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2018年5月25日 第112回社会保障審議会医療保険部会議事録

○日時

平成30年5月25日(金)16:00~17:58


○場所

全国都市会館 大ホール


○議題

1.2040年を見据えた社会保障の将来見通しと政策課題
2.オンライン資格確認等
3.その他

○議事

○遠藤部会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第112回「医療保険部会」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、御多忙の折、お集まりをいただきまして、ありがとうございます。
 まず、本日の委員の出欠状況でございます。
 岩村委員、岡崎委員、菊池委員、原委員、福田委員、渡邊委員より御欠席の御連絡をいただいております。
 続きまして、欠席委員の代理出席についてお諮りをいたします。
 岡崎委員の代理として田中参考人、菊池委員の代理として吉川参考人、原委員の代理として齋藤参考人、福田委員の代理として國井参考人の出席につき、御承認をいただければと思いますが、よろしゅうございますか。
                               (「異議なし」と声あり)
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 本日は、「2040年を見据えた社会保障の将来見通しと政策課題」「オンライン資格確認等」「その他」の3つを議題といたします。
 それでは、まず、「2040年を見据えた社会保障の将来見通しと政策課題」を議題といたします。
 前回、医療保険制度をめぐる課題として幅広い御議論をいただき、事務局からも、社会保障・税一体改革後の社会保障の展望として、高齢者数がピークを迎える2040年頃を見据えた検討が必要であるといった説明があったところですが、これに関連して、その後、先日の経済財政諮問会議において厚生労働省をはじめ関係省庁から「2040年を見据えた社会保障の将来見通し」が示されましたので、本日はこの内容を御説明していただいた上で、医療保険制度における政策課題に関して御議論をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは事務局より、資料の説明をお願いします。
○山内課長 調査課長でございます。
 資料1-1、1-2に基づきまして、まず、将来見通しについて御説明をいたします。
 資料1-1の1ページ目をごらんください。
 一番上の囲みに趣旨が書かれておりますけれども、3月29日の経済財政諮問会議において、2040年頃を見据えた議論の素材となる社会保障の将来推計を早急に示すべきという御議論があったことを踏まえまして、関係府省において、2040年までの見通しを作成して、5月21日の経済財政諮問会議に提出したものであります。
 試算結果マル1と書かれている囲みの1つ目の○ですけれども、現在は、社会保障・税一体改革を進める中で、都道府県、市町村の計画がございますので、基本的には、それらの積み上げを基礎とした「計画ベース」と、それから、それとの比較もできるよう、足元の医療や介護の利用状況を将来に投影した「現状投影」を作成しているということでございます。
 下の図でございますけれども、「現状投影」と「計画ベース」で異なるのは医療・介護ですので、まず、医療・介護についての見通しを見ています。
 左側の「現状投影」を見ますと、2018年度に49.9兆円、括弧内でありますが、対GDP比8.8%の医療・介護の給付費が、2040年度には92.9~94.7兆円、対GDP比で11.7~12.0%程度になると見通されております。
 これに対して、右側の「計画ベース」ですが、医療・介護を合わせた給付費は、「現状投影」とほぼ同程度となっていますけれども、医療・介護それぞれを見ますと、グラフの横の囲みの中に数値が書いてありますけれども、医療では、入院患者数の減少とか、後発医薬品の普及等の医療費適正化の取組みによって、若干給付費が「現状投影」に比べると少なくなる。その一方で介護では、サービス基盤の充実等によりまして、若干給付費が多くなっていることになっております。
 上の試算結果マル1と書いた囲みの2つ目の○の一番下の行に書いていますとおり、この状況は、疾病や状態像に応じてその人にとって適切な医療・介護サービスが受けられる社会の実現を目指したという形が、こういう形であらわれていると考えるところでございます。
 これに年金や子育て等を加えた社会保障給付費全体を見たものが2ページ目でございますが、左側の図となります。グラフは、先ほどごらんいただいた中の「計画ベース」で作成しておりまして、横に「現状投影」の数値を書き込んでいると、そういう形になっています。
 社会保障給付費全体で見ますと、2018年度に121.3兆円、括弧内ですが、対GDP比で21.5%であるものが、2040年度におおむね190兆円程度、対GDP比で24%程度になると見通されているということでございます。
 社会保障給付費の名目額はかなり大きくなるということですけれども、この間、横軸の年度の下に「GDP」と書いてある欄があると思うのですが、この間、GDPも大きくなりますので、対GDP比で見た場合、2018年度から2025年度にかけて若干の上昇、それから、2025年度から2040年度にかけまして、2.1~2.2%ポイント程度の上昇になります。
 このGDP比の2.1~2.2%ポイント程度の上昇と、対GDP比24%程度という数字をどのように受けとめるかということでありますけれども、1つは、基本的な見方として、我が国の社会保障給付費は、対GDP比で見て、2040年に向けて引き続き一定程度上昇する見通しで、保険料や公費の負担についても、横軸の下のGDPのさらにその下に「保険料負担」と「公費負担」と書いておりますけれども、それぞれ保険料負担、公費負担の対GDP比がパーセントで表示されておりますが、こうした保険料や公費の負担についても一定程度上昇の見通しということが、1つ基本的な見方ということかと思います。
 また、その一方で、2025年度から2040年度の15年間で2.1~2.2%ポイント程度という上昇幅につきましては、例えば過去の実績を見ますと、2000年度から2015年度の15年間の実績を見ますと、この間、GDPがほとんど増えなかったことには留意が必要ではありますが、社会保障給付費の対GDP比は6.8%ポイント程度の上昇でありました。
 それから、社会保障給付費の対GDP比が24%程度という水準につきまして、例えば諸外国などとの比較で考えますと、この場合においても、国によって制度や負担の水準がかなり違うことに留意が必要ですけれども、国民経済に対する社会支出の規模感ということで言えば、現在のドイツとおおむね同程度ということになっています。
 そういう状況ですので、もう一つの見方として、過去に経験したことがないような上昇幅とか、どの国も負担したことがないような水準ということでもないというふうな見方もできるのではないかと思います。
 それから、左側の図の右上に書いておりますが、これまで申し上げた数字は、経済前提として、内閣府がいわゆる中長期試算で二通り示してあるケースのうち、成長率が低いほう、ベースラインケースを基礎として計算した数字になっています。
 上の囲みの2つ目の○にありますとおり、もう一つの成長実現ケースを基礎として計算しますと、2040年における社会保障給付費の名目額は大きくなりますが、一方で、対GDP比は1%ポイント程度、ベースラインケースと比べると低くなるということになっております。
 右側の図でございますが、医療福祉分野全体における就業者数の見通しを見たものであります。2018年度の医療福祉分野全体の就業者数は823万人でありまして、横軸の下に括弧で就業者数全体を書いていますが、その就業者数全体に対する割合は12.5%で、およそ8人に1人程度が医療福祉分野の就業者ということになっています。これが2040年度には、下の括弧の中の数字ですが、就業者数全体が5,654万人。そこまで減少する中で、医療福祉分野における就業者数は1,065万人に増加するということで、対就業者数全体で見て18.8%で、5人強に1人というぐらいの状況まで上昇の見通しということになっています。
 今後、2025年以降は、現役世代の人口が急減するという局面を迎えるわけですけれども、医療福祉分野では、基本的には、人の手を経てサービスが行われるということがありますので、マンパワーの確保等が大きな課題になるものと考えられますし、社会全体としても、医療福祉分野にどれだけの就業者数をかけることができるかということもあるのではないかと考えられます。
 資料1-2でございますが、そうした観点から、これは厚生労働省においてマンパワーのシミュレーションを行ったものであります。左側の囲みに、【シミュレーション(1)】と【シミュレーション(2)】と書いておりますけれども、【シミュレーション(1)】とありますのは、これは需要サイドにつきまして、医療や介護の必要度が減少するということで需要が一定程度低下した場合を想定するという、そういうシミュレーションでございます。
 それから、【シミュレーション(2)】とありますのは、今度は供給側について、医療・介護等の生産性が一定程度向上することでマンパワーの必要量が少なくなる場合を想定したということであります。
 結果につきましては、右側に棒グラフが4本並んでいますけれども、一番左の1,065と書いてあるものが、先ほどごらんいただいた「計画ベース」の2040年度の医療福祉分野の就業者数1,065万人で、【シミュレーション(1)】と【シミュレーション(2)】を両方重ねた場合が、4本並んだ棒グラフの一番右ということで、1,065万人に比べて130万人程度効率化ができるのではないかということで、1,065万人から130万人程度の効率化が行われ、935万人程度の就業者数の見込みになります。
 この就業者数は、さらに右側に、「(参考)2025年度計画ベース」と書いてある棒グラフがありますけれども、対就業者数全体に対する割合はこの2025年度よりは若干高くはなるのですが、全体の人数の規模感としては、おおむね2025年度と同程度の水準と見ることができるのではないかということであります。
 ここまで、資料1-1、1-2の概要で御説明したことの詳細結果が、お手元の参考資料1-1と参考資料1-2となります。給付や負担の詳細とか、給付費や就業者数の計算の基礎とした患者数とか利用者数等の数値を示しております。
 1つだけ、参考資料1-1の一番最後のほうですが、19ページと20ページをごらんいただきますと、19ページが【経済:ベースラインケース】で、20ページが【経済:成長実現ケース】ですが、医療・介護の1人当たり保険料・保険料率の見通しといったものを示しております。1人当たり保険料の金額が書いてあるほうは、保険料率との比較から賃金上昇率で割り戻した足元の価格となっています。
 また、これは、制度全体の平均的な値なので、協会けんぽを別にしますと、個々の保険者の保険料・保険料率とは異なりますし、個々の加入者等の保険料は、さらに、所得水準等によって大きく異なる場合があることに留意が必要ということではありますが、全体的にはこのような状況になっていて、基本的には、各制度とも、2040年度に向かって上昇していくということになっております。
 最後にもう一度、資料1-1の3ページ目に戻っていただきたいのですけれども、3ページ目に前提や方法等を書いております。上から3つの○が前提等でありまして、足元値や人口の前提や経済の前提を示しています。それから、4つ目の○が将来見通しの作成方法ということで、全般的考え方ということで、医療・介護に関しては、基本的に、年齢階級別の受療率あるいは利用率に将来推計人口を適用して、まず需要を推計して、そして、単価と伸び率を適用して推計したと、そういうやり方をしております。
 一定の前提を置いた推計なので、当然、留意事項がございまして、一番下に書いております。一定の仮定をおいて行ったもので、相当程度の幅を持って見る必要があるといったことなど、そういった留意事項をここに書いております。
 説明は以上でございます。
○依田課長 続きまして、資料1-3につきまして御説明申し上げたいと思います。
 「2040年を展望した社会保障改革についての国民的な議論の必要性」というペーパーでございますが、これも先ほどの将来見通しと同じく、先日の経済財政諮問会議に厚生労働省といたしまして提出した資料でございます。
 これは時間軸で整理をしておりますけれども、社会保障改革の全体像といたしまして、来年10月に消費税率の引上げが予定されているわけでございますが、これに伴いまして、社会保障・税一体改革に関わる制度改革も完了することが見込まれるわけでございます。こうした中で、一体改革後の社会保障改革をどのように進めていくかということが課題になっているわけでございますが、私どもといたしましては、前回も御説明申し上げましたけれども、高齢者数がピークを迎える2040年頃の社会保障制度を展望して考えていく必要があるのではないかということでございます。
 こうした中で、政策課題といたしまして、これまで進めてまいりました給付と負担の見直し等による社会保障の持続可能性の確保は、引き続き進めていくということでありますが、2025年を越える中では、現役世代の人口が急減していくというような新たな局面に直面いたすわけでございまして、そうした中での政策課題といたしまして、健康寿命の延伸等の社会の活力維持向上をどういうふうに図っていくか、また、労働力の制約が強まる中での医療・介護サービスの確保、また、生産性の向上、こうした新たな政策課題も含めまして、総合的に検討していく必要があるということでございまして、いわば社会保障改革の全体像についての国民的な議論が必要ではないかと考えている次第でございます。
 先ほど説明申し上げました社会保障給付費とか、また、マンパワーにつきましての推計も、こうした国民的議論を喚起していただくための一助と考えている次第でございます。
 また、厚生労働省といたしましては、健康寿命の延伸とか、また、医療・介護サービスの生産性向上に向けた具体的な目標の設定とか、施策の具体化に着手をしていくということで、可能なものから予算措置とか制度改正を検討していく必要があると考えております。
 この関連資料を幾つかつけておりますが、2ページ目でございますけれども、これは前回御説明申し上げた資料でございまして、今申し上げました2040年頃を展望した際には、2025年以降人口構造が大きく変化をしていく。すなわち、高齢者の急増から現役世代の急減に局面が変化するという中で政策対応をしていく必要があるということで、先ほど申し上げましたような3つの大きな課題に取り組んでいく必要があるということでございます。
 それから、関連いたしまして3ページ目でございますが、これも併せて先日の諮問会議でお示しした資料でございますけれども、「生産年齢人口の急減という局面で健康寿命の延伸に取り組むことの重要性」。これは高齢者就業の拡大を例にお示しをしたものでございます。下に3つの箱がございますけれども、まさに高齢者就業を拡大していくことによりまして、1つは、制度の支え手を増やしていく、また、それに伴って、保険料収入の増加も期待できるというようなことで、近年もそういうような傾向にあるということでございます。
 それから、真ん中の図でございますけれども、これは都道府県ごとの65歳以上の就業率と、それから、年齢調整をいたしました1人当たりの医療・介護費との関係を見たものでございますけれども、負の相関が見られるということで、就業による健康の保持効果も期待できるのではないかということ。
 それから、一番右の箱でございますけれども、こうした高齢者就業の拡大によって、労働投入が増加される中で、潜在成長率の押上げにもつながるのではないかということでございまして、まさに、社会保障のみならず、経済・社会全体に好影響をもたらしていくことが期待できるわけでございまして、2025年以降を見渡す中で、こうした高齢者の方々の就労、または、社会参加の基盤となる健康寿命の延伸が、より重要な政策課題になるというようなことを考えている次第でございます。
 それから、資料1-4をごらんいただければと思います。社会保障全体の改革について申し上げたとおりでございますが、医療保険制度をこうした中でどういうふうに進めていくかということで、これも、前回の医療保険部会で御説明申し上げました全体の改革の見取り図でございまして、これまでの一体改革の中での取組みと、それから、一体改革後の展望といたしまして、先ほど申し上げました、大きく3つの大きな政策課題につきまして、国民的議論のもとに進めていく必要があるのではないかということで整理したものでございます。
 1枚おめくりいただければと思いますが、今、1ページ目の3つの大きな柱立ての課題に沿いまして、医療保険制度改革関係の大きな括りで課題項目を整理したものでございます。
 1つには、社会保障制度の持続可能性の確保ということで、負担能力に応じた負担のあり方、世代間、世代内での負担の公平のあり方、また、保険給付のあり方とか。それから、国保改革にこの間取り組んでまいりましたけれども、保険制度の基盤であったり、また、保険者機能の強化をどう図っていくかという課題。また、高齢者医療制度のあり方について等々の課題でございます。それから、改革工程表でも具体的な検討事項がございますので、そうした事項につきましても、こうした中で検討をしていくというのが1つでございます。
 それから、2つ目の柱といたしましては、先ほど申しました人口急減をしていく中での社会活力維持ということで、健康寿命の延伸が大きな課題となる。特に、前回も御説明申し上げましたが、介護予防と、それから、医療保険の保健事業の一体的実施をどのように進めていくかという課題があると思っております。それから、年金制度とも関わる課題でございますが、被用者保険の適用拡大を進めていくというのは、先ほどありましたように、支え手を増やしていくというようなこと、また、保険料収入を増やしていくことでも非常に重要な課題であるということでございます。
 それから、3点目でございますが、医療・介護サービスの確保、また、生産性の向上といったようなところに取り組んでいくということでございます。
 それから、下のところですが、引き続きの取組みでございますが、医療提供体制の改革、また、医療費適正化計画の推進、また、データヘルス改革、審査支払機関の改革、こうした課題にも引き続き取り組んでいく必要があるということでございます。
 こうした課題につきまして、次回以降、個々の課題につきまして、順次、御議論を賜わればと考えている次第でございます。
 以上が資料1-4の説明でございます。
 それから、最後になりますが、この議題の1に関連しまして、被用者関係5団体の関係の委員から資料が提出されておりますので、御紹介申し上げる次第でございます。
 私からは以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいま事務局から説明のあった内容につきまして、御質問、御意見等をいただきたいと思います。いかがでございましょうか。
 佐野委員、どうぞ。
○佐野委員 ありがとうございます。
 最後に御紹介がありましたが、2040年のコメントをする前に、本日出させていただきました委員提出資料につきまして、若干コメントをさせていただきます。「医療保険制度改革に関する被用者保険関係5団体の意見」ということで、まとめて出させていただきました。
 開いていただいて、今回、5項目について意見を出させていただいております。
 まず1点目は、「後期高齢者の窓口負担について」でございまして、後ろ3行目の辺りですが、2018年度中には70~74歳の高齢者の窓口負担が2割となることを踏まえまして、75歳以上の後期高齢者の窓口負担についても、低所得者に配慮しつつ早急に原則2割とする方向で見直すべきであると申し上げております。
 それから、2点目の「拠出金負担の軽減について」でございますけれども、高齢者の医療給付費については、この負担構造改革を早急に断行すべきであると考えておりまして、現行制度の見直しを含めて、現役世代の負担を軽減して、保険者の健全な運営に資する措置を講じるべきであると申し上げております。
 それから、3点目の「社会保障の持続性確保について」でございますけれども、来年10月に予定されています消費税率10%引き上げの確実な実施は不可欠である。同時に、その後の検討についてもやはり必要だということを申し上げております。そういった中で、社会保障給付の効率化による伸びの抑制は必要であって、被用者保険の保険料への負担転嫁は行うべきではないと申し上げております。
 それから、「医療費の適正化について」も、医療の見直し、それから、薬価制度の抜本改革等をお願いしたいと思っております。
 最後に、「保険者機能の強化について」は、健康寿命をより延伸して、健康な高齢者には社会福祉を支える側に加わっていただくという面で、全ての医療保険者については、加入者に対する健康増進等、これまで以上に重要な役割が求められていると考えておりますので、個々の保険者は、その特性を生かしてやっていきたいと思っております。
 以上が、本日出させていただきました資料でございます。
 それから、議題の「2040年を見据えた社会保障の将来見通しと政策課題」についての健保連としての意見をコメントさせていただきます。
 今回の資料を見て、高齢化の進展、それから、現役世代の急減が改めて明らかになったと思います。したがって、今のままでは、現役世代の拠出金負担、保険料負担のさらなる加速につながる。要は、現行制度の枠組み、体制では、国民皆保険制度の維持は極めて困難ということを再認識いたしました。
 医療費の負担構造の抜本的見直しは待ったなしの緊急課題だと思います。早急に改革を実施するしかないという意をさらに強くした次第でございます。健保連でも、従来から主張をしておりますけれども、ぜひ、この医療保険部会においても、高齢者医療費の負担構造改革、それから、医療費の伸びの抑制、さらに、健康な高齢者をふやすことについての議論を深めていただきたいと思います。
 それから、資料の内容について若干コメントをいたします。
 今回の資料は、今後の経済成長による報酬水準の上昇等が見込まれていますので、例えば保険料率を見た場合、これは水準予測に影響を与えているような感じがいたします。ある面でこれは有効でございますけれども、負担感を実感として感じるためには、被保険者1人当たりの保険料実額を示していただければと思います。
 一方で、国保については、保険料の金額は出ているのですけれども、やや増加幅が小さいのかなという感じがいたします。これは、現行の財政調整や財政支援策の継続が前提になっているのかなという感じがいたしますので、この点は見直しが必要なのではないかなと思います。
 以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでございましょうか。
 それでは、田中参考人、どうぞ。
○田中参考人 高知市の田中でございます。2点ほど意見を申し上げます。
 少子高齢化の中での誤差はあるだろうけれども、この将来見通しというのは推計のように行くのではなかろうかと思われます。そうした中で、給付と負担のあり方は社会保障制度の持続可能性を確保していくためにも十分考えていかなければならないけれども、既に新聞紙上では、給付抑制も避けられないというような報道もなされています。
 市町村の現場で言えば、例えば生活保護の高齢者世帯、特に単身高齢者の増加など、高齢者の低年金世帯の増加もございます。資料1-3の1ページ「2014年を展望した社会保障改革についての国民的な議論の必要性」の真ん中に、消費税率引上げ(2019年10月)とございます。消費税財源を活用して年金生活者支援給付金制度の創設や介護保険第1号被保険者保険料の軽減の強化と、こういったところの完全実施は確実に実行していただく必要があります。こうした低所得者への配慮は確実に実行しながら、給付と負担になるかと考えていく必要があります。
 一方、この間さまざまな制度改正においては、1つの制度は低所得者に配慮した軽減、別の制度では負担を求めるといった整合性がとれないような対応も見られていますので、今後は、医療保険と介護保険トータルに、給付と負担のあり方を議論していくことが重要ではないかと考えております。
 2点目に、支える現役世代が減少していくという時代を迎えました社会の活力の維持向上のために、人材確保は非常に重要なテーマであり、既に医療や介護の現場では深刻な人材不足になっています。これから、働く意欲のある高齢者や障害のある方などが社会に参加し働くこと。特に、専門職分野以外の場面で社会貢献できれば、地域の活力を高める一助になるとも考えられます。
 そうした中で、元気な高齢者の働かない要因の1つとして、収入を得ると年金が減額されると。これは今朝の新聞で、2020年に向けて解消を目指すという記事がありましたけれども、働いた分のインセンティブはちゃんと働くということで、支え手をふやすことも必要であろうと思いますので、ぜひ実現していただきたい。
 こうした背景がありますけれども、今後の社会保障のあり方を議論するときには、こういったことも含めて議論をしていかなければならないのではないか。人材確保や支え手の増加につながらない、そういったところでは、ここは医療保険制度を議論する場所ではありますが、医療保険に限らず社会保障制度全体をトータルに議論できる場も必要ではないかと考えております。厚生労働省では、地域共生社会の実現ということも掲げておりますが、国民にとって、医療・介護・年金、その他の福祉施策も全て生活に直結いたします。それぞれが見直しがされ、整合性がとれないということは避けるべきでありますので、直ちにということではございませんが、トータルに議論できる場や方向性について十分検討をしていただくよう要望をいたします。
 以上です。
○遠藤部会長 ほかにございますか。
 それでは、南部委員、それから、望月委員の順番でお願いします。
○南部委員 ありがとうございます。
 まず、先ほど、健保連の佐野委員からございましたように、5団体での意見書を出させていただきましたので、取扱いのほどをよろしくお願いしたいと思います。その上で、連合としての御意見を申し上げたいと思います。1点質問も入っております。
 2040年を見据えた社会保障の将来見通しを御説明いただきまして、ありがとうございます。総じて、社会保障給付費が今後ますます増加していくことが明らかにされたと考えております。10%の消費税の確実な実行と「計画ベース」の前提である地域医療構想の実現は必須であると再認識をしたところでございます。
 そこで、質問でございますが、こうした見通しを踏まえると、今後、さらなる社会保障と税の一体改革が求められると思っておりますが、その検討体制について、現在、どのようなお考えがあるかということとスケジュール等を教えていただけたらと思っております。
 また、マンパワーのシミュレーションが示されたところでございまして、医療・福祉分野は人材不足が慢性化しております。今回行われました診療報酬改定では、入院基本料の体系が大きく見直されております。これに伴いまして、現場の病院では、重症患者さんを少ない看護師数で対応する運用が増えかねないという懸念を持っており、医療従事者の確保に向けた労働環境の整備も必要です。何より、医療安全の確保という観点から、次回の改定、2020年になろうかと思いますが、それに向けて、今回の検証の分析を十分していただきたいと思っております。
 以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、質問が出ましたので、事務局、御対応をお願いいたします。
○依田課長 今、南部委員から御質問をいただきましたけれども、まさに、一体改革後、どういうふうに進めていくかということであろうかと思いますけれども、1つは一体改革、先ほどございましたように、一体改革をしっかり進めていくということで、社会保障全体で言いますと、年金生活者支援給付金とか、そういう一体改革を最後仕上げていく段階にあるということでございます。
 それから、そうしたことを見据えながら、一体改革が完了するわけでございますので、その後を展望した改革をいかに進めていくことが課題ではないかということで、これは先日、経済財政諮問会議でも問題提起をさせていただいておりまして、まさに国民的議論のもとに、新しい政策課題も含めまして、総合的に検討をしていく必要があるのではないかということを問題提起させていただいたわけでございます。
 それから、諮問会議では、民間議員からも、まさに2040年頃を見据え、社会保障給付や負担の姿を幅広く共有して、国民的議論を喚起することが不可欠というようなことで提起されているわけでございまして、そこの問題認識は一致をしているわけでございます。
 こうした国民的議論をどういうふうにやっていくかというのは、まだ、今後の課題だと思っておりますけれども、こうしたいろいろな動向等もよくにらみながら、私どもとしても、この医療保険部会における議論の進め方についても、部会長ともよく御相談をさせていただきながら考えていきたいと思っております。
○遠藤部会長 それでは、南部委員、お願いします。
○南部委員 ありがとうございます。
 早急に進めていかなければならない課題ですが、重たい課題だということは共有化できると思います。ただ、早急に検討を開始しなければならないと私たちは思っております。ぜひ、社会保障審議会本審を開催していただき、その中で推計について議論を進めるべきだと思っておりますので、どうか、要望としてお受け取りください。
 以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、お待たせいたしました。望月委員、どうぞ。
○望月委員 ありがとうございます。
 中長期的な社会保障制度のあり方については、国民的議論が必要であると思います。今回、その素材となる、社会保障の将来見通しが約6年ぶりに示されたことについては評価したいと思います。その上で、社会保障給付費の見通しについて述べたいと思います。
 今後、制度の担い手である現役層が着実に減少していくという中で、この給付費の増加ペースをこのまま放置すれば、制度全体の持続性はもとより、経済、社会の活性化もままならないと思います。早急に給付費の増加の抑制に直接的に寄与する改革を徹底して推進していくことが重要であると考えます。
 また、医療・福祉分野における就業者数の見通しとマンパワーのシミュレーションが先ほどお示しされましたけれども、そもそも全就業者数自体が大幅に減少する中、この2040年度の医療・福祉分野における就業者数が全体の約2割弱に上ると見込まれているわけです。こうした状況は、我が国全体の産業競争力の維持強化の観点からも、本当に適正ということが言うことができるのか、強く懸念しています。このため、医療の提供体制の効率化と、そして、ICTの活用を通じた生産性の向上等をより強力に推進することが不可欠ではないかと考えています。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 では、安藤委員、どうぞ。安藤委員、それから、藤井委員の順番でお願いします。
○安藤委員 ありがとうございます。
 今回、2040年という、ある意味長期的な社会保障の推計を示されたのですけれども、経済の前提とか、医療費の伸び等、一定の割り切りのもとに前提をおかれていると思われるので、今後、新たなデータ等が明らかになりましたら、それも踏まえて更新して、常に実績との乖離を検証しながら、より確度の高い推計にしておくことが非常に重要であると思っております。
 また、今回、社会保障費とともに、それを支える医療・福祉分野の就業者数のシミュレーションが示されました。しかし、最も肝心な給付と負担の関係についての対策とか見通しはまだ示されておりません。もちろん、今後、議論するべきことなのですが、それもあればよかったなとは思います。
 制度の効率化によって給付の伸びをどのように抑制していくのかということと、負担の能力に応じた負担割合に見直して制度に対する納得感や持続可能性を高めていくことをやらないと、この部会での意義がないと思っております。
 そうした意味では、今回、資料1-4の2ページ目に示されましたが、今後の検討課題について、きちんとこういうふうに示していただいたことに関しましては、感謝を申し上げます。
 しかしながら、これをいかにプライオリティをつけて、何をどういうふうにやって、審議をしていくのかということが非常に重要であろうと思っておりまして、特に2040年という長期的なこともありますけれども、その手前にある2025年問題をどのようにして乗り越えていくのかという議論も当然のことながら必要であると思っております。
 私ども、2025年までの給付と負担の不均衡の是正を全力を挙げてやっていかなければ、現在、我々の加入者である現役世代の方たちの負担も限界に来ておりますので、その方たちの理解も得られないものであると考えております。
 また、一方で、国民の健康をいかにして維持・増進していくのかということが、我々の中で保健事業と呼んでおりますけれども、ここの保健事業の効果的な実施をどのようなふうにして実現していくのかという視点も非常に大切であるのかなと感じております。
 最後に、もう一点ですが、2040年の問題に関連しまして、外国人の方の医療保険の適用について1つ意見を申し上げたいと思います。我が国の医療保険の適用は、外国人の方につきましては、国保は滞在目的、一定期間以上の国内滞在等を要件としまして、被用者保険は事業所での雇用を要件として、保険制度の加入を認めているものでございます。特に被用者保険の場合、基本は事業所での雇用関係があれば適用となりまして、制度上、国籍は把握しておりません。
 昨年辺りから各メディア等で報道されておりますが、日本の医療保険の負担の低さ、そして、手厚さをねらって、特に高額療養費等でありますけれども、医療目的で日本に来られて、日本の医療保険に加入していられるように思われる事案が散見されます。被用者保険で言えば、御本人は働いていると思われますが、日本にいらっしゃらない御家族まで被扶養者として加入し、海外療養費制度を利用したり、来日して高額な医療を受けたりするケースが散見されております。
 従前から、書面ではないにしましても、協会として問題を申し上げてきたところでもありますし、また、私自身の前身が健保組合でありまして、健保組合からも厚生労働省に、毎年、同様の意見を言わせていただいております。本日も、2040年に向けて費用負担の上昇が不可避であるとする資料が示されてまいりましたが、そうした中で、このような問題を放置することは、制度の信頼に重大な影響を及ぼすと考えております。せっかく加入者が負担したものがこうしたものに使われてしまうのでは、加入者に今後の負担をお願いすることも非常に厳しくなってくるものであると考えております。負担の上昇が不可避であるならば、こうした問題の解決がまず求められるのではないかと考えております。この点、もし、御回答いただけるのであれば、事務局のほうで、どのようにお考えであるのかということもお聞かせいただければと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、事務局、コメントをお願いいたします。どうぞ。
○安藤課長 保険課長でございます。
 まず、外国人の話の前に、前段でございました、社会保障費の将来見通しの件でございます。委員御指摘のとおり、給付と負担の見直しについて検討していくことは非常に重要であると認識しておりますが、今回、2040年頃の中長期を見据えた場合に、マンパワーの見通しを踏まえますと、そもそも医療あるいは福祉のサービスが成り立っていくのか、そういう課題を突きつけられているのではないかと考えております。そういったやや中長期的な観点からの御議論・御検討も非常に重要ではないかと考えているところでございます。
 その上で、お尋ねのございました、外国人の件でございますが、まず、制度については委員御案内のとおり、我が国において、昭和56年の難民条約の批准に当たりまして、これは全ての社会保障関係法令から、国籍要件を除外するという見直しを行っているところでございます。それ以降、日本の社会保障制度において、外国人についても、日本人と同様に必要な負担とそれに見合った給付を受けることができるという仕組みとなっているところでございます。
 こうした中で、日本の健康保険制度におきましても、基本的に、雇用関係と扶養関係を前提として健康保険制度は組み立てられているわけでございますけれども、国籍や居住地を問わないで、雇用関係のある被保険者が保険料をお支払いいただき、扶養関係にある御家族の方が被扶養者として認定され、等しく給付を受けることにつきましては、これは日本人の方も外国の方も全く同じであるというのが、まず、今の現行制度でございます。
 一方で、制度の運用でございますけれども、これも委員御案内のとおり、これまで、海外居住の被扶養者の認定に当たりましては、必ずしも、その確認方法が保険者ごとに統一的ではなかったという課題がございました。それを踏まえ、今年の3月に各保険者に対して公的証明書等によって確認をする旨の統一的な取扱いの通知を発出させていただいたところでございます。
 もとより、我々といたしまして、さらなる運用の改善が必要である場合は、積極的に対応をしていきたいと考えているところでございますけれども、協会けんぽにおかれましても、一保険者として、日本年金機構とも連携をいただきながら、このような適切な運用事務の徹底を図っていただければと考えておりますし、適用等の運用に当たって、何か課題がございましたら、具体的な事案とともに我々にお伝えいただければと考えているところでございます。以上でございます。
○安藤委員 ありがとうございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、お待たせしました。藤井委員、お願いします。
○藤井委員 ありがとうございます。
 まず、将来見通しについてでございますが、いかにすばらしい制度があっても、まずは、みずから健康になる努力をすることが基本ではないかと考えます。すなわち、セルフメディケーション、セルフケア、健康経営の推進が大前提だと思います。今、海外の話も出ておりましたけれども、ふだん、仕事で接していますと、明らかに、諸外国の皆さんも健康に対するリテラシーは高いものがございまして、その結果として、日本に一生懸命薬を買いに来ているわけですね。薬を買いに来ているのはいいのですけれども、外国人観光客が制度を悪用した医療費の未払いは問題だと感じます。
 日本ほどすばらしい制度がある国は余りないわけですからね、このすばらしい制度があるうちに、生活者に気づきを与える、目覚めてもらいたいと強く思うわけでございます。
 国民的な議論を進めるには、アイキャッチが必要です。気づきですね。伝えたいことだけを伝えてもなかなかうまくいかない。広告などもそうですけれどもね、言ってもなかなか聞いてくれませんから。例えば、先般のセルフメディケーション税制ですね。これは非常に素晴らしい制度ですが、それなりの話題性があって、皆さん気づいてくれたかなと思います。ただ、残念ながら、対象とする薬剤が非常に少なかったがために、あんまり行動には結びついていないなと思っております。これは早急に対象薬剤の拡大が必要かなと。結果として、医療資源の有効活用、あるいは、リテラシーの向上と、ひいては医療の適正化につながってくれればなと思うわけでございます。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 堀委員、どうぞ。
○堀委員 すみません、5つあるのですが、最初の2つは質問です。
 資料1-1で、医療・介護給付費の見通しで、「現状投影」、そして、「計画ベース」が出されました。これに似たようなものが、社会保障と税の一体改革のときにも出されていたと思うのですが、あれから6年以上たちまして、実際、一体改革のときに挙げられていた「現状投影」の数値、先ほど、6年ぶりに数値が更新されたというお話もありましたが、そこから見たときに、2018年度は順調に計画どおり進んでいると厚生労働省の方は考えられているのか。それとも、消費増税の延期とか、あるいは、地域包括ケアシステムや地域医療構想の進捗状況とか、いろいろ違う要件はあるかとは思います。現在までの一体改革の検証といいますか、具体的にどの程度順調に進んでいるのか、進んでないのかというのを、まず1点質問をさせていただければと思います。
 2点目は、資料1-2で、【シミュレーション(1)】で、「医療の受療率が2.5歳分程度、介護の認定率が1歳分程度」とあるのですが、どのような意味でしょうか。健康寿命または平均寿命は2.5歳分程度低下したということなのか、それとも、年齢階層別に見たときについてのお話がありましたので、そうなのかもしれませんが。受療率というと率になると思いますので、具体的数値としては、一体どれくらいのことをおっしゃっているのかというのを質問として聞かせていただければと思います。
 3つ目以降はコメントですが、資料1-3の「2040年を展望した社会保障改革」についてというところで、健康寿命の延伸、医療・介護サービスの生産性の向上というこの重要であるということはどなたも納得することですし、国民的議論が必要だと思います。
 私自身が関わったものですが、2018年に健康学部という学部が東海大学でつくられましたが、その背景は、まさに、健康寿命の延伸を支える人材養成です。したがいまして、こうした動きについては、全く賛同してはいるのですが、対策のところを見ますと、高齢者のフレイル対策とか、高齢者の就労対策とか、今現在の高齢者に対するものがメインとなっています。2040年を展望しますと、生涯を通じた、子供のときからの健康づくりに関するようなもの重要かと考えます。保険者を問わず国民的な取り組みとしまして、「健康日本21」とかいろいろ活動はされていると思うのですけれども、文部科学省の施策になるかもしれませんが教育機関も含めて、制度横断的にあるといいのではないかなと思いました。
 4つ目は、先ほど、扶養で入ってくる外国人の医療保険の適用あるいは運用についての問題提起がありましたが、同時に、人口減少する中で、支え手としての外国人が入ってくることへの対応という問題もございますので、支え手側、そして、負担側の両方の部分で外国の方の医療保険制度の適用、負担の問題を、国民的な議論の中で整理をする必要があるのではないかなと思いました。
 最後の5つ目ですが、資料1-3の3ページ目の65歳以上就業率と医療・介護費というところの相関係数、これは前回も出されていたと思うのですが、小さなことなのですけれども、理由は、47都道府県だけのデータでやっているからだと思うのですが、恐らく外れ値になるデータをとると相関係数は大幅に変わるのではないかな、有意性が変わるのではないかなというふうに若干懸念を持ちましたので、より精緻なデータの収集、調査を行われるといいのではないかなと思いました。
 コメントについては回答は要らないので、質問についてだけ御回答いただければと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 では、事務局、コメントをお願いします。
 では、調査課長、どうぞ。
○山内課長 1点目でございますけれども、委員の問題意識に全て応え切れるかどうかというのはあるのですが、社会保障・税一体改革時の社会保障給付費の推計は、2012年に、2012年度の状況を足元にし、かつ、国において一定の改革のシナリオをつくって推計したと、そういうものでございます。
 今回の「計画ベース」は、一体改革後、一体改革の取組みを具体化していく中で、実際に、各都道府県とか市町村でいろいろな計画をつくって、具体的に進めているという、そういう段階に入っているということなので、今回は、それらの計画を積み上げたものをベースに推計したということなので、その性格というかやり方が大分違う面があると思います。
 うまくいっているかどうかというのはなかなか表現が難しいのですけれども、そういう意味では具体的に動いているものを積み上げているということなので、そういう動きの中で、一体改革の目指すものが表現されているということかなと考えております。
 ちなみに、一体改革時の推計結果はどうだったのかということで、一体改革時の推計は、2012年度を足元にしまして、2025年度が目標年次だったのですが、途中の2015年度の社会保障給付費も示してあります。2015年度の社会保障給付費については、実績が、一番新しい実績として出ておりまして、それで見ますと、一体改革時における改革シナリオの社会保障給付費は119.8兆円でした。一方で、実績の社会保障給付費は114.9兆円ということで、5兆円程度低くなっています。
 この内容を精緻な分析はなかなか難しい面があるのですが、要因を考えますと、一体改革後の状況として、例えば、医療や介護では、診療報酬改定とか介護報酬改定が、一体改革で想定した前提よりも低めであったなど結果として全体の伸び率が低かったでありますとか、あと、医療では、一体改革時に推計していた外来の患者数よりも実際の患者数のほうが少なかったなど、2012年以降のいろいろな適正化とか、毎年いろいろ工夫して取り組んでいくわけなので、そうした影響が出ていると、そういうふうに考えているというのが1つ目のお答えでございます。
 それから、2つ目の2.5年分ということなのですけれども、ちょっとイメージを持っていただくのがよろしいかと思いますので、大変恐縮ですが、参考資料1-2の一番最後のページに、グラフが3つついていると思うのですけれども、受療率と言っているのはこのグラフのイメージでございます。7ページ目です。
 イメージ的には、例えば入院であれば、これは年齢階級別に、1人当たり受診日数と書いていますが、イメージとしては受療率と同じような概念ということですが、年齢とともに上昇していくということなのですけれども、平成18年度~27年度、おおむね10年程度の間を見ますと、全体的に低下している。あるいは、これは見方によるのですが、右側にシフトしていると、そういう見方もできるということでありまして。こういう効果を考えたということでありまして、健康寿命ということではなくて、同じ人口構成に対して、例えば緑色のカーブを見込んでいたものを、その緑のカーブをちょっと右側にシフトさせましょうみたいな、そういう形で見込んだということです。
 その結果として、同じ参考資料1-2の例えば5ページ目をごらんいただきますと、(1)に、需要が低下した場合の医療の患者数や介護の利用者数などが示されておりまして。例えば、参考資料1-1の18ページの右側に「計画ベース」があるかと思うのですが、計画ベースで推計した患者数とか利用者数とかがあるわけですが、この「計画ベース」をもとにして受療率低下ということを考えた場合の利用者数が参考資料1-2の5ページ目になっているということなので、効果としては、医療や介護の患者数とか利用者数が一定程度減少すると、そういった効果を織り込んだことによって、結果として、マンパワーも効率化できると、そういうふうなシミュレーションをしたということでございます。
○堀委員 ありがとうございました。
○遠藤部会長 御丁寧な解説をありがとうございます。
 それでは、武久委員、どうぞ。
○武久委員 今のことも関係するのですけれども、ちょっと教えていただきたいのですけれども、資料1-1の棒グラフを見ると、「計画ベース」「現状投影」でも、医療費はどんどん上がるようになっていっているわけですね。今おっしゃっていただいたように、参考資料1-2の5ページで見ると、患者さんの数はほとんど変わらないし、外来はむしろ減るということになっていますよね。参考資料1-1の今おっしゃった18ページでも、患者の利用者はそんなに増えないというか。介護はどんどん増えるけれども、医療についてはこうだということが出ておりまして。この最初のグラフの医療費がどんどん増えるということから考えると、この辺の齟齬がある、差があるのはどういうことかと。
 それから、参考資料1-4の18ページですけれども、推計(現状投影)、推計(改革)と書いてあるのに比べて、紫色の実績が2012年頃からかなり下回ってきております。この推計は何年にしたのかどうかは別として、医療費はこのようにどんどん減ってきている。にもかかわらず、健康寿命は少しずつ増えている。この改定で見ましても、今回の同時改定を私は非常に評価しているわけですけれども、アウトカムとかいろいろ評価をしていきますと、よくなると医療費が減るのではないか。介護はある程度仕方がないにしてもですね。
 参考資料1-3の5ページにあるように、2016年の改定で、実に初めてというぐらい-0.4と医療費が伸びてないというか、減っているわけですね。今回の同時改定も、私は非常に評価しているわけですけれども、こういうふうな改定になりますと、私は、むしろ、今回の改定でも医療費の伸び率は下がるのではないか、よくなるのではないかと思っているわけですけれども、最初の資料1-1の医療・介護給付費がどんどん増えるということとこれらの御説明いただいた資料との差は一体どこら辺にあって、実際はどのぐらいが適当なのかということを、もう一つシミュレーションのし直しをしたほうがいいのではないかなということも含めまして、御説明いただけたらありがたいと思います。
○遠藤部会長 調査課長、どうぞ。
○山内課長 最初の御指摘といいますか、恐らくポイントは、患者数はそんなに増えないのに医療費の名目額が増えるのはなぜという、そういう御質問だと思いますが、医療費に関しましては、幾つか要因を分解すると、人口の増減とか人口の高齢化という人口要因と、それから、医療については、その他というか、高度化等の要因で伸びる部分と、あと、改定で変動する部分というのがあると思います。
 患者数が伸びないということにつきましては、これは推計の方法として、将来の人口に年齢別の患者発生率みたいなものを掛けて推計していると。要するに、人口要因でどうかという、そういう面だと思います。患者数が伸びないのは、日本の医療費の年齢別の構造と将来の人口構成とを考えたときに、人口要因で伸びる分はこれからだんだん小さくなっていって、2030年頃を境にマイナスになっていくと。こういう姿は既に諮問会議等にもお示しをしているということでございます。そういう関係で患者数はあまり伸びないけれども、医療費については、高度化とか、あとは、これは一定の経済成長等を仮定していますので、経済成長に連動して一定の報酬改定等が行われるということで、そういう経済の伸びを反映するような部分みたいな、そういうことを掛けているので、医療費の名目額は上昇していくと、そういう構造になっております。
 それから、もう一つ、2016年改定で医療費が伸びなかったというお話がありましたけれども、それは参考資料1-3の5ページ目をごらんになりながらの御指摘かと思うのですが、参考資料1-3の5ページ目に、「医療費の伸び率の要因分解」というよく使う資料を入れておりますけれども、平成28年度に-0.4%の伸びであったことを指しての御指摘かと思いますが、これは理由がございまして。改定の影響は、その下に、「診療報酬改定等」と書いてあるところにあるとおりの改定の状況でありました。
 ただ、平成28年度はもう少し大きな特殊要因がございまして、平成27年の秋ぐらいから、高額なC型肝炎治療薬がよく使われるようになりまして、結果として、平成27年度の伸びを見ていただくと、3.8%という、それまでに比べるとかなり大きく一時的に上昇したと。平成28年度は、そのC型肝炎治療薬の薬価の改定等があったことに加えて、使用量が27年度に比べるとかなり落ち着いたと、そういう特殊要因でこれはたまたまマイナスになっていると、そういうことであるということを御理解いただければと思います。
 それから、長くなって恐縮ですが、もう一つ、紫色のグラフが余り伸びてないよねというお話をいただいた、参考資料1-4の18ページですが、これは、まさに、先ほど堀委員の御質問にお答えしたのと同じ話になるのですけれども、青い点線と赤い点線は、2012年に行った一体改革時の医療費の推計値ということであります。なので、当時、実績が出ていたのが、恐らく2010年頃までだと思うのですが、それを踏まえて延伸していったというのが一体改革時の推計でありまして、実際は、その後、毎年毎年いろいろな適正化や効率化などの努力をしているわけなので、それが紫の実績にあらわれていると、そういうものということで御理解いただければと思います。
○遠藤部会長 武久委員、どうぞ。簡潔にお願いいたします。
○武久委員 紫のほうが実際下がってきたのだったら、要するに、2012年を例えば見直して、予想も見直していただいたほうがいいかなと思います。
 それと、75歳以上の人が、これから、まだあと2025年までに500万人ぐらい増えるわけですけれども、今現在は、75歳以上の人の4.2%が入院されているということがわかっております。そうすると、これは、500万人も増えるのだから、入院する人が増えるのかなと普通には思うのですけれども、これが現実にはどんどん減ってくると。だけど、単価は高くなる。この辺の判断のもとがちょっとよくわからないので、教えていただけたらと思います。
○遠藤部会長 調査課長、どうぞ。
○山内課長 まず最初のお話ですが、参考資料1-4の紫の線は、これは2017年の実績見込みまで紫でプロットしていますが、その先に2018年度予算があるわけですが、まさに、2018年度予算を足元にしてやり直したのが、今回の資料1-1ということで御理解いただければと思います。
 それから、今、入院患者数のお話をいただきましたけれども、先ほど来ごらんいただいています参考資料1-1の18ページに患者数等を出しておりますが、これは、一番上の行が入院患者数でありまして。入院患者数は実際2018年~2040年にかけては増えていると。人口構造の影響等を織り込むとこういうことになるということです。2018年度~2025年度にかけて横ばいということになっていますのは2025年の地域医療構想を土台にしたということで、2018年度~2025年度はおおむね横ばいで、その後は、その2025年度の状況を投影していますので、入院患者数は増加すると、そういう試算になっているということでございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 お待たせしました。それでは、横尾委員、どうぞ。
○横尾委員
 手短に3点、申し上げます。1つは、将来見通しのことです。現状としては、こういうふうに棒グラフがだんだん伸びている状況だと思いますが、できるならば、このような努力を国民の皆さんと一緒にやり遂げればこういうふうに変わっていくという、わかりやすい表示データのようなものを出していただくと、より多くの方々が報道機関を通じて、努力という意識も出るのではないかなと思いますので、今後の作業の中で、ぜひ、そういった工夫をお願いします。
 特に資料を拝見すると、ただし書き、要するに、留意事項のところがあって、4項目ぐらい書いてありますが、これを細かく読んでいくと、なかなかはっきりしてない要素も片方ではあると思います。しかし、そこはある程度割り切って今回グラフ化していただいていると思っています。現状あるいは単純なシミュレーションでの予測のみならず、努力目標としての何か目標になるような、そういった表示をしていただくと改善の実現につながるのではないかなということを1つ感じました。
 2つ目は、「わかっちゃいるけどやめられない」という有名な歌がありましたけれども、健康回復はなかなかそういうところがあると思っています。生活習慣が容易に変えられないように、体質改善、気質の改善はなかなか難しいところが人間の場合ありますけれども、先ほど堀委員もおっしゃったのですが、例えば3.11東日本大震災の際に、釜石市では、子供たちの犠牲が極めて少なかった事例が報道等に出ました。そこで、御指導をされた先生ともお話をし、市長さんともいろいろな詳細な資料等をいただいてお話も聞きましたけれども、基本は、とにかく自分のことだけ考えて、「てんでんこで逃げる」というのが基本なのですね。わかっているけど、大人の人にそれを何年も指導をしたそうです。でも、誰も真剣に聞かなかった。数も増えない。そこで、先生は、途中で発想を変えて、子供たちから指導を行うことにされました。子供たちは5年10年したら大人になり、そして、さらに5年10年したら親になり、そして、5年10年したら地域か会社か団体のリーダーになるということで始められて、幸いといいますか、効果が出て、助かったというふうになったのです。
 ですから、若い世代、子供たちも含む若年層世代に教育課程の中での学習や啓発でもいいですし、そういったことを以前から申し上げていますけれども、文部科学大臣と厚生労働大臣がそろって並んで記者発表していただくとかしていただきたいのです。場合によったら総理大臣も並んでいただいて、啓発に力を入れるぞと言っていただくとか、そういうシチュエーションをぜひつくっていただくと意味があるのではないかなと強く思っているところです。
 既にデータでも出ていますが、小中学生でも、仮の成人病的な血液検査結果とか健康検査結果が出ている子供たちが増えてきています。ですから、早目早目に健康を意識する、健診を受けて、改善を図る。そのことを知って、成人になって就職をするとかに向けて、ジャンクフードはなるべく食べないとか、定期的に健康診断を受けるとか、そういう意識づけをぜひしてほしいと思います。それも難しいというのだったら、私は、大学入試の科目の中に入れてしまえば、無理やり覚えなければいけなくなって効果的かもしれません。そうすれば、生活習慣についても意識するのではないかなと思っています。
 最後、3点目ですけれども、さっきマンパワーの話が出ました。実は、先般、テレビの特集で、研修生で来られた東南アジアの国の方が介護施設で働いていらっしゃるケースが紹介されたのです。その事例は私の自治体だったのですけれども、施設長さんとも以前に話をして聞いていますが、もし、戦略的に国としてマンパワー補充のため、海外からの研修生を入れるのであるならば、例えば日本語のみの試験が本当に完璧でいいのかどうかとか、いろいろな細かい気づきをたくさん関係の皆さんは感じておられますので、ぜひ、全てを一気に変えるのは難しいと思いますけれども、少しでもアクセスしやすいような環境も整えながら、そういったことを促すということも一方では重要ではないかなと、現場として感じているところです。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 ほかに。
 それでは、松原委員、どうぞ。松原委員の次に樋口委員。
○松原委員 厚生労働省さんの推計値は、今、武久先生が御指摘いただいたように、大体非常に大きくいつも見積もってくださって、これがもしオーバーしたら大変なので、お仕事としては、正しいのだと思いますが、いろいろな努力をした結果、推計値が少しずつ低くなっているようであれば、先ほどのお話のように、細かくその計画を立てていただきたいと思います。
 今回御指摘いただきましたように、就業者数が減っています。これはもう紛れもないことでありますけれども、かつて日本の人口が3,000万人から1億2,000万人まで非常に急激に増えたけれども、現在、急激に減っていると。少子高齢化のうち、一番重要な子供が少ない事は何とかして、今、政府も考えておられるところだと思いますが、高齢化の進展に伴って、お年寄りは病気の数も多くなりますし、対応がいろいろとあると思います。簡単に言いますと、お年寄りになって、痛いところがあると、その方は大変不幸ですので、そこのところを治していくのは大事なことだと思います。
 その中で、健康寿命をふやすのはまず一番いい方法ですが、もう一点は、医療が高度化したときにどのような対応をとるかということ。つまり、日本国は薬剤をつくる能力は非常に構成する能力はあって、強いわけですけれども、結局、一歩おくれたのは、オプジーボを中心とするバイオ細胞を使った製剤がうまく特許とか取れなくて、海外に頼っているということがございます。そこのところを進歩させていただくと同時に、日本国から発祥したIPS細胞をもっとうまく使って、対応していくということをやるしかないのかなと思っています。
 最後に、お年寄りの方が増えています。一番大事なことは、人生の最終段階における医療、つまり、かつて、終末期と呼んでいた時期です。今回、厚生労働省の検討会で、ACP、つまり、前もって十分に考えてみようよということを提案したわけであります。ぜひ、ここのところを推進していただいて、倒れたときに、三次救急に全部運び込まれ、御本人が望まないような濃厚的な医療を受けざるを得ないようなことのないように。そういった具体的に、どう考えても、本人にとってプラスにならないことをしっかりと対応して、今後とも、厚生労働省さんに考えていただきたいと考えます。こういったところをしっかりと努力して行くのが大事だと思います。私ども医療機関としましても、全面的に、協力してまいりたいと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 では、お待たせしました。樋口委員、どうぞ。
○樋口委員 ありがとうございます。
 資料1-3の3ページで健康寿命の延伸を大きく取り上げていただいて、ありがとうございます。これは、特に私たち女性高齢者にとりまして大変大きな問題で、御案内のとおり、高齢期の人口は、後期高齢者になりますと、圧倒的多数が女性になりますし、80代に入りますと、ほとんど2対1、男性の2倍、これは平均寿命の6歳余の関係からの結果です。その中で、健康寿命は6歳も平均寿命が長い女のほうが、絶対数は確かに女性は長いですけれども、相対的に女性が健康寿命は短いのでございます。これは、全社会的問題でありまして、女性の健康寿命の延伸は、我々個人の問題であると同時に、社会保障費も含めた社会的問題だろうと思っております。
 私が、今、非常勤で所長をしております東京家政大学女性未来研究所では、栄養学部の研究者を中心に、食生活をもとにした女性の健康寿命延伸ということで何年越しかでやっております。食生活は非常に重要でございますけれども、ほかにもたくさん要因があり、また、今、横尾委員からもお話がございましたけれども、人生100年の子供のときからの健康寿命延伸につながるような教育や食育や体育や社会的な条件整備というのが大切で、今度の社会保障改革、厚労省が中心になって、2040年ですか、提案なさったことをきっかけに、ぜひ、内閣挙げてといいますか、政府挙げて幅広く取り組んでくださるようにお願いしたいと思います。
 それと、もう一つ、今度のデータを見てつくづく思いますが、恐らく女の健康寿命が短いことは、医学的というか生理的というか、そういう影響が一番大きいのだろうと思います。その分野は私はわかりません。一方、社会的にどうであるかという、言ってみれば、ジェンダー的視点で比べてみますと、男性と女性との社会生活の中で一番違うのは就労期間の有無、長短です。
 今、資料1-3の3ページで、「就業による健康の保持(医療・介護の需要減)」という、つまり、就労と医療・介護の需要は負の相関関係があることを非常にはっきり出していただいて、私はありがたいことだと思っております。性別役割分業が顕著であった日本社会において、今80代、今90代、それから、70代、特に団塊の世代はそうですけれども、先進国では珍しいぐらい女性の就業率が低い社会として、今、日本はここまで推移してまいりました。そして、現実に、65歳、70代の人を比べましても、男性は確実に就労率が高くなっておりますけれども、女性は、若い方は別ですけれども、60、70の人はなかなか就業率が進んでおりません。どうぞ、女性の活躍推進ということを、多様なかたちでの就労推進を、高齢女性のほうにまで広げていただきたい。それは単に活躍というよりは、平均寿命だけでなく、言ってみれば、膨大な数の高齢女性の健康寿命の延伸が社会保障に恐らく大きな影響を与えるであろうという視点から、ぜひ、厚労省が御先導をくださって、調査・研究等も進めていただきたい。要望でございます。
 ありがとうございました。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 大体よろしゅうございますか。
 では、森委員、どうぞ。手短にお願いいたします。
○森委員 ありがとうございます。
 今回、「現状投影」と「計画ベース」ということで、医療・介護費の見通しが示されました。「現状投影」の中には、一部、今の計画も含まれていると思うのですけれども、薬剤師として医療費を下げていこうということ、そのことが患者負担を軽減し、医療費を下げることになり、そして、皆保険制度を守るということが位置づいてきたと思います。そういう中で、先ほど横尾委員からもありましたが、国民とともに取り組んでいくことは非常に重要だと思います。自分のために自分の健康管理をする、健康寿命を延ばすことはもちろんですけれども、そのことが、ひいては、国民皆保険制度を守るのだということをきちっと啓発をしていくことも重要だと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 大体よろしゅうございますか。
 ありがとうございます。
 それでは、本議題につきましては、このぐらいにさせていただきたいと思います。
 次回以降は、本日の御議論も踏まえて、そして、例年であれば、6月には、政府の骨太方針等もとりまとめられると思いますので、これらも踏まえまして、医療保険制度の検討課題に関して、順次、御議論をいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 次に、2番目の議題でございますが、「オンライン資格確認等」に移りたいと思います。それでは、事務局から、資料の説明をお願いします。
○廣瀬室長 高度化推進室長でございます。
 昨年11月の医療保険部会でも、「オンライン資格確認」、「被保険者番号の個人単位化」、「マイナポータルを活用した特定健診データの提供」この3点につきまして、課題と対応方針の説明をしたところでございますけれども、その後の検討状況につきましてお手元の資料2に沿って説明をいたします。
 1ページでございます。オンライン資格確認等のイメージとこれに関連して期待されるメリットをお示ししております。
 オンライン資格確認につきましては、資料右上にお示ししたとおり、支払基金や国保中央会において一元的に管理をした上で、保険医療機関・保険薬局におきまして、マイナンバーカードを用いて受診時にオンラインで被保険者としての資格の有効性を照会可能な仕組みと位置づけておりまして、2020年度に本格運用をすることが閣議決定されてきた経緯がございます。
 下のピンクの四角ですけれども、これら一連の仕組みを活用して考え得るメリット4点を挙げております。1点目に資格喪失後受診に伴う事務コスト等の解消、2点目に高額療養費の限度額適用認定証等の発行業務等の削減、3点目に左下にあります特定健診データ等を被保険者本人等が照会する仕組みの整備、4点目はいわゆるNDB等データベースの分析の精度向上でございます。
 続きまして2ページ目3ページ目で、被保険者番号の個人単位化の対応方針について説明してまいります。
 基本的なイメージは、2ページ目の右下にございますけれども、現在の世帯単位の被保険者番号を2桁の番号を新たに追加して個人単位の被保険者番号とすることを考えております。2ページ目の2つ目のポツと、その下の※2に記載がございますけれども、高額療養費の支給申請等を世帯単位の処理が必要な業務に配慮することを趣旨としたものです。
 3ページ目に具体的な個人単位被保険者番号を用いた場合の保険証のイメージをお示ししております。現行の保険証の記号・番号欄に引き続く形で、先ほど御説明した個人を識別する2桁の数字を追加するイメージを考えております。
 実際の切替えに当たりましては、保険者等の負担軽減に資する方策や具体的なスケジュールにつきまして、関係者の方々との調整を進めていきたいと考えてございます。現時点での保険証切替えに伴う具体的な運用案につきましては、真ん中の緑色の四角に箇条書きでお示しをしております。例えば、紙媒体やメールを用いた2桁番号の通知ですとか、保険証の裏面への2桁番号の自署といった運用、また保険医療機関・保険薬局では、引き続き世帯単位番号でも請求は可能となるような運用、こういったものを想定しております。
 これから関係者との調整が必要なものと位置づけでございますけれども、現時点でのスケジュールを下半分に書いております。ポイントは2点ございまして、2020年度の4月以降に各保険者で順次2桁番号の発行開始すること、さらに約1年後の4月診療分のレセプトから、2桁番号を付した請求を可能とするようこと、でございます。
 4ページをおめくりください。支払基金・国保中央会で構築するオンライン資格確認等システムにつきましては、マイナンバーの情報連携のために現に設けております「中間サーバー」の機能の一部を用いることを想定しております。この中間サーバーにつきまして、中間サーバーそのものの運営コストの縮減や将来の拡張性を考慮いたしまして、クラウドに移行するという方針をお示ししてございます。
 運用コスト縮減の詳細を10ページ目にお示ししました。表が3つありますが、真ん中の表をごらんいただければと思います。現在のオンプレミス方式からクラウドに移行した場合に、年間約30億前後のコスト縮減が見込まれております。
 一方で、先ほど来申し上げてございます、オンライン資格確認等システムと、後ほど御説明いたします関連サービスのシステムそのものの運用コストは、その上段にあります横表の右端にお示ししました。20億円程度と試算をしておりまして、中間サーバーのクラウド化を併せて行うということで、システム全体の費用負担の軽減を図ってまいりたいと考えております。
 4ページ目にお戻りいただきまして。中間サーバークラウドへの移行の進め方を左下の緑の四角枠囲みにお示ししております。まず国で仕様確定をさせた上で、先にクラウド移行に取りかかって、運用テスト期間を経まして、2020年度中のオンライン資格確認等システムの運用開始を目指していきたいと考えております。
 5ページ目をおめくりください。引き続き、関係者との調整が必要なものとの位置づけではございますけれども、ここまでで申し上げてまいりましたスケジュールについて詳細をお示しいたしました。
 ポイントを補足いたしますと、中間サーバーのクラウド移行を2020年の秋頃までに先行して実施をした上で、2020年度内にオンライン資格確認等システムの運用開始を目指していきたいと考えております。
 6ページ目をおめくりください。6ページから9ページ目ではつきましては、オンライン資格確認等システムの基盤を活用して、マイナンバー制度のポータルサイトである「マイナポータル」に被保険者等の特定健診データやレセプト情報を使用して抽出いたします薬剤情報、医療費情報、このようなものを提供することについて資料を御用意いたしました。
 6ページは特定健診データの提供イメージでございます。加入する医療保険の保険者がかわっても、被保険者等の御本人が経年の特定健診データをマイナポータル上やいわゆるPHRサービス事業が提供するWeb画面、こういったところで閲覧可能となる姿を考えております。
 7ページ目をおめくりください。ほぼ同様の考え方でございますけれども、基金や中央会にございますレセプト情報を活用いたしまして、薬剤情報とか医療費情報を、同じくマイナポータル上やPHRサービス事業者の提供するサービス基盤を活用して閲覧可能とする仕組みを構築してはどうかという御提案でございます。
 8ページをおめくりください。8ページは、着眼点が若干変わってまいりますけれども、被保険者等の御本人がごらんをいただく情報ではなく、御本人の同意を得た上で保険医療機関や保険薬局に対して、オンライン資格確認とのタイミングと併せて、特定健診データとか薬剤情報を提供する仕組みの説明でございます。一番上にも記載してございますけれども、こういった仕組みを通じ、特定健診データを活用した診療や多剤・重複投薬の軽減といった効果も期待されると考えております。
 9ページでございます。6ページから8ページにわたって申し上げてまいりました、特定健診データとか医療費とか薬剤情報、これらのサービスの導入時期、スケジュールに関する御説明でございます。一番上のポツに箇条書きで記載しておりますが、まずは特定健診データにつきまして、2020年度分の実施分からの情報提供開始を目指してまいります。また、2つ目のポツの後段にあります医療費・薬剤情報につきましても、一体的なシステム整備に向けて、関係者との調整にとりかかりたいと考えております。
 10ページでございます。10ページの前半、(1)の部分は、先ほど御説明で申し上げましたので、割愛をさせていただきますが、下半分の(2)について補足させていただきます。
 ここまで申し上げてまいりました資格履歴の一元化とか医療費情報のマイナポータル等によって解消が期待される事務コストの試算をお示ししております。保険者・医療機関の事務コストといたしまして、年間80億、あとは、医療費通知の事務費用として、年間4億程度の試算をお示ししております。
 11ページ以降は、参考資料を3点ほど御用意いたしました。1点目が関連する閣議決定、2点目が資格履歴野一元管理のイメージ図、3点目が、1ページ目のところで少し触れましたオンライン資格確認に伴いまして集約し得る各種証類一覧でございます。
 説明は以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等。
 それでは、まず横尾委員、それから、齋藤参考人でお願いします。
○横尾委員 ありがとうございます。幾つか申し上げます。
 1つは1ページ目でございます。メリットということで出ているのですが、私自身の認識は、これ以外にもう一つ重要なことがあると思っています。それは、窓口負担をして、患者さんが治療とか薬をいただいたりされるのですけれども、よく調べてみたら、保険証の資格が喪失していたということがあるということもあると思うのですね。それに伴う、例えば開業医の皆さんや公立とか大きな病院でも、仮にそういうことが起こると、保健機関からの支払いが未納になってしまいます。これ、多分、数字で見ると、相当大きな金額が毎年発生しているのではないかなと懸念しています。そのことが解消できるのは非常に大きなことなので、ぜひ、書き加えたほうがいいと思います。できるならば、過去の状況に関するバックデータを取っていただいて、実際、何年度は幾ら未納になってしまっていた、これが改善できるということを付記していただくのも大変意味があるのではないかなと思います。大きい病院の場合は、月単位に受付のところで保険証提示確認とかされているようですけれども、一般開業医や有床診療の皆さんのところも大変御苦労をいただいて医療を提供いただいていますので、そういったこともぜひ付記いただくことが有効かと思います。
 2つ目は、一番申し上げたいことなのですけれども、実は、オンライン資格確認をこういったカード等で行う形になっていくと、限りなくマイナンバーの活用に近い形になると、私自身は想定しています。例えば、エストニアという国は、いろいろなところでも、今、紹介され始めましたが、医療や福祉、介護などのさまざまな行政サービスをオンラインあるいはICTを使ってその享受を実現している国があります。アジアでも、韓国とかシンガポールでは一部そういうような取組みをされていると聞いています。
 例えて言うと、我々はこれからこういった制度の導入に関する負担をするのですけれども、先に行っている国があるにもかかわらず、そのことを想定した戦略をもって実行していかないと、結局、また、後で回収しなければいけないとなってしまうと思うのですね。これは恐らく応分の負担割合をしなければいけない自治体や保険者から見れば、また、負担なのかとなってしまいますので、先の将来ビジョンを、世界のトップレベルを走る国々のことも調べていただいて、それを絵として描いて、そこを目指して、まず一歩はここからですよというような進み方をぜひしていただきたいと強く願って期待をしているところです。そうしないと、本当に無駄になるなと思っております。
 1ページ目には、そういうこともあるのか、マイナンバーのことはリンクしないとか書いてあるのですけれども、いい形でこれを活用していったほうがいいと思います。例えば、数年前ですけれども、総理官邸の中で、その年の6月だったと思いますが、安倍総理大臣が、「ワンカード化を目指そう」と、そういうことで番号制度導入に向けて進みますよということをおっしゃったと思います。そこからいろいろな意味での戦略会議でも始まったと思いますが、そこで、ワンカード化というのは、例えば、この説明の今の中にもありました、個人の健康データ、PHR(Personal Health Records)とか、あるいは、自分が受けた治療のこととかも含め、いろいろなことを自分でもわかるようになるととてもいいことです。
 また、番号制度だけで考えていきますと、我々は既に番号の振られたICチップのあるものを持っています。例えば自動車運転免許証の中にも入っていますし、健康保険関係の制度もそうですし、年金制度もそういった形になってきているように聞いています。たくさんの番号が実はあるわけですね。それを一気に統一するのは難しいとしても、ぜひ、国民の関心の高い、この健康・医療・福祉を扱っていただいている厚生労働省で、総務省とか関係機関とも連携いただいて、よりよい方向をめざし、エストニアのような活用ができるような方向づけをしていただく必要があるなと思っています。そうすると、恐らくマイナンバーカードの普及も早くなっていくし、行政の無駄もなくなっていくと思いますので、ぜひ、そういったイニシアチブも発揮いただけたらいいかなと願っているところです。
 また、説明のありました、クラウドによるコスト縮減は大変いいことだと思いますので、そういった最先端の技術も活用していただくことを、ぜひ、今後ともお願いしたいと思っています。
 最後に1つですけれども、実際、私も韓国の先進医療を調べに過去行ったときに見たのですが、薬の重複の抑制はもちろんですけれども、重複して飲んでしまうと体によくないという、禁忌薬剤とかいうそうですけれども、あるようですけれども、韓国の場合は、そのことは窓口かどこかでそういうことを処方し始めた瞬間にわかるようになっているそうです。それは、そのデータがちゃんとリンクされてわかる仕組みになっており、ワーニング、警告が出るということなのですね。そういった技術はもう既に確立されているわけなので、ぜひ、そういったこともできるようなことを、このオンライン資格確認のみならず、付記する今後のサービスとしてもぜひ検討いただきたいと思います。例えば、国保中央会あるいは支払基金等ございますが、いい連携をしていただきながら、そういった新たな対策といいますか、改善ができるように、厚生労働省を軸に推進いただくことを心から期待しているところです。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 お待たせしました。齋藤参考人、お願いします。
○齋藤参考人 国保中央会の齋藤でございます。
 国保の保険者関係団体の立場と、また、現在、医療保険者等の中間サーバーの運用を担っておりますので、その立場から何点か要望ということで申し上げたいと思います。
 まず第1に、このシステム構築に当たりましては、医療保険者や医療関係者等に理解と御支持をいただけるように、費用対効果のある、事務の効率化に役立つシステムとなるように、医療保険者等の意見や意向が反映されるような機会や仕組みを設けていただいた上で、開発等を進めていただきたいと思っております。
 2つ目に、市町村国保の参画についての事項でございます。市町村国保は、国保保険者等向け中間サーバーとは異なる仕組みで資格管理を行っております。その関係で、この参画に当たりまして、追加的な費用が発生するのではないかと思っております。それに対しまして、国からの財政的な措置を含めて、十分な支援を行っていただくことをお願いいたします。
 また、市町村の中には、個人情報保護の観点から、クラウドの利用に極めて慎重な御意見があるというように聞いております。クラウド化した中間サーバー等に資格情報等を確実に御提供いただけるよう、国の責任のもと、市町村及び都道府県の関係者の理解と御協力を得ていただけますよう、併せてお願いしたいと思っております。
 第3点目でございます。これは、被保険者番号の個人化の単位についてです。新しい番号体系として、資料上、現在の記号・番号に2桁の番号を追加する案が示されておりますが、市町村国保におきまして、提案の内容で実務上支障が出ないのか、十分な現在の実態等を調査いただいた上で、方針決定をいただきますとともに、円滑な移行に向けて、技術的な助言やシステムの回収経費等の支援について御配慮をお願いしたいと思っております。
 最後になりますが、開発期間が大変限られているスケジュールと思っております。支払基金・国保中央会とも、この御提案のシステムの開発を行う場合、体制強化がどうしても必要となると思っております。国には、必要な予算の確保とともに、人的な支援も検討いただくなど、十分な支援・御協力をお願いしたいと思っております。
 以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、佐野委員、どうぞ。
○佐野委員 ありがとうございます。
 大分かぶる部分もございますけれども、健保連としても、前回この部会においては、何のメリットも感じられないマイナンバーの中間サーバーの二の舞にならないようにしてほしいという要望をしたところでございます。
 今回の御提案については、その後、我々の保険者の意見も相当取り入れていただいておりますし、その点については評価をしたいと思います。そういう意味で、本件の導入によるメリットのところも、相当具体的な形になっているとは思いますけれども、さっきありました被保険者番号の個人単位化に伴う保険証の切替えとか、追加作業、これについては相当事務負担も重くなります。また、システム改定とか、運用開始後のこうしたコスト負担についても、相当不安感が高い部分がございます。そういう面で、当然ながら、本件は国策案件でもございますし、初期コストはもちろんですけれども、運営コストについても、国の負担のほうをぜひお願いをしたいなと思います。
 また、本件立ち上げについて、2点ほどコメントをしたいと思います。
 まず1点目は、保険者サイドにおいて、このオンライン資格確認が効果を発揮するのは、まさに保険者がかわったとき、移ったときということになります。したがって、保険者がかわったとき、そのときのシステム対応とか、また、事務回りの手間、コストがどれだけ減るのか、なくせるのかというところが大きなポイントだろうと思います。
 そういう意味では、先ほども話がありましたけれども、健保組合だけではなくて、協会けんぽとか国保中央会、さらには、システムを担うことになる支払基金等、関係者で協議とか準備は非常に重要なのだろうと思います。ここがしっかりでき上がらないと、ある面ではオンライン資格確認を実施する意味がないということになろうかと思います。この辺の準備について、厚生労働省としてもしっかり関与をしていただきたいなと思います。
 それと、もう一つは医療機関のところでございます。オンライン資格確認は、保険者だけでつくっても何の意味もありません。今さら言うまでもありませんけれども、医療機関、医科・歯科診療所も薬局も全てがオンラインでつながってこそ、オンライン資格確認になる、つながってなければオンラインにならないということになります。現状、伺っていますと、体制の部分でもまだまだ差があるようでございますし、この点についても、ぜひ積極的な対応をお願いしたいと思います。
 そういった点を踏まえれば、今回、資料を見ていますと、相当スケジュールありきで進んでいるなという印象を受けますけれども、先ほど来申し上げているように、インフラ整備については、今回の話の要諦だと思います。そういう意味で見切り発車的な対応にならないように、丁寧な議論、検討をお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 ほかに。
 安藤委員、それから、遠藤委員にお願いします。
○安藤委員 ありがとうございます。
 まず、私ども、先ほど来、皆様がおっしゃっているように、コストの負担の問題は非常に重要になってくるのかなと思っておりますが、今回のオンライン資格確認につきまして、我々、協会けんぽにとってみれば、非常にメリットも結構たくさんあるなと感じております。
 その中の1つとしまして、資料の6ページにあるのですけれども、中小事業者の定期健診、すなわち、事業主健診データの取得率向上がこれによって可能になります。皆さん既に御案内の方もいらっしゃると思いますけれども、改めて、制度の仕組みを簡単に申し上げますと、法律上、事業主が労働安全衛生法に基づいて行う事業主健診につきましては、健診項目が一致すれば、特定健診に代替えできるというふうになっております。このため、我々、保険者としましては、みずから特定健診を実施するだけでなく、事業主から事業主健診データを取得するということで、特定健診の実績としてカウントすることができるようになります。これは非常にメリットであると思います。
 健保組合では、事業主と保険者が実質的に同じ主体でありますので、データは簡単に入手することができるのですが、我々、協会けんぽでは、210万を超える事業主がいて、3,900万人の加入者がいるという形で、この部分では非常に健診データを取ることが大変な作業になっております。ですから、そこの部分では、これが実現されれば非常にメリットがあるなということがあります。
 それから、もう一つ、今回の仕組みでは、マイナポータルを活用して特定健診の結果だけではなく、医療費とか薬剤費の情報も閲覧できるようになります。ここは薬剤費情報が見られるということであれば、これをさらに一歩進めていただきまして、ジェネリック医薬品の軽減額通知や何かも見られるようにしていただければ、非常にありがたいなと思っております。私ども、現在、保険者は、このジェネリックへの軽減額通知を郵送しております。平成28年度の協会けんぽでは610万件送付しております。これにかかったコストが6.1億円で、ただし、それによる効果額は、先発薬から後発薬にかえたということで、270億円の効果が上がっております。ですから、ここの部分につきましても非常に有効なシステムになるのではないかと感じております。
 しかしながら、このオンライン資格確認とかPHRの推進に当たって、何らかの制度的枠組みが必要であると感じております。どのような理念とか理想像に向けて、こうしたことを推進していくのかということも、現時点では余り明示されていないのではないかと感じております。そして、制度的な裏打ちもないのではないかなと思っております。日本の医療を変えていこうというのであれば、明確な将来像を示すべきであって、今のままでは加入者の納得を得にくいというような不安感も我々としてはあります。そして、これを始めるに当たって、先ほど佐野委員からもありましたけれども、我々関係者がきちんとした形でこの仕組みについて、どのようにやっていくのかということを真剣になって考えて、そして、協力してやっていくことが必要であるかなと感じております。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 では、遠藤秀樹委員、お願いします。
○遠藤委員 幾つか要望を含めてお願いしたいのです。
 まず、歯科においては、小規模な診療所を多数抱えておりますので、こういった場合のどういった費用負担が出るのかというようなこともあります。医療機関にとっては、この問題はまだ浸透をしていない段階で、スケジュールが既に立ち上がっておりますけれども、十分周知できるような対応をしていただきたいので、どういった医療機関における負担が出るのかということもはっきりさせていただきたいということがあります。
 また、こういった新しい制度は、やってみたらば、なかなかうまくいかないとかいろいろなことがあると思うのですけれども、やる以上は、本格導入というのであれば、永続性を持って先を読んでやっていただきたい。先ほど意見もありましたが、そのようにお願いしたいと思います。
 また、もう一点、結局、患者さんと窓口で向かい合うのは医療機関になりますので、そういったところで、保険証だけではなく、マイナンバーカードを、これは患者さんが操作するというようなお話もありましたけれども、医療機関の窓口でマイナンバーが操作されるという中で、個人情報に関するトラブル、その他が発生しないようにしていただきたい。特にセキュリティ等の問題で医療機関の負担が大きくなるのも考えていただきたいと思います。保険者資格が確認されるのは非常に重要なことだと思っていますけれども、オンラインになったからといって、保険証の発行等がスムーズに行われなければ、結果、誤ったデータが出るわけなので、これは発行事務そのものも変えていかないと、オンラインのメリットが出ないのではないかなとは思っております。現状では、患者さんが未回収の保険証等で来られますと、責任をかぶるのは医療機関ということになっておりますので、そういったことがオンラインでも起きないようにお願いしたいと思います。
 それと、もう一点最後に、マイナポータルのほうでいろいろなデータが開示されるのはいいのですけれども、確定したデータであればいいのですけれども、例えば、医療費のデータについても述べられていますけれども、日々の会計は、その日その日では完結していますけれども、実際には、医療費は月ごとに請求して、審査・支払を受けて確定してくるということもございますので、ちょっと質問ですけれども、医療費については、どの段階のどういったデータを開示するのかというのをお知らせいただきたいなということで、要望と質問でございます。
○遠藤部会長 では、事務局、お願いします。
○高木室長 医療費通知でございますが、こちらは考え方が2つございまして、1つは確定後のものというのは、これまでやられている医療費通知でございます。他方、資料にもございますけれども、e-Taxとの連携ということで、本人が確定申告で使えるようにするという実務のことがございます。この場合は、実際に払っている額も使うことができるようにするということが実務上必要になってくるという部分もございます。ですので、そこも含めまして、関係者とよく御協議させていただきながら、どういった取扱いにするのか決めてまいりたいと思っております。
○遠藤部会長 遠藤委員、よろしいですか。
○遠藤委員 はい。
○遠藤部会長 ほかにございますか。
 森委員、どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。
 意見と感想です。
 2020年本格運用ということを考えると、これは時間的にタイトなのではないかと思います。これが1点目です。
 2点目は、遠藤委員からもありましたが、費用ももちろんですけれども、薬局・医療機関でどういう設備投資が必要になるのかということ、あと、ランニングコストがかかるのかということ等がわかりません。できるだけ早くお示しいただければと思います。
 それから、最後、お願いですけれども、現場でのコストをできるだけ抑制できるようなシステムの開発をお願いしたいと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 ほかによろしゅうございますか。
 ありがとうございます。
 それでは、本議題につきましては、これまでとさせていただきます。オンライン資格確認等につきましては、本日の意見を踏まえまして、関係者と、適宜、必要な調整を行っていただきながら進めていただければとお願いいたします。
 次に、議題の「その他」でございますけれども、私から1点御報告をいたします。
 当部会の下に設置されております「あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会」において、4月23日、資料3のとおり、報告書がとりまとめられましたので、同委員会の委員長である私から御報告をさせていただきます。
 内容は、資料3にお示ししているとおり、あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費への受領委任払い導入に当たり実施していく具体的な不正対策や受領委任制度による指導監督の仕組みに関してとりまとめたものでございます。
 これに関しまして、特に何か御意見、御質問等がございましたら、お伺いしたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
 松原委員、どうぞ。
○松原委員 こういった請求で、決して間違ったものが来たり、あるいは、過度なものが来ないように、しっかりとそのチェックをしていただきたいと思います。そういったことをしませんと、膨大に膨れていって、大変保険財政に迷惑をかける日が来る可能性がございますので、こういったものをつくる以上は、きっちりとやっていただきたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 ほかに、何か御意見はございますか。
 よろしゅうございますか。
 それでは、ただいまの御意見等も踏まえて、この問題につきましては、所要の手続を対応をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、一応用意した議案は以上でございますので、本日はこれまでとさせていただきます。
 次回の開催については、追って、事務局より御連絡をさせていただきます。
 本日は御多忙の折、お集まりいただきまして、長時間どうもありがとうございました。これにて終了いたします。


(了)

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