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5 母子寡婦等福祉対策について


(1)児童扶養手当について

(1) 手当額
物価スライドの特例
 平成12年の消費者物価指数の下落が見込まれるが、平成13年度の手当額は前年度と同額とする。

  (12年度)   (13年度)
全部支給 42,370円 同額
一部支給 28,350円

(2) 所得制限限度額
 平成12年度に、勤労者等の所得が伸びていないことから据え置いたとろであるが、平成13年度においても、依然として勤労者等の所得が伸びていないことから、平成12年度と同額とする。

本人   (12年8月〜) (13年8月〜)
全部支給(2人世帯・年収) 204.8万円 同額
一部支給(2人世帯・年収) 300.0万円
扶養義務者等(6人世帯・年収) 600.0万円

(3) 制度の適正な運営等
 児童扶養手当制度については、制度の適正な運営を確保するため、常に支給要件や事実関係の的確な把握に努めることが必要である。また、受給資格者に対する的確な制度の趣旨・支給要件等についての周知徹底も不可欠である。特に、児童扶養手当法第6条第2項及び第3項に規定する5年の認定請求期限については、受給資格者が支給要件に該当するに至った日以後5年を経過したときは、認定の請求をすることができない(ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。)とされていることから、受給資格者が児童扶養手当制度及び当該規定の趣旨の不知等により、請求できないケースが発生することがないよう周知徹底方お願いいたしたい。
 各都道府県におかれては、これらの趣旨を踏まえ、広報誌やパンフレットによる周知徹底のみならず、市区町村、母子相談員、児童委員、母子福祉団体等各方面の協力を得て、幅広い周知徹底を図るとともに、受給資格者のプライバシーに配慮しつつ不適正受給等にかかる債権の発生防止に努める等、厳正かつ適正な制度運営に努められたい。
 また、管下市区町村に対して、認定請求、現況届等関係書類の適正な審査を引き続き指導するとともに、担当職員への研修会等をさらに充実し、受給者や新たに手当の請求を行う者に対し、制度の趣旨の説明やプライバシーに配慮した適切な応対等をこれまで以上に留意させ、制度に対する誤解や福祉に対する国民の信頼を損なうことのないようにされたい。

(4) 権限委譲
 地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(平成11年法律第87号)により、児童扶養手当法の認定及び支払等の事務については、平成14年8月1日に都道府県から都道府県、市及び福祉事務所設置町村へ権限委譲されることとなっており、現在その円滑な実施に向けて準備を行っているところであり、その協力方をお願いしたい。

(2)母子家庭等の自立促進について

(1) 就労支援対策について
 母子家庭の自立のためには、雇用の確保が極めて重要であることから、従来から就労支援対策を推進してきたところである。
 母子家庭の母を取り巻く雇用環境は、現在、極めて厳しい状況下にあることから、各都道府県等におかれては、就業促進ための講習会の開催、母子家庭就労支援計画の策定や関係機関の連携強化等による総合的な就労支援体制の整備を図る「就労促進支援事業」への積極的な取組をお願いしたい。特に、講習会修了者の就業促進等について、市町村、公共職業安定所等関係機関とも十分連携を図りながら、就労支援対策をさらに充実願いたい。
 なお、平成13年度においては、事業の効率化等の観点から母子家庭等自立促進対策事業と母子家庭等生活指導強化事業を統合することとしている。

(2) 母子寡婦福祉貸付金について
 平成13年度予算案においては、失業時における生活の安定と就労促進の観点から、生活資金の貸付条件に失業期間の貸付を設定し、貸付原資の追加として49.7億円を計上したところである。
 また、本貸付金が、母子家庭の経済的自立のために効果的に活用されるよう、市町村はもとより、修学資金等については、教育委員会とも連携し、学校関係者へも十分な周知を願いたい。
 なお、必要な時期に貸付が行われるよう事務処理について一層のご努力と償還促進について引き続きお願いする。

(3) 母子生活支援施設について
ア 母子生活支援施設については、「社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律」第9条による児童福祉法の一部改正により、本年4月1日より措置による入所から利用者が希望する施設を自ら選択し、都道府県等と契約する入所方式に変更されるとともに、利用者の施設選択等に資するため、都道府県等が地域住民に対し、母子生活支援施設の情報提供を行うこととされたので、その適正な執行をお願いする。
イ 母子家庭の有する問題の複雑・多様化に伴い、母子生活支援施設の機能強化が、これまでにも増して重要となってきており、施策の充実を図ってきているところである。
 平成13年度予算案については、虐待や暴力を受け心に深い傷を被っている母子に対し、カウンセリング等の心理療法により心の傷を癒すための心理療法担当職員の配置するとともに、入所している母子を追って夫等が警備体制の手薄な夜間に施設に踏み込み、母子や職員に不安を与えたり、危害を及ぼすことを防止する観点から、警備体制の強化を図ることとしている。
 なお、平成12年度に子育て支援短期利用事業の短期入所生活援助(ショートスティ)事業において、母子を緊急一時保護する場合、児童分の費用のみ補助していたものを、新たに母親の生活費相当も助成することとしたところであり、当該事業のさらなる活用もお願いしたい。
ウ 母子生活支援施設の充実強化を図っているにも拘わらず、一部施設では職員の適正配置がなされず、単なる住居の提供にとどまり、母子家庭の自立に向けその生活を支援していくという本来の施設機能を果たしていないところも見受けられるが、こうした施設に対しては、統廃合等の検討も含め適正な施設運営について厳正なる指導お願いする。

(4) 相談指導体制の整備について
 母子家庭に対する自立促進のための相談・指導体制の一層の充実強化を図るためには、母子相談員や母子生活支援施設、母子福祉団体等の果たす役割は極めて重要であり、特に、母子相談員については、母子寡婦福祉貸付金の業務に限らず、自立のための就労支援や近年社会問題になっているドメスティック・バイオレンスなど個々のケースについての各種相談への対応と自立支援が必要であり、その積極的な活用と適正な配置についてご配慮願いたい。

(5) 父子家庭への支援について
 父子家庭に対しては、従来から父子家庭等支援事業、介護人派遣事業、特別相談事業などを実施してきたところである。
 父子家庭についても、子育てと就労支援の両立支援については母子家庭と同様の施策を実施しているところであり、各都道府県等におかれても父子家庭支援に係るこれら事業の一層の広報及び積極的な活用をお願いする。

(3)子育て支援短期利用事業について

 本事業は、保護者が疾病、出産、残業等の事由により、家庭での養育が一時的に困難な児童や夫の暴力などにより緊急一時的に保護を必要とする母子を児童福祉施設等で養育・保護する事業であるが、平成13年度予算案においては、夜間養護 (トワイライトスティ)等事業に夜間に引き続き宿泊する場合の単価を設定することとしている。当事業については、市町村が事業実施主体であるが、平成12年度から保育士等の派遣方式など柔軟な対応が可能になっているので、保護者の多様な就業形態への対応やベビーホテル問題への対応として積極的な取組がなされるよう、指導方よろしくお願いする。

(4)婦人保護事業の推進について

(1) 婦人保護事業を取り巻く状況
ア 最近の売春を取り巻く状況は、社会・経済情勢の変化や国民の性に対する意識の変化等を反映し、売春形態の多様化や潜在化が進み、その対応は複雑、困難化している。
イ また、近年は、夫等からの女性に対する暴力が社会問題となっており、「男女共同参画基本計画(平成12年12月12日閣議決定)」においても夫・パートナーからの暴力への対策の推進が掲げられ、各施策による適切な対応が求められているところである。この問題に対しては、司法や警察などによる対応が肝要であるが、福祉の観点からも婦人保護事業が果たすべき役割が増加してきていると考えられる。

A 婦人保護施設等の活用
ア このような状況を踏まえ一部の都道府県では婦人相談所の相談件数、一時保護の件数、婦人保護施設の入所者数が極めて多くなっている。一方、これらへの対応が必ずしも十分に行われているとは言い難い都道府県もあるように見受けられる。ついては、定員割れした施設などの積極的な活用を図り、婦人保護事業の充実を図るようお願いする。
イ 特に、夫等の暴力から逃れてくる女性については、相手方からの追求等に対し逃避するといった都道府県内のみでは解決できない問題もあることから、平成13年度予算案では、夫等の暴力から遠ざけるため、他の都道府県の婦人相談所等に移動させて保護する経費を新たに計上しているところであり、広域的な保護の活用及び受け入れについても、関係機関と連携の下、積極的に取り組むよう配慮されたい。
 また、安全面や夜間・休日の対応等、緊急一時保護体制の充実を図る必要があることから、夜間における警備体制を強化することとしている。(母子生活支援施設についても、夜間警備体制の強化に係る経費を計上している。)
ウ 実施体制の整備 婦人保護事業における最近の複雑・多様化や夫等の暴力への対応といった新しい需要に適切に対応するためには、婦人相談所の機能の充実や婦人相談員の資質の向上等、行政機関の実施体制の整備が不可欠であるので、


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