厚生労働科学研究補助金(食品の安心・安全確保推進研究事業)
分担研究報告書
ダイオキシン類による食品汚染実態の把握に関する研究
分担研究者 堤智昭国立医薬品食品衛生研究所
ダイオキシン類による食品汚染実態の把握に関する研究
(3) | 食品中ダイオキシン類分析の迅速化・信頼性向上に関する研究 |
(3-3) | 魚油を使用した健康食品の臭素化ダイオキシン類及びその関連化合物の汚染調査 |
分担研究者 堤智昭国立医薬品食品衛生研究所
研究要旨 日本国内で販売されている魚油を使用した健康食品4製品について、臭素化ダイオキシン類(モノ臭素ポリ塩素化物も含む)、臭素化ジフェニルエーテル及びポリ塩化ビフェニルの汚染調査を実施した。臭素化ダイオキシン類異性体はほとんど検出されず、2製品で1.2 pg/g及び1.3 pg/g の2,3,7,8-TeBDFが検出されただけであった。臭素化ジフェニルエーテル及びポリ塩化ビフェニルは、全ての製品で検出された。特にイタチ鮫肝油製品では、賞味期限の異なる2ロットについて調査した結果、他の製品よりも高濃度の臭素化ジフェニルエーテル(150,000 pg/g及び210,000 pg/g)とポリ塩化ビフェニル(10,000 ng/g及び18,000 ng/g)が検出された。 上記の調査結果と、これらの4製品を含む健康食品(30製品)について別途調査した塩素化ダイオキシン類(PCDD/Fs及びCo-PCBs)の調査結果を合わせて、魚油を含む健康食品摂取によるリスク評価を行った。 その結果、ほとんどの製品では摂取により臭素化ダイオキシン類及び塩素化ダイオキシン類に対するリスクを大幅に引き上げる可能性は低いと考えられた。しかし、ごく一部の製品では高濃度の塩素化ダイオキシン類を含む場合があり長期的な摂取には注意が必要と考えられた。 |
研究協力者
(財)日本食品分析センター 丹野憲二、野村孝一、柳 俊彦、河野洋一 国立医薬品食品衛生研究所・食品部 佐々木久美子、天倉吉章 |
A. | 研究目的 近年、魚油を使用した健康食品が数多く販売されている。これらの健康食品は生活習慣病を予防する効果が期待されているが、一方では魚油に含まれる環境汚染物質による健康影響が懸念される。特に、魚類の塩素化ダイオキシン類(PCDD/Fs及びCo-PCBs)汚染濃度は他の食品と比較し高濃度1)であることから、魚油を使用した健康食品の塩素化ダイオキシン類、臭素化ダイオキシン類及びその関連化合物による汚染濃度を把握することは食品衛生の観点から重要な課題である。しかし、これらの健康食品のダイオキシン類汚染調査は、数例の外国の報告2、3)があるだけで、不足しているのが現状である。 そこで本研究では、日本国内で市販されている魚油を使用した健康食品の臭素化ダイオキシン(PBDD/Fs)、モノ臭素ポリ塩素化ダイオキシン(MoBPCDD/Fs)、臭素化ジフェニルエーテル(PBDEs)、及びポリ塩化ビフェニル(PCBs)について汚染調査を行った。その結果と、別途調査した塩素化ダイオキシン類汚染調査結果(F.参考資料を参照)を合わせて、健康食品摂取によるリスク評価を行った。 現在、魚油を使用した健康食品中に残留する臭素化ダイオキシン類及びその関連化合物並びに塩素化ダイオキシン類に関する規制値は、定められていない。そのため、耐容一日摂取量が定められている塩素化ダイオキシン類及び暫定一日摂取許容量が定められているポリ塩化ビフェニルについては、これらの汚染物質の健康食品からの摂取量を算出し、耐容一日摂取量又は暫定一日摂取許容量と比較することでリスク評価をした。なお、耐容一日摂取量(または暫定一日摂取許容量)は生涯にわたって摂取し続けた場合の健康影響を指標とした値であり、一時的に多少超過しても健康を直ちに損なうものではない。 |
B. | 研究方法 |
1. | 試料 日本国内で2004〜2005年に市販されていた、魚油を使用した健康食品(4製品、5検体)を試料とした。これらは魚油をカプセルで被包した形状の製品であり、カプセルも含めて分析に供した。また、1製品については、ロットによる汚染濃度の違いについて調査するため、異なる賞味期限が表示されている製品を試料とした。 |
2. | 臭素化ダイオキシン類分析 試料(約20 g)にクリーンアップスパイクを添加後、2 mol/L水酸化カリウム水溶液(50 ml)及びメタノール(50 ml)を加え室温条件でアルカリ分解(約15時間)を行った。鮫の肝油を使用した健康食品については約5 gより分析を開始した。アルカリ分解後、ヘキサン(50 ml)で抽出を3回行い抽出液を得た。抽出液は硫酸処理後、無水硫酸ナトリウムにより脱水した。試験液はシリカゲルカラムに負荷後、ヘキサン(200 ml)を流下し溶出液を得た。得られた溶出液は、次にフロリジルカラムに負荷した。ヘキサン(50 ml)で洗浄後、60%ジクロロメタン含有ヘキサン(200 ml)で臭素系ダイオキシン類を含む分画を溶出した。溶出液はさらに、活性炭分散シリカゲルカラムに負荷した。ヘキサン(60 ml)、ついで25%ジクロロメタン含有ヘキサン(60 ml)で洗浄し、カラムを反転させ、目的の分画をトルエン(40 ml)で溶出した。得られた溶出液はシリンジスパイクを添加後、高分解能ガスクロマトグラフ質量分析計(HRGC/HRMS)測定を行った。測定条件は、「ポリブロモジベンゾ−パラ−ジオキシン及びポリブロモジベンゾフランの暫定調査方法」4)を参考にした。検出下限(LOD)及び定量限界(LOQ)の一例については、表1(PDF:45KB)に示した。 |
3. | 臭素化ジフェニルエーテル分析 試料(約10 g)にクリーンアップスパイクを添加後、1 mol/L水酸化カリウムエタノール溶液(50 ml)を加え室温条件でアルカリ分解(約15時間)を行った。鮫の肝油を使用した健康食品については約5 gより分析を開始した。アルカリ分解後、ヘキサン洗浄水及びエタノールを加え、ヘキサン(50 ml)で抽出を2回行い抽出液を得た。抽出液は硫酸処理後、無水硫酸ナトリウムにより脱水した。試験液は硝酸銀シリカゲルカラム(5%含水)に負荷後、ヘキサン(50 ml)を流下し溶出液を得た。溶出液はアセトンに溶媒置換後、1/2量についてGPCクリーンアップを実施した。アセトンを移動相(4 ml/min)とし、臭素化ジフェニルエーテルを含む分画を採取した。試験液にシリンジスパイク添加後、HRGC/HRMS測定を行った。測定条件は、環境省が行った「ダイオキシン類の蓄積・ばく露状況及び臭素系ダイオキシン類の調査」5)を参考にした。LOD及びLOQの一例については、表2(PDF:49KB)に示した。 |
4. | ポリ塩化ビフェニル分析 試料(約10 g)にクリーンアップスパイクを添加後、1 mol/L水酸化カリウムエタノール溶液(50 ml)を加え室温条件でアルカリ分解(約15時間)を行った。鮫の肝油を使用した健康食品については約5 gより分析を開始した。アルカリ分解後、ヘキサン洗浄水を加え、ヘキサン(50 ml)で抽出を2回行い抽出液を得た。抽出液は硫酸処理後、無水硫酸ナトリウムにより脱水した。試験液はシリカゲルカラムに負荷後、ヘキサン(300 ml)を流下し溶出液を得た。溶出液はアセトンに溶媒置換後、1/2量についてGPCクリーンアップを実施した。5%シクロヘキサン含有アセトンを移動相(4 ml/min)とし、PCBsを含む分画を採取した。試験液にシリンジスパイクを添加後、HRGC/HRMS測定を行った。測定条件は、「外因性内分泌撹乱化学物質調査暫定マニュアル」6)を参考にした。LOD及びLOQの一例については、表3(PDF:69KB)に示した。 |
C. | 研究結果 |
1. | 臭素化ダイオキシン類 4製品(5検体)について臭素化ダイオキシン類の測定を行った(表4(PDF:59KB))。別途調査した塩素化ダイオキシン類について最も高濃度の汚染が認められた製品No.1については、ロットが異なる2検体について調査した。ほとんどの異性体は検出下限以下であったが、製品No.3及びNo.6において1.3 pg/g及び1.2 pg/gの2,3,7,8-TeBDFが検出された。MoBPCDD/Fs異性体は、いずれの検体においても検出されなかった。 臭素化ダイオキシン類による毒性を評価するため、対応する塩素化ダイオキシン類のWHO-TEFを当てはめて毒性等量濃度を算出した。製品No.3及びNo.6における毒性等量濃度は0.13 pg/g及び0.12 pg-TEQ/gであった(表4)。また、未検出の異性体がほとんどであるため、未検出である異性体に1/2LOD(ND=1/2LOD)を、擬陽性である異性体に1/2LOQ(Tr=1/2LOQ)を当てはめた毒性等量濃度についても参考値として算出した。その結果、調査した製品の毒性等量濃度は0.47〜1.3 pg-TEQ/gとなった。 |
2. | 臭素化ジフェニルエーテル 臭素化ジフェニルエーテルの測定結果を表5(PDF:55KB)に示した。製品No.1が2ロットとも、他の製品よりも高濃度の臭素化ジフェニルエーテルに汚染されていた。製品No.1で検出されたPBDEs総和濃度は150,000 pg/g及び210,000 pg/gであり、他の製品より2桁以上高い値であった。 各検体におけるPBDEs総和濃度に対する異性体の割合は、いずれの製品でもBDE 47の割合が最も大きく、30〜50%の割合を占めていた(図1(PDF:67KB))。平成16年度厚生労働科学研究費補助金報告書7)で行われた汚染調査結果では、BDE47が魚における主要なPBDEs異性体であることが報告されており、本研究結果と一致する。 |
3. | ポリ塩化ビフェニル ポリ塩化ビフェニルの測定結果を表6(PDF:72KB)に示した。製品No.1が2ロットとも、他の製品よりも高濃度のポリ塩化ビフェニルに汚染されていた。製品No.1で検出されたPCBs総和濃度は10,000 ng/g及び18,000 ng/gであり、他の製品より2桁以上高い値であった。現在、ポリ塩化ビフェニルの一日摂取許容量は5 μg/kg/dayに暫定的に設定されている8)。製品No.1からの摂取量は、0.64μg/kg/day及び1.1 μg/kg/dayと算出され、暫定一日摂取許容量に対する割合は13%及び22%であった。その他の製品からの摂取量は、暫定一日摂取許容量に対し1%以下であった。 |
D. | 考察 表7(PDF:46KB)は、各製品における、臭素化ダイオキシン類及びその関連化合物、並びに別途調査した塩素化ダイオキシン類(参考表1(PDF:54KB))の汚染濃度をまとめた結果である。同一検体における臭素化ダイオキシン類の毒性等量濃度は、塩素化ダイオキシン類と比較すると最大でも数%程度であった。参考値(ND=1/2LOD及びTr=1/2LOQ)を比較した場合でも、1製品(No.5)が塩素化ダイオキシン類に対し約40%の割合であったが、その他の製品では10%以下となった。従って、今回調査した製品では、臭素化ダイオキシン類のヒトに対する影響は低いと考えられる。なお、平成16年度厚生科学研究費補助金報告書7)において、魚介類中の臭素化ダイオキシン類汚染調査が行われているが、本研究と同様に臭素化ダイオキシン類はほとんど検出されていない。臭素化ジフェニルエーテル及びポリ塩化ビフェニルについては、製品No.1が他の製品よりも著しく高濃度に汚染されていた。製品No.1は高濃度に塩素化ダイオキシン類に汚染されていた製品であり、これらの関連化合物の汚染濃度は塩素化ダイオキシン類濃度と正の相関があるように思われた。 臭素化ジフェニルエーテルは耐容一日摂取量や食品中の規制値が定まっていないため、今回得られた測定値からヒトへの健康影響を考察することは困難である。参考情報として、今回調査した製品の汚染の程度を把握するため、平成16年度厚生科学研究費補助金報告書7)で報告された、魚介類中の臭素化ジフェニルエーテル濃度と比較を行った。測定対象としたPBDEs異性体に違いがあるが、鮮魚(アジ、サバ、ブリなどの大衆魚)の可食部(筋肉部)における汚染濃度は1.5〜18 ng/g(脂肪重量ベース)であることが多い。魚油と被包剤の重量比を2:1とし、さらに被包剤が臭素化ジフェニルエーテルに汚染されていないと仮定した場合、健康食品中では1.0〜12 ng/gに相当すると考えられる。これらの値と単純に比較すると、製品No.1では10倍程度高濃度であった。一方、製品No.3, 5及び6では、一般的な鮮魚とほぼ同等の汚染濃度と判断できる。 ポリ塩化ビフェニルの製品No.1からの摂取量は、暫定一日摂取許容量と比較すると22%以下であり、本製品の摂取がポリ塩化ビフェニルに対するリスクを大幅に上昇させる可能性は小さいと考えられた。魚油を使用した健康食品に残留するポリ塩化ビフェニルの規制値は現在のところ定められていないが、魚介類、肉、乳製品などに暫定的規制値が定められている。例えば、魚介類(内海内湾)の暫定的規制値は3 ppmである。魚介類の可食部に対する規制値であるため、魚油を使用した食品に当てはめることは難しいが、魚可食部の脂肪含量が10%と仮定すると、魚油では30 ppm程度に相当すると予想できる。さらに、被包剤の重量を考慮すると、健康食品中では20 ppmと大まかに予想できる。この値と単純に比較した場合、製品No.1の汚染濃度は同程度か約半分であった。その他の製品では、1%以下の汚染濃度であった。 別途調査した塩素化ダイオキシン類(参考表1(PDF:54KB))については、30製品中の1製品(No.1)において高濃度の汚染が認められ、本製品からの摂取量を算出した結果、耐容一日摂取量を大幅(4〜8倍)に超えた。本製品はロットが異なる同一製品を検査した場合でも、多少の汚染濃度の変化はあるが、高濃度の汚染が認められた。従って、本製品を長期間にわたり食した場合、塩素化ダイオキシン類による健康影響が懸念された。その他の製品については、摂取量は耐容一日摂取量の30%以下と見積もられ、これらの製品を食した場合でも、塩素化ダイオキシン類に対するリスクを大幅に引き上げる可能性は低いと考えられる。 我々は以前より、鮮魚(可食部)の塩素化ダイオキシン類の汚染調査を継続して実施している。本研究で検査した多くの製品で魚油の原料として使用されている、イワシやマグロなどの魚種についても汚染調査を行ってきた。平成13年度から15年度に実施した厚生労働科学研究補助金報告書1)では、マグロ類(n = 14)で平均1.121 pg-TEQ/g、アジ・イワシ類(n = 15)で平均1.084 pg-TEQ/gの汚染濃度(湿重量ベース)であった。魚試料の脂肪含量が10%と仮定すると、魚油中の汚染濃度は10 pg-TEQ/g程度と予測される。被包剤の重量を考慮すると、製品中の汚染濃度は6.7 pg-TEQ/gと大まかに予想できる。しかしながら、多くの製品の塩素化ダイオキシン類の汚染濃度は、この値を大幅に下回っていた。健康食品では精製した魚油を使用する場合が多く、分析したほとんどの製品で精製魚油を使用している旨の表示がされていた。魚の大きさ、産地などにより汚染濃度は異なるため明確な考察はできないが、魚油を精製するための何らかの精製操作が塩素化ダイオキシン類の低減に寄与している可能性が考えられる。例えば、魚油の精製過程の一つである脱臭操作は、有機塩素系農薬やポリ塩化ビフェニル等の脂溶性化学物質の除去に効果があることが報告されている9)。 今回の調査では、1製品(No.1)において他の製品と比べ、臭素化ジフェニルエーテル及びポリ塩化ビフェニルの濃度が高かった。本製品は高濃度の塩素化ダイオキシン類を含んでおり、長期的な摂取による健康影響が懸念された。臭素化ダイオキシン類、塩素化ダイオキシン類及びその関連化合物については可能な限り摂取量を下げることが望ましいため、本製品は少しでも汚染濃度を下げるための努力が必要である。本製品が他の製品に比べこれらの化合物を高濃度に含んでいた原因としては、原料魚種、捕獲海域及び製品の製造工程の違いなどが考えられる。魚油は脂溶性の環境汚染物質に高濃度に汚染されている場合があり、それを使用した食品については、健康影響を未然に防ぐために予め汚染濃度を把握しておくことが望ましい。 |
E. | 結論 |
1) | 製品No.1は、他の製品と比べ高濃度の臭素化ジフェニルエーテル及びポリ塩化ビフェニルを含んでいた。 |
2) | 製品No.1については別途調査した塩素化ダイオキシン類の濃度も高く、摂取量が耐容一日摂取量を大幅に超えたため、長期的な摂取による健康影響が懸念された。 |
3) | 魚油を使用した健康食品の原材料、製造方法は多種多様であり、まれに高濃度のダイオキシン類及びその関連化合物に汚染されている場合がある。従って、今度も引き続き汚染調査を行う必要があると考えられる。 |
F. | 参考資料 |
1) | 塩素化ダイオキシン類の分析法 試料(約20 g)にクリーンアップスパイクを添加後、2 mol/L水酸化カリウム水溶液により室温条件でアルカリ分解(約16時間)を行った。なお、鮫及びタラの肝油を使用した健康食品については、1〜5 gより分析を開始した。前処理方法及びHRGC/HRMSによる測定条件は既報10)に従った。LOD及びLOQは、参考表2(PDF:49KB)に示した。検体の毒性等量(TEQ)濃度は、WHO(1997)の毒性等価係数を使用し算出した。 |
2) | 塩素化ダイオキシン類の分析結果 健康食品(30製品)の塩素化ダイオキシン類の毒性等量濃度及び製品からの摂取量を参考表1(PDF:54KB)に示した。一部の製品(No. 1, 2, 3, 6, 8及び24)については、ロットによる汚染濃度の違いについて考察するため、異なった賞味期限(あるいは品質保持期限など)が表示されている複数の同一製品を調査した。また、摂取量は各製品に指示されている製品の最大摂取量を使用して算出した。毒性等量濃度は製品により大きな違いが認められた。最大の毒性等量濃度は、イタチ鮫の肝油を使用した製品No.1で検出され、250〜510 pg-TEQ/gであった。本製品を指示に従い摂取した場合、1日あたりの摂取量は800〜1,600 pg-TEQ/dayとなった。この値は、体重(50 kg)あたりでは16〜32 pg-TEQ/kg/dayに相当し、日本における現在の耐容一日摂取量(4 pg-TEQ/kg/day)の4〜8倍に相当した。その他の製品では、汚染濃度は1桁以上低かった。製品No.2及びNo.3で最大10〜12 pg-TEQ/gの汚染濃度が検出されたが、残り全ての製品(No.4〜No.30)では10 pg-TEQ/g以下の汚染濃度であった。摂取量についても製品No.2及びNo.3で、耐容一日摂取量の14〜30%に相当したが、残りの製品では10%以下であった。 同一製品のロット間の汚染濃度比は最大でも約2倍以内の範囲であり、大きな差はなかった。最も高濃度に汚染されていた製品No.1では、いずれのロットでも高濃度の塩素化ダイオキシン類が検出された。一方、低濃度の汚染であった製品No.24では、いずれのロットでも汚染濃度は低かった。塩素化ダイオキシン類の摂取量が多かったほとんどの製品では、Co-PCBs異性体の汚染が顕著であった。製品No.1では極めて高濃度のCo-PCBsに汚染されており、Co-PCBs毒性等量が総ダイオキシン(PCDD/Fs+Co-PCBs)毒性等量の90%以上を占めていた。 |
G. | 参考文献 |
1) | 平成13年度〜15年度厚生労働科学研究費補助金研究報告書「ダイオキシンの汚染実態把握及び摂取低減化に関する研究」 |
2) | Food Safety Authority of Ireland, Summary of Investigation of Dioxins, Furans and PCBs in Farmed Salmon, Wild Salmon, Farmed Trout and Fish Oil Capsules, March 2002. |
3) | Food Standards Agency, Survey of Dioxins and Dioxin-like PCBs in Fish Oil Supplements, Food Surveillance Information Sheet No. 26/02, June 2002. |
4) | ポリブロモジベンゾ−パラ−ジオキシン及びポリブロモジベンゾフランの暫定調査方法(環境省環境管理局 総務課ダイオキシン対策室 平成14年10月) |
5) | 平成16年度ダイオキシン類の蓄積・ばく露状況及び臭素系ダイオキシン類の調査 IV.臭素系ダイオキシン類に関する調査(環境省総合環境政策局環境保健部環境安全課) |
6) | 外因性内分泌撹乱化学物質調査暫定マニュアル(水質、底質、水生生物)(環境庁水質保全局水質管理課 平成10年10月) |
7) | 平成16年度厚生労働科学研究費補助金研究報告書「ダイオキシン類による食品汚染実態の把握に関する研究」(分担報告書 4.食品中臭素化ダイオキシン及びその関連化合物質汚染調査) |
8) | 食品中に残留するPCBの規制について(昭和47年8月24日 環食第442号) |
9) | Hilbert G, Lillemark L, Balchen S, Hojskov CS., Reduction of organochlorine contaminants from fish oil during refining. Chemosphere, 37 (1998) 1241-1252. |
10) | 平成13年度厚生科学研究費補助金研究報告書「ダイオキシンの汚染実態把握及び摂取低減化に関する研究」(分担報告書 1-2 ダイオキシン類の迅速測定法の開発及び分析の精密化に関する研究) |
G. | 研究業績 |
1. | 論文発表 なし |
2. | 学会発表 なし |