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平成24年5月 月例労働経済報告
1 概況
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(1)一般経済の概況
景気は、依然として厳しい状況にあるものの、復興需要等を背景として、緩やかに回復しつつある。- 生産は、緩やかに持ち直している。輸出は、持ち直しの動きがみられる。
- 企業収益は、減少してきたものの、下げ止まりの兆しもみられる。設備投資は、このところ持ち直しの動きがみられる。
- 企業の業況判断は、大企業製造業で下げ止まっており、全体としては小幅改善となっている。
- 雇用情勢は、 持ち直しているものの、東日本大震災の影響もあり依然として厳しい。
- 個人消費は、緩やかに増加している。
- 物価の動向を総合してみると、下落テンポが緩和しているものの、緩やかなデフレ状況にある。
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(2)労働経済の概況
労働経済面をみると、雇用情勢は、持ち直しているものの、東日本大震災の影響もあり依然として厳しい(第1図)。
完全失業率は、3月は前月同水準の4.5%となった。また、15〜24歳層の完全失業率は、前月比0.6%ポイント低下し、8.6%となった。労働力人口、就業者数、完全失業者数はいずれも減少した。雇用者数はこのところ持ち直しの動きがみられる。
新規求人数が増加していることなどから有効求人倍率は上昇している。製造業の残業時間は、持ち直しの動きがみられる。
賃金をみると、定期給与、現金給与総額は底堅く推移している。
先行きについては、引き続き厳しさが残るものの、持ち直していくと見込まれる。
2 一般経済
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(1)鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産は、緩やかに持ち直している。
2012年 3月の鉱工業生産(季節調整済前月比、確報、以下同じ)は、1.3%上昇した(第2図)。
業種別にみると、 輸送機械工業、化学工業、情報通信機械工業等が上昇し、電子部品・デバイス工業、パルプ・紙・紙加工品工業、繊維工業が低下した。
出荷は 前月比0.5%の上昇。在庫は前月比4.3%の上昇であった。
生産の先行きについては、内需の増加や電子部品の需給改善等を背景に、持ち直し傾向が続くものと期待されるが、海外景気の下振れリスクや電力供給制約等に留意する必要がある。
なお、製造工業生産予測調査においては、4月は前月比1.0%の上昇、5月は同4.1%の低下が見込まれている。 -
(2)最終需要の動向をみると、
- [1]個人消費は、緩やかに増加している。
二人以上の世帯の実質消費支出(季節調整済前月比、速報、以下同じ)は、 2月1.8% 増の後、3月0.1% 減となった。うち勤労者世帯では、2月2.7%増から、3月1.6%減となった。勤労者世帯の平均消費性向(季節調整値)は2月72.3%の後、3月72.9%となった(第3図)。
消費者態度指数(季節調整済前月差)の推移をみると、3月は0.4ポイント上昇し、40.3となった。
3月の小売業販売額(季節調整済前月比、確報、以下同じ)は、1.2%減、大型小売店販売額は4.1%減となった。また、国内新車(乗用車のみ)登録・届出台数(前年同月比)は、3月76.3%増の後、4月99.5%増となった。
先行きについては、雇用・所得環境が安定的に推移するなかで、政策効果もあって、緩やかな増加傾向が続くと見込まれる。ただし、電力供給の制約には留意が必要である。 - [2]設備投資は、このところ持ち直しの動きがみられる。
財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の設備投資は、2011年7〜9月期に季節調整済前期比0.9%低下した後、10〜12月期同11.9%上昇(うち製造業同4.2%上昇、非製造業同16.5%上昇)となっている。また、資本財出荷指数(除く輸送機械)をみると、2012年3月は季節調整済前月比0.2%低下した。
今後の動向については、日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(3月調査)では、2012年度の設備投資計画(前年度比)は、全規模では1.3%の低下、製造業では0.4%上昇、非製造業は2.2%低下となっている(第4表)。また、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、2月は季節調整済前月比2.8%上昇したが、3月は同2.8%低下した。国土交通省「建築着工統計」による非居住用建築物(民間)の工事予定額をみると、2月は季節調整済前月比13.1%低下、3月も同10.6%低下した。
先行きについては、企業収益が持ち直すなかで、復興需要もあって、持ち直していくと見込まれる。 - [3]住宅建設は、このところ持ち直しの動きがみられる。
新設住宅着工戸数をみると、2月は季節調整済前月比11.6%上昇したが、3月は同7.6%低下し、年率84.8万戸となった(第5図)。
着工床面積は、2月は季節調整済前月比9.9%上昇したが、3月は同8.5%低下した。
先行きについては、雇用・所得環境が安定的に推移するなかで、復興需要もあって、持ち直していくことが期待される。ただし、建設労働者の需給状況に注視が必要である。 - [4]公共投資は、堅調に推移している。
公共機関からの建設工事受注額は、2月は前年同月比20.2%の上昇、3月も同12.2%の上昇となった。また、公共工事請負金額(「公共工事前払金保証統計」)をみると、3月は8.0%の上昇、4月は5.4%の上昇となった。
先行きについては、補正予算による押し上げ効果が引き続き見込まれる。 - [5]輸出は、 持ち直しの動きがみられる。
通関輸出(数量ベース、季節調整済前期比)は、2月に7.0%上昇し、 3月も1.3%上昇した。四半期別では、2011年10〜12月期に4.1%低下したが、2012年1〜3月期は0.3%上昇した(第6図)。
地域別にみると、アジア向けの輸出は、持ち直しの動きがみられる。アメリカ向けの輸出は、増加している。EU向けの輸出は、下げ止まりつつある。先行きについては、アメリカ経済の回復等を背景に、持ち直していくことが期待されるが、海外景気の下振れリスク等に留意する必要がある。
輸入は、横ばいとなっている。
通関輸入(数量ベース、季節調整済前期比)は、 2月は5.5%低下したが、 3月は7.4%上昇した。四半期別では、2011年10〜12月期は0.6%上昇、2012年1〜3月期も0.1%上昇した(第6図)。
地域別にみると、アジア、アメリカ、EUからの輸入は、ともに横ばいとなっている。先行きについては、当面、横ばい圏内の動きとなることが見込まれる。
- [1]個人消費は、緩やかに増加している。
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(3)国内企業物価は、このところ緩やかに上昇している。消費者物価は、このところ横ばいとなっている。
3月の国内企業物価(確報)は、前月比0.5%上昇(前年同月比0.5%上昇)となり、輸出物価は同3.7%上昇(同0.1%上昇)、輸入物価は同6.3%上昇(同7.0%上昇)となった。
3月の消費者物価は、生鮮食品、石油製品及びその他特殊要因を除く総合(コアコア)では前年同月比0.3%下落(季節調整済前月比横ばい)となった。総合が 同0.5%上昇(同0.1%上昇)となり、生鮮食品を除く総合は同 0.2%上昇(同0.1%上昇)となった(第7図)。
先行きについては、消費者物価(コアコア)は、当面、横ばい圏内で推移すると見込まれる。
なお、消費者物価(コアコア)が前年比で引き続き下落していることなども含め、物価の動向を総合してみると、下落テンポが緩和しているものの、持続的な物価下落という意味において、緩やかなデフレ状況にある。 -
(4)企業収益は、減少してきたものの、下げ止まりの兆しもみられる。企業の業況判断は、大企業製造業で下げ止まっており、全体としては小幅改善となっている。倒産件数は、おおむね横ばいとなっている。
財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の経常利益は、四半期別前年同期比で、2011年7〜9月期8.5%の低下、10〜12月期10.3%の低下(製造業21.5%低下、非製造業4.3%低下)、季節調整済前期比で2011年7〜9月期5.3%の上昇、10〜12月期は2.1%の低下(製造業9.4%低下、非製造業1.2%上昇)となった。
また、日本銀行「全国企業短観経済観測調査」(3月調査)によれば、企業の全規模の2012年度の経常利益計画(前年度比)は、通期では全規模2.1%の増益、 製造業3.5%の増益、非製造業1.2%の増益となっている(第8表)。
企業の業況判断D.I.(「良い」−「悪い」)について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(3月調査)をみると、規模計で、全産業 ▲6ポイント(1ポイント改善)、製造業 ▲7ポイント( 2ポイント悪化)、非製造業▲5ポイント(2ポイント改善)となっている(負の数には▲を付した。)(第9表)。
倒産件数(東京商工リサーチ調べ)は、2012年4月は1,004件で、前年同月比6.6%の低下となった。 - (5)2012年1〜3月期の実質国内総生産(GDP)成長率は、季節調整済前期比1.0%増(年率4.1%増)となった。内外需別にみると、国内需要の寄与度は0.9%増、財貨・サービスの純輸出の寄与度は0.1%増となった。また、名目GDPの成長率は季節調整済前期比1.0%増(年率4.1%増)となった(第10図)。
3 雇用・失業
- (1)[1] 3月の就業者数(季節調整値)は、6,271万人となった。
就業者数(季節調整値)は、3月は前月差17万人減の6,271万人(原数値は6,215万人、前年同月差23万人減)となった。男女別には、男性が3,614万人(前月差16万人減)、女性が2,657万人(同1万人減)となった(第11表)。
3月の雇用者数(季節調整値)は、5,486万人となった。
雇用者数(季節調整値)は3月は前月差26万人減の5,486万人(原数値は5,449万人、前年同月差17万人減)となった(第12図)。男女別には、男性が3,139万人(前月差20万人減)、女性が2,347万人(前月差5万人減)となった。雇用形態別(原数値)にみると、常雇が4,721万人、臨時雇・日雇が729万人となった。
3月の常用雇用指数(事業所規模5人以上、季節調整済指数、確報)は、前月比0.1%増となった。また、一般とパートの別にみると、一般労働者は同0.2%減、パートタイム労働者は同0.9%増となった。 - [2]3月の完全失業率(季節調整値)は、4.5%となった。
完全失業率(季節調整値)は 3月は 前月と同水準の4.5%(原数値は4.7%、前年同月差0.2%ポイント低下)となった。男女別には、男性が4.9%(前月差0.2%ポイント上昇)、女性が4.1%(同0.1%ポイント低下)となった。
3月の完全失業者数(季節調整値)は、297万人となった。
完全失業者数(季節調整値)は、 3月は前月差1万人減の297万人(原数値は307万人、前年同月差15万人減)となった。男女別には、男性が184万人(前月差3万人増)、女性が113万人(同5万人減)となった。
なお、求職理由別(原数値)にみると、 3月は非自発的理由による離職失業者は105万人(前年同月差17万人減)、自発的理由による離職失業者は99万人(同5万人減)、学卒未就職者は23万人(前年同月差2万人増)、その他の理由による失業者は75万人(同5万人増)となった(第11表)。 - [3]3月の労働力人口(季節調整値)は、6,567万人となった。
労働力人口(季節調整値)は、 3月は 前月差21万人減の6,567万人(原数値は6,521万人、前年同月差39万人減)となった。
3月の非労働力人口(季節調整値)は、4,534万人となった。
非労働力人口(季節調整値)は、3月は前月差21万人増の4,534万人(原数値は4,577万人、前年同月差27万人増)となった。男女別には、男性が1,559万人(前月差16万人増)、女性が2,975万人(同6万人増)となった。
労働力人口比率(原数値)は、 3月は58.7%(前年同月差0.3%ポイント低下)となった。男女別には、男性が70.7%(前年同月比0.3%ポイント低下)、女性が47.7%(前年同月と同水準)となった(第11表)。
就業率(15歳以上人口に占める就業者の割合、原数値)は、3月は56.0%(前年同 月差0.1%ポイント低下)となった。 - (2) 月間有効求人数(季節調整値)は、前月比1.7%増と12か月連続で増加した。
月間有効求職者数(季節調整値)は、前月比0.2%増と9か月ぶりに増加した。
3月の有効求人倍率(季節調整値)は、0.76倍と前月 より0.01ポイント上昇した。
新規求人数(季節調整値)は、前月比1.6%増と2か月ぶりに増加した。
新規求職者数(季節調整値)は、前月比8.1%増と 2か月ぶりに増加した。
3月の新規求人倍率(季節調整値)は、1.19倍と前月より0.08ポイント低下した(第13表)。
正社員の有効求人倍率は、0.46倍(前年同月差0.08ポイント上昇)となった。
新規求人数(季節調整値)を一般(除パート)とパートの別でみると、3月は一般は前月比 0.3%減と2か月ぶりに減少し、パートについては同4.6%増と2か月ぶりに増加した。新規求職者数(季節調整値)は、一般は前月比8.8%増と2か月ぶりに増加し、パートについては同5.8%増と5か月ぶりに増加した。 - (3)産業別にみると、3月の就業者数(原数値)は、医療・福祉は前年同月差34万人増、その他サービス業同13万人増,情報通信業は同6万人増,建設業は同3万人増と増加したのに対し、卸売業,小売業は同26万人減、学術研究,専門・技術サービス業は同19万人減、宿泊業,飲食サービス業は同14万人減、運輸業,郵便業は同10万人減、製造業は7万人減,生活関連サービス業,娯楽業は同4万人減、教育,学習支援業は同2万人減であった。
また、 3月の新規求人(原数値)は、建設業は前年同月比32.4%増、宿泊業,飲食サービス業は同26.8%増、情報通信業は同21.3%増、生活関連サービス業,娯楽業は同20.4%増、卸売業,小売業は同18.2%増、学術研究、専門・サービス業は同18.2%増、その他サービス業は同16.9%増、運輸業,郵便業は同16.2%増、医療,福祉は同14.4%増、製造業は同4.9%増と増加したのに対し、教育,学習支援業は同3.7%減と減少した。 - (4)雇用に先行して動くと考えられる指標についてみると、所定外労働時間(事業所規模5人以上、季節調整済指数、確報)は、製造業では 2月に前月比 5.3%増となった後、3月は同0.3%減、調査産業計では 2月に前月比1.0%増となった後、3月は同1.0%増となった。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(3月調査)によると、雇用人員判断D.I.(「過剰」-「不足」)は、全産業では1%ポイント(12月調査より1%ポイント低下)となり、14四半期連続で過剰超過となった(第14図)。
厚生労働省「労働経済動向調査」によると、2011年10〜12月期に雇用調整を実施した事業所割合は33%となり7〜9月期と同水準であった(第15図)。また、1〜3月期に実施予定の事業所割合は32%、4〜6月期に実施予定の事業所割合は29%となっている。
4 賃金・労働時間
- (1)3月の現金給与総額(事業所規模5人以上、産業計、確報、以下同じ)は277,462円で、前年同月比0.9%増となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比1.0%増、パートタイム労働者は同4.0%増となった。
内訳をみると、所定内給与は前年同月比0.4%増(一般労働者同0.1%増、パートタイム労働者同4.3%増)となったほか、所定外給与は同4.5%増、特別給与は同6.5%増となった(第16図)。
また、きまって支給する給与は前年同月比0.7%増(一般労働者同0.6%増、パートタイム労働者同4.7%増)となった。 - (2)3月の総実労働時間(事業所規模5人以上、産業計、確報、以下同じ)は148.7時間で、前年同月比1.5%増となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比1.3%増、パートタイム労働者は同4.1%増となった。
内訳をみると、所定内労働時間は137.8時間で前年同月比1.4%増(一般労働者同1.1%増、パートタイム労働者同3.8%増)、所定外労働時間は10.9時間で同4.3%増(一般労働者同5.3%増、パートタイム労働者同9.7%増)となった。なお、月間出勤日数は19.2日で前年同月差0.3日増となった。
3月の製造業の所定外労働時間は15.6時間で、前年同月比9.6%増となった。
規模別にみると、500人以上規模で前年同月比14.5%増、100〜499人規模で同3.1 %増、30〜99人規模で同7.3%増、5〜29人規模で同18.8%増となった(第17図)。
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