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[III]結果の概要

 労働移動の状況
 平成14年1年間に労働移動を行った常用労働者は、入職者が約597万人(前年約626万人)、離職者が約682万人(同約701万人)で、延べ労働移動者は約1,279万人(同約1,327万人)、延べ労働移動率は31.0%(同32.0%)となった。入職率は14.5%(同15.1%)、離職率は16.6%(同16.9%)で、入職超過率をみると−2.1ポイント(同−1.8ポイント)で、前年に続き離職超過となった。(図1第1表

(1)  男女別入職・離職状況
 入職・離職率を男女別にみると、男は入職率が11.7%(前年12.3%)、離職率が13.7%(同13.9%)、女は入職率が18.7%(同19.5%)、離職率が20.9%(同21.6%)となった。前年と比べると、男は入職率が0.6ポイント、離職率が0.2ポイントそれぞれ低下し、女は入職率が0.8ポイント、離職率が0.7ポイントそれぞれ低下した。入職超過率は、男は−2.0ポイント、女は−2.2ポイントで、男女とも離職超過となった。(図2第1表

(2)  就業形態別入職・離職状況
 入職・離職率を就業形態別にみると、一般労働者は入職率が11.5%(前年11.7%)、離職率が14.2%(同14.2%)となり、パートタイム労働者は入職率が26.9%(同30.6%)、離職率が26.4%(同29.1%)となった。前年と比べると、一般労働者は入職率が0.2ポイント低下し、離職率は同率。パートタイム労働者は入職率が3.7ポイント低下し、離職率が2.7ポイント低下した。
 入職超過率は、一般労働者は−2.7ポイントで離職超過、パートタイム労働者は0.5ポイントで入職超過となった。(図3第1表

(3)  入職者・離職者に占めるパートタイム労働者の割合
 パートタイム労働者の入職者に占める割合は35.8%(前年36.7%)、離職者に占める割合は30.8%(同31.2%)となり、平成11年以降、上昇の割合が緩やかになっている。
 男女別にみると、男は入職者に占める割合が21.1%(同21.0%)、離職者に占める割合が16.4%(同17.2%)、女は入職者に占める割合が49.8%(同52.2%)、離職者に占める割合が45.2%(同45.3%)となった。(第1図第2表

(4)  産業別入職・離職状況
 入職・離職状況を産業別にみると、入職者はサービス業が約193万人と最も多く、次いで卸売・小売業,飲食店が約189万人、製造業が約92万人、建設業が約55万人などとなった。離職者は卸売・小売業,飲食店が約205万人と最も多く、次いでサービス業が約188万人、製造業が約130万人、建設業が約75万人などとなった。この4産業について入職・離職率をみると、入職率は卸売・小売業,飲食店が17.9%(前年18.0%)、と最も高く、次いでサービス業が17.1%(同18.8%)、建設業が13.6%(同12.5%)、製造業9.5%(同10.4%)となった。離職率は卸売・小売業,飲食店が19.5%(同19.2%)と最も高く次いで建設業が18.6%(同15.8%)、サービス業が16.7%(同18.2%)、製造業が13.5%(同14.4%)となった。前年と比べると、入職率は建設業が上昇し、製造業、卸売・小売業,飲食店、サービス業で低下した。離職率は建設業、卸売・小売業,飲食店が上昇し、製造業、サービス業は低下した。
 入職超過率は、サービス業が0.4ポイントで前年に引き続き入職超過となったが、建設業は−5.0ポイント、製造業は−4.0ポイント、卸売・小売業,飲食店は−1.6ポイントといずれも離職超過となった。(図4第3−1表

(5)  企業規模別入職・離職状況
 入職・離職率を企業規模別にみると、入職率は「5〜29人」が15.6%、「100〜299人」が15.0%、「30〜99人」が14.7%、「1,000人以上」及び「300〜999人」が13.1%、離職率は「5〜29人」が18.1%、「100〜299人」が17.0%、「30〜99人」が16.1%、「1,000人以上」が15.9%、「300〜999人」が15.3%となった。
 入職超過率をみると、「1,000人以上」が−2.8ポイント、「5〜29人」が−2.5ポイント、「300〜999人」が−2.2ポイント、「100〜299人」が−2.0ポイント、「30〜99人」が−1.4ポイントとなり、前年に引き続きすべての規模でマイナスとなり離職超過となった。(第4表

2 入職者の状況

(1)  職歴別入職者の状況
 入職者を職歴別にみると、転職入職者が約363万人、未就業入職者が約234万人(新規学卒者約89万人、一般未就業入職者約144万人)となり、転職入職率は8.8%(前年9.3%)、未就業入職率は5.7%(同5.8%)で、前年と比べると、転職入職率、未就業入職率ともに低下した。
 男女別にみると、男の転職入職率が7.8%(同8.3%)、未就業入職率.が3.9%(同4.0%)、女の転職入職率が10.4%(同10.9%)、未就業入職率が8.3%(同8.6%)となり、前年と比べると男女とも転職入職率及び未就業入職率が低下した。
 就業形態別にみると、一般労働者は転職入職率が7.6%(同7.9%)、未就業入職率が3.9%(同3.8%)、パートタイム労働者は転職入職率が14.0%(同15.7%)、未就業入職率が12.8%(同14.9%)で、前年と比べると、パートタイム労働者は転職入職率、未就業入職率ともに低下した。(図5第2−1図第2−2図第1表

(2)転職入職者の状況
   年齢階級別状況
 転職入職率を男女別にみると、男は、7.8%(前年8.3%)、女は10.4%(同10.9%)で男に比べ女の割合が高い。
 転職入職率を年齢階級別にみると、「20〜24歳」が15.6%、「25〜29歳」が12.0%、「19歳以下」が10.3%と30歳未満の年齢層で高い。これを男女別にみると、男は29歳までの転職入職率が高く、女は20〜44歳までが高くなっている。(第5表

   就業形態間移動状況
 転職入職者の就業形態間移動状況を前年と比べると、「パートタイム労働者から一般労働者へ」、の移動割合が1.4ポイント、「パートタイム労働者からパートタイム労働者へ」の移動割合が1.0ポイント、「一般労働者からパートタイム労働者へ」の移動割合が0.6ポイントそれぞれ上昇し、「一般労働者から一般労働者へ」の移動割合が2.6ポイント低下した(図6第6表)。

   産業間移動状況
 産業間の移動割合をみると、第3次産業から第3次産業への転職入職者の割合は59.3%(前年57.9%)、第3次産業から第2次産業への割合は8.5%(同10.6%)、第2次産業から第2次産業への転職入職者の割合は18.5%(同17.5%)、第2次産業から第3次産業への割合は12.3%(同12.5%)となった。
 第3次産業への転職入職者の割合が72.7%(同71.3%)、第2次産業への転職入職者の割合が27.3%(同28.7%)となり、前年と比べると、第3次産業への転職入職者の割合が1.4ポイント上昇した。(第7表

   離職期間別状況
 転職入職者の離職期間別構成比をみると、「15日未満」の割合が28.9%、「15日〜1ヵ月未満」12.4%、「1ヵ月〜3ヵ月未満」22.7%、「3ヵ月〜6ヵ月未満」17.2%、「6ヵ月〜1年未満」18.5%となった。
 男女別にみると、概ね女に比べ、男の方が離職期間が短く、就業形態別にみると、パートタイム労働者に比べ、一般労働者の方が離職期間が短くなっている。(図7−1第8−1表

 なお、転職入職者に入職前1〜2年間に就業経験のある入職者を加えた結果でみると、離職期間1年未満の割合が88.6%で、1年以上2年未満の割合が11.2%となり、男女別にみると1年以上2年未満の割合は、男9.9%、女12.5%で女の割合が高い。
 また、就業形態別にみると、一般労働者は8.8%、パートタイム労働者は16.2%でパートタイム労働者の割合が高い。(図7−2第8−2表

   賃金変動別状況
  転職入職者の賃金変動別構成比をみると、賃金が前の勤め先と比べ「1割以上の増加」であった者の割合が17.1%、「1割未満の増加」であった者が12.2%、「変わらない」者が38.5%、「1割未満の減少」であった者の割合が10.4%、「1割以上の減少」であった者が21.8%となった。
 前年と比べると、「増加」であった者の割合は29.3%(前年30.9%)で1.6ポイント低下、「変わらない」者の割合は38.5%(同37.8%)で0.7ポイント上昇、「減少」であった者の割合は32.2%(同31.3%)で0.9ポイント上昇した。
 D.I.(増加−減少)を年齢階級別にみると、年齢が高くなるにつれおおむね低下している。(第9表

3 離職者の状況

(1)  年齢階級別状況
 離職率を年齢階級別にみると、「19歳以下」が33.8%、「60〜64歳」が33.6%、「65歳以上」が32.5%、「20〜24歳」が25.4%、「25〜29歳」が20.4%と若年層及び高年齢層で高い。前年と比べると、40歳層と50歳層で上昇した。(第10表)

(2)  勤続期間別状況
 離職者の勤続期間別構成比をみると、勤続「1年未満」が34.4%(うち「6ヵ月未満」18.0%)と最も高く、次いで「10年以上」が19.8%、「2〜5年未満」が18.9%、「1〜2年」が14.2%、「5〜10年」が12.6%となった。前年と比べると、勤続「1年未満」は低下したが、勤続1年以上では上昇した。
 職業別にみると「管理的職業従事者」、「事務従事者」では「10年以上」の割合が最も高く(それぞれ64.6%、25.6%)、それ以外の職業では「1年未満」の割合が最も高く、「サービス職業従事者」は50.9%となっている。(第11表

(3)  離職理由別状況
離職者の離職理由別構成比をみると、「個人的理由」が65.0%(前年66.3%)で最も高く、次いで「経営上の都合」が12.3%(同12.0%)、「契約期間の満了」が11.9%(同10.2%)となり、前年と比べると、「個人的理由」が1.3ポイント低下し、「契約期間の満了」が1.7ポイント、「経営上の都合」が0.3ポイントそれぞれ上昇した。
 就業形態別にみると、一般労働者は「個人的理由」が60.7%(同60.9%)、「経営上の都合」が15.1%(同14.8%)、「契約期間の満了」が11.5%(同10.4%)で、前年と比べ「個人的理由」は0.2ポイント低下、「経営上の都合」は0.3ポイント、「契約期間の満了」は1.1ポイントそれぞれ上昇した。また、パートタイム労働者は「個人的理由」が74.4%、(同78.4%)、「契約期間の満了」が12.8%(同9.7%)、「経営上の都合」が6.0%(同5.9%)で、前年と比べ、「個人的理由」は4.0ポイント低下、「契約期間の満了」は3.1ポイント、「経営上の都合」は0.1ポイントそれぞれ上昇した。(図8第12表

 上半期・下半期別移動状況
 入職・離職率を上半期・下半期別にみると、入職率は上半期が8.8%(前年9.2%)、下半期が5.6%(同5.9%)、離職率は上半期が9.3%(同9.1%)、下半期が7.2%(同7.7%)で、前年同期と比べると、入職率は上半期・下半期とも低下し、離職率は上半期で上昇し、下半期で低下した。
 就業形態別にみると、一般労働者は入職率が上半期7.2%(同7.4%)、下半期4.3%(同4.3%)、離職率が上半期8.0%(同7.5%)、下半期6.2%(同6.6%)となり、パートタイム労働者は入職率が上半期15.5%(同17.3%)、下半期11.1%(同13.4%)、離職率が上半期14.9%(同16.7%)、下半期11.2%(同12.4%)で、前年同期と比べると、一般労働者は、入職率が上半期で低下し、下半期では同水準、離職率が上半期で上昇し、下半期で低下した。パートタイム労働者は、入職・離職率が上半期・下半期とも低下した。(図9第13表


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