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平成22年度食品からのダイオキシン類一日摂取量調査等の調査結果について

平成24年11月6日
医薬食品局食品安全部
滝本監視安全課長
担当:竹内・冨田(4242・2447)

平成22年度食品からのダイオキシン類一日摂取量調査等の調査結果について

 我が国の平均的な食生活における食品からのダイオキシン類の摂取量の推計や個別食品における汚染実態を調査するため、従来より、国立医薬品食品衛生研究所を中心に行い、その結果を公表してきたところです。今般、平成22年度の調査結果が取りまとめられましたので、お知らせします。
 平成22年度における食品からのダイオキシン類の一日摂取量は、0.81±0.34 pgTEQ/kg bw/日(0.43〜1.61 pgTEQ/kg bw/日)と推定され、耐容一日摂取量(TDI)4 pgTEQ/kg bw/日より低く、一部の食品を過度に摂取するのではなく、バランスの取れた食生活が重要であることが示唆されました。
 なお、本調査結果については、平成23年10月31日に開催された薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会において報告されました。

 本調査は、厚生労働科学研究(食品の安心・安全確保推進研究事業)「食品を介したダイオキシン類等有害物質摂取量の評価とその手法開発に関する研究」(主任研究者 松田 りえ子 国立医薬品食品衛生研究所 食品安全部長)においてダイオキシン類及び臭素化ダイオキシン等による食品汚染実態の把握及び分析の迅速化等を目的として実施されたものです。

平成22年度食品を介したダイオキシン類等有害物質摂取量の評価とその手法開発に関する研究(概要)

1 目的

 平均的な食生活における食品からのダイオキシン類の摂取量を推計するとともに、ダイオキシン類の摂取量への寄与が大きい食品のダイオキシン類の汚染実態を把握する。

2 方法

(1)ダイオキシン類一日摂取量調査(トータルダイエットスタディ)

 全国7地域8機関で購入した食品を、13群注1に大別し、平成18年度国民健康・栄養調査の地域別の平均食品摂取量を踏まえて調製を行い、混合し均一化したもの及び飲料水(合計14食品群)注2を試料としてダイオキシン類注3を分析し、平均的な食生活におけるダイオキシン類の一日摂取量注4を算出した。

(2)食品ごとののダイオキシン類の汚染実態調査

 鮮魚、魚加工品及び魚介類を含む弁当について、(1)と同様にダイオキシン類を分析した。なお、弁当試料については、米飯を除いた具材のみを混合し均一化したものを試料とした。

注1 1群(米、米加工品)、2群(米以外の穀類、種実類、いも類)、3群(砂糖類、菓子類)、4群(油脂類)、5群(豆類、豆加工品)、6群(果実、果汁)、7群(緑黄色野菜)、8群(他の野菜類)、9群(酒類、嗜好飲料)、10群(魚介類)、11群(肉類、卵類)、12群(乳、乳製品)及び13群(調味料)の13群

注2 ダイオキシン類摂取量への寄与が大きい食品群(10群(魚介類)、11群(肉類、卵類)及び12群(乳、乳製品))についてそれぞれ3セットずつ試料を調製し、それ以外の群はそれぞれ1セットの試料を調製した。

注3 世界保健機構(WHO)により毒性等価係数が定められているポリ塩化ジベンゾ−パラ−ジオキシン(PCDDs)7種、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDFs)10種及びコプラナーPCB (Co-PCBs)12種の合計29種。

注4 算出にあたり、毒性等価係数はWHO 2005 TEFを用いた。

3 結果の概要

(1)ダイオキシン類一日摂取量調査(トータルダイエットスタディ)

 食品からのダイオキシン類の一日摂取量は、0.81±0.34 pgTEQ/kg bw/日(0.43〜1.61 pgTEQ/kg bw/日)と推定された。この平均値は、平成10年度から継続している調査結果の中で最も低い値となり、摂取量推定値の最大値(1.51 pgTEQ/kg bw/日)の場合でも、日本における耐容一日摂取量(TDI:4 pgTEQ/kg bw/日)より低かった。
 なお、同一機関で調製された試料でもダイオキシン類摂取量の最小値と最大値には開きがあり、特に魚介類にダイオキシン類の濃度が広い範囲に分布されていることが予想された。


<図 ダイオキシン類一日摂取量の全国平均年次推移>

(2)個別食品等のダイオキシン類の濃汚染実態調査

 鮮魚(15試料)及び魚加工品(25試料)に関する測定結果は、それぞれ0.20〜8.6 pg TEQ/g、0〜3.3 pg TEQ/gであった。
 一方、魚介類を含む弁当(30試料)の測定結果は0.0073〜3.3 pg TEQ/gであり、最も高い濃度が検出された弁当試料についてダイオキシン摂取量を算出した場合、635 pg TEQ/食であり、TDIに占める割合の約3倍となったが、ダイオキシン類濃度は魚の個体差等の影響も大きいことから、毎回当該弁当を摂取することにより、TDIを超過する可能性は低いと考えられる。

<表1 平成22年度 個別食品中のダイオキシン類の濃度>

<表2 平成22年度 魚介類を含む弁当試料中のダイオキシン類の濃度>

【用語説明】

・ダイオキシン類:
 ダイオキシン及びコプラナーPCB

・ダイオキシン:
 ポリ塩化ジベンゾ−パラ−ジオキシン(Polychlorinated dibenzo-p-dioxins/PCDDs)
 ポリ塩化ジベンゾフラン(Polychlorinated dibenzofurans/PCDFs)

・コプラナーPCB(Coplanar polychlorinated biphenyls/Co-PCBs):
 PCDDs及びPCDFsと類似した生理作用を示す一群のポリ塩化ビフェニル(PCB)類

・トータルダイエットスタディ:
 人が通常の食生活において、食品を介して化学物質等の特定の物質がどの程度実際に摂取されるかを把握するための調査方法。トータルダイエットスタディには、「マーケットバスケット方式」と「陰膳方式」の2種類あり、本調査では「マーケットバスケット方式」を採用している。

・マーケットバスケット方式 
 広範囲の食品を小売店等で購入し、必要に応じて摂食する状態に加工・調理した後に分析し、食品群ごとの化学物質等の特定の物質の平均含有濃度を算出する。これに、特定の集団(例えばすべての日本人)におけるこの食品群の平均的な消費量を乗じることにより、食品群ごとに特定の物質の平均的な摂取量を推定する。この結果を全食品群について足し合わせることにより、この集団の特定の物質の平均的な摂取量を推定する。

・陰膳方式
 調査対象者が食べた食事と全く同じものの1日分を食事試料とし、食事全体を一括して分析し、1日の食事中に含まれる化学物質の総量を測定する。これにより、調査対象者が食べた食品に由来する化学物質の摂取量を推定する。

・TEF(Toxic Equivalency Factor/毒性等価係数):
 ダイオキシン類は異性体により毒性の強さがそれぞれ異なっており、ダイオキシン類として全体の毒性を評価するためには、合計した影響を考えるための手段が必要であることから、最も毒性が強い2,3,7,8-TeCDDの毒性を1として他のダイオキシン類の仲間の毒性の強さを換算するための係数のこと。なお、今回は2005年にWHOで再評価されたTEFを用いている。

・TEQ(Toxic Equivalent/毒性等量):
 ダイオキシン類は通常、毒性強度が異なる異性体の混合物として環境中に存在するので、摂取したダイオキシン類の量は、各異性体の量にそれぞれのTEFを乗じた値を総和した毒性等量として表す。

・TDI(Tolerable Daily Intake/耐容一日摂取量):
 長期にわたり体内に取り込むことにより健康影響が懸念される化学物質について、その量まではヒトが一生涯にわたり摂取しても健康に対する有害な影響が現れないと判断される一日当たりの摂取量。
 ダイオキシン類のTDIについては、1999年6月に厚生省及び環境庁の専門家委員会で、当面4 pgTEQ/kg bw/日(1日、体重1 kg当たり、4 pgTEQの意味。体重50 kgの人であれば、4 pgTEQ×50 kgで計算し、TDIは200 pgTEQとなる。)とされている。

平成22年度厚生労働科学研究補助金 食品の安心・安全確保推進研究事業
食品を介したダイオキシン類等有害物質摂取量の評価とその手法開発に関する研究
分担研究報告書

食品からの塩素化ダイオキシン類の摂取量推定に関する研究
塩素化ダイオキシン類のトータルダイエット調査

研究代表者 松田 りえ子 国立医薬品食品衛生研究所食品部
研究分担者 堤 智昭 国立医薬品食品衛生研究所食品部

研究要旨

 マーケットバスケット方式によるトータルダイエット試料を用いて、ダイオキシン類(PCDD/PCDFs及びCo-PCBs)の国民平均1日摂取量を求めた。国民健康・栄養調査の地域別国民平均食品摂取量に基づいて食品を購入し、飲料水を含め14群から成るTDS試料を全国7地区8機関で調製した。ダイオキシン類濃度が高い食品を含む第10群(魚介類)、11群(肉・卵類)および12群(乳・乳製品)については、各機関がそれぞれ各3セットの試料を調製し、その他の食品群は各1セットの試料を調製した。10−12群については試料毎にダイオキシン類を分析し、その他の群は全地区の試料を混合して分析し、ダイオキシン類の1日摂取量を求めた。その結果、ダイオキシン類の国民平均1日摂取量は0.81 (範囲:0.43〜1.61)pgTEQ/kg bw/dayと推定された。これは、平成10年度から継続している調査結果の中で最も低い値であった。摂取量推定値の最大は1.61 pgTEQ/kg bw/dayで平均値の約2.0倍であったが、日本における耐容1日摂取量(4 pgTEQ/kg bw/day)の40%程度であった。機関および試料によって推定される摂取量は大きく異なり、特に魚介類におけるダイオキシン類濃度の分布が広い範囲に渡っていることが予想された。
【分担研究報告書】全体版 [433KB]

食品からの塩素化ダイオキシン類の摂取量推定に関する研究
塩素化ダイオキシンの個別食品汚染調査

研究代表者 松田 りえ子 国立医薬品食品衛生研究所食品部
研究分担者 堤 智昭 国立医薬品食品衛生研究所食品部

研究要旨

 鮮魚(15試料)及び魚加工品(25試料)、並びに魚介類を含む弁当試料(30試料)について、PCDDs 7種、PCDFs 10種及びCo-PCBs 12種の計29種のダイオキシン類濃度を調査した。鮮魚15試料(イワシ、ウナギ及びスズキについて各5試料)を調査した結果、ダイオキシン類濃度は0.20〜8.6 pg TEQ/g(中央値0.61 pg TEQ/g)の範囲内であった。また、加工品25試料(アジ干物、塩サケ、塩サバ、イワシ缶詰及び魚醤について各5試料)を調査した結果、ダイオキシン類濃度は0〜3.3 pg TEQ/g(中央値0.30 pg TEQ/g)の範囲内であった。ウナギの1試料で比較的高いダイオキシン類(8.6 pg TEQ/g)が検出されたが、その他の試料のダイオキシン類濃度は過去3年間に調査した鮮魚のダイオキシン類濃度の範囲内であった。
 また、魚介類を使用した弁当として、寿司(13試料)、焼き魚・煮魚(13試料)、及び揚げ物(4試料)のダイオキシン類汚染濃度を調査した。その結果、寿司で0.037〜2.3 pg TEQ/g(中央値0.34 pg TEQ/g)、焼き魚・煮魚で0.051〜3.3 pg TEQ/g(中央値0.32 pg TEQ/g)、揚げ物で、0.0073〜0.21 pg TEQ/g(中央値0.012 pg TEQ/g)のダイオキシン類が検出された。弁当1食を食した場合のダイオキシン類摂取量を算出した結果、30試料中26試料からのダイオキシン類摂取量はTDIの半分以下であった。焼き魚弁当の1試料のみでTDIを上回るダイオキシン類摂取量が得られた。
【分担研究報告書】全体版 [401KB]


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