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2018年5月24日 第6回労働政策審議会人材開発分科会議事録

○日時

平成30年5月24日(木)10:00~


○場所

厚生労働省 専用第21会議室(17階)


○議題

(1) 専門実践教育訓練の指定基準に関する施行後3年後における見直しについて
(2) その他

○議事

○小杉分科会長 皆様、おはようございます。村上委員が少しおくれているようですけれども、定足数には達しておりますので、ただいまから第6回「労働政策審議会人材開発分科会」を開催いたします。

 本日の出欠状況ですけれども、橋本委員、三村委員、小倉委員、角島委員、美野川委員、河本委員、小松委員が御欠席です。

 なお、河本委員の代理といたしまして、全日本空輸株式会社人財戦略室人事部、秋田グループキャリア支援室長にいらしていただいています。

○河本委員(代理 秋田室長) (起立一礼)

○小杉分科会長 ありがとうございます。

 また、事務局に人事異動がありましたので、紹介させていただきます。相本人材開発政策担当参事官です。

○相本人材開発政策担当参事官 相本でございます。よろしくお願いいたします。

○小杉分科会長 亀島分析官です。

○亀島分析官 亀島でございます。よろしくお願いいたします。

○小杉分科会長 では、議事に入ります。まず「専門実践教育訓練の指定基準に関する施行後3年後における見直しについて」、事務局から説明をお願いした上で、議論したいと思います。

 では、説明をお願いいたします。

○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 若年・キャリア担当参事官でございます。

 それでは、議題1、専門実践教育訓練の指定基準3年後の見直しに関しまして、お手元の資料1-1から1-4までを用い御説明を申し上げたいと思います。きょうはマイクがございませんが、聞き取りにくい部分があったら御容赦ください。できるだけ大きな声で説明したいと思います。

 最初の資料1-1をごらんください。本議題に関しましては、本年2月から3月の3回にわたる本分科会におきまして、私ども事務局のほうから関連する雇用保険データ、各種教育訓練課程制度、専門実践教育訓練の基本コンセプト等にかかわる資料を御提示いたしまして、見直し議論、初回にお示ししておりました論点、ポイントに沿って一通り御審議をいただいたという段階と認識をしているところでございます。本日は、これまでの3回の御審議を踏まえまして、資料1-1「専門実践教育訓練の指定基準の見直しについて」ということで、これまでの議論の整理をさせていただいたところでございます。

 資料1-1の全体の構成でございます。それぞれ1、2ということで表題で設定をし、その後、囲みで記述をさせていただいておりますのが、初回の審議の中で私どものほうから論点、ポイントとして御提示したものの該当部分でございます。

 その下に○、●で箇条書きで書かせていただいております。●の記述は、各論点に対応し、事務局のほうからお示ししてまいりました資料の要約に該当するものでございます。○に関しましては、委員の皆様から頂戴いたしました関連する御意見の概要でございます。さらに、それぞれの項目の下に二重囲み、論点として今後の審議における論点に係る事務局整理を御提示しているものでございます。

 関連する資料1-2、1-3に関しましては、前回の審議におきまして委員の皆様から頂戴した御意見を文部科学省とも共有した上で、本日追加資料としてお示しするものでございます。

 資料1-4は、過去3回にわたりまして私どものほうから本件の審議にかかわる関連資料ということで御提示したものを参考資料集ということで編集し直したもの。ほとんどの資料は既に御提示をしている資料でございますが、ごく一部補充をさせていただいているものもございます。1-2以下も適宜引用させていただきながら、主には1-1に基づいて御説明を申し上げたいと思います。

 初めに、「1.現行の指定基準に基づく専門実践教育訓練の訓練効果等について」ということでございます。この項目に関連いたしましては、主に雇用保険データを用い、受講者の属性、受講者のその後の就職等の状況について、幾つかのデータを御提示してきたところでございます。1ページの●にございますように、受給者の修了後の雇用保険適用就職。正社員就職率。課程類型ごとのデータの関係性。また、就職後1年間の定着率。さらには非正規雇用から正社員に移行された方の割合。また、追加給付の受給率といった観点から専門実践教育訓練の受講・受給の効果にかかわるデータを御提示した。多くの項目では一定の成果が出たということが言えるのではないかと事務局としては考えているところでございます。

 2ページをお繰りくださいませ。今、申し上げたことの各論課題でございます。主な受講者層が在職者である教育訓練の本制度への適合性に関する論点でございます。課程類型ごとに受講者に占める在職者、離職者の比率についてもデータで御提示いたしました。その中で第三類型、専門職大学院に関しまして、特に離職者の割合が1割に満たないということが大きな特徴として挙げられる点でございまして、先ほど申し上げましたデータは主には離職者にかかわるものということで、こうした在職者が多数を占める課程についての受講課程の多面的な分析が必要ではないかということで、これを補充するものとして、私どもは専門職大学院指定講座運営主体からのヒアリング調査なども実施した。あくまでも事例ということではございますが、こうした講座を受講・受給した方に関しまして、一定数の方がここにございますようなキャリアアップ、キャリアチェンジの成果が上がったという声を、事務局としてヒアリングを通じて把握をしているところでございます。

 これを踏まえた上での委員の皆様からの主な御意見、御指摘でございます。専門実践教育訓練給付について、主には非正規雇用労働者のキャリアアップのためという政策目的がある。正社員のキャリアアップの教育訓練については企業主導という考え方があるわけで、そうした意味で、専門実践教育訓練と専門実践教育訓練以外のキャリア形成支援の方法をそれぞれ考えるべきではないかという論点。

 また、この専門職大学院も含めて雇用保険制度としての専門実践教育訓練給付制度として今後も支援をすることがふさわしいのかどうかといった点について、受講・受給が次の就職につながっていくのか、次のキャリアにつながっていくということを支援する制度、そうした観点から検討・見直しが必要ではないかという御意見をいただいたところでございます。

 また、在職者も自らのキャリアを考え、学び直しを行うということは、将来的な失業防止につながるという意義がある。これまで受講料等のデータについてもお示ししてきたところでございますが、こうした実態を踏まえるならば、在職者の学び見直しを雇用保険制度で支援することについて、制度上一定の合理性があるのではないか。こうしたことが受講者の雇用の安定と就職の促進を図るという制度の意義に照らして、引き続き位置づけをすることについての必要性を考えるべき等々の御意見を頂戴したところでございます。

 こうしたファクト、委員の皆様からの御意見を踏まえた上で、二重囲み、論点ボックスが事務局として今回お示しをさせていただく論点でございます。

 ただいま申し上げましたように、第三類型、専門職大学院に関しまして、在職者が受講者の大多数を占めることによりまして、離職者の就職率、定着率などによる客観的な訓練効果の把握に制約をもたらしているということについて、私ども事務局として改めて認識をしているところでございます。

 こうした認識のもとで、まずはこの訓練効果をより多角的に実効性を持って把握する方法というものを整備する必要があるのではないかという問題意識のもとで、例えば修了者に対するキャリアコンサルティング、アンケートなどの活用、整備をし、段階的に講座指定要件に取り入れていくという考え方があるのではないかという御提示でございます。

 若干補足を申し上げますと、現行の専門実践教育訓練給付制度については、支給の要件として訓練前キャリコンを受けてもらうという制度設計になっております。ここで申し上げます修了者に対するキャリアコンサルティングというのは、これとの対比で言えば、いわば訓練後キャリコンとでも申すべきものでございます。訓練後にも改めて受講前のキャリアコンサルティングで確認をしたキャリア設計に即した形での学びの効果、その後のキャリア実現の効果が見込まれるのかといった点について、キャリア支援の専門家であるキャリアコンサルティングが助言・確認をするということが、本人のキャリア設計上の意義を持つものであると同時に、当該受講のキャリア設計上の効果の把握という観点でも有意義ではないかということでございます。

 また、アンケートでございます。こちらも現在訓練を受講・受給中の方に関しましては、その基本属性や本人の主観的な受講効果などに関するアンケート調査を実施しているところでございます。ここで御提案申し上げておりますのは、受講中のみならず、修了後も、例えば3年程度といったイメージでございますが、継続的に修了した方を対象としたアンケート調査を実施する中で、キャリアアップにかかわる一般的な指標として考えられます職務内容の充実であるとか、職位、賃金の変化、あるいはそうしたキャリア形成にかかわるインデックスの変化に関しまして、本人が訓練・受講との関連性についてどのような評価を持っているのかといった点について、現行のアンケート調査との比較でよりきめ細かく評価を行うといったイメージでございます。

 ただいま申し上げましたような新たな把握・分析を課程全体としての今後の評価に反映するとともに、それぞれの講座の評価にも可能な範囲で活用し、段階的に講座指定要件に取り入れていくことが考えられるのではないかという御提案でございます。

 次に、「2.専門実践教育訓練のコンセプトについて」でございます。こちらに関しましては、資料1-4の51ページから53ページもあわせて御参照いただければと思います。51ページから53ページはこれまでの分科会で御提示をした資料と全く同じ資料でございます。それまでの分科会における御審議等を踏まえ、専門実践教育訓練のもともとの基本コンセプト、今回の見直し検討に当たっての考え方再整理案というものを御提示し、御審議をいただいたところでございます。

 資料1-1の3ページの●でお示ししておりますのは、51ページから53ページに御提示しております資料の要約でございます。専門実践教育訓練のコンセプトでございます中長期キャリア形成に資するという考え方、また、こうした考え方を踏まえ、専門的かつ実践的な教育訓練を満たす指定基準の基本的考え方として、中段の丸にございますような3点ほどの考え方をこれまでも御提示し、御審議いただいたところでございます。

 こうした資料等を踏まえまして、これまでの審議の中で、その下の○にございますように、専門実践教育訓練給付の財源が雇用保険料であって、雇用保険制度としての負担と給付の均衡。また、他の給付とのバランスも踏まえた上での議論を行う必要がある。また、公平性を説明できるようにする必要がある等々の御意見をいただいたところでございます。2番につきましては、改めて論点ボックスとして特にお示ししておりませんので、全体としてこうした考え方について御議論、御確認をいただければと思っております。

 大きな3点目、専門職大学制度等に関してでございます。次の4ページをお繰りいただければと思います。こちらに関しましては、前回御提示した資料が1-4の57ページにございますし、また、関連する追加資料として1-2を御提示しておりますので、あわせて1-2もごらんいただければと思っております。前回も御説明を申し上げましたが、現在文部科学省において設置・認可手続が進められております質の高い実践的な職業教育を行うことを目的に、制度的に義務づけを行う新たな高等教育機関として創設をされた専門職大学等に関しまして、その目的に鑑み、その下の●にございますような設置基準、実務家教員、産業界との連携、プログラムの中での企業等での臨地実務実習の時間数等の要件が設定されていること。訓練期間に関して、専門職大学4年、専門職短期大学2~3年というポイントを改めて御提示をしております。

 関連しての資料1-2でございます。前回までの御審議の中で、既存の高等教育機関等との対応関係、あるいはこの専門職大学制度により、具体的にはどのような分野でどのような人材像のもとで教育訓練が行われるのか、よりイメージの明確化をといった趣旨の御指摘を頂戴してきたところでございます。そうした御指摘を踏まえまして、文部科学省とも問題意識を共有し、整理をしてもらいましたのがこちらの1-2でございます。上にございますのが既存の高等教育機関等における、いわば専門職大学等の教育訓練プログラムの祖型となるようなもの。現行専門学校、短期大学、また大学、それぞれが祖型として考え得るということでございます。

 それに対しまして、中段のプラスとして書かせていただいております内容。例えば一番左の現行祖型、専門学校における情報システム学科での学習内容は、その囲みのとおりでございますが、そこに実践を裏打ちする統計、デザイン、経営等の理論の学習内容を加え、新たな高等教育機関としての専門職大学、ここではあくまでも仮の名称でございますけれども、「情報クリエイション学部」といったプログラムの新設といったことがイメージをされる。制度的な担保の内容については、先ほど申し上げた内容とほぼ同等の内容について緑字で書かせていただいております。

 このように祖型となりますようなプログラム内容に専門職大学制度の趣旨を踏まえた上での教育訓練プログラムの付加を行うことで、左の下にございますように、IT専門技術に加えて、関連分野の理論、知識、技術、こうしたものも習得し、これらを活用して社会ニーズを捉えた、例えばソフトの開発、こういったソフトを具体的なビジネスで展開をしていく事業運営サービスの提案、こうしたことを実装された人材育成といったものを企図したプログラムといったことをイメージしているのだと。そうした内容の資料でございます。

 資料1-1、4ページのほうにお戻りいただければと思います。●の4つ目でございます。今ほど申し上げましたように、専門職大学の課程に関しましては、2年、3年または4年ということでございます。現行の専門実践教育訓練に関しましては、教育訓練課程に関しまして、原則2年、例外を含めても3年以内で、かつ資格取得上最短コースという制度設計になっているところでございます。したがって、現行では4年課程というものは、この専門実践教育訓練の対象講座にはないわけでございますが、専門職大学の位置づけに係る議論を通じて、4年課程ということについても御議論いただきたいということでございます。

 現行、今、申し上げました課程期間のルールによりまして、専門実践教育訓練の対象外とされているもの、いろんな類型があるわけでございますが、その中で例えば法令上の最短期間3年。看護師等がこれに該当するものでございます。ただ、在職者が受講者の多数を占めるということで、定時制でプログラムを編成する場合、物理的に3年では看護師養成課程の履修内容を全てプログラム編成、履修することは困難であるということで、これを4年課程ということで設定、運営をされているようなものが少数ながらございます。こうしたものは、今ほど申し上げましたような現行制度上、専門実践の指定対象外になっているところでございますけれども、このようなものを今回のこの議論の中でどのように位置づけ、考えていくのかという論点があるのではないかということを資料により御説明してきたところでございます。

 それに対して、委員の皆様方から、例えば従来からの短大が廃止をされている状況の中で、今回の専門職大学等について、2年あるいは3年という課程もあるけれども、こうしたものが社会企業ニーズにどの程度即したものになるのかといった御指摘。それに対しまして、専門職短大に関しまして、現在のところ資格の取得につながるような課程が中心であって、社会あるいは企業ニーズのないような課程が展開されるということは想定しがたいといった御意見も頂戴したところでございます。

 下の論点ボックスでございます。ただいま申し上げましたような内容も踏まえ、先ほど御説明申し上げました専門実践教育訓練の基本コンセプトといったものを踏まえまして、ただいま御説明申し上げましたような制度設計が予定されております専門職大学について、専門実践教育訓練の適合性、現在位置づけられております課程類型との整合性、あるいは企業の人材ニーズを反映するといったことが制度上担保されているか等の論点が想定されるものと考えておりますが、こうした観点を改めて御確認いただいた上で、そうした点について御確認をいただいた場合には、こうした課程のうち就職率等、一定の講座レベル要件を満たすものについて、専門実践教育訓練の対象に位置づけることとしてはどうかという御提案でございます。

 これに関連いたしまして、ただいま申し上げましたような定時制であることにより4年の通学を要する課程とか、現在国家資格の養成課程、ほとんどのものが3年以内という制度設計になっておりますが、私どもが確認をする中で唯一管理栄養士という国家資格のみ、この養成課程、最大4年という設定になっているところでございます。資格取得に制度上必要な、あるいは事実上必要な最短期間が4年課程のものについて、専門実践教育訓練に例外的に位置づけるということが考えられるのではないかという論点としての御提案でございます。

 次の5ページ「4.制度運用上の検討課題の取扱い」。いささか運営レベルの課題でございます。●をごらんいただければと思います。介護福祉士実務者研修という研修制度がございます。当然のことながら国家資格、介護福祉士の受験資格につながるようなものでございますけれども、現行の第一類型、国家資格養成課程に関しましては、当該課程修了のみをもって資格取得または国家資格受験資格を得られるもののみを対象としているものでございます。参考資料1-4の64ページにも介護福祉士実務者研修についての説明資料がございますので、適宜御参照いただければと思います。介護福祉士実務者研修については、一定の介護分野での実務経験を有する方が当該実務者研修を修了した場合に、介護福祉士国家資格受験資格を得られるというものでございます。

 制度創設初期においては第一類型について極めて厳格な設定・運用をしてきたところでございますが、こうした国家資格に直結するような研修・講座に関して、現在は第一類型の指定対象とはしていないというところでございます。

 少し性格の異なる話でございますが、講座ごとのパフォーマンスを測定する基準である就職・在職率については、これまで御説明申し上げてきておりますように、入講者分の就職・在職者数ということで、入講者には受講者の属性にかかわらず、全入講者を機械的にカウントしているところでございます。この中には、下のポツにございます長期履修生、在職中の方で受講時間の確保が困難などのやむを得ない理由によりまして、あらかじめ訓練修了までの期間を長期に設定して履修をされている方。課程全体としては2年課程なのだけれども、その方の事情を勘案して、あらかじめ3年間課程によって修了するということを予定して受講している方、こうした方が存在しているところでございます。こうした方も現行では入講者の一部ということで、全て分母にカウントしているわけでございますが、在職者が多数を占め、長期履修生が相当数を占める課程については、いわば自動的に就職・在職率要件を満たし得ないということで、こうした運用上把握された課題についてどのように考えていくのかということでございます。

 時間が押しておりますので、少しペースアップして説明させていただきます。

 次の6ページは、専門学校の社会人向けプログラムでございます。これも前回文科省提供の資料により御説明を申し上げ、さらに本日1-3として追加資料を御提示しているところでございます。1ページにそもそもの専門学校の産業界との組織的な連携等の特徴。2ページに景気動向に左右されない就職実績等のパフォーマンスの特徴。こうしたことをお示しした上で、3ページ以下が具体的な専門学校による社会人向けプログラムのイメージ等でございます。

 前回までにも御説明申し上げておりますように、専門学校がプロバイダーとなる専門実践教育訓練の課程類型として既に職業実践専門課程、2年制の正規課程がございます。今回御説明申し上げております専門学校による社会人向けプログラムに関しましては、専門学校による職業実践性を満たしたプログラム、文科大臣が認定する職業実践専門課程制度の認定要件を生かしつつ、特に在職中の社会人の方々が物理的に受講可能なプログラムを編成するという趣旨。また、既に当該分野におきまして一定の学習歴、業務経験を持っている方にコンパクトで付加価値の高い知識、スキルを習得してもらうことによって、キャリアアップに資する効果を高めていこう。こうした意図のもとで、より短期のプログラム、2年未満のプログラムについて、新たな大臣認定制度のもとでこれを位置づけていこうという趣旨でございます。

 具体的なイメージとして4ページ、5ページに介護人材アドバンスレベルプログラム。介護分野で既に一定の職業経験を有している方を中間管理職、キャリアアップに導いていくためのプログラム。あるいは映像分野におけるビジュアルエフェクツ専攻科。社会人を対象とした夜間の1年課程を通じまして、コンポジター、映像のデジタル編集やコンピュータグラフィックスといった分野での正社員雇用の実際の実績が相当程度上がっている、そうした祖型となるプログラムがあるといったことを文科省からも情報提供を受け、私どもも直接学校からのヒアリングなどを実施をしているところでございます。

 6ページのほうにお戻りいただきまして、こうしたこれまでの説明に対しまして、○の部分でございますが、社会人が学び直しを行っていく上で、短期、高密度、カジュアルなものも選択肢として必要ではないか。

 文部科学省関係のこうした短いプログラムについて、長いもの、短いもの、それぞれあるけれども、こうした全体としてのプログラムの性格に応じた棲み分け、整理が必要ではないかということ。こうした新たなプログラムに関し、人材を活用する企業のニーズが制度に反映されているかをしっかり点検をする必要があるといった点。

 さらには、今、申し上げましたような専門学校の社会人向けプログラムに関しまして、課程編成に企業が参画し、毎年検討・メンテナンスを行うということで、その制度設計上、企業ニーズから外れたようなプログラムが出てくるということは考えにくいのではないか等々の御指摘をいただいたところでございます。

 専門学校による社会人向けプログラムについても、先ほどの専門職大学等と同様に本制度のコンセプト等も踏まえた上で、専門実践教育訓練への適合性について改めて御審議をいただきたいと考えております。

 こうした点について一定クリアできるということが確認された場合に、こうした課程のうち講座レベル要件、就職率あるいは時間数等の要件を満たすことについて、専門実践教訓訓練の対象に位置づけることが考えられるのではないかという内容でございます。

 最後の6番には今ほど申し上げました項目に直接当てはまらないけれども、重要な御指摘としていただいた点。企業の側の社会人の学び直しの時間確保の重要性の問題。全体として量的側面だけではなくて、質的な観点も考慮した上で議論を進める必要があるのではないかという御意見を頂戴してきたところでございます。

 少し予定時間をオーバーしてしまいました。ただいま申し上げましたような各論点について改めて幅広く御審議をいただいた上で、私ども事務局として専門実践教育訓練に係る指定基準見直し案を整理いたしますとともに、この指定基準そのものには直接反映されないけれども、本制度のあり方を考える上で重要な論点、課題についてもさらに整理を試み、御審議をいただきたいと考えているところでございます。

 私からの説明は以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○小杉分科会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明につきまして、皆様から御意見、御質問を伺いたいのですが、きょうはマイクがないものですから、皆様に届くような声でぜひよろしくお願いいたします。

 それでは、上野委員、お願いします。

○上野委員 専門職大学院の訓練効果についてですけれども、資料の2ページ、在職者が受講者の多くを占める第三類型においては、卒業生に対するキャリアコンサルティングのみでは、卒業後の雇用、就労の変化について、受講しなかった企業内の人材と比較ができないと思っております。また、第三類型の受講、とりわけMBAなどを取得したことによって、企業内で取得していない者と比べ賃金の上昇や上位の役職への登用など、どのような処遇の変化が生じるかについて調査が必要ではないかと思っております。比較検討は、修了生に対するキャリアコンサルティングでは到底把握できないため、まずは企業などに対して、自社の社員がOFF-JTまたは自己啓発によりMBAなどを取得した場合、当該労働者に対し賃金の上昇や職位の上昇など、ほかの労働者と異なる処遇を与えるかについてのアンケート調査を実施するなど、企業人事に関する実態把握調査が必要だと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

○小杉分科会長 ありがとうございます。

 事務局、どうぞ。

○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 ただいま資料1-1、2ページの下の論点、本日私どものほうから御説明申し上げました訓練後のキャリコン、あるいはアンケートのより客観的な評価としての活用方法という観点からの御意見、御提案を頂戴したところでございます。こうしたアンケート調査なり、あるいはキャリアコンサルティングを実施した場合のその成果の評価に関しましては、可能な限り客観的に比較可能な群の成果と比較をするということは重要な論点であると思っております。技術的に申し上げますと、この専門職大学院を受講・修了した在職者の方に関し、既存の政府統計などでどういった部分に着目して比較対照群として設定するか等の観点については、専門的な観点からも検討を要する事項ではないかと考えております。アンケートあるいはキャリコンの評価の基準に加えまして、どのような比較対照群を設定して厳格な評価を行うかということについても、本日いただいた御意見も踏まえ、さらに検討したいと思っております。

 その際には、企業に対する別途のアンケート調査ということも確かに有用な手法の一つではないかと思っておりますので、コスト、その他の観点も参酌しながら、御提案を踏まえた検討をさらにさせていただきたいと思っております。

○小杉分科会長 どうぞ。

○上野委員 では、企業に対するアンケート調査の実施をするという方向でいいのですか。

○小杉分科会長 どうぞ。

○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 何がしかの方法でただいま御指摘をいただきましたような適切、合理性のある比較基準というものを設定した上でのこうしたアンケート、キャリアコンサルティングの実施ということを考えていきたいと思っております。具体的な手法については、少し技術的な観点から検討させていただければと思います。

○小杉分科会長 御指摘の点はよく理解しているので、手法はちょっと考えさせてくれということです。

○上野委員 わかりました。

○小杉分科会長 遠藤委員、どうぞ。

○遠藤委員 今の件に関してですが、これまでも議論があったものと理解しています。専門職大学院で受講したからといって直ちに賃金が上がるものでは全くないので、賃金の上昇にはいろんな要素があり、人事制度上、どう対応するかというのは、それぞれの企業のルールに基づいて行っているものであります。アンケートで出てきた結果だけを踏まえて効果のよしあしを判断するというのは、今後の展開の中で必要ないと思っています。

 繰り返しですが、政策の効果を見る上で多面的に見ていくということは重要ではございますが、賃金という一側面だけをクローズアップするような形での議論というのは避けるべきだと思います。

○小杉分科会長 賃金だけでははかれないという話ですね。

○上野委員 一つのバロメーターにはなりますね。

○遠藤委員 繰り返しですけれども、専門職大学院を受講したということが背景にあったとしても、それによって賃金が上昇したかどうかというのは定かではないので、求めているような調査の目的とは必ずしも合致しないのではないですか。

○小杉分科会長 基本的には多面的な評価の一つとしてはあり得るということでよろしいですか。

 どうぞ。

○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 先ほど2ページの資料について補足説明を申し上げました。まだ私どもも設計の細目まで詰めているわけではございませんけれども、想定される評価の項目として、ただいま御議論を頂戴した賃金以外に職務内容、よくキャリア支援の世界でjob enrichmentということも語られるわけでございます。職務内容の充実、職位等々、当然複数の指標観点から見ていく必要がある。ただいま御指摘をいただきましたように、訓練受講以外のさまざまなファクターが影響を及ぼし得るということは事実でございまして、そうした多面的な評価項目を評価する際にも一つの視点だけで見ないという趣旨の御指摘ではないかと私どもは受けとめておりますので、そうした観点から先ほど申し上げましたように具体的な設計、検討を進めていきたいと思っております。

○小杉分科会長 どうぞ。

○遠藤委員 そういう意味で申し上げますと、2ページの(2)の●の2つ目のところ「キャリアアップ、キャリアチェンジを果たしており」、少し飛ばしますが、「大幅な待遇上昇のケースも見られるとする声を把握している」という記述があります。これは一定のデータなりヒアリングを踏まえてまとめていると理解していますが、ややもすると大幅な待遇上昇が見込まれる、あるいはそういったことを期待するかのような形で専門職大学院の受講を位置づけていくということについては反対です。この辺の書きぶりも含めて慎重な御対応をお願いしたいと思います。

○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 御趣旨をよく理解させていただきました。

○小杉分科会長 高田委員、どうぞ。

○高田委員 第三類型についてですけれども、個人がリカレント教育を受けるということ自体、否定するものではなく、むしろ受けるべきだと思っています。その中で、雇用保険制度の専門実践教育訓練給付としての費用対効果を鑑みれば、現時点の第三類型の講座が必要なものであるのかについて非常に疑問を持っております。とりわけ第三類型につきまして給付が高額となっているということを踏まえると、受講することが雇用の安定と就職の促進につながっているのかという点に非常に疑問がありまして、そういったエビデンスが必要ではないかと考えています。雇用の安定と就職の促進に関する十分なエビデンスが今のところ確認できないというところでいきますと、専門職大学の講座については、講座指定を見直すということの検討が必要ではないかと考えております。

○小杉分科会長 今、第三類型に話が集中していますが、第三類型で何かございますか。

○大久保委員 第三類型の話にも関連する、もうちょっと一回り大きな話に行ってしまうのですけれども。

○小杉分科会長 どうぞ。

○大久保委員 私は、3ページにある専門実践教育訓練のコンセプトのところに立ち返ってもう一回考えるべきかなと思っていて、ここに「中長期的な」というのと「キャリア形成に資する」という考え方の言葉の整理を以前にしていただいているのですけれども、何のために専門実践教育訓練という制度を展開しているのかという原点がこの考え方にあるわけで、ここの理解をきちんと合わせておかないと、当然ながら結論、判断も変わってくるのだろうと思うのです。例えば2ページの中に「非正規雇用労働者のキャリアアップのためのもの」という言葉もありますが、非正規の人たちが正規になるというのは、中長期的なキャリア形成の中の一つの要素としてはあると思うのですが、それだけではない。この中に書いてあるとおり、それをもって就職ができるとか、定着の可能性が高まるとか、その後の就業経験、さらなる体系的教育訓練の受講等と相まって、キャリアアップに結びつくとか、幾つかのことが整理されているわけです。いわば目の前の今の仕事ということだけではなくて、もう一つ職位が上がる可能性とか、長期的に仕事内容をレベルアップするとか安定するとか、そういう総合的な観点を踏まえて中長期的なキャリア形成に資するということを議論してきたはずで、そのことを効果として見るときに、ここに書いてあるような就職・在職率というものでそのことを捉えようとしても限界があるわけです。そのことをどうやって補完するのかという話がベースとしてあって、何をヒアリングするのか、何をデータとして見るのかという話になっていくのだろうと思うのです。その辺のベースのところが狂わないようにしていただきたいと思います。

 それから、MBAの問題がずっと議論になっているところなので、今回この制度を使って実際にMBA、受講している人たちが何を目的にそもそも行っているのかということについて、もう少しはっきりと見ておく必要があるのではないか。MBAも非常に幅があって、学校によっても受講生の目的の違いがあると思います。企業で優遇されている人たちというのは、MBAへ行くときも企業派遣で行っているわけで、そういう人から、閉塞感を打破したいと思って自分で時間や費用を捻出する人もいます。今、管理職昇進率も下がっている中でそういう道を目指すとか、ほかの会社への転職を目指すという人たちもいるので、そのあたりの受講生の中長期キャリア形成に関して、どういうことを狙ってそこに行っているのかということもそのアンケートの中では捉えていただきたいなと思っております。

○小杉分科会長 今の話、よろしいですか。キャリア形成に資するということの内容は、先ほどおっしゃられた安定と就職という言葉だけをもうちょっと幅広く理解するという趣旨のお話と、それから実際のMBAをもうちょっと詳しく見たほうがいいのではないか。そのために成果をはかる仕組みというのは、就職率だけではないところでもっと見ていかなければいけないのではないかということ。私も賛成しますが、いかがでございましょうか。今、MBAが焦点になっておりますので、これからになりますけれども、もうちょっと個々のMBAのプログラムについて見ていく必要があるのではないかということですね。プログラムの受講生に立って。大企業で派遣でMBAと言うと、行かせているところは大体日本のMBAではないのですね。「MBA」という言葉に対するイメージが随分違っているのかもしれないですね。日本の大学がやっているMBAの中にはいろんなタイプの方がいらっしゃる。そういうこと、今、大久保委員からは実例、幾らか知っておられてお話をされておりますが、そういうことがあるので、その実態をもうちょっと見た上で議論したほうがいいのではないかという御提案かと思います。

 第三類型だけに焦点が当たっていますが、ほかの新たな枠組み等々についてはいかがでございましょうか。どうぞ。

○高田委員 第三類型以外についてです。指定基準についてですけれども、現在の指定基準では、例えば大型自動車、建設機械運転などの免許の取得講座などの国民生活や経済を支えるインフラ的な国家資格が専門実践教育訓練に指定されていませんが、その分野では今、かなり人手不足の状態です。そういった免許を取得する方に手当てを行うと、実際に就職に直結しやすいということもありますので、今後の日本経済の成長に影響を与える可能性があるような人手不足分野について、国民生活や経済成長を支える国家資格という基準で指定基準として追加を検討していただきたいと考えております。

○小杉分科会長 それは今、本当に必要なところかなと思いますが、事務局、いかがですか。

○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 ありがとうございます。現在の第一類型に関しましては、先ほども少し制度として説明申し上げましたように、業務独占、名称独占資格の受験資格あるいは資格そのものを修了によって得られる、また、時間数が一定以上のもののみを対象としているということ。ただいま委員から御指摘がございましたような国家資格直結のものであっても、時間数その他の要件からこれを満たせないものについては、今、専門実践の対象にはなっていない。ただ、一般教育訓練給付の対象講座としては一定の要件を満たすものを位置づけており、それに対しまして、関係者から、まさに今お話がございましたような国家インフラ、あるいは人手不足、就職促進の必要性が高いもの、そういった意味での支援の充実という御意見、御要望は、私どももさまざまな場面で承り、それは検討課題であるということもいろんな場面でこれまた申し上げているところでございます。

 本日も御審議いただいております専門実践教育訓練の中長期的なキャリア形成という観点からすると、どんぴしゃとは言いがたいという部分はあろうかと思いますが、同時に就職直結という少し違う切り口では大変バリューのある教育訓練であり、また資格であるということは私どもも十分認識をしているところでございまして、そういった意味では、この教育訓練給付全体の中で、ただいまお話しいただきましたような分野の資格取得に結びつけるような教育訓練受講促進策については、私ども事務局としてもさらに制度設計、整合性等の観点からも検討を深め、また、しかるべきタイミングではこの分科会においてもそうした部分での支援の充実について、ぜひ御審議をいただきたいという考え方を持っているところでございます。

○高田委員 国民生活、経済を支えるための国家資格に直結しますので、ぜひ支援策の検討をお願いしたいと思います。

○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 はい。

○小杉分科会長 ほかの点でいかがですか。大久保委員、どうぞ。

○大久保委員 第三類型以外のところですけれども、今回専門職大学とか、あるいは専門学校を中心とした社会人向けのプログラムの拡充とか、文部科学省のほうで主に展開している施策との連携を図るというところは、当然必要だと思うのですが、一方で、2点ほど気になっていることもあります。一つは、専門実践教育訓練は、もともと第一類型のところで国家資格との連携をして、それに該当するものについては対象講座にするということも決まっているわけですけれども、つまり、専門職大学や専門学校、国家資格、このあたりのところでカバーされているところというのは、資格等と結びつきが密接にある、いわばスペシャリスト的な仕事の方々であり、例えばジョブ型などは典型的になじみやすいところだと思うのですが、実際にはそうでないメンバーシップ型で働いていて、企業の中で異動していくような人たちや一般的なホワイトカラーの人たちもいるので、全体として講座数が充実していっぱいあるのだけれども、それがスペシャリストの人たちに偏っているということではバランスも悪いので、そのほかのところも含めて、労働者全体に目配せがされているかどうかということについては忘れずに見ていただきたいなということが一つあります。

 もう一つは、これまでずっと指摘されてきたように、日本の大学は、主に18歳の人たちを対象としているところの比率が高くて、社会人向けの講座については、日本はずっとおくれてきたという指摘をされてきているわけでありますが、こういう状況になって、学び直し、リカレント教育や100年人生という時代になってくると、高校を卒業して、大学を卒業したということとはまた別に、どこかのタイミングで学び直しのために大学を活用する、専門学校に行くという話になってくるので、そうなると、また一から18歳で大学に入るのとは意味が違うと思うのです。幾つかのカリキュラムに関しては、改めて入るときには、それは既に学習済みであって、そういうものは既にいいのだ、もうちょっと追加的なところだけうまく学びたいのだというニーズもあると思うのです。

 この間、必ずしも長期のものばかりがいいとは限らないと申し上げたのですけれども、社会人に向けてきちんと生産的に追加学習ができるようにするというところの視点は、文部科学省の視点とは違うところにもあると思うので、実践教育訓練の指定をする際に、その辺のところの配慮があるかということについても見ていただいたほうがいいのかなと思います。

○小杉分科会長 松井委員、どうぞ。

○松井委員 同じく専門職大学、短期大学についてですが、この新しい学校制度をつくるという目的や趣旨については、文部科学省等で検討されています。そうした試みについては、否定するものではないと個人的に思いますが、それに対して給付金をこの制度で支給するかどうかということとは別問題だと思っていまして、基本的には反対の考えを持っています。雇用保険制度から出す給付金ですから、一定の実績がある教育制度に対して初めて給付をするかどうかを検討するというのが基本的な考え方ではないかと思っています。狙いや趣旨、政策的なイメージはこうだとしても、実際に立ち上がった学校がどのぐらいの規模があって、実際この狙いどおりの教育が本当にできるのかどうかということもまだわからないわけですから、少なくとも1回2年なり3年なりの課程が終わって、どういう教育が実際されたか、見込まれているような趣旨に沿った教育制度になっているのかということを確かめた上で、専門実践教育訓練の給付をするかどうかという論議をするというのが本来の順番ではないかと感じておりますので、ぜひそうした観点で検討していただきたいと思っています。

 こちらのほうはもう既に募集の準備が行われており、来年の4月から開校するところもあるようで、既に宣伝等もされているようですが、そうしたスケジュールに合わせて本審議会で議論され、開校時期を念頭に議論が進むようなことがあってはならないと思いますので、その点もぜひ確認をさせていただければと思います。

○小杉分科会長 事務局、どうぞ。

○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 ただいまの委員の御指摘、専門職大学等固有の課題という側面と、一般的に専門実践教育訓練の対象講座について、その対象とする、候補となるような制度ができる際に初期から位置づけるということが適切なのかどうか。両面の問題意識を含めての御指摘と受けとめさせていただきました。

 専門職大学に関しましては、本日も御説明申し上げておりますように、既に文科省への認可申請がなされ、今、審査がなされているという段階でございます。文科省から情報提供を受ける中では、現在1647学科から認可申請が出されている。その中に専攻等の細かい区分があるものが一定数あると承知しておりますけれども、今、そのような状況でございます。

 最後に御指摘があった点に関しましては、当然のことながら本件については、これを専門実践教育訓練に位置づけるということについて、まさに本分科会で検討中という段階であり、そのことについては、私どもと文部科学省関係部局とは常に誤解が発生しないようにということで、意識合わせをさせていただいているつもりでございますし、今後ともそういうことには心がけていきたいと思います。

 もう一点、より普遍化をした上で、こうした新しいプログラム制度が創設された際の専門実践教育訓練の位置づけの考え方。ただいま委員から御指摘があったような考え方も当然あり得ると思っております。他方で、この専門職大学も含めまして、専門実践教育訓練については、その性格上、課程については既存のものでも2年あるいは3年、この専門職大学に限って言えば4年ということで、教育訓練自体がロングタームにわたるものが多い。それについての事後の実績まで把握、評価をするということになった場合には、物によっては6年前後ぐらいの期間を要してしまうということもあり得る。

 本日も何人かの委員の方から御指摘いただいておりますようなさまざまなキャリア設計ニーズを有する社会人の学び直しニーズというものが顕在化している中で、この専門実践教育訓練制度の活用のスピード感という観点、それから制度としては新しい制度ではあるわけですが、きょう御説明申し上げておりますように、全く同じものということではございませんが、現在祖型となるようなプログラムというのは多くの場合、存在する。そういった祖型のプログラムを通じてそれぞれの見込まれる効果について、一定の事前評価を行う余地がある等々の観点から、これまでも専門実践教育訓練制度の対象として検討に値するような新しい仕組みが創設をされる際には、今、申し上げたようなことを前提としながら、制度創設のタイミングで専門実践教育訓練の位置づけのあり方を御審議いただき、必要な課程及び講座ごとの指定基準を付した上で位置づけをする。

 ただ、同時に、そうした位置づけをした上で、講座単位で見た場合には、この指定の有効期間は3年でございます。3年経過した時点で最新の実績を改めて提示をいただいて、最新の実績に応じ、それぞれの講座単位で所期の期待をされていた、また要件を満たす実績を満たすのかということを精査し、基準を満たさない場合には再指定対象外とする。現実に既に3年以上たっている中で再指定に至っていない講座も多数に及んでいる実態でございます。

 また、課程全体として捉まえた場合でも、まさに今、3年後の見直しということでこのような御審議をいただいているわけでございますが、制度全体、また課程類型ごとのマクロの成果指標などをもってその課程のパフォーマンスについて御審議をいただいて、必要があれば、さまざまな追加的な評価手法を導入したり、基準、制度について見直しをすることは当然あり得る。そういう前提のもとでこの専門実践教育訓練制度について現在運用されているというのが事務局としての考え方でございます。

 そうしたことも前提に置きながら、当然のことながら予見され得る情報、見込みの中でこの専門職大学等について、専門実践教育訓練、中長期キャリア形成に資することが一定期待されるのかどうかという観点からさらに御審議をいただければありがたいと事務局として考えているところでございます。

○小杉分科会長 専門学校の専門実践教育課程の場合もその制度の卒業生が出ない段階で指定したという過去の経緯がございますね。そことの関係では。あの場合にも、もとになった課程についてきちんと調べたわけですね。

○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 もちろんでございます。

○小杉分科会長 そのアナロジーでいけばという話になってきますが、もとになったところをきちんと調べるというのが大事なポイントかもしれないですね。

 どうぞ。

○河本委員(代理 秋田室長) 6ページの5番の社会人向けプログラムについて御意見を述べさせていただきます。社会人向けプログラムの中で、今の議論の中でも少し出てきました中高年の方、あるいはシニアの社員の年齢層の方向けのプログラムという観点をぜひ忘れずに含めていただきたいなと考えております。御存じのとおりで、中高年の年齢層、人口もこれからふえていく中で雇用の確保の問題というのは、これから非常に大きな問題になってくると思います。企業の中におきましても、時代の変化が激しいので、スキル、ノウハウをどんどんリフレッシュしていかないと身についていかない。あるいは企業を出て次のセカンドキャリアをつくりたい、歩みたいという方もこれからますますふえてくると思います。一方で、年金のほうの問題もございますし、寿命のほうも伸びているということもありますので、これらの年代層の方の雇用が確保できる。こういう方々が生き生きと働けるような、そういった観点での社会人向けのプログラムというのもぜひ観点の中に一つ入れていただきたいと思っております。

 以上です。

○小杉分科会長 ほかに。早川委員、どうぞ。

○早川委員 ありがとうございます。

 私のほうからは第三類型の専門職大学院についてコメントをさせていただいた上で、専門職大学制度のほう、資料1-1の3について質問したいと思います。

 まず最初に、第三類型の専門職大学院についてはコメントだけですけれども、確かに、多面的なデータの収集は必要ですが、他方で、余り短期的にその成果を断ずることの懸念も同時にございます。というのは、企業ではローテーションの中で、例えば3年とか、人事異動の時期があるわけです。ただ単に在職者が大学院を修了したからといって、時期と関係なく即登用するような会社は恐らくそれほどないのではないか。そうではなくて、修了したからというよりは、修了者がそこで身につけた能力を使って働く中でかなり長期的にそれは活かされ、評価されていくのだろうと思われるのです。ということで、3年なりの追跡アンケートも必要ですし、先ほど委員から言われた情報収集も必要なのですが、他方で、身についた能力が企業の中で活かされているかというのは、かなり長期に見なくてはいけない。どうやってそういうことを見るかというと、個別の事例を集めることではないか。

 ごめんなさい。コメントが長くなってしまうのですが、例えば在職者が専門職大学院で学ぶことによって、現在はやりの言葉ですけれども、ビッグデータとか統計学を活用して経営に生かすとか、あるいは法律を勉強すれば、企業のコンプライアンスに役立てるとか、いろいろありうると思うのです。つまり、ふだん働いている中で感じるもやもやしているところを大学院の知識とか教養でもって問題解決するような能力が、すぐにではなくて、長期的に、最終的には企業全体のCSRとかといったものにも活用されていくのだと思うのです。その企業の中で活用されることもあるでしょうし、場合によっては転職なりで社会に生かされることもあるでしょう。一概にすぐに賃金とかで測れない効果もあろうかと。いきなり、君は大学院を修了したね、すばらしいね、賃金を上げようとかいうのでなくて、実際は身につけた能力でもって長期的に評価されていくのではないか。もちろん、見直しは必要かと思います。

 私の質問は、これとは異なる専門職大学制度、文科省のこの制度についてです。文科省の制度ですので、文科省に質問すべきところは省かせていただくのですけれども、懸念を一応申し上げます。若干の懸念は、実務家教員が4割以上、そして実習に相当するのが1,200時間以上、臨地実務実習が企業で600時間以上。こういった長時間の実習を予定されている。前回の分科会での御説明では労働者性は制度的には否定されるということなので、そういうことを前提にお話しします。

 厚生労働省のほうからこの制度の運用についてチェックなり監視は必要かと思われます。といいますのは、実地の実習がありますので、これはこの分科会の所管の部署ではございませんけれども、平成9年9月18日の基発第636号、インターンシップについての労働者性の該当の有無について通達が出ています。これは、内容が見学や体験的なものであり、使用従属関係が認められない場合には労働者には該当しない。多分今回の専門職大学ではそういう前提なのだと思いますが、他方で、この通達が言っているのは、生産活動に従事するなど当該作業による利益・効果が事業場に帰属し、かつ事業場と学生の間に使用従属関係が認められる場合は労働者に該当するということなのです。

 この通達のさらに重要な見解は、昭和57年2月19日の基発121号、商船大学あるいは商船専門学校の実習生について述べられた通達にかなり詳細な記述がございますので、ぜひ文科省にはこれらを周知していただきたい。場合によっては、かつての通達時点と違う大学ですので、厚生労働省のしかるべき担当部署のほうから改めて通達を出していただくように働きかける等していただきたい。

 実を言いますと、懸念というのは制度の逸脱とか乱用でございます。例えば実習中に事故が起こります。制度的には労働者性を否定しています。では、労災として取り扱えないのかという問題なのですが、労働法の適用は実態に即して、つまり、教育目的だからということで排除するわけでなくて、あくまで個別の実態に即して使用従属関係があれば適用になります。これが労災だと認定された場合、実習で学生を受け入れている企業には、労災保険法上、場合によって事業主に対する費用徴収がございます。保険料を遡及的に徴収するのとあわせて、給付したものの40100%を徴収するということで、制度から逸脱した場合ですけれども、実習受入企業にとってかなりのリスクが発生します。

 もう一つの問題は、この実習時間以外のアルバイトの受け入れです。例えば長時間労働。この実習以外に、身につくからということで、同じ会社でアルバイトをさせた場合に、アルバイトをさせているところだけを労働者と見るのか、実習も含め全体を就労と評価するのかといった問題が生じます。かつて外国人研修制度に実務研修があったときの裁判例としても蓄積がありますので、ぜひ制度から逸脱しないように文科省の制度に対して厚生労働省のほうから指導をする仕組みをお願いしたいと思います。

 ごめんなさい。長くなりました。

○小杉分科会長 質問というよりはアドバイスです。

 どうぞ。

○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 ただいま委員から御指摘をいただきました内容のうち、一般的な意味での厚生労働省の立場での専門実践教育訓練対象講座の教育実態のフォローアップという意味では、現状でも3年に1回の再指定申請時の最新の状況の確認、また現況報告といった形で、できる限りリアルタイムでそれぞれの課程、運営の実態把握をした上で、現行でも制度所管部局と連携しながら必要な確認等を行っておりまして、それは今後ともしっかり行っていきたい。

 後半のほうでは、個別に御指摘いただきました専門職大学にかかわる臨地実務実習中の労働法の適用に関し、御指摘がございましたような、主には労働基準局が所管する既往の通達を発出され、文部科学省としては、まさに今お話がございましたように、商船大学のように既にその対象となり得るような大学教育が行われているということで、現行の指導内容については、当然文科省も各大学も承知をしていると認識はしておりますが、今回このような御指摘をいただきましたので、改めて現行法、あるいは主要な通達について文部科学省に対し、もちろん労働基準局などとも連携をしながら注意喚起するとともに、専門職大学における臨地実務実習において、これまでの四年制大学におけるインターンシップと何らか違う論点、労働行政の立場で新たに留意すべきような点があるのかどうかといった点についても、さらに文科省所管部局との間でフォローアップを行い、最終的に何がしかのフォローが必要ということになった場合には、主には労働基準行政の対応ということになるかと思いますが、この専門実践教育訓練制度を所管する立場で必要な対応をしていきたいと思います。

○小杉分科会長 ほかにいかがでございましょうか。

 では、先に荘司委員から。

○荘司委員 私からも社会人の学び直しについて、2点ほど意見を述べさせていただきたいと思います。なかなか従業員の学び直しにおいてで大学が使用されにくいという理由として、やはり実践的でないとか、最先端の技術が学べないということなどがあると思います。実用的あるいは活用的な訓練というのが求められているという点からすると、従来の大学とか短大、専修学校、などでいいのかどうかも含めて、企業側のニーズなども十分把握する必要があるのではないかと思います。そういった促進の検討ということでいきますと、既存の職業訓練機関の活用を進めるということも重要かと思いますので、検討いただきたいというのが一つ。

 もう一つが、労働者側としましては、学び直しに時間を要するということになってきますと、本来業務ですとか家庭の事情でなかなか時間が確保できないということもありますので、そういった時間確保の面で、まさに企業側の理解とかが必要になろうかと思います。そういった点について、を政府としても企業への周知、広報でありますとか、労働環境の整備の働きかけ行っていただくということが重要になるのだと思います。

 特に専門実践教育訓練のように長期間の訓練が必要な場合には、有給のリカレント休暇の制度というのも必要になりますから、学び直しのための時間を確保できるような支援というのもぜひ検討をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○小杉分科会長 お待たせしました。村上委員、どうぞ。

○村上委員 幾つかあるのですが、区切ってお話ししたいと思います。

 3ページで、専門実践教育訓練のコンセプトとしてこれまでの議論について整理いただいております。この中で●の3つ目とか、あるいはその下の○のところで私どもが主張してきた話は十分記載していただいていると思いますが、雇用保険制度の目的から外れないようにしていくことが必要であるということを重ねて申し上げておきたいと思います。その点から言うと、講座の指定基準については、受講者の属性であるとか、就職率などの実績を踏まえて、安易な拡大であるとか、訓練期間の延長はどうなのかということを検証しながらやっていくべきだろうと思っています。

 本日もいろいろ御議論があった中で、専門実践教育訓練の対象になる方というのは、必ずしも非正規の方だけではなくて、これから職につこうとしている人もいるし、転職する人もいるし、定着ということももちろん大事だと思っておりますし、必ずしも若い年齢層だけでなくて、中高年の方も対象になると思っておりますが、ただ、大事なのは、その人たちに給付することが雇用保険制度から見てどうなのかという点を見ていかなくてはいけないと思っています。

 様々な大学であるとか、専門学校が提供している教育訓練の講座自体が役に立たないと言っているものではないのですが、指定するに当たっては、給付を伴うというところから見て、どういう講座が適切なのかという指標を考えていくべきだということであります。

 その意味で、3ページの1になるかと思うのですが、コンセプトのところは、「中長期的なキャリア形成に資する専門的かつ実践的な教育訓練」の中の「中長期的な」というのと「キャリア形成に資する」というところについて、これまでの整理を書いていただいておりますが、もう一つ、対象者は誰なのかということも少し記載しておくことが必要ではないかと考えております。妙案があるわけではないので、そこは皆さん方からいろいろ御指摘もいただいていきたいと思っております。

 長くなって申しわけないですが、先ほど第三類型の議論でMBAの話もありましたが、第三累計にはMBAだけでなくて、ロースクールなどもいろいろありまして、そういうことを考えたときに、専門実践教育訓練をつくるに当たって、まず対象にするべき人は訓練機会が十分でない労働者ではないか。そういうことから考えていくと、給付対象者を今のまま、特別絞っていないというところをどう考えるのかということがあります。これはもしかしたら雇用保険の給付のほうの問題なのかもしれませんけれども、どの程度の人たちを念頭に置いてこの専門実践教育訓練制度というものを考えるのかということを議論していただきたいと思っております。

 私たちは、在職中の労働者について、全てを対象から外してもらいたいということは考えておりません。在職中であっても訓練することは必要で、私自身も10年以上前に自分の知識の足りなさがあって、夜間の大学院の科目履修などに通ったこともありました。それが自分の仕事をする上で役立ったということはもちろんあるので、そのことを否定はしないのですが、ただ、給付を伴うので、給付の場合については、例えば一定水準以上の所得のある人たちへの給付というものをどう考えるのかということはあると思います。所得制限を設けるとか、あるいは給付の率に傾斜をつけるといったことも考えられるのではないかと思っております。ここだけで解決できる話ではありせんけれども、その点もこの制度を考える上での論点として入れていただきたいと思っております。

 さらに対象者の問題ですが、厚生労働省の中からは声が出てきてはいないと思うのですが、フリーランサーなどについても追加してはどうなのかという話がいろいろ出てきているようですけれども、これは雇用保険の問題であるので、フリーランス、自営業の方にとっての制度というものは別途経産省などを中心にお考えいただくのが適当ではないかと思っておりますので、そういうことをあわせて意見として申し上げておきたいと思います。

○小杉分科会長 対象者の問題ですね。

 どうぞ。

○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 今、両委員から何点か御指摘いただいたところでございます。

 先に荘司委員の御指摘に関しまして、後半のほうで学び直しに係る企業側の環境整備。教育訓練休暇制度等がそれに対応する仕組みということになるかと思います。この点に関しましては、必ずしも専門実践教育訓練制度の活用促進という観点だけではなく、広い意味での学び直し促進という観点でさまざまな場で今、議論されている課題の一つでございます。企業におけるこうした環境整備をさまざまな制度によって促進、支援する仕組みについても、専門実践教育訓練給付制度の枠外ではございますが、政策的なペアの課題として私どもは具体的に検討を進めていきたいと思っております。

 また、村上委員からも何点かの重要な指摘をいただいたところでございます。例えば3ページにおいて、現在、○で書かせていただいておりますような内容について、黒丸並びでどのように位置づけていくのかといった点に関しては、先ほど説明の最後の部分で本日の審議を踏まえて私ども事務局として指定基準の見直し案と、それから指定基準そのものには反映されないけれども、この間御指摘いただいた重要な論点について何らかの形で整理をし、御議論いただきたいということを申し上げたところでございます。

 今の点については、どちらかというと後者に属する論点ではないかと思っておりますので、この間の御指摘も踏まえ、まず私ども事務局として各委員の御指摘をできる限り盛り込んだ整理を工夫し、御確認をいただきたいと思っております。

 また、専門実践教育訓練の給付の対象者のあり方についても何点か御指摘をいただいたところでございます。村上委員からも御指摘いただきましたように、給付制度そのものに直接かかわる課題ということで、これまでも本分科会において給付制度に直接かかわるような御指摘については、既に職業安定局とも共有をしてきたところでございますが、本日いただいた内容については、もちろん本分科会の事務局という立場でもこの指定基準に関連する事項ということで受けとめつつ、直接的には制度を所管する部局とも御提案いただいたような考え方について共有した上で、しかるべき場でどのような形で御審議をいただくのかということについてもよく相談をさせていただければと思っているところでございます。

○小杉分科会長 遠藤委員、どうぞ。

○遠藤委員 個別ではなくて、全体ということで意見を申し上げさせていただきます。先ほどから労働側から御指摘がございましたように、雇用保険で支えるということですから、制度趣旨を踏まえるべきだ、雇用の継続安定、あるいは再就職の促進といったこと、これは異論のないところです。あわせて保険原理を尊重すべき、これも言わずもがなのことです。

 加えて、今後の学び直しということを考えますと、個々人の自助努力のウエートが大変高まってくることが見込まれています。そういった中で教育訓練給付に対する期待が大きいということも言えるかと思います。先ほど事務局から訓練後キャリコンというお話がございました。キャリコンの位置づけがより重要になってくるのではないかと思います。

 そういった中で、繰り返しの発言を許していただきたいのですが、企業に在職している方については、企業側の推薦があればキャリコンを受けなくてもいいという形になっています。少なくとも2回目以降は、キャリコンを必須とすることを御検討いただければと思います。

 対象者につきましては、制度創設のときに、当時はインターバル10年であったのですが、濫給が見込まれるということもあったものですから、私自身は回数制限を御提案させていただきました。そのときの事務局の御返答は、保険の枠組みなので、一定の要件を満たす者について制限をかけるということはなじまないということでした。今後、対象者を絞るというのであれば、なかなか難しいですが、改めて回数制限も入れていく必要があるのではないかと思います。

○小杉分科会長 ありがとうございます。

 ほかにございますか。村上委員、どうぞ。

○村上委員 資料1-1の5ページ「4.制度運用上の検討課題の取扱いについて」というところで、どなたからも特段御発言がないので、論点、問いかけがありますので、それについて何点か申し上げます。

 まず1つ目、四角囲みで上に書かれている実務経験等の一定要件を満たす者が受講するというものに関しましては、在職者が業務上必要な能力開発については、本来企業で行うことだと思っておりますので、それは教育訓練給付ではなくて、企業への支援という形であればあるかもしれませんけれども、専門実践教育訓練として指定するという話ではないのではないかというのが1点です。

 マル2の専門実践教育訓練としての講座基準を満たさない一般教育訓練の問題であります。これについて、どのようにすみ分けをしていくのかというのはいろいろ考えなくてはいけないのですが、専門実践教育訓練と一般教育訓練と内容が重複しているものについては、なるべく重複しないように、一般なのか、専門なのかという仕分けはやっていくことが必要だということで、専門については、専門的に職業の安定に資すると認められものということにして、それ以外が一般ということなのではないかと思います。

 きょうは一般の話ではないのですけれども、一般教育訓練についても、効果が十分見込まれるのかですとか、産業、企業のニーズと合致するのかということからも指定基準や給付の水準の見直しが必要ではないかと思っております。

 それから、大型自動車免許の話であるとか、そういったものが必要な場合については、専門実践教育訓練への追加というものも考えていくべきではないかと思っております。

 マル3の就職・在職率の計上の方法ですが、長期履修者や進学希望者が多いところをどうするかという話ですけれども、経済的な理由などで進学困難者がいるのであれば、本来そういった方への支援というのは教育訓練給付とは別途行うべきではないかと思います。

 そういう方を除いた場合に、就職・在職率を8割達成できる講座というものを指定するということになった場合、残り2割はどういう方がいらっしゃるのかというのがよくわからない部分なので、その点を少し具体的に教えていただきたいと思います。

 受講後に就職することが十分に見込めないという者について対象に含めるべきでないということ、改めての意見を申し上げておきたいと思います。

 以上です。

○小杉分科会長 どうぞ。

○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 お尋ねも何点かございました。今、頂戴した御意見、御質問の何点かについて、コメント、お答えを申し上げたいと思います。

 介護福祉士実務者研修に関しては、入念的に資料1-4の64ページなども御確認いただければと思います。冒頭も御説明申し上げましたように、介護福祉士資格取得ルートのいわゆる実務経験ルートにかかわっての今回の御説明でございます。この資料にもございますように、3年以上の介護等業務、実務経験を有する方が、今回御提案をしております、今はこの専門実践の対象となっていない介護福祉士実務者研修を受講することによって国家資格受験要件を満たす、そういう類型についての御提案でございます。

 念のために申し上げますと、ここでの実務経験というのは、過去に3年以上といった実務経験を有するということで、そのときの状況としては、実務経験を経た上で離職をしている、あるいは子育て等によりまして必然的に仕事についていないという方も大いに含まれ得るということを一応入念的に御説明申し上げた上で、今回御提案した内容について、本日の各委員の御意見も踏まえた上で、また次回の整理を事務局として試み、御審議をいただきたいと考えております。

 専門、一般の関係性については、ただいま村上委員のほうから専門の基準は満たさないけれども、一般の指定基準は満たし得る者、そういう考え方で今、御指摘をいただいたのかなと。ここも本日の資料では少し構造がわかりにくい部分もあるのかなと思いますので、次回は資料の構成なども工夫をしながら、次回さらに確認的な御議論をいただければと思います。

 その後の何点かの御指摘の最後にいただいた就職・在職率、今の雇用環境のもとでという意味合いも含めての御質問ではないかと思っておりますが、8割を満たさない。残余の分がどういう方々なのか。ここにございますような長期履修生、それから関連する分野での進学者。それから正社員等での就職に至らず、アルバイトなどの非常に臨時的な就業にとどまっている方。健康その他の理由によって直ちに就業できない方。何分私どもの報告に上がってこない残余の分でございますので、個別に全て把握をしているわけではございませんが、業務運営の中で一般的に把握をしている典型的な属性としては、そういった方々が分母には計上されているけれども、分子には計上されていない。それが8割を満たさない場合には今、指定対象外になっていないという実態であるということを補足で御説明申し上げます。

○小杉分科会長 制度運営上の課題の取扱いについて、ほかに御意見ございますか。実務者研修など、まさに今、必要な分野の、最初におっしゃっていた国家として必要な領域なので、少し幅広く考えるべきではないかという気持ちを私は持っておりますが。

 そのほか、論点として出てきませんでしたけれども、定時制のものとか、その辺についてはいかがでございますか。最短は3年だけれども、定時制の形なので、定時制だとどうしても最短だと4年になってしまうというものをどうするか。4ページのあたりも制度上の課題と並んで出てくるところでございます。きょう直ちにということでなく、また次回ということで。

 村上委員、どうぞ。

○村上委員 今の先生の御指摘は4ページの下の箱のところかなと思うのですが、専門実践教育訓練の対象で定時制で4年かかる講座がどれだけあるのかというところをきちんとわかっていないということだとか、あるいはそうした講座が今後ふえる可能性もあるとか、そのことがよくわからない部分での発言なのですけれども、受講期間が長くなれば給付期間が長くなるという話も公平性の観点からどうなのかというところもありますので、全く排除すべしということを申し上げるつもりはないのですが、ただ、通学で3年通っているときよりも給付が全体に多くなってしまうとか、そういったことになるということはどうなのかという気がいたしますので、慎重に検討いただきたいと思います。

○小杉分科会長 定時制を排除するものではないけれども、給付のバランスが欠けないような措置が必要ではないかというお考えですね。

○村上委員 そうです。

○小杉分科会長 どうぞ。

○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 ただいまの御指摘に関連して。ここで典型例として挙げている定時制であるがゆえに4年の通学を要するもの。例えば典型的な看護師養成課程で言うと、私どもが今、把握している限りでは全国で7カ所。必ずしも多数に及んでいるものではないということでございます。

 給付制度上の取り扱いでございますが、これは先ほど来御審議いただいておりますが、最終的には安定局、必要に応じて雇用保険部会などで御審議いただく事項と認識しておりますが、講座指定制度を所管している立場で申し上げますと、ゼネラルルールとして4年のものと、こうした本来3年のものが物理的、実質的な制約で4年というものは少し仕分けをして考える必要があるのかなと思っています。今ほど御指摘いただきましたような定時制であるがゆえに実質最短4年といったものに関しては、私どものほうの立場で言いますと、通常の今の3年課程を対象とした給付の総額。それが単純に3年分が4年に延びるということについては、一般的に説明はしにくいのかなと。給付制度についても、現行でも一つの講座、また10年ということのキャップというものがはまっているわけでございますが、そういったものについても本来的には3年の課程であるということを前提とした上での運用基準を設定する必要があるのではないかという問題意識は、私どもも持っているところでございますので、そういった問題意識のもとで所管部局ともさらに詳細を詰めていきたいと思っております。

○小杉分科会長 遠藤委員、お待たせしました。

○遠藤委員 ただ今、お話がありましたように、インターバルを10年から3年に変えるときも、年間の対象額をどうするのか、10年の支給総額をどうするのかという議論があって、それは動かさないということで、インターバルは3年になったものです。仮に今回のような形で対象講座が入ってくるにしても、単年度、あるいは10年の総枠は変える必要がないと思います。

 その中で、先ほど委員長がおっしゃったようなことが一つ頭の中にありまして、ここに出てきている看護師、管理栄養士、介護福祉士というのは、まさに今、人が欲しくてしようがない分野です。人が足りなくて困っている、資格取得者をふやさなければいけないという分野を例外的に足していくというのも一つのありようかなと思いました。

○小杉分科会長 ほかにございますでしょうか。村上委員、どうぞ。

○村上委員 何度も申しわけありません。

 今、遠藤委員が言われたことは本当に大事だと思っておりまして、私どもも中長期のキャリア形成に資するというだけだと絞り切れない部分がありまして、ですので、大変慎重な意見を申し上げているのですけれども、雇用保険制度として支援しても社会的に納得できるようなものであれば支援していくことが必要と考えております。そうした部分に支援していくことについてはコンセンサスもできるのではないかと思っております。それは例えば非正規の方への支援というのもありますし、あるいは社会的に必要とされる分野への支援もありまして、そういったところに特に厚くするというか、先ほどもご意見がありましたけれども、介護やドライバーの問題もありますし、そういった考え方というのは十分検討に値するのではないかと思っておりますので、ぜひ御検討いただきたいと思っております。

○小杉分科会長 ありがとうございます。

 この議論につきましては、そろそろよろしゅうございますか。

 私から言わせていただきますと、今回この教育訓練給付金の制度の中で、文科省の関連施設、教育機関がかなり職業能力開発のほうに目を向けるようになったという経緯が大変大事だと思っています。日本の教育資源がなかなか職業訓練、職業教育に向かわなかったところがございますけれども、今回のこの制度を契機に、有用な資源を何とか人材開発に向けるという意味では大変意味があると思いますので、そうした点も含めて他省庁の教育資源をこの能力開発政策のために使うという発想で運用していくことが必要ではないかなと思いました。

 以上です。

 では、この議論はここまでとしまして、第2の議題「その他」について、事務局から報告で、平成29年度「能力開発基本調査」の調査結果について説明をお願いいたします。

○相本人材開発政策担当参事官 人材開発政策担当参事官室、参事官でございます。資料2に基づきまして御説明申し上げます。平成29年度「能力開発基本調査」の結果についてでございます。本年の3月30日にプレスリリースをしました資料に基づいての御報告を申し上げます。この能力開発基本調査につきましては、国内の企業、事業所、労働者の能力開発の実態を明らかにすることを目的として、平成13年度から実施しております。この調査は、企業の能力開発の方針などを調べる企業調査、事業所の教育訓練の実施状況などを調べる事業所調査、個々の労働者の教育訓練の実施状況などを調べる個人調査で構成されております。それでは、各調査のポイントにつきまして、データをもとに御説明いたします。

 まず、資料の1ページをごらんください。企業調査についてであります。企業がOFF-JT及び自己啓発支援に支出した費用につきまして、労働者1人当たりの平均額を見ますと、OFF-JT1.7万円と、前回2.1万円よりは減少しております。自己啓発支援は0.4万円と、前回0.5万円より減少しているところであります。

 続きまして、3ページ目をごらんください。能力開発の考え方についてであります。企業主体か、労働者個人主体かを調査したものです。正社員に対する能力開発の責任主体につきましては、「企業主体で決定する」またはそれに近いとする企業が77.1%。前回は76.1%と引き続き高い水準にあります。一方で、正社員以外につきましては、企業主体で決定する、またはそれに近いとする企業は65.9%。前回は65.6%であり、正社員に比べますと10%以上低い水準にあります。

 続きまして、事業所調査について御説明申し上げます。資料の12ページ目をごらんください。OFF-JTの実施状況を調査したところ、正社員に対しましては75.4%と、前回74.0%に比べますと増加しているところであります。一方、正社員以外に対しましては38.6%と、前回37.0%に比べると増加しているものの、正社員に比べますと約半分の水準にとどまっております。

 続きまして、18ページをごらんください。人材育成に関する問題点について調査したところ、能力開発や人材育成に関して何らかの問題があるとする事業所は75.4%と、前回72.9%と比べると増加しております。また、問題点の内訳につきましては、「指導する人材が不足している」が54.2%と最も高く、「人材育成を行う時間がない」が49.5%、「人材を育成してもやめてしまう」が47.8%と続いております。

 最後に個人調査について御説明申し上げます。資料の41ページをごらんください。自己啓発の実施状況についてであります。正社員では42.9%、前回が45.8%。正社員以外では20.2%、前回が21.6%と、前回の調査と比べますと正社員、正社員以外ともともに減少しているところであります。

 続きまして、45ページをごらんください。自己啓発を行う上で何らかの問題があるとしたものは、正社員では78.9%、前回が78.4%。正社員以外では70.7%、前回が70.3%といずれも高い割合になっております。

 自己啓発における問題点の内訳としましては、正社員では「仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない」が57.5%と最も高く、「費用がかかり過ぎる」が28.0%と続いております。

 正社員以外におきましては、「仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない」が40.4%。挙げる割合が最も高いという点では正社員と同様でございますが、その次に「家事・育児が忙しくて自己啓発の余裕がない」が34.7%と高くなっているところでございます。

 簡単ではございますが、本調査につきましてのポイントの説明とさせていただきます。

 以上でございます。

○小杉分科会長 ありがとうございました。

 それでは、この件につきまして、皆様から御質問、御意見ございますでしょうか。大久保委員、どうぞ。

○大久保委員 基本的な質問なのですけれども、例えば1ページのところにOFF-JTに支出した平均額のデータがありますが、これだと27年に対して28年はふえて、29年は減っているわけです。あるいはほかのところでも事業所調査、個人調査を含めて、例えば事業所調査では、21ページの「キャリアコンサルティングを行うしくみのある事業所」というのも27年から28年はふえて、今回また減っているというようなアップダウンがあるのですが、これは1回改善したものが悪化したとそのまま捉えるべきものなのか、それともこのでこぼこは大きな意味では誤差範囲のものと見るのか。どちらで見るべきなのでしょうか。

○相本人材開発政策担当参事官 今の御指摘、各論、例えばOFF-JTに企業が支出した費用の件につきましては、確かに平成28年度と平成29年度を比べると減少しております。ただ、これにつきましては、平成21年度調査以降を見ますと、前回の2.1万円を除きますと、1.3万円から1.7万円の間で推移しているということで、今回の調査結果のみをもって支出に関します傾向が変わっているというまでは言えないのではないかと考えております。

○小杉分科会長 どうぞ。

○大久保委員 たしかこれは前回の報告のときにも申し上げたような気がするのですが、能力開発基本調査に関しては、去年と比べてどうだったかという話だけではなくて、今、お話をいただいたような、もうちょっと長いレンジでの変化傾向みたいなお話を発表していただいたほうが活用できるのではないかと思いますので、そのあたりも御検討いただければなと思います。

○相本人材開発政策担当参事官 ありがとうございます。

 御指摘のとおりでございまして、個別の例でございますけれども、今回の調査結果から傾向が変わったということは言えないというデータもあるとは考えてございます。そのような御意見も踏まえまして、長期的な視点を加えました調査結果の発表資料の作成につきまして、さらに工夫してまいりたいと考えております。

○小杉分科会長 ほかにございますでしょうか。よろしいですか。浅井委員、どうぞ。

○浅井委員 今回の今のテーマと先ほどの専門実践教育訓練と両方にかかわる課題かと思いますが、45ページのところで「仕事が忙しくて自己啓発に余裕がない」と御指摘の方が57.5%なのですけれども、一方で、今の世界経済の動向を考えますと、右肩上がりの線形成長が望めない。かつ100年人生となると、先ほどの指摘でも中高年の再教育の問題が出ておりましたが、中高年はまだ100年のうちの半分の折り返し地点。

 となると、自律と自己責任でみずから学んでいく必要性を、改めてこの数字をもとに考えなければいけないのではないか。それを考えた上で、先ほどの専門実践教育訓練の問題も取り組まなければいけない時期に来ているのであろうと考えます。

 とりわけ私は製造業が専門ですので、この分野におけるドラスティックな構造転換の現在、製造ライン等の現場では、約300万人の移動があるやもしれないとの経産省の試算もあり、自己啓発のあり方を考えていかなければいけない。極論を言えば、4時半には仕事を終了し、その後は個々の人間が学びの時間を持つ。それが社会にとって、イノベーションの側面からもプラスの効果があるという変化の必要性を改めて思いました。

○小杉分科会長 ありがとうございます。

 まさに教育訓練を活発にしなければ。今、日本はイノベーションの意味ではかなりおくれた国になってしまっていますので、何とかしなければならないという焦りをとても感じました。

 ほかにございますか。ないようでしたら、この議題もここまでとさせていただきます。

 そのほか委員の皆様からこの際に何か御発言ございますか。よろしいでしょうか。

 それでは、本日の議論は以上とさせていただきます。

 次回第7回の日程につきましては、6月27日(水)13時より開催を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

 また、本日の議事録の署名人ですが、労働者側は上野委員、使用者側は臼田委員にお願いしたいと思います。

 それでは、本日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。

 


(了)

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