厚生労働省

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4月月例労働経済報告

概況

(1)一般経済の概況

景気は、急速な悪化が続いており、厳しい状況にある。

・輸出は、大幅に減少している。生産は、極めて大幅に減少している。

・企業収益は、極めて大幅に減少している。設備投資は、減少している。

・雇用情勢は、急速に悪化しつつある。

・個人消費は、緩やかに減少している。

先行きについては、当面、悪化が続くとみられるものの、在庫調整が進展するにつれ、悪化のテンポが緩やかになっていくことが期待される。ただし、生産活動が極めて低い水準にあることなどから、雇用の大幅な調整が引き続き懸念される。加えて、世界的な金融危機の深刻化や世界景気の一層の下振れ懸念など、景気をさらに下押しするリスクが存在することに留意する必要がある。

(2)労働経済の概況

労働経済面をみると、雇用情勢は、急速に悪化しつつある(第1図)。

・完全失業率は、平成21年2月は前月差0.3ポイント上昇し、4.4%となった。

・15〜24歳層の完全失業率は、上昇している。

・新規求人数は、大幅に減少している。

・有効求人倍率は、大幅に低下している。

・雇用者数はこのところ弱含みで推移している。

・製造業の残業時間は、大幅に減少している。

・定期給与、現金給与総額は減少している。

一般経済

(1)鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産は、極めて大幅に減少している。

2009年2月の鉱工業生産(季節調整済前月比、確報、以下同じ)は、9.4%減と5か月連続で低下した(第2図)。

業種別にみると、2009年2月は輸送機械工業、一般機械工業、電気機械工業等が低下し、食料品・たばこ工業、石油・石炭製品工業が上昇した。

出荷は前月比6.1%減と低下した。在庫は前月比4.2%減と低下した。

今後の動向については、製造工業生産予測調査によると、製造工業生産は3月2.9%増の後、4月は3.1%増となっている。

先行きについては、需要が減少し、在庫率も著しく高まっているものの、在庫調整の進展につれ、生産の減少テンポは緩やかになるものと見込まれる。

(2)最終需要の動向をみると、
[1]個人消費は、緩やかに減少している。

二人以上の世帯の実質消費支出(季節調整済前月比、速報、以下同じ)は、1月0.8%減の後、2月0.3%増となった。うち勤労者世帯では、1月2.2%減の後、2月4.0%増となった。勤労者世帯の平均消費性向(季節調整値)は1月70.6%の後、2月75.5%となった(第3図)。

消費者態度指数の推移をみると、2009年1〜3月期(季節調整済前期差)は1.5ポイント上昇し、28.4となった。なお、3月(原数値前年同月差)は7.8ポイント低下し、28.9となった。

2月の小売業販売額(季節調整済前月比、確報、以下同じ)は、0.3%減、大型小売店販売額は1.2%増となった。また、乗用車(軽を含む)の新車登録台数(原数値前年同月比)は、2月24.4%減の後、3月24.5%減となった。

[2]設備投資は、減少している。

財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の設備投資は、2008年7〜9月期季節調整済前期比5.1%減の後、2008年10〜12月期同6.9%減(うち製造業同8.8%減、非製造業同5.5%減)となっており、全産業、製造業、非製造業で減少している。

今後の動向については、日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(3月調査)をみると、全規模の2008年度の設備投資計画(前年度比)は、全産業で5.4%減、製造業は4.3%減、非製造業は6.0%減となっている(第4表)。また、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、季節調整済前月比で2009年1月は3.2%減の後、2月は1.4%増となっている。国土交通省「建築着工統計」による非居住用建築物(民間)の工事予定額をみると、2009年1月は季節調整済前月比1.5%減の後、2月は同14.8%増となっている。

先行きについては、企業収益が極めて大幅に減少し、世界景気の一層の下振れ懸念など先行き不透明感が高いなかで、企業の設備投資計画においても大幅な減少が見込まれており、一層の減少が懸念される。

[3]住宅建設は、減少している。

新設住宅着工総戸数をみると、2009年1月は季節調整済前月比4.4%減、2月は同9.5%減の7.2万戸(年率86.6万戸)と2か月連続で減少した(第5図)。

新設住宅着工床面積は、2009年1月は季節調整済前月比2.0%減の後、2月は同6.0%減となった。

先行きについては、雇用情勢が急速に悪化しつつあり、所得が弱い動きとなっていること、マンション販売在庫数が高い水準にあることなどから、当面、減少傾向が続くと見込まれる。

[4]公共投資は、総じて低調に推移しているが、このところ平成20年度補正予算等の効果がみられる。

公共機関からの建設工事受注額は、前年同月比で、2009年1月は7.6%減の後、2月は4.9%減となった。また、公共工事請負金額(「公共工事前払金保証統計」)をみると、2009年2月前年同月比2.8%減の後、3月は同15.3%増となっている。先行きについては、関連予算の執行状況を注視していく必要がある。

[5]輸出は、大幅に減少している 。

通関輸出(数量ベース、季節調整済前期比)は、月別で2009年1月は14.4%減の後、2月は2.2%減となっており、四半期別では、2008年7〜9月期1.4%減の後、2008年10〜12月期16.8%減となった(第6図)。

地域別には、アジア向け、アメリカ向け、EU向けの輸出は、ともに大幅に減少している。先行きについては、世界の景気が後退するなかで、当面、減少傾向が続くと見込まれるものの、世界的な在庫調整の進展につれ、輸出の減少テンポは緩やかになっていくとみられる。

輸入は、減少している。

通関輸入(数量ベース、季節調整済前期比)は、月別で2009年1月は5.9%増の後、2009年2月は16.5%減となっており、四半期別では、2008年7〜9月期1.7%減の後、2008年10〜12月期4.7%減となった(第6図)。

地域別には、アジア、アメリカ、EUからの輸入は、ともに減少している。

(3)国内企業物価は、緩やかに下落している。消費者物価は、横ばいとなっている。

3月の国内企業物価(速報)は、前月比0.2%下落(前年同月比2.2%下落)となり、輸出物価は同3.8%上昇(同7.5%下落)、輸入物価は同3.4%上昇(同19.6%下落)となった。

2月の消費者物価は、総合が前年同月比0.1%下落(前月比0.3%下落)となり、生鮮食品を除く総合は同横ばい(同0.1%下落)となった(第7図)。

(4)企業収益は、極めて大幅に減少している。また、企業の業況判断は、極めて大幅に悪化している。倒産件数は、増加している。

財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の経常利益は、四半期別前年同期比で、2008年7〜9月期22.4%減の後、2008年10〜12月期64.1%減(製造業94.3%減、非製造業35.0%減)、季節調整値で2008年7〜9月期33.1%減の後、2008年10〜12月期40.9%減(製造業83.2%減、非製造業20.1%減)となった。

また、日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(3月調査)によれば、企業の全規模の2009年度の経常利益計画(前年度比)は、2009年度通期では全産業9.0%の減益、製造業22.2%の減益、非製造業2.9%の減益となっている。なお、2009年度上期では、全産業35.0%の減益、製造業53.0%の減益、非製造業19.0%の減益の後、下期では全産業60.5%の増益、製造業は利益、非製造業17.7%の増益が見込まれている(第8表)。

企業の業況判断D.I.(「良い」−「悪い」)について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(3月調査)をみると、規模計で、全産業 −46ポイント(22ポイント悪化)、製造業 −57ポイント(32ポイント悪化)、非製造業−38ポイント(15ポイント悪化)となっており、全産業、製造業、非製造業のいずれもで悪化となっている(第9表)。

倒産件数(東京商工リサーチ調べ)は、2009年3月1,537件で、前年同月比14.1%増となった。

(5)2008年10〜12月期の実質国内総生産(GDP)成長率は、季節調整済前期比3.2%減(年率12.1%減)となった。内外需別にみると、国内需要の寄与度は0.1%減、財貨・サービスの純輸出の寄与度は3.0%減となった。また、名目GDPの成長率は季節調整済前期比1.6%減となった(第10図)。

雇用・失業

(1)[1]2月の就業者数(季節調整値)は、2ヶ月ぶりに前月差で減少した。

就業者数(季節調整値)は、1月に前月差26万人増となった後、2月は同22万人減と減少し、6,373万人(原数値は6,265万人、前年同月差27万人減 )となった。男女別には、男性が3,698万人(前月差17万人減)、女性が2,676万人(同4万人減)となった(第11表)。

2月の雇用者数(季節調整値)は、3ヶ月連続で前月差で減少した。

雇用者数(季節調整値)は、1月に前月差10万人減となった後、2月は同17万人減と減少し、5,510万人(原数値は5,456万人、前年同月差2万人増)となった(第13図)。男女別には、男性が3,190万人(前月差7万人減)、女性が2,321万人(同9万人減)となった(第11表)。雇用形態別(原数値)にみると、常雇が4,705万人(前年同月差18万人減)、臨時雇が643万人(同16万人増)、日雇が109万人(同4万人増)となった。

2月の常用雇用指数(事業所規模5人以上、季節調整済値、確報)は、前月比0.2%減となった。また、一般とパートの別にみると、一般労働者は同0.2%増、パートタイム労働者は同1.0%減となった。

[2]2月の完全失業率(季節調整値)は、2ヶ月ぶりに前月差で上昇した。

完全失業率(季節調整値)は、1月に前月差0.2ポイント低下の4.1%となった後、2月は前月差0.3ポイント上昇の4.4%(原数値は4.6%、前年同月差0.5ポイント上昇)となった。男女別には、男性が4.4%(前月差0.2ポイント上昇)、女性が4.4%(同0.3ポイント上昇)となった。

2月の完全失業者数(季節調整値)は、2ヶ月ぶりに前月差で増加した。

完全失業者数(季節調整値)は、1月に前月差13万人減となった後、2月は前月差19万人増の295万人(原数値は299万人、前年同月差33万人増)となった。男女別には、男性が171万人(前月差8万人増)、女性が125万人(同11万人増)となった。

なお、求職理由別(原数値)にみると、2月は非自発的理由による離職失業者は119万人(前年差36万人増)、自発的理由による離職失業者は96万人(同7万人減)、学卒未就職者は11万人(同1万人増)、その他の理由による失業者は67万人(同1万人増)となった(第11表)。

[3]2月の労働力人口(季節調整値)は、4ヶ月ぶりに前月差で減少した。

労働力人口(季節調整値)は、1月に前月差15万人増となった後、2月は同1万人減と減少し、6,670万人(原数値は6,565万人、前年同月差7万人増)となった。

2月の非労働力人口(季節調整値)は、4ヶ月ぶりに前月差で増加した。

非労働力人口(季節調整値)は、1月に前月差20万人減となった後、2月は同2万人増と増加し、4,374万人(原数値は4,476万人、前年同月差6万人減)となった。男女別には、男性が1,469万人(前月差8万人増)、女性が2,906万人(前月差4万人減)となった。

労働力人口比率(原数値)は、 2月は59.4%(前年と同水準)となった。男女別には、男性が71.8%(同0.5ポイント低下)、女性が47.9%(同0.7ポイント上昇)となった(第11表)。

就業率(15歳以上人口に占める就業者の割合、原数値)は、2月は56.7%(前年同月差0.3ポイント低下)となった。

(2)有効求人数(季節調整値)は、前月比6.7%減と9ヶ月連続で減少した。

有効求職者数(季節調整値)は、前月4.9%増と10ヶ月連続で増加した。

2月の有効求人倍率(季節調整値)は、0.59倍と前月より0.08ポイント低下した。

新規求人数(季節調整値)は、前月比12.3%減と2ヶ月連続で減少した。

新規求職者数(季節調整値)は、前月比5.4%増と10ヶ月連続で増加した。

2月の新規求人倍率(季節調整値)は、0.77倍と前月より0.15ポイント低下した(第12表)。

正社員の有効求人倍率は、0.37倍(前年同月差0.26ポイント低下)となった。

新規求人(季節調整値)を一般(除パート)とパートの別でみると、2月は一般は前月比 14.0%減と2ヶ月連続で減少し、パートについては同12.5%減と2ヶ月連続で減少した。新規求職者数(季節調整値)は、一般は前月比4.8%増と10ヶ月連続で増加し、パートについては同5.5%減と2ヶ月ぶりに増加した。

(3)産業別にみると、2月の就業者数(原数値)は、医療,福祉は前年同月差34万人増、情報通信業及び運輸業,郵便業は同7万人増、教育,学習支援業は同6万人増、生活関連サービス業,娯楽業は同5万人増と増加したのに対し、建設業は同26万人減、製造業は同22万人減、学術研究,専門・技術サービス業は同10万人減、宿泊業,飲食サービス業は同9万人減、卸売業・小売業及びその他サービス業は同3万人減と減少した。

また、2月の新規求人(原数値)は、製造業は同61.3%減、情報通信業は同38.8%減、運輸業及びサービス業は同35.9%減、卸売・小売業は同28.5%減、建設業は同25.8%減、飲食店,宿泊業は同25.7%減、教育,学習支援業は同12.2%減、医療,福祉は同6.9%減と主要な産業すべてで減少した。

(4)雇用に先行して動くと考えられる指標についてみると、所定外労働時間(事業所規模5人以上、季節調整済指数、速報)は、製造業では1月に前月比15.8%減となった後、2月は同15.4%減、調査産業計では1月に前月比5.9%減となった後、2月は同7.5%減となった。

日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(3月調査)によると、雇用人員判断D.I.(「過剰」-「不足」)は、全産業では20%ポイント(12月調査より16%ポイント上昇)となり、2四半期連続で過剰超過となった(第14図)。

厚生労働省「労働経済動向調査」によると、2008年10〜12月期に雇用調整を実施した事業所割合は35%となり2008年7〜9月期から19%ポイント上昇した(第15図)。また、2009年1〜3月期に実施予定の事業所割合は41%、2009年4〜6月期に実施予定の事業所割合は36%となっている。

賃金・労働時間

(1)2月の現金給与総額(事業所規模5人以上、産業計、確報、以下同じ)は266,239円で、前年同月比2.4%減となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比2.1%減、パートタイム労働者は同2.5%減となった。

内訳をみると、所定内給与は前年同月比1.0%減(一般労働者同0.5%減、パートタイム労働者同2.3%減)となったほか、所定外給与は同17.7%減、特別給与は同15.9%減となった(第16図)。

また、きまって支給する給与は前年同月比2.3%減(一般労働者同1.9%減、パートタイム労働者同2.5%減)となった。

(2)2月の総実労働時間(事業所規模5人以上、産業計、確報、以下同じ)は142.3時間で、前年同月比5.4%減となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比5.3%減、パートタイム労働者は同5.0%減となった。

内訳をみると、所定内労働時間は133.5時間で前年同月比4.2%減(一般労働者同4.0%減、パートタイム労働者同4.7%減)、所定外労働時間は8.8時間で同21.7%減(一般労働者同21.2%減、パートタイム労働者同16.5%減)となった。なお、月間出勤日数は18.6日で前年同月差0.9日減となった。

2月の製造業の所定外労働時間は8.8時間で、前年同月比48.3%減となった。規模別にみると、500人以上規模で前年同月比58.4%減、100〜499人規模で同46.2%減、30〜99人規模で同46.5%減、5〜29人規模で同36.9%減となった(第17図)。

4月の主要変更点

月例労働経済報告のポイントPDF版(PDF:92KB)

月例労働経済報告PDF版(PDF:385KB)

月例労働経済報告参考表

データ取得エクセルでダウンロードできます。(参考表 (Excel:165KB))

データ取得エクセルでダウンロードできます。(図表 (Excel:9,312KB))

問合わせ先

政策統括官付 労働政策担当参事官室 分析第二係

電話 03(5253)1111 内線7732

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