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2022年8月18日 第137回先進医療技術審査部会 議事録

 
 


(1)日時:令和4年8月18日(木)16:00~

(2)場所:TKP新橋カンファレンスセンター「ホール14D」(オンライン)

(3)出席者
山口座長、天野構成員、伊藤(澄)構成員、伊藤(陽)構成員、上村(尚)構成員、上村(夕)構成員、掛江構成員、北川構成員、後藤構成員、坂井構成員、佐藤構成員、真田構成員、柴田構成員、田島構成員、戸高構成員、飛田構成員、藤原構成員、松山構成員、渡辺構成員

(事務局)
医政局研究開発政策課長
医政局研究開発政策課 治験推進室長
医政局研究開発政策課 課長補佐
医政局研究開発政策課 先進医療係長
保険局医療課 先進・再生医療開発戦略専門官
医薬・生活衛生局医薬品審査管理課 審査調整官


【議題】

1.総括報告書の評価について
2.先進医療の継続の可否について
3.試験実施計画の変更について
4.協力医療機関の追加について
5.先進医療Bの試験終了に伴う取下げについて
6.その他

【議事録】
○山口座長
 それでは定刻となりましたので、第137回先進医療技術審査部会を始めさせていただきます。御多忙の折、お集まりいただきましてありがとうございます。本日はオンラインでの開催となります。まずは構成員に異動がありましたので、事務局から御紹介をお願いします。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 事務局です。先進医療技術審査部会構成員に異動がありましたので、御紹介させていただきます。本日より日本医師会から渡辺弘司構成員が着任されております。それでは渡辺構成員から一言御挨拶をお願いいたします。
 
○渡辺構成員
 日本医師会の渡辺でございます。本日より参加させていただきます。神村理事の後任になります。小児科を開業しておりますので、アカデミアの先生方とちょっと違う視点の意見になるかもしれないので、御迷惑をかけないようにしますけれども、よろしくお願いいたします。以上です。
 
○山口座長
 渡辺先生よろしくお願いいたします。本日の構成員の出欠状況ですが、本日は一色高明座長代理より御欠席の連絡を頂いております。本日は20名の構成員のうち19名の構成員にお集まりいただいていることから、本会議が成立していることを申し添えます。それでは配布資料と本日の審査案件の確認を事務局からお願いします。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 事務局です。よろしくお願いいたします。傍聴者の方の撮影はここまでとさせていただきます。御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 配布資料につきまして確認させていただきます。議事次第から座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿と続きます。続きまして、総括報告書の評価について資料1-1から資料2-3。先進医療の継続の可否について資料3。試験実施計画の変更について資料4から資料7。協力医療機関の追加について資料8-1及び8-2。先進医療Bの試験終了にともなう取り下げについて資料9。会議資料の最終ページは73ページとなります。お手元の資料に乱丁、落丁等ございましたら、事務局までお知らせください。
 続きまして利益相反の確認です。申請医療機関との関係、対象となる企業または競合企業について、事務局から事前に説明させていただいております。今回、告示番号旧21の技術、名古屋大学医学部附属病院からの総括報告に関して、北川構成員から御報告があり、500万円以上の該当がありました。つきましては、議事の取りまとめを含む検討及び事前評価に加わることができませんので、当該技術に係る審議の際は、一時御退席いただければと存じます。また、当該技術について飛田構成員、天野構成員からも御報告がありましたが、50万円以下でしたので、当該技術の議事取りまとめ及び事前評価に加わることができます。事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がございましたら、この場で是非御報告をお願いいたします。それでは該当なしということで、承知いたしました。
 また、今回は資料を事前にメールでお送りしております。会議資料と区別して、構成員、事務局限りの届出書類等を「タブレット資料」と御案内します。なお、会議資料とタブレット資料の内容は異なっておりますので、発言者は会議資料の何ページまたはタブレット資料の何ページと、あらかじめ御発言を頂きますと、議事の進行上助かります。
 本日はオンラインでの開催となり、構成員の先生方には大変御不便をおかけいたします。御発言いただく際には、初めにお名前をおっしゃっていただくようにお願いいたします。その他途中で接続トラブル等ございましたら、お知らせいただきますようお願いいたします。また、Web会議ソフトには手挙げ機能が付いておりますので、こちらも適宜御活用いただければと存じます。以上でございます。
 
○山口座長
 ありがとうございました。では早速議事に入りたいと思います。総括報告書の評価結果につきまして、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明いたします。資料1-1の15ページを御覧ください。先進医療Bの総括報告書に関する御評価を頂きますのは、告示番号旧6、「C型肝炎ウイルスに起因する肝硬変に対する自己骨髄細胞投与療法」、申請医療機関は山口大学医学部附属病院です。審査担当構成員は主担当が伊藤澄信構成員、副担当が上村夕香理構成員となっております。
 それでは資料に沿って御説明させていただきます。自己骨髄細胞投与療法は肝硬変に対して患者自身の自己骨髄細胞を採取し、末梢静脈より投与することで、肝硬変状態の肝臓に線維化改善を誘導し、肝機能を改善させる方法です。本研究は日本人に対して実施経験があり、重篤な有害事象の発生を認めず、有効性の再現性が多施設で報告されていることから、より科学的に有効性と安全性を検討するために、本治療群に対して、肝庇護剤やアミノ酸製剤の投与等の標準的治療を実施する群を標準的治療群としたランダム化比較試験を行うことにより、有効性と安全性を検討する。
 主要評価項目は細胞投与群は細胞投与後、標準的治療群は登録後24週の時点で、Child-Pugh Scoreの1点以上改善する割合。副次評価項目は(1)効果維持率の推移。(2)アルブミン値の推移などお示しするとおりです。目標症例数は34例で、登録症例数は3例となっております。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。本技術の評価につきまして、主担当の伊藤澄信構成員から御説明をお願いします。
 
○伊藤(澄)構成員
 ありがとうございます。C型肝炎ウイルスに起因する肝硬変に対する自己骨髄細胞投与療法で、2012年12月18日の第2回先進医療技術審査部会で審査された技術です。総括報告書の評価は、国際医療研究センターの上村先生と評価させていただいております。C型肝炎ウイルスによるChild-Pugh Scoreでは7点以上ですが、非代償性肝硬変の患者に対して全身麻酔下で、患者さんの腸骨より骨髄液を約400mL採取の上、骨髄採取キットにより骨片を除去し、無菌的に単核球分画の分離精製を行い、末梢静脈から2-3時間かけて投与するという、比較的侵襲のある治療法です。会議資料の21ページ(資料1-2)に、その総括報告書を読んだときの印象を含めて記述した上で、質問として研究者に聞いております。最大の問題は当初の予定症例数の10%以下しか症例が集まっていないことで、国民の皆様に期待を抱かせる先進医療として、国が承認した治療法が評価されないままに終了したということは、大変残念だと思っております。その原因を明らかにするために、研究者とやり取りをした記録を残させていただいています。
 2014年に直接作用型抗ウイルス薬(DAA)が使われ始めて、2019年から非代償性肝硬変に使えるようになったことが、本症例の症例集積がうまくいかなかったという、総括報告書の記載が承服しがたかったものですから、経緯について明らかにすべきだと思いました。
 2015年以降は、スクリーニングなどの臨床試験を円滑に進める努力がされていなかったのではないかと思っております。研究者が自発的に総括報告書の記載を変更していただけることを期待しておりましたが、当初のままでしたので、私の思いを伝えるべく評価表にはそのままそういう記載をさせていただきました。本試験実施前には、アルコール性肝硬変とB型肝硬変を対象にした比較試験が1本ありまして、そのとき長期生存率に差がないというデータはありました。その当時評価をされた高橋先生や柴田先生からは、臨床的意義がある差異があるかどうか分からないと評価を頂いておりましたが、対照群を置いたC型肝硬変に対する比較試験をすることは意義があると思って、評価しておりました。今回の結果は治療群2例と対照群1例のいずれもが、投与時と24週時にChild-Pugh Scoreに差がないという結果でした。結論として、評価不能とさせていただいておりますが、限りなくネガティブに近い結果だろうと思っております。
 安全性については、1例、肝臓のがんが顕在化しておりますが、阪大の特定認定再生医療等委員会でも、自然経過で発現したものと判断されております。対照群の1例も、24週後に先進医療外で本治療を受けておりますが、先進医療ではないため評価の対象とはなっておりません。こうした治療中、手技に基づく貧血が2例共に認めております。400mLの骨髄液を採られていますので、軽い副作用のためBとすること、あまり問題なしとできるかもしれませんが、2例のみの結果で重篤な副作用がないと判断することは困難ですので、「D」のその他という形にさせていただいております。技術そのものは血液疾患の骨髄移植に準じた治療法ですので、骨髄移植の経験のある医師は実施可能と思いますが、ベースラインの全身状態がよくない非代償性肝硬変患者を対象にすることから、「B」の当該分野を専門とし、数多くの経験を積んだ医師の指導下であれば実施できるとしています。
 総合的なコメントには、約10年も先進医療として告示されていながら、症例数が少ないために評価不能となった技術なのは大変残念だという思いを込めて書いております。総括報告書内には、2020年9月から新たに自己骨髄間葉系肝細胞を用いた医師主導治験を開始しているという記載もありましたけれども、今後、先進医療として実施される場合には、実施可能性の高い計画実施体制の策定が必要だと思いました。なお薬事承認の効率化には寄与しないという意見を書きました。説明は以上でございます。
 
○山口座長
 ありがとうございました。続いて、副担当の上村夕香理構成員より御評価をお願いいたします。
 
○上村(夕)構成
 上村です。私からの評価を読み上げさせていただきます。本試験は先ほど構成員からもお話がありましたとおり、24週時点でのChild-Pugh Score 1点以上の改善が得られた主要評価項目となっております。このChild-Pugh Scoreは皆さんご存じのとおり、肝硬変の重症度を分類するスコアとなっておりますが、肝性脳症、腹水、血清ビリルビン値、血清アルブミン値、プロトロンビン活性値の5つの項目について検査の結果を踏まえて、それぞれ1点から3点を割り当てて、その合計スコアがChild-Pugh Scoreになります。すなわち5点から15点のスコアを取るわけですが、大きい値ほど重症度はあることになります。この試験では7点以上のChild-Pugh ScoreでC型肝炎ウイルスに起因する肝硬変の状態の患者さんが登録されております。
 もともとは主要評価として、この1点以上の改善割合というものを設定し、この標準的治療群では、細胞投与群では52.9%、対照群では5.9%の割合の方がいるというように想定し、検出力0.8、片側有意水準0.025と設定した下で、各群17例、合計34例を症例数として設定した計画の下で試験が実施されました。
 一方で、先ほどお話がありましたように、この試験開始後に2つの薬剤が承認されたという影響もあり、最終的にこの試験に登録された人数は、投与群2名、標準治療群1名でした。この試験に参加した投与群2名に関しては、もともとのChild-Pugh Scoreベースラインが7点、8点だったわけですが、24週時点でも同様に7点、8点でした。標準治療群におきましては、9点の方が登録され24週時においても9点と、3名とも変動なしという結果でした。
 また、先ほど申しましたとおり、Child-Pugh Score分類は5つの項目の合計点で算出されるわけですが、それぞれ5つの各項目の詳細を拝見しましても、いずれの項目においても顕著に改善傾向を示す細胞治療群のデータはなかったことも確認しております。
 以上の結果から、3名しか登録されていないことから、いずれにしてもこの試験をもって、従来の医療技術と比較して有効性を評価するのは困難と考え、「E」と判定しております。
 続きまして、安全性についてです。安全性についても先ほど伊藤構成員よりお話がありましたとおり、患者細胞投与群2例において貧血を認めております。因果関係のある重篤な有害事象は認められておりませんが、投与例は2名のみですので、本試験結果から安全性に関しても判断を下すことは難しいと考え、「D」と判定しております。技術的成熟度について「B」と判定しております。以上になります。
 
○山口座長
 ありがとうございました。伊藤澄信構成員から何か追加のコメントがございましたらお願いします。
 
○伊藤(澄)構成員
 少し厳しい評価をさせていただいておりますが、やはり先進医療の位置付けを考える以上、ある程度きちんとした評価をすべきかと思って、こんな形にさせていただいております。以上でございます。
 
○山口座長
 ありがとうございました。ただいまの御説明について何か御質問はございませんか、いかがでしょうか。
どうぞ渡辺先生。
 
○渡辺構成員
 伊藤構成員にお聞かせいただきたいと思います。構成員の御意見はごもっともと思うのですけれども、おっしゃられたように、2013年からこの研究を始めて、2019年の6年間の間に、3例の登録があったのかもしれませんが、DAAが出たあとも、漫然と2021年まで継続されたというのが何かどうも解せないというのが1つあります。なぜそこで方針を変えなかったかというようなこととか。
 それからDAAが出たからというのみで、6年間に3例というのは説明にならないような気がするというのが2点目でございます。
 3点目、これは全くこの部会の評価項目にないのかもしれませんけれども、私が一番確認したいのは、この研究に参加するICの内容に関してです。DAAが出る前と出た後で研究者はきちんと内容を変えられたのかどうかを、もし確認しておられたら教えていただきたいと思うのです。つまりエビデンスがあって、より侵襲性が少ない治療法が出た時点で、この研究を継続して、なおかつスクリーニングまでやっている中で、そのICをどのように取られたのか、もしかして説明をされていないのではないかというような、そこまでは考えませんけれども、どのように変えられたのかを、もし把握されておられたら御教示いただけると有り難いのですが。
 
○山口座長
 では、伊藤澄信先生、何か回答ございますか。
 
○伊藤(澄)構成員
 ありがとうございます。この試験の3例ともが2014年当時に登録されていて、それ以降、厚生局に登録が0であったというのは毎年報告されております。この非代償性肝硬変の方に対するDAAの適用はここに書きましたとおり、2019年2月からですので、2019年2月まではほかの治療法がなかったので、手続上はそのことについて説明する必要はなかったのではないかと、判断しています。先生からの御指摘のように、もっと早い段階で、この試験を中止をすべきではなかったのかと、症例を集める努力をするなり、中止をするべきという判断と思いましたので、多少回りくどいかもしれませんが、症例の収集に対して努力をしてなかったのではないか。それについて御本人たちが多少反省の弁でも書いてくれれば、こんな書き方はしなかったのにと、正直ベースで思っておりまして、やはり評価書の中では、この状況についてつまびらかにすべきと思ったので、詳細も含めて、説明させていただきました。
 
○山口座長
 同意書については何か。
 
○伊藤(澄)構成員
 すみません、2019年以降に関しては、実際症例の登録がされてないので、2019年以降の同意書について、倫理審査委員会も含めて、対応されたかどうかについて、確認しておりません。申し訳ございません。
 
○山口座長
 同意書の変更とかはありましたか。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 事務局です。本同意書の、最初の建て付けにつきましては、まず標準治療自体について、実は内容を厳密には規定していない状況です。ですので、患者ごとに担当医がその時点のエビデンスに基づき、DAAも含め、患者ごとに標準とされるべき治療について説明を行っていたという御回答を頂いておりまして、御指摘のとおり2019年以降に、この内容に対して変更を正式に行ったかと申しますと、その記録はございませんでした。ただ、一応研究のもともとの建て付けとして、患者ごとにその当時の標準治療に基づいて説明をする形になっておりますので、実質上、患者さんにその説明はなされているものではないかと理解しております。
 
○山口座長
 ありがとうございました。渡辺先生何かコメントはございますか。
 
○渡辺構成員
 いいえ、ありません。実際にどういう説明をされたかというのを知りたかったもので、事務局のおっしゃるとおり、確認しようがないのだと思うのですけれども、2つの意味でこの研究者の倫理観をちょっと確認したいという気がしたのでお聞きしました。ありがとうございました。
 
○山口座長
 渡辺先生の御発言、誠におっしゃるとおりで、これは大きな問題だと思います。せっかくスタートしたのに全然症例は登録されなくて、しかも延々と続けられたということです。患者さんへの説明も規定上なかったので、確認できてないということです。こういうことはこれからも起こりうることで、スタートした時点では大丈夫と思ったけれども、急に新薬が出たりして、全く世の中の標準治療が変わったときにどうするかとか。そのときに患者さんへの説明をきちんと義務付けるとか、その辺りを、まだこの会議としては決めていません。これを反省の元にして、今後進捗が難しい研究については、その辺りをチェックするような仕組みを作る必要があるのではないかと感じましたけれども、この辺り伊藤澄信先生何か御意見はございますか。
 
○伊藤(澄)構成員
 すみません、確認不足で申し訳ございませんでした。今後はやはり特定臨床研究ですので、特定臨床研究の委員会に、まずはお願いをして、最初のチェックをするのがよいのかなとは思いました。この試験は山口大学ですが、阪大の倫理審査委員会でしたので、大丈夫かなと思ってしまったのがいけなかったなと、少し反省いたしております。
 
○山口座長
 何かほかに御意見はございませんか。参加した患者さんにとっても、あまりいい結果ではないと思うのですけれども。
 
○後藤構成員
 後藤です。今のお話との関係ですけれども、例えば同意文書への反映というのが先ほどから出ていますけれども、薬剤が承認されて標準治療が変わったときに、何か定期的に見直すという仕組みは、座長おっしゃるように必要だと思います。あと、後でお話があるかもしれませんけれども、簡易な変更のときでも、同意書に対するチェックも必要になってくる場合もあります。例えば標準治療が変更され、今までは同意書に書いてなかったけれども、書いたほうがいい場合もあると思います。このような同意書に標準治療の最新の状況が反映されるような仕組みを、考えたほうがいいと思った次第です。ありがとうございます。
 
○山口座長
 ありがとうございました。ほかにございませんか。確認ですが、これは症例が全然登録されないという状況をこちらで把握して、それに対して、これではうまくいかないので、今後どう考えているかというようなやり取りはあったのでしょうか。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 事務局としては、基本的には、年次の報告がありますので、確認自体はできる状況です。そのやり取りはあったと聞いております。
 
○山口座長
 そのときもう少し詰めて、状況を把握して、一度この会議で検討すべきだったというのが反省点ですね。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 御指摘のとおりと存じますので、検討させていただきます。
 
○山口座長
 2012年の頃はまだ始まったばかりとは言いませんけれども、申請者のクオリティーもあまり高くないものもある時期でしたし、まだ不十分な点があったのかもしれません。そもそも研究が始まって、すぐに患者さんが登録できない状況になるということは予知できなかったのかとか、それが分かってから直ちにやめる方法はなかったのかと、この2つはやはり非常に問題だったと思います。これを反省の材料として、変わってくれたらいいなと感じました。ほかに御意見はございませんか。よろしいですか。それでは、皆様から頂いた御意見を取りまとめまして、告示番号旧6については、先進医療会議に報告したいと思います。
 続きまして、次の総括報告書の評価結果につきまして、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明いたします。資料2-1の33ページを御覧ください。先進医療Bの総括報告書に関する御評価を頂きますのは、告示番号旧21、「S-1内服投与、シスプラチン静脈内投与及びパクリタキセル腹腔内投与の併用療法」です。申請医療機関は名古屋大学医学部附属病院です。審査担当構成員は主担当が上村尚人構成員、副担当が柴田大朗構成員となっております。なお、冒頭に申し上げたとおり、北川構成員におかれましては、利益相反の関係で本議題の審議に際し御退席いただきたく存じます。御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 
(北川構成員 退室)
 
○山口座長
 それでは、資料に沿って御説明いたします。腹膜播種は胃癌患者の予後を規定する最も重大な因子である。また、その進行に伴って腹水貯留、消化管閉塞、水腎症などをきたし、患者のQOLを著しく低下させる。腹膜播種を伴う胃癌症例に限定した臨床試験は少なく、十分なエビデンスが存在しない。そのため、切除不能進行・再発胃癌全般に対する標準治療であるS-1+CDDP併用療法が行われているのが現状であった。本研究では胃癌腹膜播種に対するS-1/シスプラチン(CDDP)+パクリタキセル(PTX)腹腔内投与(IP)併用療法の安全性及び有効性の評価を多施設共同第Ⅱ相試験として実施する。
 主要評価項目は1年全生存割合、副次評価項目は1)有害事象発現状況、2)無増悪生存期間等、お示しするとおりです。目標症例数は、50例で登録症例数は53例となっております。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。では、本技術の評価について、主担当の上村尚人構成員から御説明をお願いいたします。
 
○上村(尚)構成員
 ありがとうございます。まず有効性については、これは既に先行する評価の中で主たる評価については既に評価済です。私は前回も同じ評価だったと思いますが、「B」の従来の医療技術を用いるよりも、やや有効であるという評価を付けております。これについては、もともと予後が不良な患者集団である腹膜播種を伴う胃癌患者ですので、もともと主要評価項目としては1年での生存率が設定されておりました。そこについては、点推定での期待値73%、閾値は54%を上回っているということです。少なくとも、S-1/シスプラチン併用療法のヒストリカルデータと比較すると、有効性が期待できる結果だと考えております。今回、特記すべき情報としては、3年生存率を含む副次評価項目に関してのアップデートがあったことです。特に、この3年生存率が20%を超えていると書いておりますが、ほぼ20%です。長期的な有効性という意味においては、ある程度期待ができる数字ではないかと思いました。ですので「やや有効である」と付けております。
 安全性については、問題はないわけではないので「C」の問題ありとしました。少し下のほうに、著効例による治療関連死亡が発生しております。これは、新しい情報ではありませんが、十分な安全対策が必要なことには変わりないので、問題ありといたしました。
 新たな照会事項の中で、もう1つ消化管の先行例の報告がありますので、それについても少し御質問いたしましたが、その1例の消化管に関する合併症は、今回の試験のプロトコールとは腹腔内のデバイスが直接穿破ようなものではないという御回答を頂いております。
 技術的な成熟度としては、「B」の当該分野を専門とし、数多くの経験を積んだ医師又は医師の指導の下であれば実施できるものと考えております。以上で一旦止め、総合的なコメントについては、柴田先生からの御意見も伺った上でまとめたいと思います。
 
○山口座長
 ありがとうございました。続いて、副担当の柴田構成員より御評価をお願いいたします。
 
○柴田構成員
 今、表示されている36ページ(資料2-1)です。今回の評価は昨年報告されました主たる解析後に出て来たデータと、その間、環境の変化があるかを踏まえて行いました。主たる解析時点で、当時、2年生存されている患者さんは3名いらっしゃったわけですが、その後の追跡に基づいて今回の最終解析の結果、3年生存されている方は9名に増え、3年生存割合は20.4%、3年無増悪生存割合は12.7%というのが新しく得られたデータです。
 本技術について、医療環境の変化等については後ほどお話しますが、従来の医療技術に優るか否かは、今後、ランダム化比較試験において結論づけるべきとの原則は、2021年6月18日の本部会において議論したときから変わらないと考えますので、「E」のその他としております。
 有効性に関する主たる解析の結果、事前の想定に合致する結果が出ていることは前回評価済ですが、先ほど申し上げました3年生存割合が20.4%と比較的良い成績であること自体は認め得ると思います。前回も指摘しましたが、これはもともと、次にフェーズⅢをして良いかどうかを判断するために行われている試験であり、それを踏まえますと、これに基づいて、大幅に有効であるという判断は厳しいと思っております。そのような可能性がある、今後の開発の余地があるという意味では、想定どおりの結果が出たということで良いかと思います。
 一方で、今後の展開は、昨年の評価時にも申請医療機関の先生方からも御回答がありましたが、一次治療の変化等を踏まえ、どのような試験を組むべきか、また、そのFeasibilityがあるのか悩ましいところであることは御回答からも読み取れますし、また、それについては対応が難しいと考えるところですが、先ほどの20.4%という数字の評価も含めて、現状の治療体系の中で、この成績を良いとみなし得るかどうかを議論できるようなエビデンスを出していただく必要があると考えている次第です。
 安全性ですが、1つ目のパラグラフは、前回の部会のときに指摘したことで、繰り返すことは省略いたします。その後に発現した事象を踏まえても、上記を大きく変える状況にはないと判断いたしました。
 技術的成熟度についても前回と同様ですが、現時点で日常診療下で実施できる状況までには至っていないと考えており、今後の検証が必要な段階であるため、「B」としております。私からは以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。それでは、上村尚人構成員から、何か追加のコメントがございましたらお願いいたします。
 
○上村(尚)構成員
 総合的なコメントということで、柴田先生もおっしゃったことと合致するわけですが、一定の有効性が期待できる、示唆できるデータが得られております。本治療法を標準的に用いるには、ランダム化比較試験も含む、それだけではないかもしれませんが、有効性と安全性を確立すべき検証的な試験が必要であるという原則には変わりないと思っております。
 ただ一方で、現時点で様々な分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬等を用いた開発も進行しております。これはほかの薬剤でという話ですが、そういった中で、この治療法を今後どのように位置付けて開発すべきかについては、悩ましい問題が存在していると思います。それから、薬事未承認の医薬品等を伴う医療技術の場合、薬事承認申請の効率化に資するかどうか等についての助言ということで、かなり私のバイアスのかかっている可能性のある意見を述べます。この治療法ですが、現実問題として、かなり自由診療で実施されている現状はあるようです。私も大手サーチエンジン等を使って検索を、例えば、パクリタキセル腹腔内投与等、そういった形で検索をかけると、複数の医療機関に自由診療で実施されている現状が容易に読み取れます。そういった状況もある中で、更に、臨床開発の競争的なランドスケープがあるわけですので、新しくこの治療法の有効性と安全性を検証するようなRCTを組むのは、かなり難しいのではないかと思います。
 1つには、この薬剤のパテントが切れており、パクリタキセル自体はもうジェネリックになっております。そういった背景もあるので、企業が積極的に開発しないのもあるのかと思います。一方で、この治療法を用いますと、3年生存率が20%期待できるという、この数値が本当であれば、ベネフィットを得られる患者さんは相当数が存在していると思います。ですので、リアルワールドでのデータ収集を含めて、少し考えていただくことは必要かと思いますので、現実的な開発戦略を考えていく必要があると思っております。
 いずれにしても、薬事承認に向けたロードマップ、当初のロードマップ等をしっかり再確認していただき、必要な修正があればロードマップを再考していただくことが必要になると思いました。まとめとしては以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。ただいまの御説明について何か御質問はございますか。いかがでしょうか。渡辺先生どうぞ。
 
○渡辺構成員
 日本医師会の渡辺です。上村(尚)構成員に、主観的かつ感情的な御質問をさせていただきますがよろしいでしょうか。まず、上村先生が述べられた論説は全くそのとおりだと思います。その上での御質問ですが、私見という形でお書きになっておられるように、これを皆保険の日本で、今後、RCTをするのは非常に困難だろうと私も思います。
 どうしても臨床研究というイメージでこれを見てしまうのですが、期待値を全て満たしている結果を得た場合に、研究者の方にとってみると、十分な結果が得られたと思ってしまうのではなかろうかと。感情的といった意味はA評価が大幅な改善であれば、B評価はやや改善というのは全く臨床的にそのとおりなのですが、この研究の建て付け自体が既存薬を併用して使い、なおかつ、予後が非常に悪い患者さんを対象にしていることを考えると、上村先生がおっしゃられたとおり、悪い言い方をしたら「良くやった」という結果ではないかと思います。つまり、初めからAが期待できないような研究という建て付けでB評価というのは、研究者にとってかわいそうかなと思います。このA評価、B評価というのは、大幅な改善がないと駄目なのでしょうかという御質問です。
 
○上村(尚)構成員
 そこはなかなか難しい御質問だと思います。あくまで主たる解析を中心に評価せざるを得ないと思っております。期待していたところとほぼ同じぐらいだということです。一方で、十分な比較をしていませんので、比較試験がこの試験においてはできていませんので、圧倒的にというのは難しいと、そのようなところで悩んだ末のB評価だというところも御理解いただければと思います。
 ただ、申請者と研究者とのやり取りを添付しておりますので御覧ください。見ていただくとお分かりかと思いますが、実は、この研究には類似する研究があり、非常に似たプロトコールで、そちらは比較試験をやっております。先行研究という形でフェニックスGCという試験が組まれております。こちらはこちらで少し問題が発生し、比較試験をやりましたが、標準治療に割り付けられた患者さんの一部が、やはり腹腔内投与のほうが良いという御希望があり、そちらの選択を自由診療で取られたことがあります。そういったことで、比較試験なのに、しっかりとした比較ができなかったことも背景として多分あったのだと思います。
 実は、そちらについては有意差が付いていません。数字がぱっと出てきませんが、少なくとも、主たる評価では有意差をもって、標準治療に対して有意差を付けて有意性を示すことはできておりません。そういった背景もあり、今の私の理解では、学会等が出しているガイドラインでも、これを積極的に推奨する立場は取られていないと理解しております。
 ただ一方で、先行研究の3年生存率のデータもかなり期待できるデータであったことは事実です。確か、こちらはPHOENIX-GCのほうも20%を超えています。今回の第Ⅱ相試験、プロトコールのレジメの内容は若干異なりますが、同じようなパクリタキセルを腹腔内投与したことにより、ほぼ同じような数値が出てきておりますので、再現性という意味においては、2つの、比較的、フェーズⅡとは言っても、これだけたくさんの施設の先生方が何年もかけて集められた、しかも、その患者さんは胃癌患者さんですが、腹膜播種があるが卵巣以外の遠隔転移はないという、極めて条件の厳しい患者さんではあります。一方で、そういった患者さんの予後が悪いのも事実です。そういった方々に対して全国の先生方が取り組まれて、2つの臨床試験でほぼ同じデータが出ていることも、我々は認識しておく必要があるので、総合的なコメントとして、少し戦略的なところも考えていく必要があるのではということで、コメントを付けさせていただきました。
 確か、私は前回も同じような趣旨のコメントをさせていただきました。当時は何らかの条件を付けた承認等も考慮に入れて、議論すべきではないでしょうかと申し上げたことを覚えております。今回もほぼ同じことを申し上げていると思います。
 
○山口座長
 ありがとうございます。この点に関して何か御意見はございませんか。私はたまたま胃がんが専門ですので少しコメントいたします。これはAとは到底評価できないと思います。なぜならば、まずは症例数が少なすぎること、最近の抗がん剤治療は奏効することも結構珍しくなく、3年生存はそんなに希ではありません。ですから、全然効かないとはいいませんが、これだけをもってAというのはなかなか難しいのではないかという印象です。
 この試験は、そもそもフェーズⅢに進むための試験であって、そのような結論を得ることはもともと企画していないわけです。ある程度の感触がつかめましたので、是非、研究者も今後治験又は先進医療として検証的試験に進んでいただくのが本筋ではないかと思います。僭越ですが、司会者としての印象です。ほかにございませんか。柴田先生どうぞ。
 
○柴田構成員
 今、山口先生に御指摘いただいたことと重複しますが、もともと先進医療あるいは、その前身の高度医療評価制度の中で、昔、検証的でない試験をやって良いのかどうかという議論がありましたが、これについては、やはり治療開発をしていく上で検証的ではない段階のものもきちんとやっておかないと、検証試験に進むかどうかを判断する臨床試験をやっておかないと治療開発は進まないこともあり、今回のような、これに基づいて断定的な結論を導くことはできないが、中間的な第Ⅱ相試験をやることも許容し得るであろうという議論に基づいて、実施されていたものだと認識しております。
 現状の評価表は、基本的に検証的な試験を前提にするならば、A、B、C、Dを付けやすいわけですが、今回、そこが探索的な段階から検証的なフェーズに進む前段階のものですので、私もA、Bは付けにくくEと判断すべきかなと思った次第です。いろいろな試験のパターンがありますので、事前に想定して結論付けられることは余り強いものではないというのが試験デザイン上の解釈だと考えております。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございます。ほかにございませんか。もう1つ、前から天野先生がおっしゃっているように、先進医療でやって、ある程度手応えがあったところだけが強調されて、自由診療がどんどん行われていく、しかも、それがきちんと評価されないまま漫然と続くことは大変問題ではないかと思います。その辺りは天野先生いかがですか。
 
○天野構成員
 今の専門の先生方の議論を伺って、この評価を含めて理解したところです。ただ、座長が御指摘のように、一般の方が3年生存率20%という数値だけに着目してしまうと、ミスリードする可能性があると思います。ここは慎重に検討していただきたいと考えます。
 
○山口座長
 ありがとうございます。ほかに何かございますか。藤原先生どうぞ。
 
○藤原構成員
 これは以前も事務局にお願いしたのですが、この腹腔内パクリタキセルのいろいろな審査をする場合には、過去からも様々な先進医療をされているので、その一覧表を準備されていると思います。以前も出していただいたことがありますが、その一覧表を必ず付けていただいて、こんなにやっているのに、何でいつまでたっても最後の結果が出ないのかということを、常に皆さんにさらしていただきたいです。これを永遠にやっているのです。
 例えば、先進医療Bを終了し患者申出療養への登録終了後でも、東大病院でもクラウドファンディングを使って今でもやっています。その辺をみんなが常に情報を共有して評価していただきたいです。これは胃癌学会の最新のガイドラインでも、これが素晴しいですという記載になっていないのは、専門家の中でも意見が分かれているのだろうと推察いたします。
 一番大事なのは、評価表に薬事承認申請をやってほしいと書かれても、申請者がいないのが一番のネックになるという点です。申請は腹腔内パクリタキセルの用法・用量追加の申請になるのですが、申請者が決まっていない、要するに、企業が挙手しないのに、いくら申請しろと言っても申請してくれる人がいないので、これは多分、スタックするのは間違いないと思うので、その辺りも皆さんで、企業に申請してもらえるような気分にしないといけないのは非常に大事なところですが、それもずっとやられていないので、今後も注意して皆さんで見ておいていただきたいと思います。薬事承認申請はアカデミアがやるのではなく企業がやるので、そこも忘れないでいただきたいと思います。これはコメントです。
 
○山口座長
 貴重なコメントをありがとうございました。ほかにございませんか。
 
○上村(尚)構成員
 よろしいですか。
 
○山口座長
 どうぞ。
 
○上村(尚)構成員
 先生方のおっしゃるとおりなのですが、結局、この試験は確か2017年から5年たちました。この腹腔内投与をしたのも2006年からです。そうすると、もう20年はたっているのですが、それだけやってきて、結局、先進医療も含めていろいろなことをやりましたが、結果的には自由診療を後押しする結果になってしまっており、そこは先進医療を進めてきた一員として、もどかしい感じは残ります。
 薬価という意味において、今、藤原先生が企業がやってくれないことを御批判も含めてあったかと思いますが、パクリタキセルの薬価、例えば、今、いろいろな新しい抗体薬等ができていますが、恐らく薬価が100倍ぐらい違うと思います。ですので、今回のフェーズⅡの試験では、確か1回当たりの治療費が2万円ぐらいです。パクリタキセルは2千円の世界です。それに対して、もちろんポートを入れたり等の値段は入ってきますが、抗体薬は何十万という話をしていますので、どうしても何十万という話が先行してしまい、そちらはどんどん開発が進むのですが、ジェネリックを使ったような医薬品の開発はアカデミアが中心となり、最後、そこで止まってしまうという、そこは少し制度的な後押しをしないとなかなか進まないと感じました。これもコメントです。
 
○山口座長
 ありがとうございました。ほかにございませんか。よろしいでしょうか。今回、いろいろ有意義なディスカッションができたと思います。ほかになければ、告示番号旧21については、ただいま御審議いただいた結果を取りまとめて、先進医療会議に御報告いたします。では、北川構成員にはお戻りいただいてください。
 
(北川構成員 入室)
 
○山口座長
 続いて、先進医療Bの継続の可否に関わる審議結果の報告について、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 それでは御説明します。資料3、47ページです。国立循環器病研究センターからの申請で、告示番号54、「テネクテプラーゼ静脈内投与療法」です。本技術は、本申請医療機関が臨床使用実績の効率化要件に該当するため、使用実績がない状態で申請され、承認、告示されたものです。適応症は、脳梗塞(発症から4.5時間以内のものに限る。)です。
研究の概要につきましては、脳梗塞急性期に対して、血栓溶解薬テネクテプラーゼの有効性と安全性を確立する。具体的には、発症後4.5時間以内の脳主幹動脈閉塞による脳梗塞急性期患者におけるテネクテプラーゼの安全性を少数例で確認する。その後、有効性及び安全性についてアルテプラーゼを対照として、非マスキング無作為化並行群間比較試験にて検討し、主要評価項目である試験薬開始後早期の良好な血管再開通に関するテネクテプラーゼのアルテプラーゼに対する優越性を証明するとあります。
 次のページ、継続の可否の評価に必要な症例数は6例とありますが、補注といたしまして、IDMCからの提言により、安全性検討フェーズを6例未満で終了する場合もあり得る(第128回先進医療技術審査部会の変更申請で了承ずみ)とあります。継続の可否の評価に必要な評価項目につきましては、国立循環器病研究センターでのみ行われる安全性検討フェーズで得られた6例の結果は、投与開始72時間後までの安全性データと投与90日後までの安全性データ及び凝固線溶系マーカーを含む詳細報告に分けて、独立効果安全性評価委員会(IDMC)に掲題する。研究代表医師は、1例ずつ安全性データを確認してIDMCに報告し、試験継続の可否について審議を依頼する。研究代表医師は、IDMCの審議結果を踏まえて運営委員会を開催し、6例の安全性の承認が得られた場合、先進医療技術審査部会に諮ってその承認を得たのちに、比較検証フェーズに進む。必要に応じて臨床試験実施計画書を変更し、認定臨床研究審査委員会(CRB)に掲題する。研究代表医師は、IDMCおよびCRBの審議結果に基づいて、本試験の継続の可否を判断する。なお、IDMCからの提言により、安全性検討フェーズを6例未満で終了する場合もあり得る、とされているとあります。
継続の可否に係る独立した委員会の審議結果につきましては、4例目におきまして、本剤投与後の臨床経過について、投与後にごく軽度の脳梗塞出血性転化を認めるが、非投与例でも認められる程度であり、安全性について問題がないとの意見、並びに発症前から抗血小板薬を内服している症例で、出血のリスクの高い症例に投与したにも関わらず、この程度の出血で済んだことは評価すべきとの意見があった。本例は新たな合併症も発生しておらず、安全性という観点から問題がなかったとの認識で一致した。続いて、前回の提言どおり追加3症例を満了せずに、次期フェーズに移行可能かという点についての討議に入り、全員一致の意見として、本例をもって次期フェーズに移行可能との結論に至った。ただし、まだ十分な症例数の蓄積がないことから、次期フェーズ早期に一定数の症例が蓄積した時点で、安全性を再確認したほうが今後の試験継続に有益との提案があり、合計10例(次期フェーズにて6例集積時点)で再度本委員会を開催し、安全性を評価することを併せて提言したとあります。その結果を受けて、先進医療技術審査部会構成員(主担当および生物統計家)によってご審議(メール稟議)いただいた結果、先進医療継続可との評価を得たため、新規症例登録が再開されています。以上がご報告ででございます。
 
○山口座長
 よろしいでしょうか。何か御質問はございますか。ないようですので、告示番号54につきましては、ただいま報告いただいたとおり、試験を継続いただきたいと思います。
 続きまして、試験実施計画の変更について、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明します。今回、試験計画等の変更申請が3件と、再審議の変更申請が1件提出されております。
 資料4、51ページです。国立がん研究センター中央病院からの申請で、告示番号26、術後のアスピリン経口投与療法です。適応症は、下部直腸を除く大腸がん(ステージがIII期であって、肉眼による観察及び病理学的見地から完全に切除されたと判断されるものに限る)です。御審議いただく主な変更内容につきましては、52ページです。(マル1)登録期間の延長、(マル2)情報更新(研究者情報の更新)とあります。
 変更申請する理由としまして、(マル1)登録期間の延長ですが、本試験は、2018年3月30日登録開始時、予定登録期間3年としておりましたが、登録ペースが遅いため、2021年2月12日の第113回先進医療技術審査部会で1年6か月の延長についてご承認いただきました。2022年6月5日時点の進捗は、予定登録数880例の90.0%である792例が登録されております。しかし、直近6か月の月あたり最低登録患者数は14人であり、登録終了予定日に予定登録数に達しない可能性があります。そこで今回、2か月の登録期間の延長を行います。また、本試験のバイアスピリンとプラセボ錠の提供元であるバイエル株式会社とも面談を行い、登録期間延長と登録期間延長に伴う試験薬提供時期の延長について合意を得ております。引き続き本試験の意義と重要性を参加施設に周知し、登録の改善に努めて参りますとあります。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。本変更内容につきまして何か御意見ございませんか。既に831例集まって、もう少しなので2か月ということですが、特に問題はないですね。特に御意見はないようですので、告示番号26の変更につきましてはお認めすることとします。
 続きまして、次の試験実施計画の変更につきまして、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明します。資料5、53ページです。慶応義塾大学病院からの申請で、告示番号36、イマチニブ経口投与及びペムブロリズマブ静脈内投与の併用療法です。適応症は、進行期悪性黒色腫(KIT遺伝子変異を有するものであって、従来の治療法に抵抗性を有するものに限る。)。御審議いただく主な変更内容につきましては、54ページです。(1)安全性の解析対象集団のうちDLT解析対象集団に関する追記。安全性の解析対象集団から、DLT評価不能例を除いた集団とする。なお、DLT評価不能例とは、登録後に試験薬が1回以上投与された被験者集団のうち、適格性に問題がある、あるいは毒性以外の理由による早期中止などの理由でDLT評価不能と判断した被験者とする。なお、本試験における早期中止の定義としては、ペムブロリズマブ2回の投与、イマチニブは21日以上の服薬を受けていない時期の中止とするとあります。
 変更申請する理由としましては、(1)第Ⅰ相試験Level1からLevel2への移行に際し、Level1に登録され試験治療を受けた3例のうち、1例においては原疾患の増悪による試験中止に伴い、イマチニブの服薬期間が短かったことに関する検討と対応が必要であったため、安全性解析対象集団のうち、ペムブロリズマブ2回の投与、イマチニブは21日以上の服薬を受けた被験者をDLT解析対象集団とするという基準を新たに追加した。なお、効果・安全性評価委員会での審議の結果、今回の試験実施計画書等の改訂についても妥当であると判断されており、本結果を受けて、第132回先進医療技術審査部会より先進医療継続可との判断を頂いているとあります。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。本変更内容につきまして何か御意見ございませんか。特にないようですので、それでは、告示番号36の変更につきましてお認めすることとします。
 続きまして、次の試験実施計画の変更につきまして、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明します。資料6、55ページです。国立精神・神経医療研究センター病院からの申請で、告示番号60、「反復経頭蓋磁気刺激療法」です。適応症は、うつ病(急性期において当該療法が実施された患者に係るものであって、薬物療法に抵抗性を有するものに限る。)です。御審議いただく主な変更内容につきましては、56ページです。1、質問票の評価者の追加とあります。変更申請する理由としましては、質問票の評価者について、臨床試験に携わった経験のある評価者で、臨床心理士あるいは公認心理師としていたが、現場の状況を鑑み、精神科医師も追加したとあります。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。本変更内容について何か御意見はございませんか。よろしいでしょうか。特に御意見はないようですので、告示番号60の変更について認めることとします。
 続きまして、次の試験実施計画の変更につきまして事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明いたします。資料7、57ページを御覧ください。神戸大学医学部附属病院からの申請で、告示番号59、「ベバシズマブ局所注入療法」です。こちらにつきましては、申請時に事前評価を頂きました構成員による指摘事項に対する回答をお示ししております。なお御参考として、第136回先進医療技術審査部会にて御審議いただいた際の資料につきましては、60ページからお示ししております。
 説明同意文書について、1.7のスケジュール表の説明部分について、わかりにくいと思われる所が1箇所ありました。変更案を示すので御検討くださいということで、変更案を御提示いただき、回答としてご指摘のとおり改訂いたしましたとございます。
2.同意取得に際し、以下の3種類があると考えられます。同意取得時点で両眼が治療対象の場合、a.片眼だけという選択肢はなく、両眼ともに治療を行うことに対する同意が前提と考えますが、その点につき明記をお願いします。同意取得時点で片眼のみが治療対象の場合、b.最初は片眼で、あとで両眼を治療することになれば、それに関してもあらかじめ同意。c.片眼だけ治療することのみに同意。b.、c.については、それが選べ、かつ問題点が分かるような説明文書にする必要があります。なお片眼だけを治療するときのメリットデメリット、両眼を治療するときのメリットデメリットも記載していただく必要があると思います。
 回答として、本研究への参加同意は、眼単位ではなく、人単位となります。抗VEGF薬の全身への影響を併せて評価する必要がある計画のため、眼ごとに異なる薬剤を使用する状況があると、薬剤の正しい評価が行えなくなる恐れがあります。このため、当初から両眼とも原則同一の抗VEGF薬を使用することについて同意頂くことといたしております。つまり御指摘いただいたc.の場合には、研究そのものにご参加いただけないこととなりますとなっております。具体的に、(マル1)同意取得時点で両眼が治療対象の場合、及び(マル2)同意取得時点で片眼のみが治療対象の場合で、経過観察中に他眼も治療することとなる場合につきまして、記載のとおりといたしております。
 ページをおめくりいただきまして、両眼を同時に治療した場合と、片眼ずつ治療を行った場合のメリットとデメリットにつきましては、両眼を同時に治療した場合のメリットとして、治療時の鎮静が1回のみとなります。片眼ずつ治療を行った場合と比較して、経過観察期間、入院・外来受診が短縮されます。デメリットとしては、両眼ともに抗VEGF薬を投与することで、片眼ずつ治療した場合と比較して、薬剤の投与量が2倍となり、全身への副作用が発生率が高まる可能性があります。ただし、抗VEGF薬の硝子体注射について、投与量による全身副作用の増減を示唆する報告はこれまでに存在しません。
 片眼ずつ治療を行った場合のメリットは、両眼同時に抗VEGF薬投与する場合と比較して、薬剤の投与量が半分になり、全身への想定外の副作用のリスクが軽減される可能性があります。ただし、抗VEGF薬の硝子体注射について、投与量による全身副作用の増減を示唆する報告はこれまでに存在しません。
 デメリットは片眼ずつ治療を行うため、薬剤による鎮静を2回行うこととなります。両眼同時の治療を行った場合と比較して、経過観察期間が増加します。両眼を同時に治療した場合と比べて、片眼ずつ治療を行った場合のメリット及びデメリットについて、新たに同意説明文書に追記いたしました。
 また参加基準について、以下の文言を追記いたしました。代諾者から両眼につき(当初片眼のみ治療対象であった場合、対眼が将来的に治療対象となった場合は、その対眼についても)研究参加の同意を得られた児とございます。
 3.今回、両眼の治療を行うことを前提としているように読めます。片眼をやってからもう1つもやりたくなった場合には、同意の撤回になるのでしょうかということです。回答といたしまして、研究そのものへの同意の撤回・脱落として考えております、とございます。以上です。
 
○山口座長
 本変更内容につきまして、何か御意見、御質問ございませんか。よろしいでしょうか。特にないようですので、それでは告示番号59の変更につきましてはお認めすることといたします。続きまして、先進医療Bの協力医療機関の追加について、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明します。資料8-1、63ページを御覧ください。告示番号54について13件、告示番号56について1件、告示番号63について2件、整理番号128について3件の協力医療機関の追加申請がございました。資料8-2、65ページ以降を御覧ください。事務局において先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件、様式第9号を満たしていることを確認いたしました。協力医療機関の追加として御了承いただきたく存じます。特に御意見がなければ手続を進めさせていただきます。以上でございます。
 
○山口座長
 よろしいでしょうか。それでは事務局は手続を進めてください。続きまして先進医療Bの試験終了に伴う取下げについて、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明いたします。資料9、73ページを御覧ください。先進医療の取下げとして、告示番号42の1件の申請がございました。取下げ理由の所に記載がありますが、告示番号42につきましては、目標症例数15症例の登録を完了し、観察期間終了予定の2022年6月30日まで(最終症例は6月29日に評価)に全症例の観察機間を終了したため。なお、総括報告書については作成次第提出予定であるとございます。以上について特に御意見がなければ、手続を進めさせていただきます。
 
○山口座長
 よろしいでしょうか。それでは事務局は手続を進めてください。それでは本日の議題は以上でございます。構成員の皆さま、何か全体を通して御意見、御質問ございませんか。どうぞ。
 
○藤原構成員
 藤原です。全体を通じて事務局に将来的に向けてのお願いが1つあります。以前、各申請について、例えば総括報告書の評価表については、柴田構成員が確か言われて、全ての評価表に臨床研究登録IDが付けられて、見やすいように、後から振り返りやすいように作られているのですが、例えば議事次第とかを見てみると、告示番号は書いてあるのですが、ここに私の希望としては臨床試験登録番号を入れておいていただく。10何年もこれ、多分やっていると思うのですけれども、告示番号は変わって、この旧の告示番号とか、新しい告示番号とか、昔から知っている人は分かるのですけれども、ほかの人はこれ、何やっているんだか分からないし、私は自分がその担当するときに、過去の部会でいつこれやったのかなと見ようと思っても、議事次第見ても全然分からないので、全部いちいち中見ていかないと、昔どこで何をやったかというのがとても把握しにくくて。事務局さんは把握できると思うのですけれども、評価の委員とか一般の国民の人たちが、これを見直すときに、とても見にくいので、お願いとしては議事次第にも各資料1-1の所に、今回は臨床研究登録番号は何であるとか、あるいはこの資料、協力医療機関の追加とか、プロトコールの変更についても告示番号と並列して、臨床研究登録番号は何番ですとか書いていただくと、オープンサイエンスというか、誰もがこの先進医療の実態を把握しやすくなるのではないかなと思うのですけれども。事務局、面倒くさいですか。
 
○山口座長
 いかがですか。どうぞ。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 ちょっとスペースの問題等もございますが、御指摘ありがとうございます。検討させていただきます。ありがとうございます。
 
○山口座長
 よろしくお願いします。確かに後で見直すときに、たくさんあって、なかなか全部把握するの難しいことが多いので、もし可能でしたら、是非、検討してください。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 ご指摘ありがとうございます。検討させていただきます。
 
○山口座長
 ほかにございませんか。ないようでしたら次回の日程を事務局からお願いします。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 次回は、令和4年9月15日(木)の開催とさせていただきます。時間は16時から18時までの予定で、詳細につきましては別途御連絡させていただきます。また本日の議事録については作成次第、先生方に御確認をお願いし、その後公開させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 
○山口座長 それでは第137回先進医療技術審査部会を終了いたします。活発な御討論、ありがとうございました。
 

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