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平成24年1月 月例労働経済報告

1 概況

  1. (1)一般経済の概況
     景気は、東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にあるなかで、緩やかに持ち直している。
    • 生産は、緩やかに持ち直している。輸出は、このところ弱含んでいる。
    • 企業収益は、減少している。設備投資は、下げ止まりつつあるものの、このところ弱い動きもみられる。
    • 企業の業況判断は、大企業製造業で低下しており、全体としても小幅改善となっている。先行きについても、全体として慎重な見方となっている。
    • 雇用情勢は、 持ち直しの動きもみられるものの、東日本大震災の影響もあり依然として厳しい。
    • 個人消費は、おおむね横ばいとなっている。
    • 物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある。
     先行きについては、各種の政策効果などを背景に、景気の緩やかな持ち直し傾向が続くことが期待される。ただし、欧州の政府債務危機が、金融システムに対する懸念につながっていることや金融資本市場に影響を及ぼしていること等により、海外景気が下振れし、我が国の景気が下押しされるリスクが存在する。また、電力供給の制約や原子力災害の影響、さらには、デフレの影響、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要である。
  2. (2)労働経済の概況
     労働経済面をみると、雇用情勢は、持ち直しの動きもみられるものの、東日本大震災の影響もあり依然として厳しい(第1図)。

     完全失業率は、11月は前月同水準の4.5%となった。また、15〜24歳層の完全失業率は、前月比0.5%ポイント上昇し、8.7%となった。完全失業者数、就業者数がいずれも増加し、労働力人口は増加した。雇用者数はこのところ横ばいで推移している。
     新規求人数が増加していることなどから有効求人倍率は上昇している。製造業の残業時間は、減少している。
     賃金をみると、定期給与は横ばい圏内で推移しているものの、特別給与の減少などから、現金給与総額は弱い動きとなっている。
     先行きについては、東日本大震災の影響や生産の動向に留意する必要がある。

2 一般経済

  1. (1)鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産は、緩やかに持ち直している。
     2011年11月の鉱工業生産(季節調整済前月比、速報、以下同じ)は、2.6%低下した(第2図)。
     業種別にみると、電子部品・デバイス工業、プラスチック製品工業、繊維工業等が上昇し、輸送機械工業、情報通信機械工業、鉄鋼業等が低下した。
     出荷は前月比1.5%の低下。在庫も前月比0.8%の低下であった。
     今後の動向については、製造工業生産予測調査によると、タイの洪水による部品等調達難の解消やばん回生産等により、平成23年12月は前月比4.8%の上昇、平成24年1月は同3.4%の上昇が見込まれている。
     先行きについては、緩やかな持ち直し傾向が続くものと期待されるが、海外景気の下振れリスクや円高の影響、電力供給制約等に留意する必要がある。
  2. (2)最終需要の動向をみると、
    1. (1)個人消費は、おおむね横ばいとなっている。
       二人以上の世帯の実質消費支出(季節調整済前月比、速報、以下同じ)は、10月0.3%増の後、11月1.3%減となった。うち勤労者世帯では、10月0.3%増から、11月1.7%減となった。勤労者世帯の平均消費性向(季節調整値)は10月71.8%の後、11月73.7%となった(第3図)。
       消費者態度指数(季節調整済前月差)の推移をみると、11月は0.5ポイント下落し、38.1となった。
       11月の小売業販売額(季節調整済前月比、速報、以下同じ)は、2.1%減、大型小売店販売額は1.5%減となった。また、乗用車(軽を含む)の新車登録台数(原数値前年同月比)は、11月25.1%増の後、12月20.9%増となった。
       先行きについては、おおむね横ばいで推移すると見込まれる。ただし、雇用・所得環境や電力供給の制約には留意が必要である。
    2. (2)設備投資は、下げ止まりつつあるものの、このところ弱い動きもみられる。
       財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の設備投資は、2011年4〜6月期季節調整済前期比6.3%低下の後、7〜9月期同2.7%低下(うち製造業同3.0%上昇、非製造業同5.8%低下)となっており、製造業で上昇したものの、全産業、非製造業では低下している。また、資本財出荷指数(除く輸送機械)をみると、2011年11月は季節調整済前月比0.9%上昇となった。
       今後の動向については、日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)では、全規模の2011年度の設備投資計画(前年度比)は、全産業では0.0%の横ばい、製造業では8.6%上昇、非製造業は4.5%低下となっている(第4図)。また、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、季節調整済前月比で2011年10月に6.9%低下した後、11月は14.8%の上昇となっている。国土交通省「建築着工統計」による非居住用建築物(民間)の工事予定額をみると、2011年10月は季節調整済前月比2.8%低下の後、11月も同6.0%の低下となっている。
       先行きについては、東日本大震災からの復旧需要が見込まれることから、持ち直しに復することが期待される。
    3. (3)住宅建設は、持ち直しの動きがみられる。
       新設住宅着工戸数をみると、2011年10月は季節調整済前月比3.9%の上昇、11月も同9.1%上昇し年率84.5万戸となった(第5図)。
       着工床面積は、2011年10月は季節調整済前月比1.2%の上昇、11月も同10.1%の上昇となった。
       先行きについては、緩やかに持ち直していくことが期待される。ただし、雇用・所得環境に加え、建設労働者の需給状況に注視が必要である。
    4. (4)公共投資は、平成23年度補正予算の効果もあり、このところ底堅い動きとなっている。
       公共機関からの建設工事受注額は、2011年10月は前年同月比35.8%上昇、11月は同10.1%の低下となった。また、公共工事請負金額(「公共工事前払金保証統計」)をみると、11月は6.8%の上昇、12月は0.6%の上昇となった。
       先行きについては、補正予算による押し上げ効果が見込まれる。
       なお、平成24年度一般会計予算案及び東日本大震災復興特別会計(仮称)予算案では、公共事業関係費について前年度比6.6%増としている。また、平成24年度地方財政対策では、投資的経費のうち地方単独事業費について、前年度比3.6%程度減としている。
    5. (5)輸出は、このところ弱含んでいる。
       通関輸出(数量ベース、季節調整済前期比)は、2011年10月は5.0%の低下、11月は2.5%の低下となっており、四半期別では、2011年4〜6月期7.3%低下の後、7〜9月期7.2%上昇となった(第6図)。
       地域別にみると、アジア向けの輸出は、このところ弱含んでいる。なお、タイ向けの輸出は大幅に減少している。アメリカ向けの輸出は、タイの洪水被害による影響がみられる自動車輸出等を除くと、このところ横ばいとなっている。EU向けの輸出は、減少している。先行きについては、海外景気の下振れリスク、円高の影響やサプライチェーンの立て直しが一巡したことに留意する必要がある。
      輸入は、このところ増勢が鈍化している。
       通関輸入(数量ベース、季節調整済前期比)は、2011年10月は4.4%の上昇、11月は2.1%の低下となっており、四半期別では、2011年4〜6月期1.1%低下した後、7〜9月期0.7%上昇した(第6図)。
       地域別にみると、アジアからの輸入は、洪水被害によるタイからの輸入の減少を除いても、基調としてこのところ横ばいとなっている。アメリカからの輸入は、横ばいとなっている。EUからの輸入は、緩やかに増加している。先行きについては、緩やかに増加することが見込まれるものの、生産や消費の動向に留意する必要がある。
  3. (3)国内企業物価は、緩やかに下落している。消費者物価は、緩やかに下落している。
     11月の国内企業物価(確報)は、前月比横ばい(前年同月比1.6%上昇)となり、輸出物価は同0.1%上昇(同3.2%下落)、輸入物価は同0.1%上昇(同8.7%上昇)となった。  11月の消費者物価は、生鮮食品、石油製品及びその他特殊要因を除く総合(コアコア)では前年同月比0.9%下落(季節調整済前月比0.1%下落)となった。総合が同0.5%下落(同0.2%下落)となり、生鮮食品を除く総合は同0.2%下落(同横ばい)となった(第7図)。  先行きについては、消費者物価(コアコア)は、当面、緩やかな下落傾向で推移すると見込まれる。  なお、消費者物価は下落基調が続いているなど、物価の動向を総合してみると、持続的な物価下落という意味において、緩やかなデフレ状況にある。
  4. (4)企業収益は、減少している。企業の業況判断は、大企業製造業で低下しており、全体としても小幅改善となっている。先行きについても、全体として慎重な見方となっている。倒産件数は、緩やかに減少している。
     財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の経常利益は、四半期別前年同期比で、2011年4〜6月期14.6%減の低下、7〜9月期8.5%の低下(製造業18.7%低下、非製造業2.7%低下)、季節調整済前期比で2011年4〜6月期11.3%の低下、7〜9月期は3.6%の上昇(製造業0.8%低下、非製造業5.8%上昇)となった。
     また、日本銀行「全国企業短観経済観測調査」(12月調査)によれば、企業の全規模の2011年度の経常利益計画(前年度比)は、2011年度(計画)通期では全産業4.8%の減益、製造業5.2%の減益、非製造業4.6%の減益となっている。なお、2011年度上期では、全産業5.8%の減益、製造業8.7%の減益、非製造業3.8%の減益の後、下期(計画)でも全産業3.8%の減益、製造業1.3%の減益、非製造業5.3%の減益が見込まれている(第8図)。
     企業の業況判断D.I.(「良い」-「悪い」)について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)をみると、規模計で、全産業▲7ポイント(2ポイント上昇)、製造業▲5ポイント(横ばい)、非製造業▲7ポイント(5ポイント上昇)となっており、製造業で横ばい、全産業、非製造業で改善している(負の数には▲を付した。)(第9図)。
     倒産件数(東京商工リサーチ調べ)は、2011年12月は1,032件で、前年同月比6.3%の低下となった。
  5. (5)2011年7〜9月期の実質国内総生産(GDP)成長率は、季節調整済前期比1.4%増(年率5.6%増)となった。内外需別にみると、国内需要の寄与度は0.8%増、財貨・サービスの純輸出の寄与度は0.6%増となった。また、名目GDPの成長率は季節調整済前期比1.2%増(年率5.0%増)となった(第10図)。

3 雇用・失業

  1. (1)[1] 11月の就業者数(季節調整値)は、6,249万人となった。

     就業者数(季節調整値)は、11月は前月差3万人増加の6,249万人(原数値は6,260万人、前年同月差8万人増)となった。男女別には、男性が3,604万人(前月差13万人増)、女性が2,645万人(同10万人減)となった(第11図)。
     11月の雇用者数(季節調整値)は、5,484万人となった。
     雇用者数(季節調整値)は11月は前月差23万人増の5,484万人(原数値は5,505万人、前年同月差24万人増)となった(第12図)。男女別には、男性が3,137万人(前月差24万人増)、女性が2,346万人(同2万人減)となった。雇用形態別(原数値)にみると、常雇が4,721万人(前年同月差26万人増)、臨時雇・日雇が784万人(同2万人減)となった。
     11月の常用雇用指数(事業所規模5人以上、季節調整済指数、速報)は、前月比0.1%増となった。また、一般とパートの別にみると、一般労働者は同0.8%増.、パートタイム労働者は同2.0%減となった。

  2. [2]11月の完全失業率(季節調整値)は、4.5%となった。
     完全失業率(季節調整値)は11月は前月と同水準の4.5%(原数値は4.3%、前年同月差0.5%ポイント低下)となった。男女別には、男性が4.8%(前月と同水準)、女性が4.1%(同0.1%ポイント上昇)となった。
     11月の完全失業者数(季節調整値)は、296万人となった。
     完全失業者数(季節調整値)は、11月は前月差4万人増の296万人(原数値は280万人、前年同月差38万人減)となった。男女別には、男性が182万人(前月差1万人増)、女性が113万人(同3万人増)となった。
     なお、求職理由別(原数値)にみると、11月は非自発的理由による離職失業者は102万人(前年同月差20万人減)、自発的理由による離職失業者は95万人(同8万人減)、学卒未就職者は13万人(同1万人減)、その他の理由による失業者は66万人(同7万人減)となった(第11図)。
  3. [3]11月の労働力人口(季節調整値)は、6,545万人となった。
     労働力人口(季節調整値)は、11月は前月差8万人増の6,545万人(原数値は6,540万人、前年同月差30万人減)となった。
     11月の非労働力人口(季節調整値)は、4,488万人となった。
     非労働力人口(季節調整値)は、11月は前月差8万人減の4,488万人(原数値は4,497万人、前年同月差22万人増)となった。男女別には、男性が1,540万人(前月差16万人減)、女性が2,948万人(同8万人増)となった。
     労働力人口比率(原数値)は、11月は59.2%(前年同月差0.2%ポイント低下)となった。男女別には、男性が70.9%(前年同月比0.3%減)、女性が48.4%(同0.1%ポイント低下)となった(第11図)。
     就業率(15歳以上人口に占める就業者の割合、原数値)は、11月は56.7%(前年同月差0.1%ポイント上昇)となった。
  4. (2)月間有効求人数(季節調整値)は、前月比1.1%増と7か月連続で増加した。
     月間有効求職者数(季節調整値)は、前月比1.8%減と2か月ぶりに減少した。
     11月の有効求人倍率(季節調整値)は、0.69倍と前月より0.02ポイント上昇した。
     新規求人数(季節調整値)は、前月比3.4%増と2か月連続で増加した。
     新規求職者数(季節調整値)は、前月比1.4%減と2か月ぶりに減少した。
     11月の新規求人倍率(季節調整値)は、1.18倍と前月より0.05ポイント上昇した第13図)。
     正社員の有効求人倍率は、0.45倍(前年同月差0.09ポイント上昇)となった。
     新規求人数(季節調整値)を一般(除パート)とパートの別でみると、11月は一般は前月比4.3%増と2か月連続で増加し、パートについては同2.5%増と7か月連続で増加した。新規求職者数(季節調整値)は、一般は前月比1.1%減と3か月連続で減少し、パートについては同1.9%減と2か月ぶりに減少した。
  5. (3)産業別にみると、11月の就業者数(原数値)は、学術研究,専門・技術サービス業は前年同月差24万人増、医療・福祉は同24万人増、その他サービス業は同15万人増、建設業は同7万人増、教育,学習支援業は同2万人増と増加したのに対し、製造業は同15万人減、宿泊業,飲食サービス業は同7万人減、卸売業,小売業は同6万人減、情報通信業は同4万人減、運輸業,郵便業は同4万人減と減少した。生活関連サービス業,娯楽業は前年同水準であった。
     また、11月の新規求人(原数値)は、建設業は前年同月比28.6%増、生活関連サービス業,娯楽業は同18.9%増、宿泊業,飲食サービス業は同16.5%増、情報通信業は同16.4%増、医療,福祉は同15.6%増、その他サービス業は同15.2%増、卸売業,小売業は同13.4%増、製造業は同12.1%増、学術研究、専門・サービス業は同12.1%増、教育,学習支援業は同6.0%増、運輸業,郵便業は同5.6%増と全ての主要産業で増加となった。
  6. (4)雇用に先行して動くと考えられる指標についてみると、所定外労働時間(事業所規模5人以上、季節調整済指数、速報)は、製造業では10月に前月比0.9%増となった後、11月は同2.5%減、調査産業計では10月に前月比0.1%減となった後、11月は同1.0%減となった。
     日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)によると、雇用人員判断D.I.(「過剰」-「不足」)は、全産業では2%ポイント(9月調査より1%ポイント低下)となり、13四半期連続で過剰超過となった(第14図)。
     厚生労働省「労働経済動向調査」によると、2011年7〜9月期に雇用調整を実施した事業所割合は33%となり4〜6月期から6%ポイント減少した(第15図)。また、10〜12月期に実施予定の事業所割合は30%、1〜3月期に実施予定の事業所割合は26%となっている。

4 賃金・労働時間

  1. (1)11月の現金給与総額(事業所規模5人以上、産業計、速報、以下同じ)は276,218円で、前年同月比1.0%減となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比1.5%減、パートタイム労働者は同0.6%増となった。
     内訳をみると、所定内給与は前年同月比0.3%増(一般労働者同0.2%減、パートタイム労働者同1.0%増)となったほか、所定外給与は同1.3%増、特別給与は同22.4%減となった(第16図)。
     また、きまって支給する給与は前年同月比0.3%増(一般労働者同0.2%減、パートタイム労働者同0.8%増)となった。
  2. (2)11月の総実労働時間(事業所規模5人以上、産業計、速報、以下同じ)は148.8時間で、前年同月比0.1%増となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比0.2%減、パートタイム労働者は同0.3%減となった。
     内訳をみると、所定内労働時間は138.5時間で前年同月比0.2%増(一般労働者同横ばい、パートタイム労働者同0.2%減)、所定外労働時間は10.3時間で同0.9%減(一般労働者同1.5%減、パートタイム労働者同3.6%減)となった。なお、月間出勤日数は19.4日で前年同月差0.1日増となった。  11月の製造業の所定外労働時間は14.8時間で、前年同月比横ばいとなった。
     規模別にみると、500人以上規模で前年同月比1.8%減、100〜499人規模で同横ばい、30〜99人規模で同2.0%減、5〜29人規模で同8.0%増となった(第17図)。

1月の主要変更点


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