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2022年4月28日 第20回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議

○日時

令和4年4月28日(木) 18:00~21:00


○場所

オンライン会議
フクラシア東京ステーション(オンライン会議場)
5L会議室(5階)
東京都千代田区大手町2-6-1 朝日生命大手町ビル


○出席者

出席委員 

岩月委員、上村委員、宇佐美委員、笠貫委員、黒川委員、
佐藤委員、宗林委員、高野委員、長島委員、平野委員、
堀委員、松野委員、宮園委員、矢口委員、湯浅委員、渡邊委員

出席参考人 

小川参考人、加藤参考人、種部参考人

○議題

1.緊急避妊薬のスイッチOTC化について
2.その他

○議事


○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第20回「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」を開催いたします。委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。まず、本日の出席状況ですけれども、本日は五十嵐委員、近藤委員、萩原委員、原委員及び部坂委員から御欠席との御連絡をいただいております。また、平野委員と矢口委員がまだ御参加いただけていないかと思いますが、後ほど御参加いただけるかと思います。したがいまして、現在のところ14名の委員の先生方に御出席いただいております。
 それから、本日でございますけれども、緊急避妊薬のスイッチOTC化の議論を行うに当たりまして、産婦人科医会及び産婦人科学会より参考人の先生に御出席いただいておりますので御紹介をいたします。
 産婦人科医会より、種部恭子先生です。
 それから、産婦人科学会より小川真里子先生です。
 また、本日でございますが、性暴力救援センター、大阪SACHICOより加藤治子先生にも参考人として御出席いただいております。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、ウェブ会議を進めるに当たりまして注意事項を御説明いたします。発言される際には、画面のマイクのボタンを押してミュートを解除した上でお名前をおっしゃっていただき、座長に指名された後に御発言いただきますようお願いいたします。また、発言されないときはマイクをミュートにしておいていただければと思います。なお、会議中に接続トラブル等が発生いたしましたら、事前にお送りしましたウェブ会議のマニュアルに記載されている連絡先に御連絡をいただければと思います。
 それでは、笠貫先生、以降の議事進行をよろしくお願いいたします。
 
○笠貫座長
 それでは、座長を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。では、まず本日の配付資料の確認を事務局からお願いいたします。
 
○事務局
 事務局でございます。資料につきましてはペーパーレス化を実施しておりまして、会議場にいらっしゃっている委員の先生方におかれましてはお手元のタブレット端末で資料を御確認ください。タブレット端末は、会議資料の議事次第を画面に表示した状態で配付しております。ほかの資料を画面で表示するには、画面左上の「マイプライベートファイル」を指で1回軽くタップをしていただきまして御覧いただきますようお願いいたします。なお、タブレットの使用方法につきましては、机上に配付してございます「ペーパーレス審議会タブレット操作説明書」を御確認ください。
 本日の資料でございますけれども、「マイプライベートファイル」に表示されている上から順に、会議資料と参考資料と別添資料という形になります。会議資料につきましては、資料を一つづりにしてございます。まず資料の1といたしまして「評価検討会議における検討の進め方について」。資料2といたしまして「性暴力救援センターにおける被害者支援の一環としての緊急避妊薬」。資料3-1、3-2といたしまして、海外実態調査報告書に関する資料。資料4といたしまして「2017年の評価検討会議でスイッチOTC化する上で課題とされた点に対するこれまでの主な意見・調査結果等(ディスカッションペーパー)」。資料5が「今後の予定」でございます。参考資料につきましては1から4、そのほか別添資料を一つのファイルとして御覧いただけるような形になってございます。また、タブレットには各会議の個別資料といたしまして、第17回及び第19回の会議において使用した資料を、それぞれ第17回及び第19回資料として保存しておりますので、適宜御活用いただければと存じます。
 本日の資料の関係の説明は以上となります。御不明な点がございましたら、事務局までお申しつけくださいませ。
 
○笠貫座長
 どうもありがとうございます。タブレット等の不具合がありましたら、随時お知らせください。よろしいでしょうか。それでは、本日の議題である「緊急避妊薬のスイッチOTC化について」に移りたいと思います。まず事務局から検討会議の進め方について説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
 
○事務局
 事務局でございます。お手元のタブレットの3ページを御覧くださいませ。資料1、「評価検討会議における検討の進め方について」でございます。
 こちらは、評価検討会議の進め方の全体像を示したものでございます。本日議論をいたします緊急避妊薬につきましては2017年度に議論した成分でございますので、一部この図に記載したステップで省略されているところがございます。
 緊急避妊薬につきましては、昨年の10月、本年3月の会議におきまして再検討に至った経緯、要望者からの要望説明、関係者からの意見聴取、海外実態調査の報告等を行い、検討するに当たっての現状の整理等をしたところでございます。本日の会議は、そのときの検討会議での議論、海外調査結果、各ステークホルダーからの説明等を踏まえまして、緊急避妊薬のスイッチOTC化における課題点等を議論していただければと存じます。したがいまして、本日の検討会議につきましてはこの資料の真ん中の検討会議マル1、左肩の赤文字のマル4に該当するところでございます。
 十分に御議論いただいた後は、議論いただいた内容を基に赤字のマル5に示しますようにパブリックコメントを実施することになります。
 また、パブリックコメントと並行いたしまして、挙げられた課題に対する対応策等について、必要に応じて検討会議の構成員等、関連するステークホルダーから追加の説明等を御準備いただき、寄せられたパブリックコメントの内容も踏まえまして、赤字のマル6の検討会議マル2で課題点の整理及びその対応策の取りまとめをすることになります。
検討会議の議論はマル1、マル2と2回という形でお示ししているところでございますけれども、各回での議論が不十分と考えられる場合は追加で検討会議を開催するということになります。
 最終的に検討会議としての検討結果を取りまとめまして、薬事・食品衛生審議会の要指導・一般用医薬品部会で報告することになります。
 検討会議では検討会議としての方向性を示しつつも、少数意見についても併記をしていくという方針となってございますので、会議で挙げられた意見に対しましては同趣旨の意見でございましてもできる限り意見表明いただきますようお願いいたします。検討会議の進め方についての説明は、以上となります。
 
○笠貫座長
 どうもありがとうございます。それでは、3月の検討会議におきまして、性暴力のワンストップ支援センターの状況についても検討の材料に加えてはどうかという御提案もございました。そのため、本日は性犯罪、性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの取組や、その状況を踏まえた緊急避妊薬のスイッチOTC化に係る課題等について、性暴力救援センター・大阪SACHICOの加藤先生から御説明をお願いします。
 
○加藤参考人
 加藤治子です。私は、大阪府松原市にあります阪南中央病院という民間の総合病院の産婦人科医師です。12年前、病院内に性暴力救援センター・大阪SACHICOを開設し、代表をしております。本日は、本検討会議に参考人としてお呼びいただき、誠にありがとうございます。
 本日は、緊急避妊薬の医療用から要指導・一般用への転用について、私は性暴力被害者の多くは緊急避妊ピルを必要としている、そして、緊急避妊ピルを求めている人の多くに安全でない、安心でない性暴力とも言えるような性的な行動がある、それが背景にあるということが多いのではないかという、この2点から一般用への転用について危惧する立場からお話をさせていただきます。
 まずは、性暴力について考えます。男女間における性的な暴力で最も重大とされる強制性交等、すなわち無理やり性交等をされた被害経験のある女性はどのくらいいるか。最も信頼できる調査として、内閣府が3年ごとにしている調査があります。最新のものは2020年度のもので、無理やり性交されたことがあると答えた女性は6.9%という結果でした。3年ごとの調査のいずれのときも、ほぼ同じ数字が出ていますので、6~7%の女性が一生の間に1回は無理やり性交されているということが言え、とても大きな数字です。
 加害者は「まったく知らない人」というのが11.2%で、知人からの被害が多く、誰にも「相談しなかった」人が58.4%、相談した先は「警察」が6.4%、「医療機関」等が0.8%と、誰にも相談せずに一人で悩んでいる女性が多いことがうかがえます。
 この6.9%というのは、一体、何人の女性が1年間に被害に遭っているのだろうかと思い、試算してみました。日本の総人口は、その年の国勢調査によると1億2600万人です。半数が女性とすると約6487万人、0歳から19歳までの女性の数は約1010万人、成人女性の数は5477万人になります。その6.9%に当たりますので377万9130人、調査対象の年齢構成は60歳以上が40%であることより、平均年齢を60歳とすると、60年間生きてきて1回被害に遭っていることになり、それを60で割りますと6万2986人、1年間に6万人から7万人の女性が強制性交等の被害に遭っているという試算ができます。
 これは、警察庁が公表している強制性交等の認知件数です。年間1,500件から2,000件程度の認知件数であることが分かります。
 強制性交等の被害に遭っている6万人余りの女性のうち、1,500件、2.4%が警察に認知され、犯罪被害者等基本法に基づいて支援されていますが、残りの95%余りの被害者を支援する相談機関がない、根拠法がないという状況でした。
 「性暴力」とはどう定義されるものでしょうか。刑法で言う性犯罪、すなわち強制性交等や強制わいせつは性暴力のごく一部であり、同意のない対等でない強要された性的行為は全て性暴力です。私どもは、誰からの被害かで性暴力を分類しています。
 第1に、他人からの性暴力、知らない相手や職場の上司や同僚などです。
 第2に、実父や義父、兄や祖父など家族からの被害です。
 第3に、夫や恋人など、DVとしての被害です。
 第4に、不特定多数、いわゆる性非行の子供たちの状況です。性暴力は被害者の心と体を深く傷つけ、人間としての尊厳を脅かす人権問題であり、医療問題であると考え、取り組んでおります。
 こういった性暴力被害者の心と体の回復のために開設されたのが性暴力救援センターです。Sexual Assault Crisis Healing Intervention Center Osakaの頭文字を取ってSACHICOというふうに名づけております。
 まず、24時間365日体制で支援員が常駐することによる心のサポートをして、24時間対応できる救急医療態勢を産婦人科の医師が取り、そして継続的な医療を提供しております。
 その他、精神科医師、警察、弁護士、地域の支援団体など、必要な機関との連携による支援を提供しています。
 そして、当事者が「自分で選ぶ」を大切にした支援を提供し、性暴力のない社会の実現のために活動をします。
 SACHICOのネットワーク図です。警察や児童相談所、弁護士、産婦人科協力病院などと有機的につながっています。病院拠点型のワンストップセンターですので、病院内にSACHICOのスペースがあります。養成講座を受け、実践トレーニングを受けた支援員が24時間待機し、電話対応と来所対応をしています。
 SACHICOの面談室です。来所した被害者と支援員が安心な雰囲気の中で面談し、被害の状況について聞き、医師の診察についての同意を得ます。過去の被害であっても性に対する侵襲被害ですので、原則として全員産婦人科医師の診察を受けます。体の診察をするか否かは、当事者と医師との話の中で決めます。
 ホットラインの電話を支援員が取っています。その奥に、SACHICO専用の診察室があります。医師は支援員から被害の概要を聴取してから当事者に会い、さらに必要な問診を取り、何回も同じことを聞くことにならないように配慮します。証拠物の採取、外傷の確認、検査、内診など、当事者の状況を見ながら診察をし、診察結果と性暴力被害について説明し、必要により緊急避妊ピルを内服してもらい、今後の支援の流れを説明し、予約を入れ、終了します。
 開設後、「12年間の概要」です。初診の人の数が3,196人で、来所の延べ件数が1万2434件となります。1人当たり平均4回来所していることになり、潜伏期を考慮した性感染症の検査がある程度実施されていることがうかがえます。
 12年間の初診3196人を、誰からの被害かで分類したものです。2021年度は、他人からの強制性交等及び強制わいせつの被害者数が著しく増えて245人になっています。このうちの7割強は強制性交等です。コロナの影響が出てきていると推定しています。
 大阪府警発表の強制性交等の認知数は年間150件程度です。いずれの年も、SACHICOの強制性交等の支援数は大阪府警の認知件数よりも多いです。
 初診の被害者の年齢を見てみますと、20歳未満が60%を占めており、若年層の被害が多いことが分かります。
 性暴力救援センターにおける被害者診療について、簡単に説明します。
 中心は、心と体に対する診断と治療です。膣性交のあった被害の場合は、まず妊娠を避けるために72時間以内に緊急避妊ピルを内服するか、あるいは120時間以内に子宮内避妊器具、IUDを入れるかを決めて実行する必要があります。
 2番目に性感染症の検査と予防薬の内服、3番目に外傷の診断と治療です。これらは72時間以内がメルクマールになります。同時に、当事者の方に、あなたは悪くないことを丁寧に伝えます。並行して、本人の希望により膣内容物などを証拠物として採取し、警察に提出するか、センターで保管するかを決め、実施します。証拠物は時間とともに体から消えていきますので、これも72時間以内の対応が重要です。
 以上より、性暴力被害者の緊急避妊は病院拠点型ワンストップセンターでの対応が望ましいと言えます。
 では、昨年度の実態を見ていきます。初診の人数は396人でした。カルテを作った人ですね。
 396人中、強制性交被害は262人で、その年齢構成を見ますと、被害内容としましては他人からの被害、性虐待、これは親族からの被害ですね。DVは夫、あるいは恋人、それから不特定多数からの強制性交被害が262人で、年齢構成を見ますと10歳から24歳の辺りに集中をしております。
 ただ、数は少ないですが、60代の女性まで含まれています。
 強制性交被害262人中、被害後72時間以内に来所したのは143人でした。そのうち、緊急避妊ピルを処方し、内服したのは101人でした。42人には処方しませんでした。処方しなかった42人の理由は、マル1からマル8のようになります。
 特にマル3番の「挿入されていない、性交に至っていないと診察医師が診断したから」というようなこと、これは膣への男性器の押しつけがあったような場合、本人は性交されたかどうか分からない。挿入されていたらどうしようという心配で相談に来られていますが、それがどうだったかということは産婦人科医師が診察しないとなかなか分かりません。
 それから、マル4番は、本人は月経不順とのことで、妊娠中であれば要らないということは分かるのですけれども、診察のときに初めて妊娠が分かる場合があります。びっくりするような場合、診察すると8か月の胎児がおなかにいるといったようなことが分かったケースもあります。その人の場合は、外観からはふっくらしているくらいで全く分かりませんでした。
 マル7番は、生理不順があって妊娠反応陰性で、超音波検査では子宮内膜の状態から黄体期と判断できたので、処方せずに待つと月経がきたというような事例です。こういった場合も、待つのか、飲むのかということの判断はなかなか難しいところがあります。
 その他、72時間以上経過してきた事例の中には、1週間に5回避妊のない性交をされ、3回緊急避妊ピルをその都度飲むようなことをして、しのいできたというような事例もあります。結局、この方はしばらくしてから妊娠で来られています。ピルを飲んだらいけるということでピルを飲み続けて、結局はとても悪い結果になってしまうといったことが起こっています。
 対応が難しいということがあって、72時間以内に何とか判断をしなければいけないという制約があります。どうするかをその場で判断するということはかなり難しく、だけどしなければいけないということが求められます。
 さらには、ピルを飲んだのに妊娠したというケース、この1年間にはなかったですけれども、今まではきっちり飲んだのに妊娠したというケースも散見をしております。
 緊急避妊ピルを処方した101例の来所時間を見ました。平日の日勤帯は22.8%で、準夜帯が31.7%、深夜帯が15.8%、土日祝日は29.7%と、夜間・休日の来所が多く見られました。
 緊急避妊ピルを処方した101例の年齢は、18歳未満が29例、28.7%でした。18歳未満の事案に、親の承諾なしに薬局で処方が可能かどうかが問われます。
緊急避妊ピルを処方した101例の性交相手は、声をかけてきた相手、SNSで知り合った相手など、とても費用の分担、あるいは負担をしてもらえるような相手ではないということが推察をされました。これで見たらお分かりかと思います。
 国連は「性暴力を身体の統合性と性的自己決定を侵害するもの」と定義をしています。勧告として、女性20万人に1か所のレイプ・クライシスセンターを設置すべし、目安としましては女性20万人に1か所の性暴力の危険センターがあれば、そういった緊急避妊も含めて相談に乗ることができるという勧告を出しております。
 日本におきましては、2018年に各都道府県に1か所の性暴力被害者支援センターがようやくできましたが、病院拠点でできているところは10か所に満たず、まだまだ十分その役割を果たせる状況にはなっていない。だけど、そういったところが中心になるということがまず必要なのではないかと思います。
 日本の刑法では、性交同意年齢は13歳ということになっていますが、真の同意とはここに書いてある1)から6)までの全てが満たされて初めて同意ということが言えます。日本の現在の性教育の状況で、13歳の子供たちが真の同意のできる力をつけているとはとても思えません。性教育の取組と同時に、13歳同意年齢の引上げの検討が必要であると考えます。
 「結語」です。
 まず、緊急避妊ピルが必要な事案の中には、安全で安心な関係性の下での性交ではない事案が少なくないと推定できます。よって、「避妊に失敗」の状況についての相談体制と診療体制がある中での処方が望ましいです。
 2)に、緊急避妊ピルを取りあえず飲むことで当事者は安心し、性感染症の予防薬を内服する機会を逃したり、検査が遅れたり、検査をせずに済ませてしまうかもしれません。その結果、クラミジア感染症や淋病、梅毒等の診断と治療が遅れたり、さらに他者に感染させる可能性も出てきます。
 同時に、性暴力被害が背景にあるときは、証拠物の採取・保管の機会を逃してしまう可能性があります。外傷の産婦人科医師による診療と記録は、今後加害者と向き合う中で重要な意味を持ちますが、その機会をも逃してしまう可能性があります。
 安全・安心でない性的関係は、「性的自己決定を侵害」するものであります。性的自己決定権は、女性のリプロダクティブ・ヘルス/ライツを守る上で非常に重要であります。予期しない妊娠を避けるための緊急避妊薬はその一環でありますが、事態についての総合的・継続的な支援の一環として取り組まれるべきです。すなわち、性暴力救援センターや協力産婦人科医療機関においての処方とケアが望まれます。
 未成年に対する緊急避妊薬は、より一層、前記の内容が重要です。同時に、需要・緊急性、ともに最大とも言える年齢層であります。親への連絡、承諾を前提とするか、年齢の確認を何でするかなど、解決困難な問題であり、性教育の本格的取組抜きには語れません。
 まずは、現在ようやく全国に設立されたワンストップセンターの整備、産婦人科医療機関の協力体制の構築、緊急避妊ピルの公的補助等の検討・充実が求められると思います。
 以上です。どうもありがとうございました。
 
○笠貫座長
 どうもありがとうございました。それでは、ただいまの御説明について種部参考人から補足がありましたらお願いします。
 
○種部参考人
 ありがとうございます。加藤先生、詳しく現状の話をお伝えいただきましてありがとうございました。ちょっと追加でお聞きしたいところがあります。
 まず、ワンストップセンターは全国に一応配置はされているのですが、先生がおっしゃったように実働としてきちんとこの医療が提供できるところというのは10か所以下という話でありました。それも、例えば北海道とか非常に広い地域に1か所しかないとか、そういう場合にはなかなかアクセスが悪いということになろうかと思います。
 これまで、前回まで私も審議に加わらせていただきましたが、薬局のほうで性暴力の被害者という方の相談だということが分かった場合、ワンストップセンターにつなげばいいというお考えをお持ちの方がおられたのですが、現実として全国でそのように受け止める体制はできているのかどうかということに非常に懸念をしております。その辺の現状をお話しいただければと思います。
 もう一点お聞きしたいのが、ワンストップセンターすらなかなか近くにはないので、緊急避妊だけを産婦人科に取りに来ていらっしゃっていた方も非常に多いのではないかと思っています。懸念しているのは性暴力の被害を受けた人たちが緊急避妊をきっかけに性暴力だということが開示された場合、何とか加害者を処罰する選択肢を含めて被害者支援につなぐチャンスがあったというふうに思うのですけれども、産婦人科医会のアンケートでは、そのタイミングを逃してしまうのではないかという懸念を多くの産婦人科医が持っておりました。
 先生のお考えとして、埋もれている被害者を誰がケアをするのかとおっしゃっていましたが、OTC化することによって、産婦人科を受診する敷居が非常に高い現状のままで、被害者が埋もれてしまうことの影響についてお考えがあればお聞かせください。
 
○笠貫座長
 加藤先生、お願いします。
 
○加藤参考人
 ワンストップセンターは初期から、産婦人科の救急医療と考えると、病院の中にセンターを建てる。病院拠点型がどうしても必要だということをずっと私たち病院拠点型を建ててきた者たちは主張してきたし、全国の中でもそういった思いを持ちながらも、なかなか病院の中につくるということが難しくて、取りあえずそういう連携型で相談の窓口といったものをつくろうという形で、今後の方向性として親しい病院というか、強力な協力病院ですね。ごく日常的に相談ができる協力病院をつくるという方向性を考えていこうというのが今の時点です。
 それで、広い府県もありますので、1か所あればよいのかというとやはりそうではないんです。大阪府におきましても、一応協力医療機関というものをそれぞれの病院に研修に行きまして、救急病院なんですけれども、全大阪府下で10か所持っています。救急病院というところは救急車でないと入れないことになっているのですけれども、緊急避妊ピルが欲しいというようなことをいきなり言うと今の段階では受け付けてはくれません。けれども、性暴力被害に遭ったと言うと救急外来で診てもらえるようにはなっています。それで、診察及び緊急避妊ピルを出してもらえるという仕組みにはなっているのですけれども、やはりそういった病院への負担が大きくて、なかなか機能するということについてはまだまだ十分ではないというようなことが現実です。
 そういう意味では、そういう夜間24時間動いている緊急の対応をする病院、あるいは医院に対しての資金的な補助といったものをバックにしないとなかなか進まないというふうに私は思っております。そういうことがあれば、その重要性について産婦人科医師で認識している方は全国にかなりたくさんおられますので、そういった方を中心にしての産婦人科救急の窓口になっていってもらうネットワークをつくるといったことは可能ではないでしょうか。
 大阪で10協力病院をつくってずっと勉強会などをしているのですけれども、他府県におきましても全国連絡会という組織もつくっておりまして、コロナがあってなかなか集まってどうこうできない状況なのですが、一応集まりとしましては全国連絡会という組織をほとんどのワンストップセンターが加入してつくっておりますので、そういったところがもっと機能的に動き出せば可能ではないかと思っております。
 それから、もう一つは緊急避妊の何でしたか。
 
○種部参考人
 緊急避妊を、性暴力だと認識しないでお薬だけ取りに来る人が結構産婦人科にはいらっしゃると思うんです。そのときに、産婦人科医がやはり性暴力だと気がついて何とかワンストップにつないだりする形でケアにつなぐということはできていたのかなと思うのです。OTC化を今検討しているわけですけれども、薬局でお薬を使えるよう敷居を下げても、その後、産婦人科を受診するというハードルはやはりすごく高いと思うんです。
 そうすると、緊急避妊は早く手に入れられても、証拠保全を早く行うことはできないことになりますので、後から本人が加害者の処罰を望んでも証拠が失われているという事態が起きるのではないかということは多くの産婦人科医が懸念していると思います。実際に薬局販売になったときに先生は性犯罪裁判にどのような影響が考えられると思っていらっしゃいますか。懸念しているということをおっしゃっていましたけれども。
 
○加藤参考人
 それはとても懸念しています。だから、実際に薬局で販売して、そこで問題を感じてもらったときに、御本人にとにかくすぐに、あるいは明日すぐにワンストップセンターに行くんですよという話を十分してもらうことと、それから薬局から連絡をする、ワンストップセンターへの紹介をするといったシステムが必要だと思います。
 それで、このような方が本日来られて、取り急ぎ緊急避妊ピルを出しておりますけれども、ぜひその後の検査及びフォローアップをお願いしますといったような紹介状をつけて御本人に渡して、実際に連絡をつけて、できることならば予約も入れて帰ってもらうといったようなことをしてもらったら、少しいけるのではないかと思います。
 
○種部参考人
 ありがとうございます。海外調査をこの検討会でしているのですが、ワンストップセンターは韓国の方が日本よりも充実しているという印象があります。先生のところでも処方されている年齢は10代が非常に多く、今日お話をお聞きになった方も驚かれたのではないかと思うのですが、特に10代の被害者に対するワンストップセンターでの支援体制は日本などよりはるかに進んでいたような記憶があるんです。
 その状況でも、韓国はOTC化をストップし承認しなかったんですね。日本の現状で加藤先生としてはどうお考えになるかということを聞かせていただけるとありがたいです。
 
○加藤参考人
 今の状況でのOTC化はとても危ないし、リスクの高い人をさらにリスクのある状況に陥らせてしまうというふうに思います。
 ちょうど生理が始まった頃の子供たちの性行動は今、大変深刻な状況で、性教育が十分ではないものだから、こんなことで、1回の性交では妊娠しないとか、とにかく思い込みで判断してしまっているようなことがあります。そして、普段から生理が不順な子も多いですので、生理が飛んでいるということについての認識も遅くなってしまうことがあります。
 子供たちを診る医師は誰なのかということも問題になると思うのですが、小児科に相談に行くというよりは、性の問題はやはり産婦人科の医師が診るのが私は一番よいのではないかと思っています。といいますのは、生理の仕組みについてもやはり産婦人科医のほうが認識が深いですし、それから体を診る、性器を診るという意味でも子供から大人までの性器の診察といったものも産婦人科医師はしておりますので、何か研修が必要であればするとして、子供の診察をする人は産婦人科医が中心になっていくというのがこれからの方向性ではないかと思います。といいますのは、性感染症になっていても、おりものが出ていても、それが性感染症であるという認識がなかなかつきにくくて、随分長い間、子供の淋病だとかクラミジアだとかが診断されずにSACHICOに来るというような状況もありますので、今後の方向性としてはやはり性の問題は産婦人科の医療機関、産婦人科の医師が主体的に関わるし、中心的に関わる。それにもちろん小児科の先生たちも一緒になって協力していくというような体制づくりが必要なのではないかと思います。
 
○種部参考人
 ありがとうございます。
 
○笠貫座長
 どうもありがとうございます。種部先生からの補足説明というか、御質問をいただいて、加藤先生にはお答えをいただきました。それでは、ただいまのお二人の先生方からの御説明等につきまして御質問、御意見をいただきたいと思います。堀委員、どうぞ。
 
○堀委員
 ありがとうございます。まずは加藤先生、現状を詳細に教えていただき、ありがとうございます。はじめまして、COMLの堀と申します。私からは、2点質問をさせていただきます。
 1点目なのですけれども、今、日本の社会においてワンストップ支援センターという言葉、そしてそれが何をしているかということの周知がどれだけあるかについてどのように思われるかをお聞きしたいのです。その周知度をもし低いと思われているのであれば、それを上げるにはどのような対策が必要なのかということを教えていただきたいと思います。
 といいますのは、実は先日、NHKの朝の情報番組で、子供を狙う性暴力という特集をしておりました。その内容なんですけれども、先ほど先生がおっしゃったことは本当にそのとおりで、身近な顔見知りの大人から性暴力を受けているケースが非常に多くなってきていること、そしてその被害者がかなり長い間そのトラウマを抱え続けて、そして悩み続けているという特集をしておりました。
 その被害者を救済する場の紹介というところで、ワンストップ支援センターを番組内で紹介いただいたのですけれども、ただ、すごく残念だったのが、そこに参加なさっている出演者の方、または視聴者の方がワンストップ支援センターという言葉自体を初めて聞いたというようなことをおっしゃっていたのが私にとってはとても衝撃的でした。ですので、まだまだこの世の中ではワンストップ支援センターという言葉を知らない方が多いのではないか。そうであれば、結局、性暴力に対して救済の場所があるということすら知らない人も多いのではないか。そのことをすごく私は心配しました。ですので、1点目はその周知度についてどう思われているかをお聞かせください。
 そして、2点目ですけれども、もしアフターピルがOTC化されて薬局で販売されたときのことを想定して質問いたします。先ほど先生がおっしゃった産婦人科への受診を勧めること、またはワンストップセンターから必要な機関へのつながりを紹介すること、そして紹介状などを書いていただくことなどがなされていることを、勉強させていただきました。
 ただし、もしOTC化がなされた場合、その薬局、薬剤師の方たちが購入に来た方が性暴力を受けているか、受けていないかということをどう判断したらいいのか。そのときに、薬局、薬剤師の方たちはどのような配慮をし、言葉かけをしたらいいのか、もしそういうことがアドバイスいただけるのであれば教えていただけたら幸いです。よろしくお願いいたします。
 
○笠貫座長
 加藤先生、お願いします。
 
○加藤参考人
 2018年に全国都道府県に1か所できたのですけれども、まだ周知ができていないというのはやはり行政の責任といいますか、周知をもっとすれば知ってもらえると思うのですが、ただ、私どものところに来られる被害の方々には何で知ったかというふうに必ず聞いているのですけれども、警察へ行って警察が連れて来られる場合も結構ありますし、児童相談所から来られる場合も多いのですけれども、やはり御自分で調べて、インターネットで性暴力、性犯罪と入れたら、大阪であればSACHICOというのは割とすぐに出てくるわけです。そういうもので知って来られるという方が結構多いです。
 普段はあまり自分には関係がないことだと思っておられるので、あまり目に留まらないのかもしれませんけれども、自分あるいは親しい方がそういう被害に遭われたときにどうしようかといった場合には、すぐに調べられるようになっていますし、共通ダイヤルというのもできておりますので、それで知ってつながっていただけたらと思います。
 ただ、やはりそうしてつながっても、病院ではありませんというところがありますので、ワンストップセンターもいろいろ工夫しておりまして、できるだけ病院に早い時間でつなげるといったようなことも考えてくれますし、夜間帯につきましては24時間やっていないところはコールセンターにつながって、コールセンターがこれは緊急を要するという判断をしたらその地域の支援センターに連絡をして早い動きをするといったシステムもかなり動いてきております。
 NHKも何回かこういうワンストップセンターとしての名前が出て放送もされているのですけれども、知らない人がまだまだ多いということですね。宣伝不足だと思います。
 それから、OTC化を進めるというのは、ありきという話になってしまうのが私はどうかとは思います。
 私どもの支援員さんは、看護師であるとか心理士であるとか、そういう人も入っていますけれども、支援員さんは特に資格がなくてもなっていただいています。それで、こういう性暴力被害についての研修を受けて、入るに当たっての実地訓練も受けて入ってもらっていますので、やはりそれはかなりの時間と、そしてそれなりの学習もしてもらって入ってもらっている状態ですので、薬剤師さんは薬については詳しいということがあって、この緊急避妊ピルの作用などについては詳しいと思うんですけれども、性暴力について、あるいは安全でない性的な行動について、どの程度深い認識を持ってもらえるかといったら、ちょっと1回、2回、研修をしていけるというふうには思いません。
 
○堀委員
 分かりました。どうもありがとうございました。私からは以上です。ありがとうございます。
 
○笠貫座長
 それでは、ほかにはございませんか。岩月委員、どうぞ。
 
○岩月委員
 今、薬剤師の名前が出ましたので、ただ、今回は緊急避妊薬を処方箋なしでどうやったら安全・安心に供給できるかという観点で議論していると思います。
 その上で今、御指摘があったワンストップ支援センターの認知度ですとか、あるいは警察が認知しているのは氷山の一角だというようなお話がありました。今回、私どもはオンライン診療に伴う緊急避妊薬の調剤に関する研修等で、ワンストップ支援センターでありますとか地域の産婦人科の先生方と連携を取ることを伝えています。OTC化になったとしても産婦人科の先生方のお仕事を全部薬剤師が担うわけではないので、御懸念はもちろんあろうかと思いますけれども、医師と連携を取ることで、より声の出しにくい方が相談できる間口を広げていけるのだろうと思います。
 したがって、認知度が低いということであるならば、やはりこういった研修はスイッチOTC化を前提とするかしないかはともかくとして必要であり、現在、オンライン診療に伴う緊急避妊薬の調剤ということで研修を進めていますから、まさに今のお話を聞いていて、これは引き続き対象者を拡大していくべきということを思った次第であります。そのことだけは付け加えをさせていただきます。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。それでは、宗林委員どうぞ。
 
○宗林委員
 宗林です。加藤先生、どうも御説明ありがとうございました。よく分かりました。
 今、ワンストップサービスなどの産婦人科医がきちんと診て処方される、されないという峻別をされること等、大変大事なことだと思います。
 ただ、それの周知度というか、数の少なさとか、ネットワークが完備されていない現状において、最初に先生が数字を計算されていらっしゃいますけれども、強制性交等の被害に遭っている方が大変多いという数からしてみると、ではワンストップサービスなどのような手厚いところに届かなかった人たちにどうすればいいのか。逆に不安を抱えながらも、不安だ、不安だと思いながら結局は感染症になってしまった、あるいは妊娠してしまった、中絶しなくちゃいけないというようなことになるのもとても悲惨なことだと思いますので、その辺りを埋めるには薬局での販売も前提とはなっていますけれども、そこでどういうようなことをカバーしていけば次のステップとしていいかということの御意見を伺いたいと思います。お願いします。
 
○笠貫座長
 加藤先生、お願いします。
 
○加藤参考人
 これを販売するとしてどうしていけばいいのかということですが、薬局とその近隣の医療機関との連携体制ですね。薬剤師さんが話を聞かれたら、ちょっと危ないなということを感じられると思うのですけれども、だけどそれをどう確認をするかとなると、やはり医療機関にいかにつなげるかということですので、医師がされている薬局、周辺の医療機関との連携体制の構築ということが実際可能なのかどうかです。
 その辺の見通しが立つのかどうか、私にはこうすればよいということはないですけれども、そういうことがなければやはり一番御本人が心配するのは、これで妊娠したらどうしようということなので、取りあえず妊娠を避けるということが済めばもう行かない。医療機関に行きなさいよというくらいでは行かない可能性があります。行く方もいると思いますし、私どものところでも開業の先生のところに行って取りあえず緊急避妊ピルをもらったけれども、その後のフォローはSACHICOでしてもらいなさいといった形で紹介をいただくケースは結構多いです。
 それがもう一段、前段階ですね。薬局の段階で把握して、そして近隣の開業医の先生のところに行って、さらに後のほうはワンストップでしたらいいよというようなことを説明してもらうとなりますと、ちょっと本人はなかなかワンストップセンターにつながるというのは実際は結構難しいかなと思ってしまいますけれども、それは議論していただくしかないかと思います。
 
○宗林委員
 分かりました。ありがとうございます。加藤先生、薬剤師さんとかとの現状でのやり取りはあまりないのでしょうか。
 
○加藤参考人
 薬剤師さんも、病院内の薬剤師とは密な連携があります。そして、緊急避妊ピルはセンターの施設の中に置いておりますので、その場で目の前で飲んでもらうということをしております。
 そして、ワンストップセンターでの費用の面も保障しようということで、初回にかかる診察費用だとか緊急避妊ピル、あるいは必要な検査などに関してはセンターでサポートするというようなことをしておりますので、そこの薬局の方とのつながりというのは現状ではないです。
 
○宗林委員
 ありがとうございます。
 
○笠貫座長
 それでは、長島委員どうぞお願いします。
 
○長島委員
 日本医師会の長島でございます。加藤先生、どうもありがとうございました。ピルさえ飲めばよいのではないということが非常によく分かる内容でございました。
 特に最も重要なのが安全・安心でない性的関係、これこそが最大の問題である。その中で予期しない妊娠というのが起こり得る。それに対する緊急避妊薬というのはあくまでも支援の一環であるので、最も重要なのが総合的、継続的な支援の一環として取り組む、あるいは避妊に失敗した状況について相談体制と診療体制の両方があることが最も望ましいということがよく分かりました。
 その観点から申しますと、例えば産婦人科などの医療機関を受診した場合にはある程度の相談、あるいは診療体制も整っていますし、その後、例えばワンストップセンターなどには非常につながりやすいということですが、一方、調剤薬局の場合はどうかという場合、もしも調剤薬局で処方される場合にはかなり高度の知識と経験が必要になるのではないかと考えられました。
 つまり、既に医療機関で診断、診察して処方されたものを処方するのとは全くレベルが違うくらいしっかりとした研修、あるいは事前に近隣の医療機関やワンストップセンターとしっかりとした信頼関係ができているということがある意味、最低条件ではないかと感じましたが、その辺りはいかがでしょうか。
 
○笠貫座長
 加藤先生、お願いします。
 
○加藤参考人
 ありがとうございます。そのとおり、私が今日お伝えしたいことをほとんど今、先生のほうから言っていただいたと思います。やはりこれはとても性に関する危機の状態の人が緊急避妊ピルを求めていくという状況が多いということが考えられますので、その状況に対する判断、支援、ケアといったものができる状況の中でないと、ピルを処方する、その場で取りあえず飲んでもらうといったことは、やはり危惧のほうが大きいなというふうに思います。
 
○長島委員
 もう一点よろしいでしょうか。心配していることの中で、日本においてはまず避妊の方法としてコンドームという方法が主体ですが、これは女性が主体的にコントロールできる避妊方法ではありません。男性にかなり依存してしまいます。
 もう一つは、包括的な性教育などが十分にされていないということで、男女の関係性の中で対等でなかったり、強要されやすいというような環境にあるということ、これが日本のある意味、特殊性ではないかと思っております。
 そのような中でスイッチOTC化されると、きちんと関係性が確立されていない男性側から、後で緊急避妊薬を飲めばいいということを悪い口実にされてしまって、そこの中で適切な避妊がされないような、いわば安心・安全でない関係が増えてしまうのではないかという心配がございますが、その辺りはいかがでしょうか。
 
○笠貫座長
 加藤先生。
 
○加藤参考人
 本当にそのとおりです。ひどい場合は、どこで手に入れたのか、持っている緊急避妊ピルを、これを飲んでおけというような感じで渡されたり、口の中に入れられたりというような形で飲まされて、嫌な性交だったけれども取りあえずそれで妊娠は避けられるかというふうに思ってしまっているようなケースもあります。
 それで、コンドームは避妊という意味では確かに不安な要素が大きいのですが、性病を予防するという意味ではとても必要なものです。ですので、完全な避妊のためのピルを使う。それはピルを使うための知識と、それから認識といいますか、自分の性に関する認識というものが出てこないと、きっちりとピルを飲む生活をするということにはならない。それ自身も、やはり医療機関のかかりつけの医師との相談の中で決めていくといったようなことができないと、ピルを日常的に飲むということにはならないと思います。
 それから、もう一つは若い世代にどこまで日常的にピルを飲む生活というものを浸透させていくのか。これもまた議論のあるところだと私は思っております。そういう意味で、あるかないか分からないような性的な行為のために日常的にピルを飲んでおく。別に生理が非常に重いというわけでもないのにピルを飲むという生活もどうかと思いますので、やはりまだ日本の場合は当面はコンドームによる避妊、あるいはコンドームによる性感染症の予防というのは大事だという形で残っていくと思います。
 それから、対パートナーとの関係ですね。これは本当に大事な問題で、まだまだ強姦神話のような13歳、14歳の子が、相手が要求するからそれを拒否したら嫌われるみたいな感じで関係を受け入れるといったような対等な関係でない付き合い方をしているケースが結構多いです。そういったことは本当に性教育、人権教育、あるいは男女の人権教育ですね。そういったものの中でしか養っていけるものではない。それから、社会全体が女性と男性の対等な関係性というものをしっかりつくっていくといったことの中でないと、なかなか実現できるものではありません。
 だから、それはもちろん並行して求めていくとしましても、今、問題となっている緊急避妊ピルに関しては、やはりそのリスク、現状の状況を認識する中でOTC化を進めることのリスクというものをぜひお考えいただきたいと思います。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。では、黒川委員お願いします。
 
○黒川委員
 ありがとうございます。加藤先生、御報告ありがとうございました。日本の性暴力の現状における極めて深刻な状況を数字とともに御説明でお示しいただきまして、本当に何とかしなければいけないというような気持ちを新たにしたところでございます。
 そこで、私がちょっと申し上げたいこととしては、先生の資料で8ページ目です。要するに、認知しているとか、そういうような形は5%程度で、残りの95%の被害者は誰が支援するのかということで、そのための相談機関がない、根拠法がない。先生のお話では、一人で悩んでいるというような状況だということでした。
 一方で、6ページに戻りますと、1年間に6万人から7万人の女性が強制性交等の被害に遭っているという御指摘もございます。簡単な計算になりますと、1日で180人ですね。それで、10人程度だけがどこかに駆け込むところができ、残りの約170人は今でも毎日悩んでいる。それで、行く場所としてのワンストップ支援センターというのは極めて数が少ない。これが暴力の実態だということを私はここから酌み取りました。
 それで、これに対しては社会全体が何とかしなければいけない急ぎの問題だということではないかと思います。それで、今このままもちろん緊急避妊薬を社会に置くべきかどうか、要するにOTCとしてということを議論するわけでございますけれども、こういう現実の前に岩月先生が、自分たち薬剤師はできます、研修を受けますというようなお話をされ、実際に産婦人科の先生をお招きして研修もやっておられるというわけでございます。こういう実態の前に、今、苦しんでいる人を助けるために、社会全体の一つの仕組みの強化としてこのツールを社会に持ち込むことは、私は決して悪いことではない、していけないことではないと思います。
 むしろ心配している人が皆、力を寄せ合ってできることを重ねていくことが一番重要であって、ちょっと待てよ、自分たちが頑張る。もちろんその使命感もあってこその今日でありますけれども、もう少し広げて仕組みとして頑健なものとし、1日180人、今は残りの約170人でしょうか。そういった人たちのことを支援することのほうがよほど重要ではないかと思います。以上です。ありがとうございました。
 
○笠貫座長
 ありがとうございました。渡邊先生、お願いします。
 
○渡邊委員
 黒川先生、そのほかの先生からもすばらしい御意見をいただきましてありがとうございます。
 薬剤師として実際に店頭にいまして、私たちは緊急避妊薬と言うのですが、普通に海外の方々が緊急避妊薬をOTCとしてお求めになってくるのですが、まだ日本では販売できないのだということをお話しして、婦人科のほうを受診するようにお勧めしています。
 それで、確かに望まない強制性交の問題もありますが、ピルは緊急避妊薬という日本の名前ですけれども、普通に72時間以内に対処したいという方々はいっぱいいるんです。そこのところで、きちんと私たち薬剤師が勉強をしてそれに対応できるように、私も薬剤師に対して今どういう状況の扱われ方をしているのかというのを伝えております。毎年のように講習会もしておりまして、取扱いができる。
 ただし、オンラインの状況ですけれども、オンラインできた場合に取扱いができる薬局というところで、厚生労働省のほうに薬局名も載せております。
 そういう中で、ちゃんと正しい情報が全部伝わっていきながら、警察とも協力しながらワンストップ支援センターのほうにも強制性交があった場合には連絡を取りながら、手を携えてやっていくということがとても大切なのではないかと思います。
 はっきり言いますと、コンドームで女性は守れません。自分たちがやはり主体的にきちんと性をコントロールできるというのが女性の意思ですので、そこのところはぜひ分かっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。それでは、宮園委員お願いします。
 
○宮園委員
 宮園です。ありがとうございます。加藤先生からのお話のワンストップセンターは非常に大切で、性暴力に遭った方たちをとても効果的に支援できる窓口なんだということがよく分かりました。
 それで、その非常に大事な機関が各県に1つということで、私は今、地方に住んでいますので、地方の消費者ということで考えますと、各県に1つだと地方であれば72時間というタイムリミットの中でワンストップセンターに行くのは交通網の発達してきた都会に比べると物すごくハードルが高いんです。
 そういった中で、地方の私がこの会議に参加しているように、オンライン等を使って、より身近に、最後は薬自体は手渡しになると思うのですが、そういうセンターに行ける距離ではない地方にいる、郡部にいるような若い高校生たち、そういう人たちをどうにかオンラインでも使って支援していく。そういった動きは今後可能なのでしょうか。もし可能であれば、救われる方も随分出てくるのではないかと思いましてお尋ねいたします。
 
○笠貫座長
 加藤先生、お答えいただけますか。
 
○加藤参考人
 今、十分はできないですけれども、最後は手渡しということをおっしゃったように思いますが、相談をオンラインでするということはできると思います。それはワンストップセンターでのやり方というのもあるかもしれないし、薬局でもそういうこともあるかもしれない。
 ただ、最後は手渡しということは、結局は本人が行かなければならないということですね。それがあるということになれば、ワンストップセンターも1つの県に1か所、長野県などは4か所つくっています。そういうところと、薬局の数がもっと多いということなのかもしれませんけれども、そんなに変わらないのではないか。最後は手渡しというのは、郵送してもオーケーなどという便利さは使わないわけでしょう。
 
○笠貫座長
 それぞれ各都道府県、地域での違いがあるかもしれませんが、そういったことも含めまして、加藤先生にお聞きしたいことはたくさんあると思います。今回ワンストップ支援センターは初めてのテーマですが、性暴力の問題が、先ほど黒川委員からも御指摘にありましたように、日本の社会的な重要課題になっているからこそ、男女共同参画の中で取り上げられた大きな社会問題だと思います。
 5人挙手いただいているのですが、この問題については本日の論点のところでまた議論をしていただくことにして、今日の大事なテーマに先に進ませていただきたいと思います。
 それでは、資料3にやっと入るところなのですが、資料3-1と、それから2というのも今日の議論のテーマとして非常に大事なことでありますので、そこに先に進みたいと思います。
 「緊急避妊薬に関する海外実態調査報告書への意見」、それから「緊急避妊薬に関する海外実態調査報告書への意見のうち、追加調査の必要性や報告書の修正に関する意見への対応状況」、別添資料の「緊急避妊薬供給体制に関する保険薬局実態調査結果」、ここまでの御説明を事務局からお願いします。
 
○事務局
 事務局でございます。資料3-1、29ページを御覧ください。前回3月の検討会議におきまして、海外の実態調査の報告をさせていただいたところでございます。こちらの資料3-1は、3月の検討会議の後に構成員の先生方からいただいた緊急避妊薬に関する海外実態調査報告書に対する意見をまとめたものでございます。各委員からのコメントをかいつまんで御紹介をさせていただきます。
 まず、上村構成員のコメントでございます。
・本検討会議の役割はOTC化するためにクリアしなければならない要件と、そのクリア方法を提示すること。
・海外調査の対象7か国の選択方法は妥当である。
・OTC化した際には、緊急対応できる産婦人科医院と薬局の一覧表を作成する必要があるのではないか。
・薬局と医療機関との連携が必要であるであろう。
・性教育に関しましては小学生からの本質的な性教育が必須だと思う。
とコメントをいただいております。
 黒川構成員からのコメントでございます。
・海外実態調査の結果は、緊急避妊薬をOTC化しても安全性をはじめ、社会的にも特段の問題がないことを示すものであった。
・本日の資料の4に記載がございます課題につきましては、この調査結果により解決されると考えられる。
・国内において緊急避妊薬のOTC化を妨げるような根拠はこの海外調査からは見受けられていない。
といったコメントをいただいております。
 続きまして、佐藤構成員のコメントでございます。
・処方箋なしで入手できるようにしている国が多いが、手法は様々で、各国がそれぞれの制度や環境に基づいて工夫していることが分かった。
・平時の避妊に誘導すべきなので、各国の平時の避妊に関する費用が知りたい。
といったコメントをいただいております。
 長島構成員からは、
・きちんと環境整備をすることが重要であり、各国の調査もしっかりと行う必要がある。
というコメントの下に、いくつか要望をいただいてございます。
・報告書の文章がずさんであるため、各委員の意見及び厚労省内のチェックを踏まえ、正式なバージョンとしてほしい。客観性、中立性のチェックもやってほしい。
・概要も併せて修正をしてもらいたい。
・各国の薬局や薬剤師の職能についての情報収集もお願いしたい。
といったコメントをいただいてございます。
 このほかにも、報告書の表現等に係る指摘も多数いただいてございまして、詳細は資料の3-2のほうに記載してございます。後ほど御説明をさせていただきます。
 続きまして、堀構成員のコメントでございます。
・海外の状況を踏まえ、購入の際の最初の窓口が近隣の薬局になり、かつプライバシーの保護が守られながら健康相談ができるのであれば、緊急避妊薬のスイッチOTC化をきっかけに、かかりつけ薬局が国民のより身近な存在になり、地域のハブになっていくことを期待したい。
・国によるお薬手帳のデジタル化を図ることを検討してほしい。それにより、転売や濫用をチェックできるのでは。
・産婦人科医が女性患者や男性に知ってもらいたい知識は何なのか教えてほしい。
・スイッチOTC化された場合、国民が購入前に知っておかなければならない知識や薬剤師に伝えなければならない情報の内容を購入者自身が理解し、かつ正しく伝える伝え方も知るべきである。
・虐待や性暴力自体を根絶するためにも、プライバシーが守られ、安心して性について相談でき、かつ正しい性の知識を得ることができる場を社会においてつくることも必要。
・緊急避妊薬のスイッチOTC化は女性の社会における生き方を変える大きな起点になるのではないか。
といったコメントをいただいてございます。
 その下、松野構成員のコメントでございます。
・転売の可能性、性感染症リスクの拡大の可能性、確実な避妊法使用の減少に対する各国の状況が分かれば議論が進むと考える。
として、それぞれ具体的なコメントをいただいているところでございます。
 湯浅構成員のコメントでございます。
・日本の性教育の方針は、2018年の「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」に準拠しておらず、日本の性教育の在り方全般について、海外の状況を参考に再検討すべきときにきている。
・緊急避妊薬としてOTC化された場合、これに対応できる薬局、薬剤師がどの程度いるのか、休日・夜間の対応が可能であるかも含め、薬剤師会等による詳細な調査を希望する。緊急避妊薬のOTC化については、多くの薬局が各地域一律に幅広く取り組む必要があると考える。
といったコメントと併せまして、産婦人科医会のアンケート調査に関するコメントもいただいておりまして、最後に、
・緊急避妊薬のOTC化については現状ではハードルが高いと思うが、各ステークホルダーが力を合わせてこの問題に取り組むことが望まれる。産婦人科医会の調査の条件つき要件の内容について、解決可能なものと現状困難なものとに分け、議論を進めるのも一法と考える。
といただいております。
 
 続きまして、資料3-2の34ページを御覧ください。この資料は今、御紹介いたしました資料3-1の御意見のうち、報告書の修正や追加調査の必要性に関する御意見をまとめたものでございます。34ページと35ページは追加調査に係る御意見、36ページから39ページは報告書の修正に係る御指摘となります。
 報告書の修正に関しましては、36ページから39ページにお示ししたとおりに御指摘を踏まえまして報告書の修正をしているところでございます。なお、報告書につきましては、本日の参考資料としております。
 34ページに戻っていただきまして、追加調査に係る御指摘について簡単に御紹介をいたします。先ほどと重複するところもありますけれども、1番目は平時の避妊に誘導すべきなので各国の平時の避妊に関する費用を知りたいというものです。2から4番目につきましては各国の薬剤師の職能に関するさらなる情報が必要であるということ、5番につきましては宗教信仰や文化に係るより詳細な情報、6番は転売に関する情報、7番と8番は性感染症との関連や他の避妊方法との関連情報の必要性に関するものでございます。最後の9番につきましては、緊急避妊薬としてOTC化された場合、これに対応できる薬局・薬剤師がどの程度いるのか、休日・夜間の対応が可能であるかも含め、薬剤師会等による詳細な調査を希望するというものでございます。
 今、申し上げました1番から9番の御指摘、御意見に関しまして、現状、今回の海外調査におきましてはそれぞれの項目について情報を入手することができなかったという状況でございます。
 なお、9番に関しましては薬剤師会等による調査ではございませんが、今回、全国の健康サポート薬局・地域連携薬局及び関東地区の保険薬局を対象とした調査結果が公表されたものがございましたので、参考までに別添資料としております。これによりますと、調査の対象とした薬局の半数が緊急避妊薬の服薬指導、ケアに関して24時間相談応需、対応が可能という回答があったという結果でございました。
 この調査につきましては、回収率が17%とかなり低いこともございますし、中身を御覧いただきますと、「オンライン服薬指導」と「オンライン診療に伴う緊急避妊薬の調剤に関する研修」を同列に扱った調査項目があったり、また「オンライン診療に伴う緊急避妊薬の調剤に関する研修」のことを「オンライン服薬指導の研修」というように記載しているところもございまして、内容といたしまして誤解を生ずるような記載もあるというところでございますけれども、全国を対象とした調査で24時間対応に係る情報がございましたことから、9番目の御指摘の内容に対しての答えは十分ではないところではございますが、こういう調査結果があったということで、参考までに正式な資料とは別という形で別添資料としてお示しした次第でございます。
 資料3-1、3-2の説明は以上でございます。
 
○笠貫座長
 どうもありがとうございました。それでは、今の御説明についての御質問、御意見ということでお願いします。
 
○岩月委員
 薬剤師会の岩月でございます。今、説明をいただきましたけれども、9番の薬局・薬剤師に関して薬剤師会等による詳細な調査を希望するという指摘に対し、Healthy Aging Projects For Women及び日本家族計画協会における供給体制の調査結果が示されていますが、本会は厚労省から調査の実施について御相談を受けておりませんので、どういう趣旨でこの資料を出されたのかというのが全く不明であります。
 しかも、今、御説明がありましたけれども、誤解といいますか、言葉の使い方に関しても少し疑念を持つような内容もあるとのことで、なぜこういった資料が出てきたのか。この方々は本検討会の参考人でも構成員でもないわけでありますから、なぜこの資料をここに出されたのか。ここに出されたのは厚労省側ですので、ぜひ御説明をいただきたいところであります。
 
○笠貫座長
 では、事務局お願いします。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 先ほど説明しましたとおり、いろいろ問題といいましょうか、回収率とかいろいろあるのかもしれません。いろんな調査については前回薬剤師会さんのほうから出していただいたものがあったわけですが、それで十分ではなかったといいますか、それを超えてまたいろいろな情報がないのかということが求められましたので、我々が頼んだ資料でもありませんし、きちんと評価をできる資料かどうかはちょっと問題があるかもしれませんが、委員のほうからリクエストがあった情報の部分が一部ありますし、かつ全国レベルでやっている内容、さらには厚生労働記者会のほうで記者発表もされている情報でもありましたので、一つの公表情報ということで、議論の参考に資する資料ではないかということで出させていただいたということです。
 ですから、この資料についても先ほどの繰り返しになりますけれども、あくまでも参考までにということでございますので、そのレベルで御覧いただければと思っております。
 
○岩月委員
 御説明をいただきましたけれども、参考資料であるならばこの会議資料の中にこういった名称を載せて、しかも参考資料ということであれば、別添資料というような形で書き込む必要があったのかと考えます。
 繰り返しになりますけれども、薬剤師会に御相談は一切なかった話でありますので、このことに関して薬剤師会等に詳細な調査を希望すると書いてありますから、この文章でもってこのことが回答で書いてあれば、薬剤師会がこの調査に何らかの形で関与しているという誤認を受けかねないというふうに認識しております。
 したがいまして、この資料に関しましてはぜひお取下げをいただきたいと考えます。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 繰り返しになりますけれども、「薬剤師会等による」と「等」というのがありますので、その辺りは読めなくはないかもしれませんが、ただ、一方で薬剤師会の調査ではないというのは確かだと思いますので、そういう意味では並べると誤解を招くということであれば表現ぶり等々については検討させていただければと思います。
 
○岩月委員
 表現ぶりといいますか、ここに本日資料で載ってしまっていますので、これについては少なくとも調査そのものを否定はいたしませんけれども、本会議の資料の中にこういった回答が書いてあるということについてはぜひ削除をお願いしたいと思います。
 調査全体の中から、ここの数字は取り出して使います。でも、ほかのところは事実誤認があるので使いませんというのは、資料全体としての正当性に著しく私は欠けると思いますけれども、その資料をなぜわざわざこういった形で本会議資料に出すのか、全く意味が分からないということを申し上げていますので、ぜひお取下げをいただきたいと考えます。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 では、扱いについては検討させていただきます。ただ、本日の議論に資する情報も入っているかとは思いましたので、繰り返しになりますが、情報として出させていただいたということでございます。
 
○笠貫座長
 黒川委員、どうぞ。
 
○黒川委員
 黒川です。私はこういった調査研究資料の読み方について、これまで受けてきたトレーニングでは、その質ですね。岩月先生から御指摘のあったように、レスポンス・レートが重要な回答率というのは、残りの人がちょっと傾けば結果がひっくり返ってしまうんですね。
 それから、もう既にお話はありましたが、客体がちょっとごちゃごちゃになっていますね。健康サポート薬局とか地域連携薬局を一緒の中に入れているわけです。ですので、こういうたたずまいで何を代表できるのかというところを御説明いただければ一番いいのでしょうけれども、ちょっと私は疑問に思いました。そこのところは事務局のほうでそういったトレーニングを受けているでしょうから、岩月先生の御指摘を待つまでもなく、吟味をして見てもらうことが重要です。
 それで、私はたまたまそういうトレーニングを受けていますから、そういう批判的な目で見ます。ところが、構成員の先生はトレーニングを受けている皆様ばかりではないと思います。ですので、これが十分に日本の薬剤師の実態を代表しているのではないかと思われる危険性を十分理解して、その上で御判断いただければと思います。以上です。
 
○笠貫座長
 この件につきましては9番で「薬剤師会等による詳細な調査を希望する」という、これを取り上げるならば、むしろ薬剤師会に正式にお願いして資料を出していただく。17%もそうですが、12月15日から25日までの調査期間なので非常に短いということもあって、この内容について議論することよりも、9番では調査をお願いできるかどうかを岩月委員にお聞きしたほうがよろしいかなと思います。岩月委員、いかがですか。
 
○岩月委員
 前回、私ども7都府県で調査をした回答をさせていただきましたけれども、全国的にこういった調査が必要であるということでこの検討会で御判断をいただければ、当然調査することにやぶさかではありません。
 ただ、今までの本検討会で、事前にどれだけの薬局が必要なのかというような議論をしたことは多分ないはずであります。しかも、例えばスイッチ化してOTCだけになる場合や、医療機関が今までどおりに処方箋を発行したり、院内投薬をされたりと、どういう形態で緊急避妊薬のアクセス機会を増やすのかという結論も出ていない。数を示せと言われるのは、必要ではないとは申し上げませんけれども、多分、話の順番が違うだろうと思います。
 その上で、もしそうであるならば、今の実態はどうなのか。どれくらいの緊急避妊薬が処方されていて、あるいは投薬されていて、それが例えば夜間のことで言うならば、全国の産婦人科の先生方が時間外ですとか、そういった休日にどれだけの対応をしていらっしゃって、もし薬局も担うとすればどういう体制が必要なのかというような形で議論をしていただくことが私は筋だろうと思います。
 したがいまして、そういう前提もないのに調査をしてどうなのだというふうに言われると、そこは少しまたお時間をいただかないと対応ができないのかなと考えております。以上です。
 
○笠貫座長
 実態ということは非常に大事な話だとは思います。それを含めて、希望するという9番の御意見に対して、何を薬剤師会が調査をするかという内容も含めて薬剤師会のほうで検討していただくということにさせていただきたいと思います。
 平野委員、お願いします。
 
○平野委員
 岩月先生がおっしゃっていたとおり、現状OTC化が認められていない状況で何を準備すればいいのかということの明確の定義がないままにその調査をしてみても、意味がないとは言いませんけれども、あまり前向きな話ではないのだろうと思います。
 むしろ議論の中心はOTC化をするために、OTCといってもいろいろな段階があるのはおっしゃったとおりなのですが、それぞれの場合どんな体制がつくられなければいけないのか、どうすれば女性が守られるのか、それを先に決めていただければ日本チェーンドラッグストア協会としても薬剤師会と協力させていただいて、一刻も早くその体制をつくるということに力を入れたいと思います。以上でございます。
 
○笠貫座長
 長島委員、どうぞ。
 
○長島委員
 まず現状の課題を把握した上で、それの解決策を考えるというのが本来の目的ですから、まず現状の把握はしていただく必要があるかと思いますし、どのような調査内容にするかについては、例えば今回の加藤先生のいろいろな御発表も踏まえてぜひ各委員からの御意見を集めていただいて、それは後ほどで結構ですから、それも参考にしていただいて調査していただくというのがよろしいかと思います。以上です。
 
○笠貫座長
 宇佐美委員、どうぞ。
 
○宇佐美委員
 本日は、加藤先生にご説明いただきましたが、私は業界の代表ということではなく、一般的なことしか申し上げられませんが、ご説明の中で性暴力の被害に悩み、も困っていらっしゃる方がいる。
 また、先ほど日本女性薬剤師会の渡邊さんからも、それとは違った意味で困っている患者さんがいらっしゃるということを聞くと、今こうしている時間も困っていらっしゃる女性がいるんだろうなという感じがいたします。
 本会に医薬品委員会というのがございます。そこで少し意見を聞きましたので、その辺りから簡単に申し上げます。被害にあわれた方は早期に対応する必要があり、本剤を72時間以内に服用する。とにかく問題が発生したときからの3日間はあっという間に過ぎてしまうだろう。極力、OTC化の際にはあまり煩雑な制限は不要と考えます。
 それで質問でございますが、現在オンライン診療で本剤を処方されている比率がどれぐらいあるのか、もし分かればお伺いしたい。対面診療を推奨していますということで、頻度は少ないのかもしれませんけれども、ある程度の比率でオンライン処方であればオンライン出張後において処方後の経過指導等ができたのかどうか、その辺が分かれば判断材料になるかと思います。
 また、OTCの薬剤師の指導及び婦人科の先生方にも推奨・賛成していただくことは当然必要である。指導薬剤師不足については、ウェブ講習を薬剤師の先生方にも多く受けていただき、薬局でも指導が受けられれば、本剤を購入する際にも煩雑な制限のないようにしなければならない。そういう方向に進むのではないか。
 店舗制限とか、いろいろな制限があるということも伺っています。そうなれば、今の岩月委員のお話もそうですけれども、店舗の問題があればインターネット販売とか、早急に渡せるような形のことを考える必要もあるのではないか。
 私からの発言は以上でございます。よろしくお願いいたします。
 
○笠貫座長
 それぞれのステークホルダーの方々にとって今日の加藤先生のお話は大きなインパクトがありました。それを踏まえて、それぞれの役割といいますか、前向に何をなすべきかを考えていかなければいけないかという宿題を課せられました。これからの議論も踏まえた上でさらに考えていただきたいと思います。それではここで本格的な議論に入りたいと思います。これが進まないと、またパブリックコメントも難しいということになってしまいますので、よろしく御協力をお願いしたいと思います。
 それでは、論点ごとに意見交換ができればと思います。その中で、先ほど御意見が出されなかったワンストップセンターについても含まれてくると思いますので、そこでも意見を出していただいて結構だと思います。限られた時間ですので、早速論点ごとの意見交換に入っていただきたいと思います。
 それでは、事務局のほうから論点をお願いします。
 
○事務局
 事務局から御説明いたします。40ページの資料4を御覧ください。こちらは、2017年の評価検討会議でスイッチOTC化する上で課題とされた点に関しまして、昨年10月、本年3月の会議資料や各構成員の方からの主な御意見、海外調査結果などから得られました情報を課題ごとに取りまとめた資料となります。各ページの四角で囲まれた部分が、2017年の検討結果で課題という形で示されたものとなってございます。
 まず1つ目でございますけれども、2017年の検討におきましては、緊急避妊薬の使用後に避妊の正否を判断することは困難であることが課題として挙げられておりました。こちらにつきましては【調査結果等】のところでございますけれども、WHOによりますと、若い女性も成人女性もラベル表示と説明書から容易に理解できるとされており、また、月経の遅れなど妊娠したかもしれない、継続的な避妊を始めるときには再来院を勧めるよう伝えることとされてございます。また、海外調査結果におきましても、調査の対象国では、服用後の来院規定はございませんでしたが、妊娠の兆候があった場合に、妊娠検査薬の使用や病院を受診することが記載されているところでございました。
 続きまして、41ページにまいります。こちらは、性教育や使用者のリテラシーに関する課題でございます。本邦におきましては欧米と異なりまして、医薬品による避妊を含め、性教育が遅れていること、避妊薬に関する使⽤者自身のリテラシーが不⼗分であることが課題として挙げられておりました。
 現状といたしましては、日本の性教育は海外で採用されておりますUNESCOの「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」に準拠していないとされてございます。海外調査の対象国では包括的性教育が実施され、小中学生から避妊方法、関係性に関する教育が行われています。日本では、今年度のある高校の教科書におきましては、コンドームの使用や緊急避妊薬も取り扱われているというものもございます。また、文部科学省におきましては生命(いのち)の安全教育が始まっているというところでございます。
 続きまして、42ページを御覧ください。これまでにいただいている意見といたしましては、日本の性教育では特に関係性の教育が圧倒的に不足している、包括的性教育が行われていることが望まれるといった意見をいただいております。また、生命(いのち)の安全教育に期待しているとのコメントもいただいております。OTC化により、確実な避妊法の普及が滞ることなどが懸念点として挙げられています。また、性教育の進め方については、OTC化と同時並行で義務教育からの性教育の見直しを望む意見、性暴力や関係性に加え、望まない妊娠をしてしまって避妊ができなかったときにどういうことが起こるのかということも、中学や高校で指導をいただきたいという御意見をいただいてございます。
 43ページにまいりまして、大学生や成人に対して正しい避妊方法やその他の持つべき情報を与える機会がないといった御意見や、それに関連しまして成人への情報提供の方策の御提案もいただいております。
 続きまして、44ページを御覧ください。薬剤師の専門的知識及び販売制度に関する指摘になります。薬剤師が緊急避妊に関する専門的知識を身につける必要があること、販売の仕組みとしてBPCなどの仕組みが創設できないか、要指導医薬品として継続できる制度が必要であると指摘されておりました。
 薬剤師の専門的知識に関しましては、海外調査の結果やWHOの情報によりますと、OTCで販売されている国は19か国、BPCで販売されている国は76か国あり、海外調査からはイギリス、ドイツ、フィンランドでは販売に薬剤師の関与が必要とされ、ガイドライン等で推奨事項や提供方法が示されているというものでございます。
 45ページにまいりまして、国内の状況でございますけれども、令和3年12月末時点で約1万人の薬剤師が研修を修了しているという状況である。また、限られた調剤実績ではございますが、適切に緊急避妊薬を提供することは可能であった。また、ワンストップ支援センターとの連携を含む薬局の体制整備に係る課題も見られているという状況でございます。
 また、いただいている意見といたしましては、自動的にインターネット販売に移行することが問題となる可能性がある、研修を受けた薬剤師が関与することが必要との御意見をいただいております。販売方法としては、面前での1錠服用、産婦人科医への受診につながる仕組みが欲しいとの意見もいただいております。また、薬剤師の体制として不十分であるとの御意見もございました。
 次に、46ページを御覧ください。こちらは、悪用、濫用等に関する懸念という課題になります。
 海外調査におきましては報道ベースの情報にはなりますけれども、欧米の調査対象国では悪用や濫用等に関する報道が見当たりませんでしたが、日本では医療用薬品の転売による逮捕、インドでは若年層の女性が頻回服用していることなどが報道されています。
 また、海外調査結果からの情報によりますと、情報は限定的ではあるものの、緊急避妊薬のOTC化やその販売方法が性感染症の発症や中絶件数に相関している様子は見受けられませんでした。また、韓国ではOTC化が検討されたものの、産婦人科医や宗教団体からの批判を踏まえ、性行為に対する社会的関与の高まりのおそれがあること等から無期限の処方薬とされております。一番下の矢羽根の部分でございますけれども、産婦人科医へのアンケート調査の結果、転売や性暴力への悪用に関する具体的事例が報告されております。
 インターネット販売につきましては、各国の規定に準じて行われているという状況でございます。なお、海外のインターネット販売は処方箋薬を取り扱っている国もあり、ドイツで実態としては緊急避妊薬はインターネット販売をされていない、イギリスではできるだけ早く薬局で対面相談する、病院を受診することが推奨されるなど、各国で異なっている状況でございました。
 続きまして、47ページを御覧ください。これまでにいただいている御意見といたしましては、対面での1錠服用が多くの人の理解が得られると思うという御意見、インターネット販売は情報の制限や緊急性がある場合に問題があるとの御意見をいただいております。一方、対面でできないから駄目だということだけでなく、インターネット販売ならばどのような環境整備をすれば可能なのか議論することが重要といった御意見もいただいております。
 続きまして、48ページを御覧ください。2017年当時の状況でございますけれども、国民の認知度が低いことについて課題点として挙げられていました。
 海外調査によりますと、オンライン調査では9割以上の人が知っており、多くの人に認知されているという状況でございました。なお、韓国では無期限の処方薬としている理由の一つとして、一般的に緊急避妊薬が知られていないということが挙げられておりました。
 また、富山県の事例といたしまして、性教育の結果、中学を卒業するときには全員が緊急避妊薬を知っているという状況であるという御意見もいただいているところでございます。
 また、49ページを御覧ください。次の課題でございますけれども、こちらはメンタル面でのフォローが重要であり、産婦人科医を受診し、メンタル面でのアドバイスができるような体制を構築することが重要であるといった課題となっております。
 海外調査の結果におきましては、販売後のフォローアップ及び医師の関与の必要性は妊娠の傾向がない限り示されてはおりませんでしたが、これまでの意見といたしまして、緊急避妊薬を処方するときに一緒にピルを処方している、DVが繰り返される可能性がある場合に他の避妊も勧めていること等を踏まえますと、医療機関との連携は非常に重要であり、産婦人科受診を勧奨することがいいのではないかとの御意見をいただいております。また、日本では性暴力ワンストップセンターの数が限られていることから、OTC化された際に連携が行われるのか懸念するといった御意見もいただいております。
 また、50ページ以降につきましては、2017年に挙げられた課題には直接関与しない意見についてまとめております。
 まず適正使用の観点でございますけれども、日本での導入時には年齢制限、本人確認が必要かどうかという御意見ですとか、日本では性交同意年齢と医療同意年齢が異なることに関する御意見、OTC化されている国を見ると、いずれの国においても販売について規制が強化されておらず、アクセスが改善する方向で動いている、薬剤師が管理して使用されている状況であれば、濫用、悪用が社会的な問題にはなっていないと言えるといった御意見もいただいております。
 その下の販売体制、OTC医薬品を取り巻く環境という点でございますけれども、販売アクセスを上げるという意味ではOTC化は非常にいい方法ではあるが、深夜に受診するケース等について担い切れるのかといった御意見、薬剤師の地域における性暴力や性教育への関与は非常に弱い部分があるといった御意見もいただいております。
 51ページには、本検討会会議での検討の進め方に係る御意見もいただいておりましたので、それをまとめているところでございます。
 以上が資料4の説明でございますけれども、これらを踏まえまして2017年に挙げられていた課題点に沿って現状の課題点の整理、その対応策等について御議論いただければと考えております。資料4に関する説明は以上になります。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。これまで議論されてきた項目についておまとめをいただきました。
 このパブリックコメントをいただく前に、皆さんにはここでの論点のことについては御意見をいただいているとは思うのですが、各論点について議論をもう少し深めたほうがいいという点について御質問、御意見をいただけたらと思います。
 項目ごとにしてもいいですが、皆様から必要な論点のところを挙げていただいて、御自由に挙手をお願いします。
 長島委員どうぞ。
 
○長島委員
 最初に40ページの「OTCとなった際は、緊急避妊薬の使用後に避妊に成功したか、失敗したかを含めて~」という項目でWHOの記載が引用してありますが、そもそも日本のような国に対してもそれがそのまま同じように言えるのかどうかというところについて、できれば一回、学会と専門家の御見解を聞かせていただければと思います。以上です。
 
○笠貫座長
 種部委員、どうぞ。
 
○種部参考人
 ありがとうございます。WHOは各国の状況の全てを平均しているようなものだったりというところなので、日本に対してということではないというふうに思います。
 今、私もその点をちょっと質問しようと思っていました。WHOの説明書から緊急避妊薬の使用について容易に理解できるというのは、服薬については理解できる状況ということかもしれませんけれども、妊娠の兆候があるとか、あるいは継続的な避妊を始めたいというときは、そもそもそれを知らないといけないわけでありますが、日本においては中学校で性交は教えないということになっています。避妊も中絶も中学生には教えません。
 その状況で、中学生とか若い子たちですね。その辺に対しての安全性、安全装置があるとはちょっと言える状況ではないというところで、海外との大きな違いがあるというふうに考えています。お答えとしては以上です。質問ではないですけれども。
 
○笠貫座長
 性教育の話と関係してくると思いますが、この点について特に御意見ございますか。では、種部委員、続いてどうぞ。
 
○種部参考人
 このページから順番に一つずつ進めていくということでよろしいですか。
 
○笠貫座長
 その方がやりやすいようでしたら、どうぞ。
 
○種部参考人
 全体ではなくて、ここからということですね。
 
○笠貫座長
 あと1時間ですから、論点の多いところから始めようかと思いますが、どうぞ。
 
○種部参考人
 分かりました。矢羽根の上の2つのところは今のお話だったと思うのですけれども、3つ目についてイギリス、ドイツ、フィンランド、アメリカ、インドなどで妊娠の兆候があった場合に相談を促しているということなのですが、この年代で既に若年の避妊として推奨される経口避妊薬について学んでいる状況だというふうに思います。ですから、若い年代であっても安全性というのは確保されているんだと思います。
 1ページ進めていただいて、これと関連するのでちょっとお聞きしたいと思っておりました。41ページに、文科省から前回の会議のときにあったお話だと思うんですけれども、日本では再来年から高校の教科書で緊急避妊薬もコラムの中で取り扱っているということでした。これは中学生にも教えていただけるということでしょうか。現状では中学生は性交を学ばないことになっています。性交ということを教えていない、妊娠も中絶も教えていない、妊娠の経過を取り扱わないものとされているという状況の中で、高校生からではなくてむしろ一番受診しにくい中学生などには安全確保ができているということの理解にはならないと思います。
 その後に、生命(いのち)の安全教育というのがありますが、モデルとして手引をつくられている中身を見たのですけれども、これについてもやはり学習指導要領が基本になっているので、この中で性交、あるいは性交すれば妊娠すること、妊娠の兆候を含む妊娠の経過、緊急避妊というのを中学生に教える内容になっているのかどうかということを逆に聞きたいと思っておりました。
 
○笠貫座長
 使用者のリテラシーの話は、各論点に関わってきているところですが、確かにこの生命(いのち)の安全教育と、海外で言われている性教育とどこが違うのかというのは、明確にはなっていなかったと思いますので、この点についてお答えをいただくようお願いします。
 宗林委員どうぞ。
 
○宗林委員
 ありがとうございます。どのページとかという形ではないのですが、私はこの議論の全体を見まして結局、予期せぬ妊娠、それから強制性交などによる妊娠というものをやはり減らしていかなければならない。被害者となって不安を抱き続けたり、または妊娠してしまい中絶というようなことのリテラシーも含めてですけれども、避けていくというようなことが最終的な目的だと思っています。
 それで、今日、加藤先生のお話にもありましたように、当然、診察を受けて、中にはその処方をしなくてそのままでも大丈夫な例も見分けられるということも分かりましたので、そういったことも含めますと、産婦人科での診察を受けるということはとても大事なことだし、よいことだとは思いますが、ただ、ワンストップサービスだけではなくて産婦人科を含めましても、その診察を受けるということ自体が若い女子に対しましてはハードルが高いというようなことも考えますと、やはりそれをもう少し補完する形として今、議論していますOTCというような形での対応ができるようにすることは決して悪くはないことだと思っています。
 そのときに、これは事務局の厚労省自体にお聞きしなくてはいけないのかもしれませんけれども、ですからOTCにしたらもう処方箋薬のほう、処方箋を出すことはやめましょうということを私は思っているのではなくて、診察で処方を出していただくのは一番いい形だと思いますけれども、そうでなくても100%保険適用のものと、適用じゃないものと、同じ薬に対して出てくるというような状態が発生しても、両方できる、薬局での対応あるいは医師の対応がどちらもできるというようなことが必要なのではないかということです。
 それから、先ほど意見の中にもありましたように、2点目としましては、ここから先、ネット販売などにいかない。必ずしも薬剤師さんそのものだけかどうか分かりませんけれども、専門家に相談をしながら緊急避妊薬を手に入れるということが必要だと思いますので、ここもひとつ仕組みづくりが必要じゃないかなというふうに、強く思っております。
 ですから、一方的にOTC化に全部してしまうということよりは、OTCでもうまく補完をしていく。そして、最終的な予期せぬ妊娠や、好ましくない状況を世の中からなくしていくためにどうしていくのかというふうに私は思っていますので、そういう観点から言いますと、今のこの2点は仕組みというか、仕組みの構築の制度ということにも関わってくるのではないかと思います。以上です。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。他にはいかがですか。黒川委員、お願いします。
 
○黒川委員
 ありがとうございます。私は資料3-1の29ページですけれども、今回の海外実態調査の結果を引用いたしまして、社会的にも特段の問題がないということ、それから資料4の「2017年の評価検討会議でスイッチOTC化する上で課題とされた点に対するこれまでの主な意⾒・調査結果等」で、課題の多くはこの海外調査の結果で解かれた、解決されたと考えられると述べております。これに沿って全体を含めてお話を申し上げたいと思います。
 この海外調査ですけれども、前回、大変簡潔かつ公平に取りまとめられた結果概要というものが提出されまして、私ども高くこれを評価しているわけでございますが、ここを中心に拝読し、今回の資料4を考えていきたいと思っております。
 そうしますと、医療制度や文化、社会背景など、異なる独立した7つの集団ですね。それも人口600万から3億を超えるようなところまで含むと、非常に多様性があるわけですけれども、全てが薬事規制、安全対策の強化などが必要とされるような問題、事故、副作用、こういったものを起こすことなく、大きな社会問題もなく社会で役立っているということが容易に直ちに導き出せるわけでございます。
 それも、20年前後にわたる社会実装の結論という、言ってみればこれは極めて頑健なエビデンスといいますか、結果でございます。もちろん御指摘があったとおり、例えば報告の完成度や、調査報告が足りないというような300ページの元の調査会社からの報告もございますけれども、仮にそれを修正する、あるいはまた足りないところを補うとか、努力を加えたとしても、申し上げた安全に使いこなせる、有効に使いこなせるという結論がひっくり返る、覆されるということはない。
 すなわち、そのベースとしての客体が極めて大きいのであるというところで、この成果を基礎に置いて自信を持って我が国への応用を議論することができるのではないかと思っております。
 その上で、これまで皆様からの御指摘でもありましたとおり、私ども実際に困っている女性、冒頭大変ショッキングな犯罪事例に近いようなものもございましたけれども、そのほかにもたくさんおられるわけでございまして、そういった社会で困っている方々に我々の想像力の翼を伸ばし、どうやって今、世界でうまく使っているこの緊急避妊薬を活用してもらうか。こういったような観点で解決の一つのものを導くことは、もはや我々の大きな課題である。ここまで勉強してきた一つの責任ではないかと思っております。
 そういう意味で、むしろこの緊急避妊薬を社会に置くために、それぞれのステークホルダーはどのような努力、自発的にこういうことをしますというような方向性を持ち込めるか。それぞれ各自が考えて、例えば薬剤師会の先生は研修しますというふうにおっしゃっているわけですね。あるいは、そのデータ材料を用意するとか、必要な規制を行うとか、そういうようなディスカッションにしていく時期にきているんだと思います。
 以上、包括的な意見がありますが、終わります。
 
○笠貫座長
 ありがとうございました。それでは、堀委員お願いします。
 
○堀委員
 大変失礼いたしました。恐れ入ります。私からは、45ページの「2017年の評価検討会議で」というところですね。そこの中で、薬剤師の方たちが、薬局においてその販売制度に関してどのような仕組みをこれから行っていきたいかという項目に関することで意見を述べさせていただきます。
 45ページのところですが、前回、岩月委員からも、かなりオンライン診療に伴って緊急避妊薬の調剤に関する研修の修了者がたくさん増えたということをお聞きしました。また、本日の御意見からも、薬剤師の方たちが今後このスイッチOTC化に当たって非常に前向きであることを聞いて大変うれしく思っております。
 ただ、ちょっとお尋ねしたいのが、前回の岩月委員からの御発表では、薬局、薬剤師の方へ、「今後処方箋なしで緊急避妊薬の提供をする場合に不安ですか」という質問に対し、不安と回答なさった方が823人中422人もいらっしゃいました。私は、薬を買う側から考えますと、この不安の割合が半分もあるということは、かなり購入に関しましても、これがスイッチOTC化になった場合、不安に感じております。ですので、これからアンケートもなさるということなので、この薬剤師の方が感じる不安というのは具体的にどういうものなのか、その不安を教えていただければ、今後薬剤師の方たちが不安に思っていらっしゃることの解決策につながるのではないかなと思いました。それが1点目です。
 2点目ですけれども、先ほどの保険薬局実態調査結果についてです。これは全てのデータをそのまま信じるということはないということは私も把握はしているのですが、ここのデータの中でオンライン診療が進められているものの緊急避妊薬の薬局で在庫があるという割合が全体の35.3%だったという結果が出ております。私はこれから調べていただくに当たって、せっかくオンライン診療が行われて、緊急避妊薬が産婦人科医の処方箋にて薬局で購入できるようになったのであるならば、実際に今、薬局の中でどれだけのパーセンテージの薬局が緊急避妊薬を常備しているのか、それをぜひ調べていただきたいと思います。
 そして3点目ですけれども、緊急避妊薬を薬剤師の方が薬局に置かれる場合、どんな注意事項、つまり守らなければならないようなものがあるのであれば、それも教えていただきたいと思います。私どもがそれを知るということは、やはり消費者、購入する側にとってもかなりプラスになるのでよろしくお願いいたします。以上です。
 
○岩月委員
 1つよろしいでしょうか。
 
○笠貫座長
 どうぞ。
 
○岩月委員
 堀委員から今、御質問いただきましてありがとうございました。まず、最初の不安の解消ということでありますけれども、約1万人の受講した薬剤師がいる中で、前回発表させていただきましたように、オンライン診療に伴う調剤の実績は11件しかありませんでした。やはり実態として経験していないと不安になるだろうなということは、私は理解できると思います。販売するときということになれば、余計、経験したことがないわけですから、処方箋が来るかもしれないと思って待ち構えていたのに来なかったというのがほとんどの薬局なんですね。来ているのは11薬局しかないわけですから。
 ですから、これからどうやってその機会を増やして、実務経験という言葉がありますけれども、実際に処方箋をお持ちいただいた方とディスカッションができるとか、どういう対応をしなければいけないかとか、どうやってプライバシーを確保するのか、あるいは面前でお薬を飲んでいただくということとか、そういったことについてやはり経験をするということが一番大事だろうと思います。研修はしていますから頭の中で理解はしていますけれども、実態がないから不安があると答えているというふうに理解をしています。
 それで、先ほどの調査で在庫を持っているのが35%という話でしたけれども、オンライン診療に伴う処方箋調剤による研修においては、在庫を持てということは必ず言っていますが、今回の客体がその研修を受けた薬局かどうかというのが分かりませんので、その中で35%という数字をどう評価するかというのはいま一つ判断が難しいところだと思います。要するに、処方箋が来るか来ないか分からないというところで、全ての薬局が在庫できるかという点です。少なくとも、研修を受けた薬局は来る前提で在庫を持っていなければいけないわけですけれども、医療用医薬品は全部で1万6000種類もありますから全部在庫するというのはやはりなかなか難しい話であります。
 これも鶏と卵の話のようでありますけれども、経験を積んで、やはりないと困るよねということが、OTC化かどうかは分かりませんが、薬局で処方箋なしに緊急避妊薬を手渡しできるということを実現するためには、今の段階でも院外処方箋がもっと出てこないとなかなか経験する機会が少ないだろうと思います。
 ですから、不安だというふうに答えたのは、薬剤師目線で言うと多分、正直に答えているなと思っていますけれども、ただ、それは今、言ったように漠然とした不安ではなくて、実際にやったことがない。私どももそうですけれども、今、申し上げたように薬は1万6000ぐらいありますので、初めて調剤するときはやはり緊張します。
 添付文書の読み間違いがないかとか、用法用量が間違っていないかとか、いろいろなことに気を遣って不安になりますが、それを一度行うことができれば「前はこうやったよね」ということが経験として残ります。経験がないのであれば未熟であり、できないのではないかという御指摘もあるかもしれませんけれども、やはりそれは先ほどからお話が出ているように、望まない妊娠だとか暴力による性交渉からいわゆる避妊を実践していかなければいけない。いろいろな問題があることは今、御議論の中でありましたけれども、そのためのアクセスの機会を増やすということに関しては、不安があったとしても前向きに取り組まなければいけないことだなということは思っています。お答えになっているでしょうか。
 
○堀委員
 ありがとうございます。そういたしますと、最後の質問なんですけれども、では、他の薬剤と比べてこの緊急避妊薬をOTC化で講習を受けられた修了者の方、先ほど岩月委員がその修了を受けた方たちは在庫を持つでしょうというふうにおっしゃったのですが、その在庫を持つに当たってほかの薬剤と比較して何か守らなければいけない注意事項とか、そういうものはあるのでしょうか。
 
○岩月委員
 特段、緊急避妊薬だから注意が必要だという認識は、薬そのものに関しては全くないです。ただ、使われる背景ですとか、どういった状況なのかというのは、他の薬とはかなり状況が違う可能性があります。普通のカップルで平常時の避妊というのでしょうか、そういうときばかりではないということがワンストップ支援センターの研修なども設けて私どもも理解をしましたし、そのときにセカンドレイプにならないようなインタビューの仕方などの研修も受けたりしています。
 ですから、やはりそういったことも何が不安かと言われると、薬そのものに対しては不安はないんですけれども、そういった場面に遭遇したときにちゃんと対応できるかどうかということはやはり今後の経験が必要になってくるのだろうと理解をしています。
 
○堀委員
 分かりました。ありがとうございます。では、もしOTC化になった場合は、今この検討会もそうなんですけれども、そういうことの様々な不安というものを全部クリアできるような研修やシステムを是非実施していただきたいと思います。ありがとうございました。私からは以上です。
 
○笠貫座長
 佐藤委員お願いします。
 
○佐藤委員
 ありがとうございます。産経新聞の佐藤です。出していただいた資料4ですけれども、2017年の評価検討会議で課題として出された問題を並べて、これが解決したかどうかという形でテーマ設定をすると、なかなか全部解決しました、というわけにはいかないだろうと思うんです。このテーマ設定自体もOTC化に向けて不可欠なことばかりではないと思っており、例えば教育の問題というのは、教育の不足が全て解決しなければOTC化できないということではなく、OTC化しながら引き続き改善していくものだと思います。
 2017年当時の課題はあるにしても、この間にやはり圧倒的に何が変わったか、つまり何を新たに考えなければいけないかというと、例えば先ほど黒川委員が御指摘になったように、かなり詳細な国際調査の報告があり、安全に使える。つまり、実際にOTC化したらどんなことが起きるのかということを想像ではなくて、調査によって裏づけることができたこと、それから今回は前回と比べて薬剤師会さんたちがやりますと、頑張って問題点は改善しながらやっていきますとおっしゃられていることは大きな違いです。
 さらに、とても大きいのは、2017年の評価検討会議の後、あれだけパブコメで反響があって、やはりその利用者さん、患者さんがこんなに困っていて、こんなに必要とされているものを、どのように課題解決をしていくかということから今回の話が始まっているということは、やはり忘れてはいけないことだと思います。
 それで、今日の加藤治子先生のお話を聞いたり、先ほどは参考資料、別添資料でかなりもめたりしたわけですけれども、私自身はその別添資料の中で非常に感銘を受けた部分があります。それは何かというと、薬剤師がやるか、産婦人科医がやるかということではなくて、必要としている人のよりよい生活のために、どのような解決をしていけるかを考えるべきだと指摘されており、欠けているのは薬剤師と産婦人科医の連携だと書かれているところはとても共感しました。今、岩月先生と堀委員との間でお話があったような、薬局側の不安というのも、もちろん実践の中で解決されていくものもありましょうし、常にちょっと聞ける産婦人科医がいるか、いないかで全然違うと思うんですけれども、そこの部分に対して、では例えば産婦人科医会は、あるいは加藤治子先生たちのワンストップセンターはサポートしていただけないのかしらということはとても不安に感じています。そこの連携がなかったら、OTC化はやはりなかなか難しいですよねという感じがしてしまうんです。
 OTC化のやり方自体はいろいろあって、1錠ずつ出しますとか、そういうディティールはいろいろやり方はあると思うのですけれども、何よりも利用者さん、患者さんが求めていることに向けて、どうしたらいいのかを考えていただきたくて、そのために一番大事なことは、やはり薬剤師会と産婦人科医が一緒にやりますと言っていただくことが大事なんじゃないかと思います。以上です。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。種部委員お願いします。
 
○種部参考人
 ありがとうございます。資料4の課題について、17年の時点の課題への見解であると理解したんですけれども、これらとは別建てにしていただきたい、ぜひ検討していただきたいことが5点ございます。
 まず1つは、ほかのお薬と違って自覚症状で有効性の判断を行うことがなかなか難しいという点です。元々自覚症状がある疾患に対して薬を使う場合とは異なり、薬が効いたかどうかの判断が症状では判断できない。またこのお薬が効かなかったときに受診することのハードルが下がっていないため、その後の受診のタイムラグをいかになくすかは重要だと思います。ほかのお薬は多少、受診が遅れてもあまり問題がないかもしれないのですけれども、受診が遅れた場合に中絶期限を過ぎてしまうという大きなリスクがあります。この短い期間の間に産婦人科につなげる必要があり、先ほど連携の話をいただきましたけれども、そのタイムラグをどうなくすのかということは大きな課題なので別建てにしていただきたいと思います。
 2点目は計画的な避妊法の普及の機会について。本来緊急避妊薬は緊急対応なわけでありまして、平常時に使う避妊法への入り口となる機会でもあります。前回お話しいたしましたけれども、本当にこの国のリプロダクティブ・ヘルス/ライツを向上させるという意味において、計画的な避妊法へ移行する機会を失ってはいけないと思います。ここをどう担保するのかということです。
 3点目はコンドームを着用しない性交、着用を求めにくい状況への影響。日本ではコンドームを避妊として使っているものが大半。海外ではコンドームは性感染症の予防という認識です。この状況においてコンドームを着用しなくなる性交が増えるのではないかという懸念。
 4つめは、未成年への使用。これは海外の調査にもありましたが、一人で、あるいは指示されて処方を求める未成年の女性をどうやって保護するのか。特に中学生。
 そして5つめは、性暴力への対応をどうするのかというところ。これらは別建てにぜひしていただきたいと思います。
 もう少しだけお時間をいただきたいのですが、順番にページを追っていきたいと思います。42ページ、「確実な避妊法の普及を滞らせる」ということについては、今、申し上げたとおり別建てでぜひ課題として独立させていただきたいと思います。
 それから、44ページに先ほど薬局でのオンライン診療などに関するお話があったのですが、ここにBPCの話が出ておりました。かなり込み入った話をしなければいけないので、カウンセリングルームを備えるとか、Behind the pharmacy Counterの形がプライバシーの問題に対して必須ではないかと思います。ですから、OTCという形ではなくてBPCを検討することは必要だと思います。
 イギリス、ドイツ、フィンランドなどは、薬剤師さんが関与すればオーケーということなのですけれども、海外と日本の大きな違いは、妊娠した場合の備えの厚みだと思います。例えば、イギリスでは緊急避妊薬をOTC化したのと一緒に、10代のピルを無料化すること、性教育を法定化すること、若者のための相談窓口を設置すること、そしてそれでも妊娠した高校生は子連れで高校を卒業させる、寮つきの学校をつくる。これだけの政策をパッケージで行っていました。こういう安全装置があっての中の一つだったということで、それ以外の安全装置をどうしていくのかということをぜひ考えていただきたい。また、フィンランドについてはネウボラという機能があり、そこが妊娠した場合の相談の入り口となり、受診の敷居を低くしていると思います。日本の医療同意年齢は18歳、性交同意年齢13歳。各国ではこの年齢を等しくし性交同意年齢までに十分な教育も行っているわけですけれども、ここの違いはかなり大きい部分ですので、BPCや、緊急避妊後に妊娠した場合に、医療機関にどうやって短い時間でつなぐか、特に受診のハードルの高さをどうするかということを考えていただきたいと思います。
 45ページ目、オンライン診療に伴う研修は受けていらっしゃると思うのですけれども、これがOTC化となると話は全然違うと思います。何が違うかといいますと、先ほど加藤先生のお話にもありましたが、処方を求めたとき既に妊娠している人がいるわけです。その妊娠の判断、つまり診断が入るわけでありますけれども、ここに対する薬剤師さんの覚悟というのは必要だと思います。すでに妊娠している女性が、薬を飲んだ場合、どのように説明していくのか。服用したことで安心し産婦人科受診が遅れた場合、1日遅れるだけで中絶期限を過ぎることもあるわけですけれども、間に合わなかったときにその責任を取るのか。オンライン診療の場合は医師が責任を取ります。しかし、BPC、あるいはOTCの場合は、薬剤師さんがその責任を取る必要があります。覚悟があるのかを考えていただきたいというところは論点だと思います。
 それから、もう少し時間をください。48ページです。富山県の例を挙げていただきました。「中学を卒業するときには全員が緊急避妊薬を知っている」というのは富山県の自慢でもあるわけでありますけれども、これは書き方を変えていただきたいと思います。これは私が申し上げたことだと思うんですけれども、緊急避妊薬の存在を知っているのは認知度とは言わないと思います。そうではなくて、緊急避妊で妊娠する確率が16%あること、コンドームで妊娠する確率は14%、つまり5人から10人に1人は妊娠すること、100%の避妊法はないので最も確実なのはピルとコンドームを使うこと、もしくは性交しないこと、それから、性交した日を妊娠1か月と考えて、妊娠検査の実施時期は性交から2週間から3週間のところであるということ。そして、妊娠検査が陽性の時点で妊娠2か月に達しているのであるから、すぐに産婦人科受診をしなければいけないこと。その場合には親ばれを恐れている人がほとんどなわけでありますから、本人の了解を取らずに親に告げ口したりはしないこと。どのぐらいのお金があれば受診ができるのか。そして、健康保険証で親ばれするのを恐れているわけですけれども、妊娠の診断は保険証がつかえないので親ばれしないこと。これらをすべて教え、相談のハードルを下げることも含めて緊急避妊を教える、という性教育をやっています。ですから、緊急避妊薬の存在を知っているだけのことを認知度と捉えてこの意見を書くのは意味が違います。ここは修正をしていただきたいと思います。
 それから49ページ、「メンタル面のアドバイスができるような体制を構築することが重要である」と書かれていますけれども、メンタル面ではなくて最も大切なのは、先ほど申し上げたように中絶期限に間に合うように受診するということだと思います。100%の効果ではありませんので、妊娠をしたときに遅滞なく中絶期限に間に合うように受診ができる選択肢が示せるような状況なのか。そして、未成年者の場合、受診のハードルになっているのは親権者の同意、医療同意であります。フランスは緊急避妊薬をOTC化する、あるいは平時の避妊としてのピルへのアクセスのハードルを下げたときに、中絶についても親権者の同意を廃止しています。これらの政策がセットでなければ安全装置が働かないということを考えていただく必要があろうかと思います。
 とにかく薬剤師さんたちの覚悟が非常に重要だというところについては、本邦の薬剤師さんたちにもその認識を持っていただくということで、決してオンライン診療と同じというレベルでは考えていただきたくないと思っております。以上です。
 
○笠貫座長
 それでは、岩月委員お願いします。
 
○岩月委員
 種部先生から、今エールをいただいたというふうに理解をしております。先ほど佐藤委員からもありましたように、どうやって連携を取るのか。今回のオンライン診療に伴う緊急避妊薬の処方箋応需ということで、ワンストップ支援センターもそうですし、地域の産婦人科の先生方もそうですけれども、これがきっかけになってそういった方々との情報交換ができるようになったという今、実態があります。
 その上で、前回調査で申し上げましたように、例えば薬剤師が異動していて名簿と違うのではないかとか、あるいは在庫を置いていないじゃないかということに関しましては、日本薬剤師会としては今、名簿の見直しと、在庫については持っていないところは名前から外しますということを各都道府県を通じて指導を徹底するよう動いております。
 覚悟については、まさにそうだろう。これはOTC医薬品全てそうですけれども、誰の責任で販売したのかといえば、それは当該の薬剤師でありますので、何があっても薬剤師が責任を取る。これは自明の理でありますから、その覚悟を持って私どもはこの緊急避妊薬も含めて対応をするということで、ここで改めて宣言をさせていただきます。以上です。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。それでは、湯浅委員。
 
○湯浅委員
 ありがとうございます。本来は、アフターピルのOTC化に関する議論の前に、性教育の在り方など、それぞれの会議のなかで、先行して行っておくべき議論があるのだと思います。そして、それらの議論を十分に重ね、土台を作ったうえで、アフターピルのOTC化について話しあうのが本来の形であると思います。
 この検討会の目的は、OTC化に際しての課題を抽出し、課題に対する解決策を出来る限り考えていくことにあるわけです。たくさんのステークホルダーが出席している利点を生かせば、アフターピルのOTC化に向け、多職種による連携を中心とした議論ができる強みがあると考えます。アフターピルが必要な状況に置かれた方々の気持ちに立って、それぞれの職種がどのようにかかわっていけるのか、話しあうことが必要ではないでしょうか。
 岩月委員が述べられたように、本日提示された別添の資料は、薬剤師会の意見を反映したものではないと思われます。ただ、資料の中で、7割ぐらいの薬剤師が地域の産婦人科の医師と面識がなく、関係性が構築できていないと答えていました。つまり、アフターピルのOTC化に向けて必要な医薬連携がおざなりになっているということです。その点については、真摯に受け止めなければならないと思っております。
 本検討会でアフターピルのOTC化を決定するわけではありませんが、課題を抽出し、論点を整理するという立場から、OTC化についての薬剤師の意識を知っておくことは、医薬連携のためにも必要なことと考えています。薬剤師会が中心となり、地域の薬剤師を対象に、アフターピルについてのアンケート調査を実施していただけないでしょうか。
 一般論として、薬剤師は医薬連携について前向きな考えをお持ちのかたが多いという印象です。アフターピルのOTC化について、産婦人科医会や学会の先生がたが、リーダーシップを発揮され、医師のさまざまな意見をとりまとめ、薬剤師に対しても積極的に働きかけていただけることを望んでいます。医会としてもクリアすべき課題は山積みかもしれませんが、実現に向けて前向きな視点を持つことも大事だと思います。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。渡邊委員お願いします。
 
○渡邊委員
 皆様、お疲れさまです。岩月先生がおっしゃったように、薬剤師は責任を持って対応したいと常々思っています。
 しかし、先ほど11例しか来ていなかったというお話をお聞きになったかと思いますが、かかる方は婦人科にちゃんと行かれて、目の前で1錠だけ飲めば対応できる。もちろんいろいろな診断の下になのですけれども、対応できているということで、その後も3週間たったら受診しましょうとか、そういうお話が医師のほうからきています。そういうかかり方する子供たちばかりではないんですね。子供たちの世界は、SNSが物すごく盛んです。皆さんものぞいてみていただくと分かるのですが、緊急避妊薬というといろいろなクリニックの先生方がバイクで運びますよとか、幾らですよとか、薬剤師はできませんけれども、クリニックの先生方はそうやって子供たち、あとはSNSで頼ってきた人たちに販売しているという事実もちょっと見ておいていただきたいなと思います。
 オンラインで、今のところは行っています。しかし、これがOTC化したときは確かにもっともっと、さっきBPCとおっしゃっていましたけれども、ちゃんとお話を聞いてやれる環境づくりというものが必要なんだろうなと思いました。
 一番はやはり困っている女性、妊娠は女性にしか起こりません。男性には起こらないんですね。その体を守るということと、そこでもし芽生えてしまった命をどうしていくかということも含めて、本当に一つのことなのですが、グローバルに今、行われている性教育、または命の教育を考えていかなければいけないので、本当にいろいろなところと一緒に手を携えて薬剤師、医師だけ、医療だけのことではないのではないかと思います。
 でも、OTC化は進めたほうがいいかなと思っています。
 
○笠貫座長
 長島委員、お願いします。
 
○長島委員
 長島です。本日の加藤先生の御報告を受けて6点、次の会議にぜひ資料を提供していただきたいと思います。
 まず、日本の特性としてコンドームが主体である避妊方法、それから性教育が不十分であること、性暴力被害への支援体制が不十分であること、これがあるということが分かります。
 では、まず1番として、WHOや海外調査に関して、この日本の特性を踏まえた上でそれを当てはめることができるのか、あるいは海外でうまくいっているのはここがあるからだということを明らかにしていただきたい。
 2番目、性教育が最も重要な問題の一つですので、文科省に対して本日指摘された課題に対して、現在の方向性で十分だと思っているのか。十分でなければ、どのように解決しようと考えているのか。
 3点目、やはり薬剤師さんの現状調査は必須と思いますので、ぜひ薬剤師会さんのほうで実行していただいて御報告いただければと思います。
 4つ目が、スイッチOTC化をする場合の研修内容が極めて重要です。オンライン診療に基づいて処方するのと全くレベルの違う内容が必要になるはずですので、現在とどのような違う内容のものが必要になるのか、あるいはそれを研修するためにはどのような方法が可能なのか。
 5つ目が、地域医療連携です。これの現状がどうなのか。そして、地域の産婦人科医療機関やワンストップセンターとどのように連携すればいいのか。そのための解決法は何なのか。
 最後が、ワンストップセンターの現状と課題、その解決法。
 ぜひこの6点を次回の検討会に資料として提出をお願いします。私からは以上です。
 
○笠貫座長
 それでは、最後に松野委員お願いします。
 
○松野委員
 ありがとうございます。日本保険薬局協会の松野でございます。今日は、本当に多くの貴重な御意見を聞かせていただくことができました。種部先生や加藤先生の本当に草の根的な活動やその状況ということも多方面から聞いておりますので、その点では本当に私も含めて皆さん尊敬申し上げているところはあると思っております。
 ただ、そこで積まれているたくさんの経験や非常に緊迫した状況ということで、そこに行き着く若い女性の方たちがいらっしゃるということは、ある意味、幸運であると思っておりますので、そこに到達できないで悩んでおられて中絶にまで追い込まれる方たち、人生がいろいろ変わってきてしまうような女性の方たちが多くいらっしゃるということは現実としてあると思っているんです。そこの門戸を広げるという意味で、薬剤師というものがそこの一翼を担えないのかということはやはり私も強く申し出たいと思っております。
 先ほどから、それと同時に学校教育における部分の課題とか、あとは海外の状況を受けてピルの無料化等も受けた安全装置のような環境の整備が必要なのではないか。その中でも、BPCの創設は必要ですよというふうなお話もありました。そういう点では、スイッチOTC化を進めながら、同時にそういう部分も進めていくということが課題の一つだろうと思っております。
 多くの薬剤師、半数近くの者が不安に思っているという点に関して、不安だという御意見もありましたけれども、私が思うには、2015年から特に始まりました患者のための薬局をつくるためにいろいろなものが提言されてきました。対物業務から対人業務へという点は、ここ7年程度、非常に強く各保険薬局で行われている部分でございます。となると、今まではピル、その薬自体はほとんど副作用なく安全に飲める薬でありますので、対物業務であればそれは何の不安もなく渡せるものだったと思うんです。
 ただ、今は対人業務だという感覚が私ども薬剤師にあるものですから、その患者さん、その当人が背景にある生活やその人生の中で私たちがどう関わっていけるのかということに対して不安が出てきている。まさにその過渡期といいますか、そこは非常に認識できるような状況になってきたんだなと感じているところであります。
 ですので、そこを受けて、薬剤師がいかに医師、産婦人科医をメインとして関わっていく中で、その存在意義を深めていけるのかということが今後の課題になりますので、そういう意味ではもちろん責任という点が覚悟を持ってあるのは分かるのですけれども、薬剤師は今でも1万7000種類に及ぶ本当に命に関わる薬を扱っているというところがございますので、覚悟を持って薬剤師も連携をしてやっていきたいと感じております。以上になります。
 
○笠貫座長
 平野委員、高野委員とまた手が挙がりました。時間がなくなってきましたが、お願いします。
 
○平野委員
 性教育に関しては、それが必要であるということは本当に言うまでもないことです。ただ、先ほど長島委員から文科省という話がございましたけれども、前回の議論でも、これは文科省だけの問題ではない。中学生に対しては、高校生に対しては、あるいはもはや既に教育機関を卒業した人たちに対してはどうするのか。相手によって課題は違うわけです。どのような人に対して何を教育しなくてはいけないのか。どういうタイミングでやるべきなのか、コンテンツは何なのか。これの定義をこの会議でやはりきちんと定めておく。それができれば、今日御参加の皆様がそれぞれにこの部分は私が責任を持ってやりますということの対応が明確に見えてくると思うんです。
 それともう一つ、文科省に関して言えば、学習指導要領の改訂ということから入っていくと時間がかかってしまいます。逆に言えば、この問題はいつまでに解決するんだ。したがって、それまでに何ができるのかという形での議論をしていかないと、また任せてしまうということになるのではないかということを懸念しております。以上でございます。
 
○笠貫座長
 高野委員、お願いします。
 
○高野委員
 ありがとうございます。日本中毒情報センターの高野です。皆さんの御意見はかなり詳細に出ているので、簡単に申し上げます。OTCといいますか、市販化するに当たって、やはり自分で選択をするという部分がありますので、その部分では教育ということが必要だとは思うのですけれども、全て学校教育の中でそれを担わせるというところに関しての限界というのもあるのかなというような印象を持っております。
 今、SNSだとかいろいろな媒体でいろいろな知識が垂れ流されている状況の中で、正しい知識をどうやって知ってもらうのかというところで、正しい知識をちゃんと知れるような機会といいますか、そのツールといいますか、そういったものがあるとまた違ってくるのかなというところですね。あくまでも自分で救急の医療の選択をするという観点から、そういった視点も必要ではないかと思いました。以上です。ありがとうございました。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。種部委員、2度目ですけれども、短くお願いします。
 
○種部参考人
 すみません、短く。今、お話しいただいたことにつながる話であります。学校での性教育じゃなくてもいいのではないかということをおっしゃったんですけれども、世の中にたくさんの情報がありますが、ではそれは正しいのかどうかを判断するための物差しというものを教えるのはやはり学校なんだと思います。
 しかし、学習指導要領を改訂するまで時間がかかってしまいますが、文科省は改訂するとも言っていなければ、中学生に対するこの歯止め規定についてどうするのかという見解も全く示されていません。方針が示されて、それまでの時間が長ければ、その間どうするのかということを考える余地が出てきますが、まだ学校性教育の方向転換の姿勢が示されていないということに対しては、姿勢を問う必要があると思います。
 もう一点だけ、46ページのところで海外調査の結果を引用されていまして、緊急避妊薬をOTC化することと性感染症などが相関している様子はないという海外調査のデータが出ていますけれども、海外においてはそもそもコンドームを避妊としては使っていません。日本の避妊がコンドーム85%という状況の中でどうなるかは誰も予測し得ないことだと思います。参考になる「海外」がないと思います。
 そういう意味で、この検討会の先生方の皆様にお願いしたいのは、この国のリプロダクティブ・ヘルス/ライツに対してこのOTC化が影響を与えた場合、皆様方にも責任をとっていただきたいと思います。以上です。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。それでは、これで皆様からそれぞれ御意見をいただいたと思います。私がショッキングだったことは加藤先生の話でした。
 望まない性交によって被害を受けている人が6.9%で、6、7万人いるのではないかという試算、それも氷山の一角ではないかということです。現実の問題として、国民として強く受け止めました。リプロダクティブ・ヘルス、ライツが女性にとっての権利、自己決定権、あるいは基本的人権に関わる問題だということも改めて強く感じました。
 そういう中で考えてみますと、2017年から3回緊急避妊薬の議論を重ねました。そのときのパブリックコメントも含めて、当時の各構成員の人たちでOTC化をどうするか、真剣に議論をした結果が、そのときは否ということになりました。
 その結果を踏まえて、2017年から2022年までの5年の間に大きな社会の変化も起こりました。産婦人科のオンライン診療での処方の話もありますし、薬学教育でも薬剤師と、医師のコアカリキュラムの共通化を図っていこうという医療人としての教育が検討されていますし、また薬局ビジョンも進んできました。その中で薬剤師会が、薬剤師の積極的な緊急避妊薬の研修制度をつくり進めてきたことは非常に大きなことだと思います。
 国として、第5次男女共同参画基本計画の中では具体的に薬剤師の役割について触れています。
 また、女性活躍・男女共同参画の重点方針2021、あるいは経済財政運営と改革の基本方針2021、骨太方針2021、にも書かれているのは国民の声として、政治に反映されてきたものだと思います。
 その中で、今回は海外調査を踏まえた上で、社会背景の変化を受けてさらにどうするかという議論を進めてきたと思います。
 改めて2017年のときに構成員の人たちと共通言語と共通認識のもとで、国民生活者が求めているセルフメディケーションとしてどう応えていくのかということで、その当時は採否を決め、そのときに、どういう対応策をとっていくかということを議論してきたわけです。しかし、現在は採否を決める会議ではありません。これだけの苦しむ女性がいるという現実と、一方で今日はワンストップ支援センター、そして加藤先生からの産婦人科の専門的な知識、経験も大切だということも勉強させていただきました。
 そして、薬剤師と、先ほど湯浅先生からも医薬連携という話が出ました。2014年から昨年までの会議体の総括として、前々回の採否を決めないとされた評価会議において課題抽出と解決策として、最も重要なのはステークホルダー間の連携だということをまとめにしたと思います。
 そういう意味では、今日は産婦人科医と薬局、薬剤師の方々の連携、さらにその中でワンストップ支援センターの重要性も明確になりました。そうしますと、これは各都道府県でどうなのだろうか、地域でどうなのだろうか。これは重要な問題になってくるのだろうと思います。
 2017年のときにも、当時の状況下では医療用の緊急避妊薬へのアクセスに関し、全国の医師会及び病院等がネットワークをつくり、緊急避妊薬を急に必要とする方がどこに連絡すればよいかを諮る仕組みの構築等の検討が必要であるという最後のまとめにしたわけです。この5年間で薬剤師という強力なステークホルダーが、研修をした上でこの仕組みづくりの仲間になったということだろうと思います。
 さらに、このワンストップ支援センターを婦人科医、あるいは婦人科医だけではなくて、先ほど興味深く聞かせていただいたのは、プライマリーケアかもしれませんが、救急センターもそこに関わるということです。
 これはある意味ではかかりつけ医も関係するのかもしれませんが、医師全体としてどうこの問題に取り組んでいくのか。専門医が婦人科であることは申すまでもないことながら、医師としてどうするのか。薬剤師も、研修を受けた薬剤師と、それからいろいろな認定薬剤師制度ができてきていますけれども、そこの中で薬剤師がそれぞれの役割を果たしていくのか。そこにワンストップ支援センターをどう各地域で構築していくのか。2017年のまとめと比べ対応策が進んでいることを感じました。
 座長としてのまとめが十分ではないとは思いますが、問題点として大きく挙げられたものを各ステークホルダーが前向きに、何をこれからしていければいいのか、何ができるのかということを、次回にはさらに前向きのお話をお聞きできればと思います。
 そういう中で、その前の段階にはなりますが、今日の会議をお聞きいただいた国民の方々、生活者の方々、あるいはこういった問題に悩まれた経験のある方、そういう方がどう考えてどういう枠組みを求めていらっしゃるのかということを、パブリックコメントに寄せていただけたらと思います。
 2017年には、たくさんのコメントをいただきました。それから5年間というものを踏まえた上での各市民の方々からのパブリックコメントを期待したいと思います。
 以上が、今日皆さんの御意見を聞かせていただいた私のまとめになります。パブリックコメントでぜひたくさんの御意見をいただけたらと思います。長島委員、どうぞ。
 
○長島委員
 今のお話ははっきりしないのですが、今回のところで一回終わりにして、もうパブリックコメントを募集するという御提案でしょうか。
 
○笠貫座長
 これでパブリックコメントを求めるということについて異議があるという御意見だとしたら、パブリックコメントについて長島委員からは反対だという御意見ですか。
 
○長島委員
 まさに今回、加藤先生の御報告も受けて、様々な課題というのがかなり明らかになってきて、また、薬剤師会さんのほうでもやはり調査をされるほうがいいのではないかというところが出ましたし、例えば性教育に関してもきちんとした対応を御報告いただきたい。様々な要望が出ましたので、それを受けてまさに建設的な話を各ステークホルダーでして、その上でパブリックコメントを求めるというのが筋だと思います。
 先ほどの各委員のお話というのは、まさにこれからしっかり議論しましょうという、そのものだと思いますので、今回で議論を一回打切りにしてパブリックコメントを求めるということには反対します。
 
○笠貫座長
 それも一つの考え方としては大事なことですが、考え方としては、今日挙げられたご意見を整理してパブコメということもありだと思います。まだ議論はあるとしても、ここで国民の皆さんが整理されたものをどう考えられるのか。構成員の方々の議論については、かなり問題点も出尽くされたとは思います。
 そういう意味で、パブリックコメントをここでするか、あるいはもう一回会議をして次回に延ばすかについては、皆さんの多数決で決めていただきたいと思います。昨年までの本会議では採否を決める場合は、全員一致の合意を原則として合意形成を大切にしてきました。
 規制改革会議での決定により、この評価会議の位置づけは大きく変わり、採否は決めないで、課題を抽出し課題に対する対応策をまとめるということが会議の役割になりました。こ議論を徹底的にやるという方法はありますが、進め方として多数決もあると思います。
 ここまでの議論で国民がどう考えているのか。それを反映することが、この会議としての役割だろうと思っています。国民には、今日のデータも議論も全てオープンにしていますし、YouTubeで国民の方々は見ていらっしゃると思います。その中で、国民の人たちから、これでは議論が不十分です、もっと調べたほうがいいという議論が出るかもしれません。
 私は国民の意見を尊重するのはなぜかというと、OTC化の話だからです。一般市民、生活者が何を望んでいるのかという意見が大切だと思っています。具体的な対応策の検討については、ここの構成員の人たちが中心であったとしても、国民広くに考えていただきたいと思います。
 緊急避妊薬は、リプロダクティブ・ライツという、基本的人権の話です。それで苦しんでいる人たちがたくさんいるという事実がわが国には存在しています。みんなで早急に考えるということが非常に重要なのではないでしょうか。
 それで、先ほど今、長島委員が言ったようなことについて、次回までに皆さんそれぞれ努力して検討て、それを持ち寄り、国民のパブリックコメントで出された意見も一緒にそこで考えたらどうですか。
 課題を全部明らかにしなければ国民の意見が聞けないということになると、どこまで調査、議論を続けるか、前回も1回パブリックコメントを延ばしています。もう一回延ばした今回の会でかなりの理解が得られてきたのだろう、あるいは相互の理解が進んできたのではないかという認識を持っています。
 2017年のときの結論もステークホルダーの連携が大事だということでしたし、今回も皆さんの意見が連携の方向に向かってきたという認識の下で、現状での連携のあり方についてはパブリックコメントを次回にしたいと考えたのです。
 ここは可否を決めることではなくて、対応策を整理するというこの評価会議の役割として、ここでパブコメをとることについて多数決で決めさせていただきたいと思います。

○宗林委員
 質問が1点あるんですけれどもよろしいでしょうか。
 
○笠貫座長
 どうぞ。
 
○宗林委員
 普通、パブリックコメントを求めるときは、一般的には原案があり、それに対してということだろうと思うのですが、今の段階のこのパブリックコメント案の求めるものの原案がどれになりますでしょうか。2017年のものでは、そこから先に進んでいったわけですし、今の段階で例えば全部スイッチ化しても処方箋はやめちゃうのか、あるいは併用していくのか、いろいろなことが今、議題になっていて、何に対してパブリックコメントを求めるのかは少し明確にしたほうがいいかと思います。
 
○笠貫座長
 この対応策というのはたくさんあるんだと思うんです。ここで議論された対応策一つ一つについて、基準をどこに置くのか詰めた結論が出なければパブリックコメントを求めることは出来ないことになります。
 例えば、今日出された一つの課題の対応策を決めたところでパブリックコメントを出すことは極めて困難です。昨年までの評価会議では、最初の方針で皆様に認めていただいたように、採否を決めるときには全員合意を原則として合意形成を大切にしてきましたし、その結果をパブリックコメントに出しました。
 ところが、この会議では採否は決められません。では、採否を決めないで対応策を全部決められますか。ここは対応策を決める場ではないんです。対応策を整理して、どういう対応策が考えられるだろうか、まとめることです。完全な正解がないからこそ、こういう対応策があることについて国民の考えを問うほうが大事ではないでしょうか。
 医療用の医薬品の処方権は医師で、医師が全面的な責任を負います。OTCの場合には、説明指導する責任は薬剤師にあります。
 しかしOTC医薬品の場合には使った本人の責任になるんです。それが医療用医薬品と違うところです。どんな薬でも絶対的に安全だということもないし、リスクがないということはありません。そうすると、この会議ではリスクを低減させる対応策を議論するとともに、どこのところまでのリスクを国民が受け入れられるかということが大切であり、それをまとめていくのは大事じゃないでしょうか。整理というのは、1つにまとめるということではないのです。
 それで、この評価会議の位置づけは、ここだけで対応策の結論を出すということはなくて、ほかの会議すなわち部会で採否を決める際に本会議でまとめられた対応策について議論され、結論が出されます。そこで決まったことがこちらにフィードバックされます。
 価格の話もここでは議論されませんし、リプロダクティブ・ライツ・ヘルスという全体の問題についてもここでは決められません。
 ここが議論できるのは緊急避妊薬で、その対応策をみんなで考えてどういう対応策ができるかを議論し、それについて国民がどう考えるか。そのまとめを部会に上げて、部会がその対応策はどういうものがあるかということを踏まえて、その対応策としてそれぞれの基準としてA、B、C、いずれかが決められるかもしれません。
 例えば、先ほどの教育でも、どこが教育してどこまで教育ができたらいいとするのか。あるいは、各都道府県でワンストップセンターがどこまでできたら、日本全体ではなくてある地域だけからやるのかとか、可能性としては幾らでもあります。
 その実現可能性のあるところをどうまとめていくのか。この採否を決めていく部会のところでどう考えていくか、ここの評価会議で議論できなかったものについてはほかの会議で議論していただけると思います。
 そういうことで、現在の評価会議の役割と限界を認識しないとがエンドレスに続くのではないかと危惧しています。先ほどの皆さんの連携というキーワードでまとめ、国民の意見を聞く、パブリックコメントにかけるタイミングではないかと思ったところです。
 事務局はどうお考えでしょうか。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 この会の全体の流れといいましょうか、進め方という意味において、全部の解決策が出てからパブリックコメントをするのではなくて、一定の割と早いタイミングでパブリックコメントを行って、その後、最終的にいろいろな意見をまとめていくという方向性であるということについては先生が今、御説明いただいたとおりで、一通りの説明、コメントが今日、取りあえずは出たという先生の御認識も事務局として全く同感ではあります。
 ただ、一方で、先ほど宗林先生がおっしゃったように、パブリックコメントをどんな形でやるのか。これは役所のルールといいましょうか、そういう意味ではそのイメージは固めておかないと、フリーハンドで何の意見を聞いているのか分からないというのも、それはそれで今後の進め方の上で若干問題があるところもございますので、よろしければ今日までの御意見に対して先ほどいろいろディスカッションさせていただきましたし、それに対していろいろなさらなる意見等々が出ておりますので、その辺りを少しまとめさせていただいて、パブリックに御意見を伺うにしても流れに沿った御意見がまとめやすくなるといいましょうか、意見を集約しやすくなるような形の整理をさせていただいたほうがいいかと少し思っておりまして、それを先生方にも確認していただいたほうがいいかなとは思うところです。
 ですから、新たな議論をするのではなくて、これまでのところの意見を整理して確認させていただくというステップを踏ませていただいたほうがよろしいかなというふうにちょっと思っておりますので、よろしければそんな形にさせていただければありがたいかと思っております。
 
○笠貫座長
 多数決も採らないので、反対か賛成かは分からないですが、基本的に今の事務局の考え方としては、こういうパブコメの内容として出しますということをまとめて皆さんに御理解を得た上でパブコメを出すということですね。これでパブコメを出す意味がない、これではだめだというならばもう一回会議を開くという話になりますか。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 よろしければ、次の会のときにもう一回そこを確認させていただいたほうがよろしいのかなと、メール等々でやりますとなかなか時間もかかったりいたしますので、オンラインではありますけれども、一堂に会して議論をしたほうがまとめるほうとしては時間は早いかなと思ったりもしますので、そんな形がありがたいかなと思っております。
 
○笠貫座長
 それは長島委員の考え方で、私はパブリックコメントの在り方をどうするかということを今あえて問うています。
 この会議というのは全員合意一致で決めるという初めての会議体でしたし、パブリックコメント後にもう一回、評価会議を開き議論するというのも初めてのトライです。国民に関心を持っていただき、国民が許容できるリスクに対する自己責任でのOTC医薬品どう普及していくかを考えていただきたいということです。
 今日も3時間20分、こういう会議の進め方で2017年から続けさせていただいたこと、座長にとっては大変ありがたく思いますし、貴重な機会を与えていただいたと思っています。
 いずれにしても、今、多数決を採らないほうがいいという事務局のお考えです。
 
○湯浅委員
 パブコメについては、検討会議のなかで、議論の余地が残されている段階で行うのではなく、宗林委員がおっしゃるように方向性を決めてから行うべきと思います。あくまでも検討会議の議論を基盤として、行われるべきと考えます。現時点でパブコメを行うかどうか、多数決で決めることについては、この検討会議のルールは、少数の意見であっても尊重するということでしたので、その意味からも反対させていただきます。
 
○笠貫座長
 あと5分位で終わりたいと思いますが。どうぞ。
 
○黒川委員
 今日の会議で明らかになったことは、事態は急を要するということです。もう何年やっているのか。先生がおっしゃられたように、いつまでやっても終わらない。ですから、座長が本件をいつまでにまとめるというリーダーシップを発揮していただいて、それで例えば連携が大切であるとか、あるいは置いてはいけないという意見はなかったとか、これに対して何をコメントいただけますかという形でちゃんとまとめて、それで早く本件に対して結論を出していただく。
 そうじゃないと、本当に待っている人が気の毒でかわいそうで見ていられないと、こういうことではありませんか。
 
○湯浅委員
 長島委員や種部参考人から次回検討会議までの宿題がでております。会議のスケジュールが多少ずれ込んだとしても、議論を尽くすことが大事であると思います。ただし、笠貫先生が座長ですので、座長の決断には従わせていただきます。
 
○宗林委員
 座長でもこの委員会でもいいんですけれども、こういう観点について国民の意見を問いたいというところがないと、問われる国民のほうも何を書けばいいのかわからないと思いますので、対応策まで決めなくてもいいけれども、こういう論点があるからこれについて御意見くださいというところまではやはりパブコメを取る前にはあってしかるべきだし、問われるほうに対してもやはりそれが親切かなと思ったので申し上げました。
 
○笠貫座長
 座長としてパブコメを急ぐことに基本的にはこだわるものではありません。
 私が言いたかったことは、シナリオA、B、C、D、幾らあってもいいのです。その中でどれだけ多くの人がシナリオのA、Bか、その中で国民がどういうものを求めているのだろうか。このOTC医薬品の上役は国民で、市民で、生活者ですと、そう考えてほしいんです。
 OTCについては専門家の意見も大事ですし、最終的に専門家の意見を整理していただき、国民がどういう意見を持つのだろうか。それはぜひ知りたいということです。そのパブコメのタイミングは、難しいと思います。そしてパブリックコメントを踏まえた上で、そこで議論したらどうですか。そうしたら、そこで一つの方向性の結論が出るのではないかと私は考えていたのです。
 次回までのパブコメに賛成の人はあまりいないようです。事務局で今日のご意見をまとめていただくとともに、先ほど薬剤師会の実態や、幾つか課題が出されたものについて調査をしていただいて、それを8月にするというのが事務局の考え方になりますか。
 これは構成員の人たちも3時間半、聞いている人たちも3時間半、何よりもこの会の準備をする事務局は大変な作業だと思っています。事務局としていかがですか。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 申し訳ございません。手短にします。御指摘のとおり大変な作業が待っているということで、今日出ました中でいろいろな調査、あるいはいろいろな資料等々ということを次の会までにというのは相当大変な話に多分なると思います。
 そういう意味では、次の会までには今日までのことを取りあえず整理させていただき、パブリックコメントの準備をする。それでまずパブコメをやって、その後、それが出るまでの間にまた調査の結果も踏まえて最終的な解決先をまた御議論いただくといったようなスケジュール感で会議をさせていただかないと、次の会までに今日言われたような調査をいたします、資料を出しますと、恐らくそれは申し訳ありませんが、ちょっと難しいと思いますので、そういったようなところも踏まえつつ、ただ、パブリックコメントも含めて作業は進めさせていただくという意味では、今日までのことを整理して次の会に確認する。これは事務局的にも多分対応可能だと思いますし、事務局の能力の関係もございますので、よろしければそんな形で進めさせていただければありがたいかと思います。
 
○笠貫座長
 それでは、30分ちょっと過ぎました。構成員の方々、参考人の方々、厚労省の事務局の方々には頭が下がる思いで感謝しております。
 事務局のお話が現実的だと判断させていただきまして、次回どう進めるかについて、事務局から次回の予定についてお話いただけたらと思います。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 それでは、次回につきましては今、申し上げましたとおり、今日の資料をベースとして。
 
○笠貫座長
 すみません、気がつきませんでした。佐藤委員がぜひ言いたいということです。どうぞ。
 
○佐藤委員
 パブコメ案は資料4をベースにして、と書いてあるんですけれども、先ほども発言させていただきましたが、2017年に出た課題がどこまで解決されたかという資料のまとめ方はあまり建設的な感じがしません。そもそも2017年に課題を挙げて、パブコメがあれだけ多かったにもかかわらず、当時はそれが考慮されず、改めて仕切り直さなければならなかった経緯を考えると、もう少し別のたたき台のつくり方があるんじゃないかと思います。そこはちょっと御検討いただければと思います。すみません、ありがとうございます。
 
○笠貫座長
 次回は本日議論された建設的な意見についてパブコメ案の中で問いかけをすると新しい展開が出てくるかもしれないということで、今の佐藤委員の御意見を含んで御検討をお願いします。
 それでは、今後の検討スケジュールをお願いします。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 次回につきましてはまた日程調整させていただきますけれども、なかなか日程も難しゅうございますので夏頃までにはということで、夏と言ってももう初夏という話もあろうかと思いますから相当幅がありますが、夏頃までにはパブリックコメントの案を整理させていただいて、それを御議論いただく場を次回設けさせていただきたいと思っています。その際には、先ほどの御意見ですけれども、前回の論点の中に整理の仕方も少し工夫して、今日出た御意見に重みをつけつつ整理させていただければと思っております。以上です。
 
○笠貫座長
 ありがとうございました。今日も大変長くなりましたことをおわびいたしまして、閉会とさせていただきます。

 

 

(了)
<照会先>

厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課
03-5253-1111(内線 2737、4225)
 

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