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2018年3月28日 第5回労働政策審議会人材開発分科会議事録

○日時

平成30年3月28日(水)10:00~


○場所

厚生労働省 共用第8会議室(20階)


○議題

(1) 雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
(2) 職業能力開発促進法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
(3) 職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
(4) 職業能力開発促進法施行規則及び職業能力開発促進法第四十七条第一項に規定する指定試験機関の指定に関する省令の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
(5) 専門実践教育訓練の指定基準に関する施行後3年後における見直しについて
(6) その他

○議事

○小杉分科会長 おはようございます。定刻となりました。定足数には達しておりますので、ただいまから第5回労働政策審議会人材開発分科会を開催いたします。

 本日はお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。本日の出席状況ですが、橋本委員、遠藤委員、美野川委員が御欠席です。河本委員は少し遅れられるということです。

 では、早速議事に入ります。まず議題の14ですが、省令案要綱の諮問案件でありまして、まとめて事務局から説明をしていただいた上で議論をしたいと思います。これらは327日付け及び本日付けで、厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛てに諮問がなされたところであり、これを受けて、本分科会において審議を行うものです。それでは内容について、事務局から説明をお願いいたします。

○金尾企業内人材開発支援室長 おはようございます、企業内室の金尾です。私から議題1の雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱について御説明いたします。

 資料1-2を御覧ください。人材開発支援助成金の説明です。今回、助成金メニューの整理統合を実施いたします。人材育成に係る訓練関係メニューを集約することにより、企業内における人材育成を効果的に推進し、活用したいメニューを事業主の方が選択しやすくすることで、本助成金の活用を図ることとしております。なお、建設労働者技能実習コースにつきましては、一部助成率の見直しを予定していますが、これについては職業安定分科会の諮問事項ですので、こちらでの説明は割愛させていただきます。

 それでは、資料1-2について説明をいたします。下線部分、それから太字についてが今回改正又は廃止する箇所になっています。整理統合の内容としては、現行コースの特定訓練コース、一般訓練コースに教育訓練休暇付与コース、特別育成訓練コース、建設労働者認定訓練コース、建設労働者技能実習コース、障害者職業能力開発コースの各コースを加え、7類型といたしました。教育訓練休暇付与コースについては、個人による主体的な学び直しを支援するために新設をしています。なお、キャリア形成支援制度導入コース及び職業能力検定制度導入コースについては、一定の政策目的を達成したという判断をしたため廃止をしております。

2ページは、各コースの助成率等を示しております。今回新設した教育訓練休暇付与コースにつきましては、助成額を30万円にしております。4ページには特別育成訓練コースを記載しています。こちらのコースについては、キャリアアップ助成金の人材育成コースから名称を変更したものですけれども、人材不足対策の一層の強化を図るために、中小企業等担い手育成訓練を追加しています。中小企業等担い手訓練の概要については5ページに付けさせていただいております。

 次に5ページ下段のマル3「東日本大震災に伴う特例措置の延長」ですが、いわゆる被災3県の岩手、宮城、福島においては復興途中であり、帰還人材の育成など引き続き復興を支援するために、特例措置を1年延長しております。

 資料1-2の後ろに参考資料という形で1枚紙を付けております。人材開発支援助成金の各コースの概要ということで、今般の7類型について一覧表にまとめたものです。こちらはコース名、助成目的、業種・規模・対象者、助成内容、助成率等を記載しています。当該助成金は、訓練を実施した事業主に対する助成金です。建設関係のコース以外は全業種対象となっております。対象区分としては正社員向け、非正規雇用労働者向けと分かれており、更に訓練内容によっても活用できる助成金が分かれているところです。資料等、利用される方々に分かりやすいよう努めてまいりたいと思っております。

 あと2点ほど説明をいたします。資料16ページです。キャリア支援企業創出促進事業においては、行政事業レビューにおいて事業全体の抜本的改善を図るという評価を受けたことを踏まえ、事業としては廃止をいたします。しかし、法律の規定に基づいて国が実施することとしている事業内職業能力開発計画の策定支援等一部事業におきましては、労働局で実施することとしています。

7ページの認定訓練助成事業費補助金については、東日本大震災により被災した施設の復旧に係る施設整備を補助することですけれども、いまだ復旧されていない施設があることから、平成31331日まで延長するものです。以上、時間の関係もあり、雑駁ではありましたけれども、雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案について説明いたしました。

○小杉分科会長 ありがとうございます。では次をお願いいたします。

○波積人材開発政策担当参事官 政策担当参事官の波積です。私からは議題2の職業能力開発促進法施行規則の一部を改正する省令案要綱の諮問について説明をいたします。

 資料2-1を御覧ください。こちらで大臣より諮問がなされているところです。中身につきましては、次にあります資料2-2で説明をさせていただきます。今回の改正の中身ですが、全部で2点あります。1点目は1ページにある別表2の関係で、例年お願いしている中身です。職業訓練の標準的な中身を規定している訓練基準について、近年の社会状況や技術革新、動向などを踏まえ、毎年新たなものに少しずつ改正しています。

 今回の改正の対象ですが、ここに掲げている普通職業訓練のうち以下5訓練系、計15訓練について改正をいたします。類型としては3つに分かれています。第1類型は1から4にかけての金属材料系ですが、安全衛生に関する訓練内容の充実強化に伴う訓練時間の追加ということで、各訓練科でそれぞれ10時間追加をしています。2番目が5から10までと15のメカトロニクスを合わせて7つありますが、溶接に関する訓練内容の充実強化に伴う訓練時間の追加ということで、金属加工系ではマグ溶接について10時間、機械系、メカトロニクス系ではアーク溶接について20時間を、それぞれ追加するというものです。

3点目が自動車系の11から14までの4つですけれども、教科科目名の統一ということで、国交省の自動車整備士技能検定規則が平成26年度に科目が改正されたことに伴い、その整合性をとるために4つの科目を3つの科目という形で修正しているものです。まずこれが1点目です。2点目は2ページを御覧ください。こちらは先般の第3回の分科会でもお諮りをした話ですが、職業訓練の指導員(テクノインストラクター)を充実させるための施策の1つということで、訓練指導員免許の受験資格及び免除資格対象を拡大するという話をさせていただきました。できるものからなるべく早くということで、今回まず措置をさせていただくものです。

 民間資格と公的資格のそれぞれについて追加を予定しておりまして、民間資格については真ん中の括弧の中にあるような形で溶接技能者、溶接作業指導者という資格について、一番下の省令改正案への対応のマル1であるとおり、まず受験資格を付与すること、マル2にあるとおり実技試験免除の規程を追加することの2つをもって対象者を拡大するということです。また、公的資格のうちガス溶接作業主任者免許の所有者につきましては、溶接科の受験資格として別表11-3の中で追加をするといった対応をさせていただくところです。以上が議題2です。

 続いて議題3についても説明をさせていただきます。資料3-1にあるとおり、「職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」ということで、要は資料3-2を見ていただくとよろしいのですけれども、震災特例の延長です。現行で2つありました。災害復旧に必要な人材育成のための特別訓練コースの設定に関する特例措置ということで、引き続き岩手、福島の2県において特例内容を継続するということ、2点目は被災県において実施した求職者支援訓練の就職率に関する特例措置もありましたので、これも同じく両県において引き続き特例措置を継続するといった中身で、諮問をお願いするということです。以上です。

○小杉分科会長 ありがとうございます。続きまして、議題4です。

○瀧原能力評価担当参事官 私から議題4の技能検定制度の改正関係の諮問について説明させていただきます。資料4-1を御覧ください。こちらが諮問文になっておりまして、技能検定関係については職業能力開発促進法施行規則と職業能力開発促進法第47条第1項に規定する指定試験機関の指定に関する省令、この2つの省令を改正する省令案要綱が4-1です。2枚目以降が中身ですけれども、具体的なものについては資料4-2に従って説明させていただきたいと思います。

 資料4-23ページを御覧いただけますか。対人サービス分野を重点とした検定制度の整備を図るためということで、平成26年度から2か年について4職種ずつ業界検定スタートアップ支援事業という形で8職種の検定化を支援してまいりました。対象職種ということでマル1からマル8のものがありますけれども、このうちのマル1の小売業/販売スタッフと、マル2の健康産業/店舗運営につきましては、昨年731日の分科会での諮問、答申を経て、昨年1024日に省令改正を行い、技能検定化を進めました。

 今回お諮りさせていただくのは、マル5宿泊業とマル7のブライダル業の2つについてです。なお、残っておりますマル3マル4マル6マル8ですけれども、これについても今、鋭意技能検定化のために業界団体と詰めておりまして、職種によって進行具合に差が出ていますけれども、来年度以降全て技能検定化を進める形で作業をしています。

 今回の対象になる2職種について説明いたします。1ページを御覧いただけますでしょうか。ブライダルコーディネート職種の職種新設についてです。技能検定試験の概要ですが、ブライダル業において顧客ニーズに沿った挙式・披露宴を企画・提案し、遂行する業務という職種でして、挙式・披露宴等を行うに当たり、必要な技能を対象とした複数等級(1級、2級、3)を設定しての技能検定を予定しております。業界団体である公益社団法人日本ブライダル文化振興協会から、指定試験機関としての申請が提出されています。

 職種新設背景・理由ですが、日本ブライダル文化振興協会が実施している「アシスタントブライダルコーディネーター検定」をベースにしており、この検定は、平成28年度の受検者数が約3,900名ということで、一定程度の継続的な需要があるものと考えています。県によって多寡の差はありますけれども、事業所も全国的に相当数存在しているということでありまして、技能検定化の要件を満たしているということです。

 中身の審査ですが、本年2月に日本ブライダル文化振興協会から指定の申請があり、職業能力開発専門調査員による審査を経て、適当であるという回答を得たことを踏まえて、今回諮問させていただくものです。この改正省令については、御答申いただければ、今年5月中に公布、同日施行という形にさせていただき、平成30年度下期からの試験実施を予定しております。これが1つ目です。

 続いて2ページを御覧ください。「ホテル・マネージメント職種」ということで、ホテルの経営管理業務に従事する職種です。ホテルにおける宿泊・料飲・宴会部門の経営管理を行うに当たり必要な技能を対象として、複数等級(1級、2級、3)という形で試験を実施したいというものです。業界団体としては、ホテル業界検定スタートアップ支援協議会、このスタートアップ支援事業に関わって設立されたものですけれども、ここを指定試験機関として指定申請をされているものです。こちらについても事業所数については平成26年で言いますと4万強の事業所がありホテル業界でありますので、全国的にも広がりがあるということで、相当数の対象労働者が存在しているものです。

 こちらにつきましても、今年の2月にホテル業界検定スタートアップ支援協議会から指定試験機関の指定申請がありまして、職業能力開発専門調査員の審査を経て適当であるという回答を得たことを踏まえて、今回諮問するものです。こちらも先ほどのブライダルコーディネート職種と同じでして、御答申がいただけましたら、今年の5月中に公布、同日施行を予定しており、平成30年度下期からの試験実施を考えています。

 以上が諮問の内容です。併せて資料8を御覧ください。こちらにつきましては同じ技能検定関係の省令改正ということで、併せて説明させていただければと思います。こちらは諮問ではありませんで、報告内容になりますけれども、技能検定について職業能力開発促進法施行規則の一部を改正する省令の概要という形で説明させていただきます。

1ページです。こちらは既に昨年1019日に公布しておりまして、一番下にありますけれども今年の41日から施行を予定しているものです。中身については2点あります。1つは、近年の技術動向等を踏まえての見直しで、内装仕上げ施工について「化粧フィルム工事作業」を追加するもので、それに伴って試験科目の範囲を改めて定めたということ、短期課程の普通職業訓練について、教科に化粧フィルム施工法を追加したというのが1点目です。

 もう一点は、樹脂接着剤注入施工についてです。これは現在、単一等級でやっているのですが、複数等級化し1級、2級を設定するというものです。これに伴いまして、試験科目及びその範囲を改めて定めたというのと、こちらも短期課程の普通職業訓練について、単一等級技能士コースとなっているのを削除し、1級及び2級技能士コースの中に樹脂接着剤注入施工科を追加したというものです。これが2点目です。

2ページからは5点あります。最初が防水施工職種で、こちらは近年の産業技術の動向を踏まえて、防水施工職種に新たに「改質アスファルトシート常温粘着工法防水工事作業」を追加し、それに伴う所要な措置をするというものです。

2番目が製版、印刷職種に係るもので、こちらは業界では今はもう製版という言葉が使われていないということで、今後この職種を受けていただく方に対しての広報の面も含めて、製版という職種名称を「プリプレス」職種に変更するというもので、それに伴って製版と印刷職種の中の試験科目及びその範囲に製版という言葉が入っておりますので、その部分を見直すというものです。

3ページですけれども、金属熱処理職種の関係です。こちらについては金属熱処理職種の実技試験の実施方法について現在、「判断等試験」と「計画立案等作業試験」というのをやっているところですが、ここに「製作等作業試験」を加えるというものです。

45ですけれども、こちらは法律の改正に伴うものです。まず農業機械整備職種ですが、こちらについては「農業機械化促進法」が平成3041日に廃止されることに伴い、この職種の学科試験の範囲にこの法律の記載がありますので、その部分を削除するというものです。

 最後の5番ですが、「農林物資の規格化等に関する法律」の名称が平成3041日に、「日本農林規格等に関する法律」に変更されることに伴って、それに関係している「ハム・ソーセージ・ベーコン製造」職種、「水産練り製品製造」職種、「みそ製造」職種について学科試験の範囲にこの法律の記載がありますので、その名称を変更するというものです。これについては本日になりますけれども、省令改正の公布を行いました。施行につきましては2段階に分かれております。防水施工職種の作業追加と金属熱処理の試験の追加については平成3141日、残りの名称変更や試験科目の中での法律面の見直しの部分については、平成3041日から施行を予定しています。資料8は報告事項でしたけれども、技能検定関係の見直しの説明をさせていただきました。以上です。

○小杉分科会長 それでは、議題1から議題4の諮問案件及び、ただいまの説明を加えて、まとめて皆様から御質問、御意見をお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。

○松井委員 資料1-2の最初の議題の人材開発支援助成金の整備、統合に関してお伺いします。これを見ると、キャリア形成支援制度導入コースのセルフ・キャリアドック制度の支援、技能検定合格、社内検定制度の3つについて廃止ということだと思いますが、廃止の理由についてはいろいろあるのだと思いますけれども、セルフ・キャリアドック制度にしても、まだ言葉すら余り定着していない状況だと思いますし、社内検定制度についてホームページを拝見しますと、導入されているのは49企業団体ということで、まだまだ普及しているとは言い難い状況だと思います。その助成金の廃止についてはいろいろな理由があるのだと思いますが、今後、どのような形でこの制度について普及・促進をしていくのか考えがあればお聞かせいただきたいと思います。

○小杉分科会長 ありがとうございます。事務局、お願いします。

○松瀬キャリア形成支援室長 セルフ・キャリアドック制度について御説明したいと思います。委員が御指摘のとおり、セルフ・キャリアドック制度は、まだまだ言葉自体も十分に広まっている状況ではありません。平成2829年度の2年間において、セルフ・キャリアドック導入支援事業を行いました。昨年10月頃には、セルフ・キャリアドックの導入マニュアルを作成しまして、現在、その導入マニュアルを使って周知、広報をやっております。これだけでは当然不十分だと考えております。平成30年度においては、セルフ・キャリアドック普及拡大加速化事業として、東京と大阪に各拠点を設けてキャリアコンサルタントを配置し、個々の企業のセルフ・キャリアドックの導入を、個別、具体的に支援していくという取組を始めようとしているところです。以上でございます。

○小杉分科会長 社内検定についてお願いします。

○瀧原能力評価担当参事官 能力評価担当参事官室です。社内検定については、今後も更に普及させていきたいと考えておりますので、助成金という形ではありませんけれども、委託事業の中で広報と、広報に基づいて関心を持っていただいた企業に対して、社内検定を企業においてやることの支援という形で進めています。これは今も進めておりますが、来年度以降もしっかりやっていきたいと考えております。

○小杉分科会長 個別の支援ということですね。よろしいですか。

○松井委員 はい。

○小杉分科会長 ほかに皆様から御質問はありますでしょうか。

○小倉委員 ただいま御質問があった件で、関連して質問させていただきます。職業能力検定制度導入コースについては、廃止することで記載されておりますが、技能検定合格報奨金制度については、確か3年前に創設された制度と承知しております。厚生労働省の助成金で3年というのは、期間としては極めて短いという認識をしておりまして、先ほど、一定の政策目標を果たしたということがありましたけれども、その具体的な中身について、もし分かれば教えていただきたいということと、実際にどの程度の実績があって、今回、廃止という判断をされたのか、その点について教えていただければと思います。以上です。

○小杉分科会長 職業能力検定ですが、どちらから。

○金尾企業内人材開発支援室長 実績については、技能検定合格報奨金制度ですが、計画認定件数で、今現在8,449件です。この件数の多い少ないについては、一概に判断はできないところですが、利用されている方が、ほぼ中小企業であるということ。それから、同様に全体の導入コースの実績で、計画認定件数が10万件を超えていることも含めまして、制度導入については、今回は廃止すると考えております。

○小杉分科会長 報奨金の廃止の理由は、この程度でということですね。ほかにいらっしゃいますか。

○大久保委員 技能検定職種の新設についてお聞きします。これは業界検定として8業界団体の新しい技能検定を作る、その立ち上げを支援するというものですね。

○小杉分科会長 資料4-2に関してですね。

○大久保委員 そうです、資料4-2です。その中からこういう形で、順次整ったものが技能検定化されているということは結構なことだと思います。確認ですが、もともとの技能検定に関しては、ものづくりの領域については、かなり充実して、網羅性も非常に高い一方、サービス業に関しては、まだまだ一部でしかないということで、業界団体による指定試験機関方式を通じて技能検定のカバレッジを広げていくということのもとに、スタートアップ事業をやってきたということだと思います。この8団体によって、新しく技能検定化されつつありますが、まだサービス業の領域においてのカバレッジは、ごく一部でしかないと思うのですが、今後新たな業界団体による指定試験機関方式によるサービス業領域での技能検定の設置については、促進をしていくということの方針は変わっていないのでしょうか。

○小杉分科会長 事務局、お願いします。

○瀧原能力評価担当参事官 今、大久保委員からお話があった件ですが、このような対人サービス分野も含め、サービス分野全体についての技能検定化というのは、これからも進めていく必要はあると考えております。この事業自身、スタートアップ支援事業は、こういった取組の取っ掛かりというものとして、8団体に対し手厚く実施した部分はありますけれども、これと同じような形で進めていくのは効率性の点も含めて難しいかと思っております。ただ、今回の成果を踏まえて、対人サービス関係の部分の検定化を進めるところのノウハウなり、ポイントなりをマニュアル化という形にすることを、現在、進めております。それのベースにしつつ、今回の諮問も含めて4業種になりますが、最終的には8業種の全てについて、やったことの成果をできるだけ広報というか、例えば、先般ですと、販売に関する技能検定があることをしっかり伝えて、関連のあるサービス分野の方々にも、やはり検定を置くことによって職員の能力向上、あるいは、人材の確保、更には人材を呼び寄せるという意味でも、効果があるということをしっかり伝えて、その分野の検定化が、今後も進むような形での取組を進めていきたいと考えております。

○大久保委員 ありがとうございます。実際に業界検定の立ち上げに私も関与させてもらいましたが、技能検定までたどりつくのは大変なのだとわかりました。クリアしなければいけないことがたくさんあって、これは担当室のサポートがあったからできたところもあると思うので、この8団体がやったところで生み出されたノウハウとか、具体的なファクトを、是非、オープンにしていただきたいと思っております。よろしくお願いします。

 もう1つは、資料1-2の雇用保険の人材開発支援助成金、今回は7類型ということで統合されたということですが、資料1-3のような形で一覧表にまとめていただいて、どういう対象に、どういう助成内容で、どういう助成率でというような形にしていただくのは、大変分かりやすいかなと思っております。

 毎回文句を言って申し訳ありませんが、どうしてもコース名が大変分かりにくく、気になってしようがないのですが、実際に対象団体がどういう団体で、助成内容がどうなのか、全体が俯瞰的に見えるということは、とても大事だと思っています。今回、資料1-3のようなものを作っていただいたのですが、こういう形のものを広報でも使って普及させていただくといいかなと思います。

○小杉分科会長 ありがとうございます。ほかにありますでしょうか。

○上野委員 資料2-2で今回、科目が若干修正され、訓練時間が追加されていますけれども、特に溶接のところで訓練時間が20時間追加されています。これによって現場の負担が懸念される点と、もう一点、今回、科目の統一について、自動車整備士技能検定規則などの実技試験科目との整合性を取るために自動車系の訓練から機械操作基本実習をなくすとありますけれども、これは、もともと不要だったのか、それが不要になったのかということを含めて、この経緯を少し聞かせてほしいと思います。2点です。

○小杉分科会長 事務局、お願いします。

○波積人材開発政策担当参事官 まず、二点目のご質問の科目名の統一ですが、これは単純に国交省の科目の中身が変わったことに伴う、本当に整合性を取るための改正でして、経緯としては、まさに国交省の規則が変わったからというのが理由です。また、最初のご質問の件でありますが、マグ溶接とか、アーク溶接のそれぞれ時間が増えますが、これは実際にそれぞれの現場で必要なものがあるということを、専門調査員の先生方に色々とご議論をいただきまして、このぐらいの時間の追加であれば、何とかこなせるのではないかという議論もあった上で、今回、追加させていただいているものです。

○上野委員 分かりました。

○小杉分科会長 よろしいですか。御質問、御意見はありますでしょうか。特にないようでしたら、それでは、本分科会として、議題1から議題4の諮問された案件について、いずれも妥当と認める旨を、私から労働政策審議会会長宛て報告したいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、事務局から報告文()の配布をお願いいたします。

(報告文()配布中)

○小杉分科会長 それでは、お手元に配布された報告文案により、労働政策審議会会長宛て報告することとしてよろしいでしょうか。

(異議なし)

○小杉分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告させていただきます。

 では、次の議題5に入ります。「専門実践教育訓練の指定基準に関する施行後3年後における見直しについて」です。内容について、事務局から説明をお願いします。

○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 若年者・キャリア担当参事官室です。議題5に関わりまして、お手元の資料5に基づいて御説明申し上げます。前々回、前回に引き続きまして、専門実践教育訓練指定基準の3年後の見直しについて、御審議いただくための基礎資料です。

1番は、前回の審議の中で御指摘いただいた事項に関連して、事務局において整理した資料です。そのうち、2ページ目、専門実践教育訓練の基本コンセプトの再整理(対比資料)として準備させていただいた資料です。こちらに関しては、前回の本分科会において、後ろの参考資料の1718ページに前回お示しした関連資料を再掲的に、この中に入れさせていただいております。前回、これら資料に基づきまして、専門実践教育訓練の基本コンセプトに関わる事務局としての整理について御説明申し上げる中で、制度創設時の考え方と、今回、事務局から提示した明確化・再整理の考え方の異なる部分、共通の部分、この関係が分かりにくいのではないか等の御指摘を頂いたことを踏まえて、対比という形で再整理させていただいたものです。2ページにお戻りください。

 左側が制度創設時の考え方のポイントです。右側が、ただいま申し上げたように、今般の3年後の見直しに当たって考え方を明確化、あるいは再整理すると、このような整理が可能ではないかということで掲げた内容です。横串的になっているキャリア形成に資するという考え方、あるいは、下の2つのところですが、習得能力量の代理指標としての時間数、期間の基準の考え方、あるいは資格受験・合格、就職率の実績等の考え方、これは制度創設時と基本的には変わっていないというように整理できるのではないかという意味合いです。

 ここの少し考え方が変わっているという整理が可能ではないかという部分、大きく2点になります。まず、上の「中長期」という考え方です。制度創設時においては、教育訓練の効果を10年程度活かせる能力習得を目指すという考え方の御整理いただいたものです。その間の部分にあるように、この間の専門実践教育訓練給付制度そのものに関わるインターバル要件の見直し、また、産業構造の変化や、技術革新の加速等の実態を踏まえるならば、今回の見直しの検討に当たっての考え方、再整理として、教育訓練の効果を分野に応じ、310年程度活かせる能力修得を目指すといった整理が可能ではないかということです。

 また、下の「専門的かつ実践的な教育訓練」の考え方です。制度創設当時は、現状でいうところの課程類型13まで、3つの類型に限定されていたということで、ここにあるような、それぞれの課程類型に応じた専門的かつ実践的教育訓練ということでの、質保障の考え方を御整理いただいたものです。こちらに関しても、その間の青字にあるように、本制度創設時後の各般の政府方針、新たな専門的・実践的な教育訓練制度の整備などを踏まえての、この間の課程類型追加に関わる本分科会における議論の経過なども踏まえて、より大括りに、現行でいうところの課程類型マル1国家資格の養成課程、課程類型マル5高度なIT資格取得を目指す教育訓練に関しては、国家資格、特に高い成長性が期待できる民間資格の取得に直結するという考え方。また、これ以外の4つの課程類型が該当するものと理解しておりますけれども、教育訓練の質が技術革新、市場ニーズ、その変化等にも対応した専門的実践性を備えたものであることを国が保障する厳格な仕組みが具備されているもの。このように、より大括りな考え方の整理ができるのではないかという意図です。

 また、前回の本分科会において、こうした専門実践教育訓練の考え方を考える際に、教育訓練の効果という観点はもとより、雇用保険制度としての支援という点を、十分勘案すべきであるという御意見を頂戴したところです。そうした御意見も踏まえて、ペーパーの性格上、大変端的な表現になっております。一番下の2行ですけれども、指定基準のあり方検討に当たり、雇用保険制度としての負担と給付の均衡など、様々な視点がありうるかと思いますが、こうした観点も勘案する必要があるのではないかという点についても触れさせていただいております。

3ページ、前回の分科会において、専門実践教育訓練給付制度があることによって、実際の受講促進がどの程度図られたのかという御指摘があったところです。これに関しては、先に(2)のほうから御説明申し上げます。毎年度実施している専門実践教育訓練給付を受給された方に対するプロバイダーを通じたアンケート調査があります。したがって、受給者全員から回答ということにはならないわけですが、平成2710月時点での調査対象者全数から60%の回答、したがって、n値は2,700余りです。この方々を対象に円グラフにあるように、給付金がなければ経済的理由により講座を受講できなかった。給付金の支給を踏まえ、講座を受講した。何がしかの受講決定の背景、理由の1つになっているという意味合いと理解しております。また、給付金の支給の有無とは関係なく受講した。この3つの選択肢のもとで、回答を得ているところです。こちらにあるように、最初の選択肢が3割、2つ目の選択肢が4割弱、3つ目の選択肢が3割ということで、全体としては回答者の7割が給付金がなければ受講できなかった、あるいは、この支給が講座受講の1つの理由になっている回答です。ちなみに、回答者の受講課程類型としては、第1類型の国家資格の養成課程と、第3類型の専門職大学院の2つの類型が圧倒的多数ですけれども、2つの課程類型の受講受給者ごとに今、申し上げた3つの選択肢の回答率については、ほとんど差がないという状況です。

 また、関連して、前回の分科会において、それぞれの課程類型ごとの受講費用や、あるいは、本人負担額等に関して、何点かの御意見を頂戴したところです。これに関連するデータといたしまして、課程類型ごと、また全類型合計の1人当たり平均の受講費用及びその内訳としては、専門実践教育訓練給付の平均支給額、また、その差額としての実質本人負担額。これは入念的に申し上げると、単年のデータということではなく、この調査時点において受講を修了している方についての、2年受講であればその2年分という意味合いです。全体としては、受講費用の平均額が93万円余、それに対して、平均支給額が41万円余、差額の本人負担額が52万円余となっております。課程の期間が、単の類型に比べて明確に短い第4類型については、それに比例する形で受講費用の支給額も、本人負担額も低い額となっております。それに対して、第2類型、第3類型が受講費用、また、本人負担額、支給額がともに高額で、それに比して、第1類型は、その中間的な位置付けということになっておりますが、注書きも併せて御覧いただければと思います。

 本データに関しては、平成293月末までの修了者を対象とした集計です。前々回に御報告申し上げておりますように、現状では、専門実践教育訓練の受講者の、かなりの部分を第1類型、さらにそのうちの3年課程の看護師等の課程受講受給者が占めているという状況です。今ほど申し上げたデータの取り方から、第1類型には3年課程の実績は全く反映されていないという状況です。3年課程の受講費用については、別途、把握をする中では、アベレージ、注書きの一番下の行にあるように、240万弱といったデータもありますので、この3年受講の方が反映された時点でデータを取った場合には、恐らく第1類型、第2類型、第3類型については、受講費用なり、あるいは支給額、本人負担額について大きな差はないというデータが出てくるのではないかと見込んでいるところです。

 続いて、2.専門職大学等に関わる資料について御説明いたします。前回の分科会において、質疑を通じ、前々回、私ども事務局のほうから御検討いただきたい論点として、提示した内容に関わる、言わばファクトベースの資料については、できるだけ年度中に、一通り御報告を申し上げたいということで説明を差し上げておりました。それに関わりまして、論点に御提示している文科省で、現在整備をしている職業実践性を企図した新たな教育訓練課程に関わりまして、以下の資料は、いずれも文部科学省から提供を受けた関連資料ということで、私のほうから、本日、御報告を申し上げるものです。

 次ページ、はじめに、専門職大学等に関わってです。これについては、昨年9月第2回の人開分科会において、ほぼ同旨の1枚紙で専門職大学、制度化された時点で御報告していたところです。現在、専門職大学の制度化に併せ、後ほど御説明いたしますけれども、設置の認可申請等の手続が、今、進みつつある段階です。より具体的な内容について、御報告を申し上げる次第です。5ページにあるように、専門職大学、上にあるような高等教育を巡る状況変化等を踏まえ、この中段の枠組みにあるように、高度な実践力と、豊かな創造力を兼ねそろえた専門職業人材の育成をすることを目的として、新たにできた学校種です。幾つかの例が掲げられておりますが、各分野における複合能力を備えたという意味での実践力、創造力といった意味合いがあるものと私ども解しているところです。そのような観点から、職業実践的教育を行う新たな学校種として、現在の大学、短大、また専門学校がそれぞれ備えているリソースを組み合わせた形で新たな学校教育課程を、広い意味での大学体系の中に位置付けていくという考え方です。

6ページ以下が、より具体的なこの制度設計の考え方です。6ページにあるのが、教育課程の編成方針です。これまでの一般の大学にない基準として、ここにあるような地域の産業界、地域社会等の連携による「教育課程連携協議会」といった場の設置の義務付けをしまして、そこに地域の事業主団体、職能団体等の関係者の参画を得た上で、後ほど更に説明を申し上げますが、マル4にあるような臨地実務実習といった企業の協力を得て実践的な教育訓練に重きを置くという考え方です。

 次ページ、より具体的な教育課程についての説明内容です。この表にあるように、大きな4つの授業科目区分が設定されています。その中でも、取り分け、2つ目の職業専門科目、またその次の展開科目、この辺りに、より力点が置かれているという説明を受けているところです。これらの、言わば具体的な内訳として、その下の行にあるように、実習等による授業科目が1,200時間相当以上、さらにそのうち、企業等での「臨地実務実習」、いわゆるインターンと捉えていただいてよろしいのではないかと思いますが、これがそのうち、600時間以上、これらが卒業要件になっています。また、一番下の行にあるように、実践能力修得という観点から、少人数教育ということを要件化しているという内容です。

8ページ、教員や、社会人が学びやすい仕組みという観点での制度設計です。教員に関してはここにあるように、実務家教員の割合などについての要件化を行っています。また、社会人が物理的に学びやすいということの課程の区分の可能性であるとか、あるいは、社会人としての関連実務経験がある場合には、単位認定若しくは修業年限に通算できるという仕組みについても盛り込まれているとのことです。

9ページ、修了の効果です。広い意味での大学の一環ということで、所定の課程を修めた者には学位が授与されますが、これまでの大学と区分をするという観点から、専攻分野○○学士とした上で、更に専門職、これが学位名ということです。また、大学などと同様に、下の囲みにあるように、大学そのものについての認証評価が定期的に行われる仕組みという説明を受けております。

10ページ、開設に向けたスケジュールです。先ほど申し上げたように、学校教育法等の一部を改正する法律に基づいて、既に設置認可申請、これに基づく審査の段階ということで説明を受けております。本年の後半に設置認可、来年春の第1号開学を目指して、今、具体的な文科省サイドの手続が進行中です。

11ページ以下、これも文科省関連です。「専門学校による社会人向け短期プログラム」についての資料です。これは先ほど申し上げた専門職大学のように既に制度としては創設されているということではなく、現在、来年度早期の制度創設に向けた検討の詰め、準備が進められている段階ということで、構想として具体化をしてきているということで、関連する内容ということで、一括して文科省から提供を受けている内容です。この専門学校による社会人向け短期プログラムですが、一言で申し上げると、現在、専門実践教育訓練の課程類型の1つに、大学等がプロバイダーとなった職業実践力育成プログラム(BP)という課程類型、第4類型がありますが、この専門学校版というように説明することが可能ではないかと理解しております。

12ページ以下で、具体的に御説明いたします。専門学校は現状でも社会人を対象とした実践的職業教育の受皿という性格があり、ここにあるように、一定の社会人を受け入れているわけですが、同時に社会人の様々な学びの制約が十二分な活用に至っていないという問題意識のもとで、文科省に設置されている専修学校の教育の振興のあり方についての検討の場において、この専門学校のリソースを活かした社会人向けの、社会人がより受けやすい単期の密度の高いプログラムを文科大臣が認定する制度の創設が重要ではないかという提言がなされ、それを受けての具体的な検討ということです。

 次ページ、認定制度のイメージです。先ほどBPの専門学校版ということを申し上げたわけですが、より正確に申し上げると、専門学校の課程のうち職業実践性という観点で、一定の基準を満たす者を文科大臣が認定する職業実践専門課程の要件と、先ほど申し上げた職業実践力育成プログラムの要件、それをそれぞれ準用した上で、ただいま申し上げたような目的に即したプログラムを文科大臣が認定していくと。この左側の囲みにある実践的教育プログラムという部分を、ただいま申し上げた職業実践専門課程による科目編成等に関わる基準的な要件、また、職業実践力育成プログラムに定められているような総時間数の、おおむね過半以上を企業連携をした事業内容とする等の要件を組み合わせ担保しようとしているものです。

 そこに更に社会人、取り分け在職者が現実に受講可能という観点で、よりコンパクトなプログラムということで、現在の専修学校専門課程、本課程については、原則2年、あるいは2年以上ですが、2年未満の正規課程、あるいは履修証明プログラムという位置付けで、時間、経済的、コスト軽減を図る。あるいは、プログラム内容、人材像について、受講希望者にとって見えやすいような可視化を図っていくための幾つかの取組の予定をしております。まだ、構想段階ですので、具体的にどのような課程が想定されるかということについては、現在時点で文科省から、必ずしも十二分な情報提供は私ども受けられているわけではありませんけれども、14ページにあるようなIT技術者養成のための正規課程であるとか、あるいは、既に介護分野での一定の実務経験がある方に対する、よりアドバンストな実践能力を修得するための短期の履修証明プログラム、例えば、こういったものが想定される。

 次ページは、現状の専門学校において、2年未満の課程として、どのような分野が中心であるのかということを説明したデータです。現状でいうと、例えば経理・簿記、介護・福祉といった分野での短期プログラムが多数的なことで、こういった分野でのプログラム創設が、一定、見込まれるのではないかという説明も併せて受けているところです。

 以上、現時点で私ども、文科省から提供を受けております専門職大学、また、専門学校を活用した社会人向け短期プログラムの制度設計、あるいは、そのコンセプトについての内容のポイントです。今、申し上げたような制度設計、あるいは、見込まれる中身というものが、前半のほうで申し上げた中長期キャリア形成という概念に合致しうるのかどうかという御議論が当然あり得ようかと思っております。

 この点に関しては、今ほど申し上げたように、まだ具体的に想定されるプログラム内容と、私ども厚労省事務局としても、必ずしも十二分な情報提供を受けるに至っていないこと等々も踏まえて、本日、まずは、このような形で制度設計の考え方について御説明を申し上げ、それについて各委員からお気付きの点等について、幅広く御意見も頂戴した上で、更に文科省から必要な情報提供を受けたり、あるいは、私ども厚労省事務局の立場で直接検証するなどしながら、より具体的な資料について、次回以降に御提示を申し上げたいと考えております。少し長くなってしまいましたが、議題5に関わる事務局からの説明は、以上でございます。よろしくお願いいたします。

○小杉分科会長 ただいまの説明につきまして、皆様から御意見、御質問を伺いたいと思います。

○荘司委員 最後のほうにあった社会人の学び直しの関係です。学び直しに当たって、費用面での支援というのは必要なのだと思いますが、「学習時間の確保ができない」という意見もあったかと思います。そういった部分については、やはり今、勤めている企業の支援というものが非常に重要になってくると思いますので、給付の面だけではなくて、13ページ辺りで「企業と連携して」という記述もあるように、学習時間確保の面についても、企業と連携し、必要な支援をしていくという点を、重点的にお願いしたいと思います。

○小杉分科会長 ほかにいかがでしょうか。

○三村委員 そもそも論なのですが、最初の雇用保険法施行規則第101条の7の第2項の「雇用の安定及び就職の促進を図るために」の「図る」までが、総論なのか各論なのかというところを確認させていただきたいと思います。

 いわゆる個人が高まって、そしてそれが業界を刺激し活性化し、雇用の安定及び就職の促進を図ると読むのか、それとも個人そのものの観点でこれを読むのか。それによって、例えば一番下に雇用保険制度との関連ということがありまして、個人の行為に結び付くではなくて、個人がいわゆるキャリア形成を目指して、専門実践教育訓練を受けて職能を高めることによって、こうした業界全体を活性化させ、それが雇用の安定や就職の促進に結び付くと読むのか。それによって随分と論点が変わってくると思うのですが、その解釈についてお伺いしたいと思います。

○小杉分科会長 これは法律の解釈ですね。どうぞ。

○伊藤若年者・キャリア支援担当参事官 お手元の資料517ページに関係法令の規定がありますので、こちらも御覧いただきたいと思います。雇用保険法60条の21項において、教育訓練給付の目的について、ここにあるように、また、ただいまお尋ねいただいたように、「雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練として、厚労大臣が指定する教育訓練」という定義を置いた上で、さらに雇用保険法施行規則において、「そのうち専門実践教育訓練」という構造です。

 法の定義は一般、専門を含めた教育訓練給付の対象となる教育訓練の定義です。うち、専門実践教育訓練の定義として、今日、考え方の整理として説明申し上げているもののうち、「中長期的なキャリア形成に資する専門的かつ実践的な教育訓練として」という定義が更に加わっています。法令としては、そのような構造になっております。

 ただいま三村委員からお尋ねいただいた「雇用の安定及び就職の促進を図るために」の私どもとしての解釈ですが、基本的には雇用保険被保険者あるいは被保険者であった方、言い替えれば、労働者個人がそれぞれの雇用の安定、就職の促進が図られるものと。雇用保険制度上のコンセプトで言うと、失業という保険事故からの回復あるいは保険事故の未然防止というような捉え方もできると思いますが、基本的にはそのように、雇用保険被保険者、被保険者であった者、その個々人に着目をした上での雇用の安定、就職の促進を図る。あるいは専門実践であれば、更に加えて中長期的なタームでのキャリア形成に資する教育訓練といった捉え方である、と解しているところです。

 ただ、これは法律上そのような整理がされているということで、それを更に政策効果というように考えた場合には、こうした雇用の安定、就職の促進を図るという観点に加えて、この教育訓練を受け、能力開発をした人が、それぞれの企業の中で先端的な事業活動の担い手として、結果として雇用の場を広げていくというような付帯的、派生的効果というものは当然見込まれると。ですから、それについては法令に直接規定されているものではありませんが、政策的な議論をする際にはそうした観点も加味して、議論していくということは大いにあり得るのではないかという考え方を持っているところです。あくまでも人開統括官事務局としての考え方ということで御説明いたしました。

○小杉分科会長 よろしいですか。

○三村委員 はい。

○小杉分科会長 ほかにございますか。

○高田委員 資料の2ページの一番下の所です。先ほども個人に対する雇用保険からの専門実践教育訓練ということで、個人のキャリア形成、もう1つ派生効果的に雇用の拡大を見込めるのではないかという話もありましたが、雇用保険制度としての負担と給付の均衡を考えますと、資料の3ページのマル2に「一人当たり平均支給額」が記載されていますが、私が調べたところによると、専門実践教育訓練の支給額の上限が170万円弱程度が支給されると認識しております。

 ただ、これが雇用保険の基本給付のところのバランスを考えたときに、今でもバランスがどうなのだというように私自身は捉えておりますし、恐らく世間一般でもそのように捉えられるのではないかと思っていますので、これ以上上限を上げるということについては、先ほども言いましたように、雇用保険制度としての支給の均衡という観点からは、今一度御検討いただきたいと思っています。これは意見です。

○早川委員 私の質問は、文科省提供の専門職大学、短期大学学科についての質問です。今回は概要をお伝えいただいただけなので、ここで意見を言うべきなのかよく分からないのですが、資料55ページに位置付けの図がありますが、これは文科省作成の図ですので、大学と専門学校の間を橋渡しする専門職大学、専門職短期大学という位置付けですが、こと文科省の学校制度ということとは別に、今回の制度は恐らく学校制度と職業、実際の就労というものとの橋渡しの制度でもあるような、かつての制度だとDual Systemというイメージが強いように印象としては受けました。

 お伺いしたいのは、これがスタートした際の7ページにある実習です。企業での臨地実務実習を、実習の1,200時間相当の中で要求される600時間が企業での実習ということですが、これが実習として就労というものに近いと思いますので、この際の厚生労働省からの意見としては、この中での処遇というか、学校であれば授業料を払うのでしょうけれども、逆に言えばこの部分は働いているという部分もありますので、一体どうするのかということについては、御検討をお願いしたいと思います。

 もう1つは、この図の中に全く描かれていないのですが、留学生の受入れを想定されているのかどうか。留学生の受入れを想定されていると、この課程の修了後に、日本での就労を認めていくようなことを考えているのか。その辺りをお伺いしたいのです。今日は文科省の話ですので、もしよろしければ。

○小杉分科会長 事務局、お願いいたします。

○伊藤若年者・キャリア支援担当参事官 まず1点目です。ただいま、委員から「Dual System的性格を持った教育課程ではないか」という御指摘がございました。私どもも、現在文科省から説明を受けている内容から同様の認識を持っているところです。より正確に申し上げますと、Dual Systemについては、雇用型のDual Systemと、非雇用型のDual Systemがあり、雇用関係の下で行われる実習かどうかという観点で私どもは概念を整理しております。

 この専門職大学に関しては、原則として非雇用型のDual System的性格を持ったもの、雇用関係、労働ではないものと、我々としては理解をしているところです。したがって、原則として、この臨地実務実習における職場事業主等からの指揮命令を受けるわけではなく、あくまでもそれぞれの企業から、インターンのための場としての協力を受けて行われる。そのためにその条件整備等の観点から、先ほど6ページの部分で申し上げた教育課程連絡協議会等の場で、そうしたルール作り等もしっかりと進めていくというように理解しているところです。

 したがって、ここでは、基本的にはそうした労働法令的観点での課題は発生しない。もちろん、逸脱をした運用が仮になされた場合には、そのような論点が生じ得ると思っておりますが、本制度の本旨に従って運用された場合には、そのような問題は生じないものと理解しているところです。

 また、留学生の関わりは、これも現時点で私どもが文科省から説明を受けている中では、留学生の受入れについて、これまでの大学と専門職大学で取扱いを変える、何か特別なルールを設定するという説明を受けておりません。逆に言えば、留学生がこの専門職大学で履修をすることがあり得るかあり得ないかという意味では、あり得るという理解です。そこから先の話は在留資格等にも関わる話になってくるかと思いますが、ここはかなり関係する省、部局も多岐にわたる部分でもありますので、一度その辺りは点検し、いずれかのタイミングで御報告申し上げたいと思います。

○大久保委員 1つ気になるところがありまして、申し上げます。この資料の12ページでも紹介されているとおり、社会人が考える学び直しの問題点、これは能力開発基本調査の中でも「仕事が忙しくて学び直しの余裕がない」が59.3%となっています。

 一般的に社会人の人たちに対して、企業側が提供している企業内の教育訓練、研修というのは、そんなに長いものではなくて、逆に相当短くコンパクトにやっているものだと思うのです。ここで書かれている文科省の短期プログラムというのは事例を見る限りではそれほど短期ではなくて、十分に長いものだと思います。

 時間的に余裕がなくて、かつ社会人の多くの方々は、学習習慣を持っていない人たちが多いということで言うと、現在専門実践訓練としてメニュー化されているものというのは、平均して重いものが多くて、社会人にとっては学び直しの入り口としては、敷居が高すぎるのではないかと。逆に全体の構成でいけば、中長期のキャリア形成とは言いながらも、もう少し時間数でいくと短いもので技術が習得できるものが選択肢としてはもう少しあったほうがいいのではないかと思っています。その辺はどのようにお考えでしょうか。

○伊藤若年者・キャリア支援担当参事官 一般的な在職者の学びの機会確保という観点から、先ほども同種の御指摘を頂戴したところですが、有効なプログラムの存在・普及、時間の確保、それから経済的支援、この三本柱がきちんとそろっていくということが重要ではないか。専門実践教育訓練給付も、そのうちその経済支援という部分を担っている中心的な制度と、まず我々は理解しているところです。

 その上で、実際の学びの時間確保という観点で言いますと、今、現実に企業内で行われているプログラムの典型例などとの比較で、長期のプログラム。今でも長時間のものが多数を占めています。そういう中で、現在、在職者でこの専門実践教育訓練給付を受講・受給している方については、必ずしも講座数としては多くはない、平日夜間あるいは土日、Eラーニングを含めた通信を受けている方が多数です。いろいろと苦労しながら時間を捻出し、受講しているという実態があるという基本認識を持っております。

 その上でのこの点についての対応ですが、それぞれの企業における教育訓練休暇制度の普及といった、企業の側での学びの環境整備の取組については、1つ大きな柱になってくるということで、この件と関連しつつ、別途検討を進めているところです。このプログラムそのものの時間数という観点で申し上げますと、現状の6つの課程類型の中でも、比較的コンパクトな社会人が受けやすいような課程類型を、高度IT資格習得目標あるいは第4次産業革命スキル習得講座ということで、この場でも御審議いただいた上で、順次整備を図ってきているところです。ここでの短期プログラムの考え方について、まだ私どもは文科省から制度に係る確定的な説明を受けているわけではありませんが、次の13ページにあるように、履修証明プログラムということになった場合には、今の制度で言うと120時間以上です。併せて、この履修証明プログラムの考え方そのものについて、文科省全体として検討している中で、この120時間という履修証明プログラムの下限を更に引き下げて、より短いものも履修証明プログラムに位置付けていくというアイディアも含めて、議論、検討がなされているという説明も受けているところです。

 一方で、受けやすさという観点からすると、そうしたより時間数の短いプログラムのほうが受けやすいという面もあるわけですが、同時に今日のたたき台の資料でも御説明申し上げているような、そうした短いプログラムで中長期的キャリア形成という目的が達成し得るのかどうかという問題、あるいは時間数の問題だけではなくて、先ほど「平日、夜間、土日」ということを申し上げましたが、そのプログラムの設定の仕方について、平日日中連続型しか認めないのか、より社会人が受けやすいような日時設定をするのか、そういう運用上の課題、幾つか関連する課題があるものと我々は考えているところです。

 先ほど申し上げましたように、今日説明した内容については文科省との連携の下で、更に具体的な説明も受けた上で、本分科会に報告申し上げたいと考えておりますが、ただいま委員から御指摘があったような観点についても、私どもとして想定をしているような制度設計、運用というものもしっかりと聞き取った上で、次回以降に御報告申し上げたいと考えております。

○大久保委員 ありがとうございます。全体として、労働者が求めている学習ニーズと提供されている学習プログラムの間に乖離が生まれていないかどうかというのは、常にケアしてみていただきたいと思います。

○小杉分科会長 ほかにございませんか。

○村上委員 今の大久保委員の御指摘の部分と重なるのですが、教えていただきたいと思います。専門学校による社会人向け短期プログラムの件について、どうしても供給側からの議論の色彩が強いのではないかという印象を持っています。訓練を受ける労働者側のニーズというものももちろんありますが、人材を活用する企業側のニーズを、ここでは企業と連携するということで担保するということが書かれていますが、そもそもこの制度を作るところで企業側のニーズをどのように酌み取っているのかということについて、議論の過程を教えていただきたいと思います。

 例えば14ページのイメージ例として、「ITライセンス科」「介護人材アドバンスレベルプログラム」と書かれていますが、こういったものを本当に介護の現場、ITを活用されている現場でニーズがあるのか、そのニーズをどのように酌み取っているのかということについて、本当にそうなのかというのを疑問に思っていまして、そこについての御見解、議論の過程についても教えていただければと思います。

○伊藤若年者・キャリア支援担当参事官 これも私どもが文科省から説明を受けている内容ということになりますが、今日私から御説明した資料で言いますと、例えば12ページの下段に「これからの専修学校教育の振興のあり方について報告」を数行で示しています。文科省に、専修学校教育の振興のあり方検討会議といった、有識者や関係者による本テーマに係る議論の場も設定され、そのアウトプット案はこの社会人向け短期プログラムだけではなく、専修学校のリソースを活用した社会人等に向けた、より有用、多様なプログラムを創出する方向性についての議論、ということです。

 例えば今申し上げた検討会議は、学校関係教育者が多数ですが、産業界を代表するような立場の方もこの検討会議の委員としては入っていたり、文科省から説明を受けている中では、ヒアリング等を通じてプロバイダー側だけではなく、言わば需要側に相当する企業側のニーズについての聞き取りを行ったり、あるいは関連するデータについてもこの検討会の中で俎上に乗せて議論がなされてきた経過があるという説明を受けています。

 その上で具体的な話として、私どもは文科省から今日資料として御説明申し上げているような、非常に数少ないプログラムイメージしかまだ提供を受けていないところですが、こうした個別のプログラムイメージについて、どこまで当該業界関係者、ステイクホルダーの意見が反映できているのかという点については、率直に言って、私どもはまだ十分に聞き取りができていない部分がありますので、ただいま委員から御指摘いただいたような問題意識も踏まえて、先ほど申し上げましたように、更に追加的な聞き取りなり、私どもとしての分析、整理も行った上での御報告を、この分科会で行っていきたいと考えております。

○小杉分科会長 ほかにございますか。

○角島委員 企業の採用の観点からです。これは文科省に御意見したほうがいいのかもしれませんが、資料55ページですが、先ほども御意見があったと思いますが、大学、短大と専門学校の中間的な所ということです。これは私たちの採用で言えば、現存する所で言えば、特に短大のところで言えば、高等専門学校(高専)です。それとどう違うのか。例えば大学でも、今はものづくり大学というのがあったりするわけですが、どちらかと言うと、特に短大のほうで言えば、昨今短大がどんどん廃止されている中で言うと、教育期間が2年ないし3年というのは短いのかなという気がしています。

 私どもの採用でも、例えば理工系の学生で言えば、今は75分以上が修士卒以上という実態がある中で、4年制はいいのですが、23年の短大というニーズがどこまであるのかなというのは、個人的には疑問に感じるところで、本当に作るのかどうかというところです。以上です。

○小杉分科会長 私からも一言ございます。まず、短期のプログラムのような話ですが、その辺は文科省が提供するプログラム以外に世の中にはたくさんあるわけで、一番多いのは、事業主団体、商工会などで短期のものはかなり出されていて、ですから文科省サイドの意見ではなくて、こちらから全体を見た中での文科省のプログラムの位置付けという考え方が必要ではないかなと思います。また、文科省のものが長くなるのは、ある意味ではそれは特徴ですから、体系的な教育というのがこれらの教育機関の特徴なので、そういう意味では棲み分けのような形で考えていく必要もあるかなと思います。

 今回の専門職大学ですが、ここでは間のような取り方をされていますが、決して全ての領域でこれを広げるという動きには今のところはなっていなくて、2年、3年課程というような所も、もうしばらく様子を見ないと角島委員が懸念されているような形のものの展開というのは、それほどないのではないかと思っております。

 それから、専修学校のほうの短期プログラムというのも正に検討中の話ですが、若干関わっていることを申し上げれば、そもそも専門課程が持っている専門実践課程ですが、その中には教育課程、正に就職先の企業に入ってもらって、どういう課程で教育をしたらいいかということを毎年毎というか、もう少し頻繁に議論する場があって、そういうことを背景に出てきている、そういう仕組みはこのBPの中にも当然入るということが前提ですので、全く需要がない所に手を伸ばすかというと、そうはならないかなと。その辺は、危惧されているような、意味がないものができるということはないのではないかと思っているところです。文科省のこの辺のプログラムは若干関与させていただいていますので、今のところそんなにどうしようもないものが出てくるという感じはないかなと思います。

○村上委員 別の件で、意見や質問をさせていただければと思います。資料の2ページで、前回の資料から少し分かりやすく修正して作成していただきましたので、議論がしやすくなったと思います。書き足していただいた下の「雇用保険制度としての負担と給付の均衡等の観点」についても、今後も是非これを踏まえて議論をしていきたいと思っています。その際は、先ほどの御説明の中にもありましたが、負担と給付の均衡だけではなくて、給付間のバランスということも先ほど高田委員が申し上げた点ですが、そういった点も十分に踏まえる必要があると考えています。

 関連して3ページのアンケート調査の(2)ですが、受講と給付金制度の関係ということでグラフが出されています。御説明では、7割ぐらいが給付金があることと受講との関係があるということでしたが、この数字をどのように捉えるのかは様々な解釈の仕方があると思っております。むしろ、給付金がなくても受講するといったことについて、そちらのほうがより受講のニーズが高いものだったのではないか、給付金があるから受講したという数字が39%あることについて、どう考えるのか。聞かれれば、給付金はないよりはあったほうがいいということもありますので、こういった調査は数字だけを捉えてどうこうするという話ではないのではないかと思っております。

 今後専門実践教育訓練の指定基準などについての議論をしていくことになると思いますが、どういうパターンがあるか、どういうものが候補になり得るかというような、技術的な話が多くなるのですが、そういうことを考える上でも、そもそもこの制度はどのような制度として設計されてきたのかということと、今後どのような視点で考えていくべきなのかということは大事にしていきたいと思っております。訓練機会が十分でない人が主な給付の対象者であると思っておりますし、そういった中で、これまでの受講者の属性や対象の講座を十分に見て、当初想定していた人たちなのかどうかであるとか、今後も必要なのかとか、あるいは社会的に見て公平性及び納得性のあるようなものなのかどうかというところを十分に精査しながら議論していきたいと思っています。以上です。

○小杉分科会長 ほかにございませんでしょうか。それでは、この議題もここまでとさせていただきます。それでは最後に「その他」です。事務局から3つ報告があるということです。まず、「成年被後見人等の権利制限に係る措置の見直し」についてです。事務局から説明をお願いいたします。

○志村人材開発総務担当参事官 資料6について説明いたします。成年後見制度利用促進基本計画(平成29324日閣議決定)ですが、現在、成年被後見人等の権利に係る制限が設けられている制度で、いわゆる欠格条項が数多く存在していることが、成年後見制度の利用を躊躇させる要因の1つになっているとの指摘を踏まえ、これらの見直しを速やかに進めることとされております。

 また、成年後見制度の利用の促進に関する法律(平成28年法律第29)では、成年被後見人等の権利に係る制限が設けられている制度について検討を加え、必要な見直しを行うこと(11条第2)、成年被後見人等の権利の制限に係る関係法律の改正その他、必要な法制上の措置については、この法律の施行後3年以内を目途として講ずることとする(9)とされております。

 そこで、成年被後見人等を資格、職種、業務等から一律に排除する欠格条項を設けている各制度について、心身の故障等の状況を個別実質的に審査し、各制度ごとに必要な能力の有無を判断する規定、これを個別審査規定と呼んでいます。そのように適正化を行うということで、関係法律の規定を整備することとなりました。

 法律案としては、成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律案、本年313日に閣議決定され、今国会に提出しております。人材開発統括官所管の法律において、本件見直しの対象となる成年被後見人等に係る欠格条項を設けている制度としては、職業能力開発促進法における職業訓練指導員免許等に係る規定及びキャリア・コンサルタントの登録に係る規定、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律における技能実習計画の認定等に係る規定があります。上記の方針に基づいて、それぞれ改正を行うこととしており、資料63ページに、予定している改正ぶりや参照条文を付けております。説明としては以上です。

○小杉分科会長 この件について、御質問や御意見はございますか。よろしいですね。それでは、次は「新たな技能実習制度における申請等件数」です。事務局から説明をお願いいたします。

○山田海外人材育成担当参事官 技能実習担当参事官の山田と申します。資料7に基づいて御説明いたします。新たな外国人技能実習制度については、一昨年の11月に技能実習法が成立し、昨年の11月に施行されているところです。この新しい技能実習制度においては、様々な指摘をされていた問題を適正化するために、まず1番の管理団体です。管理団体というのは受入事業所が直接外国から実習生を募集するということは実際にはなかなか難しいので、事業共同組合などの団体の会員となって、その事業共同組合などが管理団体として外国の送出機関と協力して、技能実習生の候補者を募集していくといった、国境を跨ぐ職業紹介の機能です。もう1つは、受け入れた後の技能実習が適正に行われているかどうかを傘下の組合員の所に、3か月に1回以上の頻度で監査に行くなどの業務を行うものとして、管理団体を位置付け、こうした管理事業を行うためにはあらかじめ主務大臣、法務大臣、厚生労働大臣の許可を受けなければならないということになっております。

 そして、この許可を受けるためには、まず外国人技能実習機構に対して、窓口として許可の申請をし、その一定の審査を経た後に、許可の前に労働政策審議会、具体的にはこの分科会の下の管理団体審査部会において審議を経ていくというルールになっています。

 今年の34日時点ですが、申請件数は全体で2,165件です。そのうち、既に審議を経て許可をした件数が1,973件ということです。内訳として、一般管理事業、特定管理事業とありますが、新制度においては一定の優良な要件、例えば技能実習生が受ける技能評価試験の合格の実績とか受入体制その他についてポイント化をしておりますので、一定の優良要件をクリアしたという所については、一般管理事業を行う団体として許可をする、それ以外の団体については特定管理事業として許可をするということになっています。

 ちなみに、一般管理事業として許可を受けた場合には、従来の制度では最長3年間の実習ということでしたが、一定の要件の下、実習生が更に4年目、5年目の実習までできるといったこと、あるいは受入枠も一定の要件を飲むと拡大することが可能だといった形になっています。

 ちなみに、更に内訳で介護職種とありますが、介護については一定の上乗せ要件がありますので、それもクリアしたという団体については、介護職種も扱える、あるいは介護専業という所も中にはありますが、そういった所が申請が252あったうち、172に既に許可をしているということです。

 次の2番ですが、技能実習計画というのは、新たな制度の下で実際に個々の実習生を受け入れるごとに、それから実習生が1号、2号、3号というように段階を上がっていくごとに、技能実習計画というものを受入企業が作りまして、その中には技能実習の実習の内容、処遇、受入れに当たっての体制といったものをきちんと整理していただいて、基準に基づいてそれらをクリアするというものについては認定し、この認定があって、初めて最終的に技能実習を行うことができるといったものです。

 法律上は、技能実習計画の認定については、全て法令に基づいて外国人技能実習機構に委任されております。現在、全体として86,143件出ておりますが、既に認定が終わっているのが36,296件です。

 実は、技能実習法の施行が昨年の111日でしたが、その後の3か月間は経過措置があり、一定の要件をクリアすることを前提に、旧制度のまましばらくいけるというものがございました。ですから、実際は2月以降、今後更に申請が本格化してくることになろうかと思います。以上です。

○小杉分科会長 この件について、御質問や御意見はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、次に「ジョブ・カードと建設キャリアアップシステムとの連携」についてです。事務局から説明をお願いいたします。

○松瀬キャリア形成支援室長 資料9「ジョブ・カードと建設キャリアアップシステムとの連携」についてを御覧ください。上の四角囲みの最初の○にあるように、先の分科会において、ジョブ・カードの様式の改正等について妥当という答申を頂いたところです。

2つ目の○です。現在、建設業においては、建設キャリアアップシステムと言いまして、建設技能者の資格や現場での就業履歴等の情報を蓄積する仕組みを構築しているところです。下の絵の一番左に、建設キャリアアップシステムのイメージ図があります。これは、今年の4月から登録が開始され、今年の秋から運用が開始ということです。この秋の運用開始に合わせて、建設キャリアアップシステムに蓄積されている情報と、必要な項目を補う様式を付加的に作りまして、これは正しくジョブ・カード様式の弾力化で、編集が可能になったことによって実現した仕組みですが、これを合わせてジョブ・カードとして活用しようということを考えております。これにより、建設労働者について、担い手の確保や建設技能者のキャリアアップのための諸施策とのひも付けが可能になるということです。

 今後は国交省と連名で、建設業事業者団体等に施策の通知をする予定としております。以上です。

○小杉分科会長 この件に関してはいかがでしょうか。よろしいですか。ほかにないようでしたら、この議題もここまでとさせていただきます。本日の議題は以上ですが、委員から何かございますか。ないようでしたら、本日の議論はここまでとさせていただきます。

 また、次回は524()10時からの開催を予定しております。どうぞよろしくお願いします。本日の署名委員として、労働者側は小倉委員、使用者側は小松委員にお願いいたします。本日はこれで終了いたします。御協力ありがとうございました。


(了)

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