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2017年11月30日 第13回特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会議事録

○日時

平成29年11月30日(木)


○場所

TKP御茶ノ水カンファレンスセンター ホール2F


○議事

○石川医療機能情報分析専門官 定刻前ではございますが、構成員の先生方がお集まりですので、ただいまから第13回「特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」を開催させていただきます。

 構成員の皆様方におかれましては、御多忙のところ本検討会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。

 議事に入ります前に、前回、欠席されました松村構成員の御紹介をさせていただきます。

 自治医科大学地域医療学センター センター長の松村正巳構成員でございます。

 また、本日は、公益財団法人日本医療機能評価機構より、橋本理事に参考人として御出席いただいております。

 なお、本日は、川上構成員、松田構成員、山本構成員より御欠席の連絡をいただいております。

 また、事務局の医政局総務課長の榎本、医療政策企画官の長房が所用により遅れて出席。医政担当審議官の椎葉が30分程度で退室する予定でございます。

 続きまして、お手元の資料の確認をさせていただきます。

 議事次第、座席表のほか、資料1~3、参考資料1~2がございます。

 資料の欠落等がございましたら事務局にお申しつけください。よろしいでしょうか。

 それでは、以降の進行は座長にお願いいたします。

○遠藤座長 皆さん、おはようございます。

 それでは、早速議事に移りたいと思います。議事1「特定機能病院の承認要件の見直しについて」を進めたいと思います。

 まず資料が出されておりますので、事務局から説明をお願いします。

○木下保健医療技術調整官 事務局でございます。お手元に資料1を御用意ください。

 先般の医療法の改正を受けまして、来年度に施行を控えております特定機能病院の承認要件の見直しにつきましては、前回御検討いただいたところでございます。その際に何点か宿題事項をいただきましたので、その点につきまして本日、継続して御審議をお願いしたいと思っております。

 ページをおめくりください。まず1点目でございます。管理者の選任方法につきまして、前回、2ページの上段にありますような省令案の御提示をさせていただいたところでございます。その際、各構成員から御指摘をいただいたところでございますが、まず1つ目といたしまして、表現の適正化の観点から「選考委員会を設ける際には」とあると設けなくてもいいという解釈もできるので、適正な表現にしてはどうかということが1点目。2点目といたしまして、選考委員会を構成する委員や特別な関係がない者につきましては、人数を明確化してはどうかというのが2点目。3点目といたしまして、「特別の関係がある者以外の者」の要件として、過去において開設者に対して一定額を超える額の寄附を行っていないという点を新たに設けてはどうかという3点の御指摘をいただいたところでございます。

 こちらにつきまして3ページになりますが、85あります特定機能病院に対しましてアンケートの御協力をお願いいたしまして、81病院から御回答をいただいたところでございます。現在、管理者たる病院長の選考に当たりまして、合議体を設置することを既に対応されているところが35、残り46につきましては現時点においては合議体をまだ設置していないということがわかりました。

 右上、合議体を構成する委員の数につきましては、5人未満で構成しているところは1カ所もございませんでした。御回答いただいたうちの54%、19につきましては5~9名、残りの15につきまして約43%でありますが、1019名で構成されているという御回答をいただいております。

 左下に行きまして、委員、構成員のうち特別な関係がある者以外の方ということで、主には学外の方を御回答いただいているところでございますが、既に合議体の設置が決まっている35のうち16につきましては、基本的には学内の方で構成されているという御回答でした。それ以外のところにつきましては学外の方、特別な関係がない方を複数名構成員の中に入れているところでございました。その具体的な中身としましては、学長が委嘱する学外の有識者でありますとか、そこに書いてあるような方を要件としているところが御回答いただいているところでございます。また、今回、私どもが想定しておりました寄附金の授受の有無に関しましては、特段要件を設けているという御回答は得られていないところでございます。

 4ページ、アンケート結果の続きになりますが、管理者の選考に当たってどのくらいの期間をかけているかということをお聞きしております。こちらにつきましては41の病院から御回答いただいてございますが、どの程度、経過措置の期間をとればいいかということの参考になればと思いまして、こちらの期間を各特定機能病院からお聞きしたところでございます。その御回答としまして一部、6カ月以上という御回答をいただいているところでございますが、おおむね6カ月未満というところが4分の3程度ありましたので、これを参考に経過措置の期間につきましても考えていきたいと考えております。

 それ以外に選考に関する御意見として自由回答欄に記載があった内容は、そちらに添付しているところでございます。

 5ページ、これらの内容を踏まえまして、改めまして対応方針案という形で御提示させていただいております。上段の省令案につきましては前回と同じ内容をつけておりまして、○の1つ目と4つ目につきましては、特段の御意見をいただいていなかったので変更しておりません。

 まず○の2つ目の前回御提示した「選考委員会を設ける際には」という表現につきましては、下の箱の1つ目でございますが「選考委員会の委員については理事会等で選定し」ということで、理事会で委員を選定することを明確にしております。

 構成員の数におきましては、○の2つ目でございますが、選考委員会の委員の数は5名以上とし、そのうち複数名について特別の関係がある者以外の者から選任するという人数の規定を置かせていただいております。

 また、○の3つ目でございますが、特別の関係がある者以外の者のところで、ポツの3つ目といたしまして、一定額を超える寄附を当該開設者に対して行っていないという要件を追加させていただいております。

 6ページにつきましては、病院運営に関する合議体の設置に関しまして、医療法の条文の内容が少しわかりにくいという御指摘をいただいたところです。御指摘の内容といたしましては、現行の医療法の中では医師、歯科医師、薬剤師及び看護師その他の者をもって構成する合議体ということで、複数の職種が全て必須ということに関しましてどうなのかという御疑義をいただいたところでございます。こちらにつきましては、医療法の条文の趣旨といたしましては、多職種で構成されることで全ての職種が合議体に参画することを求めていることではないということにつきまして、今後、通知等で明確化していきたいと考えております。

 7ページ、開設者による業務監督体制の整備につきまして何点か御指摘をいただいたところでございます。一番上の省令案は前回、御提示したところでございまして、いただいた御指摘といたしまして、「法人のガバナンス構造によっては」という記載につきまして、具体的にどういう法人なのかということを明確化してほしいというのが1点目。

 2つ目というところで、文言の適正な表現ということで「点検する」とあるが、点検ではなくて管理監督ということが正しい、適切な表現ではないかということを御指摘いただいております。また、3つ目の御指摘といたしまして、「利害関係のない者」の要件はどのようなものを考えているのかということを御指摘いただいているところでございます。

 まずガバナンス構造というところが少しわかりにくいということで、前回、事務局より御説明しましたように総合大学を念頭に置いておりますが、医学部以外の学部の方で構成されている理事会におきまして、その病院の運営を判断することではなくて、そのような理事会の構成が病院の運営に関してどうかということであれば、各法人の判断として別途設置するということでもいいですよということを、通知等で今後明確化していきたいと考えております。

 また、点検という表現につきましては、法律上、監督という表記になっておりますので、そちらと平仄を合わせることとしたいと思っております。また、具体的に監督する事項といたしましましては、予算の執行状況でありますとか、病院の管理運営に関する重点事項ということにつきまして監督するという趣旨を明確化したいと考えております。

 3点目「利害関係のない者」の要件につきましては、監査委員会の委員の要件を踏まえまして、下記に抜粋を書いておりますが、そちらの要件を通知等で明確化していきたいと考えております。

 前回、御指摘いただいた内容につきましては、以上になります。

○遠藤座長 ありがとうございました。

 前回の各構成員からの御意見を反映して新たな案が出されておりますけれども、この修文内容につきまして御意見、御質問等あれば承りたいと思います。いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。

 中川構成員、どうぞ。

○中川構成員 8ページ以降の参考資料で14ページなのですが、省令案の3つ目の○で、選考委員会を設ける際には理事会等で委員を選定し、委員名簿や選定理由を公表するとなっていますが、選考委員の経歴等も公表すべきではないかと思います。

○遠藤座長 では事務局から何かコメントがあればお願いします。

○木下保健医療技術調整官 今、14ページの御指摘をいただいたところかと思います。省令案の○の3つ目のところで委員名簿と選定理由、その選定理由の公表する内容に、各選定された委員の経歴等を公表すべきという御意見と承っております。選考委員会の各委員の透明性を確保するという観点において、経歴につきましても公表が必要ということであれば、それを含めることに関しまして、事務局として対応は可能と考えておりますので、他の構成員の御意見も伺えればと思っております。

○遠藤座長 参考資料のところでそのような御指摘がありましたけれども、特段、何か御意見ございますか。特段御意見がないということは、中川構成員の御指摘に賛同という理解でよろしいですか。

 海野構成員、どうぞ。

○海野構成員 選考委員会の委員の中には学内の委員と学外の委員、特に特別な関係がある者以外の方々で構成されていると思うのです。学内の委員に関しては恐らくそれぞれの、どういう形で学内から選ばれてくるかという規定があって、それに従ってその委員が選ばれてくることになると思います。学外の委員に関しては、学外の人たちもわかっていないかもしれませんし、そういうことも含めて経歴を示していただくのは非常に有用だと思うのですけれども、学内の委員に関して選考のプロセスが明確であっても、経歴等までここで規定する必要があるかどうかということについてはどうかなという気もするのですが、いかがでしょうか。

○遠藤座長 中川構成員、何かコメントありますか。

○中川構成員 経歴は別にこの人は公表しなくていい、この人は公表するというのは変な話で、一律にやったらどうでしょう。

○遠藤座長 経歴ってどのぐらいのイメージですか。

○中川構成員 全くどんな人かわからないというのは困りますよね。

○遠藤座長 ということは、今どこに所属して、どういう立場なのかという、そのレベルでいいということですか。

○中川構成員 もう少し色をつけていただいて。

○遠藤座長 要するに学内の方であれば、診療科の教授とか何とか。

○中川構成員 公表ということは学内の人だけに見せるわけではないですから、だからそれは一律にやったらどうでしょう。

○遠藤座長 了解しました。ほかに何かありますか。

 では、そういう意味では公表する内容に経歴も入れるというようなこと、そういう方向性で事務局、検討をお願いしたいと思います。

 ほかに何かありますか。よろしゅうございますか。特段ないようですので、前回の議論がそれなりの修文案の中には反映されていたと理解させていただきたいと思います。事務局におかれまして、ただいまの修正を行っていただいて、基本的にはこの内容で医療部会にお諮りする形にさせていただきたいと思います。よろしゅうございますか。ありがとうございます。

 では、続きまして議事2「その他」に移りたいと思います。

 資料2「病院の第三者評価について」が出されておりますので、事務局から説明をお願いしたいと思います。

○木下保健医療技術調整官 資料2を御用意ください。特定機能病院の第三者評価につきまして、今、国内で行われています各病院に対します第三者評価につきまして事務局のほうで整理させていただいた資料を御用意しておりますので、御説明したいと思います。

 1枚おめくりください。特定機能病院に対します第三者評価、現状どうなっているかということにつきましては、特定機能病院の第三者評価の受審をすること自体は平成26年より努力義務と整理させていただいておりまして、現行においても多くの特定機能病院が病院の第三者評価を受審いただいているところでございます。

 具体的には局長通知の抜粋をしているところでございますが、特定機能病院につきましては、ここにあります3つの機能について専門性の高い対応を行う観点から、次に掲げる取り組みを行うことが望ましいということで努力義務とさせていただいているうちの1つ目といたしまして、「ア 良質な医療を提供するための取組をより一層高めていくために、病院の機能について広域を対象とした第三者による評価を受けていること」を求めているところでございます。

 また、本年6月に成立いたしました医療法等の一部を改正する法律案の参議院におけます附帯決議におきましても、以下にありますように「五、特定機能病院におけるガバナンス体制の強化及び安全で適切な医療の提供を定常化し、高度の医療安全の確保を図るために、特定機能病院の承認後の更新制の是非について検討するとともに、広域を対象とした第三者による病院の機能評価を承認要件とすること」を参議院の附帯決議でいただいているところでございます。

 3ページ、現在、病院に対します第三者評価というものがさまざまございますが、それにつきまして事務局で整理させていただいた資料になります。本日、この後に説明をいただきます公益財団法人日本医療機能評価機構、そのほかにJCIJoint Commission International)、さらにISOといった大きく3つの第三者評価が、国内ではメジャーなところかと考えております。それぞれ本部の所在地を記載してございます。

 審査の概要につきましては、日本医療機能評価機構におきましては、日本の病院を対象に組織全体の運営管理及び提供される医療について中立的、科学的・専門的な見地からの評価をいただいているところでございます。現在、認定病院数が2,182施設。更新期間としては5年ごとということがわかっているところでございます。

 真ん中にいきましてJCIにつきましては、審査概要につきましては14章に分かれておりまして、1,198項目の認定基準を満たすことによって、国際基準の医療の質、患者安全を担保した医療施設であることが認定されます。大学病院に特化しました認定基準がございまして、海外も含めますと68カ国968施設、国内でも24施設が認定を受けているところで、更新期間は3年ごととなっております。

 3つ目としまして、一般財団法人日本品質保証機構で行っていただいています、いわゆるISOになります。その9001等、医療機関に関する項目もございまして、具体的な審査概要といたしましては、マネジメントシステムが確立・実施・維持及び改善、いわゆるPDCAサイクルが図られ、組織の方針、目的を有効に達成しつつあることを審査いただいているところでございます。

 病院機能に分かれた認証は行っておりませんが、ISOの中の9001を取得されているところが126施設となっております。こちらにつきましても更新期間は3年間となっております。我が国で今、主に行われている病院の第三者評価につきましては、こういったものがあるという御紹介になります。

 事務局からは以上になります。

○遠藤座長 ありがとうございました。

 では関連いたしますが、資料3「機能種別版評価項目 一般病院3新設について」を橋本参考人から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○橋本参考人 橋本でございます。よろしくお願いいたします。

 資料3でございます。これは大部でございますので、逐一説明すると時間を要しますので、ポイントのみをお話し申し上げたいと思います。

 まず4ページです。現状についてお話しますけれども、病院機能評価というのは病院の自発的な質改善活動を支援するという観点から評価をしているとお考えいただければいいと思います。現時点での認定状況ですが、25.9%というのが病院数に対する比率であります。病床数に関して言うと41.5%です。特に特定機能病院の認定状況から言うと85施設中72施設が認定を受けていますので、84.7%になります。そのほかに我々自身も評価機関としての国際的な認定を受けているところでございます。

 5ページには我々が20年間評価活動をしてきた基本的な流れを示しています。まず96年2月から実際には始まっていますけれども、評価体系の第一世代としては日本の病院の世界の中に第三者評価というものを持ち込むことの慣らし運転みたいなところがあると思いますが、そういったことから始めております。

 第二世代に入りましては、もう少し精緻に見ようという観点から広範な評価項目を用意してやっています。また、その中では、ケアプロセス調査といった新しい手法も導入し、医療安全や感染管理を体系的に整備した評価を始めました。

 第三世代が2013年4月からですが、少し評価項目を減らし、重点化をいたしました。微に入り細にわたりやるのはいいのですけれども、そのことの弊害も少し出てきたように思われましたので、病院の機能にとって大事なところを重点的に評価するということを考えました。第二世代の精緻なものはよくないという意味ではないですが、かなり絞り込んだやり方をし始めたということです。そのほかに病院の特性に応じた機能の種別を用意したということです。それから、プロセス重視は第二世代から始まっていますが、もう少し進めました。1つの症例をずっと追いかけていくことによって、その病院の機能を見ていくという症例トレースという方法を採用しました。その症例トレースをしながら、部門の機能を見て、病院の全体の機能がどうなっているかという3段階の構成の考え方の評価方法であります。

 6ページはよろしいかと思います。

 おめくりいただきまして8ページになります。我々の評価事業全体から考えると、これは27年5月に再整理をしたものですが、評価をするということだけではなくて、自発的な改善を促すために教育というものが必要でしょうという認識を改めて整理いたしました。その教育については組織そのものへの支援だとか、その組織を構成している職員それぞれの教育といったものがあります。その展開を少しずつさせていただいております。

 9ページは1つの例ですが、患者満足度だとか職員満足度といったようなものを評価機構が一括してシステムをつくって、ベンチマークができるような仕組みをつくり始めている。これはまだ試行ですが、それなりに進んでくると思います。

 その次の10ページですが、これは厚労省からの委託の事業です。今般始まったばかりですが、特定機能病院の管理者の研修をしていく中でそれを支援していくという、我々のスキームから言うとそういうスタイルであります。

11ページは評価機構の中にございます患者安全推進協議会といった自発的な活動の例であります。評価機構の中に、認定病院から自発的に手を挙げていただいて、そういう活動体を用意しております。これも歴史がございまして、その歴史の中では例えば高濃度KCLのアンプルを病棟に置かないでほしい、置くなという話ですよね。提言を平成17年に出したと思います。そのほかに侵襲度の高いものについてはタイムアウトをしっかりやりましょう、それから、制度化されましたけれども、医療対話推進者という我々としてはコンフリクト・マネジメントという言い方で開発をしたものが実は制度化されております。そのほかに、病院の中で起こっている自殺の問題をどのように対応しようかといったような教育プログラムも先般発表したところであります。そのように認定の病院の中に向けた我々の提言ですが、実はこれは広くそのほかの病院もかなり気にしていただいているような、そういった活動をしております。

 それから、機能種別の今般のバージョンですが、3rdG:Ver.2.0といいますけれども、我々としては平成30年4月から運用を開始いたします。大きい考え方としてはガバナンスを重視したもの、それから、病院の役割・機能に応じた評価の重視、評価方法の見直しをいたしました。その下に幾つか書いてございますので、お読みいただければと思います。

 特に3番目のガバナンスについては、理念達成に向け行動規範を共有した組織運営の仕組みという定義の仕直しをしました。上からだけのガバナンスではなくて、それをしっかりシェアするようなガバナンスの仕組みをつくらなければ実効はないでしょう。特に大学病院はそういう組織特性があるでしょうという認識がございます。

 一般病院3の全体像をお話したいと思います。15ページ、評価項目の特徴としてはガバナンスの仕組みだとか実践、高度の医療の提供、高度の医療技術の開発及び評価、それを支える人材、医療安全確保、感染制御という大きい6つの特徴を有しております。簡単に大事なものを御説明したいと思います。

 特にガバナンスの問題です。先ほども議論があったと思いますけれども、開設者、経営・意思決定層、トップマネジメントです。そのほかに部門長、現場責任者等の責務・権限を明確にすること、そして、それぞれの活動及び機能の発揮状況について、仕組みと実績を確認するということになります。ですから我々が考えたのは、組織の上部からガバナンスを発揮していくようなやり方と、下から見ていくようなやり方をします。それぞれがシェアされている状況を実績に基づいて見ていくという手法であります。そのことが病院の中に周知されているかだとか、病院外へ周知されているかといったようなこと、それから、先ほどもありましたけれども、病院幹部の選任過程とか監督、評価の仕組みといったようなものを組織的なところから見ていく。そういったことがございます。

 さらに高度な医療が安全に提供されている。これは今までもございましたけれども、それを特定機能病院版にかなり詳しく、我々は1.5.4という項目で言っているところであります。新規治療や新たな技術導入の実施への対応及び実施後のフォロー体制がどうなっているかということまで実績を見せていただくことになります。当然、倫理的な問題というのはここにかかわってくるわけであります。それもしっかり見させていただきます。

19ページ、こういうことをやっていくのですが、大学の役割というのは教育にあるでしょうという議論が我々の検討会の中にかなり強くございまして、そのための人材育成をしっかりこの際、見るべきだという議論があって、4.3.1というのはかなり充実した項目になりました。

20ページは医療安全確保の取り組みです。我々の評価で一般的な病院、特定機能病院以外と言ってもいいかもしれませんけれども、かなり大規模な病院も含めて医療安全をめぐって診療科を超えた枠の活動を促すようなやり方が私たちはできていると思います。それは特定機能病院でも大学病院でもそれなりにできつつあると思いますけれども、いろいろな事故を見ているとそこがもう一つ、問題だったのかなと思うところがあります。そこで診療科を超えた活動を見るために、こういった評価項目と評価内容を用意いたしました。特に医薬品安全管理責任者、医療機器安全管理責任者は、たしか平成19年の医療法の改正で設けられた役割ですが、これが病院全体を通して大学病院では機能できたかどうかというのは難しいように私は感じております。そこをしっかりと見させていただくということになります。

 そのほかに22ページになりますが、訪問審査は現行では2日間という一般病院2の枠で行っていましたけれども、一般病院3では訪問日数を3日にいたしました。訪問病棟数は7~8病棟になるだろうと考えております。ケアプロセスで見るところを増やして、ケアプロセスのみ、医療安全の専門家が来ますので、その方が1日目の問題の所在に応じた形で2つから3つの病棟を伺わせて、かなりドリルインするといった仕組みであります。その分、人数が増えたということになります。

23ページを見ていただくと、そのことについてかなり詳細にスケジュールが書かれております。1日目、2日目、3日目ということです。3日目にございますように、病院幹部面談というのが新たに入ったものであります。

24ページです。1日目ではまず病院の大きいルールみたいなものを確認いたします。そして2日目に現場でそのルールが徹底されているかとか、そういったようなことを見させていただきます。そうすると必ずしも十分ではないかもしれないということで、それらのサーベイを受けて3日目の幹部面談をいたすということです。そこでは当然、ガバナンスの問題として、病院幹部面談の中で組織的にこういう隘路があるではないかといったような指摘があり得ると思います。それから、定常的な状態というのはどのように保たれているのかということも確認させていただくようなことを、幹部面談の中でもさせていただきます。

25ページになりますが、これはサーベイの詳細になります。定常的な状態を見るために出していただく症例を、これまでの病院が御用意いただいたもののほかに、事前にサーベイヤーが指定をさせていただきます。

 そのほかに、カルテレビューというものを用意いたしました。カルテを複数かなりの数、用意していただいて、テーマに応じた形でそのことが実際にされているか、反映されているかどうかというのをカルテレビューの中で見させていただくということがあります。

26ページ、医療安全ラウンドは医療安全の専門家で大体の勘所は押さえているサーベイヤーを用意いたします。そういう人たちが基本的なところは当然見るわけですが、組織的な隘路があるようなところで起こってくる医療安全の問題というのは想定されていますので、それらについてドリルインしていきます。そういった部署訪問というものがございます。

27ページは先ほどのカルテレビューであります。幾つかのものを用意しながらやっていくことになります。

 そのほかに大体のところが終わりましたけれども、30ページをご覧いただけますでしようか。先ほども少し触れましたが、病院幹部面談であります。2日間の調査で確認したガバナンスの状況をサーベイヤーが報告し、意見交換をいたします。1時間とっていますのでかなりの意見交換ができると思います。この中ではもしかするとサーベイヤーの誤解みたいなものがあるかもしれませんけれども、そこも話し合うというところがあると考えています。そこはお互いにとっていいやりとりになるかなと考えております。

31ページには認定後の対応です。他の第三者組織は3年ごとの認定でありましたので、我々も随分検討をしたのです。私たちは結論として認定期間を5年のままとし、期中の確認をしっかりさせていただこうという結論に至りました。

 そして33ページ以降ですが、試行調査を4カ所の国公私立の病院に御協力いただいて実施いたしました。

34ページ以降、その試行調査の結果が出ております。まずガバナンスについては、ある病院からは右のようなお答えをいただきました。2番目ですが、カバナンス構築には個と組織双方の倫理観の醸成が必要であると気がついたという言い方がされています。おそらくそれなりにやっていたのだけれども、その根幹をなす考え方に齟齬があったということにお気づきになったのだろうと思います。 35ページになりますが、受審病院の御意見といたしましては医療安全について部門の運用状況が詳細に確認され、具体的な質問のやりとり、ドリルインですね、一般病院2よりかなり適切だったという御意見をいただいております。それから、的確な質問で大学病院本院の役割、機能の発揮状況が確認された、医療安全管理に精通したサーベイヤーであった、というような回答を寄せられました。大学病院や大規模な病院にお勤めのサーベイヤーはそれなりの数おりますので、そういう者を配置していく予定です。

 そのほかに今回の制度改正の目玉であります高度の医療提供、高度の医療技術の開発についても、高難度新規医療の導入に関して情報共有の手順を明文化する必要を考えるよい機会となった、整理できたとの回答があります。、それから、教育研修についても、その病院はかなりしっかりやっていたと思います。これを確認してもらえたということで、ある種の満足感があったのかなと思いました。

 定常状態を確認するというのが今回の改定の大きな命題でありました。試行調査では日常に近い状態で評価をされたという回答があります。定常状態の評価がある一定程度確保されると思います。

 全体としては、受審病院の御意見としては一般病院2より深掘りして役割評価をされたということ、それから、医療安全上の責務やガバナンスについて詳しく評価がなされたということ、ガバナンスや倫理を初めとした課題がより明確になったということであります。

 私からは一般病院3の大きなフレームと、それを用いて試行調査をさせていただいた結果を御報告いたしました。

 以上であります。

○遠藤座長 ありがとうございました。

 それでは、事務局の御報告とただいまの橋本参考人からの御報告、どちらでも結構でございます。皆様から御意見、御質問等を承りたいと思います。いかがでございましょうか。松村明構成員、お願いいたします。

○松村明構成員 31ページの認定後の対応について、先ほどC評価がある病院を3年目に確認するとのことですが、C評価というのは拝見すると一定の水準に達しているとは言えないということで改善要望事項として出すわけですが、確認は本当に3年後でよいのでしょうか。もっと早く改善するという点については、どのようにされているのでしょうか。

○橋本参考人 まずC評価が残った場合に改善要望事項として残ります。それは3年間放置しているわけではなくて、例えば3カ月とか6カ月という期限を決めて改善結果を出していただきます。そして、それが認定された後の話です。ですから放置をしているわけではないということです。

 なぜこんなことを設けたかというと、我々の長い経験の中では改善要望事項を出して直していただいているのですけれども、病院としては一瞬、そういうところに達するのです。しかし、その後ちょっと抜けてしまうところがあるので、それが定常的に少なくとも3年間ぐらいは続いていることは確認しましょう、というスキームを設けました。

○松村明構成員 わかりました。ありがとうございます。

○遠藤座長 ほかにいかがでしょうか。

○邉見構成員 この病院機能評価の3という新しいバージョンは非常にいいと思うのですけれども、受けるほうの大学の先生の意見はどうなのでしょうか。これはかなり手間がかかると思うのですが、私としてはやっていただきたいなという気持ちなのですが、どうでしょう。

○遠藤座長 海野構成員、どうぞ。

○海野構成員 本当に率直に申し上げますと、今まで私どもが受けていたのが一般病院2になると思います。私どもの病院も一昨年に受けて認めていただいたのですけれども、そのときの印象は正直申し上げると、厚労省の特定機能病院の立ち入り検査が毎年ありますけれども、そちらのほうがかなり厳しいので、そんなに厳しさを感じなかったというのが正直なところでした。ですからそういう意味で特定機能病院に関しては、いろいろな国からの御指導がかなり頻繁に、充実した内容で行われてきている中でのことではあるということになります。

 そういう意味で今回の一般病院3というのは、かなり踏み込んでいただいているので、実際にそれを受ける側の立場からすれば、今回、拝見していると特定機能病院で今回要求されるというか、必要なことになった部分がしっかり組み込まれているのはたしかだと思いますので、病院側として実質的に対応するという部分に役に立つことは間違いないだろうなと感じております。

 あと、現状、この受審病院の御意見を拝見していて、今はそれぞれの病院は必死に対応しているところですから、そういう努力の中で今回のトライアルの調査も受けられたのだと思うので、より一層その有効性というか、それを実感された感じで御意見が出てきているのだろうなと感じました。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 松村明委員、どうぞ。

○松村明構成員 まさに邉見先生がおっしゃるとおり、中身としては非常にいいし、ボリュームも増えているとのことですが、先ほど海野先生がおっしゃったように、今いろいろな評価がございます。例えば、先ほどの厚労省の個別指導であるとか、そういうものも少しこちらと重複しているところがあるような気がしております。観点が少し違うというのはございますが。

 それから、特定機能病院で今ピュアレビューを開始しておりまして、その中で医療安全や高難度新規医療技術、そういうことも見ておりますので、こちらも重複しているような感じもあるかと思います。

 もう一つ、外部監査委員会というものを年2回必ず行うのですが、こちらは要件がかなり詳しくて、外部監査委委員会も開催し始めてはいるのですが、どこまで見るのか、もちろん立ち位置と観点が違うということもありますが、別にA、B、Cをつけるわけではないので、少し整理して合理化していきませんと、しょっちゅう評価、評価となり、当院も今年になって個別指導、ピュアレビュー、監査委員会と次々と行ってまいりましたが、院内の職員に対して事前説明会を何回も行い、コアグループを作って準備をし、立入りの日はずっと3日間対応し講評も聞くということになりますと、本当にやらなければいけない医療がともすると少しそちらの方に目が向いたり、あるいは過重労働になったり、そういうこともあるかと思いますので、将来的にはどこかで合理化ということも少しお考えいただいた方がよいかと思います。内容に少しかぶっているところがあるとしても、同じような部分については、できれば合理化していただくと大変ありがたいかなと思っています。よろしくお願いします。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 橋本参考人、何かコメントございますか。

○橋本参考人 今の議論をお聞きしていまして、この狭い領域から少し外れますと、私も大学病院のトップマネジメントに十数年おりました。医療監視を何度も受けました。かなり厳しくて中身がなかなかすぐれているなと個人的には思っているところがあります。ただ、医療監視の目的は法律との合致性なので、やりとりの中ではいいのですが、結果として出てくるコメントは、やりとりの中の一部分しかないという実感があります。それはそれぞれの役割が異なるのだろうと思います。

 それから、幾つかの外部評価的なものが混在しているということに関して言うと、これは整備する必要があると思います。病院側の問題としては、我々の評価をどういうふうに使っていくかという問題が実はずっとありまして、私たちの言い方は、病院を改善するプラットフォームにしてくださいという言い方をしています。プラットフォームにしていただいて、その上に何かいろいろなものを乗せていけばいいでしょう。もしくは、もしかするとプラットフォームはBSCにしている病院が結構ありますので、その幾つかの視点に応じた形で我々のものを使っていただければいいだろう。要するにマネジメントをどうするかということをもう少ししっかりと単純にして病院の中でやっていけばいいだけの話ですが、それがどうも余りうまく整理されていない状況があって、幾つもたくさんあって大変だという状況が病院の中でつくり出されているのかなと私個人的には思っています。

 以上です。

○遠藤座長 どうもありがとうございます。

 ほかに何か御意見、御質問。それでは、島崎構成員、どうぞ。

○島崎構成員 今日の議論の位置づけがわからないのでお尋ねします。先ほど資料2について御説明がありましたが、それは、現状がどうなっているかというと、第三者評価の受審については努力義務になっているけれども、今度それを承認要件にするかどうかということを本日ここで議論してほしいという趣旨なのですか。

○遠藤座長 それも含めてこれは当然、議論を今日してもいいということですよね。確かに資料のつくり方がよくなくて、アジェンダが何なのかよくわからない。フリーディスカッションしてくれ、材料は出すからという雰囲気が若干あるので、事務局は次回以降、その辺を整理してほしいのだけれども、いずれにしても確認します。

○木下保健医療技術調整官 大変失礼いたしました。資料2の位置づけといたしましては、現状、私ども特定機能病院に対しましては努力義務となっているところに対しまして、参議院の附帯決議で今後はその承認要件化することについての検討を求められているというところが、私どもが負っているミッションとなります。つきましては今後、承認要件化するに当たってどういった要件でするのか。また、ここで今、求められているのは第三者による病院機能評価につきまして、その広域を対象として取り組まれているものがどういうものがあるのかということを整理していくことが必要と考えております。

 ただ、承認要件化した場合に、承認要件となったことを受けて、例えば特定機能病院としては承認を受けているけれども、病院の評価として認められなかった場合の取り扱いをどうしていくかとか、そういった点も含めて今後、整理が必要と考えておりますので、まずは国内におけます第三者評価がどういう取り組みがされているかということにつきまして、現状を共有させていただきたいというのが今日の位置づけでございます。

 今後につきましては今、御指摘がありましたように、承認要件化するかどうかも含めて、この検討会におきまして各構成員の方々から御意見を伺うとともに、場合によりましては他の第三者評価をやっていますJCIでありますとか、ISOからもお話を聞く機会を設けたいと思っておりますし、先ほど構成員から御指摘がありました各特定機能病院にどういった立ち入りとか、ピアレビューとか、そういう外部からの評価を受けているものの整理ということも一定程度やっていく必要があろうと考えておりまして、それらにつきましては次回以降、私どもからしっかりと論点を整理した上で御検討いただきたいと思っております。

○遠藤座長 ですから今日要件化するかどうかという議論をしてもいいのかどうかということをお聞きになりたいわけなのです。

○木下保健医療技術調整官 まずは現状の確認ということで、結論まで求めているということではございませんので、今日は参考人に来ていただいていますのでヒアリング中心でお願いできればと思います。

○遠藤座長 わかりました。

 海野構成員、どうぞ。

○海野構成員 現状では特定機能病院は第三者評価が努力義務ということだと思うのですけれども、もちろん厚労省でも把握していただいていると思いますが、私どものほうで実際に大学病院でどのぐらい受審をしているか。先ほど機構からも数字が出ておりますけれども、受審を全然しようとしていないところというのはまずほとんどなさそうです。

 医学部長病院長会議の聞き取りの中ではISOだけを受審しているところが4大学ほどあるようです。それ以外は基本的には機能評価機構を受審してきている大学病院が圧倒的に多いわけです。それで今後、JCIの話も出てくるかもしれませんけれども、JCIに関しては受審している病院はあって、認証を受けている大学もありますけれども、JCIだけを受けているところは今のところ大学病院ではないようですので、そこは機能評価も受け、それでJCIも受けというところで、まだ少数ですけれども、そのような状況です。ですから基本的に大学病院がやろうとしていない状況があるというのではなくて、現状はこういう状況でやってきていますということで、今回、一般病院3というものをつくっていただくことによって、選択肢がより充実することにはなるのかなと思いますが、その選択肢をどの範囲の中で義務化の方向をどのように議論されるのかというのは、選択肢がどういうものであるかというのをよく御理解いただいた上で議論していただいたほうがスムーズに進むのではないかという気はしております。

○遠藤座長 ありがとうございます。そういう背景事情もあって、こういう流れの議論をしているということでございます。

 ほかにいかがでございましょうか。中川構成員、どうぞ。

○中川構成員 特定機能病院の承認要件にするということは、特定機能病院の承認要件の一部がこれだということですね。第三者による病院の機能評価を受けていれば、特定機能病院の承認要件はクリアするというわけではないわけですね。となると先ほど先生おっしゃった医療監視のほうが数段厳しいという状況を考えると、もう少し厳しくするべきかなと発想としては思います。そんな緩いのだったら余り意味がないのではないかと思ってしまいますね。だからこれはなかなか難しいところで、とりあえずクリアしておけばいいんだというのでは意味がないかなという印象を持ちます。

○遠藤座長 要件化の議論については今後、議論いたしますけれども、先ほど橋本参考人からお話がありましたように、監査の話と機構の行っている第三者評価は、それなりの意味合いが違うんだというお話もあったと思いますが、ただいまの中川構成員の御発言について橋本参考人から何かコメントがあれば伺いたいと思います。

○橋本参考人 まずやさしい、生ぬるいという言い方は、今の一般病院2を受けていただいた感想だと思います。ですから一般病院3をぜひ受けていただいて、じっくり味わっていただければよろしいかなと思います。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 それでは、相澤構成員、お願いいたします。

○相澤構成員 中川先生のお答えになるかどうかわからないのですが、病院機能評価を含め、そのほかのところは患者さんに対する医療がどのように行われているかという、医療の質を中心に、しかも患者さんが外来から入院をしてどうなっていくかということをずっと追っていくというところが、非常にいいところではないかと思うのです。行政のやる監視は法令にきちんと合ったことをやっているかという、どちらかというとストラクチャーの評価に近いのがありまして、厳しいことは大変厳しいし、下手をするといろいろ改善命令だとか、場合によってはお金を返せというようなことまでつながるわけで、多分、見ている方向が違うと思うのです。ですから私は医療の質とか患者さんの安全を担保するためにはストラクチャーだけではだめなのではないかと思っていまして、大変でしょうけれども、両方あったほうが私は日本全体の病院の質は上がっていくのではないかという感じがいたします。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 中川構成員、どうぞ。

○中川構成員 今まで特定機能病院の承認要件の見直しを進めてきたのは、特に医療安全の観点を中心にやってきたと思うのです。第三者評価の一般病院3を拝見すると、網羅的だなと思うのです。特定機能病院全体の。今、相澤先生がおっしゃった医療の質の競い合いというか、それは各特定機能病院の独自の努力があって、いろいろな質の向上を目指すべきで、これはいい意味の競争をしていただきたい。第三者による評価は、私は医療安全の仕組みがきちんとやっているかということに特化するというのも1つの案かなと思うのです。特定機能病院の承認案件をクリアして特定機能病院というふうに承認されているけれども、第三者の評価で本当にそうか、クリアしているのかというチェックをする役割が求められるのかなと思うのです。橋本先生、どうでしょうか。

○橋本参考人 なかなか難しい御意見だと思います。大学病院をどう見るかの問題にかかわってくるので、個人的な意見になってしまうかなと思いますけれども、私は医者ではありません。御存じかもしれませんが、横浜市立大学が患者取り違え事故を起こして、その後、行きました。そこで感じたことは、その前に大きな規模の一般病院を見ていると、それに比べて医療の基本がおろそかだなと思いました。患者さんをよく診ることの、そしてチームで力を発揮できる資源があるのに、そのことがうまく機能していないなと思いました。だから評価機構の評価を使ってそのことを見るようにいたしました。だから特定機能病院の問題が安全だけというのは私と意見が違うかなと。今の病院も多分にそういうところを持っています。安全をめぐってさまざまなチーム医療がされているかどうかということを我々は見ているつもりです。ですから安全だけを必ずしも見ているわけではなくて、そこで発揮されてくる質を見ているという観点であります。質と安全というのは基本的には同じものだと私は考えております。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 島崎構成員、どうぞ。

○島崎構成員 橋本参考人に御意見をお伺いしたいのですけれども、現状どうなっているかというと、第三者評価の受審について努力義務になっているわけです。仮にこれを例えば承認要件とすることにした場合に、第三者評価を行う組織というか機構・機関の妥当性の評価については、どのようにしていくべきだとお思いになりますか。

以前、第三者評価の受審を努力義務にするか否かについて、この検討会で議論がありましたが、私は、特定のどこかの組織、具体的に言うと機能評価機構に特定すべきではないという意見をそのときに申し上げました。というのは、本来こういう組織というのは、それぞれが切磋琢磨し、受審する側がなるほどこれは心に染みるというか、多くの気づきがあった指摘がなされたというように、いわばマーケットの中で評価が形成されていくことが望ましいと思っているからです。

 しかし、仮に病院の機能評価を承認要件とするとなると、ちょっと話は違ってくる。たとえば、承認要件とした以上、指摘をしたにもかかわらず、まずいことが起こったといったときの効果はどのようなことになるのかとか、いろいろな機能を惹起するのだろうと思うのです。ということになると、こういう漠然とした、「広域を対象とした第三者による評価を受審する」といった書き方でいいのだろうか。第三者機関の評価そのものをどうするのか、ある程度限定するのか、あるいは認証機関のように一定の要件をかけていくのかという議論が起こると思うのですけれども、その点についての橋本参考人の御所見を伺えればと思います。

○橋本参考人 御存じだと思いますが、アメリカでもそういう議論があって、JCがそういう議論にさらされたことがあったと思います。多分、承認要件という形にすると、その議論は当然出てくるわけです。我々の評価方法の中にもこれから多分、影響が出てくると内部的には思っています。

 それから、我々の組織として考えたときに、抽象的な言い方ですが、これまでにも増して社会的な責任がかなり重くなるだろうと考えています。そこら辺の整備についてまだ我々としては整理し切れていないところですが、多分それは我々だけではなくて外部のもっと大きいレベルでの我々を所掌するような、そういったところと議論していかなければいけないということが、これから先、出てくるのかなと思っています。

 我々だけが第三者評価機関ではないという言い方はありますけれども、八十数%受けていただいているわけですから、それはそれなりに重みがあると思います。我々、方法論から言うと先ほど事務局から御案内がありましたが、JCは割に似ているなと思います。かなりドリルインをするというやり方やら、人数が違ったり、あるいはもちろんお金も違いますけれども、そういったところです。それから、ISOは私は個人的には定義の仕方をうまくすれば、相当いいものになるだろうと考えています。ただ、現在そこまでし切れていないようにも思います。定常性を見るにもいいかなと思います。それぞれ長短があるかなと思っています。

 以上です。

○遠藤座長 ありがとうございます。重要な御指摘だと思いますので、それも含めて今後、議論させていただければと思います。

 中川構成員、どうぞ。

○中川構成員 確認しますが、今回の特定機能病院の承認要件の見直しの発端になった2つの特定機能病院、これは医療機能評価機構の一般病院2で認定されていたのですね。

○橋本参考人 そうです。

○中川構成員 そうなると、またいろいろな議論が発生してきますね。3だったら大丈夫かというようなことになるのですが、それで先ほど私が医療安全にある程度特化すべきではないかと言ったのは、そういう観点から申し上げたのです。特定機能病院の医療全般を評価するというのは、前もこの場で言ったと思いますけれども、3日間の抽出調査で評価するというのは限界があると思うのです。ということで、そのように申し上げました。

○橋本参考人 確かに我々が3日間調査してどのぐらいわかるのかという疑問があると思います。我々も100%、120%わかると思っていません。ただ、例えば85%から90%ぐらいはわかるだろうという漠然とした言い方ですが、実際そういう感触はあります。ただ、そのことは恐らく全然わからないよりは相当いいだろうと考えています。だから100%ああいう事故を防ぐことができるかどうか、起こることを防ぐかどうかということは、かなり個人的には難しい、ファジーなところかなと思います。

 ただ、それは中川先生と意見が違うのですが、例えば群馬県の大学病院で起こったようなことは、ああいうことは手術の場面では起こり得るとして、そのことが早目にブレーキがかからなかった病院の体質だとか、コミュニケーションの悪さとか組織のあり方といったものがかなり影響しております。ですから私自身もあの病院に行って改善された様子を見てきました。かなりよろしくなったということは、相当その間に乖離があったということです。以前の状態と。そのことを促すことができるということは、100%ではないかもしれないけれども、第三者評価として存在する意義は大きいと思います。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 中川構成員、どうぞ。

○中川構成員 考え方が違うというか、東京の大学病院ということですか。

○橋本参考人 それは地方と比べてという意味ですか。

○中川構成員 いや、先ほど群馬県ともう一つですから。

 それで私の印象としては、どこからどう見ても大変な問題が秘められているのです。それも外部の人からもわかるぐらいに。それが医療機能評価機構の一般病院2をクリアして認定されたということの限界があると思うのです。100%ではないとおっしゃいましたけれども、では何%だということも含めて、余り過大に第三者評価を評価してはいけないと私は思うのです。それは悪口を言っているわけではないです。私の病院も認定していただいて、物すごく医療の質というかレベルは上がったと思いますので、そういう意味で申し上げているのですけれども、どうでしょうか。

○橋本参考人 東京の方のことをどこまで申し上げていいか個別の契約状況の中で進んでいるものですけれども、群馬県の大学病院に比べると少し遅れているというか、組織的な問題のほうが大きいという認識が、我々が行ったサーベイヤーからは寄せられているところです。そういう問題があるのは、我々第三者評価だけの中でそれが解決されていくような話ではないのだろうと思います。病院自身の中でどのように改善していくかという病院の責任そのものだと私は思っています。我々はお手伝いをするという立場で、別に腰を引いているわけではなくて、逆に言うと受けるからにはそれだけの意識を持ってやっていただきたいと私は思っています。受ければ何とかなるだろうという考え方はあり得ないと思います。

○遠藤座長 相澤構成員、どうぞ。

○相澤構成員 恐らく第三者評価というのは、医療の質と病院の質を高めていく1つのツールだと思うのです。ですからこれを承認要件としてしまうのは違和感があって、こういう第三者の評価を受けるべきであるような書き方のほうが、私は医療の質、病院の質を高めていくという意味において大事ではないかと思っています。

○遠藤座長 ありがとうございます。ですから承認要件にするかどうかということについての議論の中で、今のような御意見もいろいろと言っていただければと思います。

 ほかにいかがでございましょう。島崎構成員、どうぞ。

○島崎構成員 先ほど申し上げたことのさらに延長で申し上げると、第三者評価の受審について、私は必ずしも承認要件とすることについて反対だということを申し上げるつもりはないのですが、法制的に詰めなければいけない要素がいろいろあると思います。

 例えば先ほど申し上げた第三者評価の機関を指定認証機関みたいな形でもって縛るかどうか。そのことの妥当性の是非だとか、あるいは違う例で申し上げると、例えば一定規模以上の株式会社が決算を行うときに、会計監査人の監査を受けなければいけませんよね。仮にその監査が間違っていた場合、社会的な制裁を受けるだけではなくて、法令に基づく行政処分の対象になり得るわけです。つまり、承認要件化したときに、法制的にどういう意味を持つのかどうか等について、他の法令の比較も含めて法律論を詰めないと、ここで一刀両断にするには躊躇します。その点についてもう少し法制的な議論を詰めた案を、今日でなくてもちろん構わないのですが、事務局にはお示しいただきたいというのが1つあります。

 もう一つ申し上げたのですけれども、附帯決議を拝見すると、「広域を対象とした第三者による病院の機能評価を承認要件とすること」となっており、これだけが検討とか何とかという言葉が加えられていなくて言い切っているのです。そのことにつき、前回それについて国会でどういう議論があったのかということをお尋ねしたのですが、必ずしも明確なお返事がなかったのですが、議事録等をもう一回精査をしていただいて、この部分についてどういう議論が国会の中であったのか教えていただきたい。もちろん国会で言われたことを全てそのままということではないにしても、国会というのは国民の代表なわけですから、ここまで明確な附帯決議がついたことの重みを一定程度斟酌しなければいけないということもあるだろうと思うのです。

 いろいろなことを申し上げたのですけれども、いずれにしても承認要件とするかどうかということについては、JCIの認証であるとかISOの認証がどうなっているかということもありますが、ぜひ法制的な議論の整理をしていただきたいと思います。

○遠藤座長 事務局よろしいでしょうか。コメントあればどうぞ。

○木下保健医療技術調整官 ただいまいただいた御指摘も含めまして、次回以降、整理をさせていただきまして、具体的なものを資料として御用意したいと思っております。

○遠藤座長 よろしくお願いします。重要な御指摘でした。

 それでは、吉川構成員、お願いいたします。

○吉川構成員 要件にするかは別として、先ほど相澤先生がおっしゃった質を担保するというところに私も賛成はします。私は実際はJCIしか最近は受けたことがないのですけれども、医療機能評価も3になった場合、ないしはJCIもそうなのですが、継続して組織の中で質を担保していくためには院内でプロジェクトなり委員会なりを作り評価での合格基準を担保し続けていくことが重要になります。

 昔の日本医療機能評価機構の場合ですと、印象的には1週間、10日前に一生懸命書類をそろえて、テーブルの上にたくさん乗せて評価を受けてきたというイメージがあって、JCIではそれが通用せず継続的に、しかも院内で隅々のスタッフまで浸透されているかというところが非常に厳しく評価されます。今回の医療3が、継続した質の担保について評価できるのであれば、この評価はよいのではないかと思います。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 ほかに何かございますか。本多構成員、どうぞ。

○本多構成員 私も要件化は別としまして、そもそもの問題が特定機能病院で起きている実態からすると、第三者の評価機関が入るということは、患者側としても大事だと思います。先ほどの管理者の選定過程とか合議体の選定委員も公表していく、透明化を図っていくということとも関連しますが、国民からしますと病院だけでなく、客観的な第三者の組織でチェックすることが必要と思っています。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 中川構成員、どうぞ。

○中川構成員 話が戻りますけれども、橋本先生に確認しますが、一般病院3は特定機能病院の承認要件について評価するのですか。

○橋本参考人 それは必ずしもメインの仕事ではないと思っています。我々が病院を評価する目的は、特定機能病院であれ、ほかの病院であれ一緒です。

○中川構成員 いや、含まれるのかという意味です。

○橋本参考人 承認要件で用意されているような項目は、我々の評価項目の中に含まれているかどうかということでしょうか。そうではないですか。

○中川構成員 例えばもし要件にすると、医療機能評価機構の認定を受けているのだから大丈夫だろうと思ってしまいますよね。そのときに特定機能病院の承認要件を本当にクリアしているのだろうかというチェック、審査が含まれるのかどうかということが結構大事なことになってくると思うのです。それとは別だ、文脈は別で評価するんだということになると、今回の見直しで医療安全のことは物すごく濃くというか、濃厚にシステムを見直した、承認要件を見直したのですから、そのこととは別の文脈で審査するのであれば少し物足りないなと思うのです。どうでしょう。

○橋本参考人 物足りないですかね。ぜひ我々のサーベイに一緒に行っていただければ、どのぐらい物足りないかよくわかると思います。

○中川構成員 医療安全という観点から物足りないという意味ですよ。

○橋本参考人 はい、ですからそのことです。もう少し言わせていただければ、厚生局による医療監視はかなりすぐれてきたとは思いますけれども、届いていないなという実感は、私はずっと受けきて、あります。結局、法制化されたことに合致しているかどうかですから。私はかなり批判的です。要するに研修を病院の職員全体が年2回受けていることを示せという、病院にとってはかなり厳しいです。厳しいけれども、意味がその厳しさに応じて本当にあるかどうかの問題。もちろん研修を受けたほうがいいのですよ。でも1年に2回それぞれが受けていることを示せという事務作業量みたいなことを考えると、その厳しさというのは本質から外れていると思う。まずそこはありますね。我々ももう少し病院の中で行われているさまざまな安全にかかわる業務をかなりそういう意味では追求という言い方は余り好きではないですけれども、しっかり聞いていくようなことをやっています。ですから甘いと呼ばれるのは、私としては個人的にはまだ甘い部分もあるなと思いますけれども、ほかの対象がどうなのかよくわかりませんが、かなり厳しいレベルではあると思います。

○遠藤座長 ありがとうございます。大体御意見は出尽くしかなと思いますが、よろしゅうございますか。まだ時間はありますけれども、余り堂々めぐりになってもあれですので、それでは、事務局におかれましては幾つも宿題が出されましたので、第三者評価及び義務化の問題も含めて今後また議論を継続してまいりますので、それに合うような資料をつくっていただければと思います。また、橋本先生におかれましては非常に貴重なお話ありがとうございました。御礼申し上げます。

 それでは、本日の議題は全て終了いたしました。その他、事務局から何かございますか。

○石川医療機能情報分析専門官 次回の開催日程は、改めて御連絡させていただきます。

○遠藤座長 それでは、予定した時間より大分早いですけれども、本日はこれにて閉会をいたします。どうもありがとうございました。

 


(了)

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