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2019年11月8日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第159回議事録

○日時

令和元年11月8日(金)9:00~10:01
 

 

○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)

○出席者

中村洋部会長 秋山美紀委員 田辺国昭委員 関ふ佐子委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 佐保昌一委員 宮近清文委員
松本吉郎委員 今村聡委員 林正純委員 有澤賢二委員
村井泰介専門委員 平野秀之専門委員 上出厚志専門委員 
<事務局>
濵谷保険局長 横幕審議官 八神審議官 森光医療課長 岡田医療技術評価推進室長
樋口保険医療企画調査室長 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○ 次期薬価制度改革について(その5)
○ 薬価改定の経緯と薬剤費及び推定乖離率の年次推移について

○議事

 


 ○中村部会長
では、定刻になりましたので、ただいまより、第159回「中央社会保険医療協議会薬価専門部会」を開催いたします。
まず、本日の委員の出欠状況について御報告します。本日は全員御出席の予定ですが、関委員と秋山委員はおくれて到着と聞いております。
なお、冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
(カメラ退室)
○中村部会長
それでは、議事のほうに入らせていただきます。
本日は、「次期薬価制度改革について(その5)」として「基礎的医薬品への対応の在り方」「再算定」「2020年度改定における実勢価の反映」について検討していきたいと思います。
事務局より資料のほうが提出されておりますので、説明をお願いいたします。
では、薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
中医協の資料薬-1をお開きください。
本日は、議題として「基礎的医薬品への対応の在り方」「再算定」、それから「2020年度改定における実勢価の反映」について御議論いただければと思います。
まず、基礎的医薬品についてでございます。4コマ目をお開きください。これまでの経緯等について記載してございます。
基礎的医薬品に関する現行のルールでございますけれども、2つ目の●をごらんください。最低薬価では供給の維持が困難な品目や以前に不採算品再算定を受けた品目も含め、次の全ての要件を満たす医薬品を「基礎的医薬品」として、最も販売額が大きい銘柄に価格を集約して、その薬価を維持するということとしてございます。
具体的な要件といたしましては、薬価収載後25年以上、かつ成分・銘柄ごとのいずれの乖離率も平均乖離率以下であること。また、一般的なガイドラインに記載され、広く医療機関で使用されていること。それから、薬効群の対象といたしましては、過去の不採算品再算定品目、並びに古くから医療の基盤となっている病原生物に対する医薬品、医療用麻薬、生薬、軟膏基剤及び歯科用局所麻酔剤のいずれかに該当するものとされておりますいる。
枠囲みの下部に※印で記載してございますが、平成30年度改定におきましては、この対象範囲につきまして、過去3回の乖離率が連続で2%以下であった薬効分類として、生薬と軟膏基剤、歯科用局所麻酔剤を対象に加えたところでございます。
30年度改定時点の実績でございますけれども、下の表のとおり合計660品目でございますが、円グラフのとおり、そのうち過去の不採算品再算定品目に該当するものが56%、また、病原生物に対する医薬品に該当するものが31%程度という内訳になっているところでございます。
5コマ目には、基礎的医薬品も含め、不採算品再算定及び最低薬価という、いわゆる低価格品等の特例に関するルールの概要を記載してございます。
また、6コマ目には、不採算品再算定関連の具体的な薬価算定基準の抜粋を掲載してございます。
これらも含めまして7コマ目でございます。不採算品再算定の事例についてまとめてございます。過去3回の薬価改定における不採算品再算定の実績でございますけれども、26年度が34成分、28年度が47成分、30年度改定が87成分となっております。そのうち参考として記載してございますけれども、収載から25年以下の成分につきましては、それぞれ4成分、11成分、15成分となっておりまして、それほど多くはないといった状況でございます。
また、8コマ目には、最低薬価に関する現行のルール、最低薬価の額を記載しているところでございます。
9コマ目でございます。この基礎的医薬品の対象範囲等につきましては、日薬連からの意見陳述の際に対象範囲のさらなる拡充とともに、過去に不採算品再算定が適用された品目等において薬価収載からの年数に係る要件を緩和するなど、より適切な要件のあり方について検討を行うべきといった主張がされたところでございます。
上の図でございますけれども、不採算品再算定が一度適用されて薬価が引き上がっても、薬価収載後25年までは実勢価改定がされる可能性があるため、不採算品再算定が適用された直後の改定から基礎的医薬品として薬価を維持すべきという主張がございました。
それから、下の図でございますけれども、G1/G2ルールが適用されるケースがあるわけでございますが、年数に係る要件を「薬価収載から25年あるいは後発品収載から10年を経過した品目」と見直すべきという主張がされたところでございます。
10コマ目でございます。前回改定の答申書附帯意見においても基礎的医薬品の対応のあり方について引き続き検討することとされておりでございますが、以上を踏まえた論点といたしまして、まず不採算品再算定を受けた品目について、収載から25年以上を経過したものが多いという状況であること、また、不採算品再算定や最低薬価になる前の薬価を下支えするという制度の趣旨等を踏まえて、現行の基礎的医薬品の要件等についてどのように考えるかということで挙げさせていただきました。
続きまして、2つ目の議題「再算定」についてでございます。
12コマ目をごらんください。こちらは平成30年度改定におきまして効能追加等に伴う市場拡大への対応といたしまして、新薬収載の機会(年4回)を最大限活用して薬価を見直すといったルールが導入されたところでございます。いわゆる四半期再算定と呼んでいるルールを導入したということでございます。
13コマ目でございます。これまでに薬価改定時以外に再算定、いわゆる四半期再算定の実績でございますけれども、下の表に記載した3件について速やかに対応したところでございます。オプジーボ点滴静注に係る用法用量変化再算定、それから、マヴィレット配合錠、タグリッソ錠に関する市場拡大再算定についてこれまで対応してきております。
15コマ目をごらんください。市場拡大再算定の考え方でございますけれども、薬価収載後に効能・効果の追加や用法・用量の変更により、比較薬との類似性が損なわれたり、また、当初の予想を大幅に超えて販売されたりした場合に、必要に応じて薬価の再算定を行うというものでございまして、市場拡大再算定に関しては、年間販売額等に応じまして最大で改定前薬価の15%、25%、または50%の薬価の引下げを行うとされております。
最近の実績でございますけれども、下に表がございますとおり、2012年度に16成分、2014年度に11成分とあるように適用してきております。その中で下止めまで引き下げられたものも幾つかございます。2012年度は9成分、また、2016年度は7成分といった状況でございます。
16コマ目は市場拡大再算定に関する現行のルールの概要でございます。
17コマ目をごらんください。過去に再算定を受けた品目への対応でございます。数は少ないのですけれども、一度、市場拡大再算定を受けた後に、再度市場拡大再算定の対象になった品目もあるということでございます。過去4回の改定ですと、下の表に記載した5つの品目につきまして、それぞれ再算定を受けた時期を記載しておりますが、2度、市場拡大再算定の対象になっているということでございます。
18コマ目は薬価算定組織からの意見の中で、複数回の再算定を受ける品目の基準年間販売額あるいは用法用量変化再算定を受けた品目の基準年間販売額の明確化等に関しまして意見が出されたということでございまして、こうした状況を踏まえまして19コマ目に論点を挙げさせていただいております。
1つ目は、再度、市場拡大再算定を受ける品目について、前回の再算定の際に下止めの対象となっていた場合、これを考慮して次の再算定を行うことについてどのように考えるかということでございます。
2つ目としては、市場拡大再算定と同様に、過去に用法用量変化再算定、これは市場規模が変化するものに限ってということになりますけれども、過去に用法用量変化再算定を受けた品目も、それ以降に市場拡大再算定の適用の是非を判断する際には、前回の再算定時点における年間販売額を基準にすることを明確化してはどうかというルールの明確化に関する論点でございます。
続きまして、20コマ目でございます。今度は再算定での主たる効能の変更への対応でございます。効能追加により、主たる効能・効果の変更があった場合には、ここに記載してございます効能変化再算定、または用法用量変化再算定のいずれかの対象となり得るということでございます。
まず(1)の効能変化再算定について御説明いたしますけれども、この考え方は変更後の主たる効能・効果に係る類似薬、これはルール上薬理作用類似薬となっておりますが、これがある場合には当該類似薬の価格に近づくよう、効能変化再算定を行うというものでございます。
変更後の主たる効能・効果に係る市場規模が変更前に比べて大きいほど、その変化の程度が大きくなるというルールでございます。
具体的な算式としては、下に効能変化再算定の式がございますけれども、再算定後の薬価を求める際の考え方を中括弧の中に記載してございます。具体的には、従前の主たる効能・効果に係る類似薬の1日薬価に、効能変更後の市場規模全体を分母とした場合の効能変更前の市場規模の割合がどれくらいになっているかという割合を掛けたもの。それに今度は変更後の主たる効能・効果に係る類似薬の1日薬価に変更後の効能・効果に係る市場規模割合を掛けたものを加えて算出します。すなわち従前の主たる効能・効果に係る類似薬、それから、変更後の主たる効能・効果に係る類似薬の一日薬価と市場規模で按分して再算定後の薬価を決定するというルールでございます。
具体例が1つございますので、先に21コマ目をごらんいただければと思います。
これはかつて効能変化再算定を適用したリクシアナ錠のケースでございますけれども、効能追加を行った際に新たに追加された効能・効果の市場規模が、従前の主たる効能・効果の市場規模より大きく主たる効能・効果が変更になったというケースでございます。
リクシアナ錠の従前の主たる効能・効果は下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制(DVT-OS)だったものが、変更後の主たる効能・効果が、非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制(AF)となったように、DVT-OSからAFに主たる効能・効果が変更されたというケースでございます。
この変更後の主たる効能・効果、AFに関しては、下に表がございますけれども、薬理作用類似薬が存在したということ、そして、それらの1日薬価よりも約1.4倍高かったというのがこの効能変更時の状況でございました。表に記載してございますとおり、リクシアナ錠につきましては主たる効能・効果がDVT-OSからAFに変更になったということであり、当時の1日薬価は748.10円であったところでございますけれども、このAFに関しましては、イグザレルト錠とエリキュース錠という薬理作用類似薬が既に効能を取得して承認を受けておりました。これらの一日薬価というのが545.60円であったということでございます。
効能変化再算定の要件に該当しているということで、変更前後の主たる効能・効果の市場規模あるいは類似薬の1日薬価を踏まえて、下の算式により調整を行った結果、リクシアナ錠について28.0%の効能変化再算定による薬価の引き下げを行ったものでございます。
20コマ目にお戻りいただければと思います。上の枠囲み中の(2)の用法用量変化再算定に該当するケースについて御説明いたします。
考え方ですけれども、主たる効能・効果の変更に伴い、用法・用量に変更があり、市場規模が大幅に拡大した場合は、変更前後でそれぞれの主たる効能・効果に関する一日薬価が同額になるように用法用量変化再算定を行うというルールでございます。
模式図として下に記載してございますけれども、効能Aについて、もともと1日薬価がAであったというようにお考えいただければと思います。その後、効能追加、効能Bを追加して、その際に効能Bのほうがかなり市場規模は大きくて、かつ一日薬価が従来の2倍になっていったということで面積を用いてイメージ図を記載させていただいております。この市場拡大率が当初の10倍、100億円超という場合には、用法用量変化再算定の対象になるということでございまして、効能Bについては1日薬価が2倍になっておりましたので、もともとの効能Aに係る1日薬価と同額となるように一日薬価を半分にするというルールでございます。
ただ、そうすると、右下の効能Aのところをごらんいただければわかると思いますけれども、もともと算定を行っていた変更前の効能の1日薬価が減ってしまうということにもなるというルールでございます。
22コマ目をごらんいただければと思います。今、御説明したこれらの再算定のルールでございますけれども、いずれも当然、一定の要件に該当する場合に適用されるというものでございます。具体的には、例えば「効能変化再算定」で言いますと、変更後、効能・効果及び作用機序が同様の既存の類似薬がある場合に、当該類似薬の薬価に近づける仕組みでございますので、変更後の主たる効能・効果に係る薬理作用類似薬が収載されている場合に適用されることとなっております。
また、2つ目のポツでございますが、「主たる効能・効果の変更に伴う用法用量変化再算定」の場合には、再算定により、変更前の効能・効果に係る1日薬価も変更してしまうということに鑑みまして、追加された効能・効果に係る市場規模が著しく大きいと考えられる場合として、市場規模が10倍以上、かつ100億円を超える場合に限定して適用することとして平成30年度改定で導入されているところでございます。
その一方で、効能追加により、主たる効能・効果が変更となり、かつ主たる効能・効果に係る既存薬と比較して著しく1日薬価が高くなるというケースが理論上あり得るわけですけれども、上記の要件に該当しない場合には再算定の対象にはならないということでございます。
23コマ目、24コマ目は現行ルールの概要でございますので説明は省略いたしまして、25コマ目でございます。論点といたしましては、効能追加により、主たる効能・効果が変更される場合であって、当該主たる効能・効果に係る既存薬と比較して著しく一日薬価が高いケースでは、当該薬効における市場規模の急激な拡大が懸念されるが、現行の効能変化再算定(または用法用量変化再算定)が適用されないケースの対応についてどのように考えるか、これが1つ目の論点でございます。
2つ目の論点といたしましては、効能変化再算定は、薬価改定の際に実施するということとされておりますけれども、その実施のタイミングについてどう考えるかということでございます。
続きまして3つ目の議題です。「2020年度改定における実勢価の反映」についてでございます。
27コマ目をごらんください。現在の状況につきまして御説明いたしますと、本年度薬価調査を実施してございますけれども、10月1日に消費税引上げに伴う薬価改定を行っております。実際は本年度の薬価調査の後に消費税率の引上げに伴う臨時的な薬価改定が実施されているという状況でございまして、この消費税率の引上げに伴う薬価改定が行われた、その薬価に関する実勢価というのは、本年度の薬価調査では把握できていないというのが実態でございます。
それを踏まえまして、28コマ目でございます。2020年度改定における実勢価の反映のイメージとして、実勢価改定の算出式とともに記載してございます。まず、イメージ図で御説明いたしますと、2018年度改定時の薬価というのがございますけれども、それに対して昨年、2018年度の薬価調査を行いました。その税抜きの市場実勢価格を調べまして、それに消費税10%、調整幅2%を加えまして2019年10月の改定時薬価が実勢価改定の場合として定められているというのが現状でございます。
その上で、今年の2019年度の薬価調査も同じ2018年度改定時薬価について市場実勢価格を調査したということになりますので、下のほうにございますけれども、2019年度の薬価調査の税抜きの実勢価格に消費税10%、それから、調整幅としては改定前の薬価の2%ということになるので、2019年10月薬価の2%の調整幅を加えた額が右側に点線の矢印を記載してございますが、2020年度改定時薬価ということになるのではないか、というイメージでございます。その上で、論点といたしまして、2020年度薬価改定につきましては、本年度の薬価調査で得られた市場実勢価格を踏まえて行うこととしてはどうか挙げさせていただきました。
説明は以上でございます。
○中村部会長
ありがとうございました。
ただいまの説明を踏まえ、論点に分けて協議を行いたいと思います。
まずは4ページから10ページまでの「基礎的医薬品への対応の在り方」に関して、御質問、御意見等ありましたら、お願いいたします。
では、松本委員、お願いします。
○松本委員
ありがとうございます。
基礎的医薬品は言うまでもなく医療を支えている非常に大切なものでありますけれども、本日の資料から、要件等を見直すべきというようなことは見えてきません。そこで、事務局にお尋ねしますけれども、現行の基礎的医薬品、不採算品再算定、最低薬価のこういった網から抜けてしまうような医薬品の問題が現実にあるのかどうかということを後でお聞きしたいと思います。
確かに7ページ目の不採算品再算定の実施対象品目数の推移を見ますと、収載から25年以上経過したものも多くなってきております。25年以上経過した品目は基礎的医薬品の対象となり得ますけれども、結局は不採算品再算定を受けているということは、不採算品再算定になる前に薬価を下支えするという基礎的医薬品の仕組みがうまく機能していないということが言えるかもしれません。しかしながら、その理由が基礎的医薬品の要件の一つである乖離率が平均以下という要件を満たしていないためでしたら、平均的な医薬品と比べてまだ値引きの余地がある。つまり、企業としても、まだ収益性が見込まれることから安売りもできるのではないかということも考えられます。
そもそも平成28年度改定で基礎的医薬品が試行的に導入された際の趣旨は、論点にも記載されているとおり、不採算品再算定や最低薬価になる前の薬価を下支えするということであり、そのため、対象となる品目の要件を明確にしてきたわけですけれども、ここをなし崩し的に緩和していくと基礎的医薬品と不採算品再算定との区別が曖昧になる恐れもあるかと思いますので、ここについては慎重な対応が必要と考えます。
その一方で、昨今はセファゾリンのような抗菌薬の安定供給が問題化しております。安定供給上の問題がある品目は抗菌薬に限った問題ではありませんけれども、そうした品目について薬価の面で何らかの対応を検討することも考えられます。ただ、安定供給が困難となっている理由は品目ごとにさまざまであると思いますし、薬価だけでなく製造や流通に関する制度上の問題もあるかと思いますので、不採算品再算定により個別に検討していくべきというように考えます。
あと、もう一つ質問なのですけれども、もし先発品が最も販売額が大きい銘柄だとすると、4ページ目にありますが、後発品が基礎的医薬品に指定されれば、その後発品の薬価は先発品の薬価まで引き上げられるということになるという理解でよろしいのでしょうか。
2点質問をいたしました。よろしくお願いいたします。
○中村部会長
では、薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
今、松本委員から2つ御質問があったかと思います。
まず、現行の基礎的医薬品、不採算品再算定、最低薬価といったルールの網から抜けてしまうような問題が何か現実にあるのかといった御質問についてでございますけれども、事務局としては、現行のルールに関しまして特に差し迫った大きな問題があるというように考えている状況ではございませんが、ただ、確かに委員からも御指摘がございましたとおり、個別の品目で見た場合に、基礎的医薬品の対象となるカテゴリーの医薬品であっても、薬価と市場実勢価格の乖離が非常に大きいといったような場合ですと、結果として適用対象にならないといったケースは現実にあるということは理解しております。
それから、2つ目の御質問でございますけれども、基礎的医薬品に指定された場合に後発品、最も販売額が大きい銘柄に薬価を合わせるということであると、先発品の薬価まで引き上げられるということかという御質問だったかと思います。現状では最も販売額が大きい銘柄に価格を合わせるということでございますので、例えばセファゾリンなどもそのような実態になっていると思いますけれども、品目によりましては後発品の販売額が最も大きくなっているといったケースもあると理解しておりますので、必ずしも先発品の薬価まで引き上がるということではないと理解しております。
また、個別の後発品に関して言いますと、先ほども申し上げたとおり、成分として基礎的医薬品に該当しても、当該品目の乖離率が全品目の平均乖離率を超えるといった場合には対象とならないということで、ルールを運用しているところでございます。
○中村部会長
よろしいですか。
○松本委員
はい。
○中村部会長
では、ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
では、幸野委員、お願いします。
○幸野委員
まず少し確認したいのですが、一つは基礎的医薬品に指定されているもので長期収載品とその後発医薬品が2つとも収載されている例というのはあるのでしょうか。
○中村部会長
では、薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
長期収載品と後発品と両方が対象になっているというものは、もちろんございます。
○中村部会長
では、幸野委員、お願いします。
○幸野委員
その場合は、価格は長期収載品も後発品も同一ということですね。
○田宮薬剤管理官
ルールにございますとおり、最も販売額が大きい銘柄に価格を集約するということになっておりますので、そこで集約しているということでございます。
○中村部会長
では、幸野委員、お願いします。
○幸野委員
そこで意見なのですけれども、確かに基礎的医薬品というのは医療上、本当に真に必要とされ、広く国民に貢献している医薬品ということなので、もし基礎的医薬品の中に長期収載品とその後発医薬品が2つ存在するという必要があるのかというところについて、まずお考えをお聞きしたいと思うのです。
本当に後発医薬品が出ているのであれば、もう長期収載品は基礎的医薬品に指定する必要がないのではないかというように思うのですけれども、なぜ長期収載品が医療上必要と認められているのかというようなところについてお考えをお聞きしたいのと、先ほど松本委員がおっしゃった最大販売額の大きいものに価格が集約されているということで、例えばいろいろさまざまなケースがあるというようなお答えでしたが、これによって価格が引き上げられているものが例えば平成30年ではどれぐらいあったかということについて、もしデータがあればお示しいただきたいのです。
○中村部会長
薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
2つ御質問があったかと思います。
1つ目の長期収載品に後発品が出ている場合に両方が基礎的医薬品の対象となっている場合に、長期収載品は基礎的医薬品に指定する必要がないのではないかという御質問でございますけれども、あくまで基礎的医薬品というのは成分で見たときに医療上必要かどうかという観点で薬価を下支えするということでございまして、もちろん、その場合、医療現場で多く使われており最も供給量の多いものとして、長期収載品の販売額が一番大きいケースもあれば、後発品のほうが大きい場合もあろうかと思います。
そういった特に実際に医療現場でたくさんの数量を供給しているもの、それが仮に不採算品になって安定供給に支障が生じるということになりますと医療現場に非常に大きな影響が出ますので、そういった意味で長期収載品または後発品にかかわらず、販売額の大きいものの薬価に集約するという形で、その安定供給の下支えをしているということでございます。ですので、長期収載品に後発品が出ているからといって、その長期収載品は基礎的医薬品の対象から外れるというような考え方ではないというように理解しております。
もう一つ、30年度改定において実際に基礎的医薬品の対象とすることで薬価が引き上がったものがどれくらいあるのかということについては、済みません、手元にはデータがございませんので、そういうデータがお示しできるかどうかも含めて検討させていただければと思います。
○中村部会長
では、幸野委員、お願いします。
○幸野委員
おっしゃることはわかるのですけれども、もし長期収載品と後発医薬品が同じように基礎的医薬品に指定されていて、価格が同一なのですが、多分、後発医薬品のほうが価格は安くて、それにもかかわらず長期収載品に引っ張られて価格が高くなって同じ基礎的医薬品になっていくというのは少し違うのではないかなと思っていまして、安いほうの価格に合わせて両方を収載するというのならわかるのですが、せっかく患者にとっては後発医薬品という安い価格があるものがあるにもかかわらず、長期収載品に引きずられて価格が高くなったまま、効能・効果が一緒であるにもかかわらず同じ基礎的医薬品として指定するというのは必要あるのかなというように素朴な疑問を感じているので、これは個別に見てということ、安定供給とかというのもあるかと思いますが、そういったものはやはり2つ収載するのではなくて、もうどちらかに統一する。できれば後発医薬品のほうに統一して基礎的医薬品に指定する。長期収載品のほうは、もう市場から撤退いただいてもいいというような考え方をとるべきではないかというように思いますので、その辺も御検討をお願いしたいと思います。
○中村部会長
ほかはございますか。
では、吉森委員、お願いします。
○吉森委員
ありがとうございます。
10ページの論点について、その前の9ページに業界団体から意見が出されておりまして、附帯意見にある基礎的医薬品への対応のあり方を引き続き議論していくということで業界から2つほど意見が出ていることについて、論点を踏まえて意見を申し上げます。
まず、1つ目、不採算品再算定が適用された直後の改定から基礎的医薬品に入れて維持をしてほしいということについては、業界としては現行の特例では25年以上を経過していないと基礎的医薬品の特例として薬価は維持されないため、25年の間に1回不採算定になってもまた不採算定になるケースがあるということを主張されているのだろうと思います。そもそもの基礎的医薬品の対応背景からすれば、臨床上必要性が高い医薬品で、継続的、安定的に市場供給の確保という点から最低薬価になる前の薬価を下支えする役割を踏まえれば、医療上必要な医薬品ということで業界の主張は一定理解できるというようには思います。ただ、論点に、7ページにある通り、不採算算定は25年以上経過したものが多い。
7ページの表を見ましても大体25年未満の成分は非常に少なく、25年未満の成分のうち、再度不採算品再算定の適用に応じている品目があるのかどうか。具体的なデータ等を見て業界の主張通りなのか。それとも、この資料の通り、そういうものは少ないから現状のままでいいのか検証し、議論を深めていく必要があるの考えます。
もう一方、年数に関わる要件の見直しとして25年あるいは後発品収載から10年経過した品目を見直してほしいという意見について、現行の長期収載品のあり方としてZ2、G1、G2というルールもあり、これらを全て基礎的医薬品にするということであるならば、先ほどから議論に出ていますが、後発品等色々な関係があるので、このルールと合わせて、基礎的医薬品並びに長期収載品のあり方についても論点整理して、議論すべきと思います。
○中村部会長
専門委員の方、お願いします。
○平野専門委員
ありがとうございます。
先ほど各委員の先生方から御意見をいただきました全体的なところとして専門委員からコメントさせていただきます。
まず、不採算品再算定が適用されたにもかかわらず、薬価が引き下がってしまって、その部分についてはどう考えるかというような御意見がございましたけれども、現行のルールでございますが、市場実勢価と薬価の乖離が調整幅2%の範囲内におさまらない限り、自動的に薬価が下がる仕組みとなっております。
市場における取引の中では2%以内におさめられる品目というのは極めて限定的でございますので、不採算品再算定を受けた品目でも薬価というのは一定引き下がる状態にはあるいうことを御認識いただきたいと思います。
それから、今回の基礎的医薬品の対象品目でございますが、スライド4コマ目の括弧書きの中の2ポツ目に、先ほど事務局から説明がありましたように対象品目については非常に臨床的な必要性とか有用性が限定されたものという指定がございます。したがいまして、品目につきましては、極めて限定的なものであるということをまず念頭に置いていただき、スライド9コマ目をごらんいただければと思います。
特に下段のG1/G2ルールの適用についての部分でございますけれども、薬価収載から25年を経過する前に基礎的医薬品になり得る品目の薬価が引き下げられる事例というのは、非常に限定的だと私どもは認定しています。こうした品目は医療上の必要性が高いことに加え、安定供給の観点からも先発品の市場実勢価格は考慮されず、後発品の薬価をもとに算定されるG1/G2ルールというのは回避されるべきであると考えております。
○中村部会長
先ほど少し質問があった9ページの採算品の再算定、何か事例とかあるかという御質問の点があったかと思いますけれども、今、何かありますでしょうか。あるいはまた別途出していただけますでしょうか。
○平野専門委員
事務局提出の資料の7ページにございますように、成分数、品目数につきましては、こちらに記載されているものという形で私どもは認識しています。
○中村部会長
吉森委員、よろしいでしょうか。
では、どうぞ。
○吉森委員
7ページの25年以下の成分の不採算品再算定になった中で、さらに再度なっているものはあるのかという質問でしたが、おそらく今データを持ち合わせていないと思いますので、事務局で整理し、これを含めて次に議論すべきというのが先ほどの意見です。
○中村部会長
ありがとうございます。
ほかはいかがですか。
では、松本委員、お願いします。
○松本委員
今の9ページ目の上のところの業界が要望する案でございますけれども、少し理解しにくいのは、この薬価がどんどん下がっていく、2%のことも今ございましたが、それ以上に、やはり価格交渉とかによって市場実勢価格が実際にこういうように動いているということであって、それが結局、結果的にこういった形でかなり下がってしまったので、また戻そうということで何となく理解がしにくいような感じがするのですが、その点について専門委員の御意見をお伺いしたいと思います。
○中村部会長
よろしくお願いします。
では、平野専門委員、お願いします。
○平野専門委員
ありがとうございます。
御質問につきましては、冒頭に申し上げましたように調整幅2%の範囲内で価格が取引されない限りは薬価が下がってしまうということでございますので、基本は2%以内で実勢価が担保されれば維持されるというところです。
○中村部会長
よろしいですか。
では、松本委員、お願いします。
○松本委員
ある意味、売り方次第というところがあるので理解しにくい面もありますけれども、現実としてそういった動きをしているということですね。
○平野専門委員
はい。
○中村部会長
では、幸野委員、お願いします。
○幸野委員
済みません、しつこいようなのですけれども、業界の意見を聞きたいのですが、先ほど言いました長期収載品と後発医薬品、同じものが基礎的医薬品に指定されている。両方とも25年以上たっているという中で、長期収載品の存在価値というのは何なのですかというのをお聞きしたいのです。
○中村部会長
では、上出専門委員、お願いします。
○上出専門委員
ありがとうございます。
基礎的医薬品というのは、もう既に長期収載品、後発医薬品といった概念のない世界であり、基礎的医薬品になったら、もうそういった区別はないというのが現在の制度というように理解をしております。
○中村部会長
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
我々、患者側にとっては、どちらか1つでいいのではないかというように思うのです。
○中村部会長
上出専門委員、お願いします。
○上出専門委員
そこについてはいろいろなお考えがあるかもしれませんけれども、やはり安定供給ですとか、そういったある意味、リスクヘッジ的な部分もあろうかと思いますし、本当に幸野委員がおっしゃるように、後発品と言っても幾つもの会社がつくっていたり、または1社しかなかったりというようなこともあるかもしれませんし、そこは一概に先発品は要らないというようなことはないのではないかと思います。
○中村部会長
ほかはよろしいでしょうか。
では、村井専門委員、お願いします。
○村井専門委員
2つ。不採算品目に当たるかどうかというのは私たち、明示されていませんので、あるいは買われるほうの医療機関側もそのことを知らないというケースも多いので、通常の価格交渉のプロセスの中で下がっていくこともあり得るということで、これは明らかに不採算品再算定を適用された品目であるということが明示されてあれば、いわゆる除外交渉というようなことをやって少し状況が変わってくる可能性はあるのかなというように思っています。
先ほどの幸野委員のお話ですけれども、この点は今、ここで議論されているような商品になってきますと、我々はもうどちら、長期収載品だからとか、後発品だからというような意識は余りしていません。価格的にも物によっては後発品のほうが高いなどというものもありますので、ほとんどそこは区別しても意味がないかなというように思っております。
○中村部会長
では、松本委員、お願いします。
○松本委員
もう一回、少し突っ込んで話をすると、やはり価格交渉については、ある意味、大手調剤とかそういう非常に全体額の大きいところが交渉してかなり価格を下げて、それが全体的に反映をされて、結果としてまた薬価の引き上げが行われるということについては理解しにくい点があるということは強調しておきたいと思います。
○中村部会長
では、吉森委員、お願いします。
○吉森委員
今の価格交渉のお話では、不採算品再算定品に該当するか否かは意識していないというか、明示されておらず分からないということでした。この不採算品再算定の乖離率が非常に大きく、不採算品として25年もたってずっと取引していて、さらにその乖離率が2%以上あるという仕組みはなかなか理解しがたいところがあります。総価取引と単品単価という取引の中にからくりがあるという想像をしてしまいます。そうだとすると、不採算品再算定の品目は安定供給を含めて価格維持をする必要があり、それが基礎的医薬品であるならば、なおさらしっかりと流通の中でも価格交渉の中でも、何かしらの対応の工夫が必要ではないかと感じます。
これは意見で、感想で申しわけないです。
○中村部会長
よろしいでしょうか。
では、その次に、12ページから25ページまでの「再算定」に関して御質問、御意見等ありましたら、お願いいたします。
では、松本委員、お願いします。
○松本委員
まず19ページ目の論点でございますけれども、この1つ目の論点について、下止めの趣旨は、一度の再算定で引き下げ過ぎると企業の業績に与える影響が大きくなることや、効能追加に係る研究開発投資の回収が困難になり得ること、これについてある程度、一定の配慮をしたものだというように理解しておりますが、しかしながら、そういった配慮を超えて再び著しく市場が拡大し、改めて再算定を受けるような場合は薬価の引き下げ幅について検討するなど、何らかの対応が必要かとは思います。したがって、今回の論点で示された提案については賛成いたします。
また、2つ目の論点についても、今後のためにルールを明確にしておくということだと思いますので、こちらも賛成いたします。
もう一つ、25ページ目の論点もよろしいのでしょうか。
○中村部会長
はい。
○松本委員
1つ目の論点につきましては、そこにも書かれているように、既存薬と比較して著しく一日単価が高いケースで、当該薬効における市場規模の急激な拡大が懸念されるにもかかわらず、再算定の対象にならないケースがあって、なおかつ、その品目の治療効果であったり臨床的な位置づけが既存品と比べてもさほど変わらないというようなことがあれば、一般的に考えて、そういった品目は費用対効果が相当に悪いということが明白だと思います。したがって、費用対効果評価専門部会で検証するまでもなく、何らかの対応が必要と考えます。これは薬価上の対応のほかにも最適使用推進ガイドラインや留意事項通知なども含めて検討すべき課題であるというように考えます。
2つ目の論点でございますけれども、四半期再算定と同様に考えることもできますが、13ページ目に書いてあるとおり、四半期ごとの薬価の再算定は医療機関、薬局、卸、製薬企業に極めて大きな負担がかかることから、現行の四半期再算定は一定程度、市場規模の大きなものに限定しております。何もかも四半期再算定の対象とするということではなくて、一定の歯止めも必要なのかなという考えだというように理解しております。
以上です。
○中村部会長
ほかはいかがでしょうか。
では、幸野委員、お願いします。
○幸野委員
19ページの論点については、特に異論はございません。
それから、25ページの1つ目の論点については、やはり何らかの対応が必要なのではないかというように思うのですが、どういう対応をしたらいいのかというのは今の時点では想定されないのですが、例えば薬理作用が多少異なっても市場規模とかが一緒であれば、それを類似薬にするというのも一つの選択肢かなというように思います。
それから、タイミングについても2年に一度ではなくて、これは四半期ということでよろしいのではないかと思います。
以上です。
○中村部会長
ほかはいかがでしょうか。
では、吉森委員、お願いします。
○吉森委員
ありがとうございます。
19ページは皆さんのおっしゃるとおりと私も理解しますし、薬価算定組織の意見はその通りと考えております。
25ページについても理解しますが、先ほどの説明の中でも、著しく一日薬価が高くなり、既存の再算定の要件、100億や10倍という要件に該当しないケースが理論上想定されるということでした。しかしながら、どういうケースなのか具体的に把握、イメージできません。具体的な算定要件を設定するという方向性は分かりますが、その公平性、妥当性が担保されてどのようにやるのか。もう一方で、既存の再算定ルールに合わせて、理屈上、きちんと整合性がとれるようにすべきだと思います。どういうイメージなのか分からないので、具体的なケースが出てからやるのかどうか。それとも、今の時点で、そういうケースを想定して算定ルールをつくろうとしているのか、事務局にお聞きしたいと思います。
○中村部会長
では、薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
今日は、今回は一般論として問題提起させていただきましたので、もう少し議論ができるような形で資料を整理させていただければと思っております。
○中村部会長
では、吉森委員、お願いします。
○吉森委員
わかりました。そのときにはしっかりと、今、申し上げたように公正、妥当性、今のルールとの整合性等も踏まえて議論したいと思っております。
論点の2つ目については、先ほど各委員の先生がおっしゃっていましたが、今、年4回、四半期の機会に諮るというようにしているので、整合性をとるという意味では、それに合致するような対応をとるのが流れとしては妥当ではないかと考えます。
○中村部会長
ほかに、では、松本委員、お願いします。
○松本委員
結局、オプジーボのように一気に市場が拡大したという事例があって、こういったような考えが出てきたのだと思いますけれども、現況のオプジーボを改めて現状を事務局としてどのように捉えているかについて、お聞きしたいと思います。
オプジーボが2014年に悪性黒色腫で承認された当時の市場規模予測は470人でスタートして、2015年には非小細胞性肺がんの適応追加で企業予測が1万5000人に対象患者がふえたということですけれども、そういった意味では、悪性黒色腫から非小細胞性肺がんに主たる効能が変わったからというように思われてきましたが、また最近では2017年に適応追加された胃がんの新たなものがふえてきているということで、この辺について改めてオプジーボの現状というのはどのように捉えているのか。新たな主たる効果・効能はもう胃がんになったというように考えてもいいのかどうか、その辺についてお聞きしたいと思います。
○中村部会長
では、薬剤管理官、お願いいたします。
○田宮薬剤管理官
今、松本委員から御指摘がございましたとおり、オプジーボに関しましては、当初、メラノーマで収載された場合には市場規模は31億円といったような予測でした。その後、非小細胞肺がんの効能追加があって、市場規模も1500億円を超えたといったようなことがあって、緊急の薬価改定も行いました。また必要なルールの整備も行ったということでございまして、その後、幾つか効能追加などもございますけれども、今も主たる効能・効果は非小細胞肺がんという理解でございます。
○松本委員
こういった一気に非常に市場の拡大しているようなものに関しては、やはりある程度定期時に少しまた報告を追加していただけるといいのではないかなと思いますので、よろしくお願いいたします。
○中村部会長
ほかはいかがでしょうか。
では、上出専門委員、お願いします。
○上出専門委員
ありがとうございます。
この25ページ目の論点でございます、効能追加による主たる効能・効果が変更される場合であって、現行の効能変化再算定が適用されないというようなケースでございますけれども、そもそも市場拡大再算定という仕組みはこのような事例に対応するためにあるものというように理解しておりますし、その後、いわゆる特例再算定、そして、さらに2018年度には四半期再算定といった仕組みが導入されまして、既に効能追加等による市場拡大への速やかな対応という意味では対応がなされているというように認識をしております。
そういう意味では、先ほど吉森委員から公平性、妥当性、また現行ルールとの整合性というようなお話もございましたけれども、これ以上のルールの変更は効能追加後の薬価の予見性といったものを著しく低下させてしまうといったリスクもございますし、ひいては効能追加の開発意欲をそいでしまうという結果にもなりかねないというところを危惧しております。本件につきましては、また改めて御議論の機会があるということでございますけれども、ぜひそのようなことも考慮して御議論をいただければというように考えます。
以上でございます。
○中村部会長
ほかはよろしいでしょうか。ありがとうございました。
では、最後に27ページから28ページまでの「2020年度改定における実勢価の反映」に関しまして、御質問、御意見等ありましたら、お願いいたします。
では、松本委員、お願いします。
○松本委員
本来であれば、ことしの10月に改定された薬価について、その実勢価格を調査すべきだということでしょうけれども、それでは、来年度の予算編成には間に合わないということですので、今回は例外的な対応として論点に示された対応で仕方がないものというように理解いたします。
○中村部会長
ほかはいかがでしょうか。
吉森委員、お願いします。
○吉森委員
ありがとうございます。
松本委員と同じですが、本来、10月の消費税引き上げ後の実勢価を反映する方法については、消費税の検討会で、検証方法について研究すべきと総会でも申し上げてきました。しかし、現時点では、予算編成のタイミングや増税直後で調査しても適切な実勢価は把握できない。
実効性から言うとそうだというのは理解できますので、2020年度の薬価の改定については、時限性、実効性から見て、このやり方以外にはないことは理解しております。ただし、今後の薬価改定については、今回の10月の消費税動向実勢価を反映したものを調査していくのは当然でございますが、薬価改定の議論時のみならず、前回、消費税改定の診療報酬への影響等について、両側から意見が出ていた通り、影響検証の体制を早急に構築していただき、消費税改定時の議論時の様々な意見を踏まえて、検証結果報告を適時総会で行っていただくことが大事と思っていますので、ぜひよろしくお願いします。
今回、その研究を行うことに対して論点を出していただいたことについては、認識の共有ができるという意味で、事務局を評価したいと思っております。
○中村部会長
ほかはいかがでしょうか。
では、幸野委員、お願いします。
○幸野委員
まず、お伺いしたいのですけれども、調整幅の2%なのですが、これは何に対する措置なのかというのをお聞きしたいのです。
○中村部会長
では、薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
調整幅につきましては、医薬品の流通安定のために必要な調整幅という形で整理されていると理解しております。
○中村部会長
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
10月に消費税改定で改定されたときも2%調整幅が用いられて、今度、2020年度の改定時も2%、多分上乗せされるという提案なのですが、今までは2年に一度の改定で2%の調整幅が設定されたということなのですが、今回は10月に消費税対応で2%、調整幅が設定されて、さらにその6カ月後の4月にまた調整幅が設定されるというのは今までの考え方と違うのではないかなというように思っていて、これから薬価も毎年改定になるのですけれども、調整幅について2%、2年に一度のときの2%が妥当なのかどうか、これが1年に1回になったときに同じ調整幅2%にするのか。それから、今回、10月にやって、さらに4月にも調整幅をとる必要があるのかということについて問題提起をさせていただきたいと思います。
考え方としては、既に10月の消費税改定時に2%の調整を行っているので、極端な例を言えば4月にはもう2%の調整幅は不要なのではないか。今後、年1回の薬価改定になるに当たっては、2年に一度を前提としていた2%の調整幅をさらに検討していく必要があるのではないかというように思うのですが、その辺についてはいかがでしょうか。
○中村部会長
薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
調整幅というのは改定の都度、市場実勢価格で薬価を決めてしまいますと、医薬品ごとの様々な包装形態によって取引価格が違いますし、また、納入先、販売先によって、薬局、病院、診療所も含めて様々な取引形態、取引価格がある中で、市場実勢価格でそのまま決めてしまうといろいろなところで支障が生じるということから、流通安定のために調整幅を設けているというように理解しております。このため、薬価調査を行って市場実勢価格を把握した都度、必要な調整幅を載せるというのが基本的な考え方かと思っておりますので、幸野委員御指摘のように、今年の10月にやったから次の4月に不要になるというものではないと理解しております。
○中村部会長
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
2020年4月にやるかどうかというのは別にして、今後、薬価も毎年改定になるわけですから、調整幅、過去には15%時代もあったというように聞いていますが、毎年改定に向けて、この調整幅をどれぐらいに設定するかというのは、やはりこれから議論していく必要があるというように思います。
○中村部会長
ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
ほかに御質問等ないようでしたら、本件に係る質疑はこのあたりにしたいと思います。
次に「薬価改定の経緯と薬剤費及び推定乖離率の年次推移について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明のほうをお願いいたします。
では、薬剤管理官、お願いいたします。
○田宮薬剤管理官
資料、薬-2をごらんください。
これは定期的に報告させていただいているものでございますけれども、薬価改定の経緯について、過去から改定率等を記載している資料でございます。
今般、10月1日に消費税引き上げに伴う薬価改定を行いましたので、その薬価改定に関して改定率、薬剤費ベースと医療費ベースでの率を記載しております。
2ページ目でございますけれども、こちらも定期的に御報告させていただいているものでございますが、今般、平成28年度と29年度の国民医療費と薬剤費、それから、薬剤費比率について数字がまとまりましたので御報告するものでございます。
以上でございます。
○中村部会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明に関して、何か御質問等ありましたら、お願いいたします。よろしいでしょうか。
それでは、この議題については、ここまでとさせていただきます。
本日予定された議題は以上になります。
次回の日程につきましては、追ってまた事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の薬価専門部会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

 

 
 

(了)
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