ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会)> 第68回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会議事録(2018年1月31日)




2018年1月31日 第68回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会議事録

雇用環境・均等局勤労者生活課

○日時

平成30年1月31日(水)10:00


○場所

中央合同庁舎第5号館専用第21会議室(17階)


○出席者

公益代表委員

内藤部会長、小野委員、鹿住委員

労働者代表委員

小川委員、川野委員、花井委員、藤川委員、宮嵜委員

使用者代表委員

久保委員、白土委員、須永委員、新田委員

(事務局)

宮川雇用環境・均等局長、平嶋勤労者生活課長、外山勤労者福祉事業室長、高橋勤労者生活課長補佐、加藤勤労者生活課長補佐

○議題

一般の中小企業退職金共済制度の財政検証について

○議事

○内藤部会長 ただいまから、第68回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会を開催いたします。本日は、関委員、山本委員、友利委員が御欠席となりますが、労働政策審議会令第9条の規定、全委員の3分の2以上又は公労使委員の各3分の1以上により定足数を充たしております。

 本日の議題ですが、一般の中小企業退職金共済の財政検証についてとなっております。本日の議題に入る前に委員の異動がありましたので、事務局から説明をお願いします。また、既に委員の皆様の前にあるように、本日の部会の説明はタブレットを使用して行うこととなっております。こちらも、事務局から何か説明があればお願いします。

○高橋勤労者生活課長補佐 委員の異動について報告します。大久保暁子委員の後任として、日本労働組合総連合会総合労働局労働条件・中小労働対策局長の藤川慎一委員が就任されております。なお、本日、雇用環境・均等局長の宮川については、国会業務のため冒頭のみで退席させていただきますので御了承ください。

 本日の部会についてですが、厚生労働省では審議会等のペーパーレス化の取組を推進しており、本日の部会でもペーパーレスで実施いたします。お手元にはタブレットとスタイラスペンを配布しております。使用方法については、操作説明書を机上に配布しております。ただいまから、こちらの前方のスクリーンで操作方法を簡単に説明しますので、お手元のタブレットと併せて御確認いただければと思います。

 まず、お手元にそろえているタブレット、スタイラスペン、操作説明書です。タブレットの操作ですが、指又は配布しているスタイラスペンでなぞると動くようになっております。簡単な操作方法ということで3つあります。1つ目は、資料の確認についてです。アジェンダに記載された資料を事務局の指示に合わせて開く方法について、2つ目は、会議資料のめくり方、会議の進行に合わせてページをめくっていただく方法について、3つ目は、資料の拡大、縮小の方法について説明します。

 まず、資料の確認です。皆様のタブレットの下方に○1とあります。フォルダーの小さな表示が見られるかと思います。こちらになります。そちらを指で軽く触れていただくと、○2の資料一覧が表示されるかと思います。この資料を開いてくださいとお伝えする際には、資料の冒頭の番号で指示いたしますので、その資料のアイコンをタップしていただければ、その資料が開くという形です。

 続いて、会議資料のめくり方です。指又はスタイラスペンを使い、画面を下から上にスライドさせるとページが順送りに送られていくという形です。タブレットの上の枠の辺りにページ番号が表示されております。例えば、何ページという指示がありましたら、そこを見ることによって、開いているページが合っているのかということを確認していただくことができます。

 続いて、ページを大きく飛んで開く場合です。一生懸命なぞっていただいても結構なのですが、先ほどのページ確認をした小さい枠をタップしていただくと、画面上にキーボードが表示されます。キーボードの左下の123という記号の付いたキーボードをタップしていただくと、またキーボードが変わり数字が現れるので、何ページというページ番号を打ちEnterキーを2回押していただくと、そのページに移動することができます。よろしいでしょうか。

 続いて、資料の中の細かいデータ等を確認いただく際には、2本指で画面を開くとお好みのサイズに画面を大きくすることができ、戻す場合は、逆に指を狭めると元のサイズに戻すことができます。少し読みにくいと感じられるところがある場合は、そのようにして拡大、縮小をなさっていただければと思います。

 最後に、注意事項ということで、タブレットを横向きにした際に左側にボタンがありますが、ここに触れると画面がスリープ状態になり黒くなってしまいますので、ここには触れないように御注意いただければと思います。

 冒頭の説明は以上ですが、職員を配置しておりますので、不明な際はお気軽に声を掛けていただき、資料について御確認していただきますよう、よろしくお願いいたします。会議中も、こちらのスクリーンにおいて説明している資料を随時映していきますので、こちらも御参照いただければと思います。

 では、よろしくお願いいたします。

○内藤部会長 式次第に従って議事を進めます。本日の議題である「一般の中小企業退職金共済制度の財政検証について」です。この件について、事務局から説明をお願いします。

○平嶋勤労者生活課長 下のフォルダーをタップして資料2を御覧ください。目次を飛ばして4ページの11です。前回の部会で出た宿題事項に沿って資料を作成しております。最初の4つは、公益の委員から頂いた御質問です。共済契約者について、新規加入者数は毎年増えているのに対して在籍者数はそれほど増えていないが、これは脱退する者が一定程度いるからか。その理由は何か。業種別分布はどうなっているのか、過去利回りが下がったときに加入者の行動にどういう影響が出たか。前回、積立目標額の3,500億円を設定したときに負債額、その間の予定運用利回りの付与などによって発生する損失額は含んでいなかったか。労働側からですが、3,500億円という目標が増加した理由は何か。Q6は公益からで、新しい付加退職金の支給ルールを設定するのに用いる望ましい剰余金の水準について、新しいルールに基づいて決定すべきではないか。Q7Q8も労働側で、目標額は直ちに必要となるものか、ある程度、時間を置いて積み立てていく方法は取れないか。付加退職金が出るという期待があるので、何らかの知恵を出すことができないかという御意見を頂いたところです。

6ページです。Q1についてです。脱退する者が一定程度いるのか、脱退の理由は何かということです。これについては、平成26年度から平成28年度にかけての加入・脱退状況を見ると、平成27年度、平成28年度は加入数が脱退数を上回っており、年度末在籍数は増加傾向にあります。脱退の理由については2種類しか取っておりませんが、全員退職と全員解約ということになっております。主に全員退職ということで、全員退職は1900件強、全員解約は850件です。倒産の場合には、全員退職になる場合があり、倒産の前に滞納が続いていると全員解約になる場合もあります。

7ページです。共済契約者の業種別分布で平成28年度末の数字です。最も割合が高いのはサービス業で32%、次いで製造業が21%、商業もほぼ同じ、建設業が17.3%ということで、この4業種で全体の9割以上を占めています。10年前との比較では、サービス業が27.6%から32.5%に増加しております。製造業と商業は、それぞれ若干、割合が減少しているということです。

9ページです。予定運用利回りの見直しが、中退制度への加入にどのような影響を与えるのかです。この影響をグラフにしております。過去4回、利回りの引下げを行っております。平成3年のときは少しだけ減って、平成8年のときは逆に少しだけ増加、平成11年のときも新規加入者は増加しております。大きく減少したのは、平成14年の3%から1%に下げたときだけと、これは単純に見たものです。

10ページで少し細かく見ております。その間、いろいろな影響があったのだろうということで、例えば、下のグラフの左下のところで、中小企業の定義拡大などが平成11年からとなっておりますので、この年度以降は、拡大前の定義に該当しない新規共済者は除外する。あるいは、平成13年から掛金助成が縮小される。その前の駆け込み需要があったということで、平成11年と平成13年は直線で結んでいます。

 右下のところで、平成14年からは適年からの移換がありましたので、この移換件数は除外するという作業をしております。平成26年以降は、厚生年金からの移換について除外するという作業をやっております。

11ページです。企業年金の影響についてです。企業年金の基礎調査に載っている各年度末のDBの制度数、平均事業所数、各年度末のDCの規約数を基に推計すると、DBでは200社の導入、DCでは800社の導入があったと考えられます。このときは、1万社程度減少しているということで、DBDCを考えても減少はあったのだろうと考えております。この理由として、このときは利回りの引下げ幅が2%ポイントあったということや、国債利回りを下回る水準まで引き下げたということがあったのではないかとなっております。

13ページです。前回の積立目標額を3,500億円と設定したときに、負債側で、その間、予定運用利回りを付けることによる費用等が発生する損失額を含んでいなかったのかという御質問を頂きました。これを改めて検証しました。左側ですが、前回のときは、サブプライム、リーマンと同等のショックが起こったとした場合には、委託運用で3,494億円の損失、その間、債券は株の動向にかかわらず一定の利益が出るので762億円の利益が出て、予定運用利回り等で768億円の損失が出る。これを差引きして3,500億円という計算がなされたということです。

 その後、平成28年度の基本ポートフォリオの見直しのときも同じような試算をしております。このときは、自家運用の利回り、自家運用は主に債券で回しておりますが、大きく利回りが低下しているということから、委託運用は3,935億円の損失、自家運用では411億円のプラスということで、この2つだけで3,500億円になる状態となっており、負債側の924億円はなしで3,500億円の損失が出る状態になっていたということです。その後、基本ポートフォリオを見直し、リスクに対して強くなったということで、委託運用の損失は2,400億円、自家運用は400億円のプラスということで、負債側の924億円と2,058億円を加えて約3,000億円という状態になっているということです。

14ページです。これまで3,500億円という目標でやってきましたが、なぜ増加させることになるのかという御質問を頂きました。これについては、従来の基準はサブプライム問題、リーマンショックと全く同じことが起こったらどのようなことになるのかという、単発の下落を想定したものです。具体的には、株が2年間で50%下落するという単一の前提に基づいております。

 しかし、ショックはいろいろな形が想定されるということで、例えば、近いところでは、2000年代初めのITバブルが崩壊したときは国内株が3年間で60%下落、リーマンよりは時間が長かったのですが、落ち幅としてはもっと大きいものもありました。それから、資産運用は連続的なものなので、株価が上がってから落ちるのと落ちた状態から更に落ちるのでは、制度に与えるダメージは異なるということで、今後5年間に発生する変化を確率的に実験的に発生させて、これを動的に管理できるようにモンテカルロ・シミュレーションでリスクを把握してみたのが、今回のやり方です。

15ページにイメージ図を載せております。今までのやり方は、サブプライム、リーマンと同じことが起こったら、3,500億円減るので3,500億円を持っておきましょうということでした。一方、右側は見えるように100本の線で表しておりますが、実際は10万本の線でやっております。いろいろな確率的に上がったり下がったりすることがありますが、例えば、○1と○2の線を見ると、○1のように3年間で4,000億円下がるケース、○2のように短期間で急激に下落するケースがあり、いろいろな落ち方があります。○3の場合は、剰余金が、一旦、4,153億円まで増えた状態から約3,000億円下落する場合と、○4のように2,874億円から累損のマイナス46億円まで落ちていくケースもあります。同じ3,000億円落ちるのでも、元の位置からで影響は異なるということで、そういうケースに対応できるようにしたものが、今回、提案しているシミュレーションです。

16ページです。望ましい剰余金の水準についてです。前回の提案では、4,300億円という数字でお話ししておりました。これは、平成27年度末の数字をベースに、更に、現在の600億円先充てのルールに基づいて計算しております。これは、新たな提案に沿って再計算すべきではないかという御指摘を頂いております。これに従って、再度、計算を行っておりますが、後に出てくる案1、案2、案3とも、いずれも4,400億円前後になるということで、望ましい剰余金水準としては4,400億円が適当ということで考えております。

18ページです。ここからが、今日、御議論いただく部分です。前回の部会においては、まず、予定運用利回りについて、1%というものと0.5%に下げるという両方提示しましたが、0.5%を支持する御意見はなく、皆様1%維持という御意見でしたので、今回お示しする各案は、予定運用利回りを1%維持という前提で作っております。1%ということになると、安全資産で運用できるのは0.5%程度なので、残りの0.5%分については、株式などのリスク性資産で補うという構造になるので、その分のリスクに合った備えを保持しておく必要があると思っております。

 今のポートフォリオについては、この場でも各委員から安全、安心を第一にという御意見を頂いておりますが、余計なリスクは取らないという考え方で、期待収益率と制度の採算利回りを一致させております。具体的には、予定運用利回り分の1%と業務経費の0.1%を合わせた1.1%を目指して運用しているという現状なので、確率的には付加退職金を支給しない場合で財政中立になるということです。ということは、平均的には、付加退職金を支給した分は剰余金の減少につながるという構造になっております。

 このようにして剰余金が減少していくと、将来、予定運用利回りの引下げを考えなければいけない場面も生じ得るということを念頭に、付加退職金ルールを検討する必要があると思っております。

19ページです。Q7Q8、ある程度、時間を置いて積み立てていく方法は取れないものか、何らかの知恵を出すことはできないかということに応えるという目的で、3案作っております。案1、案2は従来のものです。案1は、先ほどの財政中立ということを考えて、付加退職金を支給しない。案2は、前回もお示ししておりますが、剰余金の水準4,400億円を下回らない範囲内で毎年の利益金の半額を支給する。案3は、新しいものですが、目標とする剰余金の水準までの不足額と目標年度までの残存年数に応じて毎年の先充て額を変更していく。次のページ以降で、詳しく説明します。

20ページです。案1です。右下に50tileの赤い線があります。これを御覧いただくと、3,813億円から3,874億円にほぼ平行移動していると思います。付加退を出さない場合で平行に移動するということで、今回、お示しする3案の中では最も財政中立的であるということです。ただ、従来、半額支給ということでやっておりましたので、その原則は変更することになります。それから、99tile95tileのところで、8,600億円や7,200億円等あります。望ましい剰余金水準の4,400億円を大きく上回るケースも生じるというところは留意点と思っております。

21ページです。案2です。剰余金の4,400億円を下回らない範囲で付加退職金を半額支給ということです。この特徴としては、財政の健全性を重視しつつ、望ましい剰余金を超える場合には付加退職金は支給されるということが案1との違いです。4,400億円まで貯まるまでは出ないというルールになりますので、望ましい剰余金水準が不足している状況から、そこに到達するまでのスピードは早いということになります。ただ、先ほど申し上げたように、付加退職金は一定程度出るというルールなので、中位点は現在より250億円程度低下するということになります。

22ページです。案3です。これは新しい案ですが、目標積立額を4,400億円とした上で、初年度から4,400億円を目指すのではなくて、財政検証期間である5年間で積立てを目指す方式が考えられないかということで、検討を行っております。昨年度末の累積剰余金は3,800億円で、その不足分は600億円あり、まだ残り5年間あるということで、初年度については、5年間あるので、これを5で割って120億円という方式が考えられますが、現在のポートフォリオでは、利益と損失がほぼ半々で発生するということなので、検証期間中、毎年度、利益金が120億円を超えて4,400億円が積み上がるということは、確率的には低いということになります。実際、この方式でシミュレーションを行っていくと、累積剰余金の中位点が5年後に3,094億円ということで、大幅に低下してしまうということになります。

23ページです。そこで、目標積立額の4,400億円は維持しつつ、初年度は3,800億円との乖離の600億円を5で割って120億円を先充て額として、次年度以降は、前年度末の剰余金と、この乖離幅を残存年数で割って得た金額を先充て額とする方式を考えてみました。左下にありますが、式にしてみると、4,400億円との差額を分子に残りの年数で割っていくということです。

 右のグラフにありますが、1年目は600億円を5で割って120億円、2年目、今は運用が割と好調なので、こういうことがあるかもしれませんが、4,400億円を超えている場合には0億円が先充て額なので単純にして半額ルール、3年目、例えば、少し相場が悪くなって200億円足りなくなっているとすると、67億円が先充て額になるという形で、最後の5年目は単純に差額分が先充て額になるという方式を検討してみました。

 これについてシミュレーションを行ったのが、24ページです。特徴としては、望ましい剰余金の水準に足りない場合でも、付加退職金が支給されるということになります。逆に言えば、望ましい剰余金水準に回復するスピードは遅れるということになります。第2案よりは望ましい水準に到達していなくても付加退職金が出やすい制度になりますので、中位点の水準は、現在より470億円程度低下するということがあります。

 それから、中位点で見た場合、中位点が下がっていき、4,400億円との差が広がっていきますが、先充て額を計算するための分母は54321と減っていきますので、分子が大きくなって分母が小さくなっていくということで、あくまでも、中位点で見た場合ですが、後半になるほど先充て額は大きくなってしまう懸念があります。

 以上の3案をまとめたものが、25ページにあります。案1、案2、案3で、右の表ですが、4,400億円以上になる確率は、案1で約4割、案2で約3割、案34分の1です。現在の水準を維持できる確率は、案1で半々、案244%、案338%です。逆に、累損まで落ちてしまう確率は大きな違いはなく2%程度で、累損に落ちていく場合は、ほとんど途中で利益が出ずに落ちていくケースになると思いますが、その場合、付加退ルールは大きく影響せずに、いずれの案でも、大体2%ぐらいということになります。説明は以上です。

○内藤部会長 ただいま、事務局から第13案まで説明がありました。諸委員の方々、御意見、御質問等がありましたら、是非、お願いいたします。

○宮嵜委員 今、御説明いただいた中で、前回の部会の中でも提案のあった剰余金の目標額について議論があったと思います。今回、目標額が増額した理由として、改めて説明を伺いました。先ほどの説明の中にあったのですが、安心、安定的な制度として運営していくという考え方は理解しておりますけれど、やはり付加退職金は制度の魅力の1つでもあり、被共済者の方の期待も大きいと思います。したがって、剰余金目標をこれまでの3,500億円から4,400億円とすることについて、被共済者の方に対して分かりやすい説明が必要だと思いますので、意見として述べさせていただきます。以上です。

○内藤部会長 ほかに何かございますか。

○川野委員 前回、欠席しており、このルールの説明は間接的にお示しいただきました。ただいま、事務局より御提案いただいた新たな付加退職金のルールに対して、基本的な考え方としては、この間、3,500億円を積み立てるよう5年間でやってきたこれまでの動き、もっと遡れば、平成26年の3月に取りまとめた付加退職金のルールがあり、それに基づいて運用してきたこれまでの歴史があるわけです。今回、4,400億円の積立ての必要性について、資産運用委員会の御指摘とシミュレーション等々を含めて、安全性を高める意味では必要と思いますが、3,800億円から4,400億円までの積み増しの必要性については様々な意見がこれまであったように聞いており、私もそこの部分では同様な意見を持っております。

4,400億円を積み立てるとしても、これまでやってきたやり方は、5年積み立て方式で、これまで我々が議論してきたことを踏まえると、案3をベースに考えるべきではないかと思っております。もっと言えば、5年経てば4,400億円を確実に積み立てられる時間軸で計算していくわけですから、これまで、600億円優先型とは少し違い、確実に4,400億円をクリアするための手法を使うわけで、それをベースに考えていくべきではないかと思っております。

 先ほど、宮嵜委員からも話がありましたとおり、安心、安定と被共済者、事業主の魅力という部分は欠かせない一面なので、そうしたことを踏まえる必要があるのではないかと思っております。

 また、去年も財政検証を踏まえて、予定利回りや付加退職金について検証、検討する必要があるということでしたので、今回の財政検証に基づいて4,400億円の必要性は感じるものの、大きなルールの変更は時期尚早だと思いますが、もう少し長い目で検討する必要があるのではないかと思っております。

 そういう観点では、非対称性の話を資産運用委員会から御指摘いただいておりますので、そういうところと利回りの話については、拙速に議論をまとめるのではなくて、付加退職金ルールの意味、意義を踏まえて、中長期的に検討する必要があると思っておりますので、意見を申し上げさせていただきました。

○内藤部会長 さて、労側の委員から安心、安全というものを保つことは非常に重要ではあるが、今までのルールの変更という意味合いでは、ある意味で劇的に目標額が上がってしまう案2よりは案3ではいかがなのかというお話と、今、宮嵜委員、川野委員のお話を伺いました。ほかに御意見ございますか。

○新田委員 これまでの議論もそうですし、今、宮嵜委員あるいは川野委員からもお話があったとおり、制度の安心・安全、魅力を高めていく必要があるということは共通認識として持っていただいていると思っています。今回のこの議論に当たっても、正にそれが最も重要なことだと考えています。そうした観点からいたしますと、今回、この4,400億円という金額がシミュレートして出てきているわけですので、まずはその到達をきちんとした上で付加退職金を支給する。シンプルで、かつ、分かりやすいルールにしたほうが私はいいと思っています。したがって、私としては案2がいいのではないかと思います。

 以前のときも、3,500億円に到達するまでの5年間で毎年600億円というルールを決めました。あのときに付加退職金を支給するという仕組みを入れたのは、剰余金を積み立てるという新たな仕組みを入れるにあたって、私としてはあれは激変緩和措置というか、いきなり付加退職金が出ない形にするというのは制度の魅力ということもありますし、入っていただいている被共済者の方々にとってもダメージというか、そういうところが大きいと思いましたので、前回のときはあのような形にさせていただきましたが、今回の4,400億円の到達はもうかなり見えてきています。4,400億円は必要な金額だという共通認識に立つならば、その金額を上回った時点で付加退職金を支給することについては、皆さん、何ら異論はないと思いますし、私もその点について異論はございませんが、そこに至っていない時点で、例えば案3で言うと支給される可能性があるわけです。しかも、資料の25ページにありましたように、例えば案1であっても、4,400億円以上には2021年度末でまだ40%の可能性しかないわけです。本来、気持ちとしては案1であって然るべきと思いますけれども、先ほど申し上げた4,400億円を超えた時点で付加退職金を出すというのは、一定程度、私もその必要性を認識しているところですので、案2というところを今回は考えてはいかがかと思います。

 そうでないと、そもそも基本退職金があるわけですし、予定運用利回りについても1%を守りたいというか、魅力的な部分として堅持したいと前回の部会のときにも申し上げたところです。そういったことを総合的に勘案しますと、まずは4,400億円をきちんと貯めるということを最も重視して、考えるべきではないかと思います。

○内藤部会長 ありがとうございました。使用者側委員から安心・安全と言いますか、まず剰余金の確保を重視してはいかがかというお話だったと思いますが、ほかの委員、いかがでしょう。花井委員、お願いいたします。

○花井委員 今の低金利の時代に運用利回り1%というのは、非常に努力されていると思います。安全・安心というのは、もちろん私たちもそう思っておりまして、リスクを冒して高い運用利回りというのは全く望んでおりません。そういう意味で言うと、4,400億円という数字が、モンテカルロ・シミュレーションという新たなシミュレーションを使って出されてきたものだというのは、前回の3,500億円までいけばと言っていたシミュレーションと、シミュレーションの仕方を変えたというのですが、そうすると、前のシミュレーションの仕方が違っていたと。間違っていたとは言い切れないと思いますが、そこがストンと落ちないのです。3,500億円までくれば付加給付が出ると前もお話しましたけれども、今度は4,400億円、次もまた4,800億円とかなるのではないか。そういう心配も片方にあるわけです。ですから、4,400億円を目指すということは、もちろんいいのですが、前段に約束したことは何らかの形で期待に応えてほしい。そういう意味で今回、その要望を受けて新たなシミュレーションを出していただいていることは感謝したいと思いますけれども、そこのところは3,500億円から4,400億円に至った説明を、もう少し分かりやすくしていただけたらと思います。私は案3が今の段階ではベストかと思います。

○内藤部会長 いかがでしょうか。是非、ほかの委員の方々、須永委員、お願いします。

○須永委員 前回も申しあげましたが、中退共制度は、単独で退職金制度を持つことが困難な中小企業に対し設けられた共済制度です。そのため経済情勢の変化に対応し、安定的かつ長期的に運営されることが、まずは大前提かと思います。また、中小企業については人事労務専門の担当者がいないところも多いですから、制度内容は分かりやすいものであってほしいと思います。今回、3つの案が提示されましたが、財政的な安定性、付加退職金というメリット、それから制度内容の分かりやすさ、期間中の支給額の公平性等を考慮しますと、新田委員と同様に私は案2が適切と考えております。

○内藤部会長 ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。藤川委員、どうぞ。

○藤川委員 私も今回からということですが、少し事前にも聞いているところで言いますと、今、花井委員が申し上げたように積立剰余金の金額が変わるということの確からしさというものを、もう一度、きちっと御説明いただきたいという思いと、ページで言うと25ページの所に、1から3の財政要件の比較が載っていて、先ほど新田委員もおっしゃいましたように財政の安定という意味では必要だと思いますが、これまで余剰金がなかった、要するにゼロ以下の枯渇をするというところを見ますと、ほぼ変わらず2%程度ということです。5年間で4,400億円を積むということで言うと、それについては4,400億円が必要であるならばと我々も思いますが、リスクという意味では、さほどという表現がいいか分かりませんけれども、案1から案3まで枯渇するという意味では少ないのではないかと考えております。

○内藤部会長 いかがでしょうか。使用者側委員、ほかに御意見などありませんか。是非、お願いいたします。

○新田委員 予定運用が1%ということの意味合いを考えないといけないと思っています。というのは、先ほど事務方の説明がありましたとおり、比較的、今の低金利の中で高い1%ということを維持するとするならば、安全資産の部分で0.5程度しか稼げない。そうすると、リスクのところで0.5、半分を確保しなければいけない。これは結構なリスクだと思います。それをどう考えるのかということです。繰り返しになりますが、この1%を堅持したいというところ、これは正に共通認識に立っていると思いますので、ここを堅持するならば、まずは4,400億円という正に制度の安定、魅力、安心ということを最優先に考えて、それを達成した上で付加退職金が払われる。そもそも基本退職金というのはあるわけですから、それに単年度の収益がよかったときに付加退職金が支払われる。正にこれがシンプルで、しかも実際に支払われる方々にとっても非常に分かりやすい制度になると考えますから、今回、案2がよろしいのではないかということを、あえてまた申し上げたいと思います。

○内藤部会長 ありがとうございます。どちらの案も4,400億円を新たな目標とすると、その意味では両者それほどの乖離はないのだと思います。その辺りでいかがでしょう。是非、ほかの委員の方々、御意見がおありでしたらお聞かせいただきたく存じます。白土委員、お願いします。

○白土委員 私は案2が望ましいと考えています。目標積立額の4,400億円という数字が前面に出ていますので、ここを守るためには案2でというところですね。

○内藤部会長 案2のほうが、このパーセンテージなどを拝見する限りにおいても、まず安定的な剰余金を確保するということですね。それも非常に魅力的ですが、どうでしょうか。川野委員、どうぞ。

○川野委員 前回いなかったことも含めてですけれども、4,400億円という数字が出てきたこのシミュレーションの仕方は、資産運用委員会の指摘を踏まえた10万回の推計方式ということです。先ほどと重複しますが、3,500億円のときにやってきた5年間の歩みと、今回、4,400億円にいきなり到達しなければいけないのかということが、特に労働者側は納得できておらず、これまでのやり方であれば、4,400億円を積み立てることは合意している。あとは、5年先には必ず600億円の積立てで3,500億円に持ってきたものと違って、変動制で5年先には必ず4,400億円を積み立てている形を作ろうということ。1tileでの枯渇するリスクと性急性というか、そんなに拙速にそこに辿り着かなければいけないのかということ。被共済者の立場から見ると、剰余金の付加退職金ルールがあるものを、リスクを回避するために4,400億円を性急に準備しないといけないことの説明が、十分にでき得ないというところが引っ掛かっています。直ちに4,400億円ではなく、段階的に4,400億円ではいけないのかというところが、すっきり腹に落ちないと思います。

○内藤部会長 花井委員、どうぞ。

○花井委員 もう1つ教えていただきたいのは、私なんかがこの間、経験している金融危機というのは、アジア通貨危機とかITバブル崩壊、直近ではサブプライムローンのリーマンというのがあったのですが、それを超えるような金融危機、経済危機を想定したものとしてのモンテカルロ・シミュレーションなのか。その辺りがイメージとしてなかなかつかみにくいのです。10万回やったからこういう数字が出ましたというだけでは、ちょっと納得できません。そうすると別のシミュレーションの方法を使えば、また別なことが出てくるのだろうと思うので、どういう危機を想定して1つの政策判断に至っているのか。もし可能だったら教えていただきたいと思います。

○内藤部会長 事務局のほうから、今一度、御説明いただけますか。

○平嶋勤労者生活課長 実はこの間、前回以降の変化として年金の運用に端を発する動きですが、公的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化等に関する有識者会議というのが開かれています。そこでいろいろな提言がされていますが、その中でリスク許容度については、先を見据えたフォワードルッキングな検証を実施することが望ましいということで、正に我々が今までやっていたような、リーマンだったらどうというのでなく、これからどうなっていくというのを、先を見据えてリスク管理をしていきましょうという提言がされています。今回、御提示しているシミュレーションというのは、正に今後、先がどうなっていくかというのを、確率的に発生させてリスク管理をしていこうという取組です。その中で先ほども御説明しましたが、良い状態から落ちるのと悪い状態から落ちるのは、いろいろな影響が異なる。同じ落ち方でも、リーマンよりもっと大きいITバブルのような落ち方もありますし、そういったものを総合的に管理するというのが、リスクに対しての耐性を増すのだろうということで御提案しています。

 また、5年後に新しいルールということですが、今のところそういうことは考えていなくて、それは、ひとえに安全資産でどれだけ利回りが取れるかということにかかっていると思っています。安全資産で仮に1%取れるとなれば、こういうバッファーをたくさん持つ必要というのはなくなりますし、逆に、今のゼロ金利がずっと続いて過去の国債が償還していって、新しく買うのは0%に近いものだとなっていくと安全資産で取れる利回りというのは下がって、その分、リスクで取らなければいけないことになりますから、その時点でまた再計算し、状況に合ったリスクバッファーはどれくらいか計算することになろうかと思います。

 川野委員から、少し時間をかけて、あるべき付加退ルールを考えるべきではないかという御提言もありましたけれども、それでまた新しい、もっと良いのがあるということになれば、それを採用することになろうと思いますが、現時点で5年後のリスクバッファーというのは、ひとえに安全資産でどれぐらい利回りが取れるかによると思っています。

○内藤部会長 ありがとうございました。いかがでしょうか。よろしければ公益の先生、小野先生、お願いします。

○小野委員 ありがとうございます。リスク管理のやり方というのは、基本的にこれでなければいけないということは全くないのではないかと思っています。諸外国の例でもいろいろなアプローチがございますので、それはこの場で合意してお決めになるのが、よろしいのではないかと思います。

 その中で注意として申し上げたいのは、例えばこの資料の13ページですけれども、前回の3,500億円というのは、ポートフォリオの見直しの前の状態だったわけです。ポートフォリオを見直したら、一番右側にありますけれども、こんな数字でちょっと下がるということです。前回と同じようにやるという意味では、予定運用利回りによる損失というのを加えると、これで合計約3,000億円という話になります。この約3,000億円というのが4,400億円になっているわけですので、これは実質的にはかなり増加したということにろうかと思います。

 それをどのように考えるべきかということですが、1つは、皆様、十分御承知のとおり、仮に積立金に不足が発生した場合、その穴埋めをするような追加原資をこの制度に資金を入れるというようなことは、可能性としてはないわけです。そこを十分に御認識いただきたいということが1つと、それから、基本ポートフォリオ見直しに関して先ほど課長から御指摘がございましたとおり、期待運用収益は基本的に財政中立ということですので、このポートフォリオでやっている限りは、平均値的に言ったら、一旦発生した損失を埋め合わせるようなリターンが稼げるということにはならないということなのだろうと思います。その2点を踏まえた上で、今の3,000億円という数字を認識していただいた上で見ていただくと、1つは、何で5年なのかという話があるのではないかと思います。例えば、これがサブプライム・リーマンということであれば2年ということになると思いますし、各シミュレーションの中の2年後の数字の開き方ですね、これの1tile値などを見ていただくと、大体似たような3,000億円ぐらいの数字になっているのではないかということです。そうなってくると、何で2年かという話になります。そこは、1つは5年ごとの財政検証というのがございますので、そこをターゲットとするということで合理性があるのではないかということです。ですから、総じて言うと4,400億円という、今回、新たに提示された金額には、それなりの合理性があるのではないかと思います。

 案2と案3というのは、非常に決めづらいところではあります。案1というのは、基本的に付加退職金を支給するという決まりがある中で支給しないというのは、なかなか成り立ち得ないのかなということなので、この辺りを案2と案3でどう考えるかという話になってくるかと思います。ここから先は感覚的な話で、1つは、資産運用委員会から出てきた非対称性に対する問題提起に対して、どのように答えていくかということですけれども、これにつきましては、案3の中で600億円という以前の額固定のフロアを作るというやり方ではなく、下がったら下がったなりにフロアを上げていく。こういうやり方というのは、答えになっているのかという気がいたします。4,400億円を確保することをプライオリティとして一番上に持っていくというのは、それはそれで非常に重要なことなのかもしれないですが、もし案3でやった場合ということで考えても、それはお答えしていると思います。それと、先ほどの約3,000億円という、前の基準で見た場合のポートフォリオ変更後のリスクということで考えてみた場合に、この5年後の数字というのは、一応、3,000億円に1割程度上乗せした3,300億円というのが、50tileです。この辺りで確保されているということもありますので、財政の立場から見れば案2のほうがよろしいかという気はしますけれども、案3というのも検討の余地がないわけでもないと思います。もし案3を採用するとすれば、これを5年間固定的に運用するということではなく、適宜、見直すということで柔軟に対応することも考えながらやっていくのも、1つの考え方かという気がいたします。

○内藤部会長 ありがとうございます。今、大変に御丁寧な解説を頂いて、私も財政論の専門家でないものですから分かったような気がいたしましたけれども、ほかの御発言がない委員から何かお話はございますか。鹿住先生、いかがですか。

○鹿住部会長代理 労側、使側、双方の御意見、本当にごもっともだなと拝聴していたのですが、ただ、労側がおっしゃるように、一旦、3,500億円と決めておいて、達成したらまた次のルールで4,400億円ですと、4,400億円を達成したら、また次のルールになるのではないかという御懸念は本当によく分かります。それで、今、小野委員がおっしゃったように、もちろん、1%の予定運用利回りの確保というのは大前提なのですが、この先、運用成績がどうなるかというのは、皆さん、全て100%予測できるかと言えば、それは難しい話ですので、4,400億円というのが本当に5年かかるのか。あるいは今年度の剰余金の状況で、もしかして5年もかからないのではないかという想定がある程度できるのであれば、仮に案2であっても、比較的早く付加退職金を支給することができる状況になり得るのではないか。そういった5年経たないともらえないというよりは、例えばもう少し早く付加退が支給できるような状況がある程度見えるのであれば、そういったことも十分御説明いただいた上で、御検討いただくということもあり得るのではないか。先のことは分からないですが、ただ、2020年までは何とか景気はもつのではないかということも言われていますので、その辺の予測をしていただいた上で、5年経たなくても付加退職金が支給できるかもしれないという可能性が高いのであれば、そういったことも検討の俎上に上げていただくことはできるのではないかと思います。

○内藤部会長 ありがとうございました。さて、もしほかの御意見がないならば、そろそろ御意見は出尽くした頃かなとも思います。第2案の場合も第3案も、御意見は双方が拮抗していらっしゃるように拝聴したのですが、どちらも4,400億円というのを新たな剰余の目標として設定する。この点については、ほぼ全委員が同意してくださっているところかと思います。私は専門家ではないですが、両案とも大枠はほぼ同じで、先に剰余金を積み立ててしまって安定ということを確保するか、それとも今まで3,500億円と言っていたものが、突如、4,400億円になり、もしかしてその次は4,800億円ということで逃げ水になってしまうと、ある意味では被共済者の同意が得られない。その意味では少しバランスを取ったほうがいいのではないか。その点に一番大きな違いがあると思いました。

 今、小野先生、鹿住先生からもお話いただいたように、もし財政的な差異がそれほど大きくないとするならば、ひとまず制度の安定性と一定の付加退職金の支給という双方のニーズ、バランスを取りまして、それに配慮した形で第3案などを取らせていただくのは、いかがかとも思いますが、ただし、如何せん、先は読めませんので、今後、5年の間に大きな金融ショックが発生して剰余金がかなり不足する。安定的な制度の維持ということに大変問題が起こる。そういったことが起こり得る可能性もありますので、第3案では、そこから回復させるのに付加退職金を支給し続けるというと、またそこは難しいことになるかもしれません。そこは使用者側の委員から大変御懸念の出た点だと思いますが、労働側の委員からの御意見として、今回、第3案を採用しつつも、もしよろしければ将来的な形で何か再度検証を行うような制度を入れる。そういったように再度、部会で議論を行い、必要に応じて見直しを行うといった形で、将来、もう一度見直すことも前提として第3案を入れるのではいかがかと感じますけれども、使用者側の委員、何か御意見がおありでしたら、是非、お願いいたします。

○新田委員 今、部会長のほうから案3ということでお話がありました。もちろん、それは尊重させていただきたいと思います。今、おっしゃった中に将来という部分がありましたが、それは具体的にどういうイメージですか。例えば、ある年度、大幅に運用がうまくいって、その時は付加退職金が払われました。ところが、翌年、急に今度は大幅な損失が出たときに、そこでどう説明が付くのかというのは非常に懸念しているところです。そのときに4,400億円貯まっていれば、もともと問題はないです。ただ、そこに到達する前に、そういう状況が起こったときに非常に懸念があるわけです。そういったことからしますと、先ほど部会長がおっしゃっていたのは、何かそういう変動が起きたとき、将来、また議論する余地を残すようなことを文言なりで入れ込んだらどうかという御提案と私は理解したのですが、もう少し具体的なイメージというか、毎年度やるというイメージなのでしょうか。

○内藤部会長 今、鹿住先生、小野先生から御説明いただいたように、ある意味で財政的にバラ色とは申しませんが、うまくこの剰余金というものを残すことができた場合には、ひとまず今のやり方を続けたとしても、前のほうのページにございましたが、リーマンショックといった非常に大きな変動が出てくる場合、例えば15ページのシミュレーションを拝見すると、正に2年間で数千億円という落差が出てくる危険性があるわけです。ですから、昨年1年間で大変な損失が出始めたという段階で、ある意味、即座に必要に応じて見直しをするといった文言を必要とあれば入れておき、我々、この部会で今一度、検証し直すというのでは、いかがでしょうか。この5年間、必ずこのポートフォリオでいくとか、5年間、必ずこれをというのでは、今回も3,500億円というふうに前回にシミュレーションしたものが、4,400億円になっていますので、これは5年ということを固定として考えるのではなく、今少し柔軟な形で見直し得る何かを加えておけば、ある意味、もう一度我々が部会で話し合うことができるのではないかと愚考した次第です。いかがでしょうか。

○新田委員 御趣旨はよく分かりました。前回、この積立てをするという方式を入れたのは、そこは労側とも共通認識だったと思いますが、単年度で千数百億円の損失が実際に発生したわけです。そのときに共通の危機感を持ったと思っていて、そういう事態に対応するために、こういう新たな、この間のであれば3,500億円入れましょうという仕組みを入れたわけで、またそういう事態が生じる可能性はもちろんあって、今回、4,400億円ということになっているわけです。そうであるならば、今回、案35年というのは示されてはいるものの、今、部会長の御提案にあったような文言を入れていただくことで、そのときにまた話し合って決めるという余地を残していただけるならば、案3でもやむなしという気はいたします。ただ、そこの部分は確実に盛り込んでいただくという条件付きです。

○内藤部会長 労側の川野委員、いかがでしょうか。

○川野委員 今、部会長から御提案いただいた案3をベースに、情勢の変化に応じた見直しも必要に応じて盛り込むということについて、毎年、剰余金のあり方についてはこの部会でどうしますかということをやりますから、その変化を共有して、このままこの付加退職金ルールを運用するのは問題がありということであれば、ここで決めればいいと私も思っていますので、新田委員から御指摘があったとおり文言を入れていただいて、案3をベースとした運用をするけれども、変化に応じてそういう対応を部会の中で決めるとしていただければ大丈夫だと思います。

○内藤部会長 ありがとうございます。ほかの委員から何か御異論はございますか。では、この第3案を採用しつつ、何か大きな金融ショック等が発生した場合には付加退職金の支給方法に関する取扱いにつき、再度、部会で検討し、必要に応じ見直しを行うというように、取りまとめ文書にもそのような文言を明記させていただく形で、取り計らってはいかがかと思いますが、いかがでしょうか。事務局、いかがでしょう。

○平嶋勤労者生活課長 了解いたしました。第3案をベースに、大きな金融ショックが発生した場合には、再度、取扱いについて検討する旨の文言を入れた案を御用意したいと思います。

○内藤部会長 ありがとうございます。それでは、本日の議題につきましては委員の皆様の御意見を踏まえ、次回の部会までに事務局に一般中退共の予定運用利回りの見直しの検討について、部会としての意見案を取りまとめていただこうと思います。また、事務局におかれましては、次回の部会において、今回、定まりました付加退職金支給ルールに基づく平成30年度の付加退職金支給率を御提案いただくよう、お願い申し上げます。本日の議題はこの1つですので、御意見は出尽くしたかと思われます。少し早いですが、本日の部会はこれで終了させていただきたいと存じます。議事録の御署名は、藤川委員と白土委員にお願い申し上げたいと存じます。事務局から何かございましたら、よろしくお願いいたします。

○平嶋勤労者生活課長 お疲れさまでございます。次回の部会につきましては、3月に意見の取りまとめ案、それと、それに基づきまして来年度、平成30年度の付加退職金支給率について諮問させていただきたいと思います。この日程ですが、310日前後の限られた中で、2月末のデータが出るのと官報告示のタイミングがございます。限られた日程での御調整になりますが、よろしくお願いいたします。それから、本日、ペーパーレス会議についてのアンケートを机上に配布しておりますので、申し訳ございませんが、会議終了後に御記入いただけますと幸いです。記入いただきましたアンケートはそのまま席に残しておいていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○内藤部会長 ありがとうございました。それでは、次回の部会につきましては3月に意見の取りまとめ案、及びそれに基づく30年度の付加退職金支給率につき諮問させていただきます。審議会のペーパーレス開催に係るアンケートというものがございますので、よろしくお願いいたします。本日は、これにて散会とさせていただきます。ありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会)> 第68回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会議事録(2018年1月31日)

ページの先頭へ戻る