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2021年12月9日 第126回先進医療技術審査部会 議事録

 
 


(1)日時:令和3年12月9日(木)16:00~

(2)場所:TKP新橋カンファレンスセンター「ホール14F」(オンライン)

(3)出席者
山口座長、一色座長代理、天野構成員、伊藤(澄)構成員、伊藤(陽)構成員、上村(尚)構成員、掛江構成員、神村構成員、後藤構成員、坂井構成員、佐藤構成員、真田構成員、田島構成員、飛田構成員、藤原構成員、松山構成員

(事務局)
医政局研究開発振興課 課長補佐
医政局研究開発振興課 先進医療係長
保険局医療課 先進・再生医療開発戦略専門官


【議題】

1.新規申請技術の評価結果について
2.総括報告書の評価について
3.試験実施計画の変更について
4.協力医療機関の追加について
5.その他
 

【議事録】

○山口座長
 定刻となりましたので、第126回先進医療技術審査部会を始めさせていただきたいと思います。御多忙の折、お集まりいただきましてありがとうございます。本日は、オンラインでの開催となります。
 本日の構成員の出欠状況ですが、本日は上村夕香理構成員、柴田大朗構成員より御欠席の御連絡をいただいております。また、一色高明座長代理には、本日は会場にて御出席いただいております。どうもありがとうございます。本日は18名の構成員のうち、今のところ15名の構成員にお集まりいただいておりますから、本会議が成立していることを申し添えます。
 それでは、配付資料と本日の審査案件の確認を事務局からお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 よろしくお願いいたします。傍聴者の方の撮影はここまでとさせていただきます。御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。配付資料につきまして確認させていただきます。
 議事次第から、座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿と続きます。続きまして、新規申請技術の評価については資料1-1~1-5、総括報告書の評価については資料2-1~4-3、試験実施計画の変更については資料5、協力医療機関の追加については資料6-1及び6-2、令和3年度先進医療技術の実績報告等については資料7、先進医療B総括報告書及び観察研究報告書提出状況一覧は資料8-1及び8-2、会議資料の最終ページは149ページとなります。お手元の資料に乱丁、落丁等がございましたら事務局までお知らせください。
 続きまして、利益相反の確認です。申請医療機関との関係、対象となる企業または競合企業について、事務局から事前に確認させていただいております。今回、告示番号旧13の技術、名古屋医療センターからの総括報告について、伊藤澄信構成員におかれましては、御所属の機関との関係で、また、当該研究の監査担当者ということで、審議の際は一時御退席いただければと思います。また、飛田構成員におかれましては、当該技術に関わる医薬品等製造販売業者との利害関係を有するとの御報告がありましたので、同様に審議の際は一時御退席いただければと思います。次に、告示番号15の技術、静岡がんセンターからの総括報告についてですが、藤原構成員におかれましては、当該技術の調整医療機関である国立がん研究センター中央病院について、非常勤として御所属の医療機関ということですので、審議の際は一時御退席いただければと思います。また、飛田構成員より御報告がありましたが、50万円以下でしたので当該技術の議事取りまとめ及び事前評価に加わることができます。次に、告示番号旧46の技術、東京大学医学部附属病院からの総括報告について、松山構成員より御報告がありましたが、50万円以下でしたので当該技術の議事取りまとめ及び事前評価に加わることができます。事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がございましたら、この場で御報告をお願いいたします。それでは、該当なしということで承知いたしました。
 また、今回は資料を事前にメールでお送りしております。会議資料と区別して、構成員・事務局限りの届出書類等をタブレット資料と御案内します。なお、会議資料とタブレット資料の内容は異なっておりますので、発言者は会議資料の何ページ、またはタブレット資料の何ページとあらかじめ御発言いただけますと議事の進行上、助かります。本日はオンラインでの開催となり、構成員の先生方には大変御不便をおかけいたします。御発言いただく際には、初めにお名前をおっしゃっていただくようにお願いいたします。その他、途中で接続トラブル等がございましたら、お知らせいただきますようお願いいたします。また、WEB会議ソフトには手挙げ機能がついておりますので、こちらも適宜御活用いただければと存じます。以上でございます。
 
(後藤構成員入室)
 
○山口座長
 ありがとうございました。では、議事に入りたいと思います。新規申請技術の評価結果につきまして、事務局から説明をお願いします。
 
○研究開発振興課長補佐
 御説明いたします。資料1-1、15ページを御覧ください。先進医療Bとして新規に御評価をいただく技術は、整理番号120「自己骨髄由来培養間葉系細胞移植による末梢動脈疾患に対する完全自家血管新生療法」です。申請医療機関は、東京医科大学病院です。審査担当構成員は、主担当が松山構成員、副担当が後藤構成員、飛田構成員となっております。
 資料1-5、71ページを御覧ください。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について、事務局より御説明いたします。まず、1番目の実施責任医師の要件です。診療科は、心臓血管外科あるいは循環器科が必要。資格は、3学会構成心臓血管外科専門医あるいは日本循環器学会認定循環器専門医が必要。当該診療科の経験年数は、10年以上が必要。当該技術の経験年数及び当該技術の経験症例数は、不要となっております。2番目の医療機関の要件です。診療科は、心臓血管外科または循環器内科を標榜していることが必要。実施診療科の医師数は、実施診療科において、常勤の医師が2名以上配置されていることが必要。他診療科の医師数は、血液内科、麻酔科、および皮膚科あるいは形成外科の常勤医師が配置されていることが必要。その他医療従事者の配置は、専任の細胞培養を担当する者が配置され、院内で細胞培養を実施していることが必要。病床数は、200床以上が必要。看護配置は、7対1看護以上が必要。当直体制は、内科系、外科系を含む常勤医師による当直体制が配置されていることが必要。緊急手術の実施体制及び院内検査(24時間実施体制)が必要。他の医療機関との連携体制は必要。ただし、自施設で対応可能な場合は不要。医療機器の保守管理体制が必要となっております。医療安全管理委員会の設置は必要。医療機関としての当該技術の実施症例数は不要となっております。72ページにお進みください。3番目、その他の要件として、頻回の実績報告は不要となっております。事務局からは以上でございます。
 
○山口座長
 ありがとうございました。これらの要件につきまして、何か御意見、御質問はございませんか。71~72ページのところです。
 
○一色座長代理
 一色です。他診療科の医師数の記載ですが、確認ですけれども、「および」の前は両方とも必要な診療科という理解になりますでしょうか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 それにつきましては両方とも必要という理解で差し支えありません。
 
○一色座長代理
 そうすると、皮膚科と形成外科が並列で、どちらかということですか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 どちらかということです。
 
○一色座長代理
 内容を拝見すると、血管新生療法なので、本質的には皮膚科の先生はあまり関わらない可能性が高いのですけれども、形成外科なしで皮膚科だけある施設でも可能ということは妥当かどうかということについてはいかがでしょうか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 主担当の先生の御意見を伺いたいと思いますが、松山先生、いかがでしょうか。
 
○松山構成員
 今回は潰瘍を対象としているわけではなく、アンピュテーション、下肢の切断をエンドポイントとしているということでございまして、形成外科あるいは皮膚科のいずれかがいらっしゃればオーケーであろうと考えます。
 一方で、血液内科の先生に骨髄を取ってもらわないといけないのと、筋肉の中にかなりのボリュームの細胞を注射いたします。全身麻酔下で行いますので麻酔科は必須でございますので、皮膚科あるいは形成外科がいらっしゃったら構わないのではないかと考えます。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。一色先生、いかがですか。
 
○一色座長代理
 切断ということになりますと、手技的には形成外科になるのかなとは思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。もう一度、御意見を伺いたいです。
 
○松山構成員
 ありがとうございます。切断を予防するためにという形で、今回の試験を計画しておられるというところでございます。皮膚科の先生も外科的な処置をされますし、形成外科の先生も皮膚科オリジンの先生がいらっしゃるので、そのところはあまり区別していなかったのですが、一色先生のコメントがあれば、それに従おうと思います。よろしくお願いいたします。
 
○山口座長
 これについて、どなたか御意見はありますか。いずれかではなくて、両方が必要ということですか。
 
○一色座長代理
 いずれにしても大学レベルの病院でなさる研究だと思いますので、両方あってもよろしいのではないかというのが私の考えですけれども、ほかの構成員の先生方、いかがでしょうか。
 
○山口座長
 いかがでしょうか。うなずかれておられる方が多いと思います。だんだんWEB会議に慣れてきて、皆さんの意見が分かるようになってきました。では、特に無理な要求でもないようですし、あったほうがいいという御意見がありましたので、よろしいですか。
 
○一色座長代理
 もし御懸念があるのでしたら、申請されている医療機関のほうに御意向を確認していただくという手順を先にしていただいてもよろしいかと思います。
 
○山口座長
 分かりました。そういう意見が出たので、打診してもらいます。今回の要件については、ここのところは並列に扱うというか、どちらかではなくて同等に扱うということを条件に、様式第9号についてはお認めすることとしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。どうもありがとうございました。
 次に、技術の概要と実施体制の評価につきまして、主担当の松山構成員より御説明をお願いします。
 
○松山構成員
 ありがとうございます。この技術に関しましては、血管新生を目的として、患者さん御自身の骨髄を採取し、それを自己血清で培養することによって、例えばプリオン等の外来の感染症の伝播を抑制した上で拡大培養して、実質的に血流が低下している筋肉に対して、筋肉内に細胞を注射するという技術でございます。血管新生が期待されることによって、下肢の切断率が、あるいは皮膚潰瘍がございましたらそれが改善することが期待されているものでございます。
 実施体制の評価に入らせていただいてもよろしいでしょうか。実際は、しっかりと骨髄が取れて、それをしっかり培養できるか、それからしっかり打てるか、この3点だと思うのですけれども、今回72ページの要件定義にございましたが、院内で細胞を培養できる技師さんをしっかり雇用されているということでございますので、細胞自身の品質的にはおおむね問題ないだろうと思われます。
 手技に関しましては、特にこのチームは昔から血管新生療法を細胞で行ってきたという経緯があって、実施可能であろうと考えております。
 実施医療機関といたしましては、麻酔科、血液内科、そして皮膚科及び形成外科という御指摘になりましたけれども、その体制も整えておられるので適切であろうと思っています。
 有用性に関しましては、ASOに対しては血管新生は本当に効果があるのかということが非常にコントロバーシャルなデータが世界的にございまして、有効であるという論文は実は我が国からしか出ていない。しかもそれが遠位側での血管障害の場合には有効であるという論文でございました。今回、それら論文を渉猟した上で、非常に大量の細胞を投与するということでございますので可能性があるのかなと私も考えまして、医療技術の有用性としては適とさせていただいております。
 なお、細胞に関しまして、これは再生医療等安全性確保法の下で行われていますので、いわゆる自己のものなので第2種の対応となります。そこの中で議論をしていただいたのですが、一部、治療と研究の部分をなかなか区別しておられないような記載がございましたので、後藤先生や飛田先生と共にこの部分を御修正いただいたということと、ロードマップ上でこの先進医療を行った後に治験に進まれると書かれていたので、私も再生医療関係でPMDA様とお話を何回もしていることがございまして、品質管理のこととかを含めていろいろと質疑でやり取りをさせていただいて、しっかりと品質の確保等も水準が上がったのかなと。これであれば先進医療としてきっちりとしたmode of actionを規定する上でのProof of Concept試験になるのではないか、POCを取得できるのではないかと考えて、有用性に関して適とさせていただきました。私のほうは一旦以上でございまして、事務局にお返しいたします。
 
○山口座長
 ありがとうございました。続いて、副担当の後藤構成員より、倫理的観点からの御評価について御説明をお願いします。
 
○後藤構成員
 後藤でございます。コメントに書かせていただいたとおりでございます。最初の段階では、今、松山構成員からお話もあったように、どのような患者さんが対象となるかが不明確であったことや、臨床研究のスケジュールが曖昧で、採血や骨髄採取から細胞移植に至るまでの過程で、患者さんが何をどのようにすればいいのかということが分からない書き方になっておりました。また、これは金銭の負担がかなり患者さんにかかってくるプロトコルになっておりますので、研究の離脱、いつ離脱するかによって、幾らお金を払わなければいけないかが変わってくる。そういう関係が明確ではなかったということがございますけれども、何回かというよりもかなりやり取りをさせていただいた中で、それが是正されたということがございましたので、同意に係る手続、同意文書、そして補償内容についても適とさせていただきました。以上でございます。
 
○山口座長
 ありがとうございました。続いて、副担当の飛田構成員より、試験実施計画書等の評価について御説明をお願いします。
 
○飛田構成員
 飛田です。よろしくお願いします。私の評価に関しては、資料の18ページ、19ページに記載させていただいていますので、そちらをご確認ください。
 本技術に関しては、先ほど松山先生、後藤先生からお話があったとおり、当初は本当に治療なのか研究なのかよく分からないような、研究のプロトコルとして記載が随分不十分な箇所が多く、特に有効性の評価項目もかなり曖昧な設定がなされていました。
 本試験の主要評価項目は、移植後1年後までに下肢切断に至らなかった患者さんの割合として救肢率が設定されています。この救肢率は、研究者の先生方が先行研究でも利用されていたようですが、先行研究の結果を確認したところ、死亡例であっても切断されていなければ救肢として評価されるような定義になっていました。その点を含めて照会事項を何度もやり取りさせていただいて、1年後の経過観察前の追跡終了例、死亡例、後治療が提供された被験者は、いずれも救肢には含めず、切断例と同様に扱う保守的な定義に修正していただきました。また、修正された救肢率に基づいた閾値の設定、目標症例数なども適切に修正されたと判断しております。
 また、対象者の適格基準、除外基準、選定方法が、研究者の先生方の意向で選択できるような曖昧な適格基準になっていましたので、照会事項のやり取りをさせていただき、治療ではなく研究であるということを踏まえて定量的な適格基準に修正されました。その他の記載整備等も含め、本試験実施計画書が研究として成り立つと考えられるレベルにまで達したと考えられましたので、最終的には、いずれも適と判断をさせていただいています。最後の一文に関しては単なる感想なので割愛しますが、以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。では、1~16の総評につきまして、主担当の松山構成員よりお願いします。
 
○松山構成員
 今回、もう少し早く上程できればよかったのですけれども、申請者とのやり取りにかなり時間がかかりまして遅くなり、大変申し訳ありません。ただ、やはり大学の先生方ということもございまして、私たち飛田先生や後藤先生の御指摘も合理的だと御理解していただけまして、適切に修正をいただき、今回、適という判断をさせていただいております。
 なお、追加でコメントを申し上げさせていただきます。当初の申請では、治療と研究の混同と思われる記載が多々あり、適切に修正いただきました。また、治験に移行するという前提での先進医療であるため、当該技術に用いる細胞の品質規格、作用機序の明確化について、議論させていただきました。この部分に関しましては、昨今の再生医療、特に中央に上がってこない第2種、第3種のものに関しましては、なぜ効いているのかよく分からない再生医療が漫然として使われているという問題意識を私自身、考えているところでございまして、今回しっかりと先進医療で評価していただいて、効果があるのか、ないのか。効果があるのであれば、どのようなmode of actionであるのか。あるいは、効果がある患者さんはどのような患者さんであるのかということを研究者としてしっかりと明らかにしていただきたいと考えております。
 本研究での個々の被験者での品質と有用性評価項目の相関についても検討することで、次のステップである治験に向け、有用なデータが蓄積されることを望みます。ですから、先ほど飛田先生がおっしゃいましたけれども、できるだけ幅の広い患者さんのリクルートをしたいという意向で最初は計画に書かれておりましたが、随分適切な患者さんに絞り込まれたと思います。でも、それも本当に効果が得られる患者さんと、残念ながら効果が得られない患者さんがおられるはずで、その部分をこの先進医療でしっかりと検討し、治験に進んだときの選択基準、除外基準に生かしていただければ、再生医療としてもこの技術は真の有用性が提供できるのではないか。
 また、本審査でのやり取りに関しましては、先進医療技術の検討に当たり最低限検討すべき事項と考えております。これからの再生医療・細胞治療を先進医療に申請するに当たり、特定認定再生医療等委員会でこれら議論について参考にしていただきたいということで、私のコメントとさせていただきます。どうもありがとうございました。
 
○山口座長
 ありがとうございました。21ページから67ページまでの長いやり取りがあるので大変だったと思います。それでは、御討議をお願いします。御発言はございませんか。
 
○坂井構成員
 坂井でございます。御説明ありがとうございました。研究計画書の24ページなのですけれども、細胞の培養が規定に達していない場合の取扱いが書かれてございますが、規定まで増えなかった場合には研究は中止するという旨が書いてあるのですが、この場合、製造した細胞については廃棄になるかどうかというのは、今回審議いただいた先生方は御存じでしょうか。
 
○松山構成員
 松山でございます。確かに明確に規定がなかったところでございますが、一般的に再生医療の場合、患者さんと御相談して、規定に細胞が達していなかったとして待たれることが多いかもしれません。この部分、質問をしておらず申し訳ありません。
 患者さん御自身から細胞を取っているところがあって、増えていなくても患者さんが希望されることが多いのです。例えばカビが生えるとか、細菌が増殖するという場合は安全性上の問題が非常に多くあるので、一般には投与しません。加えて、今回はMSCでございますので、いわゆる腫瘍形成がほぼないということは分かっているので、研究から外して投与されたとしても、患者さんにとって大きなデメリットはないだろうと思われます。以上、松山が理解している範囲でコメントさせていただきました。
 
○坂井構成員
 ありがとうございます。研究への参加の中止と参加の継続しか規定がされていませんでしたので、二度目の採取がされない場合でも、希望されるときには投与されるのかどうかをお尋ねしたかったのです。患者さんも痛い思いをして研究に参加していただいていますので、それができるだけ無駄にならないような計画になればと思って御質問させていただきました。ありがとうございます。
 
○松山構成員
 ありがとうございます。事前に東京医科大様のほうで製造された細胞のデータを見させてもらいましたが、先行研究のほうで細胞増殖が転移せずにドロップした症例は一例もなかったということがあって、自己の血清を使っているというところがありますので、非常に増殖はしやすい方法なのだろうと考えております。
 
○山口座長
 確認ですが、一定の数に達しない場合の処理については、今のところは明確な記載がないということでよろしいですか。
 
○松山構成員
 研究から外れるということです。研究から外れた場合は、その細胞をどう使われるかというのは先進医療ではなくて安全性確保法の下で行われる形になるのだろうと思います。
 
○山口座長
 ということは、このままでよろしいということですか。
 
○松山構成員
 研究からは外れるということです。
 
○山口座長
 どうもありがとうございます。ほかに何かございませんか。藤原先生、どうぞ。
 
○藤原構成員
 事務局にお聞きしたいことなのですけれども、先ほど松山先生も飛田先生も後藤先生もみんな御指摘のように、特定認定再生医療等委員会を通ってきたのにこれで申請してきているのかとのイメージを持ったのです。特定認定再生医療等委員会のクオリティーは大丈夫なのですかというのが気になります。実際に試験が始まってからモニタリングの責任は特定認定にあるわけなので、臨床研究のことも臨床試験のこともあまり理解せずに、それから再生医療の品質管理に関しても理解せずに、試験が進む途中で何か不都合が生じることを懸念するのですが、大丈夫なのでしょうか。回答はなかなかないかなと思いますが、そういうものをコントロールしないと、本来ここで議論されていることは施設の倫理審査委員会でもんで、それからこちらに来る話だと私は思うのです。認定再生医療の審査の在り方は、何か現場として考えていらっしゃるのですか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 事務局でございます。貴重な御指摘をいただき、ありがとうございます。今回の件に関してですが、先進医療の審査過程で修正があったわけなのですけれども、この場合、特定認定再生医療等委員会で再度の審議と承認が必要となってございますので、その際に当部会の指摘事項も委員会に共有するということで、対応することとなってございます。それから、今回の件に関しましては、当課の再生医療担当とも相談の上、もちろん適切な対応を検討させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 
○藤原構成員
 今、臨床研究法で認定臨床研究審査委員会のクオリティーなども臨床研究部会のほうで確認しようというか、クオリティーに関してこれから厳しくしていかなければいけないという議論をされている一方で、再生医療等も数が多過ぎるので専門性が分散しているおそれがあると私は懸念していて、それであればもう集約してしまって、ちゃんと人員が整ったところで審査をしっかりして、それから先進医療の部会に上げていただくようなスキームを将来考えておかないと大変かなと思って発言いたしました。
 
○山口座長
 ありがとうございました。全くおっしゃるとおりで、これでは最初から審査していないに等しいと言われても仕方がないぐらいのもので、お返しするときに、そういう強い意見が出たということ、委員会の活動について疑義が呈されたということは責任者にお伝えしたいと思います。制度的には、こういう事例を見てこれから整備されていくということかと思います。このことに関して、何かコメントはございますか。神村先生、どうぞお願いします。
 
○神村構成員
 私も今の藤原構成員のお話と同じようなことを考えておりましたので、これを強く指摘して、改善に結びつけていただきたいと思っております。お願いいたします。
 
○山口座長
 ありがとうございました。ほかにございませんか。上村先生、どうぞ。
 
○上村(尚)構成員
 インターネットが途切れてしまっていて、議論の大部分が聞けていなかったので確認なのですけれども、有効性についての確認は50人に対して要するに切断しなかった人の割合が信頼区間45%を超えれば期待していたような効果が得られたという仮説に基づいているということでよろしいのでしょうか。
 そうであれば、60か65%ぐらいの方というデータであると読みますけれども、その数字が臨床的に見たときに妥当な数字なのかということは私も専門外なので分からないのですが、通常こういった方々に何もしないということはないのでしょうけれども、標準的な治療をした場合の切断率は、ヒストリカルにいろいろなデータがあるのでしょうけれども、例えば45%を超えれば臨床的には意味のある数字だとみなしてよろしいのでしょうか。
 
○山口座長
 松山先生、いかがですか。
 
○松山構成員
 この部分はヒストリカルコントロールでパブリッシュされているものを引用していたと思います。この部分は飛田先生がかなりやり取りをされておられたので、飛田先生にコメントをお願いしてもよろしいでしょうか。
 
○飛田構成員
 少し補足させていただきます。根拠になった、「末梢閉塞性動脈疾患の治療ガイドライン」2015年バージョンから、この対象疾患に対しての1年後の切断率、死亡率、救肢率がそれぞれ過去のいろいろな治療成績から算出されています。そのガイドライン中に救肢率は45%と記載されていましたので、今回の試験の閾値も45%と設定されています。本医療技術を使うことによって救肢率が約18%上乗せされるだろうという期待値から、今回の目標症例数が設定されています。ですので、上村先生のおっしゃる通り、救肢率の95%信頼区間の下限値が閾値として設定されたガイドラインに記載されている45%を上回れば本技術が有効だと判断する計画になっております。
 
○山口座長
 ありがとうございました。ガイドラインにそういう数字があったということですね。よろしいでしょうか。ほかにございませんか。
 それでは、整理番号120につきましては適ということにいたします。ただし、今、皆さんがいろいろ述べられたように、この特定認定再生医療等委員会が本来やるべきチェックがきちんとやられていないままに提出されているので、その委員会がきちんと動いているかどうかを非常に疑問に感じるという意見がたくさんあったということを施設の責任者に伝えて、検討してもらうように申し上げたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 続きまして、総括報告書の評価結果について、事務局から御説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御説明いたします。資料2-1の73ページを御覧ください。先進医療Bの総括報告書に関する御評価をいただきますのは、告示番号旧13「NKT細胞を用いた免疫療法」です。申請医療機関は、国立病院機構名古屋医療センターです。審査担当構成員は、主担当が松山構成員、副担当が上村夕香理構成員となっております。なお、冒頭に申し上げたとおりですが、伊藤澄信構成員におかれましては御所属の医療機関等との関係で、飛田構成員におかれましては利益相反の関係で、本議題の審議に際し、御退席いただきたく存じます。御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 
(伊藤(澄)構成員、飛田構成員一時退席)
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 それでは、資料に沿って御説明させていただきます。試験の概要につきましては、資料2-1のほか、資料2-3の89ページの概要図も併せて御覧ください。
 原発性肺がんは年間死亡者数が7万人を超えてさらに増加傾向であり、その大半を占める進行期症例は化学療法により治療されるものの治癒は困難である。完全切除後肺がんに用いられる補助化学療法としての抗がん剤には、シスプラチン、ビノレルビンなどが用いられ、再発死亡率を減少させることが証明されているが、それは10~20%程度と不十分である。NKT細胞は特異的リガンドであるαガラクトシルセラミドにより活性化すると強力な抗腫瘍効果を示すと同時に、他の免疫担当細胞を活性化するアジュバント効果を示し、抗腫瘍効果を発揮する。体内NKT細胞の活性化を誘導するために、末梢血から成分採血で単核球を採取して1~2週間培養を行い、樹状細胞を誘導する。投与前にαガラクトシルセラミドを樹状細胞に提示させ、本人の静脈内へ培養1週目と2週目に点滴投与する。投与されたαガラクトシルセラミド提示細胞が体内NKT細胞を活性化し、抗腫瘍効果を発揮する。
 本試験の目的は、Ⅱ-ⅢA期非小細胞肺がん完全切除例で、術後補助化学療法後にαガラクトシルセラミドパルス樹状細胞を用いた免疫療法の有無で2群にランダム化する第Ⅱ相試験を行い、無再発生存期間を主要な評価項目として、その有効性、安全性を検討し、新たな治療の選択肢を開発することである、とございます。主要評価項目は無再発生存期間、副次評価項目はNKT細胞特異的免疫反応等、お示しするとおりでございます。目標症例数は56例で、登録症例数は57例となってございます。試験の概要につきましては以上でございます。
 
○山口座長
 ありがとうございます。では、本技術の評価につきまして、主担当の松山構成員から説明をお願いします。
 
○松山構成員
 よろしくお願いいたします。今、事務局のほうから御説明いただいたように、表題はNKT細胞を用いた免疫療法とうたっておりますが、実際は、体内にあるNKT細胞を活性化するためにαガラクトシルセラミドを添加したDC細胞、樹状細胞を投与するものでございます。
 結論的には「NKT細胞治療群と標準治療群の無再発生存期間が等しい」という帰無仮説を否定することができなかったということでございまして、従前の治療法、不十分とも言われている治療法が10~20%程度の有効性を示すということから考えると、有効性に関しては従来の有用技術よりも劣るとせざるを得ないと考えております。
 安全性に関してはおおむね問題はございません。上村先生のほうから副作用についての御指摘が幾つかありましたが、投与した直後に起こっているものではなく、恐らく腫瘍の悪化に伴うものであったりとか、あとは回復毒性のものですので問題なしだと。
 技術的な成熟度に関しましては、点滴静注をしますので肺梗塞とかはしっかり見なければいけないというところもありますし、実際の細胞を培養するというところは、こういう細胞を培養してくださいという形で指示する医者の技量が必要でございますので、Bの「当該分野を専門とし、数多くの経験を積んだ医師又は医師の指導の下であれば実施できる」とさせていただきました。
 総合的なコメントのところでございますが、αGalCerで活性化した自己樹状細胞の投与により、NKT細胞が活性化されて、腫瘍退縮効果をもたらすことを期待した細胞治療でございます。今回の場合は、いわゆるちまたで行われているような、再生医療等安全性確保法下で第3種として行われているようながん免疫療法の場合と大きく異なり、投与回数が限定されているしっかりとしたプロトコルであるということ、加えて、αGalCer活性化自己樹状細胞の作用が抗腫瘍効果としてはNKTを介すことによって間接的であることもあって、有効性を示すことは困難であった可能性が非常に高いと考えております。
 一方、この研究のすばらしさは、本領域において、適切に行われた臨床研究としてほぼ最初の報告であることと思われます。今までの報告はこのように2アームで行ったものとかではなく、ケーススタディーで実際に患者さんが外来に来なくなった場合、その患者さんを除外している。亡くなったかどうかも分からない患者さんを除外して、有効であるというように論文化されたものは幾つかございますが、このようにしっかりと2アームで追跡した報告はほぼ最初ではないか。本試験結果が広く周知され、がん患者さんが自らの判断で適切な医療を享受されることを望んでおりますし、そういうことを提示するためにすばらしい研究であったと思います。結果的には残念でございました。
 一方で、これからサブスタディーを行うことで、例えばインターフェロンγが高いような患者さんは非常にハイレスポンダーであったとか、有効性が示し得る症例の選択基準を考慮していけるのではないかと考えておりまして、サイエンスベースの研究を期待しているところでございます。一旦事務局にお戻しいたします。
 
○山口座長
 ありがとうございました。続いて、副担当の上村夕香理構成員が御欠席ですので、事務局より評価の代読をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 それでは、資料2-1の76ページを御覧ください。有効性についてはCの「従来の医療技術を用いるのと、同程度である」です。コメントといたしまして、本研究は、非小細胞肺癌完全切除例で病理病期Ⅱ-ⅢA期、シスプラチン+ビノレルビンによる術後補助療法後の患者におけるNKT治療群の無治療群に対する有効性を有意水準20%と設定した下で探索的に評価した試験である。主要評価項目である無再発生存期間について、ログランク検定の結果、p=0.43と算出され、統計学的な有意差は得られなかった。なお、2年生存確率はNKT群で63.0%、無治療群で74.3%であり、検出力不足により有意差が得られなかったわけでもない。また、探索的な検討として、NKT群において末梢血単核球のサイトカイン産生能インターフェロンγ倍率及びグランザイムB値で分類し、その変化量と無再発生存期間を比較しているが、現時点の解析結果からは、変化量が大きいほうが有効性を有することを示すデータは得られていない。以上より、本試験結果から本治療の有効性は認められない。
 安全性についてはBの「あまり問題なし」です。コメントといたしまして、本細胞治療施行期間中に発生した「因果関係が否定できない」重篤な有害事象としては1件の全身性強皮症があったが転帰は軽快であり、その他因果関係が否定できない事象として8件あったものの、いずれも臨床検査値の増加及び発熱の軽微なものであった。以上より、大きな安全性の懸念はなかったものと評価した。
 技術的成熟度については、Bの「当該分野を専門とし、数多くの経験を積んだ医師又は医師の指導の下であれば実施できる」とございます。以上でございます。
 
○山口座長
 ありがとうございました。それでは、松山構成員からもし何か追加のコメントがございましたら、よろしくお願いします。
 
○松山構成員
 事務局のコメントのとおりでございます。山口先生、ありがとうございます。お戻しいたします。
 
○山口座長
 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明について、何か御質問はございませんか。結果は残念でしたけれども、きちんとデザインされて、完遂された立派な研究であるということでした。
 
○松山構成員
 実はこの研究がスタートする前は、まだPD-1/PD-L1の製剤が出てくる前だったのです。実はこの研究がスタートした後にいわゆるがん免疫療法というものが出てきて、ドラスティックに世界のトレンドが変わったというところがあります。だから、もしPD-1とかPD-L1がなければ、これも回数を増やす。2回だけではなくて、例えばもう少し頻度を増やすとか、1年間にわたってずっと投与し続けるという形であれば差が取れたかもしれませんが、そのような外的な要因、周りの医学的な研究の進展もあったということも御理解いただければと思います。
 
○山口座長
 貴重なコメントをありがとうございます。ほかに何かございませんか。
 それでは、特にないようですので、告示番号旧13については、ただいま御審議いただいた結果を取りまとめて、先進医療会議に御報告いたします。では、伊藤澄信構成員と飛田構成員にお戻りいただきたいと思います。
 
(伊藤(澄)構成員、飛田構成員入室)
 
○山口座長
 続きまして、次の総括報告書の評価結果について、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御説明いたします。資料3-1の91ページを御覧ください。先進医療Bの総括報告書に関する御評価をいただきますのは、告示番号15「術前のS-1内服投与、シスプラチン静脈内投与及びトラスツズマブ静脈内投与の併用療法」です。申請医療機関は、静岡県立静岡がんセンターです。審査担当構成員は、主担当が山口座長、副担当が飛田構成員となっております。なお、冒頭に申し上げたとおりですが、藤原構成員におかれましては、御所属の医療機関との関係で、本議題の審議に際し、御退席いただきたく存じます。御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 
(藤原構成員一時退席)
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 それでは、資料に沿って御説明させていただきます。試験の概要につきましては、資料3-1のほか、資料3-3の99ページの概要図も併せて御覧ください。
 従来の胃癌に対する化学療法では、HER2発現の有無は考慮されていなかったが、現在はHER2陽性切除不能進行胃がん・食道胃接合部腺がんに対する標準治療はトラスツズマブ併用化学療法となり、治療開発もHER2陰性胃がんとは別立てで行われている。そこで、高度リンパ節転移を有するHER2陽性切除可能進行胃がん・食道胃接合部腺がん患者を対象として、非盲検、同時対照のランダム化比較試験を多施設共同で行うことにより、術前S-1プラスCDDP療法+手術に対するトラスツズマブの上乗せ効果を検証する。主要評価項目は全生存期間、副次評価項目は有害事象発生割合などのお示しのとおりとなってございます。目標症例数は130例、登録症例数は46例となってございます。
 なお、本試験は、研究計画書の記載に従って、2021年3月に効果・安全性評価委員会から試験中止勧告が出され、予定症例数未達のまま登録を終了しております。なお、登録終了後の追跡3年の時点では、追加レポートを作成し、結果公表と報告を行うこと、長期成績としては、最終患者登録後5年間の追跡を行い、主として予後の結果を取りまとめ、これを「最終解析結果」として公表し、総括報告書(増補版)として報告することとされています。こちらについては、令和3年7月の第119回先進医療技術審査部会にて御承認いただいております。試験の概要につきましては以上でございます。
 なお、本技術の審議につきましては、山口座長に総括報告書の御評価をいただいておりますので、一色座長代理に進行をお願いいたします。以上でございます。
 
○一色座長代理
 ありがとうございます。それでは、私のほうから進行させていただきます。本技術の評価につきまして、主担当の山口座長から御説明をお願いいたします。
 
○山口座長
 資料の93ページを御覧いただけますでしょうか。有効性に関する評価ですが、Cといたしました。130例の目標症例数のうち46例しか登録できておりませんので、有効性の評価は実際には困難であります。幾つか有用な評価もありますけれども、最終的にはもう少し5年生存を見ないと有効性は分からないという意味で、同程度といたしました。
 安全性に関しましては、あまり問題なしとしました。ただし、従来の治療法と同等の副作用はあるということでございます。
 技術的成熟度は、特に難しい技術を伴うものではございません。
 総合的には、今、申し上げましたように35%しか達成できていませんので、なかなか評価は難しいのですが、この結果を受けて、このような治療法の胃がん治療における位置づけ、方向性を再検討する必要があるのではないかと考えました。以上です。
 
○一色座長代理
 ありがとうございました。続きまして、副担当の飛田構成員より、御評価をお願いいたします。
 
○飛田構成員
 よろしくお願いします。まず、有効性に関しては、先ほどお話があったとおり、本試験は130例を登録目標にしている中、46例の登録で終了となり、全登録患者の術前化学療法と手術が終了した時点までの短期成績として、画像奏効割合や病理学的奏効割合、ダウンステージなどの評価が行われています。このあたりの評価項目に関しては、本医療技術群で高い傾向が認められているのですけれども、そもそも根治切除割合は両群ともに90%を超えていること、生存に関する成績がまだ評価されていない状況ですので、現時点では有効性に関してはCと評価しています。ただし、計画時に予定していた主要評価項目である全生存期間や無増悪生存期間に関する評価は今後、追加レポート、総括報告書(増補版)として提出されることですので、今後それらの結果も含めた検討、評価が必要になってくるのではないかと考えています。当初の予定症例数が登録できなかった点については、研究者の方々もいろいろと適格基準を緩めたり、期間を延長したりされていましたが、コロナ禍の影響等もあり、残念ながら目標症例数に未達で試験は終わっています。予定されている症例数が登録できなかった原因について尋ねてみましたが、研究計画段階からの治療環境の変化の影響は少なく、試験の適格基準が厳格に定めていたために、目標症例数を想定より大きく下回ったという考察がされています。そのため、ロードマップで当初予定していたこの次に行う第Ⅲ相試験の実施は困難であることから、国際共同試験も含めた企業治験を中心とした治療開発を期待しているという旨の説明がなされている状況です。
 安全性に関しては、特に対照群に比べて有害事象の割合の増加は認められていないのですけれども、術後早期合併症でG3の腹部感染が3例で認められていることからも、若干の注意喚起は必要であろうと考えて、評価させていただいています。
 技術的成熟度に関しては、Aと評価させていただきました。以上です。
 
(後藤構成員退席)
 
○一色座長代理
 ありがとうございました。それでは、山口座長からもし何か追加のコメントがございましたら、お願いいたします。
 
○山口座長
 今の飛田構成員の御説明のとおりで、この研究に関しては2つの問題があります。1つはなぜこんなに登録が遅れたかということですが、資料の97ページのやり取りの中できちんと説明されています。可能性を3つ挙げていますけれども、そのいずれでもなく、やはり少し見通しが甘かったということで、2020年に参加施設にアンケートを取ったところ、1,991例中わずか14例しか適格がないということが分かりましたので、相当難しいということでした。
 今後の治療の開発の方向性に関しても、今、飛田構成員が御説明されたとおりでなかなか難しいということでありますが、今後5年生存率が出た時点で可能性があるということも記載されていますので、御参考にしていただければと思います。以上です。
 
○一色座長代理
 ただいまの御説明等につきまして、何か構成員のほうからコメント等はございますでしょうか。症例も少なくて、なかなか結論めいたことは挙げられないということと、その理由についてはいろいろ挙げておられましたが、5年後を待つしかないのかなという印象でございました。よろしいでしょうか。それでは、告示番号15につきましては、ただいま御審議いただいた結果を取りまとめて、先進医療会議に御報告いたします。それでは、藤原構成員にお戻りいただきたいと思います。よろしくお願いします。
 
(藤原構成員入室)
 
○一色座長代理
 それでは、以降の審議につきましては、山口座長にお戻しいたします。よろしくお願いします。
 
○山口座長
 一色先生、どうもありがとうございました。続きまして、次の総括報告書の評価結果について、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 それでは、御説明いたします。資料4-1の101ページを御覧ください。先進医療Bの総括報告書に関する御評価をいただきますのは、告示番号旧46「マルチプレックス遺伝子パネル検査」です。申請医療機関は、東京大学医学部附属病院です。審査担当構成員は、主担当が伊藤澄信構成員、副担当が伊藤陽一構成員となっております。
 試験の概要につきましては、資料4-1のほか、資料4-3の115ページの概要図も併せて御覧ください。標準治療が既に実施されており、根治が困難と考えられるPerformance Statusが1以下のがん患者を対象として、「東大病院ゲノム医療研究プロジェクト」で開発したがん関連遺伝子の変異、遺伝子増幅、融合トランスクリプトを1アッセイで検出可能なマルチプレックス遺伝子診断パネルである東大オンコパネルを用いて解析し、治療介入への判断の根拠または病理組織学的診断の補助となり得る遺伝子異常を持つ症例の頻度を求めることで、Todai OncoPanelの臨床的有用性を検証する。主要評価項目は治療介入への判断根拠または病理組織学的診断の補助となり得る遺伝子変異を持つ患者頻度、副次評価項目は対応する治療薬が投与された頻度など、お示しのとおりとなってございます。目標症例数、登録症例数は共に200例です。以上でございます。
 
○山口座長
 ありがとうございます。では、本技術の評価につきまして、主担当の伊藤澄信構成員から説明をお願いいたします。
 
○伊藤(澄)構成員
 ありがとうございます。この技術は既にNCCオンコパネルなどでも実現されておりますし、FoundationOneなども薬事承認されている状況です。それとほぼ同じですが、Todai OncoPanelに実装されている遺伝子はDNAレベルで464遺伝子の変異を検出すること、それからRNAレベルでも463遺伝子の異形転写体を検出するという、検出の範囲が大変広い技術です。
 こういった技術で検出したものとNGSで捉えた生殖細胞変異を全部合わせて、115ページを御覧いただくと分かりますが、T-CANBaseという東京大学で構築しているデータベースと照合した上で、最終的にエキスパートに評価していただいて、がん遺伝子の評価をすることです。そういったことを総合して評価するのが、この技術だと理解をしています。
 103ページのコメント欄に書きましたが、本研究の有効性の基準となるTier分類というのは初めはよく分からなかったのですが、Tier 1はコンパニオン診断の結果を踏まえて、承認された治療薬の使用を考慮する症例で、今回は、11例、5.6%、Tier 2は科学的根拠があって、治験や先進医療などの適応外使用医薬品の可能性がある症例で88例あったことが示されています。
 もう一つは、治療抵抗性に関わるTier Rというものがありまして、それが15例、臓器横断的なバイオマーカーで免疫チェックポイント阻害剤の有効性を示唆する腫瘍遺伝子変異量高スコア(TMB-high)が7.1%認められています。
 しかしながら、本がん遺伝子パネル結果によって治療がされた症例は6.6%にとどまっています。2019年6月からFoundationOneとかNCCオンコパネル、さらにFoundationOne Liquid CDxが保険診療でも使用可能になっていますが、こういったものとの比較は直接されていませんので判断はなかなか難しいと思います。既承認がんコンパニオンで診断された症例との比較は45例中の44例で一致しているということなので、診断性能としての問題があるわけではないと思います。
 このデータだけでは、ほかの診断技術に比べて有用かどうかを判断することは困難ですが、既存のがん遺伝子パネルによって治療に結びつく症例の割合は10%程度であるといわれていますので、既存の方法とほぼ同様という評価をさせていただきました。
 安全性に関しても、病理診断で用いられている余剰検体とか血液が用いられることから、特に問題ないと思っております。
 技術的な成熟度については、がんをきちんと評価できる人でないと難しいとは思いますが、そういう意味では、当該分野を専門とされる方が最終的にお使いになるのだろうと思いますけれども、その前段階としてエキスパートパネルがあると思っています。このエキスパートパネルについても高い専門性が求められるということで一応Bとしております。今後、その結果に基づいて患者さんに対して実際、説明するのはプライマリ・ケアレベルのドクターで何の問題もなくなるような時代が来るのだろうと思っています。が、それに基づいて治療するとなると、当然のこととして専門性が求められると思います。
 総合的なコメントのところで書いておりますが、ホルマリン固定パラフィン包埋からのDNA/RNA抽出とか、末梢血単核球からのDNA抽出に基づいたパネルでこういった形の評価ができるという意味はあるのですが、このデータからTodai OncoPanelの優位性が示されているということではないと思います。T-CANBase、知識データベースの更新というのは、検査対象が広いだけに人的リソースが必要だろうと思っております。統合的な知識データベースの作成に要するリソースに関しては、ナショナルレベルでまとめることも必要になってくるのではないかと感じました。
 未承認の場合の助言欄ですが、現段階ではがん遺伝子パネルの検査の有用性は高くはないのではないかと思う反面、がん化学療法の最適化には有効であると思います。がんの遺伝子パネルの検査に関しては、アカデミアが中心となっておりますが、そうした臨床的有用性を比較検討する際には貴重な資料になっていくと思います。報告は以上でございます。
 
○山口座長
 伊藤澄信先生、ありがとうございました。続いて、副担当の伊藤陽一構成員より、御評価をお願いいたします。
 
○伊藤(陽)構成員
 有効性についてですが、Dの「その他」としています。オンコパネル、類似の技術も含めて抗がん剤が標的とする遺伝子変異について、本報告書の中では主たる評価項目が遺伝子変異の頻度を推定するということだけだったので、実際に200件調べて頻度を推定して、ガイドの遺伝子頻度を推定しましたという結果なのですけれども、実際に医療技術として有効かどうかという話を考えたときには、該当の遺伝子変異を標的とした抗がん剤で治療して、治療した結果、そのような技術がなかったときに比べて生存率が改善するかどうかが、実際にこういう技術を導入することの有効性だと思うのですけれども、そういうことは不明なので、この結果のみで従来の医療技術との比較は困難かなと思います。
 体外診断薬的な位置づけなので、安全性については問題ないと思います。
 技術的成熟度についても、同様の理由で該当しないということでDと判定しています。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。それでは、伊藤澄信構成員からもし何か追加のコメントがございましたら、よろしくお願いします。
 
○伊藤(澄)構成員
 先ほど申し忘れましたが、DNAパネルとRNAパネルで遺伝子解析の量が大変多いのですけれども、そういう意味で、DNAパネルに関してはほかのものと変わらないのですが、特徴的にRNAパネルに関して、大量の結果を報告いただいているのですけれども、Tier 1と言われるこのデータに基づいて治療法が見つかってくるものは残念ながら0件で、Tier 2と言われているDNAのものに関して、全体として44.4%と出ておりますが、RNA全体としては2.6%ということですので、現段階ではRNAパネルの優位性がこの臨床試験の結果からは示されていないのかなということを先ほど申し述べるのを忘れましたので、付け加えさせていただきます。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。ただいまの御説明について、何か御質問はありませんか。よろしいでしょうか。今の時点で有用性を示すのはなかなか難しいかもしれません。神村先生、お願いします。
 
○神村構成員
 今の御説明の中で、エキスパートパネルについて高い専門性が非常に求められるということは当然あると思いますけれども、その高い専門性を誰がどのように担保するのか、決めるのかというところが私のほうではよく分からないところがございます。どなたかに御説明いただければありがたいです。
 
○山口座長
 どなたか御発言はありますか。
 
○伊藤(澄)構成員
 がんの専門の先生方がたくさんいらっしゃるので私が申し述べることではないと思うのですが、がん、遺伝子変異そのものは次々と見つかっておりますし、そういうものについて常にアップデートしていかないといけないという意味での専門性が高い、常に新しい情報をキャッチしていって、それの意味づけ、どの程度の意味づけがあるのかということを解釈して、ほかの方に対して説明できる。それから、遺伝子変異だけではなくて、実際の症例の状況を見た上でいろいろなアドバイスをしていくという意味で専門性が高い、がんを専門にされている方でないと説明するのは難しいのではないかということで、専門性が高いという表現をさせていただいております。
 
○山口座長
 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 
○神村構成員
 ありがとうございます。がんの専門性が高い方ということもあると思いますけれども、そういう情報、知識は日進月歩でありまして、この方は専門性が高いとお墨つきをつけるというところがかなり難しいなと感じております。以上、意見でございました。
 
○山口座長
 ありがとうございます。御指摘のとおりだと思います。進歩が速いので、伊藤先生がおっしゃったようになかなか十分なものが得られない状況でもあるかと思います。
 ほかにございませんか。特にないようでしたら、告示番号旧46につきましては、ただいま御審議いただいた結果を取りまとめて、先進医療会議に御報告いたします。
 続きまして、試験実施計画の変更について、事務局からお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 それでは、御説明いたします。今回、試験計画等の変更申請が1件提出されております。資料5、117ページを御覧ください。九州大学病院からの申請で、告示番号40「シクロホスファミド静脈内投与及び自家末梢血幹細胞移植術の併用療法」です。適応症は、重症全身性硬化症(ステロイド又は少なくとも一種類のステロイド以外の免疫抑制剤に抵抗性を有するものに限る。)です。御審議いただく主な変更内容につきまして、118ページを御覧ください。1)実施期間変更として、被験者登録期間及び研究実施期間を1年延長としております。2)その記載整備でございます。
 変更申請する理由としまして、全国から症例の相談や紹介があり、2019年度までに順調に9例の症例登録が完了していた。しかしながら、新型コロナウイルス感染の流行により、県外からの症例相談が途絶え、患者の受入れも困難となった。加えて、流行期は移植療法の実施自体が難しかったこともあり、2020年度以降は1例しか実施できていない。試験完遂まで残り2例であり、コロナウイルス感染症も収束に向かいつつあるため、登録期間を1年間延長するとございます。以上でございます。
 
○山口座長
 ありがとうございました。本変更内容につきまして、何か御意見はございませんか。
 あと2例で、こういう状況ですのでやむを得ないことかと思いますけれども、何かございますか。それでは、特にないようですので、告示番号40の変更についてお認めすることといたします。
 続きまして、先進医療Bの協力医療機関の追加について、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 資料6-1、119ページを御覧ください。告示番号36、告示番号48、告示番号75について、それぞれ1件の協力医療機関の追加申請がありました。資料6-2、121ページ以降を御覧ください。事務局において、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件(様式第9号)を満たしていることを確認いたしました。協力医療機関の追加として、御了承いただきたく存じます。特に御意見がなければ、手続を進めさせていただきます。以上でございます。
 
○山口座長
 よろしいでしょうか。それでは、事務局は手続を進めてください。
 続きまして、令和3年度先進医療技術の実績報告等について、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御説明いたします。資料7、127ページを御覧ください。令和3年12月2日開催の第105回先進医療会議におきまして、令和3年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告がなされましたので、部会でも御報告させていただきます。
 先進医療Bの技術数は59種類。実施医療機関が211施設。費用については、保険外併用療養費が約6.9億円、先進医療費用の総額が約3.5億円となっております。128ページを御覧ください。過去1年間の先進医療A及び先進医療Bの技術数の増減を示した表となっております。先進医療Bについて、新規承認技術数は10種類となっております。また、129ページは、過去5年間の実施医療機関数や金額等の実績を示した表となっております。130ページからは、各先進医療B技術に関わる費用等をお示ししていまして、134ページからは、各先進医療Bの登録症例数及び年間実施件数等をお示ししております。また、137ページからは、1年間の実施件数が0件であった先進医療技術のリストと、0件の理由及び今後の対応方針を申請医療機関に報告していただいた結果をまとめた資料となっております。事務局からは以上でございます。
 
○山口座長
 ありがとうございました。本件について、御意見や御質問はございませんか。特にないでしょうか。
 それでは、次に、先進医療B総括報告書提出状況一覧及び先進医療B観察研究報告書提出状況一覧について、事務局から御説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御説明いたします。資料8-1、143ページを御覧ください。こちらの表は、平成24年度以降に告示されており、第125回の先進医療技術審査部会までに取下げが審議された先進医療B技術について、令和3年12月1日現在の総括報告書の提出状況を示した一覧表です。表の一番左側の数字が平成24年の告示番号ですが、こちらが42番よりも下の技術については、総括報告書の提出が義務づけられた試験となっております。総括報告書の提出状況については、表の右から2番目に項目がありまして、既に提出済みのものについては「済」と記載しておりますので、御参照ください。既に多くの試験において、告示削除後に総括報告書を御提出いただいていることを確認しております。また、未提出の試験については、事務局より提出に関して適宜リマインドを行っているところです。
 資料8-2、149ページにお進みください。こちらは告示削除に当たって副次評価項目などの長期観察が必要な事項について観察研究を実施して、その結果を部会に御報告いただくこととなっている試験のリストをお示ししております。今回お示しした報告書等について、今後も毎年更新して、御報告させていただきたく存じます。以上でございます。
 
○山口座長
 ありがとうございました。本件につきまして、御意見が御質問はございませんか。ないようですので、本日の議題は以上でございます。
 構成員の皆様、全体を通して何か御意見、御質問はございませんか。ないようでしたら、次回の日程を事務局からお願いいたします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 次回は、令和4年1月13日木曜日の開催とさせていただきます。時間は16時から18時までの予定で、詳細につきましては別途御連絡させていただきます。
 また、本日の議事録については、作成次第、先生方に御確認をお願いし、その後、公開させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 
○山口座長
 それでは、第126回先進医療技術審査部会を終了いたします。どうもありがとうございました。
 
 

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