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2018年6月26日 第5回「賃金等請求権の消滅時効の在り方に関する検討会」議事録

労働基準局労働条件政策課

○日時

平成30年6月26日(火)10:00~12:00

 

○場所

中央労働委員会612会議室

○議題

・労使団体に対するヒアリング
・その他

○議事

 

 

○岩村座長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから、第5回「賃金等請求権の消滅時効の在り方に関する検討会」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、本日もお暑い中、お忙しい中をお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
本日は、佐藤厚委員が御欠席ということでございます。
本日の議題でございますけれども、お手元の議事次第にございますように、労使団体からのヒアリングを行いたいと考えております。その前に事務局の村山課長から一言、御挨拶がございます。
○村山課長 労働基準局の総務課長でございます。
いつも大変お世話になっております。本日でございますが、参議院の厚生労働委員会で働き方改革関連法案の審議が行われているということもございまして、局長、審議官以下欠席ということで、委員の先生方はもとより、御多忙の中、快くヒアリングに応じていただきました労使団体の皆様方には大変申しわけございません。この場をかりて一言おわび申し上げます。何とぞよろしくお願い申し上げます。
○岩村座長 ありがとうございました。
それでは、まず事務局から、きょう、配付いただいている資料の確認をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○猪俣課長補佐 お配りいたしました資料の御確認をお願いいたします。
資料といたしましては、資料1「全国商工会連合会提出資料」。
資料2「日本労働組合総連合会提出資料」。
参考資料1「消滅時効の在り方に関する検討の参考資料」でございます。
その他、座席表をお配りしております。
不足などございましたら、事務局までお申しつけください。
○岩村座長 ありがとうございました。
資料のほうはよろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、これからのヒアリングの進め方でございますけれども、使用者側と労働者側との入れかえ制という形をとらせていただきたいと思います。
まず日本経済団体連合会、日本商工会議所、全国中小企業団体中央会、全国商工会連合会の順番で、それぞれ10分程度、御発言をいただきまして、その後、まとめて質疑応答を行いたいと思います。それが終わりました後に日本労働組合総連合会に10分程度御発言をいただいて、質疑応答を行うという順序で進行を行いたいと考えているところでございます。
それでは、まず事務局のほうから、きょう、ヒアリングにお越しいただいていらっしゃる皆様の御紹介をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○猪俣課長補佐 本日、ヒアリングをさせていただく順番で御紹介をさせていただきます。
まず使用者団体でございます。日本経済団体連合会の輪島忍本部長、阿部博司主幹でございます。日本商工会議所の小林治彦部長、杉崎友則副部長でございます。全国中小企業団体中央会の佐久間一浩労働政策部長でございます。全国商工会連合会の榎本陽介部長でございます。後ほど来られる予定でございますが、労働者側団体の日本労働組合総連合会の村上陽子総合局長でございます。以上でございます。
○岩村座長 ありがとうございました。
それでは、早速、賃金等請求権の消滅時効のあり方につきまして、ヒアリングを開始させていただきたいと思います。
最初に、先ほど申し上げた順番に従いまして、日本経済団体連合会の輪島忍本部長、そして、阿部博司主幹から御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○輪島本部長 おはようございます。ただいま御紹介をいただきました経団連の輪島でございます。
本日は、このような機会を頂戴いたしまして感謝を申し上げたいと思っております。
それでは、早速ではございますけれども、賃金等請求権に関する検討会のヒアリングということで、私どもの考え方を述べさせていただきたいと思っております。
平成29年6月2日に公布をされました民法の一部を改正する法律によって一般債権、主観的起算点から5年、もしくは客観的起算点から10年ということで、いずれか早く到達するときをもって時効により消滅するというように改められたということを承知しているところでございます。
一方で、労働基準法115条で、この消滅時効の特則として賃金等請求権の時効に関しては、賃金等は2年、退職手当は5年と定められております。今回の民法改正を契機として労働基準法115条の見直しに関しまして、私どもといたしましては、現行の規定から改正する必要はないという立場から、本日、意見を述べさせていただきたいと思っております。
また、2月2日に当検討会でヒアリングということで、経営法曹会議から意見を表明いたしまして、その点、私どもとしましては経営法曹会議と基本的には同じということで、同じだよというように事務局に申しましたら、きょうは企業実務の点でどのような影響があるのかというようなことを中心に意見表明をしてくれという御要請がございましたので、時効の期間、起算点、年次有給休暇の3点につきまして、法的な観点というよりは実務的な観点でどのような影響があるのかということについて申し上げたいと思っているところでございます。
まず時効期間についてということでございます。現行の規定のまま退職手当を除く賃金、災害補償その他の請求権が2年、退職手当の請求権が5年ということで、時効によって消滅するとすべきではないかと考えています。仮に民法改正に合わせて主観的起算点から5年、もしくは客観的起算点から10年とした場合には、企業は賃金台帳、それに関連するデジタルデータも含めて保管期間を現在より延長するという必要が生じるわけでございます。
本日のヒアリングのために私どもが会員企業に意見を聞いたところ、勤務管理データの保管期間を延長する、そのためのシステム改修、サーバーの拡大というようなことが必要でございまして、本当に概算でございますけれども、1社当たり数千万円程度の費用の追加発生というようなことになるのではないかという指摘をいただいているところでございます。実際に企業が保管するデータには従業員1人ずつ、分単位のさまざまな記録、特に現在ではメールのやりとりでありますとか入退館記録でありますとかPCの立ち上げ稼働記録等がございまして、膨大な量となると聞いているところでございます。
また、電子データを管理していない、紙で管理をしている企業というのもまだ多くあるわけでございまして、紙媒体での記録の管理に係る人件費、保管のコスト増というようなことも一方で予想されるのではないかと考えているところでございます。
実際に労働者からの未払い賃金の請求がされた場合には、その期間、当該期間の業務指示の有無について当時の上司、管理職に確認をしなければならないということでございますけれども、そもそも人事異動、転勤、退職ということで管理職だけではなく、当時のそこのセクションにいる人全員がいなくなっているというようなことも考えられるわけでございまして、正確な記録の確認が困難だということも指摘をされているところでございます。
実際に社内で2年分のメールのやりとり、ファイル、WordとかExcelとかパワーポイントとか、そういうものの資料の履歴というようなものを確認して労働時間、時間外労働の確認の作業をした企業の意見を聞いたことがございます。結果的に当事者の記憶に頼るしかなくて、多くの社員と面談を実施したけれども、直近2年間でも当事者の記憶は非常に曖昧で、それの確認は困難をきわめたということで、約1万人の会社でございますが、その確認作業は6カ月以上の時間を要したと聞いているところでございます。時効期間が仮に5年もしくは10年に延長された場合には、確認作業という点は法的な整理とは別に本当に非現実的なものとなるのではないかと考えているところでございます。
さらに、サービス業の会社から聞いたことでございますけれども、いわゆるパート、アルバイトの方を多数雇用する小売業というところでは、従業員の入れかわりが大変激しくて、採用、雇用契約を結んだ時点で、いわゆる社員番号、従業員のID番号を割り当てるわけですが、退職から一定期間を過ぎますと同じ番号を次の新しい従業員に割り当てて、現状ではいわゆる再利用をしているということで、仮に時効期間が延長された場合には、賃金台帳の保管期間を変更するだけでなくて、実際にこのような労務管理のあり方から根本的に見直す必要が生じるということから、企業経営への影響は極めて大きいというような意見もあったところでございます。
このようにさまざまな記録の保管期間、それをさかのぼって立証するという必要な期間が長くなるということについて、コスト増は企業経営に多大な影響を及ぼすと考えているところでございます。そもそも労働基準法115条の立法趣旨である取引の安全性に反するのではないかと思っております。
さらに労働基準法115条が成立をしまして70年以上経過をしている中で、実務で定着をしており、不都合は聞かれていないという現状は、立法趣旨である労働者保護という観点についても十分担保されているのではないかと考えているところでございます。
2点目の起算点という点でございます。起算点につきましては、現行の客観的起算点のみ要基準とするべきではないかと考えております。実際に実務を行うのは専門家ではなくて企業の実務担当者ということでございます。今回の民法改正で新たに追加された主観的起算点という考え方は、企業の人事、労務担当者からすると非常にわかりづらい、理解しづらいという点があります。それの理解を求めるというのは非常に難しい点もあるのではないかなと思っておりまして、2つの基準を設けるということは企業実務に混乱を生じさせると考えておりまして、法改正により想定される企業実務の影響ということを考慮していただきたいと考えているところでございます。
3点目、年次有給休暇でございます。年休についても現行の規定を維持するべきだと考えております。年休は労働者の心身の疲労回復が目的であり、労働者に対して1年ごとに付与される制度。その年休は、法の趣旨としては完全にその年に取得をするということが望ましいと考えておりまして、このような性質から、年休の請求権を現行より延長するということは年次有給休暇の取得促進に逆行するのではないかと考えているところでございます。
会員企業に聞いたところ、仮に5年間ということですと理論的には100日、改正法が成立すると75日ということになるのかもしれませんが、その繰り越しが可能となるということで、労働者が繰り越された年休をまとめて取得の申請をする。時季を変更するということは可能だと思いますけれども、業務への影響というのは深刻ではないか。例えば退職予定の社員が退職前にまとめて取得をする。例えばその方が社宅に入っていたり、さまざまな状況があるわけでございまして、では、退去のタイミングはどういうようにするのかとか、労務管理上の課題も考えられるということ。業務の引き継ぎみたいなものは一体どこでするのか、十分引き継ぎがされるのかというようなことも実務上の影響があると考えているところで、意見があったというところでございます。
まとめでございますけれども、労働基準法115条のあり方ということを検討するに当たりましては、賃金債権の特殊性を十分考慮していただきまして検討を進めていただきたいと考えております。賃金債権で実際に問題になるのは基本給というような定額の賃金の不払いということではなくて、再三申し上げておりますように、日々の業務指示により発生する時間外労働とか休日労働に対する未払いというようになると思います。過去にさかのぼってそれらの確認をするということは、単に賃金台帳を確認するということだけではなくて、メールの送受信、入退館記録というような膨大な量、細かい情報を保存しておくということが必要になるということで非常に困難な作業でございます。このような特殊性から、賃金債権、早期に権利、義務の関係を明確化するということの必要性は極めて高いと考えているところでございます。
現行の規定は、こうした賃金債権の特殊性を踏まえた取引安全性と労働者の権利保護の理解が調整された結果と考えておりまして、労働基準法115条についての改正は改めまして必要がないのではないかと考えているのが私どもの考え方でございます。
私どもからは以上でございます。
○岩村座長 ありがとうございました。
それでは、続きまして、日本商工会議所、小林治彦部長、杉崎友則副部長からお願いをしたいと思います。
○小林部長 日本商工会議所の小林でございます。
本日は、このような機会をいただきまして、まことにありがとうございます。
賃金等請求権における日本商工会議所の考え方について、実務に与える影響を中心に御説明させていただきます。
まず前提でございますけれども、今般の議論のポイントとなっております民法改正と労働基準法のあり方につきましては、労働基準法は刑罰法規であることから、民法とは別個のものとして独立して検討すべきであるということを私どもとしては考えております。なお、消滅時効のあり方につきましては、先週、当所の会員企業にもヒアリングを行いました。この結果、実務に与える影響として例示を3点、申し上げたいと思います。
まず1点目の例は、書類の保管、保存についてです。これらは全てをデータ管理しているわけではなく、中小企業においては紙で保存をしている場合もあるわけで、3年から5年に延長することは負担が大きいという意見が挙がってまいりました。
2例目は関係書類の確認ということに関して負荷が高まるのではないかと懸念しているところでございます。当時の記憶をさかのぼって確認することもありますので、5年に延長された場合、果たして対応できるのか心配であるといった意見が挙がりました。特に1例目、2例目の保管と確認ということに関しましては、先ほども経団連さんから話がありましたように、従業員の入れかわりが激しい業種にとってはかなり影響が大きいというような意見が出てまいりました。
3例目でございますけれども、企業と労働者間にトラブルが生じた場合にリスクが大きいという声が多く挙がりました。時間外の見解の相違などで労働基準監督署に説明を行う際、企業側と労働者側の主張が違う場合など、2年間であれば確認がある程度できますが、5年もたってしまうと、上司である責任者が異動や退職になってしまい、誰にも確認ができないといった懸念があるといった声が多く挙がってまいりました。
次に、年次有給休暇についても影響を2点、申し上げたいと思っております。
例の1点目といたしましては、有給休暇につきましては、5年に延長となれば理論上は100日取得が可能となりますが、時季変更権を企業はどこまで行使できるのかという課題があると意見がありました。
2点目の例でございますけれども、今回の労働基準法改正案におきましては、企業としては年に5日は時季指定権がありますが、5日を取得された残りの年間15日について、5年ということになりますと75日間ということになります。退職時には本人に取得の権利がありますので、権利を行使されますと実質75日、約3カ月休まれてしまうことになり、労務上、管理が難しいといった意見が多くありました。
このように実務上に多大な影響を与えることが予想されることから、現行の2年を5年に延長することは現実的とは言えず、私どもがヒアリングを行った結果、賛同する企業はなかったというのが現実でございます。
以上の点を鑑みまして、日商としては4点、意見として申し上げたいと思っております。
まず1点目でございますけれども、そもそも民法と労働基準法は別物として議論したほうがいいのではないかということです。
2点目といたしましては、仮に2年から5年に延長した場合には、データの保管を初め企業経営に大きな影響を及ぼすことが容易に予見されるということです。
3点目は、訴訟等のトラブルの際は、5年に延長されると企業側として立証することが困難をきわめるということです。
4点目でございますけれども、これも多くの意見がありましたが、有給休暇の消滅時効につきましては、賃金債権の消滅時効とは別に検討することが必要ではないか。
以上、4点を日本商工会議所の意見として申し上げさせていただきたいと思っております。どうもありがとうございました。
○岩村座長 どうもありがとうございました。
それでは、次に、全国中小企業団体中央会の佐久間一浩労働政策部長から御説明をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。
○佐久間労働政策部長 全国中小企業団体中央会の佐久間と申します。
本日は、このような機会をいただきまして、本当にありがとうございます。
この賃金等請求権の消滅時効の在り方に関する検討会でございますけれども、前回5月に開催されました検討会を私も傍聴させていただきまして、先生方の観点等々もお話を伺わせていただいてありがとうございます。それを前提としながら私どもの考え方というのも述べさせていただきたいと思っています。まず私の担当の組合とか業種別の団体というのが全国中央会のほうでも抱えていますので、そちらからの話をお伺いしたりとかという形のものでございます。
まず前提として、組合関係とすれば、各組合員企業、個別の企業に対して、なかなか実態面を把握するのが難しい案件であることも事実だろうなと思います。そこの中で聞き取りをしてみても、経営者側、使用者側から考えれば、こういう債権の関係は短くなればそれにこしたことはないという考え方をいただいております。賃金の不払いはあったとしても、これは絶対払っていかなければいけないということは当然であると思います。従来から適用されている2年時効の関係でも、今回、民法の改正に合わせて5年にもしなった場合も、仮に不払いがあれば当然支払っていかなければならないという形をまず考えていかなければいけないと思っています。
ただ、賃金は優先的な債権として支払わなければいけない重要なものですから、中小企業事業者にとっては企業の運営とか、その社会的責任、また自社の知名度というものにもすごく影響してきますので、長い期間を対象とする、例えば延びてしまった場合よりは現行の現状の期間、この2年というのを前提として私どもも先生方に話を進めていただきたいなと考えております。その中で、仮にそれが現状の2年、そして、3年とか5年という形に、どのような債務という形になるかわかりませんけれども、もしそうなった場合でも混乱を来さないよう、PR、そして、十分な猶予、周知期間を設けていただきたいという形の考え方を持っております。
前回の検討会で先生方に配付されました論点の中で、私の考え方をまとめてみました。現代の社会経済情勢を踏まえて、この労働基準法の115条の対象になる賃金等の請求権、消滅時効の機会については、労働者保護、そして、取引の安全性という観点から、どのように考えていかなければいけないかという形でございます。
労働基準法の時効期間は施行以来、もう十分社会に定着して、労使間で有効に機能していると考えられるのではないかと思っております。未払い賃金の支払い請求がなされた場合、さかのぼる期間が長くなった場合に、先ほど経団連の輪島さんも言われていましたけれども、中小企業経営者、精査のための事務負担になかなかたえられないだろうなということがあります。また、その書類の精査期間と単純に事務の作業量というのが、期間が例えば今の2年から5年に延びた場合、単純ですけれども、2.5倍に増加するため、税理士さんとか弁護士さん等に賃金の債権債務の関係で争いなどが出た場合、または事務処理の関係で報酬を含む対応費用も増加して経営を圧迫してしまうのではないかという懸念も生じます。
また、その企業が破産した場合、これによってなかなか負担にたえられなくて企業が倒産してしまうという場合も十分あると思います。その場合、消滅時効期間が延長されることで、他の優先的な破産債権や一般の破産債権の配当率というのを低下させてしまって、債権者にとって不都合が生じるなどの問題が生じることが予想されるのではないかと思っています。実際、企業があっての賃金が払えるということでもありますので、もし、企業が倒産してしまいますと、今、例えば独立行政法人労働者健康安全機構が実施している未払い賃金の立替払事業、これは労災会計の負担になると思いますけれども、こちらのほうの費用負担がもしかしたら増えてくるのではないかと考えております。
また、今回発表されました骨太の方針の中で、外国人の技能実習とあわせて、これからまだどうなるかわかりませんけれども、もし外国人労働者として受入が開始された場合に、技能実習、そして、外国人の労働者という形になった場合も、このような未払い賃金の問題というのは出てくると思います。やはり労使間の争いというのももしかしたら出てくると考えられますので、現状どおりの2年というのが相応なのではないかなと考えています。
実際、この賃金未払いをお話ししていますけれども、退職金とか年次有給休暇、そして、賃金債権関係を3つに分けて議論していくのが必要なのではないと思っています。退職金については、現状の5年と同様に民法と一致する5年として、年次有給休暇については、従来どおり2年、そして、賃金関係債権にも2年について、今までどおりをお願いしたいなと考えております。
前回もありました消滅時効の起算点については、毎月の給与支払い日が基本的には起算点になっていくのかなと考えております。先ほど年次有給休暇の関係もお話ししましたが、これは5年間になってしまうと100日というのが本当に考えられることでございます。なかなか有休の取得率も思うように進まない状況の中ですので、これはやはり現行のままという形でお願いして、そして、有休の取得促進につなげていきたいなと考えております。
その他の関連規定、書類の保存期間とか付加金という形の懸念もございます。こちらについても全体として延ばしていくよりは、書類の保存期間、もし仮にそれが3年とか5年になった場合というのは、あわせて保存期間というのも延ばしていくしかないと考えております。これも賃金債権、2年のままであれば現行のとおりのものの保存期間という形でお願いができないかと思っています。
あとは仮に消滅時効期間が延びた場合、先ほども申し上げましたけれども、これには十分な猶予期間とか全体の中小企業に普及するまでというか周知するまでの時間というのは、どうしても必要となってくると思います。十分な周知期間とPRを行って、不払いという現象がなくなることが一番いいわけですので、こういうことがあるのだということを十分周知いただければと思っています。
あと、もう一点ですけれども、起算点に関連して、二千何年になるかわかりませんが、その適用される日にち以降に入った労働者から適用するというのも1つの方策なのではないかなと考えております。
以上でございます。
○岩村座長 ありがとうございました。
それでは、使用者側、最後ということでございますけれども、全国商工会連合の榎本陽介様より、お話をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○榎本部長 ありがとうございます。
全国商工会連合会の榎本でございます。
本日はこのような機会を頂戴いたしまして、誠にありがとうございます。
私どもからは資料1として配付資料を御用意させていただいております。「商工会のあらまし」という形でございますが、私ども組織のことはもちろんなのですが、地域において、いわゆる組織率というものをカウントしておりまして、地域の商工業者に占める会員の割合なのですけれども、これが6割近くあり、まさしく地域経済の状況を私どもは体現させていただいているのではないかと存じます。
左側に「商工会とは」というところがございますが、会員の割合というものを円グラフで示させていただいております。印刷の関係で数字があらわれていないのですけれども、従業員がゼロ人の企業が42%でございます。また、95%が従業員20人以下の小規模事業者で構成されております。
右側に日本地図を示させていただいておりますが、私ども、先ほどプレゼンテーションいただいた日本商工会議所さんとエリアを分け合っておるような状況でございまして、この赤の部分は私ども商工会がお世話をさせていただいているエリアでございます。いわゆる旧町村部というところでございますので、格差が拡大している、限界集落の増加のような問題も抱えている、あるいは地域コミュニティーの弱体化という問題も抱えているというような状況。そういったところで、従業員20人以下の事業者が必死に地域経済を支えている。これが私ども組織の状況でございます。ですから、本日は中小企業といいますか、小規模事業者の立場から意見を述べさせていただきたいと思っているところでございます。
まずもって個別論点でございますけれども、退職手当を除く賃金等々の請求権のところでございますが、こちらにつきましては、各団体の皆様方同様の見解でございまして、賃金請求権に関する時効については、既存の2年でお願いをしたい。こちらにつきましては、労働者にとって重要な請求権の消滅時効、1年ではその保護に欠けるが10年では使用者にとって酷過ぎるという議論が当時あったと承知しております。取引安全に及ぼす影響も少なくないとの理由から2年になっていると承知してございますが、こういった背景並びに事情というものは、現行においても決して変わっている状況ではないと私どもも小規模事業者の立場から認識してございます。
あるいは労働者の方の訴えに対して事業者が立証するためには、これも先ほど来ございましたが、根拠資料の保管が求められる。それに加えまして、例えば5年ということになったら、5年前の出来事を事細かに説明する、こういったことは経営基盤が脆弱である我々にとって過大な負担になる。これは訴えざるを得ない状況でございます。
加えて、労働者の方の立場からしても、日々労働、勤務されている状況で発生する賃金については、当然のことながら、労基法により毎月1回以上支払うことが定められている。こういったことを忘れてしまうということは想定しにくいので、2年という期間があれば十分に請求できる期間であると私どもは考えておるところでございます。
あるいは年次有給休暇の議論もございますが、こちらも年休については年内に取得することが好ましいという状況も捉えますと、むやみに繰り越しを認めることは労使ともに望ましくないのではないかと思っているところでございます。時効の起算点につきましても、知ったときからという主観的な事情をどうやって判断するのか。非常に私どもにとってつらい状況になるというところでございます。
また、現在、各先生方に精力的にご検討いただいていると思っておりますが、どうしても多数の従業員を抱える大企業が中心の議論にややもすればなりがちではないかと感じておるところでございます。我が国企業の99%を占める中小・小規模事業者、特に85%を占める小規模事業者に対しても、ぜひとも御配慮を賜った議論をいただきたいというお願いでございます。
小規模事業者の実態といたしましては、釈迦に説法ではございますが、従業員も複数の業務をこなしている。そういった状況で企業の中核を担っているというような企業体も珍しくございません。いわゆる経営者、労働者が一体になって経営に当たっているという状況でございます。
6月14日にございました参議院の厚生労働委員会でも、これは働き方改革にかかわる質疑の中だったのですが、健全な職場環境の実現を図っていくための考え方につきまして、加藤大臣がまさしく御答弁の中で、労使が共通認識あるいは相互理解のもとで協調して取り組んでいく、これが基本なのだということを御発言いただいております。まさに、大臣の御発言、御認識のとおり、多くの中小・小規模事業者の現場では、労使が共通認識あるいは相互理解のもとで協調しながら、例えば有給休暇の取得あるいは残業の要請等々、柔軟に労使間で相談を行って、いろいろと実務を行っているというのが実情でございます。こういった中小・小規模事業者の実態を踏まえていただいて、まさしく地域経済を支えている中小・小規模事業者の実態を踏まえて慎重な御検討を賜りたいというところでございます。
最後になりますが、中小・小規模事業者にとっては、今後、働き方改革の対応、来年に迫っております消費増税、あるいは軽減税率の対応など、取り組むべき課題が山積しております。本日の議論の趣旨ではないかもしれませんが、そういったいろいろな課題を抱えている地域の中小企業、小規模事業者の実態を捉まえていただいて、慎重な御検討を賜りたいというお願いを込めまして私の発言を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○岩村座長 どうもありがとうございました。
使用者側の各団体の皆様、御説明をありがとうございます。これで使用者側のヒアリングというか御説明を終わりということになりまして、先ほどまでに頂戴しました御説明をもとに、委員の皆様方のほうから御質問などがありましたら御発言いただければと思います。
では、鹿野委員、どうぞ。
○鹿野委員 御説明ありがとうございました。
状況を正確に把握するために、特に経団連の輪島本部長さんからいただいた御説明について、1つ、2つ、質問をさせてください。
この期間が変わるということになると、それぞれのところで企業側の負担が大きくなるというお話は共通していただきました。その場合に、データで現在保管しているというところと紙で保管しているというところがあって、恐らくデータで保管しているという場合のことだと思いますけれども、1社当たり数千万円単位での費用がかかるというようなお話がございました。それに関して、1社当たり数千万円単位というのは何か試算とかをなさったのか。もし試算とかをなさったのであれば、どういう形でどういう企業を対象にそのような試算をなさったのかということを教えていただきたいと思います。
2点目に、それと関連してですが、恐らく今の2年という前提のもとでも、例えば時間外手当とかそういうものの支払いがあったのか、なかったのかということで紛争が生ずるという場合もあると思うのです。そのときに大きな企業ですと、そのようなどれだけ払った、あるいはどれだけの労働をしてもらったということについてのデータがあって、それらをもとに解決を図るというようなことが多いのではないかと思うのですが、2年が5年になると何か抜本的にその管理のあり方が変わるということになるのでしょうか。紙の場合は相当に大量な紙をきちんと保管しておかなければいけないということで、いわばイメージを持ちやすいのですが、データの場合にどういうように変わっていくのかということも、1番目の質問とも関連するかもしれませんが、教えてください。
○岩村座長 よろしくお願いします。
○輪島本部長 ありがとうございます。
試算というのではなくて、これは私どものほうからある会員企業さんに伺った1社の参考例です。平均的な数字でもございません。ですから、ざっくりとした計算だと思います。そういうような意見があるということでございます。
2点目ですけれども、ある会社で自主的に2年間さかのぼって払った、作業した経緯がある会社に聞きましたことを先ほど申しました。現時点でも2年さかのぼるためには半年以上の時間を要したということなので、その会社は大手の会社ですけれども、もちろんフラッパーゲートの入退館記録とパソコンのデータとか、さまざまなデータを持っておりますが、しかし、結局、そのデータの突合ではできなくて、実際にはもう数千人単位でヒアリングをして、手帳とか何とか突き合わせて確認をするという、いわば今もアナログで突き合わせないと2年間、さかのぼれないと聞いているところであります。
もう一点、今後の話ではなくて現状では、システム的にデータは残しておりますけれども、サーバーの容量の関係で、要は人事としてはそのデータを残しておいてほしいと思ってデータがそこにありますが、システム全体からすると、今、容量が足りなくなってきたので、ここの部分、ばっさりとなくしてしまうというようなこともシステムの容量の関係で大分そういうこともあるようでございまして、現状でもデータで残しておいて人事としてはそれをさかのぼってやろうと思ったら、人事には知らされずにデータがなくなるというようなことも、ケースとしてまれなのかもしれませんが、そういうこともあって、現時点でもさかのぼるのは結構難しい、そういう事例もあると聞いています。
そういう意味で、今後、改正法が施行された後、しっかり残していくということなのだろうと思いますけれども、本当にデジタルだけで突合できるのかというと、恐らくそういうことではないので、実務的にはそれだけで済まないというのが今の私どものいろいろ聞いた感じでの実務的な感じかなと思っております。
○鹿野委員 わかりました。ありがとうございます。そうすると、保管自体はどれぐらいの容量、データが保管できるかという問題はあるとしても、保管自体が抜本的に変わるということではない。だけれども、紛争があったときに確認作業が大変になる。紛争があったときも請求するのは労働者の側で、出発点としては労働者のほうが立証責任を負うものと思われますが、それに反論するだけの材料を集めたりするときに、やはりどうしても人に確認をする必要がある。そこのコストが上がるというイメージでよろしいですか。
○阿部主幹 はい。データの保存について補足説明します。
輪島の説明のとおり、数社からヒアリングして、ある会社では数千万と申したのは、メールの送受信の記録だけでも全従業員のデータを保存すると毎月、数テラバイトの保存容量が必要になって、それを年間にすると数千万だと。ですので、単純に2年を5年にすると、恐らく億単位になるのではないか。それはあくまでもメールの送受信のみの記録ということです。
あと私どもがヒアリングで聞いたのは、今、企業の再編がかなりダイナミックになっておりまして、今まで自分たちの企業グループにいなかった人が企業グループに入ってきて、またその労働者がすぐに出るということで、その企業の中で労働者の入れかわりが激しい中で、これまで全く別のシステムでやってきた人の就労記録のデータを一緒に管理しないといけない。それが2年から5年になると、同じシステムに統合していくだけでも相当大変だということ。では、別の旧来のシステムを保存して5年間持つだけでも、またそれはそれで大変だということで、やはりこうした特に大企業という視点ではありますが、人材の入れ替わりの速さ、こういったことも念頭に置いていただければということでございます。
○岩村座長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでございましょうか。
では、森戸委員、どうぞ。
○森戸委員 皆さん、ありがとうございました。
先ほど佐久間さんが結局、賃金の不払いとかがなくなるのが一番いいとおっしゃって、それはみんなそう思っているのですのですけれども、皆さん、2年が5年になったらいろいろな面で負担増になり得るというのはよくわかったのですが、逆に、5年になったら大変だからすごいプレッシャーになってちゃんと払うようになるのではないかと言う人もいるのですが、そういう意見は率直に言って使用者側からはどういうように捉えられるのかなというのをお伺いしたいのです。
つまり、5年になったら本当に大変だから、ちゃんと払うようにしてシステムもちゃんとしてトラブルがないように、むしろ状況がよくなるのではないか、よくできるのではないかという。つまり、ほかの法改正対応とかも、もちろん常に大変だと思うのですけれども、それと違って、この問題はもう少し対応のしようがあるのではないかという逆にいいプレッシャーになるのではないかという意見もあると思うのですが、それはどういうように思われるかな。どなたでもいいのですけれども、お聞きしたいと思います。
○岩村座長 今の森戸委員の御質問に関連してなのですが、私が今、感じているのは、この賃金の消滅時効ということについて言うと、一般の場合とやや問題の発生の仕方が違うかなと思っています。
先ほどどなたかもおっしゃいましたけれども、確かに企業経営がうまくいかなくなって、場合によっては賃金の遅払いとか不払い、つまり、基本給そのものが払えなくなって遅延してしまうというケースというのはもちろんあるわけで、その場合にも当然、消滅時効というのは問題になるのですが、恐らく労働側のこの事件の場合の特徴というのは、多くのケースはそこが問題になるのではなくて、例えば本来、法律に基づいて支払わなければいけない残業の割り増し賃金というのが支払われていないとか、前に弁護士さんからのヒアリングでも出てきましたが、管理職ということにしているのだが、しかし、それが基準法の適用上は管理職には当たらないので、したがって、割り増し賃金、残業について払わなくてはいけないというような、つまり、法令に違反した結果として賃金支払い義務というものが発生していて、それが履行されていない。
その結果として、争いになったときに消滅時効というのが問題になるという意味では、こう言っては大変申しわけないのですが、通常に業務をこなしていた結果の中で発生してくる不払いについての消滅時効の問題ではなく、多くの場合とまで言うと差し支えがあるかもしれませんけれども、そもそもの法令違反があって、その結果として支払わなくてはいけないことになったことについて、それが不払いで消滅時効が問題になるというケースなので、そこが一番大きなポイントではないのか。
そうすると、きょう、皆様に御説明いただいた、いやいや企業の負担になるのですと、確かにそれはそのとおりなのですが、法律家の単純な立場からすれば、それは法令を守っていればそもそも問題にならないでしょうということになってしまう。それが今の森戸さんの質問にも恐らくある意味ではつながるところなのですね。
○森戸委員 少しやんわり言ったのに。
○岩村座長 ごめんなさい。そこのところが多分一番のポイントなのだと思うのですが、そこについては、森戸さんの質問とあわせて、どのように使側としてはお考えかというのをお聞かせいただければと思います。
では、小林さん、どうぞ。
○小林部長 私どもでも会員企業にヒアリングをしましたが、企業側といたしましては基本的には法令を遵守することに全く異論はありません。
ただし、民法の場合ですと基本的に契約については書面上で交わされておりますが、労働基準法上の場合ですと、例えば時間外労働において指揮命令が存在したのか、なかったのか等、見解の相違が結構存在すると思います。例えば、労働者側としては、上司からの命令があったことにより、「この時間から私は業務に従事しています」というような主張した場合、使用者側では、命令していないと主張し、互いに主張が異なった場合、見解の相違が生じます。そのような場合、書面で記録を残しているというケースはほとんどなく、確認にかなりの時間を要しております。2年でも多くの時間を要している中で、5年になった場合は記憶も定かではなく、担当者も異動している、あるいは退職しているというケースが存在するので、5年に延長することは難しいと存じます。法令を遵守することについては企業側としては当然だという姿勢でおりますので、よろしくお願いいたします。
○岩村座長 ありがとうございました。
では、安藤委員、どうぞ。
○安藤委員 ありがとうございます。
今、小林さんからいただいたコメントなのですが、私の知人、友人あたりとも接触して話を聞く実感とはやはりずれているかなと思います。多くの企業で実際に行われているのは、何時間働いたという記録を上司に出しても、それを例えば月40時間までとか残業として記録できる時間に上限があるとか、そういう乱暴なことをやっている企業は多々あるわけです。これ自体は皆様の公式見解としてやっているとは絶対言えないと思いますけれども、実態問題、あると思うのです。
なので、これまで出てきたお話として、5年になったら企業実務がどう変わるのか。これは保存期間が延びるだけではなく、ちゃんと払うようになるのではないかというのが今のお話であるでしょうし、また、今の座長からのお話でもありました。それにより恐らく記録の残し方だけでなく、どういう指揮命令があったのか、こういうことは言葉だけだと言った言わないになるので、恐らく会社のほうから上司に当たる人に「部下に残業の命令をする際にはきっちり書面で、またメールで、記録が残る形でやってください」となるでしょうし、労働者側に対しても「上司からそういう明確な命令がなかったら残業をやってはいけません」というように企業実務がこれからどう変わっていくのか。仮に5年になったら、保存が延びて大変だ、事後的に訴訟が起こって大変だという議論の前に、5年になったら会社の中での指揮命令であったり時間管理であったり、このあたりがどう変わるのかというのが大事なポイントだと思うのです。
「見解の違い」と言いますけれども、見解の違いではなく、実務上は「これはいつまでにやっておけ」という命令だけであって、それを夜何時までやれということは基本、命令していないと思うのです。なので、そういうところも「何時までにできなかったらそのクオリティーでいい」と指示するのか、または「何時間かかってもいいから、残業代は全部払うからちゃんとやりなさい」などの指示の明確化が今後は求められるのではないでしょうか。ただし、同じ仕事を長時間かけてやったら、例えば能力が低いと見なされて昇進であったりとか、またはボーナス、このあたりで調整される等があれば、十分に企業実務としては対応できるのではないのかというのが私の現状での理解です。
というわけで、まず実務がどう変わるのか。「こういうことは頑張ります」というのが知りたいのです。例えば75日、最後に有給休暇をまとめてとられたら困るというのであったら、ぜひ年間5日だけではなくて、もっと積極的に有休をとってもらうようにいろいろな話し合いとか持ってもいいと思いますし、こういう対応が必要だと思います。
2点目なのですが、もう一つ大事なのは、何しろ、時間外労働があったら、基本、残業はちゃんと払う。それをベースにして、見解の相違とかというレベルではなく、ちゃんと払って、何だったら建物のインからアウトまでの時間については全部払いましたぐらいまでやったとしても、それでも残されるトラブルとしてどういうものがあり得るのか。現状の2年ということをベースにしたときに、「5年にするとこういう紛争が起こり得る」とか、「紛争が起こったらこのくらいチェックに時間がかかります」というよりは、仮に新しいルールのもとで行動が変わって時間外労働に対する割り増し賃金をきちっと払ったとしても、それでも残される課題というのはどういうタイプの紛争が問題となり得るのか。それも2年から5年になると、というところをぜひ教えていただきたいと思います。これはどなたに聞けばいいのか。
○岩村座長 ありがとうございます。
済みません、私の言いたかったことを安藤さんに今、全部言われてしまったのですが、やはりきょう、お話を聞いていて非常に印象的だったのは、今までやってきたことを前提として、それが2年から5年になったらというお話だったのですが、多分、5年になるかどうかという結論はともかくとして、仮に5年になったとすると、恐らく今までのやり方の労務管理というのは通用しなくなる。そうだとすれば、そのために、では、企業としてはどういうことを考えられるのかということなのかなと私も思っていました。
ですから、やはり曖昧な残業というのをやるということが、例えばの話ですが、これが結局のところ、将来に紛争の種を残して、消滅時効5年に仮になったとすると、それは立証が大変だという話になるのであれば、それは最初から立証が大変ではないように、どういう対応をするのかをお考えいただくということなのかという、そういうインプリケーションなのかなと実は私も思っていましたので、ありがとうございました。
一応、使用者側様のほうで、直ちにと言うと難しいのかもしれませんけれども、もし御反応なりコメントがありましたらと思います。
○安藤委員 私のほうから、ぜひ輪島様と榎本様に、大きいところと小さいところという感じになって申しわけないですけれども、お話しいただけるとありがたいです。
○岩村座長 もしよろしければ、そういうことですので、輪島さん、いかがでございましょうか。
○輪島本部長 ありがとうございます。
私どもは今度の働き方改革関連法案、国会で今、審議中でございますけれども、これは全体を通して、これの対応は恐らく法律的な対応だけということではない。時間外労働の上限規制、そして、同一労働同一賃金という労働時間と賃金という、いわゆる労働条件へどういうように対応していくのかということだけではない働き方全体を見直ししていかないと、それはある意味で実務的には業務の仕方、日々の仕事の仕方ということを抜本的に直していかなくてはならないというような考え方でおりますので、その点で言うと、先ほど小林さんもおっしゃったように、基本的には従来からコンプライアンスということから、さまざまな対応をしておりますけれども、さらに働き方それ自体を改革していかなくてはならないという立場なのだろうなと思っているところです。
具体的にどうこうということではないのですけれども、まさに人口減少の中で労働力不足、そして、全体にどういうように新しい制度に切りかえていくのかという入り口にいると考えておりまして、法改正にだけ対応するということを考えているわけではないというのが全体的な私どもの考え方でございます。
○岩村座長 ありがとうございます。
榎本様、いかがでございましょうか。
○榎本部長 先生が小さいところの意見をというところでございますが、そこは輪島さんのところと実は同じで、私どもも働き方改革がダイレクトに影響するのは、むしろ我々、中小・小規模事業者のところかなと思っております。先生方御指摘のとおり、働き方改革については、業務改善を含めて、あるいは管理も含めて対応していかなければいけないという非常に重要な命題をいただいているのかなと思っております。
もちろん、法令遵守、コンプラの部分は当たり前の部分でございますので発言はしていなかったのですが、それが大前提としてあって、それにも増して、働き方改革ということですと、そういったものも一個一個対応をしっかりしていかなくてはいけないというところでございます。ですから、私どもも厚労省さん、あるいは中小企業庁さんと話す中で、労務管理という部分を含めて、我々中小企業もしっかりとやっていかなければいけないという認識は、もちろん持っているところでございます。
また、森戸先生がおっしゃられたプレッシャーという部分、プレッシャーという言葉が正しいのかわかりませんが、私ども小さい企業にとっては労基署が十分な牽制になっていますので、それが十分なプレッシャーになっていると思っているところでございます。
以上でございます。
○岩村座長 ありがとうございます。
そのほか、皆様。
では、水島委員、どうぞ。
○水島委員 ありがとうございます。
私も今、委員の先生方がおっしゃったのと同様の認識でしたが、つけ加えまして、もし仮に法改正になった場合に、業務改善なり労務管理の見直しをされると思うのですが、その準備期間がかなり必要ではないかと思います。それについての御見解があれば伺いたいと思っております。
そのこととも関連するかもしれませんが、年休で先ほどから100日とか75日というお話が出てきたことに私は違和感があります。40日ぐらいだったら残しておいても何とかなるということで残されているのであって、恐らく労使の側で50日、60日と残さない方向に今後動かれるのではないかと思います。年休についても労務管理を変えるようなお考えがおありかどうかをお聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。
○岩村座長 ありがとうございます。
どなたかでも結構なのですが、では、佐久間様、どうぞ。
○佐久間労働政策部長 まず法改正、十分な周知期間、私のほうで先ほどお願いしたところでございます。仮に、それが3年、5年という形で適用が延びた場合、民法の改正が2020年4月から適用となっておりますけれども、中小企業によっては、この期間で十分な周知をできるかというと、36協定の問題とか、周知期間、社内体制を十分に整えなければいけないということも生じてきます。全ての企業を待っていたらなかなか時間がかかってしまうわけですが、これは私のほうで何年とはなかなか言いにくいところもあるのですけれども、少なくとも2020年4月よりはもっと遅い時期に何とかできないかなと思っております。
あとは年次有給休暇の観点ですけれども、まだまだ年休の消化率が悪いことから、これを一挙に時効期間を延ばすよりは、まず取得を促進させていくのが必要であると考えます。もし、これが一挙に75日、100日という形で定義するのがいいのか、それから段階的にスライドしていくのがいいのかどうか、わかりません。ただ、やはり年次有給休暇は取得するものなので、繰り越しも併せて40日というのを全部取得するような形をとっていくのがよろしいのかなと思っています。
○岩村座長 ありがとうございます。
それでは、輪島様、どうぞ。
○輪島本部長 ありがとうございました。
実際に働き方改革関連法案の労働基準法の上限規制の施行は、大企業は2019年4月からということですが、今、いろいろお聞きしていると、先ほど来申し上げたシステム対応だと、今からではもう間に合わないということなのです。ですから、こう言っては何ですけれども、システムのところで長時間労働になるということは明らかで、来年5月には元号も変わりますし、システムで全部変えていくという、本当にしわが寄ると思って、ですから、準備期間がどれぐらいかと言われれば、もうできるだけ長くとしか申し上げようがないのですが、本当に全体のものを動かしていくという意味では、できるだけ長くお願いをしたいと思っております。
年休の関係でございますけれども、国会での議論とかいろいろ聞いていると、全部を全て法的に見ると何日になるのかという意味で、75日とか100日というように申し上げています。経団連の会員企業の実態調査で年休の取得率は1,300の会員企業で70%弱ですので、残すというのは30%ぐらいですから、実際にはそんなに繰り越していかないということでありますが、申し上げている点はマックスで申し上げていると御理解いただければと思います。
○岩村座長 ありがとうございます。
それでは、小林様、どうぞ。
○小林部長 ありがとうございます。
現在、国会で議論されております働き方改革関連法案で、時間外労働の上限規制は大企業では2019年4月、中小企業は2020年との施行とされており、同一労働同一賃金制度につきましては2021年とされております。
実態といたしまして私ども中小企業の立場からは、何から手をつけていいかわからないという声が挙がっているところでございます。
こうした中で、この賃金債権の問題が更に議論される場合、かなりの負担になってくると思います。仮に現行の期間を延長する場合になった際には、できるだけ長い期間猶予を持っていただければと存じますそして時間外労働の上限規制、同一労働同一賃金への対応にはコストアップ要因もかなり生じますので、御配慮をいただければありがたいと思っております。
以上であります。
○岩村座長 ありがとうございます。
よろしいでしょうか。委員の方のほうはよろしいでしょうか。
それでは、きょう、ヒアリングに対応いただきました使用者団体の皆様、お忙しい中、また暑い中をありがとうございました。これをもちまして使用者側の団体へのヒアリングは終わらせていただきたいと思いますので、ここで御退席をいただければと存じます。
どうもありがとうございました。
(使用者側退室)
○岩村座長 それでは、次に労働者団体側へのヒアリングを始めさせていただきたいと思います。
きょう、ヒアリングにお越しいただきました労働者側団体を御紹介させていただきます。日本労働組合総連合会の村上陽子総合局長でございます。
それでは、村上様、どうぞよろしくお願いをいたします。
○村上総合局長 労働組合、連合の村上でございます。
本日は、このような場をいただきまして、ありがとうございます。
使用者側団体の皆様はいろいろおっしゃりたいこともあったのかもしれませんが、私ども労働団体としては割とシンプルな考え方でございます。本日、資料2として配付いただいておりますが、民法改正がされて間もなく施行されるということを踏まえまして、労働関係をどういうようにしていくのかが今後議論になるということがありましたので、私どもとして組織として確認したのはこの考え方でございます。
基本的には、民法改正の施行と同時に労基法の115条の消滅時効の規定は廃止して、労働関係の債権の時効についても民法の適用をすべきだということが基本的な考え方でございます。その理由として既に資料2に記載をしているところでありますけれども、改正前の民法は、そもそも一般債権の消滅時効が10年であった中で短期の消滅時効が1年というようになっていたところ、労働関係の問題については、「労働条件を低下させてはならないということはもとより、その向上を図るように努めなければならない」という労働基準法の趣旨を踏まえて労働者の不利益を緩和して労働条件を引き上げるべく、民法の規定ではなく、労働者の不利益を緩和して特別条項を設けるということにして労基法115条で2年、退職金については5年ということにしてきたという経緯がございます。
こうした労基法の趣旨に照らしても、民法で規定する時効より下回るような期間を労基法で定めるべきではないというのが基本的な考え方でございます。仮に改正民法が施行された後に労基法115条をそのまま残したということになった場合には、労働基準法の中に民法で定める権利保護水準より労働債権について低い基準を置くことになるということでありまして、大変問題だと考えております。したがいまして、労基法115条ではなく改正民法の規定に合わせていくべきだということが私どもとしての考え方でございます。
資料には記載はしてございませんが、年次有給休暇についてはどうなのかということもありまして、これは組織の中でも質問も出ましたし、意見も出ているところでございます。「年休についても5年とするとなっていくと、年休取得の促進につながらないのではないか」という意見もございますし、また、「何日まで積み立てるのか」というようなこともありますので、こういった点については少し現実的な捉え方をしていくことは必要ではないかと思っております。ただ、一方で、賃金債権については、紛れもなく民法が適用される話でありますので、これは5年として改正民法と同じ規定を適用すべきだと考えているところであります。
短いですが、私どもとしての考え方は以上でございます。
○岩村座長 御説明をいただきまして、ありがとうございました。
それでは、ただいまの村上様の御説明につきまして、御質問等がありましたら委員の皆様からお願いをしたいと思います。
では、水島委員、どうぞ。
○水島委員 ありがとうございました。
1点、確認させていただきたいのですけれども、年休に関しては、そもそも民法の時効の適用が現在でもないというお考えということでしょうか。労基法115条を民法との関係で当然に変更されるというお考えですが、年休だけ切り離して考えるというところをもう少し御説明いただけますでしょうか。
○村上総合局長 ありがとうございます。
法律家ではないので実感でしか申し上げられませんけれども、年次有給休暇の労基法上の請求権というのが賃金請求権と同じなのかどうかというところについては、若干異なる部分もあるのではないかと私どもとしては理解をしているところでございます。これは法律家の先生方の中ではいろいろ議論があるかもしれませんけれども、請求権の違いを踏まえれば、労働基準法の規定を一部、年休について残すということも理解できないわけではないということであります。
○岩村座長 よろしいでしょうか。
○水島委員 そうすると、年休の請求権は2年で、有給休暇中の賃金は5年になり得るということですか。つまり、労基法39条7項の年次有給休暇の賃金は民法と同じようにということですか。
○村上総合局長 年休は取得すること、させることというのが原則であると考えておりまして、そのときの賃金を後で精算するという話でもございません。基本的にはこのように考えておりますので、検討にあたっては政策判断も一定入るのではないかと考えているところであります。ただ、年休の請求権の時効につき2年がいいのかどうかというのもまた議論があるかなと思っておりまして、必ずしも5年に合わせなくてもよいのではないかということも含め、組織の中でもいろいろ議論、意見は出ているところであります。
○岩村座長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
ほかにはいかがでございましょうか。
では、森戸委員、どうぞ。
○森戸委員 ありがとうございます。
今、出た話も関連するかもしれませんが、年休については、むしろちゃんと本来は1年、その年なりにとってもらうのが筋だから賃金の話とは違うねという、この委員会でもそういう議論はしていますが、ただ、他方で、その賃金だって、本来さっさと1年、そのときに払うべき不払いがあってはいけないものだし、それ以外の名ばかり管理職とかの問題も本来はあってはいけないものだしと考えれば、そこは同じだということも言えるので、質問としては、もちろん5年になるべきだと、民法も5年になったのだからという非常にシンプルな御意見ですけれども、意見として組織から上がってくる中に、別にこれは労使交渉して決めている話ではないですが、時効が5年になるとかということよりも、2年であっても、むしろ不払いとか名ばかり管理職の問題とか、そういうほうでもっと強力な措置をとってもらうなり、あるいはそこを強く訴えるほうがもっと全体として状況がよくなるのではないかという意見は上がってきたりはしていないのかなというのが質問なのです。
○村上総合局長 ありがとうございます。
そういった意見はございませんで、実際、トラブルに遭った未組織の労働者の訴えなどからすると、むしろ2年の時効では短いのではないかということが上がってきています。実際、気がついて訴訟を提起する、気がついてから裁判に行くというところまでは、労働組合のない職場で働く労働者はなかなかそこまですぐにはたどり着けず、いろいろなところに相談した上でようやく弁護士を見つけて訴訟になったといったときには、時効の期間がかなり過ぎていて、本来2年請求したかったのだけれども、実際1年や半年ぐらいしか請求できる期間が残っていなかったというようなケースもあることからすると、働いた分はきっちり支払ってもらいたいということがまず根本にあります。
時効を短くすればきちんと賃金等が払われるのではないかということでは必ずしもないのではないかと思っています。
○岩村座長 よろしいでしょうか。
では、安藤委員、どうぞ。
○安藤委員 ありがとうございました。
今、村上参考人から出た、短くしたら払うわけではないというものを裏返して言ったら、長くなったらどうなるのだということも気になるのです。私は、先ほど企業側の皆さんに対して、2年から5年になったときに、今のままの実務を続けていて書類の保存期間が延びるとか訴訟が増えるという話だけではなくて、例えば時間外労働の指揮命令の形が変わるであるとか、法律とかルールが変わったら人々の行動は変わるはずでしょう。どういう変化があって、対応をきちっとやったとしても残されるトラブルは何ですかという質問をしたのです。
同じ質問を労働者側の村上さんにお伺いしたいのですけれども、特に2年から5年になったら、これは労働者側にとって常に有利、ポジティブなこととして評価できるのかどうか。まず2年から5年に賃金債権について時効が延びたとして、労働者の行動がどう変わり得るのか。それは場合によっては2年だったら請求できたものを5年あるのだから、まだ請求しなくても後でやめたタイミングでどかんと請求すればいいやとか、そういうように先送り行動を招くとか、何か2年から5年になったことによって労働者側の行動、またはそれを支援する弁護士さんであるとかの行動がどのように変わり得るのか。これで労働者にとって全ての面でプラスなのか、それともマイナスの要素がないのか。マイナスの要素があるとしたら、それにどう対応できるのか。このあたりについて教えていただきたいと思います。可能な限りで結構です。
○岩村座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○村上総合局長 ありがとうございます。
そういった視点で考えたことがなかったので、民法が変わったのだから、それは当然に賃金、労働関係の請求権の時効も5年にすべきだということであって、2年から5年になったらどう変わるかというところまでは組織としても検討しておりませんし、個人的にもそこまで考えているわけではないのですが、組合がある私ども組織であれば、不払いはなくすということが基本ですから、そこは余り変わらないのではないかと考えております。
一方で、今でも法令遵守できていない企業も少なからずある中で、賃金の不払い・未払いであるとか残業代の不払いというような事案も生じていることからすると、時効が5年になったということになれば、使用者は少しこの点はきちんとしておかなければいけないということで法令遵守の意識は高まっていくのではないかということもありますし、私どもとしても労働相談などに対応するときには、5年になっているから会社側にもきちんとそういうことを訴えて、きっちり払ってもらえるように準備するようにという話をアドバイスできるのではないかなと思っています。
仮に時効が5年になり、そのことが周知された後でもなお不払いのような事案があったときには救済される範囲の人たちが増えるということであって、当然の権利が保障されるということになるのではないかと思っていまして、これによってどう行動が変わっていくかというところまでは分析はしていないといったところであります。
○岩村座長 よろしいですか。
では、鹿野委員、どうぞ。
○鹿野委員 単純な質問なのですけれども、現時点で、労基法で2年ということですが、賃金等請求権の不払いがありますということで労働相談を受けたときに、どうもそういう状態だったのではないかということではあるけれども、期間は2年だから請求できるのはこの2年間ということでの対応をせざるを得ないというような状況は結構あるものなのでしょうか。教えてください。
○岩村座長 村上さん、どうぞ。
○村上総合局長 ありがとうございます。
数字をとったわけではないので実感、経験談でしかありませんけれども、相談したタイミングが遅かったり、あるいはいろいろなところに相談したあげくにようやく適切なところに相談できたという労働者の場合にはそういうことはあります。実際相談を経験もしたことはありますし、また、労働審判の場でも、そういった申立書などもよく目にしたこともありますので、実際、そういう状況はあるだろうと思います。
○岩村座長 よろしいでしょうか。
ほかはいかがでしょうか。
私のほうから1点、ひょっとすると意地悪い質問かもしれないのですが、きょう、いただいた資料2で時効を2年から5年、民法に合わせるべきだという御主張の理由ということで3番目の○のところで、労働条件を低下させてはならないという規定があってというような御趣旨の理論だと思うのですが、賃金などの債権の消滅時効は労働条件なのかなという疑問が若干ないではないです。
というのは、労基法の規定の構造を考えてみると、最初から総則とか何かあって、その後、労働契約という規定があったりとかして、最後、就業規則、寄宿舎というように来る。ある意味、そこで規定しているのは、実際に労働者が企業の中で働いているときに、そこでやりとりされる労務とさまざまな金銭給付その他のものとについての規制である。ところが、基準法の115条はどこにあるかというと、雑則なのです。つまり、監督機関という規定、章があって、さらにその次の一番最後の雑則というところにあり、そこは保存の記録義務だとか何だとかかんだとかというところに置かれているので、法律のつくりとしては、労働条件というような位置づけではないのではないかという疑問もなくはない気がするのですが、そこについてはいかがでしょうかという質問でございます。
○村上総合局長 ありがとうございます。
岩村先生から労基法上の労働条件とは何かという御質問なので、なかなかお答えしづらいのですが、むしろ、規定ぶりから労働条件ではないというか、賃金債権の自体は労働条件ではないということでしょうか。
○岩村座長 債権そのものが労働条件の問題ではないということではなくて、消滅時効の規定は労働条件の問題なのですかということなのです。
○村上総合局長 そういう観点で言うと、なおさら労基法で民法と違う、引き下げるような規定を置くべきではないのではないかと思います。
○岩村座長 ありがとうございました。わかりました。
そのほか、いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。
それでは、村上様、お忙しい中、きょう、ヒアリングにお越しいただきまして、ありがとうございました。
使用者側の諸団体の皆様からも、とりわけ消滅時効期間が延びた場合の実務への影響という観点からお話を伺いましたし、労働者側からも今、基本的な考え方についてのお話を伺うことができたと思いまして、きょう、大変有意義だったというように思っております。
労働者側団体につきましては、ここでヒアリングを終わりということですので、御退席いただければと思います。どうもきょうはお忙しい中、ありがとうございました。
(労働者側退室)
○岩村座長 これまでのヒアリングにおきましては、労使双方の団体からいろいろ御意見をいただいたところでございます。きょうのヒアリングを踏まえまして、消滅時効期間などについて何か御意見あるいはコメント等がありましたらお伺いいたしたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
きょうのところは特段ないということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、かなり定刻より早いのですけれども、本日の議論はここまでということにさせていただければと存じます。
次回ですけれども、賃金等請求権の消滅時効につきまして、これまでのいただいた御議論あるいはヒアリングの内容等を踏まえて報告書の取りまとめに向けた作業に入りたいと考えております。次回の検討会におきましては、事務局から報告書の取りまとめに向けた資料を御用意いただくよう、お願いをしたいと存じます。
では、最後に次回の日程についてということで、事務局のほうから御説明いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○猪俣課長補佐 次回の日程については、7月上旬を目途に調整中でございます。確定次第、開催場所とあわせまして、追って御連絡いたします。
○岩村座長 ありがとうございます。
それでは、これをもちまして、第5回「賃金等請求権の消滅時効の在り方に関する検討会」を終了させていただきたいと思います。
きょうは、お忙しい中、お集まりをいただきまして、まことにありがとうございました。

 

 

 

(了)

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