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(4) ユニットケアの普及について

 ユニットケアは、在宅に近い居住環境の下で、入居者一人一人の個性や生活のリズムを尊重し、また、入居者相互が人間関係を築きながら日常生活を営めるように介護を行うものである。
 しかしながら、ユニットケアに取り組み始めた施設の中には、建物の中を仕切ることや入居者を分けることで目的を果たしたと誤解し、実際には従来と変わらないケアを行っている事例もあると指摘されている。
 そこで、平成15年度から新たに研修事業を予算化するなど、ユニットケアの適切な普及のための施策を講じているので、各都道府県・指定都市におかれては、次の諸点にご留意願いたい。

   ユニットケア施設研修等事業

(1)  管理者研修
 本研修については、高齢者痴呆介護研究・研修東京センターが昨年6月から開始し、これまでの4回で計110名が受講している。
 しかしながら、その内訳を見ると、都道府県・指定都市の中には該当者の推薦が低調なところがある。
 ユニットケアを導入する上で管理者(施設長)の果たす役割には極めて大きなものがあることから、各都道府県・指定都市におかれては、管内で「小規模生活単位型特別養護老人ホーム」の管理者に就任する予定の者をはじめ、改修等により「一部小規模生活単位型特別養護老人ホーム」となる予定の既存施設の管理者など、該当者が必ずこの研修を受けることができるよう配慮願いたい。
 なお、本研修については、平成16年度以降においても、引き続き高齢者痴呆介護研究・研修東京センターが実施することとしているので、ご了知願いたい。

(2)  ユニットリーダー研修
 本研修については、高齢者痴呆介護研究・研修東京センターが昨年12月から全国9か所の実地研修施設の協力を得て開始し、これまでに計85名が受講している。
 ユニットケアを導入する上では、管理者とユニットリーダーが共通の理解に立ち、ともに牽引車の役割を果たしていくことが欠かせないことから、上記(1)で述べたような該当施設については、管理者のみならず、必ずユニットリーダーも研修を受けることができるよう配慮願いたい。
 なお、平成16年度予算(案)には実地研修施設数を増やし、15か所とすることを盛り込んでいる。

   ユニットケア研修のカリキュラムとテキストの作成

 平成16年度以降のユニットケア施設研修等事業の充実を図る観点から、(財)医療経済研究機構に、カリキュラムとテキストの作成のための検討委員会を設置し、本年度中の取りまとめを目指して検討を進めているところである。

   既存施設の改修モデルの作成

 特別養護老人ホームは、これまでに約5千施設(約34万人分)が4人部屋主体の従来型で整備されており、選択の幅という意味で、従来型と「小規模生活単位型」が半分ずつになるまでは、国庫補助を受けて新設する施設はユニットケアを行う「小規模生活単位型」を基本としている。
 しかしながら、それだけでは2015年時点で「小規模生活単位型」の利用者は全体の3割に過ぎないとの試算もあり、既存施設においてもユニットケアの導入を図っていくことは重要な課題である。
 そこで、既存の特別養護老人ホームへの支援として、施設の一部を改修して部分的にでもユニットケアを導入しようとする際に活用できるいわば手引きを作成することとし、(社)医療福祉建築協会に調査研究委員会を設置して、本年度中の取りまとめを目指し検討を進めているところである。



(参考)
【平成15年度ユニットケア研修事業実施状況】

都道府県・市 研修事業実施状況
北海道
青森県  
岩手県
宮城県
秋田県  
山形県  
福島県
茨城県
栃木県
群馬県
埼玉県  
千葉県
東京都
神奈川県
新潟県  
富山県
石川県
福井県
山梨県  
長野県  
岐阜県
静岡県
愛知県
三重県
滋賀県
京都府
大阪府  
兵庫県  
奈良県  
和歌山県  
鳥取県
島根県
岡山県
広島県  
山口県
徳島県  
香川県
愛媛県  
高知県
福岡県  
佐賀県  
長崎県  
熊本県  
大分県
宮崎県  
鹿児島県  
沖縄県  
札幌市
仙台市
さいたま市  
千葉市  
横浜市  
川崎市  
名古屋市  
京都市  
大阪市  
神戸市  
広島市  
北九州市  
福岡市
29県・市


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