ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 臨床開発環境整備推進会議> 第7回 臨床開発環境整備推進会議 議事録(2021年3月8日)

 
 

2021年3月8日 第7回 臨床開発環境整備推進会議 議事録

○日時

令和3年3月8日(月)14:00~16:00

○場所

オンライン開催
(事務局:厚生労働省医政局局議室)

○議題

(1) AMED研究の概要報告 
(2) CIN中央支援事業の取り組み状況報告
(3) NC・PMDAの取組状況報告
(4) 業界からCINへの期待
(5) これまでのCIN構想の取り組みと今後の進め方

○議事

〇山本臨床研究推進指導官 それでは定刻となりましたので、ただいまから、第7回臨床開発環境整備推進会議を始めさせていただきます。本日は年度末の大変お忙しい中、本会議に御参加いただきまして誠にありがとうございます。事務局を務めます厚生労働省医政局研究開発振興課の山本です。本日の議事進行を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本会議は、関係機関が連携して疾患情報の共有や研究開発支援を行うクリニカル・イノベーション・ネットワークの構築を含め、産学官が連携して臨床研究・治験など、研究開発の環境整備の推進を図るために必要な方策の具体的な検討を行う会議であり、平成27年から開催しております。今回は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、オンライン開催となっております。
 本日御参加の構成員については、構成員名簿を御覧ください。なお、東京大学医学部附属病院からは、代理として森豊隆志先生に参加いただいています。また迫井医政局長、鎌田医薬・生活衛生局長、正林健康局長及び間審議官は、公務の都合上、御欠席と承っております。また、本日は構成員のほか、参考人として、国立がん研究センター生物統計部部長の柴田大朗先生、国立国際医療研究センター臨床研究センター長の杉浦亙先生、国立精神・神経医療研究センタートランスレーショナル・メディカルセンター臨床研究支援部部長の中村治雅先生、国立がん研究センター東病院消化管内科長の吉野孝之先生に御参加いただいております。
 続いて、配布資料の確認をさせていただきます。議事次第、出席者名簿、資料1-1~1-3、資料2、資料3-1~3-2、資料4、資料5、参考資料1、2となっております。事前に御案内させていただいておりますが、資料は厚生労働省のホームページに公開しておりますので、そちらをお手元に御準備いただき御覧ください。
 御発言のとき以外は、カメラ及びマイクは常にオフにしていただきますようお願いいたします。また本日の議事録については、後日公開させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 それでは議題1.AMED研究の概要報告から始めます。本日は3名の先生方から、現在実施していただいているAMED研究の概要について御報告いただきます。各研究班それぞれ8分程度で御発表をお願いいたします。まずは、国立がん研究センター東病院の吉野先生から、資料1-1に沿って御説明をお願いいたします。
〇吉野参考人 国立がん研究センター東病院消化管内科の吉野です。私は、AMED臨床研究・治験推進研究事業で、HER2陽性大腸がんに対するトラスツズマブ、ペルツズマブ同時併用療法の多施設共同第Ⅱ相試験をやらせていただいております。
 まず背景ですが、HER2陽性大腸がんに対する抗HER2療法というものの有効性が欧米を中心に示されてきました。これは単独療法では駄目でして、デュラルブロッケードということで左側にあるトラスツズマブとペルツズマブのコンビネーション、右側にあるトラスツズマブとラパチニブのコンビネーションで良好な成績が示されてきたという背景があります。
 実際、HER2陽性大腸がんの頻度はどの程度であるかということを示しています。こちらを見ていただくと分かりますが、非常に低い頻度であることが分かります。中には1.6%、最大5.2%というのがありますが、これはKRASエクソン2に限りますので、この半分程度ということになりますので2.6%ということになります。我が国のデータとしてはSCRUM-Japan、我々のデータで見ると2.9%ということで、恐らく真実は3%ぐらいということで、大腸がんのような罹患率の高いがん種であっても、このような希少サブタイプに分かれてしまうということが分かります。
 このようなHER2陽性大腸がん、3%程度ですが、抗HER2療法が有効であることが示唆され、しかし、頻度の低さのために比較試験は難しいということがあります。このような状況の中で、どうやってこの希少フラクションに対して有効性を示していくかという難題にぶち当たっております。そこで、医師主導治験を行う体制を構築し、さらに、この希少フラクションに対する現在の標準治療を受けた患者さんのヒストリカルデータを前向きに作成するということで、我々はSCRUM-Japanの基盤を活用した医師主導治験の提案をいたしました。
 これがSCRUM-Japanのプロジェクトでして、2015年2月から始まりました。当初は肺がんのグループと消化器がん、GIのグループが一緒になって、産学連携のゲノム事業ということで、全国270の病院と最大17社を超えるファーマシューティカルカンパニーとのコラボレーションでクリア、キャップサーティファイされたラボによる中央検査所において、NGS検査を行ってまいりました。
 この基盤を用いることによって、HER2陽性大腸がんに対する医師主導治験を立ち上げることになりました。
 TRIUMPH試験と言いますが、実際がこのデザインです。患者さんは、先ほど言いましたが、HER2陽性かつRAS野生型の患者さんで、治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がんで抗EGFR抗体を含む標準治療に不応・不耐、サルベージラインの患者さんです。ユニークなところは、組織でHER2陽性でもいわゆるリキットバイオプシー、ctDNA解析でHER2増幅であってもよいというようにいたしました。
 エンロールされた患者さんは、トラスツズマブとペルツズマブのコンビネーションセラピーを受けるということです。予定症例数は、組織でHER2陽性、ctDNAでHER2陽性、それぞれで25例ということで、主要評価項目はそれぞれの検査で入った患者さんにおける客観的奏効割合ということにいたしました。
 HER2のスクリーニング体制です。組織のNGSの体制に関しては、こちらに示すように各施設いろいろとHER2の検査、NGS等ができますが、それを現在の最もバリデーションされたIHC、FISHということでセントラルのHER2スクリーニングを行い、組織学的なHER2陽性をベリフィケーションするということを行いました。ctDNAに関しては、中央検査所1か所において行われますので、既にバリデーションされた検査ということで、このままエンロール可能といたしました。
 実際この中でレジストリも作りました。HER2陽性の患者さんは積極的に治験治療に入っていただきたいということですが、治験参加施設に比べ、スクリーニングする施設は大変多くありました。そのような施設の中で、もちろんTRIUMPH試験に不参加の施設でも、参加施設に患者さんを送っていただければ、TRIUMPHの試験治療に入ることはできるのですが、中には地理的な理由、若しくはTRIUMPH試験が終了してしまって登録不可というような患者さんに関しては、患者さんに前向きのレジストリに入っていただき、前向きに標準治療を受けたときの有効性を確認するということをやってまいりました。
 こちらが実際のSCRUM-Japanのレジストリでして、2017年からある希少なターゲットのある方を前向きに登録するというのをやってきました。実際、前向きに登録して、治療法及び検査間隔等をしっかりとプロトコルに則り行うということをやってまいりました。これによって、ヒストリカルコントロールデータの精度を高めることをやってまいりました。
 実際のSCRUM-Japanのレジストリの特徴を右側に示します。多くの患者さんがSCRUM-JapanのRWDということで入っていますが、レジストリのほうは薬物療法歴、画像評価、QC/QAというところにおいて細かなSOPにのっとった質保証、評価の質向上というのを取ってきました。データやフォーマットに関しては、CDISC標準のSDTM変換を可能とするもの、そして、企業へのデータ提供を個別契約企業、これは承認申請する企業のみにお渡しするという形でのレジストリの構築を行ってきたというものです。
 実際の結果です。これはESMOで発表した中間報告のものです。レスポンス5例以上の奏効でプライマリーエンドポイントはmetですが、TissueベースのものであってもctDNAポジティブのものであっても、両方とも5例以上のORR、奏効を認めましたので、プライマリーエンドポイントがmetしたということになります。
これが登録状況でして、2019年7月に登録が完了して、現在CSRの作成中という段階です。
実際のSCRUM-Japanレジストリ対照群の抽出に関してですが、2020年2月現在で120例のレジストリ登録があり、その中でHER2陽性の大腸がん患者さんが31例、TRIUMPHに準じた適格基準を満たす症例、RAS野生、組織又は血液でHER2陽性、フッカピリミジン、オキサリプラチン、イリノテカン、抗EGFR抗体薬に不応不耐というものになると14例ということでした。この患者さんたちの標準治療の奏効率というのもしっかりと取っています。TRIUMPHのプライマリーエンドポイントである客観的奏効割合を評価するということを行い、現在、承認申請に向けた準備が進んでおります。
 今後の予定ですが、CSRの固定は終了いたしました。論文投稿に関しても、既に投稿済みです。以上です。御静聴ありがとうございました。
〇山本臨床研究推進指導官 吉野先生、御発表いただきありがとうございました。ただいまの御発表について、御意見、御質問等がございましたらお願いいたします。
〇荒井構成員 希少がんということで、RCTは難しいということで理解いたしました。ただ、アウトカムに影響を及ぼす因子として、カヘキシアの存在が非常に大きいと思うのですが、カヘキシアの評価はされましたか。
〇吉野参考人 もちろん、レジストリの症例に関しても臨床試験に準じたPSの方が入っておりますので、PSがもちろん良好で全身の臓器機能が保たれていて、過去の治療歴が同じ人ということで、極端に状態の悪い人は当然除外した上で、完全にTRIUMPH試験の治験治療を受けられるだろうと思った14名が最終的に残ったということです。
〇荒井構成員 耐性現象とか、炎症とかも見ておられるということでしょうか。
〇吉野参考人 はい、しています。
〇荒井構成員 ある程度エバンスのクライテリアを見ていなくても結構ですが、ある程度そういった予後の悪そうな方は除外されているという理解でよろしいでしょうか。
〇吉野参考人 はい。TRIUMPH試験に入った患者さんと同じプロトコルでの評価をしておりますので、それによって残った患者さんということです。
〇荒井構成員 ありがとうございます。
〇山本臨床研究推進指導官 そのほか、いかがでしょうか。そうしましたら、吉野先生、ありがとうございました。
〇吉野参考人 ありがとうございました。
〇山本臨床研究推進指導官 続いて資料1-2「患者レジストリデータを活用した、臨床開発の効率化に係るレギュラトリーサイエンス研究」について、国立がん研究センターの柴田先生より御説明をお願いいたします。
〇柴田参考人 国立がん研究センター生物統計部の柴田大朗と申します。よろしくお願いいたします。AMEDから御支援いただき、こちらのタイトルの研究を6NCで連携しつつ行っております。
 こちらが研究の実施体制図です。6NCに加え、PMDA、製薬企業の方々の御協力を頂きつつ進めております。2つの研究テーマの取りまとめを、左側の所ですが、品質マネジメントシステムに関する話題を国立精神・神経医療研究センターの小居秀紀先生、右側の所、生物統計学的事項に関する話題を国立国際医療研究センターの上村夕香理先生にお願いしております。
 1つ目のQMSについては、こちらに挙げた課題に関して、矢印部分ですが、現時点での留意点の解説文書ドラフト、SOPや規定類などの代替構成案を作成しております。2つ目のSTATに関する話題ですが、考え方を整理した文書のドラフトを作成し、昨年12月にシンポジウムを開催して、外部の方との意見交換を行いました。
 こちらが今年度の活動概要です。対外発表は下のほうに記しております。
 QMSに関する解説文書の構成を御紹介いたします。背景あるいは国内外の動向等を整理して、患者レジストリデータを申請資料等に活用する場合のデータの信頼性担保に資する運営・管理について、PMDAの先だってパブコメの募集がされた文書等の動向も踏まえ、また先行するAMED林班での検討結果を踏まえ、論点を右下の図の(a)から(c)の3つに分けて、現時点での留意点の整理を行っております。オレンジの部分がレジストリ運営側と医療機関側との間で生じる留意事項でして、青の部分が薬事目的利用を検討されている企業とレジストリ保有者の間で生じる留意事項ないしは企業内で生じる留意事項となります。
 1つの実務的な解決策として、右下のオレンジ部分に追記しています。PMDAの通知やパブコメ募集等がなされた文書に掲載されている要検討事項の一覧がありますけれども、それに合わせて逐一手順書やSOPを用意する必要はなく、レジストリ構築が研究の枠組みでなされているケースや、あるいは恒常的な組織内に設置されているようでしたら、その設置規定とか、研究計画書などの既存文書による読み替えの可能性があるのではないかということを検討しており、その読み替え案を提示するとともに、後ほど中村治雅先生からお話があるかもしれませんが、Remudy-DMDの事例を踏まえた代替文書の構成案の例示を試みております。
 こちらはSTATの文書ですが、12月のシンポジウムでの御意見を踏まえて、章構成を一部変更いたしました。主なコンテンツとしては、第4章以降になります。ここで言うHybrid controlというのは、フルスペックのRCTは困難であるものの、小規模なものならば実現可能であるような場合に使われ得る方法論でして、ランダム化は行うけれども対照群への割付け数を減らし、代わりに患者レジストリやRWDで補うというものです。手放しで活用し得るものではありませんが、第5章で取り上げている外部対照を用いることと比べてメリットもありますので、そのような方法論についての検討も行っております。
 薬事目的利用は、単群の治験の対照群を患者レジストリで置き換えるというだけでなく、これまでの薬事承認審査の実務の中でも様々な形でRWDに基づくRWEの活用がなされてきて、申請データパッケージ内の治験をRWD、RWEで補うという視点を持っておくことが必要であるということを第6章の所、補完情報としてのRWDの活用という所で取り上げています。誤解のないように申し上げておくと、これはPMDAが以前、グッドレビュープラクティスというアクティビティがあって、そのサマリーとして2008年に発出した文書、タイトルは「新医薬品承認審査実務に関わる審査員のための留意事項」というものなのですが、そちらに書いてある治験以外のエビデンスの活用可能性の話を現代的な用語、RWDやRWEを用いて再検討しているというものになります。すなわち、言い換えると、過去にそういうデータの薬事目的活用は駄目だと言われていたものを、今般、薬事利用できるように新たに門戸を開くか否かという議論をしているのではなくて、既に実態として受け入れられているもの、審査に関する留意点の中でも取り上げられているようなアプローチについて、今後、受入れ可能とされ得るか否かについての予見可能性を高めるための議論をしているというところがポイントになります。本スライドには入れていませんが、検索サイトでPMDA、審査員、留意事項と入れていただいたらPMDAのこの文書が表示されますので、PMDAスタッフは全員読んでおられると思いますけれども、アカデミアや医療関係者にはなじみの薄い文書だと思いますので、御参考までに御紹介いたします。詳しいことが書いてあるわけではなく、キーワードだけが掲示されている文書ではありますが、参考になるのではないかなと思います。
 こちらが12月のシンポジウムの概要です。465名の方にオンラインで御参加いただきました。
 このスライドと次のスライドは、昨年の本会議資料に含めていたものを少しリバイスしたものです。CIN事業等で、このスライドのやり方は、既にPMDAも公的に認めている方針だと理解しております。先ほどの吉野先生のアプローチもこちらに相当するのかなと考えております。
 こちらのスライドは先ほどのものとは違って、レジストリ自体は事前にデータも含めて集積されているのだけれども、後々利活用プロジェクトが立ち上がるという場合に、このようなアプローチがあり得るのではないかという提案です。PMDAが認めているかどうかは不明瞭でしたが、この1年間の研究班内のディスカッションあるいはレジストリに関連する実務的な議論の中で、このようなやり方も選択肢の1つであるというのがPMDA側の実務レベルでの現時点でのスタンスであると理解しております。もちろん、レジストリ立ち上げ時は無理であっても、赤い部分の検討をする際に、PMDAに相談することが重要になるかと考えます。
 まとめです。2点目が現状の成果の概要です。3点目は、1つ前のスライドで取り上げた話ですが、PMDAの留意点(案)、先だって公表された文書の中ですが、「あらかじめ手順が規定され」という文言があります。その「あらかじめ」というのは、レジストリ立ち上げ前に限らないとの認識を取らざるを得ないというのが実務上の課題です。実際そのような方向性で、PMDAの方も含め実務上の議論が進んでいると理解しています。ただ、この点についてはPMDAから情報発信していただくことが、今後、必要になるかなと考える次第です。私からは以上です。御静聴ありがとうございました。
〇山本臨床研究推進指導官 柴田先生、ありがとうございました。ただいまの御発表について、御意見、御質問等がございましたらよろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。それでは柴田先生、ありがとうございました。
〇柴田参考人 ありがとうございました。
〇山本臨床研究推進指導官 続いて、資料1-3に移ります。「リアルワールドデータ等の新たなデータソースの規制上の利用等とその国際規制調和に向けた課題の調査・整理等に関する研究」について、国立精神・神経医療研究センターの中村先生より御説明をお願いいたします。
〇中村参考人 御紹介ありがとうございました。国立精神・神経医療研究センターの中村です。どうぞよろしくお願いいたします。本日、私どもはAMEDの医薬品等規制調和・評価研究事業によって支援いただいた、こちらに記載されている研究の概要について御説明させていただきたいと思います。
 まず、背景について御説明いたします。昨今、RWD(Real-world data)、RWE(Real-world evidence)の薬事規制下での利活用というのが、世界中で非常に話題になっております。まずはRWDとRWEの定義です。日本でははそのまま「リアルワールドデータ」、「リアルワールドエビデンス」として話をしておりますが、FDAやEMAもここに記載しているように、RWDというのは日常のルーチンな業務等から発生してきている医療データです。それを様々な分析等に用いて出てくるエビデンスがRWEであるという理解が世界各国共通だと思います。日本でも今、このような枠組みの中で議論がされていると思います。
 最終的にRWEを薬事規制下で活用していくときの意思決定で、どういったことを検討していくかというのが重要になってきております。こちらの図は、RWDに関しては様々なものがあり、それをRegulatoly decision makingの中でのfit for useというところで使う場合に、様々なものの信頼性、妥当性を検討し、それらから様々なメソドロジーを使ってRWEが生み出されます。そこにおいてRegulatoly decision makingが行われているという一連の流れになります。こういった中で、今後、RWDやRWE等を薬事規制下で活用していくときの論点整理が必要と考えています。
 さて、RWDにはどのようなものがあるかということです。これはFDAもEMAも大きく変わっておらず、そこにお示ししてあるようなものです。
 日本の中でも既に様々なレベルで、こういった通知等も出ております。明示されているのは、例えば、医薬品安全性監視における医療情報データベースの利用に関する基本的考え方についても、病院情報システムデータベースやレセプトデータ、患者登録システム、疾患レジストリといったところが明示されておりますので、これも日本の中で同様に議論がされていると思われます。
 こちらは、そういった中でRWEが、どういったところで医薬品等の規制によく使われるかです。承認申請、効能追加、条件付き早期承認認定での条件解除、さらにセーフティで使われているということを示した記載です。
 特に安全性監視活動においては、日本の中でも既に過去から、多くの医療情報データベースの通知等が出ておりますが、昨今では先ほど柴田先生からも御紹介があったように、承認申請等におけるレジストリの活用に関する基本的考え方や信頼性のものが出てきているという状況です。
 そういった大きな背景の中で、私たちは今回のこういった研究実施体制において、RWDを薬事規制下で活用するときの論点整理ということで、今回、研究を始めさせていただきました。ここに書いてある研究開発者の方々と、プラス様々な規制関係者の方々、製薬企業の方々も含めて議論をさせていただきました。
 そういった中で私たちとしては、1つにはRWDの規制上の利用において、やはり質の評価や質のマネジメントに関する課題があると考えております。そういったものの利用可能性の検討と選択のプロセスということで、こちらのスライドにまとめたようなものを、今報告しようとしております。そして研究を実施するのにふさわしいデータかどうかということ、また、各段階でデータを利用する際に推奨される条件について整理する必要があると考えています。
 そういった中で少し先に進んでいるのが、医療機器関連のレジストリなどでは、どういったツールを用いてその利用の条件を考えるかという問題がありますので、こういったものを参考にしながら規制の各段階でRWDを利用する際に推奨される条件の作成を今行っております。
 また、RWDの中で昨今注目されているものの1つ、ペーシェントジェネレイティッドデータというものの中でPRO(Patient-reported Outcomes)やPatient-reported Informationというものがあります。そういったものを今後活用する中での特にイントロに関して、こういった現状と課題についてもまとめております。
 こういった日本の中でのRWDの活用を考えますと、既にMID-NETであれば、左のEHRsあるいはClaimsやbillingのデータ、レジストリについてはCINといったところで、今多く議論されておりますので、今後はやはり右のほうのいわゆるデバイスとか、先ほどお示ししたPROといったものが、国内でも検討が必要だと考えております。
 ここからは各分担研究者の分野において重要となる論点を、少し説明させていただきます。1つは、医療健康情報の世界的な交換規約の標準化についてです。ここに御参加いただいている先生方は、もう御存じかもしれませんが、HL7 FHIRという規約ができており、医療情報の国際的な交換の標準化が行われています。さらにAmazon、Google、マイクロソフト、アップル、Oracleなどもそこに関心を持っています。
 ただ、そういったものを導入する場合に、例えばその中のターミノロジーにおいては、日本や欧米等の各国において違いがあるというところを、今後、標準化して検討していく必要があるということを考えております。
 また、治験データにおいては世界各国で、CDISC標準のデータが求められておりますが、今後は観察研究、RWDをどのようにCDISC標準で検討しているかということも調査しております。CDISC標準の中で、CDISC RWD Connectという活動が今行われており、我々研究班からも、こちらの活動に参加しています。
 ただもう一方、オデッセイという活動でOMOPという、正に観察研究のデータを標準化して抽出するという活動もありますので、こういったものとCDISCがどのようになっていくかということも、今後調査する必要があると思っています。なお、オデッセイに関しては日本では、ほかの研究者の方々が活動されております。
 最後に、ICH-E6についてです。こちらは今後のGCP Renovationに向けての一連の流れです。
 そういった中で今後、Pragmatic clinical trialsやDecentralized clinical trialsといったものが注目されてくると考えております。規制と整合性を持って、こちらを日本にどのように導入していくかということも重要だと思っております。
 その中で様々な導入への課題があります。1つが、日本における規制が、様々な規制、薬機法とか、臨床研究法、新統合指針等の下で行われており、こういったところをどのように考えていくかということが重要だと考えています。
 また今回、ICH-E6のコンセプトペーパーの中には、Stakeholder Engagementが記載されております。こちらに関しては既に国立がん研究センターの中村健一先生のほうで御検討されておりますし、今後、中村先生がこちらに参加されるというように伺っております。
 以上のように、我々の研究班ではこういった観点で、それぞれの分担研究者の方々に整理いただいて、今後のRWDの薬事規制下での導入に向けての問題や、課題の整理をしてきました。
 今後に向けてですけれども、RWEの薬事制度下での利活用促進については、国際的にも活発ですし、RWEをどのように薬事規制下で活用するかという議論は、まだ続くと思います。そういった意味で、今後も国際的な調和に向けて、日本の中でも検討していく必要があると考えています。今回、また来年度からAMEDにおいて3年間の研究を採択いただきましたので、そちらに書いてあるようなことを、引き続き検討させていただきたいと思っております。以上、どうもありがとうございました。
〇山本臨床研究推進指導官 ありがとうございました。ただいまの中村先生の御発表について、御意見、御質問等がありましたらよろしくお願いいたします。
〇荒井構成員 発表、ありがとうございました。PROについてです。PROの標準化がどのくらい行われていて、例えばRCTのコントロールアームでPROをきちんと取っていって、数を集めてヒストリカル・コントロールに使えるような仕組みが今後作られる予定なのでしょうか。それと、最終的なゴールというか、数はどの辺を目指しておられるのでしょうか。
〇中村参考人 まずPROに関しては、この薬事規制の私の研究班だけでなく、臨床研究に関するPROの活用は、ほかの研究班でも内容については精査して検討されておりますので、そちらのほうから報告書が出てくると思います。ただ、どういったPROだったかというのは、もしかしたら各領域によっても、PMDA、行政側との御相談が必要になるのではないかと思ってはいます。以上でよろしいでしょうか。
〇荒井構成員 あと、数はどのぐらいを目指しておられるのでしょうか。
〇中村参考人 数の具体的なところについては、今、私からお答えできるような答えは持っておりません。申し訳ございません。
〇山本臨床研究推進指導官 そのほかに何かありますか。それでは中村先生、ありがとうございました。続いて、議題2に移りたいと存じます。本年度から始まった「CIN中央支援事業の取組について」、国立国際医療研究センターの杉浦先生より御説明をお願いいたします。
〇杉浦参考人 国立国際医療研究センターの杉浦です。どうぞよろしくお願いいたします。私のほうからは、「CIN中央支援事業の取組について」ということで、御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、これまでの取組についてです。今までにCINの武田班、林班、國土班という3本の横串班が走っており、今回お話するCINの中央支援事業は、このうちの國土班の事業を引き継ぐ形になっております。なお、これと並行してJHにあります6NCの連携によるレジストリデータの活用基盤の構築事業もあります。これは私の後で國土理事長から御発表があるかと思います。
 今回のCINの中央支援事業は、基本的にCIN國土班の事業を引き継いでおります。左のほうに國土班の事業があって、右のほうにCIN中央支援のほうで行う内容が書いてあります。レジストリの調査に関しては、引き続きこちらの事業でもやりますし、情報検索システムについては、國土班で作られたものがこの事業の中で管理されていきます。情報発信及び相談対応についても、引き続きこちらのほうで引き取ってやっていくということで、例えばこの後に御紹介するレジストリ手引きの改訂なども計画しております。体制整備に関しては、ステークホルダーとの連携を継続しておりますし、企業意向の把握等もやっております。これについては後ほど、また話をしたいと思います。
 まず、患者レジストリのコホート研究調査に力を入れて取り組んできましたので、御説明したいと思います。どのような疾患を対象に、どのようなレジストリが作られているかということを把握するために、調査を掛けております。右の下のボックスの所に概要が書いてあります。全体で1,064件のレジストリが上がってきて、調査の結果、そのうち60が重複しているということで、仮登録のもの、要するにまだ詳細なものはないけれど回答してもらったものが1,004件で、実際に私どものほうに非常に詳細な情報を御提供いただいたものが、約684件となっております。
 そうやって見てきますと、まず対象疾患で非常に多かったのが新生物、がんです。次にくるのが循環器系の疾患であり、筋骨格系、精神・神経系のものということで、対象とする疾患は非常に多岐にわたっていることが分かりました。ただ、主要なものは今申し上げたものです。右のほうの図は何を見ているかと言いますと、レジストリの規模です。それを見ますと、多くのものが500例以下の規模であることが分かります。ただ、一方で非常に大きなものもある。要するに、1万以上持っているようなものが全部で70ぐらいあることが分かっております。最大のもので10万以上のものもあるという形になっております。
 次にレジストリを作った目的です。治験等であったり、生体試料の収集と解析であったり、臨床情報であったり、色々ありますけれども、基本的に疫学研究を目指したものが多い。これは331となっておりますけれども、細かく砕いて見ていきますと、例えば診療への活用がどうであったとか、患者数や患者分布の把握ということで、これらもある種「疫学研究」と言えないことはないので、病気の実態というか、パブリックにおける状況を調べるものが多かったことが分かるかと思います。あと、対象としては特定の疾患を狙って見ているものが、圧倒的に多いということが分かっております。
 こちらは第三者提供ができるかどうかを伺ったものです。左端の絵を見ると分かりますように、残念ながら過半数のものは不可としている。可能としているものは全体の13%、85レジストリです。そのうち実際にデータを提供した経験があるものは、6割にとどまっております。その提供先はどこかと言いますと、ほとんどが大学で、企業に提供したものは16件ということでさほど多くない。この辺りが今後の1つの課題ではないかと考えております。
 一方、第三者企業からのレジストリデータの提供依頼への対応が、前向きに今後できるかどうかということです。「前向きに対応する」が12%、「検討する」が22%ということで、全体の3分の1ぐらいから、考えてもいいというような回答を頂いております。あと、実際の要望としては改修や新規構築に際して、我々に依頼するか、相談するかということに関しても、「前向きに検討する」が12%、「検討する」が24%ということで、ほぼ3分の1という形になっております。
 こちらは2020年度調査ですけれども、現在やっているところです。ですから次回以降に御報告できるのではないかと考えております。
 レジストリ利活用アンケートです。こちらも2019年12月から2020年1月にかけてやっており、124の企業から回答を頂いております。要するに、今度は利活用のニーズの話です。
 回答があった中で、実際に私どものほうに相談をするというか、相談してもいいと思っているものを半年以内、1年以内だけで見ますと大体5例ということで、それほど多くはありません。全体でも28例ということで、現状では企業からの要望はさほど多くないということが分かりました。ここ2、3年に関しても今回のコロナ禍のこともあり、実際にこちらから相談を受けることはありませんでした。
 ただ、実際にはアンケートとは別にコンタクトがあり、一応5件ありました。そのうち2例が製薬企業で、3例が研究者です。そういう実績はありますけれども、数としてはまだまだ少ないという現実があります。
 先ほど言いましたように、レジストリの手引きの改訂を考えております。これはCIN國土班のほうで既に作成しており、2019年12月に公開しているものです。この内容を状況を見ながら改訂していこうということで、現段階では「近日公開予定」と書いてありますけれども、かなりスピード感を持ってやっていきたいと考えております。
 これがその目次です。このようなものを作りますということです。これは第1.0版ですけれども、この内容に基づいて改訂を進めていきます。
 利活用パートの予定構成としてこういった部分に関して、もう少し記述を充実させていきたいと考えております。
 今後の課題です。このブルーの所に書いてあるように企業側からしますと、通常は、良いレジストリだから開発に利活用するといった方向ではなくて、自分たちの開発シーズに合っているものかどうかを見て探索を掛けてくるというのが現実です。その中でレジストリ利活用の準備には、どのようなものを必要とするかということを考えなくてはいけません。また開発に当たっては、もしかすると本末転倒な話になるかもしれませんが、企業が望むようなもの、企業が求めるようなものを作っていくという視点も必要ではないかと考えております。先ほど言いましたように、多くの場合が疫学的なものを目的として先生方は作っておりますので、その辺りの折り合いというか、利活用はあくまでも利活用なので、その辺りを踏まえて進めていく必要があるのではないかと考えております。以上です。どうもありがとうございました。
〇山本臨床研究推進指導官 ありがとうございました。ただいまの杉浦先生の御発表について、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。
○荒井構成員 7ページと8ページのデータについてです。7ページに「データの第三者提供の可否」とあって、8ページには「第三者企業」とあります。これは両方とも別ということでよろしいでしょうか。
〇杉浦参考人 2枚目のスライドはそうです。ただ、その中で別の質問として聞いているのですけれども、対象は同じ人たちを相手にアンケートを掛けております。ただ、聞き方が別々の設問だったので数がずれております。大体「前向きに検討する」が12%で、その前のページの「可能」の中に前向きが多分入ってくるのだろうということで、そこのデータのつなぎが私もよく分かっていないのですけれども、含まれていると考えてよろしいかと思います。
〇荒井構成員 ありがとうございます。「データの第三者提供の可否」について、対応不可というのが結構多いのですが、理由はお尋ねになっておられるのでしょうか。なぜこんなに多いのかが、ちょっと理解できなかったのです。
〇杉浦参考人 ちょっと分かりません。そこまで深く掘り下げてはいないのですけれども、恐らく予想できることは、同意の問題だと考えております。レジストリのデータを取って、それを作った段階で第三者提供の同意をきちんと取ってなかったということかと。
〇荒井構成員 なるほど。あとはデータベースが統一化されていないということも理由かと思ったのですが、こういう理由ではないのでしょうか。
〇杉浦参考人 その辺も含めて掘り下げていないので、すみません。現在進めている調査の中で、また検討したいと思います。
〇荒井構成員 ありがとうございました。
〇山本臨床研究推進指導官 そのほかにありますか。よろしいでしょうか。それでは杉浦先生、どうもありがとうございました。
〇杉浦参考人 どうもありがとうございました。
〇山本臨床研究推進指導官 続いて議題3、NC・PMDAの取組状況に移りたいと思います。初めに、NCの取組状況を御報告いただきます。代表して、国立国際医療センター理事長の國土構成員より、資料3-1について御説明をお願いいたします。
〇國土構成員 それではスライドを御覧ください。CINの横断的な取組については、先ほど私どもの杉浦臨床研究センター長が御説明したとおり、国立精神・神経研究センターの武田先生の研究班で検討されたレジストリ中央支援部門の機能があります。それを一部、NCのほうで引き継いでいるということになります。
 昨年、JH(国立高度専門医療研究センター医療研究推進本部)というのが立ち上がり、6つのナショセンが協力し、色々な事業を行っております。そのうちの1つとして、6NC連携によるレジストリデータの活用基盤の構築事業があります。下を御覧になると分かりますように、実務の支援と情報の支援ということで、実務支援のほうではレジストリの企画支援、システムの構築支援、SOP等の作成支援など、色々な支援を行っております。右側の情報支援を見ていただきますと、レジストリフォーラムの開催とか情報発信コンテンツなど、ここに書いてあるようなことをやっております。
 これがその実施体制です。私が委員長を務めさせていただいておりますが、左にある実務支援委員会と、右にある情報支援委員会に大きく分かれております。そのうち、緑で書いてある実務支援チームの内容を、特に詳しく御説明したいと思います。今年度は主に実務支援窓口の設定とか、資材の提供などをやっております。
 その中で特に1つ特徴的な事業を御紹介しますと、JASPEHRプロジェクトというのがあります。簡単に言うと、電子カルテのデータを自動的にレジストリに取り込むという工夫で、電子カルテのベンダーによらない汎用形式のテンプレートを作成するプロジェクトです。私どもの所で糖尿病のJ-DREAMSというレジストリをやっており、それで確立した方法論をこれに応用しているということです。テンプレートを作成するわけですけれども、これを将来的には、ある疾患についてカルテに記載するべき情報や二次利用のための情報を学会が整理し、テンプレートを作成して、医療機関に配布するということを目指したいと思っています。まずは今月末までに、NECと富士通の電子カルテでテンプレートの自動再変換のシステムの規格を設計する予定で、6つのナショセンのうち、国立精神・神経研究センターと成育医療センターと私どものセンターの3つで、まず先行実施をしたいというように考えております。
 医療環境においてレジストリを使っていただくときには、色々な用途があります。左側に書いてありますように、市場性調査や治験計画の作成、あるいは治験のリクルート、このための必要な情報というのが真ん中に書いてありますが、どちらかと言うと求められる信頼性はそれほど高くないということで、このような目的にはかなりハードルが低く、広くもう既に活用されていると思います。その下のほうの開発に関わる対照群のデータや介入群のデータ、あるいは市販後調査のようなものについては、かなり信頼性が高く求められますので、まだまだ対応していないレジストリが多いということもあり、これからの支援の対象になると考えております。
 レジストリの利活用の主な実績です。6つのナショセンのそれぞれを御紹介する時間もないので、一応まとめさせていただきました。例えば、ここに書いてある開発における利活用ということで、例えば市場性の調査については私どものセンターの糖尿病のJ-DREAMS、治験実施可能性の調査については、先ほど吉野先生が紹介されたSCRUM-JapanやMASTER KEY Project、中村先生のセンターのレジストリであるRemudy、治験のリクルートなど、全ては読み上げられませんが、このようなものをやっております。
 介入群のデータの中ではCOVIREGI-JP、COVID-19のレジストリについては、私どものセンターでやっておりますので、後で情報を少し御紹介したいと思います。開発準備ということではPMDAのレジストリ相談の実施ということで、SCRUM-JapanやMASTER KEY Project、COVIREGI-JP、Remudyなどがその実績になっております。そのほかに企業や学会との共同利用、国際共同研究などで、このようなレジストリが既に活用されております。
 支援のほうはたくさんありますので、全部は書いておりません。事務局の業務や研究計画書、システムの構築・改修、データのマネジメントというようなものが行われております。モニタリングではMASTER KEY、ここに書いてある国立循環器病医療センターのJ-MITRAなどが入っております。利活用の中では企業との契約、データ利用ということで、データ利用、データ提供については長寿研のORANGEレジストリも入っています。
 COVIREGI-JPについて、少し御紹介します。これは昨年3月から始まったCOVID-19のレジストリで、一番新しいデータによると日本全国で925の施設から、2万9,686例の患者の情報を頂いています。ただ入院患者なので、恐らく全体の陽性者の1割ぐらいをカバーしているのではないかと想像しています。
 これはちょっと古いデータですけれども、第1波と第2波の比較です。第2波のほうが若い世代が多かったとか、発症から入院までの期間が第2波ではかなり短くなったとか、色々な情報を発信しました。ちなみに第3波についても、一部解析が始まっております。そこでは80歳以上の方で挿管する状況が少なかったとか、薬剤ではレムデシビル、ステロイドなどが使われる頻度が上がっているというようなことが報告されています。
 大変恐縮ですが、後は時間の関係で省略いたします。公開資料のほうに、各ナショナルセンターがそれぞれ担当されているレジストリについてのJHの実績が書いてあります。がんセンター、国立循環器病、精神・神経センター、私どもNCGM、次が成育、長寿研究センターということで、このように実績が少しずつ積み上がっているという状況です。以上です。御清聴、ありがとうございました。
〇山本臨床研究推進指導官 ありがとうございました。ただいまの御説明について御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。それでは國土先生、どうもありがとうございました。
〇國土構成員 ありがとうございました。
〇山本臨床研究推進指導官 続きまして、資料3-2「PMDAにおけるリアルワールドデータ(RWD)活用推進に向けた取組み」について、PMDA理事長の藤原構成員より御説明をお願いいたします。
〇藤原構成員 資料3-2を御覧ください。まずPMDAは、先ほど柴田先生もおっしゃられていましたが、過去にも既にRWDを承認申請の資料の中で活用してきたという歴史があります。これはその一部を出しているものですが、古くは2007年、糖原病Ⅱ型の希少疾患に対して外部比較対照としてナチュラルヒストリーを活用しているところから始まりまして、ヘパリン起因性血小板減少症とか多発性筋炎・皮膚筋炎に合併する間質性肺炎、あるいは低ホスファターゼ症、こういうものに関しての承認審査時に、外部比較対照としてナチュラルヒストリーをレジストリを使ってやってきたという歴史があります。PMDAは何もしてなかったのではないかというような御批判も聞くところですが、過去にこういう事例があるということをまず御紹介させていただきました。
 これまでにPMDAは、主に製販後の段階のレジストリ・データベースの活用に関しては、2018年ぐらいからガイダンス等を出して、医薬品・医療機器、ここには出ていませんが、昨年2020年に再生医療の製販後に関してもレジストリを活用できるというガイダンスを出してきました。ただ現在、むしろ開発段階にこういうレジストリをどう使っていくかというところが世界的に一番注目されているところでもありまして、そこをこの2、3年の間で様々まとめてきたという話を今日は主にさせていただきたいと思います。
 開発段階に関しては、やはりまずは相談・対面助言等を受けていただいて、そこの中で活用に関しての方向性を、レジストリを持っているアカデミアの方々、あるいはレジストリを活用して申請をこれからされていく企業の方々に聞いていただきたいというところがありまして、現在走っている5つの相談について、ここにお示ししました。一番上にあるのはレジストリ活用相談です。これは先ほど吉野先生も言及されていましたが、アカデミアの先生の中には既にこれを活用されて、相談にこられている所もあります。その次は企業、製造販売業者さんが使われる相談ですが、レジストリの使用計画相談や、信頼性の調査相談というものが稼働している状況であります。
 新しいものとしては、今年度、つまり2020年4月から始めているデータベース活用相談であったり、データベースの信頼性調査相談というのもあります。これは名称として持っている相談ですが、これ以外にも各種の医薬品・医療機器の様々な対面助言等におきましても、製販業者さんからはレジストリ・データベースに関する相談を受けてきたという歴史があるというように聞いております。
 今日は本当は通知が発出されていれば、もう少し詳細をお話しできるところだったのですが、1月29日に、「承認申請等におけるレジストリの活用に関する基本的考え方」というものと、「レジストリデータを承認申請等に利用する場合の信頼性担保のための留意点」という2つのガイダンスのパブコメが終了した段階で、今、通知の発出に向けての準備が本省で進んでおりますが、これが出てくれば、製販業者、企業の方々、あるいはアカデミアの方々も、どういう内容であればレジストリが開発に生きていくのかというのがもう少し明示的に分かると思いますが、今日の時点ではまだパブコメが終了した段階ですので、そこのパブコメの段階で考えている我々の基本的方針を2枚のスライドで説明したいと思います。
 このスライドですが、まずは「活用に関する基本的な考え方」となっておりますが、どんな場面でレジストリが使えるかということを4つ挙げております。先ほど過去の事例でも申し上げたとおり、臨床試験の外部対照としてレジストリデータを使って、有効性・安全性を評価するというのが多分一番ポピュラーなものでしょうし、2つ目は、今後は臨床試験の補完又は代わりとしてレジストリを使われる方も出てくるでしょうし、条件付き承認、あるいは再生医療等製品における条件及び期限付承認に関しての有効性・安全性の評価にもレジストリは使えるでしょうし、これまでも利用されてきた企業もあると思いますが、製販後でもレジストリは一定の役割を果たすのではないかと、このパブコメの段階では資料として示しております。
 レジストリを構築される方々にどういう所を注意していただきたいかということは、詳細はこのガイダンスが出たときに見ていただければいいのですが、患者の集団の選択の仕方や、評価期間をどのくらいにもっていったらいいのかとか、あるいは評価方法や用いるべき統計手法などがそこに書き込まれることになっております。パブコメには書いてありますが、通知ではこれが明示的にもう少し出てくると思います。それから、自然歴の観察研究が前向きと後向きでは少し考え方が異なるというような話も、この基本的考え方でお示ししたとおりであります。
 この活用の中で、レジストリデータの信頼性をどうやって押さえていくかというところを、左側のレジストリを持っていらっしゃるアカデミアの方々を中心に、御自分たちのレジストリはどういうところに注意してきたかということ、これからどう注意したらいいかというところをまとめたものと、それから右側で、実際にそのレジストリを使ってこれから申請される方々が、まずはレジストリのクオリティチェックをされるでしょうし、その後、実際にPMDAに申請を持ってこられるわけなので、その際に注意すべき点という2つに分けて、信頼性担保のための留意点を記載しております。承認申請資料に利用するレジストリをこれから作りたいという方々にまずお願いしたいところは、この左側に書いてある倫理的な配慮をきちんとしていただきたいのと、運営の組織体制をしっかり明示する、あるいは構築していく。それから管理ですが、これは非常に難しいところですが、システムの構築・管理をしっかりやっていただきたい。その際には、当然、データのセキュリティーやバックアップ、リカバリーの方法なども明示的に示しておかなければ承認申請には使いにくいでしょうというお話をしています。臨床試験と同じように、品質管理、品質保証は当然要求されることになりますので、それに合った事前の取組が必要ですというところが、まずガイダンスの中には書いてあります。右側で、企業がそれらのアカデミアの作成されたレジストリを承認申請に持っていくに当たっては、当然、契約が必要ですし、そのレジストリデータは品質がちゃんと確認されているものであるかどうかの確認を企業自身でしていただかなければいけない。その上で承認申請資料を作成していただくということになりますし、当然、後から検証していかなければいけないので、記録の保存に関しても様々な決め事が必要になると思います。いずれにしましても、私どもはこれを作った段階、パブコメの前の段階から、柴田班とか中村班とか様々な先生方の議論を通じて、最終的に今考えているのは、この一番下の赤字のところが一番皆さん方に知っておいていただきたいところです。レジストリの利用目的によって、データに求められる信頼性の水準は異なるでしょうと。つまり一律にこうしなさいというわけにはいかないですよと。非常にハイリスクのものからローリスクのものまで、疾患に対する治療法、あるいは技術は異なってきますから、求められているレジストリの内容については、よく私どもの対面助言等を活用していただいて、相談していただくというのが肝要かなと考えます。
 これらを受けまして、通知発出後は、今度はRWDを実際に活用していく事例をどんどん増やしていかなければいけないので、PMDAの中には新年度、2021年度、来月になりますが、RWDワーキンググループというものを設置いたしまして、これから出てくる通知にあったものが、実際にどう稼働していくかということを、PMDA全体としてフォローしてまいりたいと考えておりますので、また今後、皆様方の御協力を頂くことになります。よろしくお願いいたします。以上です。
〇山本臨床研究推進指導官 ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問等がございましたらお願いいたします。特にございませんでしょうか。それでは、藤原先生ありがとうございました。
〇藤原構成員 ありがとうございました。
〇山本臨床研究推進指導官 続きまして議題4「業界からCINへの期待」に移りたいと存じます。日本製薬工業協会の手代木構成員より、資料4「RWDの利活用推進への製薬業界からの期待」について、御説明をお願いいたします。
〇手代木構成員 ありがとうございます。製薬協の手代木でございます。本会議も7回目となり、本日御紹介いただきましたように、CINにおいて成果が着実に上がっていることを業界といたしましても大変有り難く、また、喜ばしく感じているところでございます。その一方で、レジストリを含むリアルワールドデータ(RWD)が実際の医薬品開発に十分に活用されていくためには、本日の御議論もございましたように様々な課題が残っているのが現状だと思います。本日は、レジストリ以外のRWDの活用も含めて、改めて患者様や国民を中心に据えたRWDの利活用という観点で、私ども製薬企業からの期待を述べさせていただきたいと思います。
 RWDにつきましては、以前よりその活用の重要性について共通の理解が得られていると思っております。一昨年の厚生科学審議会臨床研究部会の取りまとめにおきましても、そのように書かれております。また、実際に患者さんの診療データを収集するナショナルセンターにつきましても、あり方検討会の最終報告書に、各NCを中心に、RWDの集積・活用をすることとあり、この重要性につきましては、繰り返すまでもありませんが論を待たないと思っております。
 それを受けて、こちらのスライドですが、メーカー側、多分、医療機器の方も同じだとは思いますが、医薬品あるいは医療機器のライフサイクルを考えたときに、各ステージにおけるRWDの利活用についての概略をまとめさせていただいております。開発の早期から市販後に至るまで、様々な目的でRWDの活用が期待されているところです。ただ、実際の活用事例は、一番最初に申し上げたように、まだ十分ではないということです。特に、難病や希少疾病、小児適用など、患者様が少なく比較試験の実施が困難な疾患や患者集団では、単群臨床試験の外部対照としてRWDを活用した承認申請が期待されるところですし、市販後に蓄積されるレジストリや電子カルテ情報に由来するRWDを、適応拡大や用法用量変更、あるいは承認時には使用経験がないという患者層のデータ追加など、タイムリーな添付文書改訂に活用することができれば、患者様や医療機関、そして当局、企業のいずれにとっても望ましい形になると、非常に大きな期待をしているところです。
 これを受けて、私どもなりに、ものの考え方を少し整理いたしました。RWDの利活用を持続性のある形で最大化していくに当たりましては、改めて患者様、国民目線で全体像をしっかりと形作ることが必要であろうと考えます。患者様や国民がRWDの利活用について理解をし、電子カルテやレセプト情報などの標準化されたデータが直接電子的に取り込まれて、実務負担の少ないデータベースが構築され、高い品質で維持され続けていくことが必要だと思います。その上で、それぞれのデータが連結・統合されることで、幅広いニーズに基づく柔軟なデータの利活用が可能となり、創出されたエビデンスが明確な基準や規制の下で評価されて、一番左上の患者様や国民に還元されるということです。先ほどの中村先生のお話の中にも、例えばEHR、RWD、RWEについて、きちんとした共通の理解、コンセンサスが必要だというふうにおっしゃっておられましたが、私どももそれはそのように思っております。ここは言葉が一人歩きすることなく、何を意味しているのかということをきちんと合意しながら進めることが重要だというように思っております。
 次です。ここからが私どものCINへの期待でございます。ここの5ページ目に書いたものの少し細かい解説を6、7ページに書いております。この5ページ目ですが、このような患者様や国民の皆様方を中心に据えたRWD基盤システムの早期確立に向けた私どもの期待です。レジストリの構築やRWDの利活用への期待、そしてレギュラトリーサイエンスへの期待の2つの観点で整理をいたしました。構築・利活用という観点では、やはり、患者様や国民の理解が進むことが重要だと思います。それにより積極的な参画が推進され、医療における基盤が構築されることにより、レジストリやRWD運用面での持続性も確保されていくことの実現が非常に重要だと思っております。レギュラトリーサイエンスにおきましては、本日の吉野先生の例にもありましたように、実際に承認が取れて蓄積をされていくというのは非常に大きい例になっていくと思いますが、この活用事例が各ステークホルダーによって蓄積され、その情報共有がされることで共通認識を構築した上で、更にプラスのスパイラルとして、RWDを薬事的に利活用するためのプロセス・基準が段々予見性を持って活用できるという辺りが重要だと思っております。少し細かくお話をしていきます。
 こちらは、新型コロナウイルスの影響を受ける中で、急速に進む電子化の動きにも背中を押されているというように我々は思っておりますが、健康・医療・介護情報利活用検討会・医療等情報利活用ワーキンググループで、この電子化の動きが検討されているところです。レセプト情報の利活用推進や電子カルテの標準化などが迅速に進捗することは、レジストリ、ひいては国民の皆様方のお役に立つのには非常に大きなプラスだというように思っております。CINにおかれましても、これらの動きと連携をされて、費用・人的リソースなどの観点からも最適化が進められ、持続性を持ったレジストリ運営が実現することを業界としては大いに期待をしているところです。
 最後です。先ほど藤原理事長様から、ガイダンス、基本的な考え方等について、近く発出をされるとお話がありました。その結果として、2021年度にはRWDのワーキンググループも作っていただけるということです。この辺りに非常に大きな期待をすると同時に、今までも当然、藤原理事長がおっしゃっておられたように、企業のニーズに応じたMID-NET運営の推進、あるいは承認申請等のレジストリの活用に係るガイダンスといったことに取り組んでいただいているというのは、私どもも感謝しているところです。今後、厚労省様やPMDA様、そしてクリニカル・イノベーション・ネットワークにおける議論によって、RWDを活用した臨床開発や承認申請、信頼性保証へとつながり、ICHのGCP刷新でのRWDを活用した医薬品開発へのグローバルな議論も踏まえていただきながら、それらがますます進展していくことによって、やはり患者様や国民の皆様方への大いなる利便性や利益が上がるというように思っております。本当に最後になりますが、効率的にRWDを有効活用した医薬品開発や承認審査が進められ、病気で苦しんでおられる患者様に恩恵をもたらすことができるよう、私ども製薬協といたしましても、引き続き最大限の御協力をさせていただきたいと思っているところでございます。私からの発表は以上でございます。
〇山本臨床研究推進指導官 御発表いただきありがとうございました。本日御参加いただいている、日本医療機器産業連合会様及び再生医療イノベーションフォーラム様からも、CINへの期待についてコメント等がありましたらお願いできますでしょうか。
〇久芳構成員代理 本日は、三村構成員の代理で参加をさせていただいております。医機連常任理事の久芳でございます。私からは、医療機器産業界からということで、口頭で恐縮ですが、3点コメントをさせていただきたいと思っております。
 1つ目ですが、RWDとしてのレジストリの承認申請等への利用についてということです。先ほどPMDAの藤原先生からも御説明がございましたが、レジストリ利活用のガイダンスを準備していただいているということは、とても有り難いことで感謝を申し上げたいというように思います。企業の立場で、レジストリの利活用によって大きなメリットにつながると期待しているのが承認申請への利用です。これにより開発コストを抑えて、早期に承認申請ができるようになると考えております。一方、現実的にレジストリの承認申請等への活用を推進するためには、信頼性等の項目に関する、より具体的なガイダンスも必要となってくると考えておりますが、事例が多くないこういった現状では、なかなか難しいだろうと思っております。今後、事例を積み重ねていく中で、実現可能なレベルの制度設計や運用というようにつながっていくように、業界としても努力を惜しまずに対応をしていきたいと考えております。そのときに重要なのが、課題の共有やその解決方法、更なる改善に向けての議論ということだと思いますので、その点につきましてもよろしくお願いしたいと思います。もう1つ重要なものとして、情報公開があると考えます。レジストリを活用して承認を取得した品目については、可能な範囲でということになるでしょうが、評価方法、統計解析、あるいは信頼性担保等について情報公開されることをお願いしたいと思います。
 2つ目です。個人情報保護法への対応ということです。レジストリ等のデータを企業が使用するに当たっては、個人情報保護の観点からハードルがありますが、データの利活用が進むようにするために、次のことをお願いしたいと思っております。まず、新たに開始するレジストリにつきましては、企業による社会実装を想定して、患者同意を取得するということが原則であるという方針を明確に示していただきたいと考えております。これが実現すれば、少なくとも、今後取得するデータについては利活用が進むというように考えられます。そして、既に取得済みの過去データについては、別の議論が必要です。現状では、再同意の取得が必要になるというように考えられる場合があるわけですが、特に、過去の長期データ等の非常に貴重なものを、どのように利活用していくのかということについては、十分に議論をして、国民的なコンセンサスにつなげていくということが必要だろうと考えております。業界としても、このような議論に積極的に参画させていただきたいと考えております。
 最後、3つ目です。レジストリの維持管理体制についてです。レジストリを構築するためのサポート、あるいはレジストリの検索システムを構築していただきましたが、維持管理をする学会の資金不足といった問題を耳にいたします。レジストリを構築してデータを集積し、そのデータに企業が興味を持って購入をするというサイクルがうまく回れば資金調達もできるということになりますが、レジストリを立ち上げたばかりでデータ集積数もそれほど多くないというような状況では、企業としても余りメリットを感じません。そこで、ある程度軌道に乗るまでの間はサポートを御検討いただきたいと思います。また、医療機関に対するインセンティブについても、より多くのデータを集積するためのポイントになるというように考えておりますので、是非、検討をお願いいたします。医療機器産業界からは以上でございます。ありがとうございました。
〇山本臨床研究推進指導官 ありがとうございました。
〇畠構成員 再生医療イノベーションフォーラム代表理事、会長の畠と申します。日頃から大変お世話になっております。よろしくお願いいたします。再生医療イノベーションフォーラムから少しコメントをさせていただきたいと思います。御存じのとおり、この再生医療業界というのはまだまだ大変未熟です。とりわけ臨床開発におきましても、解決すべき課題が山積しておりますし、特に再生医療に関しては、製品自体の性能と、それから手術手技に影響を受けるものがあります。モダリティが大変複雑で、その辺りが臨床開発においても大きな課題になっていると理解しております。その中で、2014年に制定していただきました新しい制度的枠組みを有効に活用すべく、産業界としても活動してまいりました。
 先ほど手代木副会長からもお話がありましたように、今回、RWDというところは、複雑な臨床開発を要する再生医療等製品等の審査においては大変重要で、いわゆる産業界側としても期待が大きいところです。既に御存じかと思いますが、日本再生医療学会が中心になり、ナショナルコンソーシアムということを組ましていただきまして、その中でNRMDというナショナルデータベースを作っていただきました。この件につきまして、今後、業界としてもきちっとこちらを活用させていただく、そして、このRWDの薬事的利用ということを積極的に考えさせていただければ幸いです。先ほどもお話がありましたように、こういったRWDで再生医療業界に関しては、競争領域の知財、それから非競争領域の知財といったところがまだまだ検討の最中であるところもあります。そういった観点も含め、今後、RWD活用のためのデータベース構築に関して、引き続き御支援を頂きながら、是非ともこの業界を盛り上げていき、そして新しいモダリティを通じた患者様の治療への貢献に活動を進めていきたいというように思います。以上です。ありがとうございました。
〇山本臨床研究推進指導官 ありがとうございました。ただいまの御発表や御発言につきまして、御意見や御質問等がありましたらよろしくお願いいたします。
〇國土構成員 久芳様の最後のところの御意見、私も大変同感で、費用の面について御発言を頂きまして、本当にありがとうございました。私ども、収集してみますと、アカデミア発のレジストリがいっぱいあるのですが、やはり創薬とか、そういう開発というのではなく、全くのアカデミックインタレストだけでスタートしたレジストリがいっぱいあります。そこはやはり日本の場合は手弁当でやっているのですが、持続性を考えると、どうしても研究開発の利用をしていただく、研究者側にも余りそういう視点が今までなかったということはあるのですが、これからは発想を変えて、そういう方向で、本当は新たなものを構築するのが一番良くて、それを我々のCINの事業では支援をしたいと思っておりますが、既存のレジストリも何らかの形で活用できるような方向へモディファイするというか、そういうときに、是非、企業の支援も頂きたいと。その中で、やはりどうしても一企業の権利がかなり前に出てしまうということがありますので、何らかの形の企業のコンソーシアムのような共同のファンドのようなものがあればいいかなというように思っております。ありがとうございました。
〇久芳構成員代理 國土先生、コメントを頂き、ありがとうございます。引き続き企業のほうとしても、色々と検討に参加させていただきたいと思っております。ありがとうございました。
〇國土構成員 ありがとうございます。
〇山本臨床研究推進指導官 ありがとうございました。そのほか御意見等はありませんか。それでは、ないようなので、次に進めたいと思います。
それでは最後の議題です。議題5「これまでのCIN構想の取組と今後の進め方」について、事務局より御説明をお願いします。
〇野村治験推進室長 厚生労働省医政局研究開発振興課治験推進室の野村でございます。事務局として、資料5を御説明させていただきます。
 まず、改めてCINの基本方針について御説明いたします。目標にございますが、疾患登録システムを活用した革新的な医薬品等の開発環境を整備することを通じて、医薬品、医療機器、再生医療等製品等の開発競争力を強化することを目的としてきました。具体的には、2つ目のポツにあるように、リアルワールドデータを収集・解析する体制・システムを整備するということで取組を進めてきたものです。基本方針です。我が国で整備が進む疾患登録システムに関する情報を整理するとともに、治験・市販後調査・臨床研究を推進するための課題解決を行う体制、それから、レギュラトリーサイエンス研究に基づいて薬事承認・再審査などに疾患登録システムを用いるためのガイドラインの策定、3番として、受益者負担による疾患登録システムの維持管理体制を構築するという方針の下に、進めてまいりました。
 ここにあるように2015年から開始し、2016年からは毎年度、重点項目を設けて取組を進めてきました。左にあるとおり、1番、2番で、疾患登録システム、レジストリの構築、そして既存のレジストリの活用研究ということで、順次、研究事業として進めてきたものです。3番、CINの推進事業というものがございますが、先ほど御紹介があったレジストリの全国的な調査、それから正にレジストリのレジストリということで、一覧を作っていただきまして相談の受付などもしていただいていますし、レジストリと企業とのマッチング、共同研究の支援ということで、これは後ほど出てきますが、いずれも事業として継続させていただいているものです。企業活用の推進に向けた検討も進んでおりまして、研究の成果が報告書としてまとめられております。また、レギュラトリーサイエンスの取組として、ガイドラインの策定についても先ほど来、御説明を頂いたところです。
 これまで指標(KPI)ということで、2020年末までの幾つかの目標が掲げられてきたところですが、この実績について紹介させていただきます。まず、レジストリの構築をするということで、2020年までに15疾患のレジストリを構築するということになっておりましたが、12月末現在で、20疾患群のレジストリが整備されたところです。
 その次の所に「その他の取組」ということで、これまで御説明の中にあった横串研究班、縦が個別の疾患ごとのレジストリということになりますが、これを統一的に運用するための横串研究班も含めて、研究実施体制が構築されてきたところです。
 実際の成果の例ということで、これは昨年末になりますが、健康・医療戦略室と開催している医薬品開発協議会の資料を一部抜粋させていただきました。MASTER KEYプロジェクトにおいては、バイオマーカー情報を利用した副試験が多数、これは医師主導の治験も企業の治験もございますが、実施されているところです。またRemudyにおいては、核酸医薬品、革新的な医薬品の患者リクルート、製販後調査の活用ということで、正に薬事の活用が進んでいるという状況です。
 また、治験・臨床研究の実施関係ということで、目標としては、2020年までに疾患登録情報を活用した治験・臨床研究について20件実施することになっておりますが、主にAMEDの研究事業で、研究者の先生方に御参画いただいて研究しているものが23件ありまして、医薬品が21件、医療機器が2件ということで、御参考までに下に、2020年度に採択した課題の一覧を掲げております。
 今年度、昨年度からの分も引き継いで実施している研究について、御紹介いたします。これはまた後ほど御覧いただければと思います。
 次を御覧ください。先ほど来、この1月末までパブリックコメントのあったガイドラインの御紹介もございましたが、目標としては、2020年までに5件のガイドラインを策定するということになっておりました。平成29年以来、既に4件のガイドラインが策定されておりまして、こちらが1から4まで出ているものです。そして、2件がパブリックコメント終了ということで、先ほど藤原先生からも御紹介があったものです。次の2ページについては、藤原先生に御紹介いただいたものと同じスライドなので、割愛させていただきます。
 先ほどと同じような図になっておりますが、今後のCINの取組ということで、2021年度以降の取組を少し挙げました。ここではレジストリの利活用の推進を重点的な目標として挙げております。先ほど申し上げましたように、CINの推進事業においては、2つの研究の取組について事業のほうで引継ぎをさせていただいておりまして、CIN中央支援事業においては、ポータルサイトにてレジストリの一般公開であるとか、相談窓口を担っていただいております。また、CIN推進支援事業においては、レジストリと企業のマッチング、先ほどからも御指摘いただいておりますが、レジストリについて企業のニーズに応じた改修が必要な場合がありまして、そういった場合の補助の取組も実施しているということで、進めております。御覧いただいているように、多くの取組がかなり実を結んできまして、引き続きこのような取組を進めながら、利活用を進めていくというフェーズに入ってきたかと思います。
 次のページを御覧ください。一応、ここでこれまでの取組を取りまとめさせていただくとともに、これからどういう形で対応していくのか、成果と取り組むべき課題について、まとめさせていただきました。まず、取組の成果ということで、新たなレジストリの構築も進みましたし、国内でこれまで様々に取り組まれてきたレジストリについて、網羅的な把握、それから検索システムも構築されたところです。併せて、利活用に向けた情報発信、また相談体制も構築していただきました。この疾患登録情報を活用した治験、臨床研究の実施等も増加しておりますし、利用に際してのガイドラインも、かなり薬事申請などの活用に向けたところが整備されてきたということで、先ほど御覧いただいたKPIも全て達成して、かなり基盤整備については進んできたものと考えております。本日も様々な御指摘を頂きましたが、引き続きCINについては産官学が協力をした取組が必要だと認識しておりまして、1つはレジストリの維持と更新がございます。既存のレジストリで様々に御活用いただいているものについても、引き続き症例の登録を進めていただく必要もありますし、先ほども御指摘いただいたように、治験や臨床研究への積極的な利活用に向けて改修などが必要な場合もありまして、こういった支援も必要と考えております。また、まだまだ医療ニーズあるいはUnmet Medical Needsに対応するための新たな疾患分野などに対するレジストリの構築というものも歩みを止めてはいけないものと判断しております。また、2つ目として、レジストリの利活用の一層の促進を挙げております。正に、このCINを設置した目的として、医薬品・医療機器等の開発の競争力を強化という話がありましたが、そのための一層の活用促進が必要と考えております。
 ここからはノーペーパになりますが、推進会議の持ち方について提案させていただきます。今、申し上げましたとおり、かなりCINについては基盤的な枠組み、大きな枠組みについては整理できたところかと考えております。一方で、今日、様々な御発表の中で御指摘いただいたように、具体的にかなり総論ではなく各論としての課題が明らかになってきました。こういったところに機動的に対応するような枠組みが必要ではないかと考えております。また一方で、本日も様々な成果の御発表がありましたし、手代木副会長からも、国民、患者を主体としたレジストリの在り方について御提示いただいたところですが、広くこういったCINの取組について発表していくような取組が必要だと考えております。これまで、この推進会議の場で様々な成果を御発表いただきましたが、今後、こういったものを広く周知をしていく、研究者や企業の方々、また国民や患者の皆様に、こういった取組についての御理解をいただき、また、こういったものについて広くお知らせしていくような取組が必要だと考えておりまして、この推進会議の役割を、今申し上げたような実動的な検討の場と、シンポジウムなどによって周知する場ということで、機能を分けさせていただきたいと思います。
 この会議については、そういった意味で一定の役割を果たしたということから、現メンバー、現構成員による開催は今回をもって終了させていただき、今後はより実動的な視点から、改めて再構築させていただければと考えております。また、先ほど申し上げましたように、これまでこの会議の場で御発表いただいた成果などについては、既に幾つか行われているかと思いますけれども、シンポジウムの場などで更に広く周知させていただければと考えております。
 このような形で、CINについては、更に具体的な推進に向けた体制に会議もリニューアルして、また進めてまいりたいと思います。先生方、これまで様々な貴重な御意見を頂き、ありがとうございました。引き続き構成員をお願いする先生方もおられますし、また様々な観点から御意見を賜ることもあると思いますので、引き続きCINの推進に向けて御協力いただければと思います。どうぞ、よろしくお願いいたします。
〇山本臨床研究推進指導官 ただいまの事務局の説明について、御意見、御質問等がございましたらお願いいたします。
〇荒井構成員 レジストリに関しては数も大事だと思いますが、質の担保をどう図っていくかということが大事で、例えば我々の認知症の領域で言うと、神経心理学的検査の内容についても、トレーニングされた方がきちんとやるものと、そうでない場合とで、やはり質が違いますので、質の担保をどのように図っていくかということについての考えを聞かせていただきたいと思います。
〇野村治験推進室長 今御指摘のように、薬事への利用なども含めまして、質の担保は非常に大事だと考えております。こういう情報を聞き取っていただく方のトレーニングも大事だと思いますし、登録に向けての品質確保、先ほどもございましたように、今、医療情報を電子的にうまく取り扱っていくというような取組も進んでおりますので、恐らくこれまでは手入力していたようなものも、適切な手順を取ってデータの移行などが進んでいくと思いますし、こういったところも正に機動的な所で御議論をお願いできればと考えております。
〇荒井構成員 もう1つは、Common Diseaseであったり、学会がお金を持っている所はいいと思うのですが、希少疾患で、なかなか新しくレジストリを始めようと思っても、AMEDから支援を受けるのも難しいというような疾患があると思うのですが、そういった場合はもちろん国際連携することも考えなければいけないかもしれませんが、日本において頻度の多い遺伝疾患などもありますので、そういった希少疾患に対する国の支援というのは、どのように考えているのでしょうか。
〇笠松研究開発振興課長 医政局研究開発振興課長の笠松でございます。御質問いただいた件ですが、私どもとしましては、引き続き取り組むべき課題として、医療ニーズに応じて、新たな疾患分野においてレジストリの構築を図る必要があると考えております。大分できたから新しいものは終わりとか、今までのものは支援は終わりということではなくて、いい意味での維持、そして新しい疾患等も含めた対応、構築が重要だと思っております。今御意見を頂いた希少疾患は、重要なという意味で大きな候補、柱だと思っておりますが、また、どういった分野について支援をしていき、維持していくのかということも含めまして、新年度に協議会の中で御議論いただきつつ、必要なレジストリへの支援、質の向上に努めていきたいと、それが重要なのではないかと事務局としては考えております。
〇荒井構成員 ありがとうございます。
〇山本臨床研究推進指導官 そのほかに御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。特にないようですので、この議題は終了させていただきます。
 最後に、全体を通して、疾患登録システムを活用した取組に限らず、広く治験・臨床研究の環境整備の推進に関して、御意見を伺いたいと思います。何かありましたらお願いいたします。
〇三島構成員 AMEDの理事長の三島でございます。私は、この推進会議に出るのは初めてでございまして、このCINに関する皆様方の取組を聞かせていただいて、大変勉強になったと思います。
まず、私が今AMEDの中でデータの利活用の推進を図っている中で、一番難しいと思うところが、データ収集というか、医療に関するものなので、個人情報については非常にシビアだと思うのですが、これをいかに進めていくかというのが、非常に大事だということです。当然、ここでも同じことだと思います。
AMEDとしては、データ収集に係る倫理的な配慮、ELSIみたいなことも含めて、非常に個別の問題というよりは、もう少し大きな括りで、こういったものに対するやり方を作り上げていかなければいけないのかなと、皆様のお話を聞いて考えるところでございます。コメントですが、以上です。
〇山本臨床研究推進指導官 三島理事長、コメントありがとうございました。そのほか、先生方から何かコメント等はありますでしょうか。
〇水澤構成員 国立精神・神経医療研究センター理事長の水澤です。本日のご発表のように、CINはこれまで大きな成果を上げて来ましたが、今後は、具体的な取組に入っていかなければいけないと思っています。例えば国民の皆様によく理解していただくことはとても重要だと思うのですが、先ほどシンポジウムということがあったと思いますが、そういう単発的なものだけではなくて、より恒常的にこういう情報を発信することが必要かと思うのですが、そういったことは考えておられますでしょうか。是非進めていただきたいと思っております。
〇野村治験推進室長 重要な御指摘をありがとうございます。御指摘のように、継続的に取組を進めないと、なかなかこういったものの浸透がないと思います。ただ、具体的にどのような形で進めていくのかは難しいところもありますので、今後、また先生方に様々に御意見を賜りながら、具体的な方策などについても御相談してまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
〇水澤構成員 もう1点お願いしたいと思います。これも議題にありましたが、産業界の方々からの御支援も重要だと思っております。これも具体的に、どのような形でprecompetitiveな所に関与いただくかということも、是非進めていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
〇野村治験推進室長 御指摘ありがとうございます。
〇山本臨床研究推進指導官 そのほか、コメント等はありますでしょうか。よろしいでしょうか。そろそろお時間ですので、こちらは終了とさせていただきます。
 本日は御参加の皆様方より貴重な御意見を頂き、ありがとうございました。本日の議論を踏まえて、各研究班や各機関での取組を更に進めていただきたいと思います。また、スムーズな進行に御協力いただき、ありがとうございました。
 以上をもちまして、本日の会議を終了いたします。ありがとうございました。

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 臨床開発環境整備推進会議> 第7回 臨床開発環境整備推進会議 議事録(2021年3月8日)

ページの先頭へ戻る