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2019年3月14日 第83回先進医療技術審査部会

 
(了)


(1)日時:平成31年3月14日(木)16:00~18:25

(2)場所:厚生労働省 省議室

(3)出席者
山口座長、天野構成員、石川構成員、伊藤構成員、掛江構成員、佐藤構成員、真田構成員、柴田構成員、手良向構成員、飛田構成員、藤原構成員、松山構成員、山本構成員

(事務局)
医政局研究開発振興課 課長
医政局研究開発振興課 治験推進室長
医政局研究開発振興課 先進医療専門官
医政局研究開発振興課 先進医療係長
保険局医療課 企画官
保険局医療課 医療技術評価室長
保険局医療課 課長補佐
保険局医療課 先進・再生医療迅速評価専門官
保険局医療課 先進・再生医療迅速評価専門官
医薬・生活衛生局医薬品審査管理課 課長補佐

議題

1.継続審議の評価を受けた技術の再評価結果について
2.新規技術の評価結果について
3.総括報告書の評価について
4.申請医療機関からの各種報告について
5. 試験実施計画の変更について
6. 協力医療機関の追加について
7. 先進医療の取下げについて
8. その他

議事録
○山口座長 定刻となりましたので、第83回先進医療技術審査部会を始めさせていただきたいと思います。皆様には御多忙の折、お集まりいただきありがとうございました。本日の出席状況ですが、一色構成員、上村構成員、後藤構成員、大門構成員、田島構成員、山中構成員より御欠席の連絡を頂いております。本日は19名の構成員のうち、13名の構成員にお集まりいただいておりますので、本会議が成立していることを申し添えます。
それでは配布資料と、本日の審査案件の確認を事務局からお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 傍聴者の方の撮影は、ここまでとさせていただきます。御協力のほど、よろしくお願いいたします。
配布資料について確認いたします。議事次第から座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿と続きます。次に、議題1.先進医療合同会議にて継続審議の評価を受けた技術の再評価結果については資料1-1から資料1-5、議題2.総括報告書の評価については資料2-1から資料2-3、申請医療機関からの各種報告について(国立がん研究センター中央病院)の資料は資料3、申請医療機関からの報告について(東京大学医学部附属病院)は、資料4、試験実施計画の変更については、資料5から資料11、協力医療機関の追加については、資料12-1と資料12-2、先進医療Bの取下げについてが資料13です。この会議資料の最終ページは146ページです。
また、お手元に別冊資料として「机上配布資料(構成員・事務局及び傍聴用)」と書かれた資料があります。この中には新規申請技術関係の湘南鎌倉総合病院として、机上配布資料1から資料5があります。続いて総括報告書、評価関係(大阪大学医学部附属病院)として、資料2-1(差し替え)という資料があります。この資料が先ほどの本体資料2-1の差し替えですので、本体資料2-1は使いません。御承知置きください。これらの資料は会議終了後、厚生労働省ホームページにて閲覧可能となることを申し添えます。なお、先生方のお手元には、様式第10号の別冊資料集および、資料3関係別冊資料というものもございます。これらは構成員及び事務局限りとさせていただいております。本日の資料は以上です。乱丁、落丁等がありましたら、事務局までお知らせください。
続いて、利益相反の御確認です。申請医療機関との関係や対象となる医薬品・医療機器・再生医療等製品の企業等について、本体資料1-1の15ページ及び別冊の机上配布資料1の1ページに記載している申請医療機関、医薬品・医療機器・再生医療等製品情報を御覧ください。申請医療機関との関係、対象となる企業又は競合企業について、事務局から事前に確認をさせていただいております。
今回は整理番号90の技術、国立がん研究センター中央病院からの申請について、天野構成員、山口座長より御報告がありましたが、50万円以下でしたので、当該技術の議事の取りまとめ及び事前評価に加わることができます。藤原構成員、柴田構成員は御所属の医療機関ですので、当該技術の審議に際し、一時御退席いただきたく存じます。整理番号93の技術、湘南鎌倉総合病院からの申請については、天野構成員、山口座長より御報告がありましたが、50万円以下でしたので、当該技術の議事の取りまとめ及び事前評価に加わることができます。また、総括報告書の御評価を頂く旧告示番号21の技術については、真田構成員、飛田構成員は御所属の医療機関ですので、当該技術の審議に際し、一時御退席いただきたく存じます。事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がありましたら、この場で御報告をお願いいたします。それでは、該当なしということで承知いたしました。
今回もタブレットを使用いたします。届出書類等については、タブレットより閲覧をお願いいたします。なお、会議資料とタブレットの内容は異なっておりますので、発言者は会議資料の何ページ、又はタブレット資料何番の何ページと、あらかじめ御発言を頂けますと、議事の進行上、助かりますので、よろしくお願いいたします。
○山口座長 では、議事に入りたいと思います。継続審議の評価を受けた技術の再評価について、事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料1-1、15ページを御覧ください。再度御評価いただく技術は、整理番号90、胃上皮性病変に対するプローブ型共焦点レーザー顕微内視鏡の診断能に関する多施設前向き研究です。なお、藤原構成員、柴田構成員におかれましては、本技術の審議に際し、一時御退席いただきたく存じます。誠に恐縮ながら御協力のほど、よろしくお願いいたします。
                         (藤原構成員、柴田構成員退席)
○医政局研究開発振興課専門官 15ページですが、申請医療機関は国立がん研究センター中央病院です。審査担当構成員は主担当が伊藤構成員、副担当が佐藤構成員、飛田構成員となっております。73ページの資料1-5を御覧ください。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件及びお手元の別冊の様式第10号について、事務局より御説明いたします。
まず、様式9号です。実施責任医師の要件は、診療科の要件が消化器内科又はそれに準ずる科です。資格は日本消化器内視鏡学会内視鏡専門医が必要です。当該診療科の経験年数は5年以上が必要です。当該技術の経験年数は、要件はありません。また、当該技術の経験症例数の要件もありません。
続いて、医療機関の要件です。診療科は消化器内科、内視鏡科又はそれに準ずる科です。実施診療科の医師数は、経験年数5年以上の消化器・内視鏡学科専門医2名以上が必要です。他診療科の医師数は要件はありません。その他、医療従事者の配置は、臨床工学技士が必要です。病床数は100床以上、看護配置は7対1看護以上、当直体制は内科系又は外科系当直医1名以上、緊急手術の実施体制及び院内検査の24時間実施体制が必要です。他の医療機関との連携体制の要件はありません。医療機器の保守管理体制は必要、医療安全管理委員会の設置も必要です。医療機関としての当該技術の実施症例数は要件はありません。その他の要件として、頻回な実施報告なども不要で、ほかに要件はありません。
○山口座長 これらの要件について、何か御意見はありますか。ないようですので、様式9号、10号についてはお認めすることといたします。次に、主担当の伊藤構成員より、概要と実施体制の評価について御説明をお願いいたします。
○伊藤構成員 この技術は、昨年12月6日に開催した先進医療の合同会議で、1回評価をさせていただいて、その段階で継続審議としたものです。技術審査部会では初めて御覧になる方々もいらっしゃるかと思いますので、その説明もさせていただきたいと思います。
このプローブ共焦点レーザー顕微内視鏡については、18ページに詳細を書かせていただきましたが、10年以上前から内視鏡中に顕微鏡イメージングができる技術として開発され、食道や胆道系、腸管を中心としてPubMEDで検索をすると、既に200近い論文が公開されています。この技術は内視鏡施行中、生検に代わってリアルタイムで病変部位の悪性か良性かの判定を可能にする技術で、フルオレセインを事前に静脈投与しなければいけないので、申請者も認めていますように、スクリーニング検査としては、なかなか難しいところがあります。しかし生検によって瘢痕狭窄とか、特に胆道系のような狭い所、生検では出血や穿孔などを起こすような部位で、悪性なのか良性なのかを判定できるという意味では大変素晴らしい技術です。海外では胆道系、食道、大腸の粘膜での論文が多いように認識しております。
この試験は、上部消化管内視鏡検査にて組織学的に早期胃癌と診断、又は疑われる、若しくは早期胃癌に対し、内視鏡治療後、40週以上経過していて、ほかに悪性病変がある可能性のある患者1,000人を対象に、過去に診断されてない胃上皮性病変を認めた場合に、白色光(通常の内視鏡)、NBI拡大内視鏡検査を行った上で、更にpCLE検査を行い、それぞれの腫瘍・非腫瘍の診断を行うという試験で、pCLE検査をNBI拡大検査と生検病理診断結果と比較する試験となっております。したがって、この試験に参加することによって、被験者は診断的・治療的有用性はありません。純粋に、この試験の評価をするだけです。
前回、問題になったのは、当初は特異度のみを検出する試験として提案されました。前回までのやり取りは資料3の42ページから55ページで、散々やり取りを繰り返したものです。12月の段階での評価は、特異度のみを指標とするのはいかがなものか、感度を検討しないのはどうしてかということについて折り合いが付かないままでした。もう1つは、特に先進医療で実施する胃の病変をということであれば、ESDで病変を取り除くときに、生検の代わりに良性と悪性の境界を定め、ESDで切除した標本でこの技術の精度の判定ができるのではないかという提案を私どもの方からはいたしました。
申請者たちに問合せをしても、一番使い道があるのは、そういう技術だろうとおっしゃるのです。ですから先進医療を将来の保険診療を目指して実施するのであれば、臨床的意義を示せるような試験デザイン、この申請者から2報の論文資料を提出されていますが、そのうちの1つである韓国から提出された試験デザインのようなものがいいのではないかというやり取りをして、継続審議にさせていただきました。その後も、やり取りを繰り返しております。申請者は試験デザインは変えずに、感度、陽性的中率、陰性的中率、正診率などが追加されてpCLEの診断能を評価する試験となっております。
試験デザインのやりとりは以上ですが、背景の問題点は、pCLEという機械そのものは薬事承認されています。ちょうどダビンチと一緒で、ダビンチそのものは承認されているのですけれども、手術対象が承認されていないという状況に近いというように認識しております。最大の問題は、フルオレセインが「ブドウ膜・網膜・視神経等の疾患の診断」には適応がありますが、消化管粘膜の疾患の診断には適応がありません。なので、彼らの一番の目的はフルオレセインの適応拡大だということが、ある意味で分かってきました。
もしフルオレセインの適応拡大するのであれば、当然のこととして治験による臨床試験成績、若しくは医療上の必要性の高い未承認薬適応外検討薬の適応追加が認められ、かつ、これは大変古い薬ですので、製薬企業が承認申請をするということが前提になるだろうと思うのです。この点に関しては、PMDAとの協議もされていないので、この試験結果をもって、フルオレセインの適応が取れるかどうかについても今の段階では分かっていません。
それから、先ほども申し上げましたけれども、この試験そのもので得られるのがpCLEの診断能だけというところもあり、本来の実地臨床に使われる技術として評価するのは難しいのではないか、だから本技術を広く保険診療に導入すべきかどうかとの判断ができないのではないかと思っております。特にフルオレセインの適応に関しては、胃の粘膜を対象の試験成績をもって、本来一番望ましいと思われる胆道系や食道などのフルオレセインの適応が取れるものかということに一番懸念を持っております。そこについては、やはりPMDAと事前協議をされた上で試験をされたほうが良いのではないかということで、私の視点では、先進医療として実施することはなかなか難しいのではないかという形で評価を書かせていただいております。
倫理面、その他の試験デザイン、特に飛田先生におかれましては散々やり取りをしていただいて、少なくともpCLEの診断能の評価については完成したと思っておりますが、御意見を頂いて、最後にまとめさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○山口座長 はい 続いて副担当の佐藤構成員より、倫理的観点からの評価について御説明をお願いします。
○佐藤構成員 倫理面からの評価をさせていただきました。説明同意文書、インフォームドコンセントの取り方や相談窓口などは問題がないのですが、伊藤先生からお話があったように、研究デザイン自体に問題があるとすると、この研究に被験者に参加してもらうということが許容されるかどうか悩みました。ただ、この研究では通常の内視鏡などにプラスして、フルオレセインを投与するというもので侵襲はそれほど大きくないということを考えると、全く許容できないわけではないので、少し狭い意味で付けたということもありますが、「適」というようにしてあります。
○山口座長 続いて副担当の飛田構成員より、試験実施計画書等の評価について御説明をお願いします。
○飛田構成員 19ページを見ていただければと思います。今回提出されている試験デザインをそのまま素直に読むと、申請されているpCLE検査というのが、スクリーニング後の検査の精密検査として、要は陰性であるということを特定する目的で使用する検査技術とするのであれば、今回提出されているような試験デザインも許容可能かとは考えています。
さらに昨年12月以降のやり取りの中で、特異度だけでなく、新たに感度や陽性的中率、陰性的中率、正診率の評価を副次評価項目に加えるというデザインに変更されているというところも、この診断性能を精密検査という技術として考えるのであれば、こういう試験デザインも許容可能になるのではないかと考えています。
ただ、先ほど伊藤先生が説明されたとおり、これまでの照会事項のやり取りや、資料1-3の先進医療合同会議からの指摘事項等の回答を見ていただくと、本技術がESDによる切除範囲の最適化を評価する前に、最適化であるというように説明されているのです。本来の臨床上での使用目的が、ESDによる切除範囲の最適化であるのであれば、そういったところできちんと臨床評価を行った上で、本技術を世の中に出すことが重要なのかなとは考えています。ただ、申請者の方々はそういう評価を行う前に、まだまだ検討すべき課題があるのではないかというところで、診断性能の評価ということを考えているようです。
この技術を使ったいろいろなパイロット研究も、この施設で既にやられているという状況等もあり、予備検討を何回する必要があるのかというところは少し疑問に思っております。ただ、この技術はやはり良いものだと思いますので、早く世の中で使えるようにするためには、フルオレセインの薬事承認がどうしても必要になります。申請されている試験デザインでも十分かもしれないのですけれども、不要な研究を繰り返し行うことによって、この技術が世の中に出ることを遅らせることなく、最短ルートで一般臨床で使えるようなルートを考えていただくためには、この試験デザインで十分なのかどうかということに関して、伊藤先生がおっしゃったように、PMDAと十分に協議をした上で検討していただきたいと判断しています。
○山口座長 それでは主担当の伊藤構成員より、事前のまとめと総合評価について御説明をお願いします。
○伊藤構成員 最後の20ページに書かせていただいております。この技術は、フルオレセインを事前に静脈投与しなければいけないというデメリットはありますが、光学的に生検ができるという大変大きなメリットが期待される技術です。しかし、消化管粘膜のpCLEにフルオレセインを用いるためには、薬機法上の適応拡大がどうしても必要で、その拡大をするための方法論、試験としてこれが十分なものとは思いにくいのです。取り分け胃粘膜についての試験だけでフルオレセインの適応拡大が消化管全体に広がるものかどうかというのは、かなり懐疑的に思っています。そこも含めて、PMDA協議を事前にされてからのほうがいいのではないかと思っています。
もう1つ。胃の粘膜に関して実臨床上で使うのであれば、ESDの切除範囲の決定というのが主だったところになると思います。先進医療でやるのであれば、やはりそういう試験をやっていただきたいという思いを持っております。本来、「不適」という評価をするのは妥当ではないと思いますが、前回、継続審議で3か月やり取りをした結果が並行線状態なので、少し時間を置くというか、少しオーバーかもしれませんけれども、もう少し考え直していただきたいという思いを込めて、「不適」という評価にさせていただきました。
○山口座長 それでは、御討議をお願いします。
○天野構成員 御説明、ありがとうございました。2点あります。1点目は、伊藤構成員に質問です。基本的な質問で大変恐縮ですが、そもそもこの先進医療に参加される方にとって、直接的に得られる利益は少ないということですが、その部分について、もう少し詳しく御説明いただければというのが1点目です。
2点目が、もし参加される方にとって直接的に得られる利益は少ないということであるならば、先進医療は、有効性・安全性が示されていないものを臨床試験等のスキームで評価するということが目的の1つですが、参加する方からすると、有効性・安全性は必ずしも明らかでないけれども、もしかしたら自分にとって何らかの利益があるかもしれないということを先進医療に期待されて入られる方が多いのではないかと想像するのです。そういった場合、この試験を先進医療で行うということは、どういった意味があるのかということについて、もし分かれば教えていただければと思います。
○伊藤構成員 最初の点ですけれども、この試験は、通常の光学的な内視鏡をして、しかもそれよりも詳細に病変の観察ができると思われるNBIという拡大内視鏡をやって、かつ生検を実施します。この患者にとっては生検が最終的にゴールドスタンダードなのです。ゴールドスタンダードがあるので、別にこの試験を加えたからといって、上乗せで有効になる、有利になる点はないと思っています。
では、なぜこういう試験がされるのか。先進医療のそもそも論ですが、新しい技術の評価を保険医療を使ってやるという認識を持っております。そういう意味で、先進医療の俎上には残ってくるのではないかと思います。再三、提案させていただいたESDに関してですが、生検というのは出血しますよね。これは少しは傷が付くみたいですが出血はしません。33ページを御覧いただきますと、もちろんレーザーですので粘膜の障害が起きて、pCLEを押し付けた跡にポチッと赤くはなるみたいですけれども、その程度で出血もせずに、ここは大丈夫、ここは大丈夫じゃないというのが分かるような形を評価できれば、切り取らなければいけないものが少なくなるかもしれないという期待感はあると思います。しかし、この試験においては単に生検部位との比較だけですから、本人にとっては、いわゆるゴールドスタンダードが出ていますので、この検査を追加することによるメリットはないと判断いたしました。
○山口座長 よろしいでしょうか。ほかにありませんか。
○山本構成員 私も質問します。先進Bにきているのは、ひとえにフルオレセインが適応外だから、先進Bにきているということですか。
○伊藤構成員 はい、そう認識しております。
○山本構成員 その場合に、先生がおっしゃっていた未承認適応外検討会議にかけることは十分考えられると思うのですけれども、一応あちらはあちらで前提があって、主要6か国で薬事承認又は保険適応、保険償還が行われていることというのがあるのです。それがどこもなければ、そちらの道は絶たれるわけです。未承認適応会議に懸けるということを、申請された先生方は考えられたというか、それを試してみられたことはあるのでしょうか。そういう下調べはされているのでしょうか。
○伊藤構成員 今、技術的に薬事承認を取るためには、公知申請か未承認、若しくは医師主導治験のような形しかないと、一応は書きましたけれども、現実的にこれが未承認薬問題検討会議で、例えばどうしても開発しなければいけないものかという俎上に乗るかと言われたら、個人的には乗らないと思います。ただ、乗るか乗らないかの判断は私がするわけではないので、乗る可能性があるという意味で書きました。
○山本構成員 フルオレセインと似て異なるものですけれども、インドシアニングリーンが細かい血流の評価に使えるというので、未承認適応会議に様々な領域で何回も掛かって、最後のほうでWGとPMDAが疲れてきて、まとめてかけてくれと言ったのです。つまり領域別に出てくるので、血管の血流評価をするものを最終的にひとまとめにして、要望をまとめてもらって通ったという経緯があります。ですので、今は眼科だけですが、例えばこういう新しい技術との組合せで、明らかに診断能を発揮するというのであれば、先生がおっしゃるように、診断薬として出すという戦略はあると思うのです。やるとしたら、すぐにはできませんけれども、PMDAもある程度の時間の枠内で見てくれるので、先にそちらを通してしまえば、これは全部適応内で普通に臨床試験としてやれるのではないかと思うのです。
○伊藤構成員 先進医療が先ではなくて、向こうが先ではないかというのはおっしゃるとおりです。少なくともPMDA との協議が先で、こちらに持ってきていただかないと、これでいいですかという話が言いにくいのではないかというのが、私の評価です。
○掛江構成員 説明文書を拝見したときに、ちょっと思ったのですが、今日の伊藤先生の御説明などを拝聴していて、本件は、ただ単にこの試験を通常の診療の上に乗せているだけですよね。そうであるにもかかわらず、オルタナティブの項目に「参加されない場合の検査法」として、「病状に応じて行われます」というようなことが書いてあるのです。この試験は、そもそも患者には必要ないものであり、はオルタナティブが必要のないものなので、この辺りの記載の仕方などについて、申請者の中で、通常の臨床試験のものと混同されているのかなという感じがいたしました。
○石川構成員 私は全く専門ではないので分からないのですけれども、どうせかなりのタイムラグが出てくるので、伊藤先生がおっしゃっているように、そちらの協議とこれとを、同時に進めることは駄目ですか。これはこの前、継続審議になったのですけれども、私が最初に聞いたときに、例えば8Kなどで断端プラス、断端マイナスの切除の所がきれいに出るという技術が、もしかしたら可能になるかもしれないのです。しかし、そこまではこういう技術を使って、うまく切り取ることが可能であれば、それを走らせておいて協議をするということをやってもいいのではないかと思うのです。そういうものはないのでしょうか。
○山口座長 いかがですか。
○伊藤構成員 逆の言い方をしますと、PMDAとか、そういう人たちが試験デザインを提案してくるのではないかと思っております。私はこのデザインが妥当かと聞かれれば、妥当だとは言い切れないと思っているので、今回は「不適」という話を出させていただいています。こういうデザインでやるべきというPMDAの相談に合わせて先進医療を行うのが一番の近道ではないかと思います。
○山口座長 これを見ていると、これは基本的に非常にいい技術だと思うのですけれども、やはりESDのときに有用性が期待されているわけです。ところが、話がピンポイントのところの正診率ばかりになってしまって、これを直ちに先進医療として大いに進めて患者のためになるかというと、その手前みたいな感じがするので、試験のデザインをもう少し前に進めてもらいたいというやり取りが行われたわけです。しかし、余りPMDAとも相談されていなくて道筋がはっきりしないのです。むしろ好意的な意味で、もう少しちゃんと前に進めたほうがいいのではないかというやり取りだと、私も理解しました。
○山本構成員 PMDAの相談として、薬事戦略相談であれば、比較的1回で、ある程度の道筋は出るのではないかと思うので、せめて事前相談などに行っていただくと。伊藤先生は「不適」とおっしゃっていますけれども、継続審議にして、それを条件にして、それを頂いてPMDAとの協議の結果を見て、試験デザインをもう一度というやり方もあるのではないでしょうか。恐らく前回は、全体にPMDAと協議をして、その結果を持ってきなさいとまでは言ってないと思うので、今回はそれを条件に付けるというのはどうですか。一旦「不適」にしてしまうと、次にもう一度申請されてくるときに、申請者はものすごく手間が掛かるのです。そういうことも考えると、もう一度チャンスをあげてもいいのではないかと思うのですが、ちょっと甘いでしょうか。
○山口座長 そういう御意見もあるかもしれませんが、こちら側のアドバイスを全く、聞き入れることなく、合理的な説明もないので、やはりここはリセットしていただいたほうが、むしろ早いのではないかと思います。そうでないと、またずっと同じ議論が繰り返されますので是非、冷静になって道を進んでいただいたほうが良いように思います。決してこの技術が悪いと言っているわけでなく、この意義はよく分かるからこそ、より迅速にやるためには、リセットしていただいたほうが私もいいかと思います。
委員の方は大変御苦労されたとは思いますが、このことはよく読んでいただくと分かります。例えば自分たちが引用しているペーパーが当てにならないというような議論がありますが、だったらそんなものをどうして引用するのかと思うようなことがあったり、かなり御都合のいい解釈をしている部分が、あちらこちらに見られて、なかなか議論がかみ合わないのです。ですから、むしろ積極的に前に進めるという意味で、一度「不適」にしてリセットしたほうがいいのではないかというように感じました。ほかにありませんか。「不適」はなるべく出したくないという気持ちは、みんなあるとは思うのです。伊藤先生、何か追加はありますか。
○伊藤構成員 ありがとうございます。去年の先進医療会議から、やり取りが大変でした。ただ、少なくとも感度が入ってきて、診断能としての評価ができる形になったというのは良かったと思っておりますが、フルオレセインの適応を取るための道筋としては、このままでは逆に回り道をするのではないかという懸念があるので、そこは改善していただきたいと思っております。
○山口座長 ほかに御意見はありませんか。よろしいでしょうか。それでは整理番号90については、「不適」ということにいたします。では、藤原構成員と柴田構成員にお戻りいただくことといたします。
                         (藤原構成員、柴田構成員着席)
○山口座長 続いて、新規申請技術の評価結果について、事務局より説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 よろしくお願いいたします。それでは机上配布資料、「構成員、事務局及び傍聴用」と書いてある別冊の机上配布資料1の1ページを御覧ください。今回、先進医療Bとして新規に御評価を頂く技術は、整理番号093、自家末梢血CD34陽性細胞移植による下肢血管再生療法です。申請医療機関は、医療法人沖縄徳洲会 湘南鎌倉総合病院です。審査担当構成員は、主担当が真田構成員、副担当は後藤構成員、山中構成員、以上となっております。
机上配布資料の40ページ、資料5を御覧ください。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件を御説明いたします。また、別冊資料の様式10号集に、この試験の様式10号もありますので、そちらも併せて御確認をお願いいたします。
では、40ページの様式9号について御説明いたします。Ⅰ.実施責任医師の要件として、診療科は、腎臓内科あるいは透析内科です。資格は特にありません。当該診療科の経験年数は5年以上が必要、当該技術の経験年数は特にありません。当該技術の経験症例数は要件ありません。その他の要件としては、透析医療の診療経験が3年以上あることです。
続いて、Ⅱ.医療機関の要件ですが、診療科は腎臓内科、血液透析を標榜する診療科です。実施診療科の医師数は、透析医療に3年以上の経験のある医師2名以上、再生医療認定医(日本再生医療学会)1名以上です。他診療科の医師数は、常勤の麻酔科医が1名以上必要です。その他医療従事者の配置は要件ありません。病床数は20床以上、看護配置は10対1看護以上、当直体制は内科医1名が必要です。緊急手術の実施体制は必要ありません。院内検査の24時間実施体制は必要、他の医療機関との連携体制は要件ありません。医療機器の保守管理体制は必要で、倫理審査委員会による審査体制として特定認定再生医療等委員会での審査体制が必要です。医療安全管理委員会の設置は必要、医療機関としての当該技術の実施症例数は要件ありません。Ⅲ.その他の要件としては、頻回の実績報告は不要で、特に要件はありません。以上です。
○山口座長 この要件について、何か御意見はありませんか。では、特にないようですので、様式9号、10号については、お認めすることといたします。次に主担当の真田構成員より、概要の実施体制と実施体制の評価について御説明をお願いいたします。
○真田構成員 本申請技術の事前評価結果について御報告いたします。まず、これは机上配布資料と書いてありますけれども、こちらがセットされたのが昨日の夜ということで、事務局さんも御申請された先生方も、大変お疲れ様でございました。
先進医療技術の名称ですが、自家末梢血CD34陽性細胞移植による下肢血管再生療法です。技術の概要については、机上配布資料2に記載されておりますが、今回、対象となる患者さんは慢性維持透析中の患者さんです。腎不全で、既に維持透析を導入されている患者さんで、下肢血管造影にて閉塞性動脈硬化症と診断され、虚血重症度分類は幾つか分類がありますが今回はRutherford分類を採用されております。このRutherford分類につきましては、タブレットを御覧いただける先生方ですと、試験計画書の25ページから26ページ、また、机上配布資料を御覧になっている皆様方については、資料2の13ページ、回答1の問11の回答の所に言及があります。このRutherford分類の4群又は5群に属し、血管形成術/バイパス術の適応外と診断された症例、つまり下肢の持続的な疼痛や一部壊疽になっているような、最終的に下肢が虚血によって切断されるという治療を遅かれ早かれ免れないというような重症症例を対象にされ、また、代替治療法として血管形成術やバイパス術もできないと診断された症例が対象となっております。
この詳細ですけれども、お手持ちの資料の38ページに概要図がありますが、こちらの概要図も参照されながらお聞きいただきたいと思います。あらかじめ、このような患者さんに、G-CSF製剤を400μg/m2、これはかなり多い量だと認識していますが、これを5日間、又は白血球数が75,000/μL以上に増加するまで皮下投与します。そして投与の5日目に末梢血から幹細胞等を分離・採取するためにアフェレシスを行う。それから、磁気細胞分離機器を用いてCD34、すなわち多能性幹細胞を標識している細胞表面マーカーと理解していただいたらよろしいかと思いますけれども、その陽性細胞を分離し調整し、分離細胞が御覧の個数になったところを治療対象肢に筋肉内投与して、移植後、定期的に虚血の重症度の改善や疼痛の評価、潰瘍のサイズの変化をみるということになります。
こちらは先般、先進医療の告示番号59番になっているかと思いますけれども、京都府立医大が中心になって、バージャー病に対する自家骨髄単核球の移植術が、今、先進医療で実施されておりますが、対象患者さんや、取る細胞の種類は若干違いますけれども基本的な技術や評価の在りようについては、ほぼ類似したものと考えてよろしいのではないかと思います。
主要評価項目は、細胞移植後52週までの安全性及び細胞移植肢に対する有効性、すなわち細胞移植肢の1年AFS(amputation free survival)、切断回避生存率を主要評価項目にして、あと幾つかの副次評価項目を立てて、予定症例数は16ないし20例ということで申請を頂いています。その事前評価の過程ですが、同じ資料の5ページ以降に先進医療審査の事前照会事項に対する回答1~7までありますので、まとめております。
私からは、回答1のほうの御質問をさせていただきました。1番が、先ほどの先行する先進医療において適応患者を決める際にバージャー病となっております。つまりASOではなくTAOです。なぜかという議論になったときに、彼らが用いていた細胞に対しては、ASOに対する効果が余り芳しくなく、TAOに対する効果が、より有効と考えられたために、TAOに対しての技術とするという議論がありました。
今回も技術自体は類似のものですから、今回はASOを対象にされるということでしたので、その辺りの見解を問いましたが、やはり重症の透析患者さんにあっては、このASOが、かなりポピュレーション的にも多数あり、重症で医療的にも困った問題であるということですので、これに対する効果を見たいということをおっしゃいましたので、そこは私は「良し」といたしました。
次に2番目です。先般、ニュースにもなりましたけれども、この先進医療でも実施されていたベペルミノゲンペルプラスミド、商品名はコラテジェン、2番の所には「薬事承認されました」と書いてありますが、正確には、「薬事承認に支障はないという結論になった」ということで、まだ正式に薬事承認はされていないという理解でよろしいかと思います。それでよろしいですね。
○医政局研究開発振興課専門官 はい。
○真田構成員 そういう状況ですが、薬事承認されるのは間違いないということで、この薬事承認された技術が上市されますと、同じような適応の患者さんに対しても保険内診療となり得ますので、それに対して、この技術をどういう位置付けにするのかということを問うたということです。
次の3番ですけれども、これは彼らが根拠としている先行論文については、実はこれは5群に分類されるポピュレーションを見た結果であるということですが、今回の技術では、4群と5群をともに対象とされるということになりますので、この対象分類が、いわゆる有効性を推定した主研究のバックグラウンドとは少し異なる点についての御質問をさせていただいたというところになります。
4番目は、重症度と重篤度について、ちょっと評価の目が粗かったということで、世界的にも認知されているCTCAEグレードに合わせてくださいと、お願いしたということです。
5番目が、効果安全性評価委員会の体制を独立させてくださいと。これは後に別の先生からも御指摘がありましたので、こちらも適切に回答されていたと思います。
6番目につきましては、こちらの片側下肢の評価ですけれども、両側下肢が対象となる患者さんについての扱いをどうするのかということを御質問したところです。
7番目は、タブレットの15ページ、試験計画書のほうを御覧いただきますと、この試験の流れ図が書いてあります。文章同意の取得を得てからスクリーニング検査をして、スクリーニング検査で適格性が判定されたら登録して試験を開始するということなのですが、このスクリーニング検査の結果をもちろん参考にする中で「同意取得以前の結果を参考にしてよい」と書いてありますので、それがどの辺りを参考にしたらいいのですかということについて、一応御確認をしたということになります。
8番目ですが、これは議論としては、かなりやり取りがあったところですけれども、今回用いる細胞加工物について、純度が25%、生存率が70%という値を具体的に挙げられて、これを使用の目安としますということをうたっておられました。
ただ、当初は、これを上回らない場合であっても細胞数が一定数であれば移植を可とするということをお示しいただいていたのですけれども、先ほども申し上げましたように、先進医療として既に告示をされている技術をはじめ、そのほか臨床研究でも、やはり類似したような細胞を、類似したような適応の方に使っている臨床研究というのは、たくさんあります。
そのような中にあって、特出し的に「CD34陽性細胞移植」の効果をみるとうたわれた意義を考えますと、ある程度そこに純度や細胞数の品質保証があったほうがいいのではないかと、例え探索的であったとしても、私としては考えられましたので、その点についてお伺いしたということになります。
あとは時間もないことですので、大きいところとしましては、次のページの11番、先ほど申し上げましたRutherford分類の考え方です。Rutherford分類というのは症候性の分類なのですけれども、その血圧値と実測値が併記されていて、どちらを採用したらいいのかが難しいというところと、先般の告示59の技術の審議のときも大変問題になったところだと認識していますが、この血圧を測る手技はSPPといって、皮膚にレーザーみたいなものを当てて灌流圧を測るのですが、これが非常にやはり誤差が大きく、なかなか再現性の良い値を取るのが難しい技術だということですので、その辺をどのような基準に取り入れられるのですかということを、お伺いしたということになります。
こちらの回答は、基本的には症候性の判断基準を採用し、その補助的な客観基準として、この血圧値を入れられるということでお答えいただきましたので、私のほうは、これは良しとした次第です。
以上、これらが大きな質問で、細かい質問もありましたけれども、あとは回答3ですが、これも結局、Rutherfordの4群と5群を両方リクルートされるに当たって、16例から20例という登録を考えられているということになりますと、その4群と5群というのが、結局、この臨床試験をする背景です。クリニカルクエスチョンは類似ですけれども、背景が全然異なっていて、その探索試験の度合が先行研究が全くないものと、先行研究からその有効性が類推されて、それを探索的に証明するものというような違うカテゴリーのものを1つの試験で調べるということになりますので、ある程度2つの分類ともに、やはりある程度の症例数がないと、解析が難しいのではないかと。それを登録基準として、最初にそういう調整をすることが分かっているのであれば、それをうたってくださいということをお願いして、これは最終的に入れていただきましたので、良しといたしました。
あとは、この純度と細胞生存率の問題が、やはり後まで議論になりまして、そこが回答4のところでも議論させていただきました。25%、70%という数値的な基準が、私は再生医療の細かい専門ではありませんので、この値がCD34陽性細胞の有効性を評価する試験として妥当かどうかということにつきましては、最終的にこちらにいらっしゃる先生方の御意見も伺って、私も判断をさせていただきたいと思っております。大まかには以上になります。
○山口座長 ありがとうございました。それでは次に、本日御出席の副担当の後藤構成員からの倫理的観点からの御評価について、事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 お手元の机上配布資料2の3ページを、そのまま御覧ください。後藤先生からのご評価は、評価項目はいずれも「適」で頂いております。コメントですが、「事前照会に対して回答が得られ、説明文書等の修正が行われたため、「適」と判断しました。」ということです。以上です。
○山口座長 それでは、本日同様に御欠席の副担当の山中構成員の試験実施計画書等の御評価について、事務局より御説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 先ほどの資料の下に、山中先生の御評価があります。山中先生も全ての項目で「適」で頂いております。コメントは、実施条件欄に「計画に関する事実確認、追記・改訂の検討が必要な事項等は別途照会した。」とあります。そして、最後の照会事項の回答が得られた後に、「これで了解です。追加の照会はございません。」という回答を頂いております。以上です。
○山口座長 それでは、主担当の真田構成員より、事例のまとめと総合評価について、お願いします。
○真田構成員 以上のような経過をもちまして、私の総合評価としては、この机上配布資料の4ページにありますように、予定症例数16ないし20例ということで「適」とさせていただきました。全ての回答に妥当な解が得られたということですが、先ほど申し上げましたように、その細胞の純度及び生存率というところの具体的な数値につきましては、先生方の御意見を頂戴したいと思っております。以上です。
○山口座長 ありがとうございました。それでは、何か御意見をどうぞ。
○松山構成員 純度と生存率に関して、ちょっとコメントをさせてください。これは取ってきているだけのものなので、生存率が70%というのは仕方ないだろうと。ただ、やはりCD34ポジティブの細胞が25%というのは余りにも低いというところがあって、本当に効果を見るのであれば、むしろ比率ではなくてトータルのCD34の陽性細胞数でファンクションを見るべきだと考えています。
ただ、これに関しては、ちょっと申請書を見させていただいたら、これは実はinvestigational試験であって、「もう一度、先進医療で行う」という記載があるので、そういう前提であれば認められることになるのかなと考えています。
それからもう一点よろしいでしょうか。今回、実は世界的な常識だと、TAO(バージャー病)に関しては、こういうものからCLIの血管指数は有効だというのがコンセンサスだと思うのですが、ASOに関しては世界的に見て効果がないのではないかというのがコンセンサスでした。
これに対して、彼らの論文が、そうではないのだと示したということで、ハイインパクトだったということがあるのですが、ここは若干トリッキーなところがあります。
被験者の適格基準及び選定方法にあるのですが、「下肢血管造影において、浅大腿動脈、膝窩動脈、膝窩静脈のいずれかで、瘤、狭窄が確認された下肢虚血の患者」と記載があって、一番太いフェモラールの部分が入ると、ここは確実に無効になるだろうと思われますので、将来的に、これが除外されているので、保険適用に行くにしても、しっかりと部位はどこなのだと。ASOであるから全てが効果があるわけではないというものは、解剖学的には私は常識だと思いますので、そのところは是非とも議事録に残していただいて、次回に審議するときに、太い血管の部分ではなくて、細い末梢の動脈の部分に関しては有効である可能性があるという形で、御議論を進めていただければ有り難いと考えています。以上です。
○山口座長 ありがとうございました。真田先生、何か御意見はありますか。
○真田構成員 御意見を頂きましてありがとうございました。部位については、私も途中の指摘のところで、その部位と効果について、後付け解析ができるように、それを記録に残してくださいということをお願いして、それは御了解を頂いたという認識ですので、探索的には、この症例数で、どこまでそれが解析できるかということはさて置き、現象としてはどの部位で効果がよくあって、どの部位でなかったということは、探索的には理解され得る試験なのではないかなとは認識しております。御意見ありがとうございました。
○山口座長 ほかにありませんか。
○藤原構成員 CD34は、がんの領域では対応化学療法の後のCD34セレクションという、かつて流行った時期があって、その延長の技術だと思うのですけれども、ロードマップを見ても、一体どうやったら承認とか保険適用になるかというのは全然詰められていなくて、タブレットの資料を見ても、受けているのはPMDAのペラペラ1枚のただの助言、事前面談の記録しかなくて、この人たちは一体これから機器メーカーとか、それからG-CSF製剤を売っている製薬企業さんと、どう交渉して、保険適用するにしても、技術として取るだけなのか、それとも医療機器の承認と、今はG-CSF製剤だったら、末梢血幹細胞導入しか適応は多分ないので、それをこういう重症虚血肢に応用するのかというのを、企業さんとどう交渉するのかとか、全く見えなかったのですが。
この試験をやった後に、本当にPMDA相談を受けて、いろいろなプロセスをやるにしても、今のうちから、しっかり詰めておかないと、もともと『ステム・セル・リポーツ』に出たのも2009年ですよね。もう10年も前の話を今更実用化するのですかという話もあるのですが。全体の枠組みとしてどのようになっているかというのは、先生、聞かれましたか。
○真田構成員 ありがとうございます。この申請者と特異的に、そのようなやり取りをしたことではないので、私が調べて確認した範囲の認識にとどまっているのですが、まず、先ほど松山先生がおっしゃいましたように、この先進医療Bのみをもって、この技術が薬事承認あるいは保険収載に向かうということではなく、極めて探索的な構図であるということは理解されているところですので、この後に1つ、どのようなことであっても試験をやらないといけないということは御理解はされていると思います。
これは先ほども申し上げましたが、非常に類似の技術が、いろいろな所で臨床試験あるいは早期相の治験を終わっている段階でありまして、恐らくこの結果の出方によっても、どのような試験と結果をコンバインして、次の段階へ進むなどというような戦略は多少変わってくるのかなとは思いますが、その辺りについては、特異的には聞いておりませんので、申し訳ございません。
○山本構成員 なぜ、ここにこういう初期のというか、探索的な試験ばかりが動いているかというと、結局どの治療も、この患者さんたちを救えていないからなのですよね。あまり注目されていないところですが、今、循環器の中では、やはりここは本当にアンメット・メディカル・ニーズが一番高い領域で、そもそもこのような末梢の下肢虚血を持っていて、しかも潰瘍もあって、しかも透析中の方というのは、予後が多分1年あるかないかぐらいの方が結構いらっしゃって、その間ずっと足が痛い、それから歩けないという、QOLが極端に下がった状態で、しかも週3回透析を受けてということを繰り返している方たちなのですよね。
なので、そこに対しての治療を、今、特に血管内科・外科の先生方が探しているのだけれども、残念ながらあまり。多分、潜在的なニーズはあるのですけれども、あまり今のところはマーケットとして注目されていなかったので、それと技術的にも血管内治療に行くにしても、ついこの間までは、ここまで届かないということで、もう完全にネグレクトされていた領域なので、そこに対して果敢に挑戦されているのだろうとは思います。
もう1つは、今まで先進医療の枠組みでやられている、この手の細胞治療が、やはりすごく少ないので、先行で条件付き承認になったコラテジェンは、一定の安全性は見られたけれど有効性についてはまだクエスチョンマークが付いていると思いますし、それと潜在的には、多分ニーズのある所でマーケットとしてはあるので、現時点でマーケットが掘り起こしていないから余り企業が付いてこないというところがありますけれども、本当に効くということが分かれば、結構出てくるのではないかなと。
コラテジェンなどよりは、まだG-CSFを打って自分の細胞を増やして、それで、この分離装置で、ただ分離するだけですので、もう透析されている患者さんという意味で言うと、そんなに大きな追加負担の医療行為ではないので、そういう意味では有効性が出るかどうかは非常にクエスチョナブルではありますけれども、ほかに全然有効な手段がなくて、うちも今、これを別の所で、機器を使った血管内治療、ステントを置くというような治療を何とかできないかということで、医師主導治験をやっていますけれども、本当に予後の相当に悪い患者さんに対して、しかもQOLが非常に悪い方に対しての試験であるということを認識しておくべきかなと思います。
○山口座長 ありがとうございました。ほかにありませんか。
○天野構成員 タブレットに収載されている患者説明文書について、2点あります。1点目ですが、説明文書の9ページの部分で、先ほども御説明があったように、いわゆるアフェレシスの部分での説明ですが、G-CSF製剤をかなりの量を打っていると思いますし、また白血球数が7.5万/μL以上となった場合はアフェレシス等を実施するということですと、かなりの白血球の量になっています。
私も血液がんの患者として自家末梢血幹細胞移植の経験がありますが、このようにかなりのG-CSFを投与すると、それなりの副作用があると思います。15ページを見ますと、恐らくG-CSF製剤に関する添付文書の報告を基にした記載がありますが、一般的な副作用のみが記載されているかと思いますので、G-CSFを大量に投与した場合の、恐らく何らかの個有の副作用があるのではないかと思いますので、もし可能であれば、その記載をお願いできればというのが1点目です。
2点目が、19ページの一番下の部分に、移植細胞数が規定に満たない場合は、移植自体が行えない場合があるという記載があります。規定に満たず、移植が行えない場合は、もし分かるのであればということですが、どの程度の可能性があるのかという記載、また、行わなかった場合、この採取した移植細胞は、どのようにされるのかということについても、可能であれば記載をお願いできればと思います。私からは以上です。
○山口座長 ありがとうございました。今の点を追加していただきたいと思います。ほかにありませんか。
○真田構成員 今、非常に重要な言及を頂いたと思っております。私も先生がおっしゃった意見に賛成です。かなり多量のG-CSF製剤が使われている背景として、彼らの計画書、あるいはやり取りの中で分かったこととしましては、透析患者においては、このG-CSFへの反応性、あるいはこういう幹細胞系の細胞が、ポピュレーションとして少なくて取りにくい、あるいは増えにくいという背景があるところに、今、可能な限りたくさんの細胞を取ろうと思うと、このG-CSFを承認内でほぼ最大用量ということで使用せざるを得なかったという説明はあります。
ただ、先生がおっしゃいましたように、多量のものを使用すると、デフォルトでそのようになっているということから、やはり一般的な副作用からすると、特異的に多量のものを使用するというリスクが説明されているということにおいては、やはり手厚くするほうが妥当かなとは思いますので、そのように御配慮いただけたらと思います。
○山口座長 では、掛江先生どうぞ。
○掛江構成員 申し訳ございません、分かっていないのかもしれないのですが、この試験に参加される患者様は、基礎疾患として糖尿病などをお持ちの方という理解でよろしいのでしょうか。もし、そうなのであれば、下肢の虚血性の閉塞部ばかりを、今回の研究対象として御覧いただいていても、仮にものすごくよく効いた場合に、全身状態が変わるとか、運動量が変わるとか、活動量が変わるとか、基礎疾患をうまくコントロールできない状況が生じるとか、何か弊害は出ないのかなというところの安全性を担保していただく必要はないのかなというのが1点です。まず、そこを教えていただければと思います。
○山口座長 いかがですか、何かありますか。
○真田構成員 ちょっと聞き取りにくかったのですが、糖尿病の合併症ということを、お聞きになればということですか。
○山口座長 この治療が有効で、例えば運動性が良くなったりすると、ほかの所に悪い影響が出てこないかということだと思うのですが。
○真田構成員 それについても今回は探索的試験ですので、安全性の評価の対象になっているという理解だと、私は認識しています。ただ、先行研究の結果では、そのようなものは認められなかったという記載はあったようです。
○山口座長 運動性が良くなれば、基本的に良くなると思うのですが。
○山本構成員 もともと多分、これは下肢に、最後の細い所ですが、最低限の所に70%以上の狭窄があって、この治療自体が狭窄を解くような種類のものではないので、血流は上がると思いますけれども、そもそもやはり狭窄度は強いままですし、もともと維持透析に入って、これだけの虚血があるということは、ほぼ糖尿頻発というか、当然あると考えていいので、もちろん虚血性心疾患とか、そういうのを持っていらっしゃる可能性は非常に高いのです。
ただ、この治療をして多少良くなったからといって、急にすごく歩けるとか、恐らくすごく効いたときに、心不全の患者さんがすごく良くなったときに急に活動量が増して、逆に心不全がまた悪くなったというようなのを、別の所で見たことがあるので、そういう御心配をされているのではないかと思うのですが、この病状のときは、そこまでは急に動くということはないのではないかなと思います。
○山口座長 ありがとうございます。どうぞ、藤原先生。
○藤原構成員 私も山本先生と同じように、このG-CSFは、既に同種で、あるいは自家で、同種の場合は健康成人に投与する場合、400μg/m2まで投与できるということで承認も取れています。それから自家移植のときには大量化学療法をやって、もっとひどい状態になった人でも耐えられているということで、もう用法・用量の範囲では、健康な人から非常に重篤ながんを持っている人まで、みんな検証された上で承認があるので、余り心配というか、対象疾患は非常に重篤なので、それに比べれば、リスク&ベネフィットを考えた場合に、既に薬事承認された範囲内で投与して、手法としても確立しているものなので、あまり心配しなくてもいいと思います。
IC文書についても、今、さっと見ましたが、添付文書に、造血幹細胞移植導入でドナーに対して一番心配なのは脾破裂といって、急に脾臓がガッと大きくなって破裂するのが一番怖いのですけれども、それも書いてありました。それから長期的に見たら、二次性の白血病になる人がいるのではないかといわれていますが、それも前承認の後の、多分、造血幹細胞移植学会とか血液学会とかが、レジストリーを作って検証しているはずなのですが、二次性白血病が増えたという報告はいまだにないです。対象の重篤性から考えて、これはそんなに心配せずに、ちゃんとやったほうがいいと思います。
○山口座長 貴重な御意見、ありがとうございました。
○掛江構成員 ありがとうございます。安心したのですが、あともう1つ、教えていただきたいのです。今の藤原委員の御説明の中に含まれていたのかもしれないのですが、こういう基礎疾患をお持ちの方で、アフェレーシスのリスクというか、そういったところは通常の方と変わりないのかというところと、最初の施設基準の説明で、腎臓内科あるいは透析内科ということだったと思うのですけれども、そういった基礎疾患をお持ちの方にアフェレーシスをするけれど、基礎疾患の診療科が要件に入っているわけではないし、アフェレーシスなどを普段やっていらっしゃる診療科が入っているわけでもないという状況において、これは安全性は担保されているのかなという点がちょっとだけ心配になりました。専門の先生に大丈夫と言っていただければ、もうそれで結構なのですが。
○真田構成員 アフェレシスの手技そのものについては、透析を一般的にやっている内科の先生であれば、例えばLDLアフェレシスだとか、その目的は変わりますけれども、ほぼ手技としては似たようなことはやっています。それと、そもそも透析をやっているわけで、これのほうが大きな血流を外に出しますので、生命上必要とはいえ、リスクは高いわけです。そういうことに耐えていることからすると、アフェレシスそのものの手技が付加的にどうかということは、この中でも私がお聞きしましたのは、維持透析をやっているということと、アフェレシスをやるということの時間的な関係性についてはお伺いしましたけれども、それ以上の付加的な危険性は、あまり特異的なトピックとしては考えなくてもいいのかもしれないと思います。
○山口座長 ありがとうございました。ほかによろしいですか。
○山本構成員 あとは多分、診療科のことをおっしゃっていたのですが、現状で、もちろん動脈硬化の強い方、典型的な例で言うと、まず最初に心筋梗塞を起こして、その次に脳梗塞を起こして、最後に腎臓に至るというのが、割と典型的なパターンなのですね。なので、結果的に腎臓で透析されている方というのは、大体そういうのを乗り越えてこられているので、透析の腎臓内科が、結局それまでのリスクの管理から、全部やらざるを得ないのです。現状は普通に診療科がそれをやっていると思いますので、余りそこは心配ないかなと。
だから、これに入ることで、特段今までの診療科から別に移ってやるという感じではなくて、むしろ通常の診療の範囲内に、週3回透析をやっているところに、間にアフェレシスを入れるという感じで、アフェレシスも今はもうほとんど透析内科で一緒にやっていると思いますので、そういう意味では、日常診療から技術的には逸脱していないと思います。
○掛江構成員 ありがとうございます。
○山口座長 どうも御丁寧な御質疑をありがとうございました。ほかにありませんか。それでは、整理番号93につきまして、「適」ということにいたしたいと思います。ただし、いろいろと御意見がありました。例えば、G-CSFを大量にやるので、その特異的な副作用について、もう少し書いていただいたほうがいいのではないかとか、数が増えないときの後の対処ですが、どういう方法があるのかと、そういうこともきめ細かく書いてほしいという御意見。
それから山本先生から大変重要な御指摘を頂いたのですけれども、先進医療はそもそも非常に厳しい状況で、見通しの立たないものに対して、やはり迅速に新しい技術を試すという意味も大いにあるので、そういう意味では適切な試験かと思います。ただし、藤原先生の御指摘があったように、もし効いたときに、そのときに初めてロードマップが本当に保険に行くのではなくて、もし効いたときのことも考えて、よくロードマップを考えてくださいということも、是非、付け加えて申し伝えたいと思います。そういうことを付帯して、「適」ということにしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
                                   (異議なし)
○山口座長 ありがとうございました。それでは「適」ということにいたします。続きまして、総括報告書の評価について、事務局より説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 別冊資料の資料2-1(差し替え)を御覧ください。先進医療Bの総括報告書に関する評価を頂くのは、旧告示番号21、自己口腔粘膜を用いた培養上皮細胞シートの移植術です。真田先生、飛田先生におかれましては御所属の医療機関ですので、ただいま御退席いただきました。ありがとうございます。続けさせていただきます。申請医療機関は大阪大学医学部附属病院です。審査担当構成員は主担当が松山構成員、副担当が柴田構成員です。
試験の概要です。資料2-1(差し替え)の1ページ目に書かれておりますように、角膜上皮幹細胞疲弊症という名の通り、角膜の幹細胞が減少、枯渇してしまうという眼科疾患に対する試験治療です。本体資料の91ページに概要図がありますが、このように御自身の口腔粘膜から採取した細胞を培養して、自己培養口腔粘膜の上皮細胞シートを作製し、眼球に移植する、という技術です。詳細な結果については先生方からお願いいたします。以上です。
○山口座長 では、本技術の評価について、主担当の松山構成員から御説明をお願いいたします。
○松山構成員 技術に関してコメントする前に、まず柴田先生からプロトコール等に関してコメントを頂いてから、私からお話させていただこうと思います。
○柴田構成員 プロトコールの内容とその結果についてです。簡単に御説明いたしますが内容が多いので、できるだけ手短に御説明できるようにいたします。お手元に資料2の差し替えの評価表を御用意ください。5ページになります。まず御覧いただきたいのですが、この試験はちょっと複雑な経緯をたどっておりますので、背景から御説明いたします。今回提出された総括報告書は、先進医療として大阪大学医学部附属病院にて実施された1例と、先進医療として認められる前に同院で実施された症例9例、さらにほかの3医療機関から登録された患者の症例、合計4つの独立した臨床試験のデータを統合して有効性及び安全性を評価したものです。大阪大学医学部附属病院からは合計10例登録されていますが、2例は解析対象外となっております。
もう一点、背景ですが、大阪大学医学部附属病院で実施された臨床試験(UMIN000005400)は、まず先進医療として認められる前に開始された臨床試験を同一臨床試験として継続しつつ、途中から先進医療下の臨床試験としたものです。
2点目の指摘です。このUMIN番号の臨床試験ですが、開始時の試験実施計画書には統計学的な症例数の設定根拠は記されていませんでした。10例の登録はなされていますが、この大半は統計学的な設定がなされる以前の患者のデータです。具体的には、10例中9例は統計学的な設定がなされる前の登録で、統計学的に10例必要であると設定した後に登録された患者は1例だけであるということです。つまり、このような背景がありますので、本総括報告書のデータに対する統計学的な結果を厳密に扱うことは不適切です。ただ、探索的な解釈はできますので、得られたデータを丁寧に分析すべきだろうと考えます。
指摘の3点目です。仮に、この点について問題がなかったとしても、この試験の有効性評価方法の臨床的意義については、1年という短期間での評価時期の問題も含め、議論の余地があるということは2012年の第32回高度医療評価会議において議論されており、あくまでも、より厳密な治験を実施するためのGo/No go判断を下すための探索的な評価方法としての位置付けにとどまるものであるというのは、試験開始前から明らかになっていたわけです。これは、このような医療技術を世の中に出すために治験をやるべきであるわけですが、その治験を実施できるかどうかを判断するためのデータを得るために、どうしても先進医療でやる必要があるということで申請がなされたものです。
お手元のタブレットを御覧ください。タブレットの中に総括報告書がありまして、番号は「01」と書いてあるものです。これから重要な所を幾つか御紹介しますが、この「01」の2ページ目を御覧ください。2ページ目の「概要」というタイトルの下に「臨床試験登録ID」と書いてありますが、こちらは大阪大学医学部附属病院とは別に、残りの3つの医療機関の臨床試験、それぞれ独立な臨床試験としてUMINに登録されています。読み上げることは省略しますが、そのデータを統合して作られたものです。なおかつ、大阪大学医学部附属病院の試験のうちの1例は、先進医療として実施されたものです。言い換えますと、先進医療としての結果は1例のみなのですが、科学的な評価をする上で、申請医療機関の先生方はこれらを統合したデータを提示することで、より解釈が進むのではないかと考えられたのだと思います。
次に、タブレットの18ページを御覧ください。18ページの下に「症例数の決定」というのが書いてあります。各大学、各医療機関10例ずつの登録で合計40例を目標にしていたというものです。繰り返しますが、それぞれは独立した臨床試験ですので、各臨床試験ごとに10例と設定した根拠があるはずです。この先進医療を申請された大阪大学医学部附属病院の臨床研究に関しては、研究開始時は1に書いてあるように、フィージビリティの観点から10例という設定がされていました。高度医療評価会議に申請として出される段階になって、19ページの右上に、統計学的な検討がなされており、Gomesらの論文のデータを基に閾値を設定して、期待値を設定して、必要症例数を見積ったという形になっています。通常、このような設定をしたら、このような設定に従って患者を登録して、つまり前向きに患者を登録して、その結果を解釈することになるのですが、先ほどお話したように、この設定は試験の途中で設定されたものです。この設定の後に登録された患者が1人である以上、この設定についてはあまり科学的な意味はありません。
次に、16ページに戻っていただきたいと思います。今回の臨床試験でのエンドポイントについてです。有効性評価項目の主要評価項目は、1年後の、9.5.2の所ですが、1年後の結膜化がなく、かつ上皮欠損のない面積を9.1の表のようにGradingしまして、グレーディングの2以上の改善を認めた被験者を有効であったとしています。こちらで言いますと、フェア以上の所です。副次評価項目の矯正視力の所は直感的なものなので省略しますが、(2)の角膜混濁が、Grade0から3までありまして、Grade0が一番よい状況、Grade3が一番悪い状況です。Grade2の辺りが、それなりにちょっと問題があるような状況ということです。つぎが角膜血管新生で、これも0が血管新生なしで、よい状況、Grade3が一番重い状況となります。以上のような前提の基にデータを見ていただきたいと思います。
36ページに飛んでください。こちらにプライマリーエンドポイントの結果が示されています。1年後の結膜化がなく、かつ上皮欠損のない面積のGradeですが、ここの12か月の所の成績で、かなりの患者はGrade5になっていて、ところどころ4とか2という患者がいらっしゃるのですが、真ん中の辺りの1-10という患者は、一旦Grade5になって4に下がってきています。もうちょっと下の真ん中の辺りの02-03という患者も、一旦5になって、また2に下がってきているという状況です。成績だけを見ると、全例100%の有効率という成績になっていますが、まず問題が2つあって、必ずしも全例100%の上皮欠損のない面積が得られているわけではなく、最低でもGradeごとに75%以上の上皮欠損のない面積が担保されているにとどまっていることと、一旦よくなっても、また悪くなりかけている方がいらっしゃるという状況にあるのを御理解いただければと思います。
戻っていただきまして29ページを御覧ください。こちらに角膜混濁Gradeの経時推移の大阪大学医学部附属病院の患者だけを抜き出したグラフがあります。この12という所が主要評価項目の解析のタイミングです。12か月以降、成績が向上しています。これは角膜移植を後治療として実施されたことによる成績向上だと思われます。ポイントは、一旦、ベースラインの段階でGrade3やGrade2だった方が、一旦Gradeが0のほうに近付くのですが、経過観察の途中でまた悪化している方がいらっしゃいまして、4例の方は、一旦よくなったものが悪化する傾向をたどって12か月を迎えておられるという状況になります。つまり、12か月の段階で良くなっているように見えるのですが、一旦よくなったものが悪くなっている方が含まれるというのがポイントになります。
33ページにお進みください。こちらに角膜血管新生Gradeの大阪大学医学部附属病院のグラフが上側に書いてあります。これも皆さん最初はGrade3と悪い状況だったのですが、移植後に皆さん改善しています。ただし、その改善した方がどんどん悪化していって12か月を迎えているという状況になっています。これも把握しておいていただきたい状況です。このような状況にありますので、最終的な1年時点のデータだけを見ると、そこそこ良い成績に見えるのですが、実際には完璧なデータではない。100%の有効率ですが、全例で完璧な経緯をたどっているわけではないという状況であるということは御理解いただけるかと思っております。
評価表に戻っていただいて、6ページを御覧ください。申請医療機関における先行研究が高度医療評価会議の場に提出されておりまして、『New England Journal Medicine』の2004年の論文があります。こちらでは、「4症例全例において1週間以内に角膜表面の完全な再上皮化が得られた」と記されておりますし、また「角膜の透明性は回復し、手術後の視力は4例全例で著明に回復した。平均14か月の経過観察期間中で全ての症例の角膜透明性が保たれた」と書いてあります。一方で、本臨床試験においては、全例において角膜表面の「完全な再上皮化」は得られていません。後治療として角膜上皮欠損に対して羊膜移植が4例5件に行われていること、あるいは眼合併症として移植後2年の間に角膜上皮欠損が22例中20例に53件報告されていることなどから、『New England Journal Medicine』の論文からは読み取れない本技術の特性が把握されるに至っています。要は、『New England Journal Medicine』の結果ほど良い結果ではなかったということでした。ただし、これは問題があったということではなく、通常の治療開発においても早期の少数例では成績がよかったものが、症例数を加えて検証を重ねるうちに実際の問題が見えてくるということがありますので、何ら問題はありません。これは臨床試験を実施すべき状況であったことを意味するということになりますが、ただし今後、本臨床試験成績を抜きに、『NewEngland Journal Medicine』に掲載された成績のみをもって本技術の有効性及び安全性を説明することは不適切であろうと思いますので、そこのところは明確にしておきたいと思います。
長くなって申し訳ないのですが、重要な点なので続けます。6ページの下部分を御覧ください。本技術の比較対照となるのは他家輪部移植になるという主張になっておりますが、他家輪部移植との相対的な関係については、今回有効率が100%であったので優越しているという主張をされたいのだと思いますが、「よい」というものの定義が異なっています。申請医療機関が先行研究に対する優越性を主張するための比較対照として挙げているGomesらの論文では、こちらの引用部分に書いてあるような条件で「よい」ということを定義しています。つまり、単に上皮化が得られるだけではなく、血管新生が減ること、視力が改善することまでを含めて「改善」と取っています。一方、この試験では、「結膜化がなく、かつ上皮欠損のない面積が10%以上」という条件で有効か無効かを判定されていますので、字面上の100%という数字で既存の成績との比較をすることは不適切です。
7ページに進んでいただきます。つまり、本臨床試験では有効性が相対的に高く評価される条件下での比較であることを差し引いて解釈する必要があります。ただし、これは試験実施前から分かっていたことで、本試験が引き続いて治験を行うかどうかのGo/No goの判断を行うための小規模の短期で実施される臨床試験のエンドポイントとしては、申請医療機関の主張の範囲内で考える限り、不適切な設定とは考えられませんし、実際にそれで本試験を実施することが認められたという経緯があります。
ただし、角膜移植が8例8件実施されていることなどについて、申請医療機関は十分な考察を行わないまま総括報告書を提出しています。申請医療機関の説明では、まず角膜表面の上皮の再上皮化後に、あらかじめ想定された範囲内の対応として角膜混濁の解消のために全層移植等を行うということを説明されています。つまり角膜移植が8例に行われたことについては、本医療技術のfailを示唆するものではないという主張をされていますが、この説明は一定の理解はできるものの、もしそうであれば総括報告書の中に具体的な移植技術などを説明せずに、ざっくりと「角膜移植」としか書いていない、何の目的で角膜移植が行われたのかの考察もされていないようなデータを提示した上で、このような有効性の主張をされることは、結果の総括の方法として不適切だと思います。また、結果として多くの患者で全層移植等が必要になるのであれば、本技術が自己細胞由来のものであるということによるメリットを、拒絶反応などの面で相対的に小さくしてしまうことになります。それで、このようなまとめ方は問題があるのではないかと考える次第です。きちんとした考察を本来はされるべきであったと考えます。
最後の論点です。医師主導治験を行うことになったため今回先進医療が中止されているのですが、大阪大学医学部附属病院における最後の症例が登録されたのが、総括報告書の情報によると2013年だと推察されます。つまり、そもそも高度医療の申請がなされた時点で、即、医師主導治験で実施するべきとの指摘もあったところ、申請医療機関はこちらに引用したような主張で、有効性のデータが得られれば、そのデータに基づいて治験実施の可能性が判断できると考えているとの説明をされていたので、本試験の有効性に関して何らの総括もせずに医師主導治験を開始したのであれば、本先進医療Bを実施する必然性を申請医療機関が自ら否定しているようなものではないかと考えます。
総括報告書の作成にこれだけの時間を要していることについては、お手元の資料2-2の88ページに「回答1」というのがありまして、「4施設のデータを固定するために時間を要してしまった」と説明されていますが、先ほど申し上げましたように、先進医療は大阪大学医学部附属病院でのみ実施されているので、残りの3試験のデータを一緒にまとめなければ先進医療技術審査部会に報告できないというわけではありません。つまり、先進医療の結果を先進医療の結果として速やかに報告されるべきところを、2015年には報告できたのではないかと想定されるところが、本年に至っているのは非常に問題ではないかと考えます。
以上をまとめますと、本技術は、いろいろと指摘はしましたが、この臨床試験に参加された患者が不利益を被ったという事実はないと思います。成績はそこそこ出ておりますし、恐らく期待できる医療技術であるという示唆を与える情報も含まれています。このものをこのまま開発を続けていいのかどうかについては、松山先生に御指摘いただきたいと思いますが、この試験に参加される患者に対する不利益はなかったのではないかと思いますが、臨床試験の結果から、それが推測できるとは言え、過大な評価を引き起こしかねない総括の仕方であるとか、結果の取りまとめが十分になされないままに治療開発が進められていると考えざるを得ない状況については問題だと考えます。プロトコールの内容及び結果については以上です。長くなってしまって申し訳ございませんでした。
○山口座長 ありがとうございました。それでは、松山先生からお願いします。
○松山委員 そもそも先進医療の治療が行われたのが1例ですので、ここで評価をすることが適切かどうかということを取りあえず言及させていただきます。角膜移植の再移植に関しては一般的に1割にも満たないので、22例中8例が角膜移植が行われているというのは、一見したところ成績が悪いのではないかと見えてしまいます。ただ、彼らが言及している上皮化した後に、やはり実質が濁っているから角膜移植をしたのだというのはそれなりに分かるのですが、少なくとも角膜移植というものを輪部移植と同等にするのではなくて、角膜移植というものがスタンダードな治療法ですから、それと比較すると少なくとも有効であるとは言えないだろうと。同等か、劣るかというのは非常に微妙なところはあると思うのですが、ただ角膜というのもありますし、それに少なくとも口腔粘膜の移植のhistologyを見ていると、よくないのです。このチームに対しては、ずっと長期予後の論文を早く出してくれというのを言っていたのですが、一向に出してこないというのがこの結果なので、これに関しては、あえて従来の医療技術よりも劣るという形で提案させていただいて、今後、論文でゴメスの定義に基づいて、日本国内ではなくて国際学会誌に長期予後のレポートを出していただいて、もし私の判断が間違いであるということであれば私がこの場で謝罪し、修正をさせていただくということで、このようにさせていただこうと思います。
個々の問題に関しては、角膜移植だけを取っても、その症例を無効例としてしまうと有効例が2割ぐらいになってしまうので、その部分はやはり考えないといけないなと思っています。
安全性に関しては、角膜移植などもそれなりに予想されることですし、角膜移植というバックアップの治療があるということで、そもそもそういうものがあるということが記載されているので、余り問題なしとさせていただいています。
技術的成熟度に関しては、大阪大学、東京大学、東北大学、愛媛大学でされているのですが、東北大学では7例中で角膜移植が1例もありません。ところが阪大は8例中4例、愛媛に関しては4例中3例が角膜移植をされていて、もし同じような技術であるならば、同じようなばらつきになるはずで、これは施設間のばらつきがあると判断して、「C」で、「当該分野を専門とし、かなりの経験を積んだ医師を中心とした体制を取っていないと実施できない」という形にさせていただいております。
加えて、言及させていただきたいのが、このチームは医師主導型治験で、企業治験に入っているかどうか分かりませんが、含めて1年で全部、経過をフォローアップしていますが、この技術は1年では評価のできない技術だと私は感じておりまして、是非ともPMDAを含めて、1年では非常に有効性が高いようにバイアスが掛かって出てくると。今回の成績もそうです。1年後に急激に悪くなっているものはあります。だから、少なくとも2年とか、きっちりとエンドポイントの期間に関して御検討いただきたいと思います。厚生労働省の中で局は違うと思いますが、適切に医療に患者をお届けするというのがゴールですので、情報をシェアしていただいて、何らかのアクションを起こしていただくことを希望します。以上です。
○山口座長 ありがとうございました。一応、お二人からいただきましたが、最後に何か追加はよろしいでしょうか。それでは、ただいまの御説明について、何か御質問はありませんか。非常に多くの問題点があって、これを含めて報告しなければいけないので、柴田先生と松山先生に御相談して、その内容をきっちり詰めて報告したいと思いますが、ほかに何か御質問はありますでしょうか。
○伊藤構成員 総括報告書だけを見ていると、有効なように見えてしまうのですが、この総括報告書だけが一人歩きをすると問題が発生するのではないでしょうか。今の松山先生や柴田先生の評価が付いた上で出るならまだしもですが、この総括報告書だけを見ると、それこそ『New England Journal of Medicine』と一緒になってしまうのではないかという懸念があります。総括報告書の作り直しというのはお願いできるのでしょうか。
○松山構成員 かなり見解が異なるというのが向こうの考え方です。ですから、私との議論に関しても詳細をここに載せておりますので、全て、このやり取りも含めて白日の下にさらしていただければいいと思います。
ですから、私が眼科医ではないというところがあるので、そこを過剰に保守的に考えている可能性もありますから、そこは適切に眼科医に御判断していただくという形で、全部が出るのであれば問題ないだろうと。彼らは多分、変えてこないだろうと思います。
○藤原構成員 私も伊藤構成員がおっしゃったことと同じで、総括報告書の評価表のスタイルを変えたほうがいいと思うのです。要するに、先進医療としては1例報告なわけです。それがあって、不足の報告書として、ほかの事例を集めた22例があるなら分かるのですが、これで将来、5年、10年たったときに誰も覚えていないときにこれが出てくると、すごいなと思ったのが皆の印象になるので、体裁を変えたほうがいいと思います。
○柴田構成員 伊藤先生から御指摘いただいたところが、正に私も懸念したところで、今回異例ですが非常に長く指摘させていただきました。松山先生がおっしゃったように、眼科の専門の先生方から考えると問題ないと思われる部分もあるのかもしれません。ただし、少なくとも私が御指摘した部分については、例えばエンドポイントの定義が違うものを比べているなどというのは外形的に判断できる部分ですので、そういうところは明らかに問題だということは指摘すべきだと考えています。
現在、タブレットに入っている総括報告書については、4試験のUMIN IDが書いていなかったとか、そういう不明瞭な書き方であったり、もともとサンプルサイズの設定根拠がフィージビリティで決められていたのに、あたかも最初から統計学的に決めたかのように書いてあったので、そういう明らかな問題点については直すようにしていただいていますが、見解が異なるところについては、今回の公開資料になる評価表にしか書けなかったというところになります。
先方の申請医療機関を少しフォローしておきますと、結果についてはPMDAと相談する際に表の形で提示していると説明されております。ただし、先ほど先生方にグラフの推移を見ていただいてお分かりいただけるように、治療後に例えば血管新生のGradeが一旦下がるのだけれども再びじわじわ上がってくる、角膜の混濁についてはもともと手術を予定していたのだからという説明はされていますが、一旦改善した人が悪化する患者が4例ぐらいいらっしゃる、またプライマリーエンドポイントについても、Grade5になった方が1年後の段階で一旦下がってきている。一旦上がったものが下がってきているということを考える、そういう推移を見ますと、やはり字面どおりの数字というのはちょっと過大評価になっていると考えざるを得ませんので、そういうものがPMDAに提示されていなかった可能性があるということについては非常に問題だと思います。早急に総括報告書を出して判断するべきであったというのが1つです。
その内容については、現状で見解の相違というものについて、こちらで書き換えていただくことはできませんし、先進医療以外の3つの大学の医療機関の方にそういうことを言える立場ではないかもしれないので、ここで、少なくとも公開の場で問題点を指摘させていただきました。以上です。
○医政局研究開発振興課専門官 そうしましたら、このような議論があったということを申請医療機関に伝えさせていただきます。例えば臨床研究法ではjRCTに試験結果を公表する前にこちらの部会で結果の概要について御意見を頂き、必要な修正を行うこととなっておりますので、この試験はまだ臨床研究法に基づいて実施されたものではないですが、それに準じて概要の修正など必要な対応をいただきたいと思います。
○山口座長 こことしての報告書を作って、皆さんに一度見てもらったほうがいいのではないでしょうか。かなり重要な問題が含まれていますので、慎重に我々の意思を統一して、作ったものを出したいと思いますが、いかがでしょうか。
○医政局研究開発振興課専門官 承知いたしました。それから、先程からご指摘いただいておりますように、先進医療として実施された1例がどのような結果であったのかという報告も頂きたいと思います。
○山口座長 ほかにございませんか。ありがとうございました。一応取りまとめて、報告する前に、必ずもう一回ここに掛けたいと思います。少しお時間を頂きたいと思います。ありがとうございました。それでは、真田構成員と飛田構成員にお戻りいただくことにします。
続きまして、申請医療機関からの報告について、事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 93ページの資料3を御覧ください。こちらの報告について御説明いたします。これは先月、御報告させていただいた国立がん研究センター中央病院からの報告で、告示番号B63、マルチプレックス遺伝子パネル検査についての続報です。経緯を振り返ります。島根大学医学部附属病院で、同意取得手順及び個人情報の取扱いについての不適切事案が認められたことを、本年2月の第82回先進医療技術審査部会に報告しました。島根大学医学部附属病院は、昨年11月1日に協力医療機関になりましたが、その日の午前4時台までに6例の症例登録が行われていたということで、その夜中の4時間で同意説明を行ったということを不自然だと感じた国立がん研究センター中央病院が、12月17日に監査を実施しました。その結果、大きく分けて2点の不適切事案が分かりました。まず、登録枠を確保するという考えから、同意書を入手する前にEDC登録を実施していました。また、検体とともに、個人情報が記載された病理報告書が遺伝子検査実施施設(理研ジェネシス)に送付されておりました。
これに対して、先月の部会において国立がん研究センター中央病院に対しては申請医療機関としての管理体制、また協力医療機関に対しては原因究明及び抜本的な再発防止策の策定を依頼したところです。また、その後、各医療機関及び理研ジェネシスより報告書が提出されました。また、保険局医療課及び医政局研究開発振興課は、島根大学からの報告書の内容について、より詳細に確認するために立入り調査を実施しました。それについては後ほどタブレット資料で触れさせていただきます。
また、国立がん研究センター中央病院は、症例登録数の多い、あるいは申請書類確認時の研究倫理審査委員会審査内容に疑義のあった協力医療機関に対して監査を実施していたとのことです。この疑義のあった医療機関というのは、千葉大学附属病院のことだと伺っております。その検査の結果、まさにこの千葉大学において、本人の家族が同意書を代筆している症例が認められたとの報告があったとのことです。プロトコール上は、成人ですので代諾者による同意は認められておりません。本件については、今後、3月27日に千葉大学のIRBで審議予定ですので、その結果を踏まえて再度、報告いただく予定となっております。また、研究倫理審査委員会の審査内容に疑義があったということについて、実際にどういうことなのかという事実を御報告いただくのがよいと考えておりまして、その点については先生方の御意見を伺いたく存じます。
続いて、今後の対応方針に移ります。当方の実施した立入調査の結果、6症例の中で適格基準に該当しないのではないかと思われる症例がありまして、それについては調査と詳細な報告を求めることとしてはどうかと御提案させていただきます。この症例の経過については後ほど御覧いただきます。
島根大学に対しましては、研究開始時にスタートアップミーティングを行わすに、責任者がいつ、どのような範囲に、どのような方法で、何を指導したのかということですとか、侵襲の有無を判断する基準なしに、どのようにスタートアップミーティングの要否を判断していたのか、これまでにスタートアップミーティングが行われなかった研究の件数と研究題名について報告を求めることとしてはどうかと御提案させていただきます。また、研究開始時にスタートアップミーティングを行うことについて、これまで文書化されていなかったということが報告で分かりましたので、文書作成のほか、抜本的な対策を求めてはどうかと御提案させていただきます。次のページから報告書を見ていきますが、その内容も踏まえまして、この「2.今後の対応方針(案)」以外に何か御意見がございましたら、追加の御指摘をお願いしたいと思います。
続きまして、95ページ、国立がん研究センター中央病院からの報告ですが、再度、一連の事実確認及び再調査を行ったということです。まず1.申請医療機関としての研究の管理運営についてです。96ページを御覧ください。申請医療機関としては、研究開始までに10回の説明会なども行い、多数の医療機関に対して繰り返し説明を行ってきていました。島根大病院についてはがんゲノム医療連携病院なのですが、がんゲノム医療中核拠点病院である、岡山大学病院、慶應義塾大学病院、九州大学病院、これら3つの中核病院それぞれの連携になっておりますので、それぞれの開催する説明会にも多数回出席していたということです。そうであったのですが、ほかの医療機関では起こらなかったことが島根大学病院だけで起こってしまったということが調査の結果、分かってまいりました。
2.発見部分の経緯のまとめは、ほぼ先月御報告したとおりです。
3.個人情報の取扱いについては、プロトコールなどで取決めがなされておりました。また、各医療機関と理研ジェネシス間では検査委託契約書で個人情報の取扱いについて契約が結ばれており、この契約で両者以外の外部には遺漏しないような取決めになっていたため、今回、両者以外の外部へ患者の個人情報が漏れることはありませんでした。これは後の資料でもう一度、ご説明させていただきます。
次に98ページに、理研ジェネシスの対応について述べられています。先生方だけにお配りしております、お手元の別冊の資料の25~28ページも御覧ください。こちらに理研ジェネシスから報告されている内容がございます。理研ジェネシスは、何か必要なことがあれば説明する旨を島根大学に対して伝えておりました。次に28ページをご覧ください。理研ジェネシスとして、この試験に参加している他の全ての協力医療機関に確認したところ、島根大学と同様の事案は発生していないということが確認されたということです。
98ページに戻っていただきたいと思います。先ほどの各医療機関と理研ジェネシスとの検査受託契約についてですが、この契約書には第11条「個人情報の取扱い」という所に個人情報保護規定がございます。その規定は、別冊の10ページにありますので御覧ください。10ページの第11条の2番目ですが、ここに「両者は相手方が収集し保有している個人情報について、相手方から開示・提供を受けた場合においては、本サービスを遂行する目的以外に使用してはならず、また前記目的達成に必要な範囲を超えて使用してはならない。」とございますので、もともと患者の名前などの個人情報が検査会社に渡ることは想定されていませんが、万が一渡ったとしてもその外の第三者には漏れないという形で、バックアップと言いますか、守られていたということです。従って今回は、医療機関と検査会社以外の外部に情報が遺漏したということはなかったことが分かりました。
98ページに戻り、「今後の取組」です。これまでも、がんゲノム中核病院を通じて適切な協力医療機関に入ってもらってくださいとお願いしていたところではありますが、今回の事案を踏まえて、更に協力医療機関の選定に深く関わるべきであったと考えたということです。今後の協力医療機関の選定については、体制整備や院内周知の方法等についても具体的かつ詳細に確認していきたいということです。
続いて、島根大学医学部附属病院からの報告に移ります。99ページを御覧ください。前回報告したことにもかなり重複しますので省かせていただきますが、1点、先ほどの事務局からの報告書の「2.今後の対応方針(案)」の事項に関連してご説明いたします。103ページの上のほうにあるのですが、「島根大学がんゲノム医療センターでは、これまで侵襲を伴う介入研究ではカンファレンス等で実施計画の説明や注意点の伝達を行っていましたが、今回は治療を伴わない検査に関する研究でしたので、登録開始に当たり関与するスタッフが全員で集まってミーティングをする機会を設けておらず、研究実施に関する共通認識を有していませんでした。」とあります。これはどのように明文化されているのかを伺ったのですが、そういった文書は特にないということですので、実際に誰がどのように判断するのかということも含めて、しっかりとルールを作って文書化していただくのがよいのではないかと考えた次第です。
それから、104ページと105ページには、再発防止策が述べられています。まだ完全には終わっていません。最後の105ページで、今後も更に個人情報保護事務局が委員会を開催して、再発防止策を実行していく、ですとか、病院全体としての内部監査もするということです。引き続き、対応を求めたいと考えています。
それから、事務局が立入り調査を実施した件ですが、タブレット資料の国立がん研究センターのフォルダーを開いて中を御覧ください。1枚だけ資料がございます。それが、この6症例のうちの1人の症例の経過です。これを見ますと、11月1日が患者が登録された日ですが、その1週間ほど前に、腫瘍の圧排による小腸イレウスが生じて、イレウス管が挿入されている状態であったということなど、状態の増悪の経過がわかります。この患者さんのパネル検査は12月5日にエキスパートパネルが行われて、それ以降12月9日頃に結果が返ったのですが、御覧いただけますように、そのしばらく前に亡くなっておられます。以上から、Performance Statusが0~1という適格基準に該当するのかどうかということについて、少し先生方に御意見を頂きつつ、これら全ての6症例についての調査報告を求めるのはどうかと提案させていただきます。急ぎましたが、以上でございます。御意見をお願いいたします。
○山口座長 今日は時間がありませんので、これは今日で終わりではなくて、いろいろやり取りをしていると、非常に分かりにくいところがたくさん出てきます。例えば先ほど少し御説明がありましたが、キックオフミーティングをやらないのかと聞いたら、侵襲を伴わないものはやっていないと回答されています。しかし、侵襲を伴うものというのはどのように定義するのかということは一切、明文化されていなくて、それを誰が判断しているのかということもよく分からなくて、何となく研究者がこれはいいということであれば、キックオフミーティングなしでやっていたのかということを疑われるような感じです。もしそうだとしたら大変お粗末なことで、今までのやり方がどうだったのかも含めて、もう少しいろいろな質問を出して掘り下げてみたいと思います。
というのは、こういうことは、ここの施設に限らず全国的にあるかもしれないので、非常に重要な問題だと思うのです。今回たまたま、がんセンターが気が付いて検証してくれたので分かったのです。そのまま放置されている施設のある可能性も十分にあるので、やはり問題提起したいと思います。たくさんの資料がありますので読んでいただいて、追加の質問などがありましたら、事務局のほうに出していただいて、また次回に議論するということで、最後に藤原先生から一言だけ頂けますか。
○藤原構成員 千葉大はどうしたらいいのかというのは、皆さん方の御意見を。
○山口座長 千葉大についても、急に言われてもなかなか分からないのではないかと思うのです。これも今日は時間がありませんので、引き続きこれもお考えいただくということでよろしいでしょうか。それでは改めて、更に疑義を出して、皆様からも是非、頂きたいと思いますので御協力いただきたいと思います。次に、申請医療機関からの報告について、事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 続いて資料4、109ページを御覧ください。こちらは、東京大学医学部附属病院の報告で、「検体及び個人情報の取り扱いに関する不適切事案について」です。告示番号B65、マルチプレックス遺伝子パネル検査において、申請医療機関である東京大学医学部附属病院及び協力医療機関である横浜市立大学医学部附属病院で、不適切事案が認められました。
経緯のご説明をいたします。まず、横浜市立大学附属病院で登録された患者さんが、他の病院に入院したため、そこで、当初の予定通りのエキスパートパネル開催日までに検査結果を間に合わせようという意図で、その入院した病院でパネル検査の採血を実施してしまったというところが先進医療のプロトコールの違反であったということです。また、パネル検査の結果、血液検体と腫瘍検体が同一人由来とは異なる可能性が考えられたという、あまり想定していなかったことが起こったということです。これは検体の取り違えという可能性と、検体が劣化して分からなくなったという可能性の両方が考えられるということで、現在調査中ということです。
そこで急いで検体の由来を確認する必要が生じたために、責任医師が、採血管の匿名化したラベルを剥して、その下に書かれている名前を確認するよう指示し、理研ジェネシスがラベルを剥がしたということです。その結果、個人情報が理研ジェネシスに伝わってしまったというプロトコール違反が起きました。またラベルを剥がしたところ、患者名は正しかったのですが、それ以外の何らかの理由で取り違えられている可能性なども考えて、もう一度、患者さんの自宅で採血を行って、その血液を再度検査しました。その際に、そのまま匿名化せずに理研ジェネシスに送付してしまったという個人情報の取り扱いのプロトコール違反がありました。
再採血の結果は腫瘍検体と同一人であったということで、当該患者さんの腫瘍の検査自体は結果としては正しく行われたということになります。
今回の不適切事案には、手順書に記載されていない変則的な状況が生じた中で、予定通りのエキスパートパネルの日取りに間に合わせようと無理に急いだことが背景としてあったものと考えられまして、申請医療機関は、検体や個人情報の取り扱いについて、想定され得るいろいろな状況を踏まえて手順書の改訂などの対策を行ったところです。対策の具体的な内容は、タブレット資料及び次ページからの資料にございます。また、協力医療機関でも、プロトコール逸脱などの対策として、相談窓口の周知ですとか、IRB報告体制の整備などの対応を行ったところです。今後の対応方針として、報告を見ていただきますと特異な事例でありますし、そのような変則的な状況に対応する対応策を作って改訂はされているのですが、追加の御指摘があれば、お願いしたいと思います。111ページからは東京大学からの報告で、113ページに再発防止策がまとめられております。また、114ページから横浜市立大学附属病院の報告があり、原因究明及び再発防止策が述べられています。簡単ではありますが、以上です。御意見をお願いいたします。
○山口座長 ありがとうございました。
○天野構成員 島根の事例も、この東大の事例もそうですが、先進医療として行われていて、しかも両方とも何らかの期限に間に合わせるために無理が生じているという事例になっていると理解しています。個々の医療機関における再発防止策はもちろん大切ですが、当該研究グループ全体やゲノム医療全体の中で、こういったことが起きないような検討が必要ではないかというように感じます。
○山口座長 ありがとうございました。その点は先ほどの会議でも言いましたが、やはり拙速にいくと、クォリティーが保たれないまま前にどんどん行けというようになってしまうと大変まずいと思うので、それは警鐘として鳴らしたいと思います。ほかにございませんか。要するに試験管のラベルを剥がしたら下に名前が書いてあるという大変お粗末な事例で、この防止策をいろいろと考えてもらっていますので、また、御報告いたします。よろしいでしょうか。次に、試験実施計画の変更についてお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 今回は、7件の申請がございました。まず117ページ、資料5を御覧ください。告示番号7です。時間の都合で試験名や適応症は省略させていただきます。この試験については、臨床研究法への掛け替え申請のみでして、試験デザインについての特段の修正指摘はございませんでした。また、臨床研究法への移行ですので、様式10号がお手元にございますので、そちらも合わせて御確認ください。
○山口座長 これは臨床研究法の施行に伴う改訂だけで、特に問題はないと思いますが、何かございますか。ないようですので、告示番号7の変更について認めることといたします。
○医政局研究開発振興課専門官 119ページ、資料6を御覧ください。こちらは九州大学病院からの申請で、告示番号B20番、SLEを対象に、この3剤の併用による大腿骨頭壊死発症抑制療法の有効性を検討する試験です。150例が目標で現在11例となっています。御審議いただく内容は121ページを御覧ください。試験期間の4年間の延長と、後発医薬品使用の許容と、試験中止に関わる文章の追加です。(3)の、試験中止に関わる文章の追加の理由ですが、試験期間の延長に伴う医療背景の変化により試験の信頼性が低下するため、症例登録が進まない場合には試験全体を中止することがあるという内容の追加です。この(3)について、御意見、御教示を頂ければと思います。様式10号の確認もお願いいたします。
○山口座長 何かございませんか。私が見たところでは、これは150例の予定が11例しか入っていないので、このままいくと大変なことになるので、いろいろ対策を立てると言っていますが、今回は一応、半年後に登録がどうなったかということを報告を求めるという形で認めたいと思います。登録促進策も示していただくという、そういう条件付きで認めたいと思いますが、いかがでしょうか。
○医政局研究開発振興課専門官 ありがとうございます。
○山口座長 続きまして、次の試験実施計画の変更についてお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 123ページ、資料7を御覧ください。北海道大学病院からの申請で、告示番号25です。こちらも臨床研究法への掛け替えです。掛け替えに際して特段の試験デザイン変更の意見はございませんでした。様式10号も御確認をお願いいたします。
○山口座長 これも特に問題はないと思いますが、何か御質問はございますか。ないようですので、告示番号25の変更について認めることといたします。次の試験計画の変更をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 125ページ、資料8を御覧ください。杏林大学医学部付属病院からの申請で、告示番号34、テモゾロミド用量強化療法です。こちらは210例目標で現在は33例です。御審議いただく主な変更内容は、126ページ及び127ページにあります。理由の1番は医薬品の提供元企業の変更、2番目が統計学的事項の設定条件の変更です。2番目については、127ページの真ん中辺りにありますが、「検証的試験であることから検出力は変更せず、本試験の対象である再発膠芽腫が希少な集団であることから、αを5%から10%に変更することとして予定登録数を減らすこととしました。」ということです。そうすると、解析対象数は両群計136例(必要イベント128)となり、目標症例数は146例となるということです。この点について御意見、御教示を頂きたく存じます。
○山口座長 これはちょっと問題がありそうです。
○手良向構成員 今の症例数変更ですが、やはり問題があると思います。症例数を試験の途中で変更する根拠が、希少疾患の集団であるということですが、新たな情報が加わったわけではなく、それは最初から分かっていたことというのが1つ。もう1つは、検証的試験であるから検出力は変更せずというところが引っ掛かります。逆に、αを変更せず検出力を変更するというのであれば、許容可能と思いますが、このような理由で試験途中でαを変更するというのはちょっと許容できないと思います。その2点です。
○山口座長 ありがとうございました。ほかに何かこの点について、御意見はございますか。それでは、この症例数の変更はこのままでは認められないということでよろしいでしょうか。それ以外のことはいいですが、症例数についてはこのままでやっていただきたいと。もし何か意見があるのであれば、根拠を示して、もう一度申請をしていただきたいということにしたいと思います。では、告示番号34については、症例数についてはこのままでという条件で認めることといたします。次の試験実施計画についてお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 すみません、先ほどの件ですが、146例に達するのは、まだ当分先だと思いますので、もし可能でしたら、今回は他の変更内容を含めて全て一旦はお認めいただき、その後、基本的には元の版の目標症例数である210例を目標としてやっていただくのですが、では、どのような改善案が可能かということについて、先生方と申請医療機関とでご相談していただいて、その結果を踏まえて再度、症例数についての変更申請をしていただくということでよろしいでしょうか。
○山口座長 いかがでしょうか。よろしいですか。では、そのような形で進めてください。
○医政局研究開発振興課専門官 ありがとうございます。
○山口座長 では、次の試験実施計画の変更をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 129ページ、資料9を御覧ください。北海道大学病院からの申請で、告示番号40番です。こちらも臨床研究法への掛け替えで、試験デザインについては特に修正意見はありませんでした。様式10号についても、併せて御確認をお願いします。
○山口座長 これも臨床研究法の施行に伴う変更だけのようですが、いかがでしょうか。それではこれも特に御意見はないようですので、告示番号40の変更については認めることといたします。次の試験実施計画の変更をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 131ページ、資料10を御覧ください。慶應義塾大学病院からの申請で、告示番号52です。こちらは予定症例数が13例で、現在は10例となっています。御審議いただく主な変更内容は132ページにありますが、登録期間の6か月延長です。6か月延長することで、あと3例の目標を目指したいということです。御審議をよろしくお願いします。
○山口座長 この変更内容について何か御意見はありますか。3例で、この6か月以内に可能と考えられます。ほかは特にありませんので、これもよろしいでしょうか。特に御意見はないようですので、告示番号52の変更については認めることといたします。次の実施計画の変更をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 135ページ、資料11を御覧ください。金沢大学附属病院からの申請で、告示番号57です。予定症例数8症例で現在は5症例です。変更内容は136ページにあります。こちらも6か月の延長で、残り3名の登録を目指したいということです。資料のグラフ中に記載がございますように、もう既に登録予定患者が2名いるようです。よろしくお願いします。
○山口座長 いかがでしょうか。これも現実的に可能な延長だと思いますし、既に臨床研究法に伴う変更はもうやられておりますので、変更に御異議はございますか。それではよろしいでしょうか。では告示番号57の変更についても、お認めするということにします。続きまして協力医療機関の追加についてお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 137ページ、資料12-1を御覧ください。これまでに大臣告示されている4つの技術について協力医療機関の追加申請がありました。資料12-2が139ページから144ページです。事務局において、いずれも先進医療実施可能とする保険医療機関の要件を確認ました。協力医療機関の追加として御了承を頂きたく存じます。特に御意見がなければ手続きを進めさせていただきます。
○山口座長 ないようですので、お願いします。では、次に先進医療Bの取下げについてお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 145ページ、資料13を御覧ください。告示番号18番と21番の技術について先進医療B試験の取下げ申請がありました。理由は、両試験ともに患者登録及び試験期間が終了したためです。なお、告示番号21の技術については、副次評価項目の5年間の生存期間の追跡を別途、新規の観察研究として実施するということです。その観察研究のプロトコールは、タブレットに入れておりますので御確認ください。特に御意見がなければ手続きを進めさせていただきます。
○山口座長 特に御意見はないようですので、よろしくお願いします。では、本日の議題は以上です。何か特に御発言はございますか。ないようですが、今日は私の不手際で、時間が延長して大変申し訳ございませんでした。お忙しいところをお残りいただきまして感謝いたします。次の日程を事務局からお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 次回、4月の開催については、4月17日(水)です。第3週の水曜日となっておりますので、御注意ください。時間は16時から18時までの予定とさせていただきます。場所については別途、御連絡させていただきます。また、本日の議事録については作成でき次第、先生方に御確認をお願いし、その後、公開させていただきますので、併せて、よろしくお願いいたします。
○山口座長 それでは、第83回先進医療技術審査部会を終了いたします。どうもありがとうございました。

 

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