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2018年1月16日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会

医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全企画課

○日時

平成30年1月16日(火)14:00~16:00


○場所

中央合同庁舎5号館(厚生労働省)18階 共用第22会議室


○出席者

食品衛生分科会員(敬称略)

村田 勝敬 倉根 一郎 穐山 浩 五十君 靜信
井澤 照介 浦郷 由季 大澤 真木子 苅田 香苗
川西 徹 栗山 真理子 寺本 民生 中村 重信
西内 岳 横田 明美 若林 敬二

事務局(1月16日時点)

宇都宮 啓 (生活衛生・食品安全審議官) 吉永 和生 (大臣官房審議官)
大西 友弘 (生活衛生・食品安全課長) 関野 秀人 (食品基準審査課長)
道野 英司 (食品監視安全課長) 森田 剛史 (食品基準審査課新開発食品保健対策室長、食品監視安全課食中毒被害情報管理室長)
黒羽 真吾 (食品基準審査課残留農薬等基準審査室長) 梅田 浩史 (食品監視安全課輸入食品安全対策室長)
蟹江 誠 (食品監視安全課HACCP企画推進室長) 一戸 和成 (生活衛生・食品安全企画課長補佐)

○議題

(1)食品衛生規制の見直しについて
(2)報告事項
・食品中の農薬等の残留基準の設定について
(3)文書による報告事項等
・食品中の農薬等の残留基準の設定について
・暫定基準の一括削除について
(4)その他の報告事項

○議事

○一戸生活衛生・食品安全企画課長補佐 定刻となりましたので、ただいまから、「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会」を開催いたします。

 最初に分科会委員の出席状況を御報告いたします。本日は阿部委員、安藤委員、大前委員、財前委員、二村委員、松本委員、毛利委員から御欠席と連絡を頂いております。五十君委員と栗山委員は遅れて来られます。現時点で 13 名の御出席をいただいておりまして、出席委員が過半数に達しておりますので、本日の分科会が成立いたしますことを御報告申し上げます。また横田委員におかれましては、途中退席とさせていただきます。

 本日の議題につきまして、お手元の議事次第にございますように、食品衛生規制の見直しについて御議論いただき、報告事項として、食品中の農薬等の残留基準の設定について事務局から御報告を申し上げ、続いて、文書による報告事項等として、食品中の農薬等の残留基準の設定についてと、暫定基準の一括削除について御報告申し上げ、その後、食品衛生分科会における審議・報告対象品目の処理状況について御報告申し上げます。審議事項に関する利益相反の確認対象となる案件はございません。

 続いて、配布物を確認させていただきます。議事次第、座席表、委員名簿、資料1「食品衛生規制の見直しに関する骨子案 ( 食品衛生法等の改正骨子案 ) 」、資料2「報告事項に関する資料」、資料3「文書による報告事項等に関する資料」、資料4「その他の報告事項に関する資料」、それから委員のお手元にありますけれども、黄緑色のドッジファイルで、食品衛生規制の見直しについてに関する参考資料、青色のドッジファイルで、報告事項に関する参考資料及び文書により報告事項等に関する参考資料を配布しております。配布物に不足等がございましたら事務局まで申しつけください。よろしいでしょうか。

 それでは、以後の進行につきましては、村田分科会長にお願いいたします。頭撮りはここまでとさせていただきますので、以降のカメラ撮影については御遠慮願います。それでは、よろしくお願いいたします。

○村田分科会長 年も明けまして、本年もどうぞよろしくお願いいたします。食品衛生とはちょっと話が異なりますが、昨今インフルエンザが大流行しそうな気配もございますので、委員の皆さまにおかれましては御自愛のほどよろしくお願いいたします。

 食品衛生規制の見直しについて、事務局から説明をお願いします。

○大西生活衛生・食品安全企画課長 生活衛生・食品安全企画課長の大西でございます。私から資料1に沿いまして、食品衛生規制の見直しに関する骨子案について御説明いたします。本件につきましては、もう1昨年来ということになろうかと思いますが、 HACCP の導入や、あるいは容器包装法規制の見直しについて、検討会等で議論が重ねられてまいりました。昨年には、食品衛生法改正懇談会におかれましても御議論いただき、当分科会におきましても並行して御議論いただきました。これまでの議論を踏まえ、次期通常国会に提出を目指して、この食品衛生法等を改正するということで、内容の骨子について、今般、取りまとめましたので、それについて本日、御議論いただければということです。大変恐縮ですが、お手元に資料1と並行して黄緑色のファイルで、赤い仕切りが4ぐらい入った後に、食品衛生法改正懇談会の資料が入っております。この食品衛生法改正懇談会取りまとめ概要という、資料2 - 2をお開きください。後のほうからは赤い仕切りで 3 つ目の横置きの資料ですが、この改正法懇談会の概要の資料を御覧いただきながら、併せて御説明したいと思います。骨子のほうは、法律改正事項に関してコンパクトに、正に骨子をまとめているので具体的なイメージが分かりにくいだろうと思いますので、具体的なイメージが湧くために懇談会の取りまとめを御覧いただきながらと思います。資料1、縦の資料は、今回の規制の見直しの趣旨です。前回の食品衛生法の改正から約 15 年が経過しているということで、この間に様々な環境変化がありました。共働き世帯や高齢者単身世帯の増加を背景に、調理食品、外食・中食への需要の増加、あるいは健康食品への関心の高まり等、食へのニーズの変化、あるいは輸入食品の増加など、食のグローバル化の進展という形で環境変化が起こっているということです。このような変化に伴いまして、一方では都道府県等を越える広域的な食中毒事案が発生しています。あるいは、食中毒発生数を見ますと、下げ止まりになっています。それをもっと更に減らす必要があるということで、食品等を提供する事業者における、より一層の衛生管理や行政による的確な対応が喫緊の課題だということです。

 3つ目の○ですが、 2020 年東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。また現在、我が国の食品輸出、和食を世界に積極的に、国際的にアピールしていこうという流れがあります。そういう中で、国際標準と整合的な食品衛生管理が必要だということです。こうした状況を踏まえ、食品安全の確保のために、これまで消費者の方々、事業者の方々、有識者の皆さま等、関係者の御意見を頂きながら取りまとめてきたということで、今回の見直しの概要が以下のとおりです。

 1ページ目、一番下からになりますが、主な改正内容の(1)広域的な食中毒事案への対策強化。これが先ほどお開きいただいた黄緑色のファイルでは、2ページ目の食中毒対策の強化という図があろうかと思います。フードチェーン全体を通じた衛生管理の向上のために食肉処理段階での対策の強化や生産段階での連携強化が重要になってきます。あるいは広域的な食中毒事案に対応するため、厚生労働省や都道府県等、関係自治体あるいは事業者といった関係者間での連携。あるいは食中毒発生状況の情報共有等の体制を整備していくべきだという御指摘をこの懇談会でも頂いております。具体的には、下の図にありますが、カンピロバクターでは食肉処理段階での対策が重要になっているということ。食中毒が発生した場合、自治体における保健所、都道府県も複数にまたがる場合がありますし、担当する市だと、中核市、政令市と、いろいろな県や市にまたがった対応が必要になってくるということで、これらの間で連携情報共有を図る必要があるという御指摘を頂いたわけです。

 1ページ目の先ほどの資料1のほうですが、それを踏まえ、今回の制度改正の骨子として、国や都道府県等が、広域的な食中毒事案の発生や拡大防止等のために、相互に連携や協力を行うことを明記するということで、法律上こうした連携をしていくということを明記する。と併せて、その連携や協力の体制整備として、厚生労働大臣が、国や都道府県等の関係者で構成する広域連携協議会を設置することができることにするということです。今の現時点でのイメージとして、各関東とか中部、近畿とか、そうしたブロックの単位、こうした関係の自治体に、平時からお集まりいただき、自治体の間で情報共有を図っていただくということを考えているわけです。そして下の○ですが、何か事件が起こったり緊急を要する場合には、厚生労働大臣は、当該協議会を活用し、広域的な食中毒事案に対応できることにするということで、当該協議会と厚生労働省と連携して対応していくということが1つ目の広域的な食中毒事案への対策というものです。

 次に2つ目、資料1の2ページ目、 HFHACCP による衛生管理の制度化です。先ほどの懇談会の資料に、恐縮ですがお戻りいただきますと、2ページ目の下に HACCP の制度化ということで、 HACCP による衛生管理を制度化する全ての食品等事業所等を対象に衛生管理計画を作成し、手洗い励行等の一般衛生管理に加えて、事業者の規模等に応じた HACCP による衛生管理の実施を求めるということです。この「 HACCP 」というのは、 hazard analysis critical control point 、危害要因を分析した上で、特に危害要因除去のために重要な工程について着目して、そこを計画的に管理していただく、そういう体制を事業者側で取っていただくことによって食中毒等を防止していこうというものです。これが2ページの真ん中にありますが、世界各国ではもう導入されています。一番右側ですが、日本では、大企業は 89 %ということで、中小企業は3割前後という普及率になっており、これを制度化しようというのが、資料1の「 HACCP による衛生管理の制度化」というものです。我が国の食品衛生管理水準の向上や国際標準化を図り、事業者自らが取り組む衛生管理を推進するという観点から、食品等事業者、この「食品等事業者」というのは、下の※にありますが、常温で保存可能な包装済みの食品のみを販売するというような場合には、公衆衛生に与える影響が低いということで、この HACCP の制度化の対象から除くということにしていますが、それ以外の幅広い食品等事業者あるいは、と畜業者や食肉、食鳥処理業者については施設の内外の清潔保持等の一般的な衛生管理という計画を作っていただく、併せて、事業者自らが使用する原材料や製造方法等に応じて行う食品衛生上の危害の発生を防止するために、特に重要な工程を管理するための衛生管理に関する計画を定めて、そうしたものを遵守していただくことにしたいということです。なお、この衛生管理の計画の内容については規模や業種等を考慮して、一定の営業者については、その取扱う食品の特性等に応じた衛生管理ということで、従来、一昨年来の食品衛生管理の国際標準化に関する検討会という場では、A基準B基準という形で、規模の小さい事業者については業界の中で自主的に手引き書などを策定していただき、どういうことを守っていくかを決めていただくという取組を進めていただくことが提言されています。それを踏まえて、このような骨子案になっているわけです。

 2つ目の○ですが、現行の「総合衛生管理製造過程承認制度」というのが食品衛生法第 13 条に規定されています。こちらについては廃止するということになります。ただし、この現行制度で 13 条の承認を受けている場合については、食品衛生法で定める食品の製造・加工の規格基準に適合しなくても販売等ができるようになっています。この仕組みは維持するということです。

 (3)特別の注意を要する成分等を含む食品による健康被害情報の収集です。これは緑色のファイルの次のページです。リスクの高い成分を含む、いわゆる健康食品等による健康被害防止対策とありますが、こちらでは健康被害防止の観点からリスクの高い成分を含むいわゆる健康食品等については、製造工程管理、原材料の安全性確認のための法的措置を講じて実行性のある仕組みを構築するべきだということと、事業者から行政への報告の制度化を含めて、健康被害の情報収集に対する体制を整備すべきだという御指摘をいただきました。縦の資料1に戻り、これを踏まえて、健康被害の発生を未然に防止する観点から特別の注意を必要とする成分等、この成分につきましては、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて指定するということになっています。こうした成分等を含有する食品を販売等する事業者は、その製品が健康に被害を生じさせている又は生じさせるおそれがある旨の情報を得た場合に、都道府県等を通じて厚生労働省に報告しなければならないこととするということです。個別に、今後どうもこれは特別な注意をしないと健康被害を発生するのではないかという心配される食品については、薬事・食品衛生審議会で科学的な観点から評価をいただき、それを踏まえて指定をする。厚生労働省が指定をすると、それについて被害情報等については、都道府県を通じて厚生労働省に報告が挙がってくるというような制度を新たに設けようということです。2つ目の○は、また厚生労働大臣等が健康被害に関する調査を行う場合には、関係者は健康被害に関する情報提供等に努めるものとするということです。これは例えば、健康被害に遭われたと消費者が思われたときには、お医者さんに行かれ、そこで診察を受けるということも有り得ることで、そういった場合のお医者さんから、健康被害に関する情報提供をいただくという、プロフェッショナルな意見を厚生労働省でも参照できるということで、非常に貴重な機会だということで、そうしたことを関係の医師等にお願いをしようというのが、この規定の趣旨です。なお、この法律には、この骨子自体は今回の改正する部分を特にピックアップしていますので、先ほど御照会した懇談会の報告書では、製造工程管理等もちゃんとやるようにということがありました。その部分については、現行法の規定の中で対応できるというように考えておりまして、今回の改正の中には入っていませんけれども、従来の現行の法規定を活用して、製造工程管理等についても、この特別の注意を要する成分等を含む食品については対応しようと考えております。

 2ページの(4)国際整合的な食品用器具・容器包装の衛生規制の整備です。黄緑色のファイルでは、4ページの上のほうの食品用器具及び容器包装規制の見直しです。認められた物質以外は原則使用禁止とするポジティブリスト制度の導入に向け、対象材質、物質の範囲、事業者間で伝達すべき情報やその伝達方法、適正な製造管理等について具体化すべきという御指摘をいただいています。下に図がありますが、諸外国、米国、EUを見ますと、合成樹脂等についてポジティブリストで課されていることが示されています。

 資料1の2ページの一番下にありますが、今回の法改正の骨子として、安全性の確保や規制の国際的整合性の確保のために、人の健康を損なうおそれがない場合を除いて、合成樹脂等を対象として、規格が定められていない原材料を使用した器具・容器包装を販売等してはならないこととするとともに、ポジティブリスト化をするということで、その対象は合成樹脂等ということです。これが製造者においては、適正な製造管理規範を遵守していただく、ポジティブリスト化された上で、こうした規範に従っていただくということにしています。

 次の3ページは、器具・容器包装の製造者や販売者は、販売先の事業者に対して当該製品が規格基準に適合する旨の情報を提供しなければならないこととする。また器具・容器包装の原材料の製造者が、器具・容器包装の製造者等から求められた場合には、その情報の提供に努めなければならないとして、この器具・容器包装の原材料に関する情報等は、事業者間で適切に伝達されていく仕組みをここで構築しようということを規定しているものです。

 (5)営業許可制度の見直し、営業届出制度の創設です。先ほどの黄緑色のファイルの4ページの下半分の資料ですが、現在では、 34 営業許可業種が政令で定められています。ただ、これが長い間、昭和 47 年以来と言われていますが、見直しがなされていないということで、4ページの図の右側に、見直しのイメージということで、現在の営業の実態に合わせてなるべく簡素化をしていく、大括りにしたりしていく。それから従来の許可だったものを、届出性を新たに設けて届出性に切り替えていくということ。逆に、現行で許可をまだ求めていない業種についても、ここで○○製造業となっていますが、届出又は許可を求めていくということで、全体のリスクに応じた許可、届出を整理していこうという考え方が示されています。

 今回の法改正の骨子案では、実は都道府県ごとに異なる営業許可基準について厚生労働省で定める基準を参酌し、条例で定めることとする。 ( ) ですが、現行の政令で定める営業許可業種については営業実態等を踏まえた見直しを行うということです。法律上は、この営業の許可の基準というものについては、厚生労働省令で基準を定め、それを参酌して条例で定めていくという形で、全国的な整合性を図っていく方向を考えようというのが、まず1点です。

 それから下のほうにありますが、公衆衛生に与える影響が少ない営業を除き、一部を除いては、営業を営もうとする者は、あらかじめ都道府県等に届出なければならないこととするということで、新たに届出制度を創設するということです。

 (6)食品リコール情報の報告制度の創設です。横の図の資料では5ページに、食品リコール情報の把握・提供として、食品等事業者が自主回収情報を行政に報告し、行政が国民に提供する仕組みを構築するということです。下の図ですが、食品事故情報告知ネットをホームページで見ますと、告知件数、回収に関する件数は増悪傾向にあり、 2011 年は 554 件ですが 2016 年には 839 件にまで上っているということです。これについて、法律では行政への報告規定はありませんけれども、自治体においては、調べた 144 自治体では、条例や要綱で規定している自治体もありますが、特にそういう自主回収の報告制度は設けていない自治体もあるということで、自治体によって対応が分かれているところがありますが、今般、全国的な体制を整備しようということです。資料を1に戻り、営業者が製造等をした食品等が食品衛生法に違反した場合に当該食品等を回収するときは、食品衛生上の危害が想定されない場合を除いて回収に着手したという旨及び回収の状況を都道府県知事に報告し、その都道府県知事から厚生労働大臣に報告しなくてはならないという仕組みを創設することを今回、考えたいということです。

 (7)輸入食品の安全性確保・食品輸出関係義務の法定化です。今般、国内でも HACCP の制度化ということがありますが、その逆に相手国から日本へ輸入されてくる食品、ここでは「食肉、食鳥肉等を想定」としていますが、こうしたものを対象に、 HACCP による衛生措置が講じられていることを輸出国の政府機関で確認していただくというものを制度化する、この食肉、食鳥肉等についてはちゃんと HACCP による衛生管理が講じられていないと輸入できないようにしていこうということです。

 その下ですが、衛生管理によって食品衛生上のリスクが高まるおそれがある食品です。具体的には次のページですが、「乳、乳製品や生食用カキやフグを想定」としています。こうした乳製品等については、輸出国政府による衛生証明書の添付を要件とすることを今回、制度化しようということです。それから、その逆ですが、日本から海外へ輸出する食品について、現在では都道府県知事等に証明書を発行していただいていますけれど、それが法的には根拠がなかったということで、法的な根拠規定を設けようということが、4ページの上の○です。(8)その他は、罰則等の規定の整備を行うということです。以上が、今回取りまとめました食品衛生規制の見直しに関する骨子です。今後、当分科会で御議論いただきまして、その結果も踏まえ、政府部内、あるいは関係業界と、この内容について更に調整をした上で、パブリックコメント等の手続を実施して、国会に提出することを進めてまいりたいと考えております。私からの説明は以上です。

○村田分科会長 ただいま事務局から丁寧な説明を頂きましたが、これらに対して御意見、御質問をお願いします。場合によっては、主な改正内容の(1)から順番にでもいいですし、あるいは、これはというのがありましたら、何番のという言い方でお話いただいてもいいのですが。

○横田委員 改正懇談会でも委員を務めております横田です。差分というか、確認のために御質問です。 3 番の健康食品関係の議論を踏まえての規定では、3番の所で、製造工程関連については、現行法の活用でというお話がありましたが、具体的には何条のどういう規定をどのように引用することによって、その意図に応えるおつもりであるのかについて、もう少し解説をいただけますか。

○森田新開発食品保健対策室長 食品衛生法の 11 条に、食品の製造・加工の方法・成分規格等の規格基準を定めることができるという規定があります。その規定を活用して、規定を設けることを考えております。

○横田委員 懇談会では、まず、危険そうな食品の成分があることが分かった段階で、その成分について着目して、今回、この新規定で情報収集をすると。必要があれば、その成分がどれぐらい含まれているのかどうかよく分からないという問題が明らかになった場合には、今、お話いただいた基準等を策定して、それを適宜用意していく。そういうようなイメージということですか。

○森田新開発食品保健対策室長 (3)の特別の注意を要する成分等については、厚生労働大臣が指定をするということがあって、その上で、報告義務を課すということと、あとは先ほど申し上げた 11 条に基づく規格基準等によって製造管理のところを担保していくということを考えております。

○横田委員 分かりました。改正懇談会のほうでは、そもそも、業が把握できていないとか、いろいろ問題があったのですが、今回、届出制なども含めて、いろいろと包括的に情報収集を強化する規定が入っておりますので、それで状況が変わって、現行法も使いやすくなると、そういう御趣旨であると私は理解しました。ありがとうございました。

○川西委員 今の横田先生の質問とも関連するのですが、懇談会のほうは、半分くらいは健康食品の議論をしたということもあって、食品衛生法改正と、必ずしもリンクしにくいことも相当議論しているのですが、ここに盛り込んだ部分が、情報の部分にかなり特化しているということで、それで、また追加的に質問させていただきます。

 まず、1つは、特別の注意を必要とする成分等としていますが、これは成分ではなく、等としたのは、なぜかなということが、まず1つあります。

 もう1つ、この辺のものの規制の難しさというのは、あの間での議論もありましたが、通常、リスク評価がまだきちんとされていないような場合に一体どうするか。通常のルートでは、食品安全委員会にリスク評価を依頼して、その結果をもって厚労省側が規制するということであったと。今般は、これに関して、今の流れとしては、今まで分かっているもので特別な注意を必要とするものは、とにかくあらかじめ指定しておこうと。ただ、リスク評価がされていないものを全部指定できるかというと、まだ少し難しい側面もきっとあると。その間にグレーゾーンが結構残ってしまうのかなと思わないわけでもないのですが。その辺り、完全を期すことが難しいのは全くよく分かっていて、1つでも前進させるという意味で、こういうふうに整理していったことはよく理解できるのですが、その辺りはどんな感じで捉えて、取りあえず、この形でやっていこうかと考えたのか、少しコメントしていただければと思います。

○村田分科会長 先に浦郷先生の意見をお聞きしてから、お願いします。

○浦郷委員 この健康食品については、懇談会のほうで、本当に活発に協議されて、取りまとめのほうで出てきた意見をきちんと反映して、提言として出していただいたと思っていましたが、やはり、こうやって改正案の骨子として出てくると、これだけなのという感じがしてしまいました。

 健康食品というのは、一般的でない摂取方法や、やはり特定成分の過剰摂取により、体に悪影響を及ぼす可能性があるということで、それによって被害も起きてきている。しかし、そこのところの管理について法的規制がないというところで、改正懇談会でも、すごく議論されたところでした。

 今回のところで、特別の注意を必要とする成分ということが出てきております。その成分はあらかじめ指定するということになっておりますが、この成分が入っていなければ、報告しなくてもいいのかという、逆に捉えるとそういう捉え方もできてしまうのではないか。例えば、特保などはそういう成分は入っていないということでしょうが、必ずしもそこで特保の中でも健康被害が起こらないとは限らないと思います。そういう場合、健康被害があった場合は報告しなくてもいいのか、そんなことはないと思います。今も都道府県には報告することは義務付けられております。それが今回の改正で、そこから更に、厚労省に報告しなければならないという、ここだけしか今回の骨子案の所には示されていなくて、懇談会でいろいろ出てきた製造工程管理のところは、 11 条で十分できるというお話でしたが、私たちが懇談会のほうで随分協議したわりには、ここだけで健康食品に対する安全性はきちんと担保できるのかどうなのかというのが、とても不安で不十分ではないかということを感じております。

○村田分科会長 今の川西委員、浦郷委員の御質問、御意見を踏まえて、事務方から御返答を頂きたいと思います。

○森田新開発食品保健対策室長 まず、「成分等」としている理由ということです。成分としますと、食品に含まれる化学物質というか、物質というイメージが出てきますが、実際にリスクの観点から見れば、物質が特定できていなくても、植物体として何かしら管理を求めたほうがいいのではないかということが考えられますので、「等」として、もう少し幅広く原材料として使用されるものを規定できないかということで、このような表現とさせていただいております。

 それから、注意を有する成分ですが、これは健康被害の状況や、成分なり、植物体なりが有する生理活性などの科学的な情報をもとに、健康被害を防止する観点から必要だというような、リスク評価として完全にでき得るというわけではないかもしれませんが、一定の想定されるものであるという場合に、こういったものを指定していく。その指定に当たっては、当然ながら、薬事・食品衛生審議会等でのご意見を聴いて指定をしていくということです。具体的に想定しているものがどうかというのは、これから検討していきたいと考えております。

 浦郷委員のご指摘ですが、今回、法案の骨子ということで、こういうことをしていこうと考えていることを全て御説明しているわけではないので申し訳なかったのですが、先ほど申しました報告の義務化をする「特別の注意を必要とする成分等」については、報告の義務化と、製造管理の義務化という基準を設けて義務化をするということです。それ以外の成分については、これまでも通知の中で報告を求めてきているということで、この部分は生きていて、その報告の仕方についても、今回の義務化と、併せて、より良い方法に見直していくことを考えております。それ以外にも、報告を受けた後、これまでも専門家の意見を聞きながらやってはいたわけですが、もう少し薬事・食品衛生審議会の考え方も含めて、より一層システマティックに処理していく体制を構築していければということです。あと、医師会の先生からお申し出いただいておりますが、そういった報告を頂いたものを厚生労働省に情報提供いただけるということですので、そういったものも活用して情報を幅広く集めて、その幅広く集めたものを、先ほど申し上げたようなシステマティックに専門家の意見を踏まえて対応することを考えています。

 また、これも書いてはおりませんが、消費者に対する普及啓発の観点は、重要だという御指摘もありましたので、当然、この部分も、より強化していきたいと考えております。

○村田分科会長 浦郷委員、今の返答でよろしいですか。

○浦郷委員 ついでに、もう1つお伺いしたいのですが、健康被害が発生した場合、そういう情報をきちんと収集するというのは、今回のところに盛り込まれるということ。

 被害が発生した後のときの対応のところで、懇談会のほうでは、食品衛生法6条とか7条の所で、いろいろ措置ができるということでしたが、そこがなかなかうまく回ってないのではないか。そこを、もう少しうまく運用できるように改善したほうがいいのではないかという意見も出ていたと思います。そこのところはどうなるのでしょうか。

○森田新開発食品保健対策室長 6条の部分は、危ないものとなりますので、比較的明確なのかもしれません。むしろ7条のほうでは、うまくできないような状況があるのではないか、これは食品安全委員会への諮問 * と答申 * の中で、「これでは評価できません」となってしまうと、なかなかうまくいかないということです。そこは、食品安全委員会と事前の調整をうまく行って、諮問して答申を頂けるような形の改善をしていきたいと考えております。( * 正確には食品健康影響評価の依頼と評価結果)

○苅田委員 今のことに関連して基本的な質問ですが、私は懇談会には出ていませんので、委員の方々が大変御尽力されたことが伺われました。

 今日、これを見たとき、(3)の2つ目の○で、「調査を行う場合には」という条件付きで、「情報提供に努めるものとする」という文言が、3ページの「努めなければならない」とか、「届け出なければならない」、「報告しなければならないこととする」というよりも、やや弱いなと思います。多分、それは医療関係者の守秘義務とか、そういうことと関係するのかなと思ったのですが、やはり、「努めるものとする」というのが、ほかの文言に比べて、印象がとても、条件付きで「さらに健康被害情報の提供に努める」としたのを、もう少しシステマティックな具体的な方法を提示するとか、連結匿名化にして、きちんと取るみたいにして、これだけ議論になったということなので、そうしたほうがいいのではないかと思ったのですが、その辺の「努めるものとする」という言葉は、私の理解でよろしいかどうかをお伺いしたいのですが。

○森田新開発食品保健対策室長 御指摘の部分はありますが、この規定は、例えば保健所の方が健康被害情報を受けたときに、お医者さんに行って健康被害の情報を聴き取る場合、お医者さんも結構お忙しい中で、診療とは違って、健康被害情報の調査に御協力をなかなか頂きにくい状況もあるのではないかということで、こういった規定を設けることによって、よりお医者さんとの関係が良くなるのではないかということで、お医者さん側も守秘義務の観点で言いにくいということがあるのでしたら、この規定をもって情報提供ができるような形になれば、より円滑で迅速な調査ができるのではないかと考えております。そういう趣旨で付けております。「ねばならぬ」と強くするのではなく、「努める」という形にさせていただいております。

○横田委員 今ので確認ですが、医療関係者等への協力を求める規定を置くと、各種の情報提供を阻むような義務がかかっている場合に、「法令の規定により情報提供をする場合は除く」ということで対応されている場合には、こちらに新しい法律があると、食品衛生法新規定により情報提供を求めているので出しても大丈夫ですよと。そういう効果が発生するという理解ですか。

○森田新開発食品保健対策室長 そのような効果も発生するかと考えておりますが。

○横田委員 そうすると、この義務規定にすると、これを守らないと、罰則とか行政処分という話になってしまいますが、そうではなくて、あくまでも情報収集を円滑にするために法令上の根拠を置くという理解ですよね。

○森田新開発食品保健対策室長 はい、そうです。

○倉根分科会長代理 1ページ目の(2)の最初の○に、「広域連携協議会」と書いてありますが、これは常設になるのですか、それとも何か起こったときに集めて作ることになるのですか。

○道野食品監視安全課長 規定上は骨子なので、「できることとする」と書いてありますが、広域の食中毒というのは、初めからどこであるかというのが分かっているわけではありません。説明の所にもありましたが、基本的には、まずブロックで作っていただいて、連絡体制や問題が発生したときの対応とか、そういったことについてあらかじめ共有していただくことはやはり重要だろうと思っています。その上で、広域食中毒発生疑いというようなケースについては、これはブロックに限るわけではないので、もちろん2つのブロックで発生したり、境目であったりということもあるわけです。それはルール上の整理として、要は発生した自治体にも出席を求めることができる。若しくは出席することができるということにして、発生した広域事象の対応に合わせて、そこは協議会を活用していこうと。その中で、2つ目にあるように、発生時の場合には国も関与した上で、協議会を活用して、広域食中毒事案に対応するということで、対応方針とか情報収集、調査情報の収集等、情報発信等も協議会で調整してやっていこうという趣旨です。

○村田分科会長 大澤委員から、どうぞ。

○大澤委員 (4)の国際整合的な食品用器具・容器包装の衛生規制の整備ということですが、この会でも、以前、直接的ではなかったのですが、関連して、例えば、合成樹脂の容器に入ったものを電子レンジ等にかけることによって、合成樹脂から何かが出てくる可能性みたいなことについても検討していただきたいということを申し上げたことがありました。(4)を作っていただいたことは、そういう意味では、とても有り難く思いますが。ここでは、例えば合成樹脂の容器を電子レンジ等にそのままかけても問題があるかないかという情報を常に表記するということに関しては、何か手立てが講じられておりますか。

○関野食品基準審査課長 今の御指摘の点については、最終的には、器具・容器包装に使われる様々な物質については、大臣が規定する形になりますので、告示レベルになります。その告示の中でどのような表記の仕方をするかというのは、これからまた検討を続けていきます。ただ、どういったものを使えるようにするかといったリスト化に当たっては、御指摘のどういう条件で使った場合、あるいはどういう食品と接触しても大丈夫か否か。また、試験成績によっては、一部の食品については除外しなければならない場合も出てきますし、また電子レンジにかけてはいけないということで限定をかける材質、物質もあるかもしれません。その辺はきめ細かく見て、全て使い得る範囲内でポジティブリスト化していこうと考えております。

○大澤委員 よろしくお願いいたします。

○栗山委員 1つは、今、正に大澤委員が聞かれたことを伺おうと思っていました。ありがとうございました。もう1つは、確認みたいな感じですが、専門家である医師に協力を依頼したときに、現状で御協力いただけないようなことは、やはりあるのですか。

○森田新開発食品保健対策室長 先ほども言いましたように、守秘義務等の関係とか、あるいは診察の業務の多忙さという話ですが、行って、そのまますぐに調査に協力いただけるということは、ない場合もあり得るのではないかと考えております。

○栗山委員 それは、横山先生の御質問と、どう関連するのか理解の足りないところがあるのですが、それを、行ったら順番を抜かして聞いてもらうとか、そういうことはともかくとして、結果として、いろいろなことを守りながら、でも御協力していただけないようであれば、何か手立てというのは、ここで取っていただいたことになるのか、あるいはどこか他で担保していただいているのか、あるいはそういうこともやむなしという現状を追認しているのか教えていただければと思います。

○森田新開発食品保健対策室長 細かな具体的な事例を把握しているわけではないので正確なことは申し上げられませんが、先ほど言いましたように、守秘義務等で、もし情報提供しにくい状況が生じているのであれば、この規定を置くことによって、医師側からも情報提供しやすくなるということができるということだと理解しております。それ以外にも、例えば、健康被害の情報については、患者さんからの聴き取り、あとは他に関連する情報があるかということについては製造者のほうなり、販売者のほうなりに行って、情報収集をする。いろいろ総合的な情報収集をした結果で、健康被害情報への対応を考えていくことになりますので、お一人の患者さんの情報だけではない情報も集めていくことになります。

○中村委員 今のお話で、自治体としての立場ですが、過去にそういう情報がなかなか得られないということがありました。それは現状として、どうしているかと言いますと、実際に東京都医師会、東京都薬剤師会、そういう所とタイアップして、健康被害情報の報告制度を作って御協力をお願いしております。そういった形で、団体を通じてお願いしておりますと、やはり、円滑に情報が得られると。更に今回、こういう形で法規定もしていただけると、更に円滑に進むのかと自治体の立場としては考えております。

○寺本委員 医療現場にいる者としてお話をさせていただきます。先ほど苅田委員がおっしゃったとおりで、「努めるものとする」という表現では、医療従事者からの情報はなかなか出てこないのは現状だろうと。恐らく、副作用情報とか、そういったものも、本来はそうですが、現時点では、全てが出てきているわけではないので、その辺のところは何かシステム化しないと、これは生きてこないと言いますか、文言として、これが残るのは非常に素晴らしいことですが、やはり、実際にそれが動くことが重要で、動くためのシステムを何か作らないと、なかなかこれは実効性がないのではないかというのが私の印象ですので、その辺をもう一度お考えいただければと思います。よろしくお願いします。

○中村委員 食品衛生法改正の話に戻りますが、要望3点、質問2点ほど申し上げます。全体的な話として、パブコメを取られるというお話がありましたが、今の議論でもあるとおり、やはりパブコメを取られるときに、ある程度具体的な中身も示した上でパブコメを取っていただきたいと思います。ただ、そうは言ってもなかなか全体をすぐには無理でしょうから、政省令でうたわれる部分であれば、改めて政省令を作る前に丁寧な意見聴取をお願いしたいというのが1点です。

 2点目は、施行の時期ですが、冒頭の「趣旨」の所に「 2020 年東京オリンピック・パラリンピックの開催を見据え」という言葉がありますが、うがった見方をしますと、オリンピック前に施行するのかなと読めるのですが、そうしますと、2年ぐらいしか余裕がないので、現状の零細企業の HACCP の取組を見ますと、なかなか2年では厳しいかと思いますので、この辺も丁寧な御説明をお願いしたいと思います。

 3点目の要望として、 HACCP の制度化の所で、いわゆる「リスクの低いものは除く」というのがありまして、もう一点、届出制度の創設のところでも、やはり「リスクの低いものは除く」とありますが、これはきちんと整合を取っていただきたいと思います。片一方だけに網を掛けるという形になりますと、現場での混乱が生じると思いますのでお願いします。

 次の2点が質問です。まず1つが、「営業許可」の所で、施設基準については今後省令で示すと。それを踏まえて参酌して条令でということですが、都道府県の裁量というのはどの程度許されるものなのか。省令のとおり条令化しようというのであれば、条令化は必要ないのかなと思いますので、その点について教えていただければと思います。

 2点目は、輸出の証明ですが、「都道府県知事は証明書の発行を行うことができるとする」とありますが、できるということは、これはやはり都道府県に裁量があるということですか。発行する、しないかの裁量があって、基本的には、これは国の義務だということなのかということについて教えていただきたいと思います。

○道野食品監視安全課長 御要望の所も含めてお答えしたいと思います。パブコメの内容に関しては、基本的には骨子案の内容になると思います。もちろん、それに付随した説明やパブコメに対する御指摘等においては、具体的な内容でできるだけ答えていくように努力をしていきたいと考えております。

 施行月日の 2020 年については、国際整合ということも考えると、基本は 2020 年を、ある程度メルクマールにしていくことになりますが、従前から HACCP を含めて検討を2年ぐらいやっているわけですが、その中でも、十分な準備期間を設けることについては、十分議論されてきているところですので、そういったことも踏まえて、施行のタイミングは詰めていきたいと考えております。

 施設基準の部分ですが、地方分権との関係があって、現在、自治事務の区分のものを変更するのはなかなか難しい。そういう中で、一方で社会的な要請としては、自治体ごとにばらばらの許可基準、施設基準というのは合理性もないし、全国で統一してやってもらいたいという要望もあるわけです。その中で地方分権との関係も踏まえながら、国として対応できる、我々として対応できることとしては、基準を省令化して参酌基準として地方に扱っていただくというところが可能ではないかということで、これはまだ関係省庁とも調整中ですが、そういった方向で考えていきたいと。ただし、どこまで国で省令を定めるかということについては、今後考えていかなければいけません。やはり、地方による特性、地方の事情を考慮しなければいけない部分も非常に広い食品の営業のカテゴリーの中ではあるだろうと考えておりますので、その辺については、引き続き御意見を伺いながら進めていきたいと考えております。

 輸出証明については、あくまでも自治事務に変わりはありません。そういった中で、現行でも輸出証明については地域の産業振興の観点も含めて、自治体の判断ということで輸出証明の発行については判断をしていただきます。もちろん、環境整備ということで、輸出の証明の内容や証明書の発行者をどうするかということについては、国が輸出国と協議をして決めると。この役割分担については変わるものではありません。

 また、証明書の発行をする、しないということについては、引き続き知事さんの判断ということになるわけですが、国として、農林水産物、食品の輸出振興を図っていくということについて御理解を頂きながら対応していただければと。そういった意味で、規定を整備することによって、例えば人員等の体制の整備といったところに、むしろ活用していただければというのが、この規定を設ける趣旨だと御理解いただければと思います。

○中村委員 ありがとうございます。

○村田分科会長 だいぶ時間が迫ってきましたが、西口委員、法律のほうから見て、どうですか。では、先に大澤委員からどうぞ。

○大澤委員 先ほどの(3)で、医師に行った場合の協力の問題というのがありましたが、医師の立場から申し上げますと、1つには被害に遭われた患者自身の承諾を得る必要があります。承諾をする場合に、例えば、お名前を伏せてとか、年齢を伏せてとか、そういう形で報告しても良いかということを伺ってから報告するという形で、時間はかかると思いますけれども、可能だとは思います。ただ、かなり忙しい中で動いている人間ですので、その辺に関しての協力は、医師会なども通じてしていただいたほうが、ある意味ではよろしいし、より円滑にいくかと思います。基本的な医師の仕事という観点からいけば、プロとして報告するのは当たり前のことだと思います。

 もう1点です。健康食品を扱っている業者が年間にどれぐらいの食品を売っているのかということの届出の報告は実際にあるのでしょうか。各業者がどれくらいの健康食品を売っているという報告を義務付けるとか、何年かに1回尋ねるとか、そういうシステムがあったほうがいいのではないかと思いました。

 それと、テレビの広告などを見ていますと、本当に効くような感じの宣伝が余りに多すぎるので、ああいう宣伝は、もうちょっと何とかなればいいかと思います。

○村田分科会長 事務局から、何かお答えはありますか。

○森田新開発食品保健対策室長 事業者がどれぐらい販売等をされているかということですが、事件などとは関係なく、確かに全ての事業者からどれぐらいという報告を求めるわけではありません。ただ、実際の健康被害情報の内容を踏まえて対応を検討する中では、事業者のほうにも調査に入って、販売数量等も確認するといったことも行います。そういった中で把握していくことになろうかと考えております。もう1つの宣伝の関係については、どちらかと言うと消費者庁の表示、広告の優良誤認の観点なりの話だと受け取りました。御意見として賜れればと思います。

○浦郷委員 リコール情報のところで、1つお伺いしたいと思います。「食品衛生法に違反をした場合等で」と書いてありますね。この「等」は、例えばアレルゲンの表示が落ちていたとか、消費期限が間違っていたとか、そういう場合も含めて、「等」に入ると考えていいのかどうか。また、「食品衛生上の危害が想定されない場合を除き」とあるのですけれども、「危害が想定されない場合」というのは、例えば食品衛生上では余り大きくない、異物混入ということなのかというのをお伺いしたいと思います。

 今回、リコール情報を一元化したいということで、大分お金を掛けてシステムを作るということですが、リコールされたものはきちんと全部一覧で見られるというのが、消費者にとっては一番のメリットだと思います。何でもかんでもリコールをして、それが食品ロスにつながるという危惧もありますが、そこは事業者がリコールするかどうかというところで、自社のイメージを損なうかもしれないということで安易にリコールしてしまうところもあると思うのです。その中で、どれが本当に消費者として気を付けなければいけないものかというのが見えにくくなってきている。そこで、こういう一元化した所でリコールされたものをきちんと見られて、本当に気を付けなければいけないものがきちんと分かるように、例えばAランク、Bランク、Cランクというようなランク付けをしたらどうかという意見も、懇談会の中で出ていたと思うのです。そこら辺が、これだけでは読み取れないので、御説明をお願いいたします。

○道野食品監視安全課長 まず、骨子ということもあって、情報が十分足りてない部分があると思います。「食品衛生法に違反した場合等での」の「等」というのは、ちょっと技術的な話になりますが、例えば病原微生物が明らかに検出されて回収しますというときに、周辺ロット、同日に作ったものも念のために回収するというケースも出てくると思うのです。ですから、同時に回収するものについては「違反した場合」とは、必ずしも言い切れないものが出てくるので、そういったものも含めての「等」という趣旨です。これを実際に法文化したり、対象を省令や更に下位のガイドラインや通知などで定めていくことになるわけです。要するに「場合のみ」にしてしまうと、そういった不便が出てくることがあって「等」としております。

 それから「食品衛生上の危害が想定されない場合」については、現状では御案内のとおり、一部の自治体では条例でこういった制度を制定して活用されているわけです。その中で、例外を設けられているケースがあるのです。それを全部、飲み込むかどうかというのは別の話ではあるのですけれども、例えばもう消費期限が切れているものであったり、非常に地域限定の流通食品であったり、そういった幾つかの例外を設けられているのです。そういったものの中で、危害が想定されないというようにきちんと整理できるものについては、この制度の中でも、報告からは除外していければということです。

 あと、安易に企業がリコールをしないようにというのは、消費者団体の方々が管理懸念を持っておられることも、よく承知しています。そういった意味で、こういったものを一覧的に事業者や消費者にお示しすることによって、どういうものを法的に回収して報告しなければいけないかということが明確になってくるというのは、食品安全のリスクコミュニケーションという観点にも資するのではないかと考えております。

 ランク付けについては、法律レベルの話ではないのですが、もちろん、こういったものを公表するに際し、これもリスクコミュニケーションの観点というか、むしろ消費者や事業者がどういうことに気を付ければいいかという観点からも、ランク付けと言いますか、リスクについての情報も併せて公表できるようにということで、今後も検討していく予定にしております。

○村田分科会長 今のでよろしいですね。

○浦郷委員 それでは、例えばアレルゲンの表示が欠落していたという場合は、衛生法ではなくて表示法になるから、ここには入らないということでしょうか。そこら辺をお願いします。

○道野食品監視安全課長 それで、懇談会においても、かつての食品衛生法の表示基準にあったアレルゲンの表示とか、期限表示等についても、違反があった場合には、回収報告という仕組みの中に入れていくべきではないかという指摘があり、その点については消費者庁とも相談をしており、対応する方向にしています。ただ、今回の改正では一応、食品衛生法等のところを書いているということもあって、食品表示法については別の政策判断が必要な枠組みだろうということを、今、政府内で議論しております。そういった意味で、消費者庁は、食品表示法の改正を検討していくという整理にしています。いずれにしても設計するシステム等は、そういったものも考えております。

○栗山委員 今、御質問いただいたアレルギー表示については、一元化というか、是非入れていただけるといいなと思っております。その場合、アレルギーというのは表示が抜けていたとしても、ごく一部の人が命に関わる問題であると同時に、ほとんどの人には命に関わらない問題なのです。だから、どういうようにするのがいいのか、お知恵を借りながら、食品ロスにつながらないように、かといって命に関わることであるというのを落とさないようにして、お知恵を集めていただければと思います。ありがとうございました。

○横山委員 この骨子の段階でパブリックコメントを掛けるときに、可能であればお願いがあります。今の御議論を拝聴していても、法律事項なのか政省令の話なのか、それとも実際のシステムに関する御要望なのかが分かれ得るものだと思います。一般の方が、この文書を見たときに、どこまで具体的なイメージを書けるのか、まだ検討中なのかということについても、できれば説明文書で、可能な限り、こういう方向で進めていくということが書けるのかどうかという点について、御議論を頂きたいということです。

 もう1つ、情報公開との関係で言いますと、御懸念のあった食品表示法との関係もあります。システムを実際に構築する際には、官民データ活用推進法等の関係で、またオープンデータの関係で使いやすいデータ提供の在り方を検討いただければと思います。もし政府のものが使いにくいということであれば、そのデータを使って何か新しいアプリ等で表示できるようにするなどというような民間のイノベーションもあり得る分野です。これは衛生管理制度の見直しの情報提供の在り方とも関わると思うのですが、その点も考慮に入れていただけると幸いです。これは完全に法律事項ではない要望になりますから、法律事項についての御要望なのか、それとも実際に導入する場合の御意見なのかというところを少し区別されると、パブリックコメントの結果としても見やすいのではないかと思いますので御検討ください。

○村田分科会長 大体、皆さんの意見が出たようですね。ありがとうございます。事務局においては、本日、皆様からいただいた御意見等を踏まえながら、関係業界との調整やパブリックコメント等の手続を進め、法律改正案を取りまとめていただきたいと思います。

 それでは次に、事務局からの報告事項に移ります。食品中の農薬等の残留基準の設定について報告してください。

○小川補佐 資料2を御覧ください。今回報告するのは、食品中の農薬等の残留基準の設定についてで、全部で5品目あります。3ページで、簡単に御説明させていただきます。今回、残留基準を設定するのは、農薬2剤、農薬及び動物用医薬品1剤、動物用医薬品2剤です。

 農薬は暫定基準の見直しです。1つ目が、ジクロルプロップです。こちらは植物成長調整剤で、暫定基準を見直すものです。我が国では農薬登録がされており、りんご、日本なし等に使用されております。食品健康影響評価の結果は、表の真ん中に示しているとおりです。こちらに基づき、基準値を見直しました。基準値については、それぞれ後ろのページに掲載されておりますが、それらの基準値案に基づき、ばく露評価を行った結果をこちらにお示ししております。ジクロルプロップに限らず、全ての剤において、ADIを超えるものはありません。また、ARfDが設定されているものについては、短期ばく露評価を行い、ARfDを超えていないことを確認しております。

 2つ目が、フルベンジアミドです。こちらは殺虫剤で、適用拡大申請があったものです。かぼちゃ、ごぼう、セロリ、ブルーベリー、てんさいについて、新たに使用するということで申請があったものです。農薬としては既に国内で、とうもろこし、ばれいしょ等に使用されております。

 3つ目が、デルタメトリン及びトラロメトリンです。こちらは農薬又は動物用医薬品として、外部寄生虫の駆除にも使用されているものです。暫定基準が設定されておりますので、その見直しと、併せて適用拡大申請がありましたので基準値を設定するものです。適用拡大申請は、ぶどうと、菜花類に申請がありました。トラロメトリンが農薬として、日本国内で使用されております。また、海外においてはデルタメトリンが農薬として使用されております。こちらの2剤については、 17 ページを御覧いただきたいと思います。トラロメトリンが代謝されるとデルタメトリンになります。これら 2 物質をグループとしてADIが設定されております。したがって、残留基準についても、これらの物質をまとめて、基準値を設定するものです。

 3ページに戻ってください。4つ目が、スペクチノマイシンです。これは動物用医薬品の抗生物質で、暫定基準を見直すものです。動物用医薬品として国内での承認はありませんが、ヒト用医薬品として使用されているものです。ADIが設定されており、これに基づき畜産物に基準値を置くとしております。

 最後が、デキサメタゾンです。こちらは動物用医薬品の合成副腎皮質ホルモンで、暫定基準を見直すものです。動物用医薬品として、牛、馬に使用されております。また、ヒト用医薬品としても使用されているものです。こちらのADIは 0.01 μ g/day と、非常に低いものです。 32 ページを御覧いただきたいと思います。暫定基準を見直して畜産物に基準値を設定する案としておりますが、鶏については、不検出という基準値案とさせていただいております。ADIが低いものについては一律基準ではなく、不検出基準を置くということで対応しております。魚介については、デキサメタゾンという剤が使われることがないので残留することはないということで基準値を置かない案になっております。以上です。

○村田分科会長 ただいまの事務局からの報告に対して御意見、御質問があればお願いします。

○穐山委員 部会での審議ですけれども、2剤目のフルベンジアミドに関しては、食品安全委員会の評価で、ラットの1世代繁殖毒性試験及びラットの発達神経毒性試験において、児動物、子供の動物の眼球肥大や虹彩癒着等の眼の異常が認められたことから、出生後の乳汁を介したばく露により惹起されると考えられることから、授乳中の女性を対象としたARfDを設定しております。その評価も併せてやっており、一応ARfDを超えていないことを評価しております。

 デルタメトリン及びトラロメトリンに関しては、先ほど事務局からもお話がありましたが、ちょっと構造が複雑です。 17 ページにありますように、トラロメトリンから代謝されたり加熱されるとデルタメトリンになるのですが、分析時にデルタメトリンになってしまうのではないかという議題になりました。しかし、分析法が違うと、トラロメトリンも残留するという結果が出ていますので、この両方を置いて、デルタメトリンもトラロメトリンも規制対象にすると。また、 19 ページにある代謝物CR、代謝物CTに関しても一応、検出されていますので、こちらも規制対象とすることにしております。

 最後のデキサメタゾンに関しても、 32 ページにありますが、家きんにおいては、不検出にしています。これはADIが 0.01 μ g/kg 体重 /day ですが、ポジティブリスト制度導入時に一律基準を検討した際の根拠であるばく露量の目安、 1.5 μ g/day 50kg 体重換算で、ADIとして 0.03 μ g/kg 体重 /day を下回ってしまっていることから、家きん由来の畜産物としては不検出としました。以上が、特徴的な議論としてありました。

○村田分科会長 ほかに御意見、御質問はありませんか。それでは、これは報告ですので、どうもありがとうございました。

 次に、文書配布による報告事項等に移ります。この資料に関しては、事前に委員の皆様の所に郵送で配布されていると思いますので、これまでの特段の御意見がなければ、次に移らせていただきます。よろしいでしょうか。

 どうもありがとうございます。最後に、食品衛生分科会における審議報告対象品目の処理状況について、事務局から御報告してください。

○黒羽残留農薬等基準審査室長 資料4です。前回の平成 29 11 17 日、及び前々回の 10 27 日に開催された食品衛生分科会について、審議若しくは報告した農薬等の処理状況について御報告いたします。一覧表を御覧いただきたいと思います。農薬、動物用医薬品等が全部で 38 項目あります。前回の分科会から時期が余りたっておりませんので、現在パブリックコメントやWTO通報を実施中とか、実施予定と記載されている品目が多くあります。なおWTO通報については、基準値が厳しくなる場合に実施することになっており、WTO通報の対象外と記載されているものは、現行より基準値が緩和される品目となっております。

 既にパブリックコメント及びWTO通報が終了した品目のうち、3ページの真ん中よりちょっと下のほうに、「ホセチル」という品目があります。一番右の備考には、検討中となっております。ホセチルの代謝物である亜リン酸も規制対象にすることについては多くの意見を頂いており、その基準値案の変更の必要性について、現在検討しているところです。その他のものについては意見を頂いた品目もありますが、それによって基準値の変更が必要となったものはありませんでした。また、パブリックコメントやWTO通報実施中のものや、今後実施予定の品目については、意見を頂いた場合、その内容を確認し、対応が必要かどうかを検討していきたいと思っております。この項目の説明は以上です。

○村田分科会長 ただいまの事務局からの報告に対して、御意見や御質問等をお願いいたします。ないですか。よろしいですか。

 どうもありがとうございました。以上で、議事は終わりましたが、最後に事務局から、何か連絡事項はありますか。

○一戸生活衛生・食品安全企画課長補佐 次回の分科会については今後、日程調整をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。また、何度も申し上げておりますけれども、机上に配布されている黄緑色と青色のファイルは置いておいていただきたいと思います。

○村田分科会長 長い時間、御議論いただきまして誠にありがとうございます。これをもちまして閉会とさせていただきます。どうもありがとうございます。


(了)

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