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2018年2月8日 第5回放課後児童対策に関する専門委員会 議事録

子ども家庭局子育て支援課健全育成推進室

○日時

平成30年2月8日(木) 10:00~12:00


○場所

厚生労働省 共用第6会議室(3階)


○出席者

委員

柏女委員長 安部委員 池本委員
植木委員 小野委員 金藤委員
清水委員 中川委員 野中委員
山田委員

オブザーバー

西川文部科学省地域学校協働推進室長
木田 保男氏
黒柳 いずみ氏
清水 利昭氏

参考人

放課後児童クラブ利用の保護者の方
木田 保男氏 (全国学童保育連絡協議会 会長)
白川 真理氏 (社会福祉法人育和会NIKO NIKO児童館 館長)
大堀 純子氏 (社会福祉法人育和会NIKO NIKO児童館 主任)

事務局

吉田子ども家庭局長 成田大臣官房審議官 川鍋子育て支援課長
鈴木健全育成推進室長

○議題

1.関係者からのヒアリング(2)
2.その他

○議事

 

○鈴木健全育成推進室長 定刻となりましたので、ただいまから第5回「放課後児童対策に関する専門委員会」を開催いたします。

 委員の皆様には、お忙しい中お集まりいただき、まことにありがとうございます。

 本日も、委員全員に御出席いただいております。

 また、本日はこれまでの議論を踏まえた検討の方向性に盛り込まれている量的拡充、また、質の確保につきまして検討いただくに当たりまして、事業者団体、保護者並びに民間事業者の皆様から直接御意見をいただく場を設けさせていただいておりますので、ここで参考人として御出席の方の紹介をさせていただきます。

 放課後児童クラブ利用の保護者の方でございます。

 全国学童保育連絡協議会の木田保男会長様でございます。

 社会福祉法人育和会NIKONIKO児童館の白川真理館長様、大堀純子様でございます。

 後ほど説明していただく時間をとっておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 さらに、前回から地方団体関係者にも加わっていただいて、議論を進めさせていただいておりますけれども、本日は前回御欠席でありました、全国町村会から御紹介いただきました新潟県聖籠町子ども教育課の田中雅義課長様にオブザーバーとして御出席いただいております。手続が済み次第、本専門委員会の委員に御就任をいただく予定となっております。

 田中課長様、一言、御挨拶をお願いいたします。

○田中聖籠町子ども教育課長 新潟県聖籠町子ども教育課課長の田中と申します。よろしくお願いします。

 前回の会議のときにも御案内いただいたところだったのですが、どうしても外せない会議がありましたので、今回初めて参加させていただきたいと思います。

 皆さん、どうぞよろしくお願いします。

○鈴木健全育成推進室長 それでは、議事に移りたいと思います。柏女委員長、どうぞよろしくお願いします。

○柏女委員長 皆さん、おはようございます。

 寒いところ、お集まりいただきまして、本当にありがとうございました。

 特に今日は、前回に引き続き、3名の方に参考人としておいでいただいております。それぞれお忙しいところ、御遠方からもお集まりをいただきまして本当にありがとうございました。お世話になりますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

 それから、きょう新しく田中課長様が御参加をしてくださっていらっしゃいます。市町村、都道府県の役割というものは、この放課後児童対策を考えていく上でとても大事だと思いますので、貴重な御意見を賜れることを期待しております。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、今日は前回に引き続き、関係者からのヒアリングをさせていただき、あわせて若干のフリートーキングを行っていきたいと思っております。

 最初に、事務局から資料の確認と説明について、お願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○鈴木健全育成推進室長 それでは、お手元に配付させていただいております資料の確認、また、資料3と参考資料につきましては若干の説明をさせていただきます。

 資料1「これまでの議論(第1回~第4回)における主な発言要旨」。

 資料2「第4回の関係者からのヒアリング(1)における主な発言内容」。

 資料3「これまでの議論を踏まえた論点整理と検討の方向性」。

 資料3をちょっと見ていただきますと、6ページ目でございます。前回、事務局から御説明しましたとおり、去年の1226日、地方からの提案につきまして閣議決定されたことを踏まえまして、専門委員会での議論と地方分権の場での検討をするものに、とりあえずすみ分けをするということで、質の確保の中の、この【参考】で書いてありますけれども、2つ、(5)と(8)につきましては、この資料からとりあえずは除くということにしております。また「検討の方向性」の中で、前回の委員からの意見を踏まえまして、1か所だけ加筆をしております。

 続きまして、資料4、放課後児童クラブ利用の保護者提出資料でございます。

 資料5、全国学童保育連絡協議会提出資料です。

 資料6、事業者からの提出資料になっております。

 参考資料でございますけれども、議論の補足資料で、ちょっと見ていただければと思います。前回の専門委員会における議論の補足資料ということで、過去、児童館に係る事業で一般財源化をした事業の主なものを掲げております。ちょっと漏れもありますので、また精査したいと思います。

 簡単に説明しますと、児童館につきましては昭和61年度、公営分・民営分につきましても人件費を一般財源化しております。平成9年度に、公営の事業費につきまして一般財源化。最終的に平成24年度、民営分の事業費につきまして一般財源化しているところでございます。

 もう一点ですけれども、6ページでございます。児童遊園につきまして、若干、委員から説明がありましたが、いわゆる設置費を昭和39年度までは補助していましたけれども、それ以降、平成12年をもって廃止ということになっています。

 「3.職員」を見ていただければと思うのですが、児童遊園には最低基準の38条に規定する児童の遊びを指導する者を配置することになっていますけれども、ただし書き以降ですが、他の児童厚生施設の児童厚生員と兼ね、または巡回の者であっても差し支えない。いわゆる、このような規定、通知があります。

 資料の欠落等がございましたら、事務局までお申しつけください。

○柏女委員長 資料の7ページの説明は要らないのですか。

○鈴木健全育成推進室長 前回の委員からの説明ということで、とりあえずつけております。参考までにということです。

○柏女委員長 ごめんなさい。これはどう読めばいいのでしょうか。

○西川文部科学省地域学校協働推進室長 すみません。文部科学省でございます。

 前回の委員会の場で池本委員から、放課後子供教室の実施状況についてのデータについてお求めがございまして、本日、参考資料の7ページに1枚おつけしております。

 放課後子供教室につきましては、皆様御案内のとおり、地域学校協働活動という、もう少し概念の広いものの中の一つの類型ということで、非常にさまざまな形のものがありますものですから、現時点ではこうした自治体ごとの小学校数に対する教室数という形で、割合としてこのようにお示ししているデータのみを今、公表させていただいている状況でございます。

 簡単ですけれども、以上でございます。

○柏女委員長 ありがとうございました。

 それでは、今、補足説明があったりしましたけれども、資料について何か御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。

 また、これらの精査をしていただきながら、御意見等に生かしていただければと思います。

 それでは、今日の進行についてお諮りをしたいと思います。まず前半で、お越しいただきました3名の参考人の方から、お一人当たり20分程度を目安に御意見を頂戴できればと思います。その後、3名の方、引き続いて御説明をいただいた上で、20分ほど意見交換を行っていければと思います。その意見交換というのは質疑を含めてという形になります。

 その後、大体これで1時間半ですので、あと30分弱ですが、フリートーキングをしていければと思います。そのフリートーキングでは、この委員会としては、前回、事務局から6月をめどに中間取りまとめを行っていくという提案がございましたので、その中間取りまとめを見据えた議論をしていきたいと思っております。

 今日は「2 量的拡充」あるいは「4 質の確保」に関する内容を中心に御意見を頂戴できればと思いますが、もちろん、それだけにこだわるわけではありませんので、3名の参考人の方々からの御報告をいただいての御意見ということでも結構でございます。「2 量的拡充」、そして「4 質の確保」についての御意見を主として頂戴できれば幸いに思います。前回は類型について御意見を頂戴いたしましたけれども、今日は量的拡充と質の確保ということで御意見を頂戴できればと思います。

 大体、そんな流れで進めていきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 それでは、時間がもったいないので、すぐに進めていきたいと思います。議事の「(1)関係者からのヒアリング(2)」を行っていきたいと思います。

 先ほど御紹介させていただいた皆様にお越しいただいております。お話を伺った後に、皆様からの御質問をお受けできればと思います。

 それから、ヒアリングに御出席いただいた参考人の皆様方にはヒアリング後も12時までフリートーキングもございますので、もしお時間に余裕がございましたらぜひ御参加していただいて、傍聴していただければ幸いに思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、まず放課後児童クラブ利用の保護者の方から、御説明をお願いいたします。よろしくどうぞお願いいたします。

○保護者 いきなりトップバッターなのですね。驚きました。よろしくお願いします。

○柏女委員長 よろしくお願いします。やはり利用者優先で。

○保護者 わかりました。

 初めまして。このたび、このような場所でお話しする機会を設けていただきましたこと、お礼申し上げます。

 大勢の方を前にしてお話しすることはふなれなため、原稿を用意させていただいております。御了承ください。基本的にはお手元に配付しております資料で読み上げる形で御説明させていただきたいと思います。

 まず、簡単に自己紹介をさせていただきます。

 私は現在、小学校5年生の一人息子のシングルマザーです。息子が2歳を迎える前に離婚し、実家に戻って生活していますが、父は既に他界しており、母も70歳を超えております。私自身は、市内にある公的研究機関で、出産前から現在も無期雇用の契約職員として勤務しているため、幸いにも安定した生活を送ることができています。

 ただ、土日こそ休みとはいえ、業務の都合上、泊まりがけの出張や残業もあり、特に年度末から決算期にかけては21時を過ぎる帰宅になることも多く、保育園を探すときも、車通勤で私が送迎できる都合上、土曜保育があり、かつ一番遅くまで預かってくれる園を選択しました。息子には、小さいころから寂しい思いをさせていると思います。そのせいか、息子は一人で寝ることができず、私の帰りを遅くまで待つこともしばしばありました。

 次に、私たち家族と、学童保育との出会いについてお話しします。

 保育園時代には、保育園と学童保育の違いをよく理解しておらず、放課後活動の充実していることを宣伝していた私立小学校と、実家近くの公立小学校であるA小学校とに入学を迷っていたところ、高校時代の先輩から「A小は学童保育の指導員がしっかりしているから安心だよ。私立より絶対いいよ」と助言いただき「学童保育の指導員がしっかりしていれば大丈夫なのか、ふ~ん。じゃあ、家からも近いしA小でいいか」というように、学童保育の重要性を知らないまま、A小への入学を決めました。

 正直、私は小1の壁という言葉も余りよく知らずにおりまして、保育園を卒業すれば、そのままみんな学童保育に上がれるものだと。何か子どもを預かってくれる場所があるものだとてっきり思っていたところ、そんなに甘くないよと保育園時代に言われ、慌てていろいろ探した記憶があります。

 そして、A学童クラブですけれども、現在、1年生から6年生まで44名が在籍しています。保護者会が運営を担っており、施設は小学校の余裕教室を利用しています。指導員は、午前中から勤務の常勤指導員が3名、午後から勤務の非常勤指導員が4名の、常時4名体制で保育を行っています。ちなみに、現在の保育料は1カ月2万円で、全国的に見ると高い額だと聞いています。

 A小学校は我が家が通っていた保育園から距離があったため、保育園からの知人・友人はほとんどおらず、事前の情報も余り集めていなかったことから、学童保育の入会説明会で初めて、保護者会運営で、補助金申請、給与計算などの運営に関する業務を全て保護者で行っていることを知り、衝撃を受けました。

 「仕事をしながら、こんな面倒なことができるのか?」「高額な保育料を負担した上、さらに役割分担があるなんてあり得ない!」「子どもが大きくなったらやめればいいんだな…」。そんな私の心が顔にばっちり出ていたのでしょう。説明会に同席していた指導員の先生が、学童保育がどうやって成立したのか、保護者や指導員の地道な活動で今の学童保育を盛り立てているのだということをわかりやすく説明してくださりました。それまでもやもやしていたものがすとんと心に落ちた瞬間です。あのときの指導員のフォローがなければ、私は息子を学童保育に通わせ続けられなかったと思っています。

 次に、息子が小学校に入ってからの様子をお話しします。

 息子は小学校入学当時「働いていない親がいる家庭」の存在を初めて知り「なぜ自分は毎日学童保育で親の帰りを待たなければいけないのか! 家に帰りたい!!」と訴えました。保育園のときには、周りの子どもの親も皆、働いていますが、小学生になると、それが「みんな」ではなく「学校が終わったら、家に帰るとお母さんが待っていてくれる」家庭もあるわけです。そのことに気づいた息子に、学童保育へ通うことの必要性を伝えました。

 また、息子は、失敗を恐れる余り、新しいことにチャレンジするのが非常に苦手だったこともあり、学童保育に入所した当初は友達の輪に入らず、一人で指導員の椅子に座って、子どもや指導員たちの姿を眺めて過ごすことが多かったと聞いています。このことは、指導員が日々、書いてくれる連絡帳を通じてや、お迎えに行ったときに指導員から伝えてもらっていました。「今日、学校であったこと教えて?」と息子に聞いても「忘れた!」の一言で、息子の学校生活を全く把握できない日が続きました。

 そんなとき、学童保育に迎えに行った際に「毎日の出来事を全く教えてくれず『忘れた』の一点張りなんですよ」と愚痴をこぼしたところ、指導員の先生は「子どもの一日は大人の一日より、物すごく長くて、そこへ持ってきて、毎日新しいことを覚えているから、小学校で起きた出来事は放課後に遊んだら上から積み重なって忘れちゃうんだよ。そして思い出すのが面倒だから『忘れた!』で済ませるんだよね~」と笑顔で教えてくれ「そうだよね。毎日、毎日いろんなことがあるから、今日習った漢字なんて忘れちゃうよね!」と笑い合ったものです。

 これも、毎日の積み重ねの中で、子どもたちを見守ってきた指導員がいるからこそ、親に伝わるものだと思うのです。息子の個性をいち早く見きわめ、長い放課後にいつまでも寄り添ってくれたのは、私や祖母ではなく、指導員でした。そんな息子も徐々に環境になれ、すぐに「学童大好き!もっと遊びたかった、迎えに来るの早過ぎ!」という子どもになりました。

 学童保育にお迎えに行くと、指導員の背中は亀のように、いつも誰かがおぶさっていました。「大変ですね!」と声をかけると指導員は「子どもたちは学校や社会の中で、大人が思う以上に、毎日一生懸命頑張っていて、どこかで思いきり甘えられる場所を求めているのよ。でも、彼らも指導員を思いやってくれて『○○は腰が悪いんだから、あんまり乗っかるなよ!』なんて言ってくれるのよ」と笑って答えてくれました。それを聞いて私は、おんぶや抱っこをしながら息子の話を聞くようなことは久しくしていないと反省すると同時に、学童保育は子どもたちにとってなくてはならない放課後の居場所なのだと認識しました。

 ところが、秋になってからのことです。

 「お腹が痛い」「頭が痛い」と言って保健室に通う日がふえました。「今日も保健室行った」と報告を受けたり、小学校から「熱があるので迎えに来てください」と連絡を受け、迎えに行くと病院に行くほどの症状は出ておらず、家に帰ると元気回復という日が続き、私は悩みました。

 学校に確認しても特段のトラブルもなく、心当たりもないとのこと。「さて困った…」と思い、指導員にも学童保育での様子を確認したところ「そういえば、入学当初のように、お気に入りの椅子に座って、一人で学童保育の中を見渡してぼーっとしている時間がふえたのが気になっていた」とのこと。「学童でも気にかけておきます」とおっしゃってくださったことで悩みを共有できたと安堵したものです。

 その後、指導員が機会あるごとに息子に寄り添ってくださり、息子が思っていることやなかなか言葉にならない気持ちを丁寧に聞き取ってくれたおかげか、息子もすっきりしたように、次第に腹痛・頭痛を訴えることもなく、いつもどおりの日常生活を送れるようになりました。

 親である私は、原因を探り、問題を解決することに躍起になってしまい、息子が思っていることや彼の気持ちに寄り添うことを見落としていたと気づかされた一件でした。

 次に、指導員についてお話しします。

 私は、1年目から保護者の誰もが敬遠する会計を担当したことで、運営の大変さだけでなく、指導員の仕事内容が多岐にわたっており、専門性の高い職種であることを早い段階で知ることができました。

 保護者会運営の学童保育では、子どもたちのために指導員を雇用し続ける必要があるのに、児童数の増減によって保育料収入が安定せず、経営難の学童保育も少なくありません。そのような中、「指導員は子どもと遊んでいればいいだけだから、資格不要、待遇アップ不要」という意見が多いことも耳にしますが、私はそうは思いません。

 子どもたちの気持ち、考え方、行動などがどのようにあるのか、障害のある子どもについて、障害についての知識だけでなく、一人ひとりにどのようにかかわればよいのか、周囲の子どもたちと関係を築くことをどのように支えるのかなど、勉強を積み重ねていないと、子どもたちの変化や成長に合わせた対応は難しいと思うからです。

 乳・幼児期と違い、小学生は児童期から思春期に変遷する時期であり、年齢とともに心も体も大きく成長するため、年齢・性・環境などが大きく影響してきます。学童保育は「年齢・性・環境が異なる児童が、それぞれ安心できる放課後を過ごす」場所でなければなりません。そして安心できる環境とは日々の生活において適時適切な判断ができる指導員が存在していなければ成立しないと思います。

 私たちの学童保育では、経験豊富な指導員が継続して勤務し続けてくれたかいもあり、保護者会活動が活発です。季節の折に子どもたち、保護者だけでなく卒所生も交えた行事が開催されます。夏のキャンプには、中学生から社会人までの卒所生も参加してくれ、初めてのキャンプで戸惑う保護者にかわり、彼らはつかみ取った魚を串に刺すまでの作業を子どもたちにつきっきりで教えてくれたり、水遊びなど常に子どもたちと一緒に遊んでくれました。兄弟でもない、見ず知らずの子どもたちを思いやりを持った大人に成長させてくれる場所がどこにあるでしょうか。この学童保育に息子を通わせることができて、本当によかったと思うと同時に「A小の学童保育いいよ」とアドバイスくれた先輩に感謝しました。

 そんな現在では、息子も小学校5年生になり、自我が芽生え、自分の意見もはっきり言うようになりました。一方で親の帰りを寝ずに待つ、寂しがりなところは変わっていません。学童保育だけでなく、高学年になり授業がふえ、習い事もふえたことから、学童保育を休む日もありますが、学童保育で自由気ままに過ごせる時間が、息子にはリラックスタイムになっているようです。

 指導員は、今の子どもだけでなく「かつて学童保育に通った子どもたち」のよりどころにもなっています。進路、家族、友人とのかかわりなど、親には相談しにくいことも、小さいころから自分たちのことを見守り続けてくれた指導員がよい相談相手になってくれるのです。悩みを相談している彼らを見て、将来の息子の姿が重なりました。いつか息子が岐路に立ち、悩んでいるときには、彼らが息子に親身に寄り添ってくれると思い、学童保育がかけがえのない場所であることを気づかされました。

 今回、この機会を通して、私が保護者として皆さんにお伝えしたかったことの要点を繰り返させていただきます。

 1つ目、私たち家族にとって、学童保育はなくてはならぬものであり、私たちはA学童クラブの指導員や、子どもたちに支えられて、働きながらの子育てができているということです。特に、学童保育での子どもの様子が、連絡帳や保護者会、お迎えの際など、折々に伝わってくることは、私にとって、大きな支えになっています。

 2つ目は、学童保育には、子どもが信頼でき、安心してともに過ごすことのできる指導員が絶対に必要だということです。全ての学童保育で、A学童クラブのように、専門的な知識と技能、子どもたちや保護者から信頼される資質を持った指導員が、常時複数配置され、継続して子どもたちと関係をつくっていけるようにしていただきたいと思います。

 そして3つ目、先にもお話ししたとおり、A学童クラブの保育料は、月2万円ですが、現在、私たちの行政への働きかけや行政の努力もあって、減額に向けてかじを切ろうとしています。これまでの間には、保育料を負担できず、退所せざるを得なかった家庭もありましたし、そもそも利用を諦めた家庭もあると思います。また、かつては、保育料収入が指導員の給与にも影響を与えたこともあると聞いています。

 「学童保育を必要としている家庭の子どもが、必要としている期間、経済的な理由に左右されることなく、通い続けることができるようにすること」「保護者や子どもが信頼できる指導員を、安定的に長期的に雇用することができるようにすること」を実現できるような、制度の充実を求めます。

 以上です。

○柏女委員長 ありがとうございました。

 読み原稿も用意していただいたので、公開されていたときに皆さん方がよく理解できるだろうと思います。ありがとうございました。

 それでは、引き続いて、全国学童保育連絡協議会の木田参考人から御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

○木田会長 改めて、おはようございます。御紹介をいただきました、全国学童保育連絡協議会の会長をしております木田と申します。

 お手元の資料は、1枚目が発言要旨になっています。2枚目から5枚目までが発言の全文になっています。6枚目以降は参考資料として添えさせていただいた、私どもが発行している雑誌『日本の学童ほいく』の抜粋です。

 2枚目の全文を読み上げる形で、私も発言にかえていきたいと思います。

 それでは、行います。

 本日は貴重な発言の機会をいただきましたこと、心よりお礼を申し上げます。

 全国学童保育連絡協議会会長の木田保男と申します。

 私たち全国学童保育連絡協議会は、学童保育の保護者と指導員でつくる全国の都道府県の連絡協議会で組織された団体です。1967年に結成し、50年にわたって活動を続けてきました。保護者と指導員が書き手となっている月刊『日本の学童ほいく』の発行や、研修の開催などを通じて、よりよい学童保育をつくる取り組みを進めてきました。私自身も、東京都小平市の学童保育に3人の子どもが通った保護者のOBです。

 本日は、この専門委員会の資料「これまでの議論を踏まえた論点整理と検討の方向性」に書かれている論点「4 質の確保」に絞って、発言をしたいと思います。

 学童保育で子どもたちに安全で安心して過ごせる生活を保障するに当たって、地域や自治体の創意工夫があることは大事だと思います。しかし、どのような状況であっても、全国土の地域でも共通に子どものために守らなければならない質の確保が必要であると考えます。

 そしてそのことは、運営者や自治体の都合でなく「子どもの最善の利益」を守るという視点で考えるべきものだと思っています。

 「子どもにとって」という視点で、学童保育の質の確保について考えるとき、私たちは

「子ども集団の人数規模の上限が守られていること」「専門的な知識と技能を身につけた指導員が常時複数で、継続的・安定的に子どもにかかわること」など何点かあると考えますが、本日は「指導員のこと」に焦点を当てて、私たちが発行する月刊誌『日本の学童ほいく』に保護者や指導員が執筆した手記も紹介しながらお伝えをしたいと思います。

 私たちは、学童保育に通う子どもたちの特徴を3つ挙げています。1つは「保護者が働いている子どもたちである」。もう一つは「保護者の願いと選択に基づいて、基本的に子ども自身の意思で通う」、そして「多くは低学年の子どもたちで、大人の保護・養護を必要としている」ということです。また、学童保育の生活の特徴として「異年齢の子どもたちが集団で継続した生活を送っていること」「小学校の授業が終わった後の放課後の生活であること」と整理しています。

 先ほど保護者の方も発言されていたように、子どもにとって学童保育は、家庭と学童保育に支えられながらみずから進んで通い続けることができ、家庭と同じような雰囲気の中で毎日の生活を支える場であることが欠かせません。また、子どもが学童保育で充実した生活を送ることは、保護者にとって大きな安心と支えにつながります。

 しかし、市町村や学童保育現場によっては、子どもが充実した生活を送ることができる環境が整えられていない、指導員が厳しい労働条件のもとで勤務しているため、長期的に働き続けることが困難な現状があり、子どもが安心して学童保育に通い続けることができない事態も生じています。

 私たち全国学童保育連絡協議会は、必要とする子どもが、必要とする期間、学童保育に通い続けることを支えるためには、指導員にかかわって次の4点の諸条件が整えられる必要があると考えています。1点目として「専任の指導員が常時複数配置され、安全面に配慮して円滑な運営を行えるようにすること」。2点目として「勤務時間として、保育時間前後に必要な準備時間が設けられること」。3点目として「子どもとの安定的なかかわりが継続できるよう、指導員の長期的に安定した雇用が確保されること」。4点目として「指導員が専門的な知識と技能を身につけ、さらに力量を向上させていくことができるように研修や職場での事例検討の機会が保障されること」です。

 以上4点について、詳しくお伝えしたいと思います。

 まず第1点目ですが「専任の指導員が常時複数配置され、安全面に配慮して円滑な運営を行えるようにすること」についてです。

 年齢や発達の異なる子どもが集団で、継続して生活を営んでいる学童保育では「子ども一人ひとりと子ども全体にかかわることを、同時に、または並行して行う必要があること」「小学1年生から6年生までの子どもの生活・発達・特性を把握して、それぞれに応じたかかわりが求められること」「個別に特別なかかわりが必要な場合があること」「子どもの安全を守る場面や、けがや子ども同士のいさかいなどの場面では、個々の子どもへの対応と、子ども全体への対応を同時に行う必要があること」などから、専門的な知識と技能を身につけた指導員が常時複数配置されることが必要です。

 現行の制度では「放課後児童支援員は、支援の単位ごとに2人以上とする。ただしその一人を除き、補助員をもってこれにかえることができる」とされていますが、半日勤務や短時間勤務、日がわりのローテーション勤務などの指導員では、子どものことを多角的に理解することは困難です。やはり、専門的な知識と技能を身につけた有資格者である指導員が、常時複数で、保育に当たる体制が必要だと考えています。

 2点目について、指導員には勤務時間として、保育時間前後に必要な準備期間が設けられることが必要です。

 指導員は、子どもと保護者に直接かかわる仕事として「放課後や学校長期休業中の生活を過ごすために必要とされる基本的な生活内容をつくる(休息やおやつの提供など)」「子どもが安全に過ごし、遊ぶための環境の整備と、援助を行う」「保育内容を記録する」「情報の共有のための会議や打ち合わせを行う」「連絡帳などを通じて子どもの様子を保護者に伝える」という仕事を担っています。

 あわせて、学童保育を円滑に運営するためにさまざまな仕事も担います。「子どもの安全確保と環境整備」「施設・設備・備品の管理」「地域・学校や地域の関係機関との連絡・調整」「保育に関する事務作業」「おやつ代、各種行事費などの金銭管理や書類整理」などです。このことは、国が策定した「放課後児童クラブ運営指針」にも示されています。

 これらの仕事は、子どもの安定的な生活を守る上で不可欠なものであり、これを遂行するためには、勤務時間として、保育時間前後の子どもが学童保育にいない時間に準備時間が必要です。

 3点目、「子どもとの安定的なかかわりが継続できるよう、指導員の長期的に安定した雇用が確保されること」についてです。

 現在でも、指導員の雇用については、継続的な子どもとのかかわりが保障されていない有期雇用、期限つき雇用などが導入されている地域もありますし、賃金や社会保障などの待遇が不十分な現状もあって、専門的な知識と技能を持った指導員が働き続けることができず、子どもに安定した生活を保障することを困難にしています。このことは「子どもの最善の利益」を守る上で、ぜひとも改善されなければならない課題だと考えています。

 4点目、「指導員が専門的な知識と技能を身につけ、さらに力量を向上させていくことができるように研修や職場での事例検討の機会が保障されること」についてです。

 本日は『日本の学童ほいく』の記事の抜粋を資料につけました。

 別紙の1ページから4ページまでは、異年齢で、発達、生活背景が異なる子どもたちが、保護者や指導員に支えられながら、ともに継続的に営む生活をつくっていく様子がおわかりいただけると思います。

 また、最近では、長時間労働・不規則勤務・不安定雇用など、非常に厳しい労働環境の中で働いている保護者も少なくありません。家族がゆっくりかかわる時間や気持ちのゆとりを持ちづらい現状もあり、さまざまな困難や不安、寂しさを抱えている子どもたちもいます。障害のある子ども、児童虐待が疑われる子ども、外国籍の子ども、病気やアレルギーのある子ども、経済的に困難がある家庭の子どもが、学童保育を必要としていることもあります。これについては、別紙の4ページから8ページの資料2「特に配慮を必要とする子どもの育成支援に関する実践例(1)」と「実践例(2)」をぜひお読みになっていただければと思います。

 指導員が学童保育で子どもたちと生活をともにして、子どもや保護者と信頼関係を築くことは、家庭での子育ての経験やその際に得た知識だけがあればできるものではありません。このように子どもの発達や家庭への理解、それを支える上での専門的な知識や技能が必要です。そのためにも、指導員は、今、目の前にいる子どもたちのために、学び続けていく必要があり、研修や職場内での事例検討の機会の保障が必要です。

 学童保育は、1997年に放課後児童健全育成事業として児童福祉法に位置づけられてからも、地域の実情に応じて運営すればいいとされてきました。省令基準が定められる以前、学童保育の事業内容は各自治体によってさまざまで、大きな格差がありました。今なお、その状況は続いていますが、このような格差を解消し、水準を引き上げるための手だても講じられています。2010年以降、国が常勤の指導員の配置を検討し、2017年予算では、年額180万円の非常勤職員を想定して算出されていた3人のうち、1人が年額310万円で算出されることになったことは、改善への一歩と捉えています。

15ページから16ページの資料4「子どもの育成支援の充実と指導員の処遇改善の関わりに関する事例」、愛知県名古屋市の指導員の手記をごらんになってください。この学童保育は、市の助成金を受けて父母会が運営しており、児童数の増減に伴って収入が左右されるため、児童数がふえて、分割して2カ所で運営することになってからも、常勤指導員の人数をふやすことはできませんでした。しかし、2014年度、2015年度、放課後児童支援員等処遇改善等事業によって、それぞれの施設に常勤指導員を2名ずつ配置することが実現できたそうです。それからの様子を、執筆者は次のように述べています。

 常勤指導員が複数配置され、より多くの目で子どもたちを見ることで、見えてくる子どもの姿も深まりますし、打ち合わせなどで出される情報もより多くなり、それをもとに、対応を検討することができるようになりました。

 一人ひとりの子どもと話す時間もふえ、子どもの行動の内面に目が向けられるようになり、その背景にある問題の本質や、さまざまなしがらみの中で不適切に見える行動をとってでも大人に訴えたいことがあったのだと気づけるようになっていきました。

 そして、いつまで指導員の仕事を続けられるだろう。ダブルワークが必要なのかなど、本来なら考えなくてもよいことから解放されたことも大きな支えになって、学童保育のあり方を大きく変える出来事だったと述べています。

 厚生労働省の資料によると、この放課後児童支援員等処遇改善等事業は、2017年度は1,600カ所を超える市町村の中で297市町村でしか活用されていませんでした。2017年度、国は放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業もスタートしましたが、こちらも1,600以上実施している市町村の中で213市町村でしか活用されていません。

 この間、放課後児童支援員の確保が大きな問題点として取り上げられ、その解決策として省令基準を緩和することを検討されています。子どもたちのために共通に守らなければならない質というものがあるはずです。

 私たちは、指導員不足の背景には「指導員の処遇が大変低いこと」「『省令基準』と『運営指針』についての理解が不十分なこと」があると認識しており、こうした根本的な問題

に取り組むことが必要だと考えます。質の確保、つまり専門的な知識と技能を身につけた専任の指導員が常時複数で配置されることは、子どもの命を守ることそのものであり、子どもと保護者の安心につながります。

 児童福祉法では「全て児童は、児童の権利に関する条約の精神にのっとり、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する」と述べられており、これらの法の理念は遵守されなければならないと考えます。

 学童保育を初めとした放課後の施策について、どのステージを議論の場とするにしても、児童福祉の理念、「子どもの最善の利益」を尊重して議論されることが、最低限求められることではないでしょうか。

 「放課後児童クラブ運営指針」の策定についての局長通知には「全国的な一定水準の質の確保」という文言があります。基準が公布されたからといって一夜にして変わるものではないと私たちも思っています。国には、後退することなく、質の確保に努めながら、量的拡大を図っていただきたい。子どもたちが安全で安心して過ごせる生活を保障するために、私たち全国学童保育連絡協議会も取り組みを強め努力することを申し添えて、私の発言とします。

 どうもありがとうございました。

○柏女委員長 ありがとうございました。お時間も御協力をいただいて、ちょうど20分での御報告でした。また後ほど御質問・御意見が委員のほうから出るかと思いますが、よろしくお願いいたします。

 それでは、続きまして、社会福祉法人育和会NIKONIKO児童館の白川様、大堀様から、御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

○白川館長 皆様、こんにちは。本日は放課後児童対策に関する専門委員会のヒアリング対象者として声をかけていただきまして、ありがとうございます。

 愛媛県NIKONIKO館から参りました、館長の白川真理と申します。

○大堀主任保育士 同じく主任の大堀純子と申します。よろしくお願いいたします。

○白川館長 NIKONIKO館のあります久万高原町は、人口8,500人ほどの小さな町です。町内の児童館はNIKONIKO館1カ所だけで、年間延べ2万2,000人が利用しています。人口に対する利用率は大変多いです。

 また、同じ敷地内に保育園、地域子育て支援センターもあります。0歳から18歳までの子どもたちの居場所です。

NIKONIKO館は、子どもたちだけに限定せず、地域の全ての方を対象と考えました。そのことによって、さまざまな事業所や地域の人々からの共感を得て、柔軟で幅広い活動となってきました。

 また、児童館で学童保育と放課後子供教室を一体的に行っているのですが、それは全国でも非常に珍しく、一貫した支援の中で子どもの生活の質を保つ努力をしてきました。それらの活動を、NIKONIKO館を中心に具体的にお話しさせていただきます。

 それでは、私たちの机上配付資料について説明いたします。

 まず、お手元のパワーポイントです。ページ数が右下に振ってありますので、ページをお伝えしながら進めてまいります。

 育和会パンフレット、オレンジ色の小さな分です。

 「育和会だより」1月号と2月号。毎月2,000部、町内の子どもの家庭に配付しております。

 「子育て通信キラリ」。これは地域子育て支援センターで行っております家庭教育支援チームの文書になっています。

 そして、久万高原町移住促進資料。藤岡弘、さんが表紙の分です。久万高原町出身だそうです。

 それでは、パワーポイント資料の3ページをごらんください。この写真にございますように、育和会は現在、久万高原町役場から徒歩3分の場所で、久万保育園、地域子育て支援センターHappy House、児童館NIKONIKO館の3つの児童福祉施設を運営しております。平成30年度に、保育園は幼保連携型認定こども園へ移行予定となっております。

 4ページです。木登りする子どもたちで、久万高原町は四国の真ん中に位置し、秋はリンゴ狩り。スキー場もある、高原の町です。

 5ページです。昨日の久万高原町の雪景色です。東京も雪が降ったそうですが、これは私の自宅に続く道で、隣の家が200メートル先にあります。そんな過疎の町です。2030センチ雪が積もりまして、昨日は児童館と自宅の前を1時間雪かきして、そして飛行機で東京まで参りました。

 6ページです。久万高原町は温暖なイメージの愛媛県の中で、平均標高が800メートルあり、夏は避暑地として、冬はウインタースポーツを楽しめるなど、四季折々の楽しみ方ができる、自然豊かな町です。主幹産業は農林業です。

 さて、そのような久万高原町にはナンバーワンが3つもあります。その1は面積。愛媛県一広くて、広域です。その2は高齢化率。46%です。その3は人口減少率。

 また、小さな町の特徴として、町民が皆、知り合いで、少々干渉もあり、ネガティブに捉えれば、それがストレスになることも正直ございます。

 これだけ聞くと、お先真っ暗な気がしますが、お元気な方は70歳や80歳になっても現役でお仕事をされたり、地域のために活動されたりしている元気なお年寄りの多い町でもあります。

 そのような久万高原町の中で、子育て支援の場所は当法人1カ所だけです。子育て世代の御家族を応援する制度が近年、町に発足し、この秋には移住促進等を目的とした事業検討会も立ち上がりました。

 お手元にある、この資料をごらんください。ことし1月に発行された町のパンフレットです。

23ページをおあけください。上の段の真ん中にありますのがNIKONIKO館、児童館の写真です。放課後児童クラブもしており、町も認める子育て支援の場所となっております。

15ページをごらんください。若い夫婦の写真があると思います。左側の男性、この若者は平成8年に、児童館の中にできています学童保育1期生です。小学生のころ、放課後をNIKONIKO館で過ごし、今では町一番のレストランのシェフとして活躍しております。

 パワーポイント資料の7ページです。久万保育園は創立してからことしで68年目を迎えます。1950年に先代の園長が自宅を開放した子どもの家が久万保育園の始まりです。

 その後、1996年に児童館NIKONIKO館をオープン、昨年20周年を迎えました。児童館事業と学童保育を一体化して行うというのは当時としては最先端の取り組みでした。毎週、県内外から見学者や視察者が訪れていたそうです。

2003年には地域子育て支援センターがオープン。どの施設も地域の子育て中の保護者からの要望を受けて始まりました。久万保育園の70年近くの継続は、赤ちゃんから少年少女までの継続へとつながっていきました。

 8ページです。地域に開かれた児童福祉、すなわち子育て支援事業の役割を邁進するためには、スタッフ全員がしっかりとした理念や目標を持つことが大切です。育和会の理念は「やさしくね やさしくね やさしいことはつよいこと」です。この言葉は子どもから大人にまでわかりやすく伝わりつつ、深く考えさせられる言葉です。

 9ページから10ページをごらんください。久万保育園の様子です。学校の運動場ではなく、樹木の新緑や紅葉が美しい、そよ風が吹き抜けるガーデンがあります。

 児童館の敷地内に保育園が併設されていますので、小学生と保育園の子どもたちの交流が日常的に自然な形で行われています。子ども集団の中で育ち合いが見られ、その姿は一つの家族のようです。

11ページから12ページをごらんください。地域子育て支援センターHappy Houseです。お母さんと子どもたちが居心地よく過ごせる空間を工夫しています。

 育和会は20年前からスウェーデン、北欧の保育を勉強しています。現地視察研修にも参加し、北欧のエッセンスを環境や保育にちりばめています。おもちゃも色彩や素材にこだわった上質のものを10年かけて少しずつそろえました。この場所は保育園の子どもたち、NIKONIKO館の小学生たちもいつも利用しています。

12ページです。子育て支援センターに隣の松山市のNPO法人が年間3回から4回訪れて、子どもたちに遊びの提供をしながら、お母さんやお父さんたちにはアロママッサージをしてリラックスしていただく癒やしの会を行っています。右下のお父さんがすごく気持ちよさそうです。

 その様子を児童館の小学生たちは、大人も子育てで疲れているのだな、アロマの香りはいい香り、私も大きくなったらマッサージの仕事をしたいです、人が集まるって何だか楽しいな。そのように見て、感じて、コミュニケーションしながら育っていきます。

13ページから続けてごらんください。こちらが児童館NIKONIKO館です。大きなケヤキがシンボルツリーです。

 年間通しての行事やイベント、毎日の遊びのプログラムももちろんありますが、まずはNIKONIKO館の環境を心地よく整える、何もしないプログラムを実践しています。学校でもない、家庭でもない、児童館・放課後児童クラブを子どもにとっても、地域のどなたにとっても、居心地のいい、行ってみたい場所にするために、スタッフがおもてなしの心で工夫し、ハッピーな雰囲気いっぱいの場所に整えていきます。

14ページは、地域カフェのコーナーです。

15ページです。まきストーブがあります。雪が降る久万高原町ならではです。

NIKONIKO館の卒業生で、現在、男子高校生、17歳のM君は、子どものころ、児童館でストーブの揺らめきを見ながらソファーでくつろぐと心が落ちついて、嫌なことも忘れ、このソファーが大好きだったそうです。

16ページです。すてきな布を飾ります。地域カフェに訪れた80代の御婦人が、おしゃれですてきですね。ここに来たら気持ちが明るくなりますと喜んでくださいました。

 美しい花を飾ります。子どもも大人も気持ちが華やぎ、不思議と心にゆとりが生まれます。

18ページです。くつろぎ、リラックスできるように、3~4人が座れるソファーを置きます。

 このように環境を整えていくのですが、スタッフの役割におけるポイントとしては、さりげない笑顔で暇そうにたたずむ、しかし実はおもてなしをする役割のスタッフを必ず1人配置します。ゆったりと、何もしていない暇そうなスタッフはいわば案内係、カウンセラーです。そんな包容力のあるスタッフが1人いることによって、児童館・放課後児童クラブに来た子どもたち、保護者、地域の方は、安心し、またここに来たいなと思うようになります。

 先日、児童クラブの女の子2人からお手紙をいただきました。館長先生、いつも私たちのことをそっと見回りに来てくれてありがとう。そのように書いていました。

19ページをごらんください。NIKONIKO館では、児童館、学童保育、放課後子供教室と3つの事業を行っており、児童館の場所そのものが「放課後子ども総合プラン」になっています。

 また、同じ敷地内に保育園、地域子育て支援センターがあることから、児童館で0歳から18歳までの子どもたちから地域の人々までの一貫性を持った次世代育成支援が行われています。

 ここからは主任の大堀にバトンタッチし、NIKONIKO館の具体的な取り組みをお話しさせていただきます。

○大堀主任保育士 それでは、20ページをごらんください。これから3つの事業の中で主な取り組みについて御紹介いたします。

 児童館では、遊びのプログラムはもちろん、平成28年4月より公益的な事業として、館内に地域カフェをスタートしました。地域の方にカフェを利用してもらうことで、ふだんは余り児童館に縁のない人たちに児童館について知ってもらったり、地域の子育て支援や次世代育成支援について考えるきっかけとなりました。

 この場所でさまざまな世代が交流できる居場所となり、館内以外に地域のイベントやカフェのつながりから、社会福祉協議会と連携することとなり、地域の高齢者サロンへ子どもたちと一緒に出前カフェへ行っています。長期の休日になると、クラブの子どもたちがカフェのお手伝いもしてくれています。

21ページです。児童館でカフェを行うことにより、異業種との連携、社会福祉協議会との協働事業へとつながり、お年寄りと子どもたちの縁結びができました。

 子どもたちは、おもてなしの準備や接客を経験することで自己肯定感が生まれ、自分たちの力で町や地域が元気になれることを知りました。子どもたちは自己肯定感、お年寄りは子どもたちから生きる力を、お互いによい刺激となり、相乗効果となりました。

 また、保護者は、子どもたちの成長を喜び、私たちスタッフは異業種との連携を通して、やりがいや資質向上につながり、子どもとお年寄りのマッチングがすばらしい効果につながりました。

22ページです。子どもと地域のサロンへ出向くことで、児童館のことを知ってもらい、次は限界集落のおばあちゃんやおじいちゃんを、社会福祉協議会のスタッフさんが小型バスで送迎して地域カフェに来られました。

 もう何年も子どもの声が聞こえていない地域なので、赤ちゃんと触れ合いながら「赤ちゃんはかわいいのう」「こんなおいしいコーヒーを飲んだのは久しぶりじゃ」「次、地域カフェにはいつ連れていってくれるんかい」とうれしい声が聞かれました。

 社協のスタッフさんからも後日、お年寄りの皆さんが大げさではなく、生きる力をいただきましたと目を潤ませながら、感動しながらおっしゃっていたのが大変印象的でした。

 続いて、23ページ、NIKONIKOクラブ(学童保育)です。

 お手元の資料1をごらんください。

 初めに訂正がございます。上から2番目の表ですが、各学校の児童数、NIKONIKOクラブの児童数が書いてございます。各学校の児童数の統計が365となっていますが、298に訂正をお願いいたします。申しわけございません。

 お手元の資料1と現在の資料をあわせてお聞きください。上の大きな表は平成28年度NIKONIKO館の年間利用数の月別の統計となっております。2番目の表は平成28年4月、久万高原町の各学校の児童数、NIKONIKOクラブの児童数となっており、298人中83名が登録しております。町内小学生の約3割がNIKONIKOクラブを利用していることとなっております。

 久万高原町には9校の学校があり、現在9つの小学校が利用しています。5つの学校のうち4つの学校へはハッピー号という自家用車でスタッフや有償ボランティアさんが送迎を行っております。

 学童クラブでは下校後、おやつを食べ、宿題をし、思い思いの遊びをします。基本、安心・安全、命を守ることは必ず行っておりますが、何も強制しない保育の中で放課後の時間を自分で考えながら主体的に活動しております。つまり、子どもたちは自分で考えて、NIKONIKO館で放課後の時間を過ごしています。

 続いて、24ページです。地域カフェを見ていた学童クラブの子が、お母さんにも飲んでもらいたいなという意見から、学童クラブを利用している保護者さんが利用しやすい時間、夕方の時間を利用して、夜のカフェを定期的に行うことにしました。

 いつも遊んでいるボードゲームを親子で楽しんだり、カフェの提供がリラックス効果となり、おしゃべりが弾み、また、初めて会う保護者同士が知り合うきっかけとなりました。夜は暖かな明かりがいつもと違う雰囲気を醸し出し、特別な時間・空間となりました。

 子どもからは、お父さん、お母さんといっぱい遊べたのがうれしかった。お母さんが笑顔でほかのお母さんと話している姿を見てうれしくなった。

 保護者さんの声は、いつも夕方は忙しいが、今日は子どもとの時間をゆっくり過ごすことができた。初めて話す保護者もいたが、カフェをしながらだったので、とても話しやすかったという声が聞かれました。

 親子関係によい変化が見られ、このようなきっかけをつくってくれたのは子どもたちからの声でした。

 続いて25ページ、放課後子供教室の御紹介をいたします。

 児童館の来館に合わせて子供教室の活動に参加する子どももあり、週に1回、クラブの子どもと一緒に近くの公園へ野外活動に出かけます。公園では地域の子どもも遊びに来ており、その場で一緒になり、私たちスタッフはそこに集う全ての子どもたちを地域の目で見守り、活動をしています。

 この町の持ち味でしょうか。地域みんなで子どもたちを育てています。

26ページです。週に1回、お菓子屋さんの日は赤いのれんを玄関にかけ、駄菓子の販売を行っております。お手伝いは児童クラブの子が接客対応、地域の子どもたちと交流を深めているようです。

 本日もNIKONIKO館で、育和会の保育園児5歳児と町立の幼稚園児との交流を児童館で行っており、お菓子屋さんの体験もする予定です。

 地域の中で何をやろうというときには、児童館へ行ってみよう、声のかけやすさが長年の経験から、地域に根差した居場所となっているようです。

 続いて27ページ、学習指導では週に1~2回、学校で教員をされた方が退職され、子供教室の学習に携わっていただいています。この時期は暖かい暖炉の前で学習を行い、学習が終わると漢字ビンゴや将棋や昔遊びなどを楽しみます。遊びの引き出しがたくさんあり、子どもたちに魅力的な存在です。

 また、放課後子供教室で地域の初めて会う子どもたち同士も活動をともにしながら、お互いに知るきっかけとなり、また、次に児童館へ遊びに来たときには自然な会話へとつながっているようです。

28ページです。この冬もたくさん雪が積もり、園庭ではかまくらを何度もつくり、子どもたちは雪遊びを楽しみました。

 続いて、2931ページをごらんください。若者の周りにいる子どもたちの表情を見てください。ネイルをしている女性への憧れのまなざし、頼りがいのある若者の周りには自然と子どもたちが集まってきています。

 ここにいるネイルをしている女性や藍染めをしている若者たち、この子たちはNIKONIKOクラブの卒業生なのです。NIKONIKO館では、何もしないプログラムの出会い編として、児童館に集う全ての人に地域と出会える場を提供し、一人一人が主体的に活躍する居場所づくりを行い、それぞれの場所で全ての人が主役になり、地域の中で自信につなげていくことができるのです。

32ページの写真をごらんください。このように、流れ行く時間の中で、この場所で世代を超えてのおつき合いがあるからこそ、全ての人がここに集い、全ての人の居場所がこのNIKONIKO館にあるようです。

○白川館長 写真の資料が大変たくさんございましたので、急がせてしまって申しわけございません。

 今までのパワーポイントの資料の写真等は個人情報保護に配慮しておりますので、お伝えしておきます。

 育和会の理念をしっかりと持った子どもと保護者さんに優しい保育、また、長年の経験や勉強の中で私たちが得意としております居心地のいい空間づくり、そこに集う人たちの豊かで楽しいコミュニケーションの提案、地域と協働しながらエビデンスを持って児童館事業を展開していきたいと考えております。

 また、専門委員会と行政各関係者の皆様には、子どものことを一番と考え、日本全国どの子どもにも同じ生活の質を保てるように、今まで以上に仕組みを整えていただけることを希望いたします。

 以上でプレゼンテーションを終わります。本日は御清聴ありがとうございました。

○柏女委員長 ありがとうございました。丁寧にたくさんの写真等を入れていただきながら御説明をいただきまして、ありがとうございました。

 それでは、説明を受けまして、委員の皆様から御質問等がございましたら挙手をお願いしたいと思います。発言される委員は氏名を名乗っていただいて、どの方に対する御質問であるか告げていただいた上で御発言をしていただければと思います。

20分ほど時間がとれるかと思います。どなたでも結構です。挙手をお願いしたいと思います。

 では、池本委員、お願いします。

○池本委員 大変、それぞれ皆さんから興味深い話で、質問もあり過ぎるので、少し絞ってお伺いしたいと思います。

 まず保護者の方のほうで、保護者運営ということだったのですけれども、それは自治体が、A市ではそういう方式でやっていらっしゃるということなのか。全部がそうなのかということで、あと、どのような御苦労とか、私は全くそういうところではない自治体なもので、そのあたりをもう少しお伺いしたいということです。

 まとめてしまって、1つずつで。

○柏女委員長 ほかの方にもということですね。

○池本委員 はい。

○柏女委員長 では、まとめて伝えてください。

○池本委員 あと、木田さんのところで質の確保ということで、常時複数配置のお話があったのですけれども、一方で私は、事前の条件だけでなくて、実際にうまくやっているかという、事後の評価のことについて、学童は福祉サービス第三者評価事業の対象にもなっていませんし、保育と比べても事後の監査とか評価が余りないように思うのですが、そのあたり、評価をもっときちんとやるべきみたいな、質の確保というところで、その辺はどのようにお考えかをお伺いしたいと思います。

 それから、久万高原の、本当に北欧を見られているということもあって、カフェなども本当にうらやましいと思ったのですが、そのカフェの実態についてもう少し詳しくお伺いしたいのですけれども、その地域カフェというものは、運営は法人としてやられていて、利用料といいますか、料金を皆さんが払ってやられているのか。あと、どのようなメニューが提供されているかとか、夜のカフェというのはどのぐらいの頻度で、また、どのようなメニューが出ているのかというあたり、もうちょっと詳しく伺いたい。

 あと、先ほどネイルをやっている若い方がいらっしゃっているとのことでしたが、あれは法人のほうからこういう方がいらっしゃったら来てくださいという、何か呼びかけをされたのか。どういう形でそういう若者たちが来られているのかといったあたりをお伺いしたい。

 もう一つ、児童館の予算は自治体によってはどんどん削られていく傾向にあると思うのですけれども、きちんと予算が確保されている背景みたいなことも伺えればと思います。

 たくさんありまして、すみません。

○柏女委員長 それでは、できるだけ多くの方に御質問をいただきたいとも思っておりますので、御回答は、たくさん伝えたいことはあると思いますけれども、簡潔にお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

 では、保護者の方からお願いいたします。

○保護者 A市は、保護者会運営というものは、私たち保護者が事業主体となって、A市に補助金の申請をしております。市内にある事業主全てではないのですけれども、3分の2以上が保護者会運営となっており、補助金の申請から実績報告まで、全て保護者の中で担っております。

 A学童クラブの場合、今、利用人数が44名です。保育料と補助金を合わせて、予算規模は約2,000万になっております。その2,000万の中で常勤指導員の給与計算、社会保険の手続、あとは日常の生活費のやりくり、全て保護者がやらなければなりません。保護者のうち、会計を担当された方がやることになるのですが、当然、2,000万の金額を預かって日常的に会計処理をやれる人はなかなかいないですし、敬遠されると思います。

 私は、仕事柄、補助金の申請が苦ではないというのも変なのですけれども、やりなれているところもありますし、ちょっと業務上関係するところもあって、社会保険の手続などもできるところもあるので、私は比較的スムーズにやれているのですが、基本的に保護者は別に給与計算したことはないですし、仕事に全く関係ない方がほとんどなので、それを保護者がやるのはやはり非常に大変で、今、いろいろな処遇改善策を確かに国は措置してくださっていますけれども、放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業をつけるには給与を改善します。給与を改善したときには、事業主としては社会保険をつけなければいけないという義務が発生するわけですね。でも、その義務が発生したときに、保護者に社会保険の手続ができますかと言われたときに、やはりすぐできないと思うのです。

 皆さんに、では、あしたから指導員に給与をアップするから、社会保険をつけてねと言われても、自分が会社で控除されていることはわかると思いますが、自分がその実務をやる側になったときには、すぐにはできないと思います。そのような事情から放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業を敬遠している自治体があるのがほとんどだと思うのです。A市の中でもキャリアアップの改善をとっていない、本当は指導員さんに待遇改善してあげたいのだけれども、保護者たちで対応するにはもう無理があって、できないからキャリアアップをつけないという選択をする学童クラブも出てきているので、運営主体によっては差が出てきてしまうのは非常に苦しいところだなと私は思っています。

○柏女委員長 どうぞ。続けてお願いします。

○木田会長 御質問の第三者評価についての考え方について、現在、市町村の中には第三者評価をやっている地域もありますけれども、私どものほうでこうしてくださいというふうに特に要望してはいません。子どもを軸にした考え方、それから、学童保育の役割との関係で言うと、保護者の方が利用していく上で必要になること。そういうことを軸にして検討していただく必要があるのかなと思っています。

 私どもの考え方としてはそういうことでよろしいですか。

○池本委員 はい。

○柏女委員長 どうぞ。

○白川館長 3つの質問についてなのですが、地域カフェのことです。これに至った経緯なのですが、平成28年度に社会福祉法人の制度改革が始まりまして、その中の一環で、法人の中で公益的な事業をということが上がってきました。それで私たちは地域カフェを始めようということになりました。金額は1人100円いただいて、それにコーヒーや紅茶などのお菓子がつくようになっております。

 そして、夜のカフェのことについては主任から説明させていただきます。

○大堀主任保育士 夜の地域カフェは、児童クラブの保護者さんに向けて、夜の時間に開催しました。年間に夏、冬の2回、今のところでは2回なのですが、忙しい保護者さんにとっては夜の時間が特別な時間となって、親子関係でよい効果があり、大好評でした。

 あと、卒業生のネイルについては、私たちスタッフではなかなかネイルの得意分野などがございませんので、学生さんたちに声をかけて、来ていただくようにしています。

○白川館長 補足なのですけれども、私たちスタッフだけが頑張るのでは限界が来ているのです。あれもこれも、色々な事業を一手に引き受けておりますので、私たちもこれ以上は無理ということも正直なところあるのです。

 こういった小さな町の役割として、1つのところだけで頑張るのではなくて、協働して行うということを、私たち社会福祉法人育和会もですし、例えば、社協さんや町も考えています。ですから、いろんなイベント等も合同で行ったり、協働する事を目的に、地域のさまざまな役割や持ち味を持った人に声をかけさせて頂いています。特に児童館の卒業生や若者には声をかけて、どんどん入ってきてもらうように心がけています。

 そして予算についてなのですが、児童館事業は一般財源化になったというところで、非常に厳しい状態です。私たちの町でも予算が、大幅に減額されています。でも幸いなことに、1つの法人で複数の事業をしていますので、事業同士が協働することで、何とかこれだけの事業を行うことが出来る状況となっています。

 以上です。

○柏女委員長 ありがとうございました。

 ほかにはいかがでしょうか。

 では、どうぞ。お願いします。

○中川委員 京都の北白川児童館の中川でございます。

 育和会さんにお尋ねします。私どもも児童館で放課後児童クラブを実施いたしておりまして、冒頭に説明の中で、放課後児童クラブを児童館で一体的に実施されているというお話でございました。

 それで、子どもたちにとって、放課後児童クラブの子どもたちにとって、あるいは児童館の利用者である子どもたちにとって、いろいろ配慮しなければいけないことがあるのではないかなと思っているのですけれども、例えば児童館の子どもたち、おやつの問題などはどうされているのか。

 恐らく放課後児童クラブではおやつを提供されていると思うのですが、そのとき、児童館の子どもたちは同じ空間にいるわけですけれども、どんなふうに児童館の子どもたちは過ごしているのか、そういうことに代表されるように、放課後児童クラブの子どもたちと児童館の子どもたちに対する対応をどんなふうに工夫されているのか。そこをひとつお聞かせいただけたらと思います。

 先ほどのお話を聞いていますと、放課後児童クラブを利用する子どもたちは送迎バスが出るというお話でしたね。児童館を利用する子どもたちは基本、徒歩でやってくるという理解でよろしいのでしょうか。そのあたりも含めて教えていただけたら。

 あと、職員さんの配置なのですけれども、例えば放課後児童クラブを担当する職員さんと、放課後児童クラブではなく児童館を担当する職員さん。例えば午後からですと小学生、放課後児童クラブに登録している子どもたちと、登録していない児童館利用の子どもたちもやってくると思うのです。そのときの職員さんの配置の様子なども教えていただけたらと思います。

 以上でございます。

○柏女委員長 では、お願いします。

○白川館長 失礼いたします。

 まずクラブのおやつについての御質問なのですが、それは本当に皆さんからよく聞かれる質問となっております。クラブの子どもたちはおやつの提供が利用料の中に含まれており、児童館の子どもにはそれがないということで、特に長い夏休みの期間などは、おやつを食べている児童クラブの子に対して、同じ建物の中で児童館の利用の子どももおりますので、そこがどうかな?という問題が今までございました。

 解決策としてNIKONIKO館の中で、「おかしやさん」という駄菓子のお店を定期的に行っております。児童館で利用している子どもたちは10円、20円、お小遣いを持って、お菓子屋さんのお菓子を買って、児童クラブの子どもたちと一緒にお菓子を食べているといった状況も見られます。また、子どもたちだけではなくて、隣の地域子育て支援センターの親子や、地域の方も「おかしやさん」にお菓子を買いに来て、児童館の中でいろんな方が一緒になっておやつを食べているという状況です。

 あと、送迎のことについてなのですが、クラブの子どもの送迎に車が各小学校に行っています。もし申し出があれば、「児童館や放課後子供教室を利用したいので車に乗りたい。」という方がいらっしゃったら、それはお乗せすることは可能です。

 しかしながら、今のところは色々な3つの事業のスケジュールの中で、例えば土曜日に放課後子供教室を行い、そうすると土曜日は保護者さんがお休みですので、遠い広域の町からでも保護者さんが車に乗せて児童館に連れてきて、放課後子供教室のサービスが受けられることになります。そういったふうに工夫してスケジュールを組んでいます。今のところ、私たちから見たら、問題はないのではないかと思っております。また、保護者さんからのこの件に関する苦情等もございません。

 

次に、職員の配置についてなのですが、児童館の職員として児童厚生員が2名、児童クラブの職員として放課後児童支援員が6名、3クラブございますので、1つのクラブに2名ずつということで、合計8名に館長がいるといった形になっております。でも、児童館の職員だからクラブのところは関係ないですとか、その逆のこともありません。日常的に、職員同士が協力をしながら、それぞれの事業をスムーズに行うようにしております。

 以上です。

○中川委員 ありがとうございます。

○柏女委員長 ほかはいかがでしょうか。

 では、清水委員、安部委員、そして、もう一人の清水委員ですね。お願いいたします。

 時間がかなり押してはおりますので、簡潔にお願いできればと思います。

○清水三鷹市児童青少年課長 3点お願いします。

 まず、A市さんのほうの資料4についてなのですけれども、なかなか小学校の先生の姿が見えてこないなという感じで、学校との連携みたいなものはどんな感じで行われているのかというのをお伺いしたいと思いました。もう少し学校の先生にもかかわっていただけるといいのかななどというのも思ったので、その辺をお伺いします。

 資料5のほうでは、実は私どものほうには学童に通っているお子さんの保護者だけでなく、逆に学童を活用されていない、必要のない御家庭の方からも時々御意見を頂戴するのですけれども、その場合に学童に預けたほうが非常に子育て上、安心である。ところが、働いていないと子どもを預けられないというのは機会とかの格差につながらないかみたいな、これはちょっとおもしろい御質問をいただくのです。

 ですから、よいサービスを確保すればするほど、今度は通えない御家庭からの何とかしてほしいという声が出てきて、そうすると在宅の子育て支援というものがさらに充実させていく必要があるのかななどということを感じているのですが、そういったお声が学童保育連絡協議会さんのほうなんかにも届いているかどうかということもちょっとお聞きしてみたいと思いました。

 資料6のほうなのですけれども、前回の会議のときに武田先生から、今の子どもたちに足りないのは自由な時間とか遊ぶ、体験する時間というところが決定的に欠乏しているというお話があって、この児童館等を中心として、何もしないプログラムというものは非常にそういった理念にも合致していて、すばらしいなと思ったのです。

 一方で学童保育のほうがやや、そこにはプログラムというものも加わってくるのかなと思いますけれども、先ほど安全・安心を第一にしながら、子どもは何もしないプログラムの中で自主的に活動していらっしゃるという御説明があったのですけれども、そういう保育をしていくに当たって一番、職員に大切な資質とか資格というものはどういうものとお考えか、お伺いしてみたいと思いました。

 以上でございます。

○柏女委員長 済みません。あわせてお二人の方からも御質問をいただいて、まとめて御回答いただくという形にしたいと思います。

 安部委員、お願いします。

○安部委員 安部と申します。質に関して、それぞれの方に1点ずつ質問がございます。

 まず保護者の方になのですけれども、保護者の目から見て、クラブの質を担保するために何が必要だと思われているかを教えてください。

 2点目、木田会長にですけれども、資格があることはもちろん大事だと思うのですが、一方で力量形成、力量をつけていくことの重要性も御指摘されたかなと思います。その一環として実践記録等も非常に積み重ねられてきていると思うのですが、実践記録を例えば書いていく際に、何を重視して書いてリフレクションされているかということを御説明いただければと思います。

 最後、NIKONIKO館のお二人になのですけれども、これだけたくさんの事業をされているといろんな課題も出てくるかなと思うのですが、その際にスーパーバイズはどういうふうにされているか。現場の職員だけではなかなか解決できないことに対して、専門家の声をどういうふうに反映されているのかなというのを教えていただければと思います。

 以上です。

○柏女委員長 では、あわせて、清水委員、お願いします。

○清水委員 清水でございます。ありがとうございました。

 まず資料5のことについて、6ページです。木田さんにお伺いしたいと思います。先ほどのご発言の中で、処遇改善あるいはキャリアアップの事業についても活用が生かされないという御指摘をされていますが、生かされていないというところの理由はどこにあるのか、端的にお話ください。

 保護者の方からも、こちらについても御発言の中で示唆を受けていますがその点をお聞きしたいなと思います。

 そして資料6のことについてです。白川館長先生、ありがとうございました。お話の中でも人口減少の地域であるということを御指摘されていましたが、育和会の法人として、保育士あるいは指導員の先生方の確保をどのようにされているのかということについてお聞きしたいと思います。

 以上でございます。

○柏女委員長 ほかの委員の方でどうしても加えたいという方はいらっしゃいますか。よろしいでしょうか。

 よろしければ、済みません、保護者の方から順次お答えいただければと思います。

○保護者 まず、学校とのかかわりのほうですけれども、私と担任の先生との、例えば先ほど資料の中でも伝えたように、子どもがいっとき、体調不良を訴えて、学校をよくお休みするときがあったと書いたと思うのですけれども、担任の先生と私とはまだ基本的には電話等での会談のみだったのです。

 ただ、それを相談した指導員の先生方が学校の担任の先生ですとか養護の先生と常に連絡をとり合っていただいて、「今日の息子の様子はどうだった」と常にディスカッションをしていてくれておりまして、それを「養護の先生はこうでした」、「担任の先生は学校の感じではこうでした」ということを事細かに私に伝えていてくれたので、指導員の先生方がその仲介役を担ってくれていたところが現状です。

 2点目、質に関して安部委員からの御指摘ですけれども、質を担保するために何が一番必要かという点について、資格ですとか、いろいろなところがあるかと思いますが、やはり指導員自身が働きつづけたいと思えるモチベーションが、長く仕事を続けていきたいというのが一番大事だと思っているのですけれども、そのためには彼らが働き続けられる環境をいかに与えられるかが私は一番大事だと思っています。

 優秀で、素質がある、この人たちは先が楽しみだねという指導員の方々も多くいらっしゃるようなのです。私は直接存じ上げないのですけれども、そのような方たちが、生活が立ち行かないからやはり辞めますとか、男性の指導員の方なども今は、増えてはきているのですが、自分の今の置かれている身分では給与が少ないので結婚できないとか、どうしても生活ができないということで現場を離れていく方たちが非常に多いのです。彼らに安定した給料が支給され、雇用が確保できれば継続して働いていっていただけるように、先ほど資料5にもありましたけれども、継続して働けていくからこそ安定した保育が提供できるという形につながると思うので、私は指導員の雇用の安定が第一だと思っております。

 以上です。

○木田会長 利用していない保護者からの御意見などはというお話ですが、学童保育の整備をどんどん進めているなと思いますけれども、発展途上のものだと思っています。50年以上の歴史がありますが、十分だと思っているわけではありません。指導員の確保の問題など残っているなと思っています。

 児童の権利に関する条約の中でこういう指摘があります。これは18条の3項に「締約国は、父母が働いている児童が利用する資格を有する児童の養護のための役務の提供及び設備からその児童が便益を受ける権利を有することを確保するためのすべての適当な措置をとる」という指摘があります。ですから、まだ十分でないものをもっと充実してほしいというのが私の願いですし、そのために働きかけをしていきたいと思っています。

 安部委員のほうから出された、実践記録を書くときに何を重要にしているかというお話なのですけれども、1つは客観的な事実を正確に書くことと、それから、子どもの思いというか、背景にあるものをしっかりつかむことと、指導員がかかわっている狙いで、その3つがきちんと網羅されることが必要ではないかなと思っています。

 清水委員から御指摘があった、どうして補助事業が活用されていないかというお話なのですが、例えば2017年度から始まった放課後児童支援員キャリアアップ事業に関して言いますと、市町村のほうは2017年度の予算というものは大体3月には決まっているものですから、なかなか2017年度は使いづらいだろうとは思います。

 放課後児童支援員等処遇改善等事業のほうについて、1,600ある自治体でそれがなかなか使えないのは、もろもろあると思いますけれども、学童保育にかかわる施策の順位が後継に追いやられているのではないか。国のほうで用意されている施策を生かして進めていこうということに自治体としてのお考えが追いついていないがためではないかなと思っています。

 以上です。

○白川館長 失礼します。

 職員に大切な資質や資格についてお話しします。まずは育和会では理念に対する職員の意識統一について、力を入れております。先ほどパワーポイントの写真の中でお伝えしましたが「やさしくね やさしくね やさしいことはつよいこと」という理念を大切にしています。『北風と太陽』の童話に例えると、職員の中には北風の先生もいますし、太陽の先生もいます。でも、それぞれの持ち味を認め合いながら、その職員のいいところを意識して出せるような働きかけを行い、スタッフ全員で理念について意識統一をするように心がけています。

 それから、専門性のある研修や、全国研修に参加します。また、他施設を見学させていただいたり、職員同士が交流する研修を行います。意外にも異業種の方との交流をすると色々なヒントをもらえることがあります。地域で行われる消防署や町主催の研修にも参加して、人命救助や災害が起きたときのことを想定した内容の研修を、定期的に職員全員、受けるように義務づけております。

 スーパーバイズのところなのですが、確かに保育士や児童厚生員、放課後児童支援員の私たちだけでは対応し切れないところがたくさんあります。職員のほうからも、やはりそこが問題になってしんどくなる職員もおります。そんな時は町の保健師や知り合いの臨床心理士の先生に相談して、その臨床心理士の先生に来ていただいたり、理学療法士の先生を保健師さんが連れてきてくださって巡回したり、そういったことでスーパーバイズの場を設けさせていただいております。

 また、保育士の確保は、人口減少している私たちの町だけでなく、東京でもどの地域でも大変難しい問題だと思います。全国のある保育園では70歳代の現役の保育士がいるということも聞いたことがあります。育和会では、私たちの町の潜在保育士を、アンテナを張りめぐらせて探しています。例えば地域子育て支援センターに子どもを連れて遊びに来られるお母さん方に、「何か資格をお持ちですか?」ということをさりげなくお伝えして、保育士や幼稚園の資格をお持ちならば、そこに主任や私がそっと行きまして、子どもとお母さんの悩みを聞きつつ、仕事の話に持っていくといった方法を取っています。今のところ、職員の2割程度はそういった感じで潜在保育士の確保に成功しております。

 あと、保育士の部分や放課後児童支援員の部分では処遇改善をしていただいておりますので給料がアップしていくということも保育士の仕事をしてみようかなというきっかけになっていっていると思います。今後とも制度の継続をよろしくお願いいたします。

 以上です。

○柏女委員長 ありがとうございました。

 それでは、以上で質疑を終わらせていただきます。参考人の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして、大変貴重な御意見あるいは御説明をいただきまして、本当にありがとうございました。よろしければ12時にはこの会を閉じたいと思っておりますので、お時間がございましたら議論を聞いていていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、残り時間15分ほど、ヒアリングの内容も踏まえまして、関連する論点の、特に質の確保の話が今日は多かったように思いますけれども、あわせて量的拡充のところを中心に、具体的な御意見を頂戴できればと思います。

 御意見をいただける方は挙手をお願いしたいと思います。

 では、金藤委員、お願いします。

○金藤委員 お三方の御発表、ありがとうございました。大変興味深く聞かせていただきました。

 申し上げたいことはいろいろありますけれども、3点に絞りたいと思います。

 まず1点目は、保護者の方、木田さんの御発表にありましたように、処遇改善の事業の制度がうまく機能していない要因が幾つかあるということですが、学童保育側の運営体制の改善という、保護者がやるということをまず再検討していただかないといけないということや、行政側の施策に対する重要度への認識不足という、これは木田さんの先ほどの御説明でありましたけれども、そういったことがあるとすれば、国からの啓発等をより力を入れていっていただきたいと考えたのが1点でございます。

 2点目は、保護者の方の御発表にも含まれておりましたけれども、改めて、特別な支援を要する児童、障害のある児童や、触れてはおられませんでしたが、外国籍等の児童に対しての、専門性を持った人材の確保と配置は本当に必要だということを感じたのが2点目です。

 3点目は、育和会さんの御発表でありましたように、放課後子供教室と学童クラブの一体型というものの推進のメリットはやはり大きいのではないかと感じたところでございます。また「子どもの最善の利益」ということを踏まえると、異なる省庁間の事業の壁というものはありますけれども、育和会さんのお話を伺うと、乗り越えられるのではないかと感じました。また、居心地のよい空間づくりの重要性が子どもにとっても大人にとっても必要だということを大変意味深いものだと思いました。

 ありがとうございました。

○柏女委員長 ありがとうございました。本当に育和会の実践は興味深く聞かせていただきました。

 今、金藤委員からお話がありました処遇改善の活用について、今年度の実績はまだ少ないのかもしれませんけれども、それにしても保育所の処遇改善や、それから、社会的養護の処遇改善の申請等はかなり開きがあるような気がするのですが、保育所の場合は各市町村、ほとんどが出しているのではないかと思うのですけれども、この辺、実情を、次回でも結構ですので、教えていただければありがたいと思います。活用状況についてです。他とも比べた活用状況をお願いしたいと思います。

 ほかの御意見はいかがでしょうか。

 では、お願いします。

○山田委員 福島の山田と申します。よろしくお願いいたします。

 今、処遇改善についての話題が多く出ていたかと思うのですが、先日、ある市町村の公設公営で働いている職員の方から私のところに直接電話がございました。処遇改善とキャリアアップ事業について教えてほしいというお話でした。私のところに電話をよこす前に行政担当職員の方に話をしたところ公設公営だから処遇改善、キャリアアップ事業はないという回答だったそうなのです。

 福島市の70か所は公設公営ではありません。民設民営だからキャリアアップがもらえるのだという担当職員の回答だったということなのです。でも、厚労省の実績を見ますと、処遇改善、キャリアアップ事業をとっているという報告が上がっております。電話くださった職員の方が担当職員に聞いたお話と、報告している内容、以前、私が市町村の担当職員に直接、聞いた話では処遇改善は図られていると伺っており、話の内容が違っているようです。公設公営は処遇改善等がないという話で、食い違いを感じているところ(なの)です。

 そのことについてどのように厚労省側では把握をしているのか。公設公営はもらえないという回答について、確認をしたいところです。

 以上です。

○柏女委員長 ありがとうございます。

 では、小野委員、お願いします。

○小野委員 小野です。よろしくお願いいたします。

 質の確保の部分で、実は安部委員が先ほど、実践記録を書いていくことの意味というのか、そういうことについて御質問されて、私自身も現場で学童保育の指導員をやっておりますので、自分自身が実践記録について考えているところをお伝えさせていただければと思って発言させていただきます。

 それこそ、子どもたちとの日々の生活を、自分がどうかかわっていったのか、振り返っていきながら、実は毎日、この場面はどうだったのだろう、ああだったのだろうと、本当に自分自身、反省することが多い日々を送っているのですが、その場その場での子どもの思いや背景や、私たちがどうかかわったのかというのを実践者が丁寧に振り返ることが実はその次の子どもたちのかかわりに必ずつながっていくのは実践記録をまとめる中で自分自身が感じているところです。

 子どもとのかかわりであったり、それこそ保護者とのかかわりであったり、いろいろなかかわりは実はカウンセリングの手法で、例えば受容と共感が大切であるとかと学んで、それをマニュアル化しながら生活するわけではないですね。放課後の子どもたちの生活は、先ほども何もしない空間をつくって、子どもたちが自分たちで考えて、自分たちで生活をつくっていって、そこの中で選び取って経験をしていくような環境を整えていきたいなと思うのですが、子どもたちは本当にさまざまな姿を、顔を見せて生きていますので、そこの部分を自分自身が、では、どんなかかわりが必要なのかというのは、本当にマニュアルはできないなというのがこの保育の現場で自分自身がいつも感じている部分なわけなのです。

 そういう部分では、質ということを考えるときに、何かこういう研修があればいいとか、こういう形だけがあればいいという、形だけを考えていくと、その箱の枠組みももちろん必要なのですが、そのあたりの部分はすごく丁寧に考えなければいけないなと感じています。ですので、実は研修のあり方であったり、中身であったり、システムであったりというところを考えながら、日々の子どもたちとのかかわりをどういうふうにつくっていくものが必要なのかという部分で、実践記録という振り返りの作業というものを丁寧に見られるシステムを質の確保の中には入れていってほしいなというのが自分の中の考えとしてはあります。

 振り返るということは、実は反省することばかりなわけです。でも、子どもたちのかかわり、この場面ではああすればよかったかな、こうすればよかったかなというのも、実は1人で考えて、1人で判断していくだけでは先に進まないと思っています。その部分では、この実践を振り返る作業は、自分の考えが少し周りとの中で、その職場集団の中でどういうものなのか。そして、常に目の前にいる子どもたちにとって、実はどういうことなのか。私にとってどういう保育なのかではなくて、子どもにとってどういう保育なのか、どういうことが必要だったのかということを振り返るためにも大きいなと思っていて、それこそ目の前にいる、例えばアイコちゃんにとってどういうかかわりが必要だったのかというのを、その職場集団の中で考えていくことにつながるのかなと思っているというのが、現場の感覚なのですけれども、お話しさせていただこうと思いました。

 ありがとうございます。

○柏女委員長 ありがとうございました。

 そのほか、いかがでしょう。

 では、安部委員、それから、植木委員の順番でどうぞ。

○安部委員 ありがとうございます。

 資料3ですか。検討の方向性に沿って発言をさせてください。2点あります。

 1点目は「2 量的拡充」に関して(4)のところです。先ほど金藤委員からもありましたが、クラブと子供教室の一体型に関して、やはりどの方向で一体型していくのかを考える際に「子どもの最善の利益」、それから、子どもの権利の理念がきちんとそこに基軸となるものが必要かなというのが1点目です。

 2点目は「4 質の確保」の(12)で、池本委員からも評価に関する質問がありましたけれども、この評価をしていく際、評価の仕組みを整える際にも子どもの権利というものをきちんと入れていく必要があるかなと考えます。

 以上です。

○柏女委員長 では、植木委員、お願いします。

○植木委員 お願いします。

 同じく今の資料3の、私の場合は「3 類型」に当たるかと思いますけれども、先ほど白川館長の実践のところで、夜のカフェ、つまり夜間利用の報告がありましたが、児童館にしろ、放課後児童クラブにしろ、あるいはその他の子どもたちの放課後の居場所。これも夕方の時刻を超えた夜間利用で、これによって、例えばこの実践では保護者同士、あるいは親子の信頼関係が深まるということがありましたし、あるいはひょっとしたら高学年、中高生の居場所づくりということも、その夜間利用を拡大することで可能になってくるところがあるのではないかなということを感じました。

 以上です。

○柏女委員長 ありがとうございます。

 夜間利用は、別の事業としては子どもの貧困対策の関係で夕食提供とかというものは別途ありますけれども、それとは別のもの等の類型も考えたほうがいいのではないかというお話だったと思いますので、少し整理をしながら進めていくことが必要かなと思いました。ありがとうございます。

 ほかはいかがでしょうか。もうお一人か、お二人。

 中川委員、どうぞ。

○中川委員 質の確保がやはり大きな問題であるということは、この場で皆さん方共有の認識であろうと思うのです。それにつきまして、先ほどNIKONIKO館の館長さんからお話がありましたように、あれだけの取り組みをしっかりやられている背景には、私は人員配置についてお尋ねしたのですけれども、児童館担当が2名で、それから、放課後児童クラブ担当は1支援単位当たり2名の3支援単位があるので6名であるとおっしゃいました。まさにそういうしっかりとした職員が配置されていることが、あれだけの事業、活動を行っていく担保になっているのだと思いました。

 だから、やはり職員の確保、定着化をいかに図っていくかということについてしっかりと議論を進めていくことが今後、大変重要なのではないかなという思いを今日はいたしました。どうもありがとうございました。

○柏女委員長 ありがとうございました。

 先ほど公設公営の話がありましたけれども、後でそれは事務局のほうでまた最後にお答えいただく形にさせていただいて、木田参考人からお話があった、実働時間以外の準備時間を勤務といいますか、基準の中に入れられないかというお話もありましたが、そういうタイムスタディを以前したような気がするのですけれども、タイムスタディで最近の、この新制度が始まった以降のタイムスタディなどが行われているのかどうか。委員の方々でも、やったということがあれば、ちょっと教えていただけるとエビデンスになるのかなと思いましたので、そんな情報提供なども後でいただければと思いました。

 あと、処遇改善の実施率等々についてと、その原因、事業者側の要因もあれば、それから、自治体側の要因もあるのだろうと思いますけれども、そういう要因でわかる範囲で教えていただければということが委員からの要望として次回の資料にでもお願いできればということがあったかと思います。

 それでは、ほかによろしければ。

 では、どうぞ。御発言をお願いいたします。

○保護者 すみません。今、委員長のお話があったところで、時間外のところですけれども、A学童クラブは常勤指導員のほうは放課後の時間の前、要するに11時が勤務の開始なのです。当然、保育が始まるまでの数時間は指導員のミーティングですとか、保育が始まる前の環境整備の時間ですとか、あと、その時間を利用して学校や養護の先生とのミーティングなどを兼ねていて、業務に当たるようにしていますので、そういった形で実際に保育以外の時間に関しても指導員の方たちは業務を進めているようになっております。

 参考までにお願いします。

○柏女委員長 ありがとうございました。貴重な現場からの報告でした。

 それでは、事務局のほうから、御質問があった件も含めて説明をしていただいて、次回のことについて教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○川鍋子育て支援課長 済みません。山田委員からの、キャリアアップの処遇改善なのですが、先ほど座長のほうで次回の資料でということで、それぞれ保育所、放課後、社会的養護の施設を比較して、作成したいと思います。

 ただ、確認はしますけれども、基本的に公設公営については対象としていないはずなので、そこは次回の資料にもそこがわかるように整理をした上でまた御説明を、今日は時間が余りありませんので、条件はそれぞれ違うので、ただ、同じようにキャリアアップというものはあるものですから、そこは比較してわかるようにして、また改めて説明したいと思います。

○鈴木健全育成推進室長 タイムスタディの関係で、過去、新制度に入る前、平成22年度か21年度ぐらいですけれども、そんなに数は多くなかったと思うのですが、数カ所の放課後児童クラブを対象に実施した経緯はございます。新制度施行後についてはタイムスタディをやっていませんので、その辺の職員がどういう動きをしているかというのはなかなか、現在のところは把握していない状況でございます。

○柏女委員長 ありがとうございました。

 それでは、今日の議論はこのあたりで終了させていただきたいと思いますが、次回の予定について、事務局からお願いしたいと思います。

○鈴木健全育成推進室長 次回の専門委員会でございますけれども、地方自治体からの説明とヒアリングを予定しております。2月27日火曜日15時から2時間、17時までの予定となっております。場所につきましては追って御連絡をいたしますので、よろしくお願いいたします。

○柏女委員長 それでは、今日の委員会はこれにて終了とさせていただきたいと思います。参考人の皆様方、本当にありがとうございました。貴重な御意見、心より感謝申し上げます。

 ありがとうございました。


(了)

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