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7 保育対策について


(1)新エンゼルプランと保育対策
 平成13年度予算案においては、新エンゼルプランについて、延長保育、休日保育等の前倒し的実施、一時保育の補助方式の拡大等積極的な予算計上を行っているところである。各地方公共団体においても、それぞれの地域のニーズを的確に把握して、待機児童解消を旨として、計画的にサービス提供体制の整備に努め、新エンゼルプランに沿って保育施策を強力に推進されるよう、特段の配慮をお願いしたい。

(2)待機児童解消策
 待機児童の解消については、昨年度の少子化対策臨時特例交付金において、保育所の整備など地域の実情に応じた事業が実施されることにより、平成15年までに待機児童が解消されるとの計画を提出していただいているところである。今後とも、都市部を中心とした共働き家庭の増加等により保育サービスの需要が一層高まることが予想されることから、地方公共団体においては更に積極的な取組みをお願いしたい。
 国としても、待機児童の解消に向けて、新エンゼルプランに基づいて、需要の多い低年齢児(0〜2歳)の保育所受入れ枠の拡大等の措置を講じており、また、関係市区からのヒアリングを行う等不断の努力を重ねてまいりたいと考えているので、積極的な取組みをお願いしたい。

(3)特別保育事業
 特別保育事業については、新エンゼルプランの「多様な需要に応える保育サービスの推進」及び「在宅児も含めた子育て支援の推進」の観点から積極的・計画的な推進を図られたい。
 平成13年度予算案においては、以下のとおり、か所数増・補助要件の緩和等を行うこととしている。

(1)多様な需要に応える保育サービスの推進
  平成12年度   平成13年度予算案
ア.延長保育の推進 8,000か所 9,000か所
  • 新規分1,000か所については、平成14年1月実施(3か月分計上)
  • 平成12年度においては、30分延長の要件を満たさない場合であっても、いわゆる「基本分」の補助を算定したところであるが、平成13年度においては、この特例措置は講じない予定。
イ.休日保育の実施 100か所 200か所

(2)在宅児も含めた子育て支援の推進

ア.地域子育て支援センター事業の推進
  1,800か所
(小規模型1,100か所含む)
2,100か所
(小規模型1,100か所含む)
イ.一時保育の推進 1,800か所
(小規模事業900か所含む)
2,500か所
(小規模事業1,100か所含む)
  • 件数払い方式の導入(本方式と従前の定額払い方式とを選択実施)

(3) 以上のほか、平成13年度予算案においては以下の改善を行うこととしている。
ア.保育所地域活動事業
(ア)保育所分園推進事業(13年度新規)
〇経常分:施設が2か所に分かれることにより必要な経費


〇初度設備分:新たに分園を設ける場合の初度設備費

(イ)子育て・仕事両立支援事業(13年度新規)
 労働行政等の中で実施している各種の子育てと仕事の両立を支援する事業についての情報提供、必要に応じて講師を招いた講習会等を行う。
(ウ)保育所体験特別事業(13年度新規)
 保育所を地域に開放し、児童の発達状況のチェック、親への相談、助言などをできるようにする。実施に当たっては、市町村が関係者と十分調整し、ベビーホテル等を利用している親子の参加を積極的に促して行う。
(エ)世代間交流等事業
 「老人福祉施設・介護保険施設訪問等世代間交流事業」と「郷土文化伝承活動」を「世代間交流等事業」に再編することとした。
イ.障害児保育事業
 対象人員の増(9,443人→9,856人)

(4)保育所の整備
 新エンゼルプランにおいては、多機能保育所等の整備として、平成16年度までに2,000か所の整備を目標に掲げているところであるが、多様な保育需要への対応が喫緊の課題となっていることから、昨年度に引き続き、平成12年度補正予算においても整備費予算を計上し、切れ目のない円滑な整備の実施を目指しているところであるので、積極的・計画的な整備について特段の御配慮をお願いしたい。
 また、保育所の整備に当たっては、既存の社会資源の有効活用を図るとともに低年齢児を中心とした待機児童の解消を図る観点から、公立学校の余裕教室等の保育所又は保育所分園への転用が推進されるよう、引き続き、各地方公共団体において、保育担当部局が中心となり、教育委員会や教育関係者等との間で十分な連携が図られるよう努められたい。
 なお、子育て支援のための拠点施設の整備については、平成11年1月7日厚生省児童家庭局通知によりお示ししているところであるが、この拠点施設の保育所への併設の推進はもちろん、この施設は、地域の子育て家庭支援や放課後児童対策等のためにも用いることができるものであり、平成13年度においてもその積極的活用を図るようにされたい。

(5)運営費
 運営費については、平成13年度予算案において、事務職員雇上費加算分対象施設の拡大、主任保育士専任加算対象施設の拡大等を行ったところである。

(6)保育所の規制緩和
 以下の規制緩和措置を12年3月に実施したところであるが、各地方公共団体においては、地域の事情を勘案して待機児童の解消等のために柔軟かつ積極的に対応されたい。


 なお、設置主体制限撤廃により、平成12年内に株式会社立3件、宗教法人立1件が設置され、今後も、株式会社、宗教法人、学校法人による設置計画が予定されているところである。

(7)認可外保育施設対策
(1) 指導監督について
 ベビーホテルなどの認可外保育施設については、立入調査等により指導監督を行い、特に悪質な施設については厳正対処をお願いしているところであるが、より効果的な指導監督の方法等について、現在、「認可外保育施設に関する専門家助言チーム」の助言を受けながら検討しており、成案を得て、パブリック・コメントを実施した上で、13年4月から施行することとしたいと考えているので御了知願いたい。

(2) 「よい保育施設の選び方 十か条」について
 認可外保育施設を含む保育施設の利用希望者が保育施設を選択する際の参考に資するため、専門家助言チームの助言を受けて「よい保育施設の選び方十か条」を作成し、平成12年12月25日付けで送付したところである。本十か条は、新年度の母子健康手帳副読本に掲載する他、詳細版も含めて、厚生労働省ホームページ(
https://www.mhlw.go.jp/)(現在掲載中)及び保育等子育て支援サービス総合情報流通システム(http://www.i-kosodate.net/)に掲載(1月下旬予定)することとしており、貴管下市町村における広報をはじめ幅広く周知願いたい。

(3) 13年度予算案における認可外保育施設の問題への対応
 既に平成12年12月26日付け内かんで13年度予算案の留意点については送付しているところであるが、新エンゼルプランの推進を図るとともに、「保育所体験特別事業」や「事業所内保育施設等保育従事者研修事業」の実施、夜間保育所の設置促進等、積極的な対応をお願いしたい。

(8)保育士養成課程等の見直しの検討等
 現行の保育士養成課程及び保育士試験は、前回の改訂(平成3年4月実施)後9年余りを経過しており、その後の児童を巡る環境の変化、児童福祉施策の進展、児童福祉法の改正等を踏まえた見直しが必要であることから、検討委員会を設置し、今年度中の報告書の取りまとめを目途に検討いただいているところである。
 新たな保育士養成課程は平成14年4月の施行を予定しているところであり、来年度中には、既指定の保育士養成校において学則の変更が必要となるので、管下の養成校に対する周知及び指導をお願いしたい。
 なお、保育士試験についても同様に14年度以降は見直し後の保育士試験実施要領により実施すること、養成校の指定等の事務は平成13年度より地方厚生局に移管されることについても併せて御留意いただきたい。

(9)児童福祉施設等第三者評価基準の検討
 社会福祉基礎構造改革に伴う社会福祉事業法の改正(現「社会福祉法」)等を踏まえ、児童福祉サービスの質の公正かつ適切な評価に資するための措置を図る必要があることから、検討委員会を設置し、事業者及び利用者以外の第三者による児童福祉施設等の評価のための基準の検討をいただいているところである。
 同委員会においては、保育所、乳児院、児童養護施設、母子生活支援施設の4施設種別を対象とした第三者評価基準について検討しており、これまで委員会を2回開催し、現在評価基準の試案を用いた試行事業を実施しているところである。
 今後、実行段階に進んで行くに当たってご協力をお願いしたい。

(10)保育等子育て支援サービス総合情報流通システム
 当システム(
http://www.i-kosodate.net/)については、関係者の協力により、本年1月下旬にシステムの一部が稼働する運びとなっているが、運用段階においてもご協力をお願いしたい。

(11)ファミリー・サポート・センター事業の総合的展開
 ファミリー・サポート・センター事業は、急な残業など臨時的、一時的な保育ニーズに対応するため、会員制で地域における育児に関する相互援助活動を行う市町村に対して、労働者の仕事と家庭の両立を支援するという雇用対策としての観点から補助を行うものである。
 平成13年度からは、省庁統合のメリットを活かす形で、仕事と家庭の両立支援に加えて、児童の福祉という目的をも併せて果たすため、地域の子育て支援機能の強化に向け、総合的に事業を展開することとしている。

(1) 援助を受けられる者の拡大
 原則として雇用労働者 → 自営業者や家庭の主婦なども含め、子供を持つ全ての者に拡大
(2) 支部の配置
 育児援助を受ける者のニーズ等に対応した迅速かつきめ細かなサービスを提供
 設置数 82カ所(本部のみ) → 182カ所(本部)、455カ所(支部)

(3) 大都市圏での設置促進
 大都市圏において、設置当初の円滑な運営確保のための支援
35カ所(本部)、338カ所(支部)

(4) 保育所等との連携強化
 支部を保育所の地域子育て支援センター等に併設し、育児相談等と一体的にサービス提供。また、保育所との連絡システムを整備。
 本事業は、現在、保育関係部局が担当している市町村が多いが、今後ニーズが更に高まることが予想されるので、労働関係部局とよく連携し、市町村に対するセンターの設置促進や保育所との連携等にご尽力いただくようお願いする。


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