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体細胞クローン家畜由来食品に関するQ & A

1 クローン技術全般について

Q1-1:体細胞クローン家畜由来食品とは何ですか。

 体細胞クローン技術を用いて産出された家畜及びその後代から作られた食品(肉、乳等)を指します。

Q1-2:体細胞クローン技術とは何ですか。

 成熟した個体の体細胞から取り出した核を、核を取り除いた未受精卵に移植して母体の子宮に戻すことにより新しい個体を作成する技術(※)です。親個体と同じ遺伝子を持つ個体を理論上は無限に作ることが可能となります。

  • ※ 核移植等の技術を用いて遺伝的に同一な個体を作る技術であるため、遺伝子の操作や改変等を行う遺伝子組換え技術とは異なります。

Q1-3:体細胞クローン技術は、どのような目的で開発されているのですか。

 親個体と全く同じ遺伝子を持つ個体を理論上は無限に作ることが可能となるため、畜産物の生産効率化等の観点から注目されています。(詳しくは、以下の農林水産省のHPを御参照ください。)

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2 安全性の評価・研究について

Q2-1:体細胞クローン家畜由来食品の安全性について、国際的に科学的な評価は行われているのですか。

 2008年1月に米国食品医薬品局(FDA)及び2008年7月に欧州食品安全機関(EFSA)が安全性評価の結果を公表しているところです。

Q2-2:米国が行った安全性評価の結果はどのようなものですか。

 2008年1月15日にFDAが公表した報告書においては、「体細胞クローン技術を用いて産出された牛、豚及び山羊並びにあらゆる体細胞クローン動物の後代に由来する食品(肉及び乳)は、従来の繁殖方法で産出した家畜に由来する食品と安全性において同等である」とされています。

Q2-3:欧州が行った安全性評価の結果はどのようなものですか。

 2008年7月24日にEFSAが公表した報告書においては、「体細胞クローン技術を用いて算出された牛及び豚並びにそれらの後代に由来する食品(肉及び乳)は、従来の繁殖方法で産出された家畜に由来する食品との間には安全性に関していかなる差異も存在しないであろう」とされています。

Q2-4:米国や欧州では、どのような観点から安全性の評価を行ったのですか。

 FDAやEFSAにおいては、体細胞クローン家畜とその後代の健康状態や性能に関するデータや、それら家畜に由来する肉や乳の栄養成分、毒性及びアレルギー誘発性に関するデータ等、現段階において利用可能なデータについて検討を行っています。

Q2-5:我が国においても、体細胞クローン家畜由来食品の安全性に関する調査研究が行われたことはありますか。また、その結果はどのようなものですか。

 平成11年度から14年度にかけて、厚生労働科学研究事業として体細胞クローン牛の食品としての安全性に関する研究が行われ、「体細胞クローン牛については、従来の技術により産出された牛にはない特有の要因によって食品の安全性が損なわれるとは考えがたい」とする研究結果がとりまとめられています。
 また、平成11年度から13年度にかけて、農林水産省所管の(社)畜産技術協会において体細胞クローン牛の肉と乳の安全性に関する研究が行われ、「一般牛の生産物との間に生物学的有意差は認められない」と結論付けられています。
 また、平成16年度から20年度にかけて、先端技術を活用した農林水産研究高度化事業として農林水産省所管の(独)農業・食品産業技術総合研究機構畜産草地研究所において「産業利用に向けた体細胞クローン牛に関する技術開発と調査(体細胞クローン後代牛の生産物性状に関する調査)」及び「体細胞クローン牛・後代牛の健全性ならびに生産物性状に関する国内調査」が行われ、その中間報告において「体細胞クローン後代牛が生産した乳肉の生産性状調査において、栄養成分分析等の検査で得られたデータを一般牛が生産した乳肉で得られたものと比較した結果、生物学的な差異は認められない」と結論付けられています。

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3 国内外における生産・流通状況について

Q3-1:我が国において、体細胞クローン家畜は生産されているのですか。

 我が国においては、農林水産省の所管する(独)農業・食品産業技術総合研究機構や(独)家畜改良センター、都道府県の畜産試験場等において、体細胞クローン技術を用いて生産された牛、豚及び山羊の肥育が行われており、平成23年3月末現在、体細胞クローン牛の出生頭数が589頭、体細胞クローン豚の出生頭数が580頭、体細胞クローン山羊の出生頭数が9頭等とされています。(詳しくは以下の農林水産省のHPを御覧ください。)

Q3-2:我が国において生産された体細胞クローン家畜は、市場に流通しているのですか。

 我が国において生産されている体細胞クローン家畜(牛、豚及び山羊)及びその後代は農林水産省が出荷自粛要請を行っているため、市場には流通していません。また、肥育を行っている関係研究機関等から農林水産省に対して処分状況等についての報告が行われており、上記のように定期的に取りまとめられ公表されております。

Q3-3:諸外国における体細胞クローン家畜由来食品の生産及び流通の状況はどうなっているのですか。

 体細胞クローン家畜を生産している国は、米国、韓国、オーストラリア等があります。これまでのところ、いずれの国においても体細胞クローン家畜由来食品が実際に市場に流通しているとの情報は得ていませんが、引き続き各国の状況について情報収集を行っていきます。

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4 食品安全委員会への評価依頼及び評価結果について

Q4-1:食品安全委員会への評価依頼を行う食品の範囲は、どのような観点から決定されたのですか。

 米国や欧州における評価の実施状況や、国内外における体細胞クローン家畜の生産状況と流通可能性、現在得られている知見等を考慮して決定したものです。

Q4-2:食品安全委員会の評価結果はどのようなものでしたか。

 2009年6月25日に食品安全委員会の食品健康影響評価が取りまとめられ、「体細胞クローン牛及び豚並びにそれらの後代に由来する食品は、従来の繁殖技術による牛及び豚に由来する食品と比較して、同等の安全性を有すると考えられる。」との結論が示されています。

Q4-3:食品安全委員会からの評価結果を受け、厚生労働省としてどのような規制措置をとるのですか。

 厚生労働省が所管する食品衛生法は、食品の安全性の確保を通じた国民の健康の保護を目的とする公衆衛生規則です。体細胞クローン家畜の安全性については、食品安全委員会より従来の繁殖方法で生まれた家畜に由来する食品と同等の安全性を有すると評価されましたので、同法に基づくリスク管理措置は困難と考えておりますが、今後も引き続き国民に対する情報提供及び必要な知見の収集を行っていきます。

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