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2023年11月29日 第104回社会保障審議会医療部会

医政局総務課

○日時

令和5年11月29日(水)16:00~18:00

 

○場所      AP新橋 3階Aルーム


○議事

○医療政策企画官 それでは、定刻になりましたので、会議を始めさせていただきます。ただいまから第104回「社会保障審議会医療部会」を開会させていただきます。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
 本日は、前回に引き続きまして、委員の先生方につきまして、あらかじめオンラインまたは現地会場での参加を選択の上で御出席いただいております。
 次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
 本日は、山口委員より御欠席との御連絡をいただいております。
 医療部会の総委員数24名で、定足数は8名となってございまして、本日は23名の皆様が御出席となりますので、定足数に達していることを御報告申し上げます。
 また、内堀委員、山崎親男委員より公務のため遅れての御参加、また、途中退席との御連絡をいただいてございます。
 議事に入ります前に、資料の確認をさせていただきます。
 事前に議事次第、委員名簿、座席表のほかに、資料1から3、参考資料1-1から2-3及び委員提出資料1点を送付させていただいてございます。お手元に御準備いただければと思います。
 それでは、報道の方、カメラはここまでとなりますので、御退席をお願いします。
(報道関係者退室)
○医療政策企画官 それでは、以降の進行につきまして、遠藤部会長にお願いいたします。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 皆様、こんにちは。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、早速、議事に移りたいと思います。
 まず、議題の1、遠隔医療のさらなる活用について、事務局より説明をお願いしたいと思います。
○総務課長 ありがとうございます。
 それでは、資料1、それから、参考資料1-1、1-2、また、一番最後に山口委員から意見書が提出されておりますので、端的に御説明したいと思います。
 遠隔医療のさらなる活用についてということで、規制改革推進会議におきまして議論している案件につきまして、現状の御報告をしたいと思います。
 まず資料1ですけれども、少しページをおめくりいただきまして、飛びますけれども、7ページを御覧いただければと思います。
 7ページに検討の背景ということで、これまでの規制改革実施計画の記載を掲げてございます。この中、令和5年6月17日のものになりますけれども、厚生労働省は、個別の患者が居宅以外にオンライン診療を受けることができる場所について明らかにするというのが1つ目の論点でございます。もう一つが、デジタルデバイスに明るくない高齢者等の医療の確保の観点から、へき地などに限らず、都市部を含め、医師が非常駐の診療所を開設することを可能とするということについて検討し、結論を得るということになっております。
 一部誤植がありまして、令和5年度末までに措置と書いておりますが、令和5年末までに措置ということになってございます。
 この2点が論点となっておりますが、ページを戻っていただきまして、まず最初、2ページのところが1つ目の論点でございますが、居宅以外にオンライン診療を受けることができる場所について明らかにするということであります。
 3ページが医療法での体系を解説したものになりますけれども、オンライン診療に限らず、医療の提供につきましては、医療提供施設、いわゆる病院、診療所、あるいは居宅等のいずれかにおいて行うということにされております。
 この一番下のところに書いてありますように、通所介護施設ですとか公民館など、こういったところにつきまして、医療提供施設あるいは居宅等の要件に該当するのかというところが論点となってございます。
 次の4ページでございますが、これまでの整理を掲げてございます。オンライン診療のガイドラインの中でも受診をする場所について一定記載をしてございますが、2つ目のポツにありますように、③患者の所在として認められる例としまして、患者の日常生活等の事情によって異なりますけれども、患者の勤務する職場などについても療養生活を営むことのできる場所ということで、居宅などの類型に当てはまるということをお示ししているところでございます。
 他方で、今回規制改革の中で議論になっておりましたデイサービスにつきましては、これはオンライン診療に限った話ではございませんけれども、患者が一時的に滞在するのみであるという性質に鑑みれば、医療の提供を認められている患者の居宅等の療養生活を営むことができる場所とはなかなか言い難いといった過去の国会答弁もございます。
 こういったことを踏まえて、考え方としましては、下に書いていますように、居宅等とは、患者の日常生活等の事情によって異なりますけれども、居宅と同様に長時間にわたり滞在する場所であるために、療養生活を営むことができる場所と考えられると整理をしてございます。
 これを踏まえて、次の5ページになりますが、我々のほうから規制改革のワーキンググループの中で御説明した内容になりますが、最初の2つのパラグラフは今御説明した内容の要約でございます。
 ポイントは3つ目のパラグラフにありますが、学校や通所介護事業所などについても、個々の患者の日常生活等の事情によって異なるが、居宅と同様に長時間にわたり滞在する場所であることを踏まえ、例外的に療養生活を営むことができる場所として、個々の患者の所在としてオンライン診療することが認められる場合があるということを示してはどうかということを御説明してございます。
 ただ一方で、患者の所在として認められる場合であっても、医療法上、特定多数人に対して医療を提供するという場合には、やはり診療所の開設が必要となると考えられますので、診療所を開設している場合を除きまして、特定多数の利用者に対して通所介護事業所等に通所する機会を活用してオンライン診療の機会を提供するということはできない。そういったことを留意した周知の対応も必要であるといったことを御説明してございます。
 これが1点目の論点でございます。
 2点目は次のページになりますけれども、へき地などに限らず都市部を含めて、オンライン診療のために医師非常駐の診療所の開設を可能とすることについて検討するということであります。
 この点につきましては、8ページになりますが、今年5月に医政局から通知を出してございまして、無医地区、準無医地区、離島、あるいは準無医地区と同程度に医療の確保が必要な地域、こういったへき地等において特例的に医師が常駐しない形でのオンライン診療のための診療所の開設というものを認めるとしてございます。
 課題としましては、このへき地以外の場所についても、ニーズに応じて認めるべきではないかという御指摘をいただいております。
 次の9ページになりますが、これに対する我々からの対応策ということでありますが、医師が非常駐となるという衛生規制の例外をも認めるということになりますので、へき地など医療ニーズが満たされない地域に限定的にこれまで緩和していることを踏まえまして、専門的な医療ニーズに対応する役割を担う診療所において、オンライン診療によらなければ住民の医療の確保は困難であると都道府県が認めた場合に拡大してはどうかということを御提案してございます。
 これに対しまして、参考資料1-1というものを配付してございますけれども、規制改革推進会議のワーキンググループの座長から、この医療部会宛てに意見書という形で当日のやり取りを踏まえたコメントをいただいておりますので、簡単に御説明したいと思います。
 まず1ページですが、厚生労働省の要請内容とありますけれども、利用者起点の観点を徹底して、全ての患者がオンライン診療を受診する選択肢を持つことができるよう、場所、地域について限定しない、特段の制限を設けないよう再検討してもらいたいということで、当日我々が説明した内容については再検討を求められてございます。
 具体的な理由あるいはポイントについては2ページ目以降にございますが、基本認識ということで、オンライン診療の普及・促進というものは、患者本位の医療サービスの提供を実現するためであるということで、持病を抱えながらデイサービスを利用されている歩行困難なお年寄りなどのために、患者と医師が現場でオンラインか対面かを柔軟に選択できる制度整備の検討が求められるという御意見でございます。
 また、その次の主な意見の部分になりますけれども、1番の1つ目のパラグラフにありますように、①として、デイサービスの利用者や学校の通学者につきましては、オンライン受診を主目的に通っていないということ、また、対象者も特定されている。また、突発的な体調不良や慢性疾患の通院代替としてのオンライン受診が想定される。また、デイサービスなどについては、別途、衛生管理上の規制もあるということで、適切に運用されている前提でありますので、衛生上のリスクは高まらないのではないかと。そんな御意見もいただいてございます。
 そのほか、また内容については御覧いただければと思いますけれども、次のページの中でも、1つ目のパラグラフの一番最後ですが、利用者や家族に対しての周知についても制限を設けるべきではないということ。
 また、次のパラグラフにありますように、医療の責任の所在が不明確になるということで我々は御説明しておりましたけれども、専用ブース、通信端末の設置自体は医療行為ではないので、デイサービス事業者に責任を負わせる必要はないのではないかと。そんな御意見も示されているところでございます。
 また、次の4ページになりますが、4ページはオンライン診療のための診療所をへき地に限らず都市部も含めて医師非常駐の形で開設するということについてのコメントでありますけれども、都市部においても、高齢者など通院を継続することが難しい方もいるということで、通院にかかる費用や時間、ストレス等の利用者視点もきちんと考慮すべきである。また、医療アクセスは地理的な要件だけではなくて、どこにでも医療アクセスの悪い患者さんがいるというような御指摘もいただいてございます。
 これが参考資料1-1の御紹介でございます。
 1-2も当日出された資料ですので、重複する部分がありますので、説明は割愛させていただきます。
 また、委員提出資料ということで山口委員から意見書を提出いただいておりますので、簡単に御紹介をしたいと思いますけれども、まず、居宅以外にオンライン診療を受けることができる場所ということにつきまして、通所介護事業所、学校が挙げられておりますけれども、かかりつけ医が利用者のデイサービス中にオンライン診療をするということなのか、それとも通所介護事業所と契約している別の医師が診療するということなのかという御質問の部分もございます。この点については、議論の中では特にどういった診療形態なのかということを限定した議論ではありませんので、幅広く想定されていると我々としては理解をしてございます。
 また、突発的な体調不良にも対応するということが想定されていますが、突発的な体調不良の場合は検査をして原因を見極める必要性が高いと考えます。必要に応じて適切な検査が受けられないと病気の見逃がしにつながることもあり、患者の安心は得られないと考えますといった御指摘もいただいてございます。
 また、御質問の中で、学校とはどういう学校をイメージされているのかということもいただいておりますけれども、この点についても、特に具体的な学校の形態などについては想定しておりませんので、幅広く対象になるという前提での議論と受け止めていただければと思ってございます。
 私からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいま説明のあった内容につきまして、御質問、御意見等があればいただきたいと思います。いかがでございましょうか。
 では、神野委員、お願いいたします。
○神野委員 ありがとうございます。
 1つ質問と、ちょっと違うかもしれませんけれども、1つ意見を申し上げさせていただきたいと思います。
 まず質問で、9ページですけれども、専門的な医療ニーズに対応する役割を担う診療所というのが2行目に書いてありますけれども、この専門的な医療ニーズというのは具体性に欠けるのかなと。例えば難病とか、あるいはひきこもりといった話なのか、それとも糖尿病だって専門だし、高血圧だって専門だし、この専門的な医療ニーズというものの具体的なものをぜひ示していただければなと思います。これが質問の1点目です。
 それから、もう一つ意見ですけれども、先ほど居宅の話でデイサービス等の話があったわけですが、私、現在も能登半島にいるわけですけれども、今、地方は公共交通機関がほとんどなくなってきてしまった。タクシーも運転手がいない。バスも運転手がいないということで、どんどん便数が減っております。それから、駅前のタクシーもいなくなってきてしまった。そういった中で、せっかくデイサービス、デイケアで足があるわけですよね。それで送迎しているわけですよね。とするならば、もちろんオンラインも大事なのですけれども、これは介護保険法のほうかもしれませんが、例えばデイサービスに来た方を近隣の診療所で診察してデイサービス、あるいはデイケアに来た方を医師のいる診療所にお連れするとか、そういうことをきちんと認めていただくというほうがオンラインより先の話ではないのかなと思ってしまいます。現在はデイサービス、デイケアのついで診療というものは認められていないと思っておりますので、その辺のところはオンラインより先の話だということで意見をさせていただきました。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、質問がございましたので、事務局、お願いいたします。
○総務課長 御質問ありがとうございます。
 ここで専門的な医療ニーズというのは、我々は具体的に何かニーズを調査しているわけではございませんけれども、委員の御指摘のとおり、難病の方ですとか、あるいは対面での診療自体もなかなか専門医を確保することが難しいような希少な疾患の専門医、そういったことを想定しているところでございます。
○遠藤部会長 神野委員、いかがでしょうか。
○神野委員 了解です。より具体的なものを提示していただいたほうがよろしいのかなと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 では、山崎學委員、お願いいたします。
○山崎學委員 このオンライン診療は、やはり利便性を追求し過ぎていて、例えばオンライン診療を昼間して、それで準夜帯とか夜間帯に急変したときのバックアップ体制がこの中で論じられていないのですよね。そうすると、昼間診た患者さんが準夜とか深夜で急変してしまったときに、その患者さんは一体どこに相談するのでしょうかというのが1点目。
 あと、診療して、処方したときに、過疎化している地域を含めて、そこに調剤薬局がないときに、一体薬はどこで出してもらうのでしょうかというのが2点目。
 それから、3点目が、規制改革推進会議で議論して既存の障壁をなくせと言っているのですが、そもそも規制改革推進会議自体が上位の会議なのか、あるいは医療法を含めて関連法が上位なのか、これは法律的にどちらが上位なのでしょうか。
○遠藤部会長 それでは、3番目は御質問だと思いますので、事務局からお答えいただけますか。お願いします。
○総務課長 御質問の点ですけれども、医療法自体は国会でお決めいただいて制定されているものでありますので、行政機関としてはこの法律に則して執行していくということになるかと思います。他方で、内閣としての法案の提出権もありますので、そういった意味では行政府内で規制改革推進会議あるいは厚生労働省とで協議をしながら、あるべき法律改正というものも当然提案していくということにはなろうかと思います。そういう関係性ではないかと受け止めてございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 山崎學委員、いかがでしょうか。
○山崎學委員 法律を優先するのならば、規制改革推進会議の提案をそのまま受けるということではなくて、関連法案をきちんと改正してから対応するべき事案ではないかなと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
○遠藤部会長 これは御意見でありますけれども、事務局の考え方を聞かれておりますので、よろしくお願いします。
○総務課長 御指摘ありがとうございます。
 おっしゃるとおり、我々は法律に沿って対応するというのが基本でありますので、法律を変えなければ対応できないものについては、法律を改正した上で対応するということかと思いますし、改正しない場合においては、法律の範囲内でどういう対応ができるのかということを協議し、対応していくということかと思ってございます。
○遠藤部会長 山崎委員、いかがでしょうか。
○山崎學委員 一番最初に質問した急変時のバックアップ体制というのは全然考えないで、患者さんがどこにも相談できないという状態になったときにどうするのでしょうか。
○遠藤部会長 事務局、いかがでございましょうか。これは事務局の提案ではないわけですけれども、コメントがあればお願いいたします。
○総務課長 御指摘ありがとうございます。
 例えば今年の5月、我々のほうからへき地などに限ってオンライン診療のための医師非常駐の診療所の開設を例外的に認めるという通知を出してございますが、ここに記載していなくて恐縮ですけれども、こういったものについては、実施体制などについても都道府県において特別に認めた場合に限るという形で、そういったバックアップ体制も含めて、よく慎重に判断された上で対応していただきたいということをこれまで申し上げてきたところでございます。
 そういった意味では、我々のほうから提案した範囲というのは、都道府県が認めた場合においてという限定を残したまま、地域性の範囲を広い地域の限定ではなくて専門的な医療ニーズということで、少し地域性とは違った角度での緩和をしてはどうかと。あくまでも委員の御指摘のような急変時の対応なども含めて、都道府県の中できちんと判断していった範囲で拡大していく。そんな御提案をしているところでございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 山崎委員、よろしゅうございますか。
○山崎學委員 結構です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、井上委員、お待たせいたしました。よろしくお願いいたします。
○井上委員 ありがとうございます。
 5ページ、9ページに示されました具体案の骨子の内容につきましては、おおむね異論はございません。
 ただ、懸念事項として、拡大解釈による不適切な事例でありますとか、あるいは過剰な受診、こういうものが起きてしまうということが想定されますので、オンライン診療が適切な形で普及していくように、しっかりと周知をしていただきたいと思います。
 「居宅等」の考え方について、この分野はやはり技術の進展でありますとか社会的な重要度、利用者のデジタルへの対応など、周辺環境により状況が変わってくると思いますので、今回の実施状況を見ながら、さらなる対応の必要性につきましては、引き続き検討していくべきだと考えます。
 以上でございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、少し会場からのお声もいただきたいと思いますので、会場の委員の方で何か御質問はございますか。
 では、泉委員、お願いいたします。
○泉委員 確かに規制改革推進会議から出る意見はごもっともなところはあるのですけれども、一番心配するのは、通院に対してタクシー代が4,000円かかるというのを、経済的負担も考慮してオンライン診療を認めるみたいなことがあって、では、どこまでオンライン診療を認めるかということはかなり厳しくやっておかないと、どんどん拡大解釈されてしまうのではないかということを非常に懸念いたします。特に救急外来をやっている病院においては、患者さんが求めてオンライン診療をやれと言われて断れなくなってしまうというのは、やはり通常の救急ができなくなってしまうということですので、かなりきちんとしたオンライン診療の基準をつくっておくということになろうかと思います。
 そこで、9ページに案が示されていますが、もう少し練り込んで、実際にどういう使われ方がされるか分からないので、いろいろな検討をして、きちんと拡大解釈されないような決め方をしておくということが必要なのではないかと考えております。
 以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
 ほかにございますか。
 では、島崎委員、どうぞ。
○島崎委員 規制改革推進会議のワーキンググループの座長から、当方の部会にこういう形で意見書が出されたというのは、私が承知している限り例がないと思います。おそらく役所とやり合っていてもらちが明かないので、ぜひ一度この場で議論してほしいという趣旨なのではないかと思います。そこで、この佐藤座長名で出された意見書と、それからもう一つ、ワーキンググループの大石専門委員と佐々木専門委員から出された意見書を丁寧に一生懸命読んだつもりなのですけれども、率直に言って、どういうニーズなのかがよく分かりませんでした。
 本日ご欠席の山口委員も、ずっと電話相談等を行ってきたけれども具体的なニーズのイメージが湧かないということ書かれているわけですが、まず佐藤座長の意見書を見ると、例えば3ページ目の真ん中のところです。どういうニーズを想定しているかというと、「突発的に体調不良になった場合や慢性疾患の通院代替として」と書いてあるわけです。確かに通所介護事業所で、例えばデイサービスの最中に体調不良になる者がいることはあると思いますけれども、そのときどうするかと言ったら、通常はそこの介護事業所のしかるべき者が日頃連携を取っている診療所あるいは病院かもしれませんけれども、そこと連絡を取るなり、体調不良の状態を見て救急車を呼ぶなりというのが普通の対応であって、わざわざオンラインで対応するというのは通常は考えにくいと思います。
 また、もう1つの慢性疾患の通院代替ということであれば、かかりつけ医なり、日常的にその慢性疾患の治療等でかかっている医療機関なりがあるはずなので、それとは別になぜこの通所介護事業のところでやらなくてはいけないのかよく分からない。3ページの真ん中のところには、「今回の話は、通所介護事業所等で、突発的に体調不良になった場合や慢性疾患の通院代替として、オンライン診療を利用してもいいのではないかという話」であって、「居宅」と同等に扱えると整理すればよいだけの話だというようなことが書いてあるのですけれども、まず前提となるニーズがよく分からない。
 その次に、大石専門委員と佐々木専門委員の意見を読むと、確かに前半のほうにはそういうことも書いてあるところがあるわけです。例えば3ページ目の一番上には「突発的な体調不良や慢性疾患の通院代替」のことが書いてあるのですけれども、一方で3ページの一番下の「(4)の介護報酬の評価について」のところを見ると、それとはかなり異質な内容です。つまり、ここで言っているのは、通所介護事業所には看護師が配置されているのだから、D To P with Nの形態として、オンライン受診をサポートする機会を通じて患者の健康状態を把握するということは有用だと主張されているわけです。
 この点は先ほどの神野委員の御指摘とも関係するかもしれませんけれども、私はこういうビジネスモデルが全く論外だと言うつもりはありません。場合によっては、有用性はあるかもしれないし、これを応用するような形態があるかもしれません。けれども、そのようなニーズがあり有用であるならば、オンライン診療の前に、デイサービスの場に医師が行って診療するということがあってもおかしくないはずです。それが現行制度上、認められているのか認められていないのか、また、現実にそういう実態があるのか分かりませんけれども、その上で、それをオンライン診療の形態で行うことが有用だというのであれば、これは居宅等の解釈や通知の運用の話ではなくて、正々堂々というか、正面から法律改正をすべき問題だと思います。その場合、オンライン診療と通常の対面診療が本当に同等であるかどうかということも含めて、さらに言えば、先ほど山崎委員も御指摘されたように、いざという場合の安全性の確保ということも含めて議論する必要があると思います。それが衛生規制の本質だからです。衛生規制とは、何も汚いとかきれいとかということを言っているわけではなくて、医療で言えば患者の安全性の観点からということが衛生規制の本質なのですから、そういう観点から照らしてみてどうなのかということを正面から議論すべきであって、解釈問題とは異質のような気がします。
 さらに言えば、そもそもなぜ居宅が診療の場所として認められたのか。これは医療法の改正をして行われたのですが、その理由は、私の記憶の限りだと、在宅医療や訪問看護を積極的に位置づけ普及させるために、あえて医療施設・医療機関とは別のものとして居宅を医療提供の場として位置づけたという経緯があるわけです。もし先ほどのような形態の事業をやりたいのであれば、まさにそれと同じように、正面からきちんと法律改正を含めて議論すべきではないかと思います。
以上、私の意見です。
○遠藤部会長 御意見として承りました。ありがとうございます。
 会場でほかにございませんか。
 佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員 ありがとうございます。
 資料5ページ目で居宅と長時間にわたり滞在する場所という定義がありますが、それについては解釈の幅がかなり広過ぎるように思います。また、通所介護事業所が認められるということであれば、ほかの介護サービスはどうなるのかという整理も必要になってくると思います。その点はどう考えているのかというのを事務局の方に教えていただきたいというのが一点と、今、島崎委員をはじめ、ほかの委員の方もおっしゃったように、ただ緩和すればいいという問題ではなく、きちんと整理しないといけないのではないかと思います。私も過去に介護現場にいた経験がございますので、そういった経験からも、きちんと分けるものは分ける、適切なほうに持っていかないといけないと思っていますので、その点は申し上げます。
 次に、9ページ目に住民の医療の確保が困難であるかどうかを都道府県が適切に判断できると書いておりますが、基準がよほど明確でなければ、公的医療機関、医療保険でありながら、地域によって格差が生じ、解釈が全く違ってきて、ローカルルールなどをやたらつくってしまう恐れもあります。したがって、へき地等以外に範囲を広げることは慎重な検討が必要と思います。
 私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。事務局に対するお尋ねがあったという理解でよろしいですね。
 では、事務局、コメントをお願いいたします。
○総務課長 御質問をいただきました。居宅等ということで、これまでにほかの場所が認められているかということですけれども、資料にも記載しておりました職場というところはガイドラインの中でお示ししておりますが、そのほかにも、特別養護老人ホームですとかそういったものについては、特別養護老人ホームのお部屋で長時間生活されているということも踏まえまして、これは省令で個別に認めているという例もございます。
○遠藤部会長 佐保委員、お願いします。
○佐保委員 補足で申し上げます。
 いわゆる特別養護老人ホームについては、居住の場と介護保険上でも位置づけられていますので、要するに住まいの場というところと、デイサービスは通いの場でございますので、その辺は分けて整理して考える必要があると思います。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、またオンラインに戻りたいと思います。
 小熊委員、お待たせしました。どうぞ。
○小熊委員 ありがとうございます。
 私のほうからは、山崎委員や島崎委員もおっしゃったのですけれども、訪問診療というのは患者さんの利便性だけを考えてやるものではないと思います。医療をする者からいえば、一番は安全性です。安全性が担保されなければ、診療行為はできません。私はそう思います。ですから、例えば先ほども出ましたけれども、急変時とか、初診でいきなりどこかの診療所なり病院なりに連絡がついて、それでオンライン診療でいいのかという問題、そこのところは原則論としてしっかり考えていただかないといけないと思います。
 例えば先ほど島崎委員がおっしゃったように、そういう人は救急車でしかるべき設備の整った、あるいはスタッフのいる病院に運ばなければならない。やむを得ないと思うのです。そういう人のためにオンライン診療をと規制改革推進会議は考えているような気がするのですけれども、それは医療上は間違いではないかと私は思います。
 それと、例えば私どもがオンライン診療をするとしたら、慢性的疾患で、患者さんとの間に意見交換というか信頼関係があって、そして、先ほど言ったような急変とかそういうような状況でなくて、ですから、そういう状況で遠隔診療、へき地とかそういうところの方を診るのは非常に好都合なわけです。だけれども、先ほどから言っていますような急変時とか初診時なんていうのはとんでもないことだと私は思っております。ですから、誰でもがどんなときでもオンライン診療をできるのではないということをお考えいただきたいと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、楠岡委員、お願いいたします。
○楠岡委員 楠岡です。
 今回提案されている中の5ページ、具体案の骨子に関しましては特に異存はございません。
 9ページのほうに関しては、専門的医療ニーズ、先ほど神野委員からも御指摘があったように、ここは非常に曖昧なところがあるので、そこはもうちょっと精緻化する必要があるかと思います。
 山口委員の指摘事項等を考えますと、一つは、医師が常駐しない診療所が要るケースと要らないケースを明確に分ける必要があるのではないかというところです。例えば保険診療を行う場合には、当然のことながら、オンライン診療であったとしても、医師が非常駐の診療所を設定して、そこで行う。保険診療そのものがいろいろな規則の上で成り立って実施することになっていますので、範囲をしっかり限定するという意味では、非常駐の診療所は要るだろうと思います。一方、自由診療となりますと、今、これが全く無制限になっているところがあり、非常に危ない診療が自由診療の下でなされていますので、これをどうするかは別途考える必要があるのではないかと思っております。
 居宅というのも非常に曖昧なところで、自由診療の場においては、極端なことであれば、今いる場所が居宅と言ってしまえばそれで終わってしまうみたいな話で、誰も確認しようがない、画面を通しての問題だけになってしまいますので、そういうところに対してどういう規制をしっかりしていくかということを考える必要があるのではないかと思います。
 そういう意味では、9ページの医師が常駐しない診療所という話に関しても、ここに書かれているようなものだと多分ニーズがないし、そのためにわざわざ診療所を設定するのは無駄だという話になって、結果的に進まないということになるかと思います。逆にこれだけいろいろニーズが多様化している中で、どういう場合だったらあり得るのかということはやはり医療の提供側としても考えておかないと、規制緩和のほうで一方的に言われっ放しというのも変な感じもするところであります。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、角田委員、お願いいたします。
○角田委員 遠藤部会長、ありがとうございます。
 オンライン診療の利用推進のためには、医学的な有効性と特に安全性の確保というのは極めて重要でございます。これをしっかりと確保した上で着実に広げていくということが、患者さんと医療関係者の安心とか信頼につながります。
 逆に、利便性や効率性だけを重視して、そして、拙速に拡大しますと、これは不適切なオンライン診療につながります。その結果、患者さんや医療関係者の間に不安、不信が広がるとともに、また、医療の特性上、不適切な事例によって健康被害などが生じた場合には、取り返しがつかないことになります。
 実際に11月8日の中医協の総会では、指針で安全性を確保するために禁止されている初診時の向精神薬の処方が行われた事例や、オンライン診療が診療のほとんどを占めていた場合とか、また、ほかの市町村の患者さんがほとんどであるような医療機関が一定数存在しておりまして、対面診療の確保ができているかどうか危惧される実態が実は報告されております。これは診療側、支払側、両方の多くの委員から心配する声が上がっておりました。
 さらに、オンライン診療の大きな目的として、指針にも記載があるように、患者さんの日常生活の情報を得るということができることと、医療へのアクセスの容易さを確保することがございます。
 これを踏まえた上で意見を申し上げますが、まず5ページのオンライン診療を受けることができる場所に関する具体案の骨子についてです。3つ目のチェックで、学校や通所介護事業所などについても、個々の患者の日常生活等の事情によって異なるが、居宅と同様に長時間にわたり滞在する場所であることを踏まえ、例外的な療養生活を営むことができる場所とありますが、日常生活の情報を得るためにも、居宅と同様とみなせる程度に十分に長い時間の滞在があるということは必須と考えております。また、あくまで例外であります。居宅が原則であるということは今後も変えるべきではありません。
 また、4番目と5番目のチェックに関して、特定多数人に対して提供する場合は診療所の開設が必要です。開設していない場合には、特定多数人の利用者等にオンライン診療を受診する機会を提供できないのは当然のことでございます。
 私からは以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 では、野村委員、お願いいたします。
○野村委員 野村と申します。よろしくお願いします。
 遠隔医療のさらなる活用という中で、へき地に関してやデジタルデバイスに明るくない高齢者への医療の確保という中では、非常に有効であると考えております。
 ただ、場所に関してもそうですが、やはり安全に受けられる基準や疾患なども非常に大きな課題もあるかと思っております。オンライン診療で可能なことと、逆にデメリットが強く出てしまうもののすみ分けが非常に重要だと考えております。
 オンライン診療も、患者への使い方の説明も複雑であればあるほど、医療機関の負担も大きくなるかと思います。
 今後、この遠隔医療やオンライン診療の活用が幅広く進んでいきますが、やはり安全であることを前提に、私たち使う側が使った後でオンライン診療にしなければよかったとならないように、今後も改めて検討していただくようよろしくお願いします。
 以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、松田委員、お願いいたします。
○松田委員 松田でございます。
 今までの委員が言われたことの復唱になるのですけれども、オンライン診療は基本的にやはり対面診療、それから、いざとなったときの入院診療との連続性の中で考えられるべきものだと思っています。
 先ほど角田委員が紹介されたように、異なる都道府県の診療所がオンライン診療をかなりやっているという事例もあるやに聞いて、実際に発生しています。多分それはまずいのではないかなと実は思っています。やはりオンライン診療というのは、対面、それから、緊急時の何かあったときの入院診療との連続性でやるべきという原則で考えていただけたらいいのではないかなと思います。
 5ページにありますような骨子につきましては、特に異論はございません。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 では、城守委員、お願いいたします。
○城守委員 ありがとうございます。
 皆さん方がおっしゃったことと同じですが、まず、最初の居宅以外のオンライン診療を受ける場所に関しての括りですけれども、これは法令でありますように、医療提供施設か、または居宅等のうちの、居宅等の解釈にかかる話です。3ページの療養生活を営む場所というところの解釈は、今、角田委員や様々な方がおっしゃったように、居宅と同じくらい長時間いるということ、また、診療所とする場合は開設をしっかりとしなければいけないという点に関しては、他の委員と同様の見解です。
 先ほどからも出ておりますように、本日御欠席の山口委員の御意見を拝見しておりますと、通所介護事業所または学校でオンライン診療を受けることができればというニーズをこれまで耳にしたことがないというコメントをされておられますので、果たしてそのニーズがあるのかどうかということに関しては疑問を抱かざるを得ないと思います。
 2つ目の、へき地等においての部分を都市部にも拡大していくというところでございますが、もともとオンライン診療の有効性と安全性、それぞれにメリット、デメリットがあるわけですけれども、その中においてリスクよりもベネフィットのほうがへき地の場合は大きいだろうということで、まずは例外的に許可されているという経過がございます。オンライン診療は、先ほどから皆さんがおっしゃっているように、あくまで対面診療の補完ということですので、その特殊性という意味においては、へき地で行う場合は十分に皆さんの中にも共有できる、理解できるということだと思うのですけれども、街中においても同様に行えるということについては、これはいろいろな方がおっしゃっておられるように、街中には医療機関があるわけですので、オンライン診療よりも対面診療のほうが優れているということは明確であるわけですから、対面診療のほうで受診するということが普通であろうとは思います。
 国としてオンライン診療を進めていきたいのであれば、やはり有効性よりもまずは安全性というものが極めて重要になります。医療の場合は、もしよくないことが起こった場合というのは取り返しがつかなくなるわけですから、そういう意味においては、安全性というものをしっかりと担保した上で制度設計を考えていっていただきたいと思います。
 さきほども角田委員がおっしゃったように、中医協においての調査結果でしたか、指針では禁止されている初診での向精神薬の処方というものが実際にされている。いわゆる明らかに不適切なオンライン診療という事例が見られているわけですので、やはり利便性とか効率性だけを重視して拙速に拡大をしてしまうと、不適切なオンライン診療というものがさらに広がってしまう。その中でよくない事例が発生すると、オンライン診療を進めるという意味においても非常によろしくないということになろうと思いますので、やはりこれはしっかりとした有効性、特に安全性を確保した上で、必要性が高い地域において実例を積み重ねていきながら、着実にオンラインというものに取り組んでいっていただきたいとコメントさせていただきたいと思います。
 私のほうからは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、今度は少し会場に戻らせていただきます。
 加納委員、どうぞ。
○加納委員 今も城守委員もおっしゃいましたが、各委員がおっしゃっているとおり、やはり今回のオンライン診療における安全性に関しては、これをしっかりと議論しないと、先ほども一つありましたが、急変時の対応、これはいざというときにどういう対応をするかということも全く決められずに診断を下し、また、処置されるということは非常に危険だということは当たり前のことだと私自身も思います。それが地域を越えて、さらに都道府県をまたいでオンライン診療がどんどんなされるようになると、例えば東京を中心にそういったオンライン診療専門の診療所もできかねない状況かと思います。そういうことは医療の面から見れば対面の診療との違いは明らかですし、安全性では大きな問題が出てくる可能性を秘めていると思います。そういう意味からしても、オンラインの様々な面に関するルールづくりが早急に必要ではないかと思います。よろしくお願いしたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、荻野委員、どうぞ。
○荻野委員 日本薬剤師会の荻野でございます。
 ほぼ出尽くしている感がございますけれども、薬剤師の立場からも一言意見を述べさせていただきたいと思います。
 地域において医師の先生方と病院、診療所は医療提供の核になるものでありまして、医療計画において医師の確保あるいはへき地の医療体制構築といった全体像の中で、医療資源の乏しい地域においては、一つの手段として医師の先生方がオンライン診療を有効に活用していると認識しております。その上で、もし仮にへき地等に限らない医師非常駐の診療所が増えていくと想像すると、本当に地域の医療提供体制は大丈夫なのか、医療の質の担保ができなくなることにもつながりかねないのではないかといったところは懸念されるところでございます。単に個別の部分を抜き出して議論をするのではなくて、今後、地域において医薬品の提供体制を含めてどのような医療提供体制を目指していくのか、全体像を踏まえて慎重に考えていく必要があるのではないかと思っております。
 私からは以上でございます。ありがとうございました。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 内堀委員、お待たせいたしました。よろしくお願いいたします。
○内堀委員 遠藤部会長、ありがとうございます。
 公務の関係で、議題1、2、3についてまとめてコンパクトに発言をさせていただきます。
○遠藤部会長 よろしくお願いします。
○内堀委員 ありがとうございます。
 まず、議題の1です。へき地等に限らず、オンライン診療のための医師非常駐の診療所を開設可能とすることについて、厚生労働省の課題認識にあるように、へき地等以外の場所においても、特定の診療科目の医療機関が近隣にない場合など、医療アクセスが困難な場合があります。
住民に身近な場所で必要とする医療を受けることができる機会を確保する手段の一つとして、オンライン診療は重要です。
オンライン診療のための医師常駐不要の診療所開設の特例範囲について、へき地等に加え、「専門的な医療ニーズに対応する役割を担う診療所において、オンライン診療によらなければ住民の医療の確保が困難であると都道府県において認められるもの」と拡大されることで、地域の実情に応じた柔軟な取扱いが可能となるものと考えます。都道府県の判断に当たり、具体的な基準や考え方等を示していただくようお願いします。
 次は議題の2です。今回提示された基本方針(骨子案)について、これまでの本部会での議論を踏まえ、必要な基本認識や基本的視点が盛り込まれていると考えています。物価高騰により医療機関の経営に影響が出ており、また、人材確保、新興感染症への対応、医療DXの取組について、従来の診療報酬だけでは十分な対応が難しい状況であることを踏まえ、今回の診療報酬改定において適切な評価の検討をお願いします。
 最後に、議題の3です。新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金による支援については、通常医療への移行に向け、必要な予算を計上していただいたものと評価しています。
また、医療分野における物価高騰については、臨時的な補助金等ではなく、診療報酬の改定による対策を求めてきたところであり、今般、入院時の食費について診療報酬の見直しに向けた検討が行われることは、全国知事会の求めた趣旨に沿うものと認識しています。
 一方、先日閣議決定された経済対策において、「2024年度については、地域医療介護総合確保基金による対応を念頭に、診療報酬の見直しと合わせ、2024年度予算編成過程において検討」とされています。地域医療介護総合確保基金は、原則3分の1の都道府県負担が求められていますが、今回の食材料費の高騰に対する支援については、全額国費で措置されるべきものであり、都道府県に財政負担を求めることがないよう、強くお願いします。
 私からは以上です。どうぞよろしくお願いします。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 ほかに何か御意見はございますか。
 大体御意見は出尽くしたかと思います。ありがとうございました。
 それでは、本件につきましては以上とさせていただきます。
 事務局におかれましては、本日の意見も踏まえて、引き続き検討を進めるようにお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
 それでは、次の議題、令和6年度診療報酬改定の基本方針についてに移りたいと思います。事務局から説明をお願いします。
○保険局医療介護連携政策課長 保険局医療介護連携政策課長でございます。
 それでは、私のほうから、診療報酬改定の基本方針につきまして御説明をさせていただきたいと思います。
 これまで医療部会、それから医療保険部会のほうで、この基本方針につきましてはそれぞれ3回にわたって御議論をいただいてまいりました。
 本日は骨子案をお示ししてございます。
 資料2-1が骨子案の概要という横置きの紙、また、資料2-2が骨子案の本文となってございます。
 横置きの骨子案の概要につきましては、骨子案の項目の部分を抜き出したものでございますので、資料2-2の骨子案の本文に沿って御説明をさせていただきます。
 説明に当たりましては、これまでの医療部会、医療保険部会での御議論を踏まえて修文した点を中心に御説明をさせていただきます。
 まず、資料2-2の1ページ目でございます。
 改定に当たっての基本認識ということで、この点につきましては、前回4つの基本認識をお示しして御議論いただいた上で、おおむね委員の先生方の共通の御理解をいただいたと事務局としては思っております。
 基本認識の1つ目でございますけれども、物価高騰・賃金上昇、経営の状況、人材確保の必要性、患者負担・保険料負担の影響を踏まえた対応でございます。
 1つ目の○の現下の物価高騰の状況の部分の記載でございますけれども、食材料費だけでなく光熱費についても明記すべきという御意見をいただいておりましたので、文言を加えてございます。
 その上で、2つ目の○でございますが、今月2日に経済対策が閣議決定されておりますので、関連する記載を加えてございます。
 基本認識の2つ目でございますが、全世代型社会保障の実現や、医療・介護・障害福祉サービスの連携強化、新興感染症等への対応など医療を取り巻く課題への対応という部分でございます。
 1つ目の○につきまして、75歳以上人口の増加と生産年齢人口の減少という人口構造の変化については、前回、当部会におきまして、今後直面するものではなく、既に直面しており、今後はこうした傾向が加速していくものであるという旨の御指摘をいただきましたので、記載を修正してございます。
 それから、2ページに進んでいただきまして、このパートの最後の○の部分でございますけれども、これは医療保険部会のほうで地方における医師の確保が重要な課題である旨の御意見をいただきましたので、その旨、記載を加えさせていただいております。
 基本的認識の3つ目でございます。医療DXやイノベーションの推進等による質の高い医療の実現でございます。
 1つ目の○に関しまして、医療DXを進めるに当たって国民への働きかけも重要である旨の御意見を医療保険部会のほうでいただきました。御指摘を踏まえて追記をしてございます。
 それから、2つ目の○でございますが、医薬品等の生産供給体制の構築について追記するよう御意見をいただいておりましたので、この点についても追記をしてございます。
 それから、4つ目の基本認識でございます。社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和という部分でございます。
 2ページの最後の部分から3ページの最初の部分にかけてでございますけれども、前回「無駄の排除」という文言を書いてございましたが、「更なる適正化」といった文言に修正すべきではないかという御指摘がございましたので、修文をさせていただいております。
 次に、2ポツのところですけれども、改定の基本的視点と具体的方向性ということで、4つの基本的視点についてこれまで御議論いただいてまいりました。
 ここでの最初のところから3つの○の部分でございますけれども、平成30年度の同時改定以降、これまでの改定の経緯やこれまでの流れを踏まえた令和6年度診療報酬改定のコンセプトを簡潔に記載してございます。
 また、4つ目の○の部分でございますけれども、診療報酬改定DXの文脈で、令和6年度の診療報酬改定につきましては、施行時期を6月に後ろ倒しにしたということについて記載させていただいております。
 1つ目の基本的視点でございます。現下の雇用情勢も踏まえた人材確保・働き方改革等の推進でございます。重点課題ということで位置づけをさせていただいております。
 視点のタイトルでございますけれども、この人材確保・働き方改革等の推進といった課題については現時点だけの問題と誤解されないよう、文言を工夫するよう御指摘がございましたので、「現下の雇用情勢も踏まえた」という表現に修正させていただいております。
 その下の3ページから4ページにかけての基本的視点の記載については前回の資料と同様で、修正はございません。
 その下でございます。具体的方向性の例のところでございますけれども、1つ目の○の医療従事者の人材確保や賃上げに向けた取組、この点につきまして、より詳しい内容をポツで追加させていただいております。
 また、前回まで働き方改革に向けての取組の推進ということでざっくりとまとめておりました部分につきまして、考え得る施策を分割して記載をさせていただいております。
 5ページにお進みいただきたいと思います。
 2つ目の基本的視点、ポスト2025を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進や医療DXを含めた医療機能の分化・強化、連携の推進というところでございます。
 基本的視点についての記載は前回と同様でございます。
 具体的方向性の例につきまして、最初の医療DXの部分は、2つ目のポツのところで電子処方箋の普及など、より具体的な施策の記載を加えてございます。
 以降、5ページの最後から7ページにかけまして、これまで提示しておりました具体的方向性の例に関するより詳細な施策をポツを追加する形で加えさせていただいております。
 7ページの中ほどから3つ目の基本的視点、安心・安全で質の高い医療の推進となります。
 基本的視点の1つ目の○の物価高騰の記載でございますが、この点については、冒頭申し上げましたとおり、光熱費の文言を加えてございます。この修正につきましては、具体的方向性の例の1つ目の○についても同様でございます。
 次に、8ページの中ほどでございます。重点的な対応が求められる分野といたしまして、これまでの部会の御意見も踏まえまして、救急医療についての記載を修正してございます。
 また、8ページの下から2つ目の○のところですけれども、歯科に関して具体的な施策の記載を追加し、また、8ページの一番下の○の部分では、薬局や薬剤師に関する具体的な施策の記載を加えてございます。
 次に、基本的視点の4つ目でございます。9ページの中ほどにございますけれども、効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上というところでございます。
 基本的視点の2つ目の○でございますけれども、今回の改定は団塊の世代が75歳以上となる2025年をまたぐ節目の改定であること。その前提で、2025年に向けて進めてきた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上につながる取組をしっかりとやり遂げることが不可欠である。こうした御指摘をいただきましたので、その旨、記載を加えてございます。
 具体的方向性の例のところでは、9ページの下から2つ目のポツでございますけれども、バイオ後続品の使用促進に関する記載を加えてございます。
 その後は基本的に再掲部分になりますので、最初に出てくる記載に合わせた形で修文をしてございます。
 また、11ページでございますけれども、上から1つ目の○でございます。薬局の評価に関する記載を再掲という形で加えてございます。
 最後に「3.将来を見据えた課題」という章を起こしてございます。これまでの診療報酬改定の基本方針におきましても、審議会で御議論いただく中で、将来を見据えた課題という章におきまして論点を整理しているところでございます。
 最初の○のところでは、診療報酬のみならず、医療法、医療保険各法等の制度的枠組みや補助金等の予算措置など、総合的な政策の構築が不可欠であるということ。
 2つ目の○では、患者自身が納得して医療を受けられるよう、患者にとって身近で分かりやすい医療を実現していくとともに、国民の制度に対する納得感を高めるため、診療報酬制度を分かりやすくするための取組を継続していくこと。また、国民に対して医療制度に関する丁寧な説明を行っていくことが求められるということを記載してございます。
 3つ目の○では、これは医療保険部会での御指摘でございましたが、ヘルスリテラシーの向上の必要性や、一人一人が健康について考え、健康づくりに取り組む重要性について御意見をいただいたことから、過去の基本方針の記載をベースに御意見の趣旨を踏まえた文章を記載してございます。
 最後の○の部分でございますが、医療DXが将来にわたって質の高い医療サービスの実現につながる旨を再度強調して記載させていただいております。
 資料の説明は以上でございますが、参考資料2-1といたしまして前回の医療保険部会における各委員の発言要旨、また、参考資料2-2として前回の医療部会における各委員の発言要旨、さらに、参考資料2-3といたしまして医療を取り巻く状況等について関連するデータなど、参考資料をおつけしてございます。
 本日も各委員の先生方から幅広く御意見をいただきながら、さらにこの骨子案の肉づけ、修正の作業を行っていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 私からの説明は以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、皆様から御意見、御質問をいただきたいと思います。いかがでございましょうか。
 では、加納委員、どうぞ。
○加納委員 ありがとうございます。
 まず、物価高騰・賃金上昇、1番の基本認識に関しまして、光熱費を明記していただいたこと、ありがとうございます。
 また、基本認識のところで医療DXやイノベーションの推進等による質の高い医療の実現という表現をしていただき、これを実現するためには診療報酬でしっかりと考えていただくということだと認識しておりますので、併せてこの点もよろしくお願いしたいと思います。
 先ほどお話に出てきました救急等の話について少し確認したいと思っております。資料でいきますと、資料2-2の8ページでございます。ここの2つ目の○の下に「軽症、中等症の高齢者の救急医療の充実及び適切な搬送の促進」と書かれております。この軽症、中等症というのは、総務省消防庁における統計上の軽症、中等症のことでしょうか。これは質問です。
○遠藤部会長 では、事務局、お答えいただけますか。
○保険局医療介護連携政策課長 特にこの軽症、中等症について、今、消防庁の定義をお引きになられたかと思いますけれども、一般的に軽症、中等症ということで、あまり厳密な意味で記載をしているというものではございません。
○加納委員 御存じかと思うのですけれども、消防庁の報告書で区分する軽症、中等症ですが、軽症は外来診療で帰した患者さんです。前も申しましたように、喘息発作で重積発作があって死にかけている状況でも、助ければ帰っていただく。そういう方たちも軽症になってしまうわけです。
 消防庁が使う中等症ですが、消防庁が使う重症というものがそもそも3週間以上の長期入院を指しているので、中等症の中にはいわゆる高齢者の重症患者、実質的な重症患者が入っているわけなのです。
 これを区別なしで書かれてしまいますと、軽症、中等症ばかりで、高齢者の救急が軽い人ばかり診るのかという表現になっているかと思います。これは非常に間違った誤解を与えますので、本来の高齢者の大事な救急医療をしっかりと、適切な搬送を行うとか、そういった表現の文に変えていただく必要があるのではないかと思いますが、どうでしょうか。
○保険局医療介護連携政策課長 今の御指摘を踏まえまして、表現ぶりについては検討させていただきたいと思います。
○遠藤部会長 よろしいですか。
○加納委員 大事なことだと思っておりますので、よろしくお願いします。
○遠藤部会長 ほかに。
 河本委員、どうぞ。
○河本委員 ありがとうございます。
 今回、骨子案の基本認識ですとか、あるいは基本的な視点に記載されております個々の課題につきましては、これまでの議論が過不足なく整理されていると考えております。その意味で、おおむね異論はございません。
 3ページから始まる基本的視点と具体的な方向性の冒頭部分において、様々な要素を総合的に捉えて、効果的・効率的で質の高い医療サービスの実現を目指すといった考え方が示されているということも適切な整理だと受け止めております。
 また、医療保険制度の安定性・持続性の向上に関する基本的視点として、団塊の世代が全て75歳以上になる2025年をまたぐ今回の改定において、効率化や適正化につながる施策を着実に進めるということが必要不可欠といった私どもの意見を反映していただいて、この点については感謝しております。
 一方で、4つある基本的な視点のうち、人材確保・働き方改革の推進のみを重点課題とするということにつきましては、前回申し上げましたけれども、違和感があるというのは変わっておりません。
 4ページに書かれております看護補助者をはじめとした処遇改善ですとか、あるいは勤務医の労働時間の短縮が今回の重要な課題であるということは理解しておりますけれども、人材確保ですとかあるいは働き方改革は医療機関のマネジメントで対応すべき要素が大きいと考えております。
 先日の中医協で発表されました医療経済実態調査の結果を拝見しますと、医療機関全体で資本が増加しております。また、病院と診療所で経営状況に格差がございます。さらに、これまで本体のプラス改定が続いて、保険財政も国民負担も大変に厳しい状況にあるということを踏まえますと、従来にない大胆な配分の見直しなど、真に有効でめり張りの利いた診療報酬改定が不可欠であると考えております。
 繰り返しになりますが、効率化・適正化の視点で、医療保険制度の安定性・持続性についても重点課題と位置づけるということを改めて主張させていただきたいと思います。
 私からは以上でございます。
○遠藤部会長 御意見として承りました。ありがとうございました。
 それでは、泉委員、どうぞ。
○泉委員 ありがとうございます。
 今回まとめていただいた2-1の改定に当たっての4つの基本指針は、まさによくまとめていただいたなと思っております。
 2-1の(1)の現下の雇用情勢を踏まえた人材確保・働き方改革のところで、一つもうちょっと大きくクローズアップしていただきたいのは、やはり医師の働き方改革です。2024年の4月からマストということになりますので、特に救急車をたくさん応需している病院では宿日直許可が取れないわけですので、全部勤務になるということでございます。したがいまして、今、御指摘があったのですけれども、病院の中でマネジメントしろというのはとても物理的に無理なわけで、医師の数を増やさないと対応できないということになりますので、勤務でシフトにして医師を増やして対応しているということをきちんと診療報酬で対応していただかないと、とても医師が疲弊してしまうということですので、ここはもう少し追加で医師の働き方改革に対することを記載していただきたいと思っております。
 それから、やはり医療従事者の人材確保のための賃上げがぜひ必要だということで、特に今、看護士の確保が非常に困難になってきているということでございます。したがいまして、医療従事者がきちんと病院で働くための賃上げをしていかないと、なかなか病院の機能を維持することは非常に難しいということになろうかと思います。
 同様に、病院薬剤師とか看護補助者など、非常に確保が困難になってきているということで、給料が他職種より安いということになると確保が困難だということで、2-2の6ページになるかと思いますが、ここもぜひ記載しておいていただきたいと思っています。
 次に、2-1の(3)安心・安全で質の高い医療の推進、2-2の8ページになると思うのですけれども、救急のことは書いていただいたのですが、特に重点的な対応が求められる分野として周産期医療ということを挙げていただいております。特に最近、周産期は分娩年齢が少し上がってきたので、ハイリスク分娩が多くなっているということで、近隣で大出血が起きたので、緊急で搬送されて、帝王切開で20分で赤ちゃんを出さなくてはいけないというような例が結構増えているということです。ですから、こういう緊急事態に十分対応できる対策を取るということも必要ですので、集約化ということも必要ですし、地域の基幹になるような病院に対して診療報酬できちんと対策を考えていただきたいと思っています。これは少子化対策ということで、非常に重要な課題ではないかと思っています。
 それから、小児のことについても、コロナ以降いろいろな感染症が増えておりますので、地域の安全を守るための最後の砦ということに病院はなるかと思いますので、ここもぜひ評価をお願いしたいということでございます。
 それから、8ページに病院薬剤師のことが記載されていますが、これは喫緊の課題でございまして、病院の薬剤師が足りないということは非常に医療安全上懸念があるということで、特に救急と手術前後のところの薬剤師さんの役割は非常に大きいと思っておりますので、ここを診療報酬で対応していただきたいと考えております。
 次に、2-1の(4)で、2-2になると9ページになると思いますが、効率化・適正化を通じた社会医療保険制度の安定性・持続可能性のところで、各医療機関がどういう役割をやるのかということを地域医療調整会議ごとで各地域で決めていただいていると思います。これはやはりきちんと地域で整合性を持って役割分担をしていくということが話合いで重要ですし、これと医師の働き方改革が極めて密接にリンクしておりまして、宿日直許可がある病院と、なくて救急を一生懸命取っている病院とではかなり違う役割をやっておるということですので、ここもやはりめり張りのある評価をすることが必要ではないかと考えております。
 あとは、DXのことについては、加納委員がおっしゃったとおり、やはりコストが非常にかかるということでございます。
 それから、外来の化学療法、抗がん剤について記載されているところがございまして、6ページになると思いますが、腫瘍化学療法ですけれども、これは非常に専門化し、高度になってきている。高額な薬剤を扱うのですが、副作用も非常にいろいろ多岐にわたるということで、マネジメントが大変になってきているということですが、薬剤の値段は非常に高いのですけれども、これを治療する病院のほうでは、病院に残るものがほとんどないということで、ここはもう少し評価をきちんと上げていただけないかということで、ますます複雑になる、専門的になる外来化学療法についての評価をきちんとお願いしたいということです。
 以上です。
○遠藤部会長 御意見として承りました。
 それでは、オンラインに少し移りたいと思います。
 藤田委員、お待たせいたしました。よろしくお願いします。
○藤田委員 ありがとうございます。
 今まで日本歯科医師会として発言をしていたことも含めまして、おおむね網羅していただいておりますことをまず厚労省関係各位に感謝いたしたいと思います。
 (1)の重点課題、現下の雇用情勢も踏まえた人材確保・働き方改革等の推進でございますけれども、11月24日に公表された医療経済実態調査に対する見解は、12月1日の中医協に提出いたしますが、小規模な個人歯科診療所の多い歯科診療所経営は、損益差額率がこれまで以上に低下しており、従事者への給与や物価高騰への対応はこれまで以上にぎりぎりの状態であることも明らかになりました。
 歯科におきましては、新型コロナウイルス感染症補助金も令和3年、4年はほとんどありませんでした。また、個人立の歯科診療所に勤める歯科衛生士の給与水準は、他専門職と比較しても低い種水準であると言わざるを得ません。安心・安全な地域歯科医療の提供を継続していくために、人材確保の観点から経営基盤の評価が必要と考えております。今回改定の重点課題とされております人材確保につきましても、必要な支援をお願いいたします。
 (2)のポスト2025を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進や医療DXを含めた医療機能の分化・強化、連携の推進でございますけれども、今回の改定は医療、介護、福祉サービスの同時改定であり、リハ、栄養、口腔の一体的推進には非常に期待をしております。ADLの低下の防止等を効果的に行うため、早期からの取組の評価や切れ目のない多職種による取組を推進と記載をされておりますが、口腔の問題はかなり進行してから困った時点で連絡を受けることが多く、歯科職種が少ない回復期病棟や療養病棟へ移行する場合など、できるだけ早い段階で歯科とつないでいただく仕組みの構築を期待しております。
 医療、介護とも情報連携が密になることにより、誤嚥性肺炎や低栄養等への重症化予防に貢献できるのではないかと考えております。医療においても、介護においても、切れ目なく情報と医療提供の機会がスムーズにできるように要望いたします。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、小熊委員、お願いいたします。
○小熊委員 ありがとうございます。
 簡潔に申し上げますと、基本的認識として具体的な方向性にいろいろなことを盛り込んでいただいて、これで大きな異論はございません。
 ただ、問題は、事務局の方もお話しになられたように、大事なことをどうやって肉づけして、どうやって落とし込んで診療報酬につなげるかということだと。私はその一点だと思います。まだ国のほうから改定率も出ていませんが、財務省のこの間の報告でもめちゃくちゃなことを言ってきて、診療報酬を抑えて診療所どうこうというようなむちゃくちゃなことを考えていますので、私としては、厚労省はぜひ財務省と戦って、予算を獲得して、ここに書いてあることを少しでも実行するようにしていただきたいというのが第1点です。
 第2点は、今、中医協で熱心に活発にいろいろなことをお話しされていますけれども、ここに書いてあるような最も大事なことはまだ中医協の話題に上っていないと私は感じております。ですから、先ほど申しましたように、あと数か月の間にどういうふうに落とし込んでいくのかということをぜひ頑張っていただきたい。これは応援でございます。
 以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
 では、木戸委員、お願いいたします。
○木戸委員 ありがとうございます。
 働き方改革に関して少しコメントさせていただきます。
 課題1の具体的方向性の例の5項目めに、今回、多様な働き方を踏まえた評価の拡充という項目を追加していただいたことは、働き方改革の趣旨に沿った適切な御対応と思います。
 働き方改革におきましては、時間外労働の上限規制にばかり目が行きがちですけれども、平成29年に出された働き方改革実行計画につきましては、柔軟な働き方がしやすい環境整備とか子育てや介護等と仕事の両立、障害者の方の就労など、様々な立場の方がその能力を生かした就労支援によって活躍を目指すということが挙げられています。医療の世界は女性の割合が特に高く、育児や介護などライフイベントで離職、転職するケースも少なからずあり、これが人材不足の大きな原因ともなっています。この多様な働き方を踏まえた評価の拡充によって、時間に制約のある方が能力を生かして働いていただくような具体的な取組が今後進むことを期待したいと思います。
 ただ、その際には、働くのが難しい方への就労支援のみならず、当直とか夜勤など比較的負担の大きい業務を引き受ける側の負担が増え過ぎないよう、サポートする側にもきちんと配慮した取組を評価することも含めた御検討を進めていただきたいと思います。
 また、先ほどお話もありました小児と周産期医療のことですけれども、少子化がかなり急速に進んでいます。先月は出生数が前年比でマイナス11%ということで速報値が出ていましたけれども、対象人口が急速に減ってきており、経営面では大変厳しいところに追い込まれています。施設や診療科の存在自体が危うくなって、閉鎖に追い込まれているところも出つつあります。少子化対策に逆行しますので、きちんと地域の状況をモニタリングしつつ、報酬におきましても適切に配慮していただきたいと思います。
 私からは以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、井上委員、よろしくお願いいたします。
○井上委員 ありがとうございます。
 今回の案ではこれまでの意見がおおむね反映されておりますので、特に異論はございませんけれども、今後の議論につきまして3点申し上げたいと思います。
 まず、賃金・物価対応は非常に重要な課題ではございますけれども、今回の案の基本認識に「政府の総合経済対策を踏まえつつ」とありますが、診療報酬のみならず、政府全体で取り組んでおりますので、ぜひバランスを取りながら進めていただきたいと思います。
 また、医療従事者の処遇改善も非常に重要な課題でございますけれども、特に診療所における配分の問題というような指摘もございました。診療報酬に基づく医療保険制度においては、ぜひデータに基づいて透明な議論、経営状況の見える化等を進めていただきたい。そういう中で検討していただきたいと思います。
 次に、DXによる連携強化ということがかなり盛り込まれておりますけれども、連携強化についてはこれまでの報酬改定でも非常に多くの項目で加算等がなされておりますけれども、実態としてなかなか進んでいないという感触を持っておりますので、ぜひ今回の報酬改定において、DXによる連携強化を大きく前に進めていただきたいと思います。
 最後に、効率化・適正化につきましては、いろいろ書き込んでいただきましてありがとうございます。今後、人口減少、現役世代の減少は担い手不足ということにも直結しますので、サービスの提供体制に大きな影響を与えると思います。ぜひ各分野での業務の効率化・適正化を一層進めていただきたいと思います。
 以上でございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、今度は会場に戻りたいと思いますが、会場で何か御意見は。
 では、佐保委員、どうぞ。
○佐保委員 ありがとうございます。
 基本方針の骨子案についてはおおむね異論はありません。その上で、前回の繰り返しにもなる部分がありますが、改定の基本的視点と具体的方向性について3点ほど意見を述べさせていただきます。
 まず(1)人材確保・働き方改革等の推進については、まさしく重点課題であり、今回の改定で着実な前進を図るべきと考えます。持続可能な医療提供体制の構築に向けて、看護職員をはじめ、医療従事者全体の賃金労働条件の改善が必要です。労働環境の改善に向けては、業務負担の軽減と効率化に資するICTなど、医療DXの活用促進も重要と考えます。
 次に(2)医療機能の分化・強化に関して、医療機能や患者の状態像に応じた評価による機能分化のさらなる推進が必要です。外来医療についても機能分化と連携強化が重要であり、そのために、具体的方向性の例の7つ目の○にあるかかりつけ医の機能は、なるべく実績を見ていく方向に転換を進める必要があると考えます。
 最後に(3)安心・安全で質の高い医療の推進の具体的方向性の例の4つ目の○にある重点的な対応が求められる分野への適切な評価ですが、周産期医療については、安心・安全の確保に向けて医療機関の連携強化、ハイリスクの周産期医療を担う医療機関の集約化・重点化を図ることが重要です。また、メンタルヘルスの不調など、複合的な課題を抱える妊産婦への支援の充実を図ることも必要と考えます。
 私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 荻野委員、どうぞ。
○荻野委員 ありがとうございます。
 基本方針(骨子案)の作成に当たり、事務局におかれましては、これまでの意見をお酌み取りいただきましたこと、感謝申し上げます。
 内容につきましてはおおむね異論はございません。
 その上で1点だけ、これまでも発言させていただいたところですけれども、9ページの(4)効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上において、具体的方向性の例として、安定供給の確保の状況を踏まえつつ、使用促進の取組を推進とされております。現下の極めて厳しい供給状況に鑑みますと、後発品にせよ、バイオ後続品にせよ、安定供給確保は使用促進の取組推進に当たっての大前提となりますので、この部分が決しておざなりにならないよう、再度強く申し述べさせていただきます。
 ありがとうございました。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、オンラインに戻らせしていただきます。
 野村委員、お待たせいたしました。どうぞ。
○野村委員 よろしくお願いします。
 資料2-1の基本的視点と具体的方向性の中で1点です。
 (3)の安心・安全で質の高い医療の推進ということで、物価高騰を踏まえた対応など、様々なものが含まれております。私たち国民が引き続き安全な医療を受ける上でも重要なものだと認識しております。ただ、私たち国民の生活も、またこの物価高騰によって多くの負担があるかと思います。生活の中で工夫したり、削減できるものであればよいのですが、医療は命に関わる部分であり、削ることができない部分でもあるかと思います。今後、どのようにこの診療報酬のものが具体的に反映されていくか分かりませんが、診療報酬が上がることで医療費が上がり、そして、自己負担額が上がる。そのことが今後受診控えや抑制になり、継続して医療を受けることができないような状況にならないよう、基本認識の中にもしっかり明記されておりますが、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
 では、神野委員、よろしくお願いします。
○神野委員 2点お話しいたします。
 まず1点目ですけれども、まさに先ほどもいろいろお話がありましたけれども、11月20日、財務省の財政制度分科会の予算に対する建議を一応拝見いたしました。5000億なにがしの自然増があるから診療報酬は上げなくていいというようなことが書いてあったわけでありますけれども、ただ、この自然増というのは、何も高齢者がいっぱい受診するという時代ではなくなって、どちらかというと高額医薬品がどんどん出ている。それから、今、円安もありまして、輸入する材料価格がどんどん上がっている等の処置、あるいは原材料価格が上がっているといったところで、医療費の押し上げ効果があるということではないのかなと思います。診療報酬ではぜひヒトあるいはコト、人件費とか技術料といったところを見ていただくような立てつけといったものを求めたいなと思います。
 それから、2点目でありますけれども、これは先ほど加納委員のおっしゃったことにつながるわけですが、まさに8ページの上から2つ目の○の下でありますけれども、軽症、中等症の高齢者の救急医療ということが書いてございます。そもそも救急医療というのは、例えば突然発症するとか、予期せぬ病気とかけがと「予期せぬ」であります。あるいは命の危機に至っているといったことでありまして、この軽症、中等症というのは、そんなの分かるわけないじゃないですかということがやはり原則ではないのかなと思います。
 それにつきましては、これまでもお話ししてまいりましたけれども、100歩譲って例えば施設と病院の間を行ったり来たりする高齢者といった方に関しては、ある程度予測はつくでしょう。しかし、それ以外の本当に予期せぬ病気、突然発症した方に関しては、そもそも軽症か中等か重症かというのは、分かるのは神様だけだと思います。それよりも大事なのは、私は入り口ではなくて出口戦略ということで、救急医療をやった後でいかに確定診断をして、その上でどういったところへペイシェントフローマネジメントを回していくのかといったことが重要であるということを強調すべきかなと思うところでございます。
 私から以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、井伊委員、お待たせいたしました。どうぞ。
○井伊委員 ありがとうございます。
 私からは2点意見を申し上げます。
 まず、資料2-2の4ページ、これは皆様おっしゃっておられましたけれども、医療従事者の賃上げに向けた取組の推進は非常に重要です。他の産業では政府の方針に沿って賃金の引上げが進んでいる中、全ての医療関係職種の賃金引上げが必要です。
 看護職については、令和4年度診療報酬改定において看護職員処遇改善評価料を新設いただきました。しかしながら、これは一部の医療機関に勤務する看護職員のみを対象としているため、看護職の3分の2に当たる約100万人が対象になっておりません。日本看護協会が毎年把握している病院看護職員の離職率を見ましても、新型コロナウイルス感染症対応などの影響により、ここ数年、離職率は上昇傾向に転じています。最新のデータであります2022年度の離職率は11.8%です。また、20代、30代を中心に他の産業への転職を希望するという声もあり、人材流出が懸念されているところです。全ての医療関係職種の賃金引上げにつながるよう、必要な措置を講じていただきたいと思います。
 2つ目です。外来医療についてですが、その機能強化については資料2-2の6ページに記載されており、これも大変重要だと思います。私どもでこれまで発言をしてまいりましたが、外来における療養指導等によって重症化を予防することが外来機能強化という意味合いでも重要です。外来における療養指導の強化が必要なことを改めて強く申し上げたいと思います。
 私からは以上です。ありがとうございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、城守委員、よろしくお願いします。
○城守委員 ありがとうございます。
 まず、今回まとめていただきました骨子案ですが、これまでの意見等を踏まえて、かなりすっきりとまとめていただいたなということで感謝したいと思います。特に7ページに光熱費の文言を入れていただいたということも感謝したいと思います。
 その上で、少し要望も述べさせていただきたいと思いますが、3ページの改定の基本的視点のうちの(1)です。先ほど重点課題がどうなのかというお話がございましたが、そういう御意見もありましたが、中医協でも先ほど出ておりました実調で病院のほうはかなり経営状況も厳しいという結果が出ております。診療所のほうは一定経営状況が悪くないという結果が出ておりますが、これは基本的にはコロナ対応を各医療機関がしっかり対応していただいて、その結果として出てきたものということです。次年度、4月以降はこのコロナ特例等もなくなるという見通しもあるわけでございますので、そうしますと、その部分がないと仮定いたしますと、決して状況はそれほどいいという形にはなってございません。そういうことを考えましても、要するに他の職種、他の企業等のように賃上げをするために、価格に転嫁できるということが医療の場合は公定価格でできないわけですから、そういう意味においては、1番目の改革の視点の現下の雇用情勢も踏まえた人材の確保は極めて重要な課題になろうと思っております。実際に医療現場においては、人を募集しても、特にメディカルスタッフの方々の募集がままならないという状況もよく見聞きしておりますので、人がいなくなると医療機関としては機能しない、存続できないということになりますので、そういう意味においては、重点課題にしていただいたということは非常に適切かなと思っております。
 その上で、4ページにあります具体的な方向性の最初の○の医療従事者の人材確保や賃上げに向けた取組のところの1つ目の黒ポツですけれども、ここはもう少し強めの記載をしていただければ、さらにありがたいかなと思います。
 もう一点、この同じ重点課題の中の働き方改革でございますが、先ほど泉委員もおっしゃったように、来年の4月から働き方改革が始まるという中において、何も医師が急激に増えたわけでもないし、でも、仕事量は変わっていない。タスク・シフト/シェアをするにしても、それほど医療の現場においては効率化を見込むということは特に難しいというのは、日本医師会は特に評価センターというものの指定を受けて、現在、各医療機関の時短計画の取組を評価させていただいておりますけれども、やはりこのタスク・シフト/シェアだけでは非常に難しいということも見えてきてございます。
 ですので、4ページの下から2つ目の○にあるような現在の地域医療体制確保加算を含めた救急体制の確保を瓦解させないという意味においても、ここはしっかりとした手当を継続していただきたいということを要望したいとともに、一番最後の○にありますように、多様な働き方を踏まえた評価の拡充もしっかりと今後期待したいと思います。
 これは要望になるわけでございますが、以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、山崎學委員、お願いいたします。
○山崎學委員 今回の骨子案をきちんとまとめていただけたということについて、感謝を申し上げたいと思います。
 私、ずっと診療報酬を30年近く担当していますが、問題なのは、財務省が診療報酬を財政中立でやるということを基本にしていることだと思います。したがって、どこかを削ってどこかでくっつけるということをずっと30年も40年もしているわけですが、今回も病院が赤字になったのだから、その分を診療所から削ればいいということで、5.5%削るみたいなプレゼンをやっています。けれども、それはすごくおかしいというのは、財政中立でやっていったら原資というのは全然増えないわけですよね。しかも、少子高齢化で社会福祉の財源というのはどんどん膨張していくわけですから、当然新しい財源というのをつけていかなければいけないわけで、これは前回もお話ししたように、消費税であれだけ財源が入っていて、法人税も入っているし、所得税も増えている。財源が幾らでもあるのにそのまま財政中立で診療報酬改定をしようとしている基本方針自体に問題があると思っています。
 それと、もう一つ大きな問題点というのは、前は中医協で診療報酬改定財源は大体これぐらい必要だという議論をしておったわけですけれども、ある時点から官邸で改定率を決めるようにしてしまったわけですよね。本来は中医協での議論に基づいて改定率を決めるという昔の形に戻さなければおかしいと思っています。
 あともう一つは、来年から働き方改革が始まるわけですけれども、これも前回私が発言したのですが、大学病院の勤務医師というのは物すごく給料が安いのです。下手をすると看護師さんよりも給料が安いのです。そういうふうな現場で、今度は働き方改革で勤務時間を制限したら、もっと収入は減ってしまうのですよ。そうしたら、大学病院からどんどん人が離れていったときに、大学が教育も研究も治療もやるなんていう大学病院の本来あるべき姿というのができなくなってしまうと、医療全体が崩壊してしまうと思っています。したがって、大学病院の勤務医師にきちんとした給料が払えるような診療報酬改定をしてほしいなとは思っています。
 あと、介護士が少なくなったから介護士の給料で給与改善をやるとか、そういうふうに職種別にやるのは非常に困るのですよね。というのが、事務職員にしてもそうですし、それから、栄養士もそうですし、給食の担当の人たちも物すごく給料が低いのです。そうすると、病院で働いていた人がほかのホテルとかインバウンドで景気がよくなった職場にどんどん引き抜かれて、今、給食婦にしても、栄養士にしても、40~50万の給料でそういうインバウンドに引き抜かれていってしまっているわけです。したがって、そういう職種別につけるのではなくて、全体的にきちんとボトムアップをするような診療報酬改定をしていかなければいけないと考えています。
 以上です。○遠藤部会長 ありがとうございました。
 では、お待たせしました。角田委員、どうぞ。
○角田委員 遠藤部会長、ありがとうございます。
 私からは短く2点お話ししたいと思います。
 各委員が御指摘のように、現在、この診療報酬の全体のパイを変えずに、中の配分の見直しとか効率化ということでは全く立ちいかなっていると思います。井伊委員、泉委員、城守委員も御指摘のように、既に人材の流出が医療界、介護界は始まっております。それは大きな病院だけではなくて、本当に小さな診療所でも実は人材流出が始まっておりまして、募集しても全く応募がない。それのために診療を制限せざるを得ないという実態が実は既に起きております。ですから、今回しっかりとした全体のパイの拡張は必須だと思っております。
 もう一点は、11ページに将来を見据えた課題ということで幾つも挙げていただいておりますが、そのうちの2つ目の○で、最後のほうに国民に対して医療制度に対する丁寧な説明を行っていくと書いてありますが、ぜひこれは説明だけではなくて、理解を得る努力をしていただきたいと思います。医療というのは提供者側だけではなくて、医療を受ける側も一緒になってしっかりと守って発展させることが必要でございますから、そこを将来的にしっかりとやっていただきたいと思います。
 私からは以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 松原委員、お待たせしました。どうぞ。
○松原委員 まず、骨子案について異論はございません。
 骨子案の中で国民への丁寧な説明が必要とありまして、まさにそのとおりだと思っております。その説明の際には情報開示が必要なわけですけれども、情報開示のほかにそのデータの見方もセットで行われる必要があると思います。
 例えば、今出ているデータを用いて誤った解釈が流布されているケースがあります。具体的には、医師が内部留保を給与の形で取り崩しているから経常利益率が低いのだという指摘があります。さらに、長年診療報酬改定の根拠とされてきた医療経済実態調査では、この内部留保取り崩しによる経常利益率低下を看過して診療報酬引上げをしてきたことになるという指摘が行われております。そもそも内部留保取り崩しは資金繰りの話であって、経常利益率には全く影響しません。内部留保を取り崩したから経常利益率が低くなるという因果関係は全くないです。また、赤字だから内部留保を取り崩すのであって、内部留保を取り崩すから経常利益率が低下するなんて関係にはありません。当然、経常利益率を低く見せるために内部留保を取り崩すわけでもありません。
 このような間違った指摘があるのも、やはり見方をセットで出さないと、誤解されたままになってしまうのだなと思うのです。内部留保というのは資金の裏づけがないので、そのようなあるかないか分からないものを対象に課題だとか活用するという議論は意味がありません。また、借金を返済していれば、それは普通は利益で返済していくので、内部留保は積み上がっていくのです。内部留保が積み上がっていっても、手元にあるかどうかは別なので、先ほど言いましたように、普通は借金返済とかに使っていますので、こうしたものを対象に課題、活用論というのは意味がないということです。
 また、仮に本当にそこにお金があったとしても、非営利組織が自己資本を充実させましても、それは医療の充実とか、地域包括ケアとか、地域共生社会構築とかに活用されるのであって、配当されるわけではありません。
 この間違った見方は、フロントラインに立つ医療従事者の士気を低下させて、社会の分断をあおる可能性があると危惧しています。情報は正しい見方とセットで提供する必要があるということを指摘させていただきます。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 ほかに御意見はございますか。よろしゅうございますか。
 ありがとうございました。大体一通り御意見は承ったと思います。
 それでは、本件につきましては以上にさせていただきます。
 本日もいろいろな御意見が出ましたので、それらを踏まえまして、議論をさらに深めていければと思いますので、事務局としては準備をお願いいたしたいと思います。
 それでは、次に令和5年度補正予算案について、これは報告事項でございますけれども、これにつきまして事務局から説明をいただきたいと思います。
○総務課長 ありがとうございます。医政局総務課長でございます。
 時間もありませんので、資料3の2ページ、概要の資料を用いまして、簡潔に御説明したいと思います。
 令和5年度の厚生労働省補正予算案のポイントというものがこの2ページにありますが、この中で黄色くハイライトしたものが医政局関係の予算案でございます。
 1つ目のⅠ.医療・介護・障害福祉分野等における物価高騰等への対応の中でございますけれども、まず、職員に対する処遇改善に向けた支援ということで539億円を計上しております。
 このうち、医療関係で言いますと49億円で、病院、有床診における看護補助者のお一人当たり月額6,000円相当の賃上げを支援するための予算を計上しているところでございます。
 その2つ下ですが、人材の養成・確保、定着を図る取組支援ということで、これは介護なども含めまして67億円でございますが、このうち、医療の関係で言いますと、例えば看護DXなどの取組の支援ということで1億4000万円などを計上しているところでございます。
 また、右側にございますが、食材料費・光熱費高騰への支援ということで、これは内閣府に計上しているものでございますが、重点支援地方交付金というものを昨年度から継続的に実施してございますが、この内数ということで医療機関などに対する食材料費・光熱費高騰への支援を各都道府県から行っていただくための費用を計上しているところでございます。こちらは都道府県の裁量のある交付金でございますけれども、そういったところも踏まえつつ、各医療機関に確実に支援が行きわたるように、国としても参考指標などを地方自治体にもお示ししながら進めていきたいと思っているところでございます。
 また、これに関連いたしまして一番下、欄外になりますけれども、入院時の食費についてということで、23年度はこの交付金で対応いたしますけれども、24年度については、地域医療介護総合確保基金による対応を念頭に、診療報酬の見直しと併せ、予算編成過程において検討するとされてございます。
 先ほど内堀委員からも、地方負担が生じるということもあり、配慮ということで御要望をいただいておりますけれども、地方負担はどのような対応ができるのかということも含めまして、予算編成過程において検討してまいりたいと考えております。
 それから、戻りましてⅢ、左下の部分になりますけれども、次なる感染症に備えた対策ということで、まずは現下の新型コロナウイルスに対する対応としまして包括支援交付金6143億円を計上してございます。病床確保料ですとか入院医療費用、治療薬の支援ということで確保してございます。
 また、その次については、新たな新興感染症に備えた対応ということで、国による個人防護服の備蓄として158億円、それから、来年度4月から施行されます改正感染症法の対応としまして、協定締結医療機関に対する支援ということで148億円、合計307億円を計上してございます。
 その下、感染症危機対応医薬品等の開発に向けた支援ということで、開発支援のための4.8億円なども含めまして、合計5.2億円を計上してございます。
 右側、DX・イノベーションの関係になりますが、3つ目の○になります。カルテ等の共有、交換をするための基盤として、全国医療情報プラットフォームの開発を進めていくための費用としまして69億円なども含めまして、合計91億円を計上してございます。
 また、医療機関におけるサイバーセキュリティー対策の強化としまして36億円。
 それから、医薬品・医療機器の安定供給に向けた支援ということで合計21億円。
 また、ドラッグラグ・ドラッグロスの解消を含めた創薬力の強化として合計2.4億円。
 また、医療機器についても、人材育成、伴走支援などのために7.1億円を計上しておりますし、がん・難病の全ゲノム解析等の推進ということで95億円を計上してございます。
 最後、Ⅴの一番下の部分ですけれども、医療施設などの災害対策の費用といたしまして、耐震整備などの費用として34億円。それから、今年度生じました様々な災害に対する復旧費用として23億円。こういったものも含めまして、社会福祉施設なども含めまして、646億円の予算を計上しているところでございます。
 私からの説明は以上となります。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 報告事項ではございますけれども、何か御意見、御質問等があれば承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
 島崎委員、どうぞ。
○島崎委員 看護補助者の処遇改善は必要だと思うのですが、一方で、有料職業紹介事業者から足元を見られるのです。例えば前回の診療報酬改定で看護補助体制充実加算を設けましたが、そうすると、紹介業者から、その分紹介手数料を上げても大丈夫でしょうと言われる例があるのです。有料職業紹介事業をめぐっては、就職お祝い金の名目で求職者に金銭を渡し転職を促し手数料を稼ぐといったことは禁止されましたが、まだほかにも問題があり、今年の「骨太の方針」の中でも、有料職業紹介事業の適正化に向けた指導監督や事例の周知を行うこととされています。これは多分旧労働部局とも関係すると思うので、今日ではなくて結構ですけれども、どのような対応状況になっているのか、一度ぜひ御紹介いただきたいと思います。
 私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、都竹委員が先に手を挙げておられましたので、都竹委員、お願いいたします。その次に佐保委員でお願いします。
 都竹委員、どうぞ。
○都竹委員 ありがとうございます。
 一番上のⅠの枠の中に医療・介護・障害福祉等分野における食材料費・光熱費高騰への支援ということで、重点支援地方交付金の内数ということで記載がございます。実際に光熱費の高騰等で医療機関に非常に苦しい部分が出ている中で、都道府県に重点支援地方交付金が配分されているわけですが、実際に市内の状況あるいは自治体ごとの状況を見ておりますと不足しておりまして、岐阜県でも21市あるのですが、当市を含めて9市が独自に支援をしています。つまり、金額として足らないということなのです。今、こうした形で対応しているわけですけれども、先ほどの基本方針の中にも光熱費という言葉をしっかり入れていただいたのですが、やはりしっかりと現在の光熱費の水準に対応できる診療報酬の幅を取っていただく必要があると思いますので、ここについてはそうした実態があるということをよく御認識いただきたいと思います。その上で、もし今後も不足分について地方で重点支援地方交付金で措置するというようなことがあれば、そうした予算措置をしっかりと国において責任を持ってしていただきたいと思います。これが1点目です。
 もう一点、今の資料の一番下に、先ほど内堀委員もおっしゃったのですが、入院時の食費について地域医療介護総合確保基金と組み合わせて対応すると書いてあります。恐らく6月までのつなぎを意識してということだと思いますけれども、元来、地域医療介護総合確保基金というのは趣旨が全く違う基金でありまして、それを短期間の対応とはいえ、異なる趣旨の基金を活用するというのはいかがなものかと思っております。やはり必要な財源はしっかり国で措置をするというのが基本だと思いますので、こうしたのが突破口になって、ずるずると同じように使い勝手のいいところからお金を引っ張ってくるということがなされていく傾向があるので、こうしたところについてはしっかりと国において予算措置をするということで対応いただきたいと思います。
 以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、佐保委員、お待たせしました。
○佐保委員 ありがとうございます。
 ⅣのDX・イノベーションの推進の5つ目、6つ目の○ですが、後発医薬品の問題がまだ解消されていない状況です。現下の状況改善だけでなく、長期的な視野に立ち、安定供給やドラッグラグ・ドラッグロスの縮小に向けた施策が必要と考えます。とりわけ小児用医薬品においては、開発促進の必要性も踏まえ、薬価だけでなく政府からの開発支援も必要と考えますので、支援事業が有効に活用されることを期待いたします。
 私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 ほかに御意見等はございますか。よろしゅうございますか。
 ありがとうございます。
 それでは、本日の議題は以上でございますので、これまでにさせていただきたいと思います。
 事務局から何かございますか。
○医療政策企画官 ありがとうございます。
 次回の医療部会につきましては、また改めて御連絡させていただきます。
○遠藤部会長 それでは、本日の会議はこれまでとさせていただきたいと思います。
 本日は長時間にわたって活発な御議論いただきまして、本当にありがとうございました。

(了)

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