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2019年10月9日 中央社会保険医療協議会 総会 第425回議事録

○日時

令和元年10月9日(水)11:02~12:20

○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)
 

○出席者

田辺国昭会長 秋山美紀委員 荒井耕委員 中村洋委員 関ふ佐子委員 松原由美委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 間宮清委員 宮近清文委員 松浦満晴委員 
松本吉郎委員 今村聡委員 城守国斗委員 猪口雄二委員 島弘志委員 林正純委員  有澤賢二委員
吉川久美子専門委員 田村文誉専門委員 横地常広専門委員
 
<事務局>
濵谷保険局長 横幕審議官 八神審議官 森光医療課長 岡田医療技術評価推進室長
樋口保険医療企画調査室長 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○個別事項(その3)について

○最近の医療費の動向について
 


 ○田辺会長
11時5分より前ではございますけれども、おそろいのようでございますので、ただいまより、第425回「中央社会保険医療協議会総会」を開催いたします。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は、染谷委員、岩田専門委員が御欠席でございます。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。御協力のほう、お願いいたします。
(カメラ退室)
○田辺会長
それでは、次期診療報酬改定に向けた議論として「個別事項(その3)について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、事務局より説明をお願いいたします。
では、医療課長、よろしくお願いいたします。
○森光医療課長
資料総-1に従いまして、御説明をさせていただきます。
本日の個別事項(その3)のテーマは、がん対策、腎代替療法、移植医療の3つでございます。
まず、がん対策につきまして御説明をさせていただきたいと思います。2コマ目をごらんください。
がん対策につきましては、本日、がん診療連携拠点病院について、緩和ケアについてという2つのテーマにつきまして御提示をさせていただいております。
まず、「がん診療連携拠点病院等について」でございますが、4コマ目を見ていただければと思います。がん診療連携拠点病院等の種類ということで、平成30年7月の整備指針の抜粋をそこに載せてございます。がんの診療につきましては、質の高い医療を全国で受けられるということを目指しまして、さまざまな拠点整備がなされております。
5コマ目を見ていただければと思いますが、これが全国でのがん診療連携拠点病院等の整備の体制になっております。国立がん研究センターが2カ所ございまして、その下に都道府県がん診療連携拠点病院、地域がん診療拠点病院、地域がん診療病院が一体となってがんの診療を行っていくということでございます。
この真ん中にございます地域がん診療連携拠点病院に高度型というものが設置されておりまして、14カ所が指定されているということでございます。
次の6コマ目を見ていただきますと、見直しについてでございますが、これまで地域がん診療連携拠点病院ということでございましたけれども、その中から、要件を見ていただきますと、必要な要件に加え、望ましい要件を複数満たす、高度な放射線治療の実施が可能、同一医療圏のうち診療実績が最もすぐれている、。相談支援センターへの医療従事者の配置や緩和ケアセンターの整備、医療安全に関する取り組み等の条件を満たし、診療機能が高いと判断された場合、同一医療圏に1カ所のみ指定ということで、こういう病院を高度型と指定していくという方向性が決まったものでございます。
また、少しグレーになっているところでございますが、これはまだ指定されていないということでございますけれども、平成31年以後に既指定の拠点病院で、指定要件の充足状況が不十分であると判断された場合に経過措置的に指定要件類型を見直すということで、未充足である状況が持続した場合には、指定の取り消しも検討するという対象病院ということで、特例型という枠組みができたということでございます。
続きまして、7コマ目からは、がんゲノム医療の提供体制の整備の話でございます。2019年4月の時点で、がんゲノム医療中核拠点病院及びがんゲノム医療連携病院が指定されております。そこにありますように、中核拠点病院については11カ所、がんゲノム医療連携病院については156カ所が指定されている状況でございます。
このたび、8コマ目にありますように、中核拠点病院との連携体制ということで、がんゲノム医療提供体制の中に中核拠点病院または拠点病院に連携病院が連携するといった新たながんゲノム医療連携病院という類型をつくりまして、指定をしておるという状況でございます。
そこにありますように「医療提供体制」「人材育成」「治験・先進医療など」というそれぞれの枠で機能、役割を見てみますと、医療提供体制の中ではがんゲノム医療中核拠点病院とがんゲノム医療拠点病院は同等の能力を有しまして、エキスパートパネルを自施設で開催し、また、下にありますがんゲノム医療を中核拠点病院及び拠点病院と連携して行う、がんゲノム医療連携病院と連携をして診療を進めるということが役割となっております。
9コマ目でございますが、それぞれがんゲノム医療中核拠点病院、がんゲノム医療拠点病院につきましても、指定については2022年4月に指定の見直しがあることに変更としてなっておるということでございます。
現在、10コマ目、がんゲノム医療医療拠点病院については、34カ所がごらんのとおり指定されているという状況にございます。
11コマ目、12コマ目については、それぞれのがんゲノム医療中核拠点病院とがんゲノム医療拠点病院の選定の基準がそこに記載されているとおりでございます。
先ほど、医療体制においてはほぼ同等の役割ということで御説明しましたが、それの詳細が13コマ目になります。これは患者がんゲノムのパネル検査においての流れでございます。それぞれの病院がどのような役割、機能を果たしているのかというところで見ていただければと思うのですが、中核拠点病院と拠点病院それぞれパネル検査のどの段階においても同じ役割を期待されているということでございまして、連携病院についてはエキスパートまでのレポート作成については、中核拠点あるいは拠点病院の会議に参加して、そこのレポートの結果をもって治療に当たるという流れになっているということでございます。
14コマ目を見ていただきますと、現在のがんゲノム医療に係る評価ということで、30年に設定されたものでございます。がんゲノム医療中核拠点病院の評価といたしまして、がん拠点病院加算にがんゲノム医療を提供する保険医療機関に対する加算として、入院初日に250点の加算という点数が設けられているという状況でございます。
続きまして15コマ目、「緩和ケアについて」ということでございます。
緩和ケアにつきまして、これは平成28年のときの資料でございますが、定義として「生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題を早期に発見し、的確なアセスメントと対処を行うことによって、苦しみを予防し、和らげることで、QOLを改善するアプローチである」と定義をされております。
17コマ目を見ていただきますと、早期からのがん緩和ケアの重要性ということで、前回改定時にも御説明をさせていただいたものでございまして、早期から専門的な緩和ケアチームがかかわることで、苦痛緩和が得られ、生活の質(QOL)が改善するのみならず、生命予後が改善するというデータが出されておるところでございます。
また、18コマ目ですが、がん対策基本法における緩和ケアの位置づけとしても、第17条にがん患者の状況に応じて緩和ケアが診断のときから適切に提供されるようにすることが求められておるという状況でございます。
19コマ目は、がんと診断されたときからの緩和ケアの推進ということで、それぞれの段階でそれぞれの研修を受けたチーム等がかかわっていることが示されてございます。
20コマ目が専門的な緩和ケアの位置づけというものを示されたものでございます。入院医療と在宅医療で分けておりまして、左下のところにあります緩和ケア病棟はまさに緩和ケアの専門に特化した病棟でございまして、専門的・集中的に提供するものでございます。緩和ケアチームについては、緩和ケア病棟以外の一般病棟において、医療従事者の求めに応じて専門的な緩和ケアを提供することを目的として、多職種で構成されるチームによって緩和ケアを提供するものでございます。
また、在宅においては、在宅での症状緩和、終末期ケアを目的として訪問診療・訪問看護・介護を中心として実施されるものでございます。これらはそこの間にあります矢印のとおり、連携して行っていくということが想定されているものでございます。
21コマ目は、前々回のときのなのですが、緩和ケア病棟に対してどのようなものを期待しているかというところでございますが、中ほどでございます。緩和ケア病棟に期待される役割ということで、「緩和ケア病棟はがん疼痛をはじめとする身体的苦痛が増悪した場合のバックベッドとしての役割を果たし、症状が落ち着いたら、患者や家族の意向に沿った形で在宅への復帰を図る」ということが期待されているというものでございます。
また、22コマ目を見ていただきますと、これらを有機的に結びつける事業といたしまして、地域の緩和ケア等ネットワーク構築事業というものを事業で実施されているところでございます。
今、緩和ケア病棟入院料についての状況が23コマ目でございます。平成30年の診療報酬改定においては、緩和ケア病棟入院料については、待機患者が非常に多いということもありまして、待機患者の減少と在宅医療との連携を推進する観点から、平均待機期間や在宅への移行実績に関する要件に応じまして入院料の区分を設けたところでございます。
現在、緩和ケア病棟の医療機関の他の診療報酬項目の届け出状況というものが24コマ目にございます。主に緩和ケアにかかわる診療報酬項目として3つ挙げておりますが、緩和ケア診療加算は、先ほど申しましたように、一般病棟においてのがん患者への緩和ケアの提供を行っているチームの加算でございます。これが、緩和ケア病棟を届けている医療機関について、約20%の医療機関が外来緩和ケア管理料を届けており、約14%の医療機関が在宅がん医療総合診療料を届けているということで、およそ緩和ケアに関する項目につきましては、約2割程度の届け出が緩和ケア病棟入院料を算定している医療機関で出されている状況になります。
また、特徴的なのは、外来緩和ケア管理料を届けている医療機関は400床以上の医療機関が多く、在宅がん医療総合診療料を届けている医療機関は200床未満の医療機関が多いという特徴もございます。
25コマ目が、今、御紹介したもの以外の緩和ケアに関する診療報酬の評価というところで整理をしておるところでございます。
また、26コマ目でございますが、緩和ケア診療加算及び外来緩和ケア加算の概要ということで、緩和ケア診療加算につきましては、上にありますように届け出医療器関数は現在355、算定回数は約5万件というところでございます。また、外来緩和ケア管理料については、届け出医療機関数313、緩和ケアの管理料をとった算定回数は月約1,000件になっておるところでございまして、緩和ケア病棟の専門職というものについてもう少し活用をというイメージでございます。
27コマ目でございますが、がんと臓器不全の疾病経過のイメージでございます。これは緩和ケア病棟の前回の議論とかかわるのですが、がんのほかにもいわゆる末期の緩和ケアが必要な患者がいるのではないかということでの議論でございました。
まず、28コマ目を見ていただきますと、慢性心不全の患者についてでございますけれども、身体的苦痛及び精神的心理的苦痛ががんと共通して非常に頻度が高いという報告をいただいております。
29コマ目を見ていただきますと、それらを背景に30年改定では、緩和ケア診療加算等の要件の見直しということで、進行した心不全の患者に対する緩和ケアを評価する観点から、緩和ケア診療加算及び有床診療所緩和ケア診療加算について、末期心不全の患者を対象に追加するという改定を行ったところでございます。
30コマ目を見ていただきますと、どうも背景に循環器疾患における緩和ケアチームの体制ということで、医師、看護師、薬剤師等を中心とした心不全多職種緩和チームとして緩和ケアを行い、多職種カンファレンスをもって問題点を討議し、解決を図ることが必要だということで、各病院で心不全に対する緩和ケアチームが活躍していただいているという状況でございます。
31コマ目を見ていただきますと、今度は心不全に特化した形での緩和ケアのトレーニングコースというものも今、実施されておるところでございまして、このHEPTという取り組みが進められているということで、ここの研修を受けた専門の医療職という方も次々出てきている状況でございます。
一方で、32コマ目を見ていただきますと、緩和ケア診療加算の施設基準というところに書いてありますように、施設基準のところを見ていただきますと、身体症状の緩和を担当する専門の医師、精神症状の緩和を担当する専門の医師、経験を有する専任の常勤看護師、経験を有する専任の薬剤師という形で構成されております。この要件の中で(3)を見ていただきますと、(1)に掲げる医師は悪性腫瘍患者またはエイズの患者を対象とした症状緩和治療を主たる業務とした3年以上の経験を有する者であることと書いてありますし、また、下の研修の要件がございますが、基本的にがんの疼痛緩和ケアの講習が要件になっているという状況でございます。
そういうことを踏まえて、33コマ目を見ていただきますと、今回、論点として3つ提案をさせていただいております。1つ目が「がん拠点病院加算について、がん診療連携拠点病院等の整備指針の改正に伴う、がん医療の提供体制の整備の実情を踏まえ、算定要件を見直すこととしてはどうか」ということでございます。
2つ目が「緩和ケア病棟入院料について、患者や家族の意向に沿った形で地域の連携を推進する観点から、外来や在宅における緩和ケアの提供を要件とする等の見直しについて検討してはどうか」ということございます。
3つ目が「緩和ケアに係る評価について、末期心不全の患者に係る取り組みの進捗状況を踏まえて、算定対象及び算定要件等を見直すこととしてはどうか」ということで、論点として挙げさせていただいておるところでございます。
2と3につきましては、隣の岡田室長から御説明をさせていただきたいと思います。
○岡田医療技術評価推進室長 それでは、34コマ目、腎代替療法に係る評価についてから御説明をさせていただきます。
35コマ目は慢性の透析患者数と透析歴の内訳ということで、左側のグラフで透析患者数は約33万人、毎年約5,000人の増加の傾向がありまして、年間約4万人が新規導入をされているということでございます。右側でございますが、10年以上の透析歴を持つ患者も増加、患者全体の高齢化が進んでいる状況でございます。
36コマ目は、透析に係る主な診療報酬点数について御紹介をさせていただいております。
37コマ目でございますけれども、J038人工腎臓という人工透析の評価の部分について取り出して御紹介をしておりますが、上から2つ目のポツのところで、これは後ほど御議論いただくテーマでございますが、下線のエリスロポエチン製剤及びダルベポエチン製剤の製剤の費用は所定点数に含まれている状況になっていることを御説明させていただきます。
39コマ目でございますが、透析患者さんでは、腎性貧血といいまして貧血が生じてくるということで、腎性貧血は慢性腎臓病における代表的な合併症の一つであり、予後改善及びQOL改善目的に、腎性貧血に対して適切な治療介入、エリスロポエチン製剤もしくは鉄剤を投与することが推奨されているということでございます。
3つ目の○でございますけれども、現在使用されているエリスロポエチン製剤は、ダルベポエチンという製剤が多いことが報告されております。
その次、40コマ目でございますけれども、先ほど申し上げたように、人工腎臓の中にエリスロポエチンが包括されておるのですが、それは平成18年度改定から包括されたものでございまして、その下の図表は包括前後での腎性貧血の管理がどのようになったのかということで、包括前後で見ても適切な評価が行われているということを示したものでございます。
41コマ目でございますけれども、その腎性貧血に用いますエリスロポエチン製剤、現在、主にはダルベポエチンでございますけれども、それにつきまして後発医薬品が出てきていることの御説明でございます。左側が先行バイオ医薬品で、中ほどが後発バイオ医薬品ということで保険収載をされております。また、その右側のバイオ後続品というものも薬事承認をされているという状況でございます。
また、42コマ目に行っていただきまして、こうしたエリスロポエチン製剤とは異なる機序の新たな腎性貧血治療薬であるHIF-PHD阻害薬というものが本年9月に薬事承認されているところでございます。透析患者さんの腎性貧血管理においては、エリスロポエチン製剤抵抗性などの理由などによって、エリスロポエチン製剤ではなくて、このHIF-PHD阻害薬のほうが適切であるという症例が一定数存在することが言われております。
しかしながら、現行の人工腎臓の報酬上の評価におきましては、エリスロポエチン製剤は包括されているということがあります。一方、新たなHIF剤は内服薬であるということから、院外処方した際の手続が煩雑になる等のおそれがございまして、腎性貧血にHIF-PHD阻害薬を用いる場合の新たな評価体系が必要であるという状況でもございます。
また、療養病棟入院料等で処置、薬剤料等が包括される入院料を算定する病棟におきまして、人工腎臓を出来高で算定できるという状況があるのですけれども、このHIF-PHD阻害薬の取り扱いもあわせて検討する必要があるという状況でございます。
続きまして、腎代替療法、血液透析のほか腹膜透析、腎移植とありますけれども、そうした療法の選択をより一層進める必要があるのではないかということで、資料を御用意させていただいております。
44コマ目でございますけれども、こちらは30年度改定で導入期加算ということで、透析を開始される段階で患者さんに対して、腎代替療法、透析以外の移植等の方法について説明をしていただくということを要件化し、推進を図るということで改定をさせていただいております。改定後、導入期加算2ということで、要件を満たした医療機関についての加点なども行っているところでございます。
45コマ目でございますけれども、こちらはそうした腎代替療法の比較ということで、血液透析のほか、腹膜透析。こちらは中ほどをごらんいただきたいと思いますけれども、月に1、2回程度の通院で、主に自宅で実施するというものでございます。さらには右側の腎移植ということで、こちらはドナーさんからの腎臓の提供が必要になるわけでありますけれども、透析等は必要なくなるというものでございます。
46コマ目をごらんいただければと思いますが、こうした腎代替療法における生命予後の比較ということで、腎移植は透析と比較して生命予後を改善し、腎不全患者さんの医学的な第一選択となるということでございますが、一方で、生体腎移植は年間1,500件程度。献腎移植(脳死・心停止下)は年間200件程度にとどまっている。また、55歳未満の透析患者約4万8000名のうち、献腎移植登録を行っている方は1万2500名程度にとどまっているということでございます。
続きまして、48コマ目以降をごらんいただきたいと思います。こちらは先ほど、腎代替療法で御説明をしました腹膜透析を主にされている方についての課題でございます。
腹膜透析患者さんで血液透析を週1回程度併用する場合がございまして、その報酬についてでございます。こちらは、C102在宅自己腹膜灌流指導管理料というものでございますけれども、注1のところでその腹膜灌流を行っている外来の患者さんに対して、その指導管理を行った場合に算定するものでございます。一番下の(3)の下線のところをごらんいただければと思いますけれども、「当該管理料を算定している患者に対して、他の医療機関において人工腎臓又は腹膜透析を行っても、当該所定点数は算定できない」ということとなっております。
こうした中、49コマ目が現場からの声になりますけれども、まず、腹膜透析患者さんの中では、腹膜機能の低下に伴い、透析効率が低下し、血液透析を併用しなければいけないという状況がございます。先ほど申し上げたように、管理料の算定をされている患者は腹膜透析を実施している施設で行った場合に限り、週1回を限度に血液透析の算定が可能となるということでございます。
しかしながら、この管理料の趣旨は、この管理料を算定する医療機関で全ての管理を行うということで評価をしているわけでございますけれども、実際はその腹膜透析に対応可能な透析施設は全体の約6分の1と限定的であるということで、例えば、血液透析を行う機関は御自宅の近くにあるけれども、腹膜透析の管理を行われているところまで週1回の場合には行かなくてはいけないという状況で、このアンケートでは、併用患者さんのうち半数近くが何らかの影響を受けているとか、場合によっては血液透析に移行せざるを得なかったという声が寄せられているということでございます。
51コマ目は、バスキュラーアクセスということで、血液透析を行っていく際には週3回、医療機関において血管にアクセスをしなければいけないということで、我が国では透析シャントという手術を実施して、その透析に対応するようなことが一般的でございます。
2つ目の○でございますけれども、そうした一般に週3回のせん刺を行う必要がありまして、それを繰り返していく中で、そこが狭くなったり詰まったり閉塞したりというシャントトラブルが生じてまいります。そうしたものに対しては、拡張術や血栓除去術などの手技が行われているということでございます。そうした手技に対する報酬上の評価は中段に記載させていただいていますとおり、新たな設置術及び拡張術・血栓除去術ともに1万8000点余りで、拡張術・血栓除去術については3カ月に1回に限るということでルールが定められております。
52コマ目でございますけれども、下の表をごらんいただければと思いますが、こうした除去術、設置術の多くは外来で実施され、専門的な手技ではございますが、1時間から1.5時間など短時間で実施可能であるということでございます。
一方で、この拡張術・血栓除去術は3カ月に1回の算定ということでありますけれども、患者さんの高齢化に伴いまして3カ月未満で閉塞・狭窄に至ってしまう患者さんが一定程度存在すると言われています。現在は右下にお示しをしているようなイメージでございますけれども、実際に対応が困難な患者さんのシャント術は通常のシャント造設を行うクリニックからの紹介を受けた専門的な医療機関でなされていることが一般的であると言われております。
今、御説明させていただいたことを踏まえまして、54コマ目でございます。腎性貧血治療に係る評価については、エリスロポエチン製剤のバイオ後続品等の実勢価格も踏まえた評価の見直しを行うとともに、HIF-PHD阻害薬を用いる場合の評価について、その有用性や薬価等を踏まえ、新たな診療報酬点数の評価体系を設けることについてどのように考えるか。あわせて、療養病棟入院料等については、人工腎臓が出来高で算定できることを踏まえ、HIF-PHD阻害薬を出来高で算定できることとしてはどうか。また、人工腎臓の評価について、日本における腎移植の現状を踏まえ、慢性腎臓病の患者に対し、移植を含めた腎代替療法に関する情報提供をより推進するという観点から評価を見直すことについて、どのように考えるか。
また、腹膜透析患者が血液透析の併用を行う場合の評価について、患者の利便性や臨床実態を踏まえ、自施設以外でも血液透析が実施可能となるよう、要件を見直すことについてどのように考えるか。
最後、バスキュラーアクセスに係る処置の評価について、多くが外来で実施されている状況や短時間で可能な手技であり、局所麻酔で可能であることも多い手技であることも踏まえ、他の手技との難易度や緊急性等の比較の観点から、適切な評価をすることについてどのように考えるか。一方、シャントの狭窄・閉塞を繰り返す患者が一部存在することや、他施設も含めた管理が行われている実態を踏まえ、算定要件を見直すことについてどのように考えるかとさせていただいております。
続きまして、58コマ目以降は臓器提供に関してのテーマでございます。
59コマ目は我が国における臓器提供件数の推移でございます。こちらの臓器移植法の施行、平成9年以降、平成30年12月末までの脳死下臓器提供事例は565例でございます。全体としては100例前後で横ばいとなっていることをお示ししております。
60コマ目でございますが、諸外国との比較では、脳死・心停止ともドナー数、臓器移植数は少なくなっている。一方、臓器移植後の生存率・生着率は米国と比較してもすぐれていることをお示ししております。
61コマ目、臓器移植に関する国民の皆様の意識でございますけれども、下の欄をごらんいただければと思いますが、御本人が臓器提供の意思表示をされていない場合に、家族として承諾をするかどうかということを聞いた調査でございますが、その調査に答えた方が、臓器提供意思の記入をしている、意識が高いという可能性があるかと思いますけれども、そうした場合58.4%、していない方でも35.9%は承諾すると回答されているということでございます。
63コマ目は脳死下臓器移植の実際の工程ということで、脳死下臓器移植では臓器提供が可能な施設とその臓器を受け入れて移植を実施する施設、さらには、日本臓器移植ネットワークの3者でさまざまなやりとりをしながら移植を行っていくということでございます。
その次でございますけれども、脳死下及び心停止後の臓器提供時の施設内の業務を模式的にあらわしたものでございます。それぞれの工程ごとにさまざまな職種が連携して業務を行うということでございます。
65コマ目は厚生労働科学研究からの報告でございますけれども、脳死下臓器提供では、脳死とされうる状態と判断されてから臓器摘出手術終了まで平均63時間52分。また、法的脳死判定から摘出手術の各プロセスに延べ50名の専門職等がかかわっているということでございます。
また、66コマ目は脳死下、心停止後を比較したものでございますが、心停止後の場合も心臓が停止した後、臓器の状態を維持するためにさまざまな医学的処置が必要となるということを記載しております。
67コマ目は脳死下の場合の診療報酬上の評価ということで、それぞれここに記載しました管理料や臓器の再手術、こちらは移植を行った保険医療機関のほうに算定することになっておりますけれども、資料に挙げたような評価がなされることになっております。
続きまして、70コマ目で臓器提供の選択肢提示の状況についてでございます。
こちらは、医療機関の皆さんに行われたアンケートでございますけれども、左側は予後不良と思われる患者の家族に臓器提供に関する情報提供を行っているかということで、「多くの場合で行っている」が6%、「多くの場合、情報提供していない」「どちらかというとしていない」というものが3分の2に上るということでございます。また、実際に臓器提供の適応がある患者さんに選択肢提示を行ったかと、過去のことを問うたものでございますが、行ったと答えたものは5%で、多くのケースでは選択肢の提示が行われていないということでございます。
続きまして、71コマ目でございますけれども、臓器提供施設における負担でございます。施設の66%が負担を感じている、また、担当医の77%も同じく負担を感じている。その内訳でございますが、下にあるように患者家族への説明、フォロー、スタッフ間の調整、脳死判定に係る業務、患者さんの全身管理などが負担であるということでございます。
72コマ目でございますけれども、今まで申し上げてきたようなことを踏まえまして、論点のところで、臓器提供時の臓器提供施設や担当医の負担が大きいことを踏まえ、ドナーや家族の意向に沿った臓器提供をさらに円滑に進めていくという観点から、さらなる評価を行うことについて、どのように考えるかとさせていただいております。
事務局からは以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
まず、33ページ目のがん対策についての論点でございます。がん診療連携拠点病院等についてですが、二次医療圏の人口規模には実に100倍以上の差があって、これは全ての二次医療圏に設置することには少し無理があるのではないかと思います。
今回の論点で提案された内容は、現行のがん拠点病院加算やまたその加算であるがんゲノム医療を提供する医療機関への加算の算定要件等を、現行の体制に合わせて見直すことだと受けとめてはおりますけれども、具体的な検討を今後進めるためには、関連する現行点数の概要や新しい類型に該当する病院の機能等、現行点数との関係などをもう少し整理した資料を提出いただくよう、事務局にお願いしたいと思いますので、後でこれについてはお答えしていただきたいと思います。
もう一つ、緩和ケア病棟入院料につきましては、現在、がん拠点病院等の一定要件を満たす医療機関においてのみ届け出が可能なものとなっております。一方で、実際には規模などには関係なく、さまざまな医療機関において症状緩和のための治療が提供されているのではないかと思います。今回の御提案は緩和ケア病棟を有する医療機関において、外来や在宅における緩和ケアへも積極的に関与するように促す方向のものであると受けとめております。それ自体を否定はいたしませんけれども、今後、緩和ケア医療に関する評価を検討するに当たっては、どのような患者さんに対して緩和ケアが必要なのか。また、医療機関間の役割分担等を含め、どのような提供体制を整備していくかなどについてこれも整理していく必要があると考えております。
2番目の腎代替療法の評価についての論点、54でございますけれども、1つ目の論点ですが、従来点数に包括されたエリスロポエチン製剤に加えて、後発バイオ医薬品、バイオ後続品、新たな腎性貧血治療薬であるHIF-PHD阻害薬が追加される方向とのことで、これにより治療の選択肢がふえ、患者さんへのきめ細かな医療が実施できるようになることが想定されます。
今後、これも薬価が決まってからでないとわからない部分もありますが、内服薬ということですので、現在のダルベポエチン等の注射薬より安くなることも想定されます。そうした意味で、現在の人工腎臓の点数のように薬代も含めた包括点数にするなら、その点数設定をどうするのかといったことや、内服薬ですので院外処方した場合の点数はどうなるのかなど、今までの人工腎臓の点数体系では対応できない問題が出てくると想定されますので、今後の検討に当たっては現行の点数体系との比較や、医学的な理由も含めた新しい点数設定の根拠など、わかりやすい資料を提出していただくよう、これも事務局にお願いします。
2つ目の論点ですが、前回改定で患者さんへ腎代替療法の説明を要件化いたしました。今回、情報提供をより推進する方向で見直すということですが、医療現場にさらなる厳しい要件を課すことだけで移植が進むと考えておられるのではないかと思います。これはどのように情報提供をより推進させるのかをもう少し事務局から教えていただきたいと思います。
3つ目ですが、不適切事例に厳しく対応した結果、現場に不都合が生じて患者さんが困っているということだと思います。つまり、腹膜透析を実施しているのは地域の中核病院などの大きな病院であることが多いので、患者さんがふだん血液透析をやっている地元の病院からは距離があるということだろうと思いますが、現場の実態に合わせた内容に修正すべきと考えます。
4つ目の論点につきましては、次回改定に向けてある意味不適切な事例に対応したいということだと思いますが、その一方で、資料にもあるとおり、対応が困難な患者さんに対して専門的な技術を持った医療機関が他院からの紹介を受けて、煩雑にシャントの管理を行っている現状もあります。
したがって、3つ目の論点にも関連しますけれども、不適切な事例に対応することは仕方がありませんが、それが行き過ぎて、きちんとした医療を提供している医療機関に悪影響が出たり、患者さんが困ることのないよう、きめ細やかな検討をお願いしたいと思います。
また、狭窄や閉塞を繰り返す患者さんにつきましては、3カ月に1回しか算定できないという現行のルールでは厳しい面もあろうかと思いますので、それについても検討が必要と考えます。
最後に移植医療について72ページ目でございますけれども、件数が諸外国より1桁少ない、アメリカよりは2桁少ないですが、臓器移植の数をふやすことについて診療報酬上で何ができるかということだろうと思います。資料にあるように、臓器移植が非常に多くの関係者がかかわって、多岐にわたる業務があり、現場の負担が大きいということはそのとおりだと思います。60ページ目の世論調査にあるように、その原因は国民意識ではなさそうなので、医療現場で今以上に患者家族に説明する機会をふやせばふえていくのではないかという提案だと理解しております。移植を進めていくことについて、国を挙げて国民に理解を求めていくことが重要であり、あわせて診療報酬上、さらなる評価を行って現場の負担に応えていくことが重要だと考えます。
質問についてはよろしくお願いいたします。
○田辺会長
では、事務局、お願いいたします。
○岡田医療技術評価推進室長
移植の普及に向けて厳しい要件を医療機関に課すことで進むと考えているのかという御質問だったかと思います。事務局といたしましては、この導入期加算で対応いただいていることは、透析に入られるタイミングでさまざまな御説明をいただくということで、それに加えて、例えば糖尿病でありますとか、慢性腎疾患の管理の中、その透析に至る前の段階なども含めたさまざまな場面で、移植の可能性を情報提供いただければありがたいというような趣旨で記載したものでございます。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
がんの拠点病院の関係に関しての御意見でございますけれども、その点につきましては、整備の状況全体がもう少し見える資料と、診療報酬との関係について整理した資料をまた出させていただきたいと思っております。
○松本委員
わかりました。
○田辺会長
では、今村委員、お願いいたします。
○今村委員
ありがとうございます。
今、課長からも御説明のあった診療連携拠点病院のお話ですけれども、これは保険局の話ではなくて、診療連携拠点病院の類型というものは健康局でやっておられるのだと思うのですけれども、正直に申し上げて、物すごくどんどん複雑になっていて、一般国民の方が一体自分がどういうがんの診療を受けられるのかという理解がこれで進むとはとても思えません。
また、診療報酬でそれぞれの類型に合わせて点数をつくっていくことが本当によいのかどうか。やはり提供されているがん診療の中身に応じて点数がつけばいいのであって、類型で点数を分けるみたいなことは余りしないほうがいいのではないかなと思っております。
特に、ゲノム医療についても、実際に13ページを見てみますと中核拠点と拠点病院というのはほとんど差がなくて、人材養成とか研究の部分だけで差があるということなので、実態的に提供されている医療について大きな差があるとは思えないと思っております。
もう一つ、緩和ケアについてですけれども、23ページに緩和ケア病棟入院料、これは入院のお話が主にはなっていると思うのですけれども、今、待機患者が非常に多い。これは結局ある程度落ちついたら、また在宅に戻っていただいてという、行き来ということが前提のはずなのに、実は在宅での緩和ケアが余り進んでいない。どちらかというと、いつまでも病院が外来の中で、あるいは入院の中でやっておられて、地域のかかりつけ医がきちんと緩和ケアに参加できるような仕組みになっていないのではないかと思います。
この中で22ページに地域緩和ケアネットワーク構築事業ということで、連携調整員という新しい考え方が入っていて予算化されていますけれども、これは7月31日の資料になっているので、まだまだ始まったばかりということですが、こういうものが実態として本当に機能するのかどうか、私はよくわかりません。病院側が地域のかかりつけ医あるいは医師会等としっかりと連携していただいて、地域の中できちんと緩和ケアを提供できる体制を構築していく。これはどのように病院の中の緩和ケアで評価するかはなかなか難しいとは思いますけれども、そういうことをぜひ進めていただければと思います。
これは循環器の心不全の緩和ケアについてもそうで、心不全の緩和ケアをどの程度の心不全の患者さんから対象にするのかという問題はありますけれども、実際に外来をしていると、現在、高齢化に伴って非常に心不全の患者さんがふえている。適切に介入するとかなり心不全の改善であったり、患者さんのQOLが改善することもあります。ここに地域の中の連携ということが書かれているので、これもぜひとも病院の心不全に関する緩和ケアの中で地域の連携ということをもう少し評価していただけるような仕組みを考えていただければと思います。
以上です。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。
では、吉川専門委員、お願いいたします。
○吉川専門委員
心不全の患者の緩和ケアについての意見と、腎代替療法についての意見を述べたいと思います。
まず、29ページにありますように、平成30年度の診療報酬改定において、緩和ケア診療加算の対象が心不全の患者さんに拡大されたことは非常に重要なことであると考えております。
現在、緩和ケアを受けられる患者さんはがんの方が多いと思いますが、今後、緩和ケアを受けられる心不全の患者さんもふえていくと予測されるため、33枚目の論点の3つ目の○にあります末期心不全の患者に係る取り組みの進捗状況等を踏まえ、算定対象及び算定要件等を見直すことの方向性については賛成いたします。また、対象に合わせたよりよい緩和ケアを行うということを考えますと、心不全の患者さんの緩和ケアには、心不全看護を専門とする認定看護師なども貢献できるのではないかと考えております。
適切に苦痛が緩和されることによって、明らかに患者さんのQOLが向上することは看護の立場としてもそのとおりだと考えております。そのため、16ページのWHOの緩和ケアの定義にありますように、がん患者さんに限らず、緩和ケアが必要な全ての患者さんへの緩和ケアが充実されるような体制等の検討が必要でないかと思っております。
もう一点、代替療法の評価に係る論点について、特に生活習慣病等の患者の重症化予防の点から意見を述べたいと思います。54ページの論点の2つ目の○のところにつきまして、慢性腎臓病の患者さんが適切に意思決定できるための情報提供の推進は看護の立場としても進めるべきだと考えております。
一方で、35ページにありますように、慢性透析患者数が毎年5,000名ずつ増加していることを鑑みますと、生活習慣病等の患者さんが代替療法の適用とならないための重症化予防が非常に重要であると考えます。重症化予防をさらに進めるために、患者さん一人一人の病状と生活に応じた適切な療養支援が必要であるため、36枚目の糖尿病透析予防指導管理料等をより一層活用するとともに、外来看護師も含めた外来の機能の強化を進めていくことが有効ではないかと考えます。
以上です。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。
では、間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
ありがとうございます。
緩和ケアについてなのですけれども、緩和ケアの重要な点は体の痛みとかそういうものをなくしていくことが大事だと思うのですけれども、最近言われているのは、スピリチュアルな部分というところで、このあたりを充実させていかないとなかなか進まないのかなという印象があります。
そういう意味では、患者とその家族の気持ちに焦点を当てるとか、余命がもし短かったりしたとしても、未来への希望ですとか、今までしてきたこととか、人生の物語みたいなものを引き出していって、精神的に前を向いてもらうことが必要だと思うのです。そのためには、専門的な知識とか経験というのが医療者側に必要なわけですよね。そのための研修というのが一体どれくらい行われているのかということを教えていただけたらいいかなと思うのですけれども、もっと充実していくことによって、在宅医療とか、そういうところに生かしていけるのではないかなと思いますので、そのあたりをよろしくお願いしたいと思います
○田辺会長
では、医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
緩和ケアについて充実した研修という話かと思いますが、緩和ケアそのものについては、医療従事者の研修、教育というものは随分進んでおります。
基本的には、医師、看護師等についても緩和ケアそのものについての基本的な概念ですとかそういうものについては、既に卒業する前に習うことにもなっています。
また、がん患者ですとか、そういうものに特化した形での研修という意味では、要件のほうに示しておりますように、緩和ケア病棟等が主催しておりますような研修というものに参加して、十分に研修を受けることが要件になっているということでございます。
○田辺会長
では、間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
その要件自体が、失礼なのですけれども、本当に充実しているのかなというところがあって、それは患者とか家族の満足感を調査していただいて、そこで評価していくことも大事なのかなと思います。
これは直接のものではないかもしれませんけれども、HEPTタイムテーブルというものがあります。これは心不全の緩和ケアのトレーニングのコースなのでしょうけれども、これで行くと精神ケアは45分という時間がありますが、これくらいで本当に大丈夫なのかなというものが印象としてはあります。よくマスコミというかドキュメンタリーなどを見ると、やはり人生経験の豊富な方で、宗教がいいかどうかというのは私にはわかりませんけれども、宗教的なことに携わってきた人たちが時間をかけてケアをするというところも見ていて、そういうものも大事なのかなと思いますので、そういう意味での充実も図っていただきたいと思います。
以上です。
○田辺会長
では、今村委員、お願いいたします。
○今村委員
今のやりとりについてですけれども、研修というのはすごく大事だとは思います。知識をしっかりと確認する、新しい知識を得るという意味では大事ですけれども、本当に大事なのは患者さんを通して、オン・ザ・ジョブ・トレーニングで一人一人の患者さんを診ていく中でいろいろな経験をするという経験が緩和ケアにとっても非常に大事だと思います。知識だけあっても、実際に在宅でかかりつけ医が緩和ケアに取り組めるかというとやはり難しい。
そういう意味で、病院の先生と緩和ケアをやっておられる先生としっかりと連携しながら、お互いにしょっちゅう情報共有する中で、安心して緩和ケアに取り組んでいく。また、そういう経験を積むことによって、どんどん在宅での緩和ケアを我々かかりつけ医も取り組めると思っています。
それから、今の精神的なサポートについては、やはり一人の職種、一つの職種で全ての満たすことはできなくて、例えば心理であれば病院だったら公認心理士のような新しい職種がいて、心理的なサポートをするということで、多職種連携の中でそれぞれが持っているいろいろな技術、経験を一緒に提供することによって、初めて緩和ケアは充実するのではないかと思っています。
○田辺会長
ほかいかがでございましょう。
では、吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
ありがとうございます。
まず33ページの論点の2つ目、緩和ケアについてですが、緩和ケア病棟を退院した後も、その患者さんや家族の意向に沿った形で必要なサポートが継続されることが重要な対応であると考えております。
そうしますと、24ページにございます緩和ケア病棟入院料が届けられている医療機関のうち、外来緩和ケア管理料が20.5%、在宅がん医療総合診療料が13.7%であり、決して多くない、むしろ少ないと思っていますので、退院後、直接的なサポートを継続して実施できている医療機関を増やしていく必要があると思います。そういう意味では、継続的サポート確保のための緩和ケア病棟入院料について、外来や在宅における緩和ケアの提供の要件化を検討することには賛同したいと思います。
次に54ページの3つ目の論点について、腹膜透析患者が血液透析の併用を行う場合がここで論点になっているわけですが、49ページのアンケートを見ても、主な意見を拝見しますと、やはり腹膜透析患者の利便性、臨床実態、これを考慮することは必要だろうと考えております。
一方で、これまで腹膜透析患者の血液透析の併用実施を、他の医療機関での実施を排除して、自施設に限って行ってきたという理由について、どういう背景、どういう考え方があったのか、それを理解した上で要件の見直しの議論を行うというのが筋ではないかと思いますので、この背景、考え方について事務局のほうから御説明いただけますでしょうか。
○田辺会長
では、お願いいたします。
○岡田医療技術評価推進室長
資料の48コマ目の(3)の下段の部分でございますけれども、腹膜透析の患者さんの管理を全体として当該医療機関、管理料を算定する医療機関で管理し切るという考え方で(3)の項目が入ったものと理解しております。
○田辺会長
では、お願いいたします。
○吉森委員
それは、その管理料の設定ありきの話ですか。他の施設で血液透析をやるのはその当時実態はなかった、安全性とか有効性の観点というのはなかったのですか。
○田辺会長
では、お願いいたします。
○岡田医療技術評価推進室長
その管理全体の腹膜透析患者さんの透析に関する管理というのは非常に医学的にも高度な知識を要しますし、その管理をすることによって患者さんへの利益もあるということでこうした管理料が設定されていると承知しております。
○吉森委員
そうしますと、今回、他の医療機関を排除せずに併用で認めていくというときには、安全性は担保されるわけですか。
○田辺会長
では、お願いいたします。
○岡田医療技術評価推進室長
その場合には、安全性も担保できるような方法を考える必要があると考えております。
○田辺会長
ほかいかがでございましょう。
では、島委員、お願いいたします。
○島委員
ありがとうございます。
移植医療について幾つか意見を述べさせていただきます。
まず、59コマ目ですが、平成22年に法律の改正があって、それから心停止後の移植から脳死下移植がふえてきたということでありまして、全体的には日本における移植医療というものが横ばいというよりもむしろ減少しているのです。
次の60コマ目を見ますと、移植先進国であるアメリカに比べると、臓器提供の数とか生着率を見ますと、非常にすぐれた医療技術が日本にはあるということが証明されていると思います。
それから、61コマ目に関しましては、国民の意識というものが移植に対してはそれほど抵抗がなくなってきているということが見て取れます。
66コマ目のところですが、実際に脳死下の移植も2回の脳死判定を行わなくてはならないということもあります。しかしながら、心停止後の移植に関しては脳死の判定は要りませんけれども、非常に手間暇がかかるというのが実態なのです。
67コマ目では、実際に全臓器、9つの臓器をもし採取できた場合は、43万9860点という点数が付与されるのですが、下の心停止後の臓器提供に関しましては、非常に負担が多い割には評価が非常に少ないというものが現状だと思います。
それから、70コマ目のところが一番問題でして、アジアで一番移植をやっているのは韓国なのです。韓国の場合は、選択肢の提示を医療施設に義務づけしているのです。それと同時に、そういった症例に関しては国に対して報告の義務まで付加しています。ですから、こういう70コマ目のような医療施設の認識、患者さんたちに対する選択肢の提示がほとんどなされていないというものが今の日本の実態なので、こういったことを義務化するのはいかがなものかと思いますが、そういう教育というか医療施設に対するものをもっともっと普及啓発していく必要があるのだろうと思います。
最後の結論のところにもあります。評価をもう少し高めていくこととともに、その前にありました腎代替療法のところの腎移植もなかなか進まないのが今の移植の現状から伺いとれますが、なるべく献腎移植を進めるよう、そういったことを含めて移植医療をもっともっと日本に根づかせていけるような方策が要るのではなかろうかと思います。
意見でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
では、有澤委員、お願いいたします。
○有澤委員
54コマ目になります。
HIF-PHD阻害薬というものが薬事承認をとれたところで、恐らくこれは内服薬ですから、当然薬局で処方される機会がかなりふえると思います。そういった観点から、新たな診療報酬体系、評価体系、人工腎臓における腎性貧血の治療については、きちんとまた別途立ててやっていくべきだと考えます。
○田辺会長
ありがとうございました。
では、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
時間ですので、手短に論点についてコメントしたいと思います。
まず、がん対策なのですが、がん拠点病院について体制に対する評価ということなのですが、先ほど今村先生からも御指摘があったとおり、患者側からすればあくまで診療報酬というのは自分が受けた医療の対価ですので、体制を加算するということも必要かと思いますが、算定要件を考えるに当たってはこういった患者の視点というものを十分に御留意いただきたいと思います。
それから、緩和ケアについては、在宅、外来との連携、緩和ケアチームの設置等が重要であることがわかりました。一方、事実を見てみると、入院料の算定の97%が入院料1をとっているということで、この入院料2が必要なのかということを検討してはどうかということで、これらの在宅とか外来との連携、緩和チームの設置とかを要件とした入院料に統合してはどうかということも検討してはどうかと思います。
3つ目の末期心不全については、緩和ケア診療加算や外来緩和ケア管理料の算定要件に心不全も加えて、心不全の多職種チーム、緩和ケアチーム、地域の医療機関の連携による取り組みを算定要件として、あと、緩和ケアトレーニングといったものを追加するべきだと思います。
それから、腎代替療法に関する論点なのですが、透析の医療費というのは年間1人当たり500万、年間1.6兆円ぐらいというかなりの医療費がかかっているということで、まずは透析に移行させないというところ、きょうの議題ではないのですが、透析予防というところに力点を置いていかなければいけない。これは保険者も保健事業で、透析に移行させないための糖尿病の重症化予防ということで取り組んでおりますが、こういったことをやっていく必要がある。これは別のところでまた議論になるかと思いますが、さりながら透析に行ってしまったら、こういった1人当たり500万という医療費がかかるということで、人工腎臓に係る診療報酬については、30年改定でも適正化は行われたのですけれども、さらに適正化を行っていく必要があると思います。
それから、平成18年度から包括評価しているダルベポエチン製剤については、バイオ医薬品が出ているということで、これも実態に見合った評価に変えるべきというのは当然のことだと思います。それから、新たに収載されるHIF-PHD阻害薬を包括にするのであれば、それに見合った点数にすべきというのも当然のことだと思います。
それから、バスキュラーアクセスに係る処置の評価については、緊急の対応が必要で難易度が高い急性反発性腹膜炎手術、処置時間が2.5時間かかっているにもかかわらず1万4400点という比較から見れば、これは大幅な見直しが必要なのではないかと思います。これはもう当然のことだと思います。
それから、経皮的シャント拡張術・血栓除去術について、3カ月に1回というのはモラルハザードが起こってこういった規制がかかったかと思うのですが、もしこれを外した場合にまたそのようなことが起こらないような措置ということで、算定要件の見直しをする必要があると思います。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、ほかに御質問等もないようでございますので、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。
次に報告事項でございますけれども、「最近の医療費の動向について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、事務局より説明をお願いいたします。調査課長、よろしくお願いいたします。
○仲津留調査課長
調査課長です。
資料総-2-1と資料総-2-2について御説明いたします。
まず、総-2-1「Press Release」と書いている1枚目を用いて御説明いたします。
平成30年度の医療費の動向でございます。
タイトルの下に書いておりますが、厚生労働省では医療費の動向を迅速に把握するために、医療機関から診療報酬の請求データに基づいて医療保険と公費負担医療分の医療費の集計をし、毎月、最近の医療費の動向として公表しております。概算医療費と呼んでおりますけれども、国民医療費の約98%に相当しています。
【調査結果のポイント】の枠囲みの1つ目の○でございますが、平成30年度の医療費は42.6兆円となっておりまして、前年度に比べて約0.3兆円の増加となっております。
囲みの下に医療費の動向の表がございますけれども、一番上の行が医療費となっております。その下に医療費の伸び率、対前年度比を表示しております。平成30年度の医療費の伸び率はプラス0.8%となっております。
左に目を移していただきますと、医療費の伸びは26年度が1.8%、27年度は3.8%、28年度はマイナス0.4%、29年度は2.3%と推移しております。27年度の伸びが高く、28年度の伸びが低くなっておりますが、27年度はC型肝炎治療薬等の高額な薬剤の登場により、医療費の伸びが高くなった年でありました。一方、28年度はC型肝炎治療薬の薬価を引き下げたことや、その使用量が減少したことなどにより、反動としまして医療費の伸び率が低い年であったということです。
この4年間、26年度から29年度の医療費の伸びの平均をいたしますと、プラス1.9%になります。平成30年度の医療費の伸び率はプラス0.8%ですので、最近の医療費の伸びよりも一見低くは見えますけれども、御案内のとおり平成30年度は診療報酬改定があり、その改定率は本体がプラスの0.55%、薬価等がマイナス1.4%で、あわせてマイナス1.19%であったことから、この診療報酬改定の影響を考慮すれば、平成30年度の医療費の伸び率は最近の医療費の伸び率と同程度と見ることができます。現在のところ、人口構成の高齢化と医療の高度化などによって医療費は伸びるという主張には大きな変化はないと考えております。
医療費の動向の表の下の2行ですけれども、医療費は受診延べ日数と1日当たり医療費の掛け算となっていますので、医療費の伸び率もこの2つの要素に分解できます。平成30年度は受診延べ日数の伸び率がマイナス0.5%、1日当たり医療費の伸び率がプラス1.3%になっておりまして、最近の傾向としましては基本的に受診延べ日数がマイナス傾向、1日当たり医療費は増加傾向という形になっており、平成30年度も同様の傾向になっていると考えております。
もう一度囲みの中に戻っていただきまして、3つ目の○でございますが、診療種別で見た医療費の伸び率は、入院でプラス2.0%、入院外でプラス1.0%、歯科でプラス1.9%、調剤でマイナス3.1%になっております。平成30年度は薬価の改定がございましたので、薬剤の割合の高い調剤の医療費の伸びがマイナスになっているということでございます。
続きまして、総-2-2をごらんください。調剤医療費(電算処理分)の動向でございます。こちらも1枚目の「Press Release」と書いてる資料で御説明いたします。
医療費のうち、調剤医療費につきましては、比較的電算化の普及が早かったので、平成17年ごろからこの電子レセプトのデータを収集しまして、調剤医療費の動向を作成しております。
【調査結果のポイント】として囲ってある1つ目の○をごらんください。
平成30年度の調剤医療費(電算処理分)は7兆4279億円になっておりまして、伸び率ではマイナス3.1%になっております。先ほどの概算医療費の調剤分もマイナス3.1%でしたので、同じ伸び率になっております。それから、年間の処方箋枚数は8億4000万枚ぐらいあります。2行目にありますとおり、処方箋1枚当たりの調剤医療費を見ますと8,850円で、伸び率はマイナス3.7%になっております。
1つ目の○の3行目ですが、内訳を見ますと、技術料が1兆9311億円で伸び率がプラス1.0%、薬剤料が5兆4834億円で、伸び率がマイナスの4.5%になっております。1つ目の○の最後から2行目ですが、後発医薬品の額ですけれども、後発医薬品の薬剤料は1兆245億円、伸び率としてはプラスの1.5%になっております。
3つ目の○でございますが、最初の行に書いておりますけれども、後発医薬品の割合でございます。平成30年度末なので、平成31年3月でございますけれども、現在使っている数量ベースの指標、いわゆる新指標で77.7%になっております。これはあくまで院外処方の調剤薬局分に限る数字になりますけれども、77.7%になっております。前年度末が73.0%でしたので、伸び幅としてはプラス4.7%ポイント上昇したということになっております。
以上、保険薬局における調剤医療費の動向を御説明しましたが、薬剤につきましては入院や外来に含まれる分もありますので、引き続き医療費全体の動向を見ていきたいと考えているところでございます。
説明は以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございましたら。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
1つ要望がございます。
医療費の動向について、病院は開設者別に御説明をいただきましたし、また、厚生労働省の概算医療費データベースのホームページでは病床規模別のデータも公表されております。これらに加えて、今後は一般病院と精神病院の病院種類別で分析することを御検討いただきたいと思います。言うまでもなく、一般病院と精神科病院は入院基本料の体系が大きく異なっているからであります。また、同じ理由で、大学病院というカテゴリーよりも特定機能病院というカテゴリーのほうがさまざまな検討に資するデータとなると考えておりますので、御検討のほどよろしくお願いしたいと思います。
○田辺会長
では、調査課長、コメントがあれば。
○仲津留調査課長
ありがとうございます。
どのような集計、分析ができるかということも含めて検討させていただきたいと思います。
○田辺会長
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。
本日の議題は以上でございます。
なお、次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の総会はこれにて閉会でございます。どうも御参集ありがとうございました。
 

 

 


 
 

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