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平成24年7月 月例労働経済報告

1 概況

  1. (1)一般経済の概況
     景気は、依然として厳しい状況にあるものの、復興需要等を背景として、緩やかに回復しつつある。
    • 生産は、緩やかに持ち直している。輸出は、持ち直しの動きがみられる。
    • 企業収益は、持ち直している。設備投資は、緩やかに持ち直している。
    • 企業の業況判断は、大企業を中心に小幅改善となっている。
    • 雇用情勢は、持ち直しているものの、東日本大震災の影響もあり依然として厳しい。
    • 個人消費は、緩やかに増加している。
    • 物価の動向を総合してみると、下落テンポが緩和しているものの、緩やかなデフレ状況にある。
     先行きについては、復興需要等を背景に、景気回復の動きが確かなものとなることが期待される。ただし、欧州政府債務危機を巡る不確実性が依然として高いなかで、世界景気に減速感が広がっている。こうした海外経済の状況が、金融資本市場を通じた影響も含め、我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、電力供給の制約、デフレの影響等にも注意が必要である。
  2. (2)労働経済の概況
      労働経済面をみると、雇用情勢は、持ち直しているものの、東日本大震災の影響もあり依然として厳しい第1図)。
     完全失業率は、5月は前月比0.2%ポイント低下し4.4%となった。また、15〜24歳層の完全失業率は、前月比0.9%ポイント低下し、8.3%となった。労働力人口、就業者数、完全失業者数はいずれも減少した。雇用者数はこのところ減少している。
     新規求人数が増加していることなどから有効求人倍率は上昇している。製造業の残業時間は、持ち直しの動きがみられるものの、5月は前月比で減少した。
     賃金をみると、定期給与、現金給与総額は底堅く推移している。
     企業の雇用人員判断は、6月は全産業では横ばいとなっているものの、製造業では過剰感の高まりがみられる。
     先行きについては、引き続き厳しさが残るものの、持ち直していくと見込まれる。

2 一般経済

  1. (1)鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産は、緩やかに持ち直している。
     2012年5月の鉱工業生産(季節調整済前月比、確報、以下同じ)は、3.4%低下した(第2図)。
     業種別にみると、輸送機械工業、化学工業、一般機械工業等が低下し、食料品・たばこ工業、繊維工業、石油・石炭製品工業等が上昇した。
     出荷は前月比1.3%の低下。在庫は前月比0.7%の低下であった。
     生産の先行きについては、内需の増加等を背景に、持ち直し傾向が続くものと期待されるが、世界景気の減速感の広がりや電力供給制約、自動車販売の今後の動向等に留意する必要がある。
     なお、製造工業生産予測調査においては、6月は前月比2.7%の上昇、7月は同2.4%の上昇が見込まれている。
  2. (2)最終需要の動向をみると、
    1. [1]個人消費は、緩やかに増加している。
       二人以上の世帯の実質消費支出(季節調整済前月比、速報、以下同じ)は、4月0.8%減の後、5月1.5%増となった。うち勤労者世帯では、4月0.2%増から、5月2.3%減となった。勤労者世帯の平均消費性向(季節調整値)は4月73.0%の後、5月74.6%となった(第3図)。
       消費者態度指数(季節調整済前月差)の推移をみると、5月は0.7ポイント上昇し、40.7となった。
       5月の小売業販売額(季節調整済前月比、確報、以下同じ)は、0.7%増、大型小売店販売額は1.0%増となった。また、国内新車(乗用車のみ)登録・届出台数(前年同月比)は、5月68.6%増の後、6月46.8%増となった。
       先行きについては、雇用・所得環境が安定的に推移するなかで、政策効果もあって、緩やかな増加傾向が続くと見込まれる。ただし、電力供給の制約や自動車販売の今後の動向には留意が必要である。
    2. [2]設備投資は、緩やかに持ち直している。
       財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の設備投資は、2011年10〜12月期に季節調整済前期比11.8%増加した後、2012年1〜3月期同1.7%減少(うち製造業同3.6%増加、非製造業同4.5%減少)となっている。また、資本財出荷指数(除く輸送機械)をみると、2012年5月は季節調整済前月比5.6%上昇した。
       今後の動向については、日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(6月調査)では、2012年度の設備投資計画(前年度比)は、全規模では4.0%の増加、製造業では7.2%増加、非製造業は2.3%増加となっている。(第4表) また、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、4月は季節調整済前月比5.7%増加したが、5月は同14.8%減少した。国土交通省「建築着工統計」による非居住用建築物(民間)の工事予定額をみると、4月は季節調整済前月比17.0%増加、5月は同3.5%減少した。
       先行きについては、企業収益が持ち直すなかで、復興需要もあって、引き続き持ち直していくと見込まれる。
    3. [3]住宅建設は、持ち直している。
       新設住宅着工戸数をみると、4月は季節調整済前月比5.7%増加した後、5月も同0.8%増加し、年率90.3万戸となった(第5図)。
       着工床面積は、4月は季節調整済前月比5.2%増加した後、5月も同3.2%増加した。
       先行きについては、雇用・所得環境が安定的に推移するなかで、復興需要もあって、引き続き持ち直していくことが期待される。ただし、建設労働者の需給状況に注視が必要である。
    4. [4]公共投資は、堅調に推移している。
       公共機関からの建設工事受注額は、4月は前年同月比30.2%の増加、5月も同47.5%の増加となった。また、公共工事請負金額(「公共工事前払金保証統計」)をみると、5月は36.7%の増加、6月は14.1%の増加となった。
       先行きについては、関連予算の執行により、強めの動きとなることが見込まれる。
    5. [5]輸出は、持ち直しの動きがみられる。
       通関輸出(数量ベース、季節調整済前期比)は、4月は2.0%上昇したが、5月は1.8%低下した。四半期別では、2011年10〜12月期に4.1%低下したが、2012年1〜3月期は0.3%上昇した(第6図)。
       地域別にみると、アジア向けの輸出は、このところ横ばいとなっている。アメリカ向けの輸出は、増加している。EU向けの輸出は、横ばいとなっている。先行きについては、アメリカ経済の緩やかな回復傾向等を背景に、持ち直しの動きが続くことが期待されるが、世界景気の減速感の広がりや円高の影響等に留意する必要がある。
       輸入は、持ち直しの動きがみられる。
       通関輸入(数量ベース、季節調整済前期比)は、4月は2.0%低下したが、5月は1.9%上昇した。四半期別では、2011年10〜12月期は0.6%上昇、2012年1〜3月期も0.2%上昇した(第6図)。
       地域別にみると、アジアからの輸入は、持ち直しの動きがみられる。アメリカからの輸入は、緩やかに増加している。EUからの輸入は、横ばいとなっている。先行きについては、底堅く推移することが見込まれる。
  3. (3)国内企業物価は、このところ緩やかに下落している。消費者物価は、このところ横ばいとなっている。
     5月の国内企業物価(確報)は、前月比0.5%下落(前年同月比0.7%下落)となり、輸出物価(円ベース)は同2.4%下落(同3.6%下落)、輸入物価(同)は同2.8%下落(同2.0%下落)となった。
     4月の消費者物価は、生鮮食品、石油製品及びその他特殊要因を除く総合(コアコア)では前年同月比(固定基準)0.5%下落(季節調整済前月比(同)0.2%下落)となった。総合が同0.2%上昇(同0.4%下落)となり、生鮮食品を除く総合は同0.1%下落(同0.3%下落)となった(第7図)。
     先行きについては、消費者物価(コアコア)は、当面、横ばい圏内で推移すると見込まれる。
     なお、消費者物価(コアコア)が前年比で引き続き下落していることなども含め、物価の動向を総合してみると、下落テンポが緩和しているものの、持続的な物価下落という意味において、緩やかなデフレ状況にある。
  4. (4)企業収益は、持ち直している。企業の業況判断は、大企業を中心に小幅改善となっている。倒産件数は、おおむね横ばいとなっている。
     財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の経常利益は、四半期別前年同期比で、2011年10〜12月期10.3%の減益、2012年1〜3月期9.3%の増益(製造業3.6%増益、非製造業11.8%増益)、季節調整済前期比で2011年10〜12月期1.8%の増益、2012年1〜3月期は9.5%の増益(製造業17.4%増益、非製造業6.1%増益)となった。
     また、日本銀行「全国企業短観経済観測調査」(6月調査)によれば、企業の全規模の2012年度の経常利益計画(前年度比)は、通期では全規模3.4%の増益、製造業9.2%の増益、非製造業0.1%の減益となっている(第8表)。
     企業の業況判断D.I.(「良い」−「悪い」)について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(6月調査)をみると、規模計で、全産業▲4ポイント(2ポイント改善)、製造業▲8ポイント(1ポイント悪化)、非製造業▲3ポイント(2ポイント改善)となっている(負の数には▲を付した。)(第9表)。
     倒産件数(東京商工リサーチ調べ)は、2012年6月は975件で、前年同月比16.3%の減少となった。
  5. (5)2012年1〜3月期の実質国内総生産(GDP)成長率は、季節調整済前期比1.2%増(年率4.7%増)となった。内外需別にみると、国内需要の寄与度は1.0%増、財貨・サービスの純輸出の寄与度は0.1%増となった。また、名目GDPの成長率は季節調整済前期比1.2%増(年率4.9%増)となった(第10図)。

3 雇用・失業

  1. (1)[1] 5月の就業者数(季節調整値)は、6,245万人となった。

     就業者数(季節調整値)は、5月は前月差10万人減の6,245万人(原数値は6,297万人、前年同月差30万人減)となった。男女別には、男性が3,603万人(前月差2万人減)、女性が2,641万人(同9万人減)となった(第11表)。
     5月の雇用者数(季節調整値)は、5,472万人となった。
     雇用者数(季節調整値)は5月は前月差9万人減の5,472万人(原数値は5,494万人、前年同月差37万人減)となった(第12図)。男女別には、男性が3,126万人(前月差5万人減)、女性が2,347万人(同4万人減)となった。雇用形態別(原数値)にみると、常雇が4,733万人、臨時雇・日雇が762万人となった。
     5月の常用雇用指数(事業所規模5人以上、季節調整済指数、確報)は、前月比0.2%増となった。また、一般とパートの別にみると、一般労働者は前月比0.4%増、パートタイム労働者は前月と同水準となった。

  2. [2]5月の完全失業率(季節調整値)は、4.4%となった。
     完全失業率(季節調整値)は5月は前月差0.2%ポイント低下の4.4%(原数値は4.5%、前年同月差0.2%ポイント低下)となった。男女別には、男性が4.5%(前月差0.3%ポイント低下)、女性が4.3%(同0.1%ポイント上昇)となった。
     5月の完全失業者数(季節調整値)は、289万人となった。
     完全失業者数(季節調整値)は、5月は前月差10万人減の289万人(原数値は297万人、前年同月差17万人減)となった。男女別には、男性が170万人(前月差13万人減)、女性が119万人(同2万人増)となった。
     なお、求職理由別(原数値)にみると、5月は非自発的理由による離職失業者は106万人(前年同月差12万人減)、自発的理由による離職失業者は101万人(同2万人減)、学卒未就職者は18万人(前年同月と同水準)、その他の理由による失業者は67万人(同1万人減)となった(第11表)。
  3. [3]5月の労働力人口(季節調整値)は、6,534万人となった。
     労働力人口(季節調整値)は、5月は前月差20万人減の6,534万人(原数値は6,595万人、前年同月差46万人減)となった。
     5月の非労働力人口(季節調整値)は、4,556万人となった。
     非労働力人口(季節調整値)は、5月は前月差9万人増の4,556万人(原数値は4,494万人、前年同月差21万人増)となった。男女別には、男性が1,580万人(前月差10万人増)、女性が2,978万人(同1万人増)となった。
     労働力人口比率(原数値)は、5月は59.5%(前年同月差0.2%ポイント低下)となった。男女別には、男性が71.0%(前年同月差0.6%ポイント低下)、女性が48.7%(同0.2%ポイント上昇)となった(第11表)。
     就業率(15歳以上人口に占める就業者の割合、原数値)は、5月は56.8%(前年同月差0.1%ポイント低下)となった。
  4. (2) 月間有効求人数(季節調整値)は、前月比2.4%増と14か月連続で増加した。
     月間有効求職者数(季節調整値)は、前月比0.2%減と2か月連続で減少した。
     4月の有効求人倍率(季節調整値)は、0.81倍と前月より0.02ポイント上昇した。
     新規求人数(季節調整値)は、前月比3.0%増と3か月連続で増加した。
     新規求職者数(季節調整値)は、前月比2.1%減と2か月連続で減少した。
     4月の新規求人倍率(季節調整値)は、1.35倍と前月より0.07ポイント上昇した第13表)。
     正社員の有効求人倍率は、0.43倍(前年同月差0.09ポイント上昇)となった。
     新規求人数(季節調整値)を一般(除パート)とパートの別でみると、5月は一般は前月比4.0%増と2か月連続で増加し、パートについては同4.3%増と3か月連続で増加した。新規求職者数(季節調整値)は、一般は前月比1.5%減と2か月連続で減少し、パートについては同2.7%減と2か月連続で減少した。
  5. (3) 産業別にみると、5月の就業者数(原数値)は、医療・福祉は前年同月差18万人増、教育,学習支援業は同3万人増、建設業は同1万人増と増加したのに対し、製造業は同17万人減、運輸業,郵便業は同17万人減、宿泊業,飲食サービス業は同13万人減、学術研究,専門・技術サービス業は同9万人減、卸売業,小売業は同8万人減、生活関連サービス業,娯楽業は同6万人減、情報通信業は同2万人減と減少し、その他サービス業は前年と同水準であった。
     また、5月の新規求人(原数値)は、宿泊業,飲食サービス業は前年同月比34.7%増、その他サービス業は同30.9%増、生活関連サービス業,娯楽業は同29.3%増、運輸業,郵便業は同29.1%増、卸売業,小売業は同27.9%増、建設業は同24.9%増、情報通信業は同24.7%増、医療,福祉は同23.9%増、教育,学習支援業は同21.7%増、学術研究、専門・サービス業は同18.5%増、製造業は同18.2%増、と2か月連続で全ての主要産業で増加した。
  6. (4) 雇用に先行して動くと考えられる指標についてみると、所定外労働時間(事業所規模5人以上、季節調整済指数、確報)は、製造業では4月に前月比0.3%減となった後、5月は同3.1%減、調査産業計では4月に前月比1.3%減となった後、5月は同1.9%増となった。
    日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(6月調査)によると、雇用人員判断D.I.(「過剰」-「不足」)は、全産業では1%ポイント(3月調査と同水準)となり、15四半期連続で過剰超過となった(第14図)。
    厚生労働省「労働経済動向調査」によると、2012年1〜3月期に雇用調整を実施した事業所割合は33%となり2011年10〜12月期と同水準であった(第15図)。また、4〜6月期に実施予定の事業所割合は31%、7〜9月期に実施予定の事業所割合は27%となっている。

4 賃金・労働時間

  1. (1)5月の現金給与総額(事業所規模5人以上、産業計、確報、以下同じ)は267,741円で、前年同月比1.1%減となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比0.8%減、パートタイム労働者は同2.2%増となった。
     内訳をみると、所定内給与は前年同月比横ばい(一般労働者同0.2%増、パートタイム労働者同2.1%増)となったほか、所定外給与は同6.9%増、特別給与は同35.5%減となった(第16図)。
     また、きまって支給する給与は前年同月比0.4%増(一般労働者同0.7%増、パートタイム労働者同2.2%増)となった。
  2. (2)5月の総実労働時間(事業所規模5人以上、産業計、確報、以下同じ)は144.0時間で、前年同月比3.2%増となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比3.9%増、パートタイム労働者は同1.9%増となった。
     内訳をみると、所定内労働時間は133.8時間で前年同月比3.0%増(一般労働者同3.6%増、パートタイム労働者同1.7%増)、所定外労働時間は10.2時間で同5.6%増(一般労働者同7.6%増、パートタイム労働者同5.1%増)となった。なお、月間出勤日数は18.7日で前年同月差は0.6日増となった。
     5月の製造業の所定外労働時間は13.9時間で、前年同月比12.8%増となった。
    規模別にみると、500人以上規模で前年同月比24.3%増、100〜499人規模で同4.2%増、30〜99人規模で同5.8%増、5〜29人規模で同25.4%増となった(第17図)。

7月の主要変更点

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