(69.5)	(30.5)	13.5	18.1	42.4
その他	100.0	54.0	(100.0)	(83.6)	(16.4)	25.9	19.7	57.9
（経験年数）
1年未満	100.0	10.1	(100.0)	(74.6)	(25.4)	3.8	83.8	23.9
1年以上3年未満	100.0	23.2	(100.0)	(89.0)	(11.0)	10.6	64.3	18.5
3年以上5年未満	100.0	41.1	(100.0)	(90.5)	(9.5)	16.0	41.5	35.5
5年以上10年未満	100.0	59.3	(100.0)	(83.8)	(16.2)	18.1	22.1	62.4
10年以上	100.0	60.2	(100.0)	(82.7)	(17.3)	26.0	13.3	68.6

平成１６年	100.0	61.2	(100.0)	(79.4)	(20.6)	20.0	18.6	・・・

注：１）「労働者計」には「工期短縮の有無　無回答」が含まれる。

２）「工期が短縮されていると思う」には「安全衛生面への影響無回答」が含まれる。

(2) 労働災害防止対策として希望する事項

労働災害防止対策として事業主及び元方事業者に対して希望することが「ある」労働者の割合は６７．５％[前回７０．４％]となっている。また、希望する事項の内容（複数回答）をみると、「日数に余裕を持った行程にする」８２．４％[前回７９．９％]と最も高く、次いで「天気の悪い日や夜間はなるべく作業させない」４５．９％[前回４６．０％]などとなっている。（第２６表）

第２６表　　労働災害防止対策として希望する事項別労働者割合

（単位：％）
区分	希望することがある労働者計												希望することがある（平成１６年）
			希望する事項の内容（複数回答）
			日数に余裕を持った行程にする	天気の悪い日や夜間はなるべく作業させない	充分な作業員を確保する	職長は作業者間の連絡と調整を十分に行う	工事の責任者は現場に常にいるようにする	現場に適当な人数の有資格者を配置する	ヘルメット・安全帯など古くなったものは交換する	安全のきまりを守らない業者とは契約をしない	安全衛生教育を十分に行う	その他

平成２１年	[67.5]	100.0	82.4	45.9	44.1	37.3	28.0	25.3	33.8	35.2	34.5	8.3	[70.4]
（年齢階級）
29歳以下	[64.1]	100.0	83.7	57.2	49.0	38.3	29.8	26.9	37.8	35.4	32.3	13.9	[66.8]
30～39歳	[69.4]	100.0	83.5	46.0	45.2	34.4	26.6	25.5	31.6	37.2	33.2	11.2	[75.5]
40～49歳	[72.3]	100.0	86.6	44.3	47.2	38.2	27.5	20.0	32.0	33.2	33.2	5.1	[69.2]
50～59歳	[64.0]	100.0	79.1	46.4	41.1	39.3	26.6	29.2	34.0	36.0	38.2	6.1	[67.3]
60歳以上	[61.5]	100.0	70.9	31.3	29.9	38.3	35.3	29.0	40.8	31.9	37.7	3.8	[70.2]
（性）
男	[67.4]	100.0	82.3	45.6	43.7	37.0	27.6	24.9	33.5	34.8	34.2	8.0	[70.7]
女	[70.6]	100.0	87.1	62.3	70.3	57.0	50.7	47.9	55.1	57.4	53.9	26.2	[42.9]
（職種）
建築作業者	[71.8]	100.0	87.3	47.7	41.5	39.9	33.0	24.3	39.1	33.2	37.1	8.4	[70.5]
土木作業者	[59.4]	100.0	79.4	48.5	47.8	32.5	26.4	27.1	32.3	31.4	28.7	6.0	[67.9]
建設機械オペレーター	[49.1]	100.0	73.3	61.2	49.0	32.6	27.1	35.2	33.8	26.3	29.7	8.3	[65.7]
軽作業者	[45.3]	100.0	63.7	54.9	61.2	38.1	26.8	25.6	33.0	31.0	38.7	12.9	[54.4]
その他	[71.2]	100.0	80.2	41.1	44.1	37.3	23.8	24.4	29.2	39.9	34.8	9.1	[73.8]
（経験年数）
1年未満	[49.4]	100.0	69.2	68.8	39.8	50.1	31.1	24.3	49.2	43.0	45.9	14.7	[47.0]
1年以上3年未満	[55.2]	100.0	69.4	51.1	48.7	35.0	28.2	32.7	32.6	38.9	33.0	14.2	[66.2]
3年以上5年未満	[59.7]	100.0	86.5	60.7	58.1	44.3	26.3	24.3	38.7	38.2	37.5	10.0	[70.1]
5年以上10年未満	[71.9]	100.0	79.8	44.1	44.9	33.3	27.4	21.8	28.6	27.2	24.7	7.2	[68.0]
10年以上	[68.9]	100.0	83.7	44.2	42.6	37.5	28.2	25.7	34.3	36.3	36.2	7.8	[72.4]

平成１６年	[70.4]	100.0	79.9	46.0	43.1	36.6	31.6	24.9	33.5	38.4	33.4	7.0	[・・・]

注：１）[　 ] 内は全労働者のうち「希望することがある労働者」の割合である。

２）「希望することがある労働者計」には「希望する事項の内容不明」が含まれる。

【労働者調査】

１ ヒヤリ・ハット体験

(1) ヒヤリ・ハット体験の有無及び周知状況

第２２表 現在の工事現場でのヒヤリ・ハット体験の有無別労働者割合

第２３表 ヒヤリ・ハット体験の周知状況別労働者割合

２ 安全衛生教育の受講