平成18年9月26日 厚生労働省食品安全部 桑崎 監視安全課長 担当:鶏内、山本(内2477) |
平成17年度食品からのダイオキシン類一日摂取量調査等の調査結果について
我が国の平均的な食生活における食品からのダイオキシン類の摂取量の推計や個別食品における汚染実態を調査するため、従来より、国立医薬品食品衛生研究所を中心に調査を行い、その結果を公表してきたところですが、今般、平成17年度の調査結果がとりまとめられたので、お知らせします。
平成17年度における食品からのダイオキシン類の一日摂取量は、1.20±0.66pg TEQ/kgbw/日(0.47〜3.56pgTEQ/kgbw/日)と推定され、耐容一日摂取量(TDI)4pgTEQ/kgbw/日より低く、一部の食品を過度に摂取するのではなく、バランスのとれた食生活が重要であることが示唆されました。
なお、本調査結果については本日開催された薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会において報告されました。
┌ │ │ │ │ │ │ │ └ |
注 本調査は、厚生労働科学研究費補助金(食品の安全性高度化推進事業)「ダイオキシン類による食品汚染実態の把握に関する研究」(主任研究者 佐々木久美子国立医薬品食品衛生研究所食品部第一室長)においてダイオキシン類及び臭素化ダイオキシン等による食品汚染実態の把握並びに分析の迅速化等を目的として実施されたものです。 |
┐ │ │ │ │ │ │ │ ┘ |
(別紙)
平成17年度ダイオキシン類による食品汚染実態の把握に関する研究
(概要)
主任研究者 佐々木久美子 国立医薬品食品衛生研究所食品部第一室長
(概要)
主任研究者 佐々木久美子 国立医薬品食品衛生研究所食品部第一室長
1 | 目的 ダイオキシン類の人への主な曝露経路の一つと考えられる食品について |
(1) | 平均的な食生活における食品からのダイオキシン類の摂取量を推計すること |
(2) | 個別の食品のダイオキシン類の汚染実態を把握すること 等 |
2 | 方法 |
(1) | ダイオキシン類の食品経由摂取量に関する研究(トータルダイエットスタディ) 全国7地域の9機関で、それぞれ約120品目の食品を購入し、厚生労働省の平成13年度国民栄養調査の食品別摂取量表に基づいて、それらの食品を計量し、そのまま、又は調理した後、13群に大別して、混合し均一化したもの及び飲料水(合計14食品群)を試料として、「食品中のダイオキシン類測定方法ガイドライン」(平成11年厚生省生活衛生局)に従ってダイオキシン類を分析し、平均的な食生活におけるダイオキシン類の一日摂取量を算出した。 なお、ダイオキシン類摂取量への寄与が大きい食品群である10群(魚介類)、11群(肉類、卵類)及び12群(乳、乳製品)について、各機関が3セットずつ試料を調製し、それぞれについてダイオキシン類を測定した。 |
(2) | 個別食品中ダイオキシン類濃度に関する研究 個別食品として、国内産及び輸入食品合計41試料について、(1)と同様にダイオキシン類を分析した。 |
3 | ダイオキシン類の調査項目 従来通り、世界保健機構(WHO)が1997年に毒性等価係数を定めたポリ塩化ジベンゾーパラージオキシン(PCDD)7種、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)10種及びコプラナーPCB (Co-PCB)12種の合計29種。 |
4 | 結果の概要 |
(1) | 一日摂取量調査(トータルダイエットスタディ) 食品からのダイオキシン類の一日摂取量は、1.20±0.66pgTEQ/kgbw/日(0.47〜3.56pgTEQ/kgbw/日)と推定された。この数値は、平成15、16年度の調査結果(1.33±0.59、1.41±0.66pgTEQ/kgbw/日)と比べ、ほとんど同レベルであり、日本における耐容一日摂取量(TDI)4pgTEQ/kgbw/日より低かった。 なお、同一機関で調製した試料であっても、魚介類、肉類、卵類、乳及び乳製品類として採取した食品の種類、産地等の差により、ダイオキシン類の摂取量には約1.4〜5.3倍の差が生じることが分かった。 |
<表1 ダイオキシン類一日摂取量の全国平均年次推移>
(5年間の調査結果) | ||||||||||||||||||
|
<表2 ダイオキシン類一日摂取量の地域別年次推移>
(単位:pgTEQ/kgbw/日) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
(注) | 平成17年度調査において各地方でのサンプリングを実施した自治体は以下のとおり。なお、数値は各地方毎の食品別一日摂取量を用いて換算されたものである。表の左から、北海道地方:北海道、東北地方:宮城県、関東地方:埼玉県、横浜市、中部地方:石川県、名古屋市、関西地方:大阪府、中四国地方:香川県、九州地方:福岡県 |
(2) | 個別食品中のダイオキシン類等濃度調査 個別食品のダイオキシン類の測定結果は表3のとおりであった。 |
以上
【用語説明】
ダイオキシン類:
ダイオキシン及びコプラナーPCB |
ダイオキシン:
ポリ塩化ジベンゾ−パラ−ジオキシン(PCDD) ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF) |
コプラナーPCB(Co-PCB):
PCDD及びPCDFと類似した生理作用を示す一群のPCB類 |
トータルダイエットスタディ:
通常の食生活において、食品を介して化学物質等の特定の物質がどの程度実際に摂取されるかを把握するための調査方法。飲料水を含めた全食品を14群に分け、国民栄養調査による食品摂取量に基づき、小売店等から食品を購入し、必要に応じて調理した後、各食品群ごとに化学物質等の分析を行い国民1人あたりの平均的な1日摂取量を推定するもの。 |
TEF(毒性等価係数):
ダイオキシン類は通常混合物として環境中に存在するため、様々な同族体のそれぞれの毒性強度を、最も毒性が強いとされる2,3,7,8-TCDDの毒性を1とした毒性等価係数(TEF:Toxic Equivalency Factor)を用いて表す。なお、今回は1997年にWHOで再評価されたTEFを用いている。 |
TEQ(毒性等量):
ダイオキシン類は通常、毒性強度が異なる同族体の混合物として環境中に存在するので、摂取したダイオキシン類の量は、各同族体の量にそれぞれのTEFを乗じた値を総和した毒性等量(TEQ:Toxic Equivalent Quantity)として表す。 |
TDI(耐容一日摂取量):
長期にわたり体内に取り込むことにより健康影響が懸念される化学物質について、その量まではヒトが一生涯にわたり摂取しても健康に対する有害な影響が現れないと判断される一日当たりの摂取量。ダイオキシン類のTDIについては、1999年6月に厚生省及び環境庁の専門家委員会で、当面4pgTEQ/kgbw/日(1日に体重1kg当たり4pgTEQの意味。体重50kgの人であれば、4pgTEQ×50kgで計算し、TDIは200pgTEQとなる。)とされている。 |
表3 平成17年度 食品中のダイオキシン類の濃度 (pgTEQ/g)
食品 | 産地 | ダイオキシン類(pgTEQ/g) | |||
PCDD/Fs | Co-PCBs | Total | |||
生鮮魚介類 | あゆ | 国産 | 0.031 | 0.296 | 0.327 |
いさき | 国産 | 0.034 | 0.069 | 0.103 | |
きびなご | 国産 | 0.359 | 0.500 | 0.860 | |
ぎんだら | 輸入 | 0.597 | 1.318 | 1.914 | |
ぎんだら | 輸入 | 0.082 | 0.185 | 0.267 | |
さめ | 国産 | 0.248 | 0.540 | 0.788 | |
さめ | 国産 | 2.040 | 4.102 | 6.141 | |
さわら | 国産 | 0.767 | 1.756 | 2.523 | |
さわら | 国産 | 0.597 | 1.231 | 1.829 | |
ふぐ | 国産 | 0.034 | 0.022 | 0.056 | |
ふぐ | 国産 | 0.001 | 0.012 | 0.013 | |
まぐろ | 国産 | 0.000 | 0.035 | 0.035 | |
まぐろ | 国産 | 0.952 | 2.980 | 3.932 | |
ます | 輸入 | 0.356 | 1.227 | 1.582 | |
ます | 輸入 | 0.013 | 0.121 | 0.135 | |
まだい | 国産 | 0.133 | 0.719 | 0.853 | |
まだい | 国産 | 0.795 | 0.662 | 1.457 | |
むきがれい(おひょう) | 輸入 | 0.008 | 0.061 | 0.069 | |
むろあじ | 国産 | 0.210 | 0.203 | 0.412 | |
むろあじ | 国産 | 0.219 | 0.166 | 0.384 | |
めかじき | 国産 | 0.747 | 1.669 | 2.416 | |
めかじき | 国産 | 0.969 | 3.066 | 4.034 | |
メルルーサ | 輸入 | 0.028 | 0.164 | 0.192 | |
いいだこ | 国産 | 0.648 | 0.255 | 0.903 | |
いいだこ | 国産 | 0.536 | 0.379 | 0.915 | |
かき | 輸入 | 0.105 | 0.086 | 0.192 | |
すじこ(生) | 国産 | 0.053 | 0.156 | 0.209 | |
ずわいがに棒肉 | 輸入 | 0.262 | 0.179 | 0.442 | |
ずわいがに棒肉 | 輸入 | 0.005 | 0.030 | 0.035 | |
赤貝 | 国産 | 0.151 | 0.036 | 0.186 | |
赤貝 | 国産 | 0.152 | 0.037 | 0.188 | |
魚介類加工品 | あみ佃煮 | 国産加工品 | 0.032 | 0.059 | 0.091 |
あみ佃煮 | 国産加工品 | 0.135 | 0.079 | 0.214 | |
かます干物 | 国産加工品 | 0.279 | 0.621 | 0.900 | |
かます干物 | 国産加工品 | 0.177 | 0.411 | 0.587 | |
小女子佃煮 | 国産加工品 | 0.228 | 0.286 | 0.514 | |
小女子佃煮 | 国産加工品 | 0.138 | 0.335 | 0.472 | |
すじこ | 国産加工品 | 0.032 | 0.109 | 0.141 | |
すじこ | 国産加工品 | 0.070 | 0.188 | 0.257 | |
たらこ | 国産加工品 | 0.013 | 0.105 | 0.118 | |
たらこ | 国産加工品 | 0.008 | 0.078 | 0.086 |
厚生労働科学研究費補助金(食品の安心・安全確保推進研究事業)
総括研究報告書
ダイオキシン類による食品汚染実態の把握に関する研究
主任研究者 佐々木久美子 国立医薬品食品衛生研究所 食品部第一室長
総括研究報告書
ダイオキシン類による食品汚染実態の把握に関する研究
主任研究者 佐々木久美子 国立医薬品食品衛生研究所 食品部第一室長
研究要旨 ダイオキシン類(PCDDs,PCDFs,Co-PCB),臭素化ダイオキシン類及び関連化合 物による食品汚染実態の把握及び分析の迅速化を目的として,研究を実施した.
|
分担研究者
米谷民雄 | 国立医薬品食品衛生研究所 食品部長 | |
天倉吉章 | 国立医薬品食品衛生研究所 食品部主任研究官 | |
堤 智昭 | 国立医薬品食品衛生研究所 食品部主任研究官 | |
中川礼子 | 福岡県保健環境研究所 生活化学課長 |
A. | 研究目的 ヒトがダイオキシン類(ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン,ポリ塩化ジベンゾフラン及びコプラナーPCB)に曝露される原因は,空気,水などの環境よりも主に毎日摂取する食品である.そこで,ダイオキシン類の人体への影響を評価するためには,食品汚染状況の把握が重要である. 本研究では,ダイオキシン類及び臭素化ダイオキシン類とその関連化合物について,食事経由摂取量及び個別食品の汚染実態の把握,測定の迅速化,信頼性向上等を目的として,次の研究を実施した.
| ||||||||||||||||||
B. | 研究方法
| ||||||||||||||||||
C. | 結果及び考察
| ||||||||||||||||||
D. | 結論
| ||||||||||||||||||
E. | 健康危険情報 なし | ||||||||||||||||||
F. | 研究発表
| ||||||||||||||||||
G. | 知的財産権の出願,登録 なし |