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2019年9月25日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第156回議事録

○日時

令和元年9月25日(水)9:30~10:08
 

 

○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)

○出席者

中村洋部会長 秋山美紀委員 田辺国昭委員 関ふ佐子委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 宮近清文委員
松本吉郎委員 今村聡委員 林正純委員 有澤賢二委員
村井泰介専門委員 平野秀之専門委員 上出厚志専門委員 
<事務局>
濵谷保険局長 横幕審議官 八神審議官 森光医療課長 岡田医療技術評価推進室長
樋口保険医療企画調査室長 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○ 次期薬価制度改革について(その2)

○議事

 


 ○中村部会長
では、全員おそろいのようですので、ただいまより第156回「中央社会保険医療協議会薬価専門部会」を開催いたします。
まずは、本日の委員の出席状況について御報告します。本日は、平川委員が御欠席になります。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
(カメラ退室)
○中村部会長
それでは、議事のほうに入らせていただきます。
本日は、「次期薬価制度改革について(その2)」として、長期収載品の段階的引き下げまでの期間のあり方について検討していきたいと思います。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
では、田宮薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
資料の薬-1をごらんください。本日は、「長期収載品の段階的引下げのまでの期間の在り方」ということで資料を用意させていただいております。
4コマ目をごらんください。まず、平成30年度薬価制度抜本改革におきまして、長期収載品の薬価等の見直しに関して、その概要について以下何枚かのスライドでお示ししております。
長期収載品につきましては、長期収載品依存からより高い創薬力を持つ産業構造に転換を進めるといった観点から、後発品上市後10年までの期間を後発品の置きかえ時期、後発品上市後10年を経過した期間を長期収載品の後発品価格への引き下げ時期と位置づけまして、それぞれの時期に応じて薬価の見直しを行うこととされたところでございます。
あわせまして、後発品の置きかえ時期に実施しておりますZ2という、いわゆる後発品への置きかえが進んでいないものに対する追加的引き下げについても基準を見直したほか、一番下に書いてございますとおり、後発品への置きかえが80%以上進んでいるものをG1、後発品への置きかえが困難なもの、置きかえ率80%未満のものをG2と定義いたしまして、それぞれに応じて薬価の引き下げ制度を導入したところでございます。
具体的には5コマ目をごらんいただきたいと思いますけれども、G1品目につきましては後発品の置きかえが進んでいるということで、最終的には6年かけて薬価を後発品価格とそろえるということでございます。したがいまして、あわせて後発品と長期収載の価格が同価格になるということでございますので、長期収載品企業みずからが後発品企業による増産を前提として市場からの撤退を判断できるというルールも導入したところでございます。
G2につきましては、後発品の置きかえが困難な長期収載品ということでございますので、市場からの退場が困難ということで、後発品との一定の価格差を許容するという考え方に基づきまして、10年かけて長期収載品の価格を後発品の1.5倍の価格まで引き下げていくというルールを導入したところでございます。
6コマ目をごらんいただきたいと思いますが、そのほか後発品価格の2.5倍以下の長期収載に対する補完的な対応をCですとか、G2からG1への移行、早期撤退に関するルール等について定めたところでございます。
7コマ目をごらんいただければと思います。今、申し上げたのが現状の1つ目のポツに記載している事項でございまして、2つ目のポツでございます。この長期収載品の段階的引き下げまでの期間のあり方につきましては、先般の薬価制度抜本改革における今後の検討事項といたしまして、以下の3点の対応状況を踏まえて検討するとされております。具体的には、後発医薬品の置換率の状況、後発医薬品の上市状況、安定供給への対応状況等とされているところでございます。
下のところに、表として30年度改定におけるG1、G2、Cに該当した成分及び品目数を記載してございます。
8コマ目をごらんください。こちらが、G1、G2、Cに関するルールの全体を説明したスキームの図でございます。後発品が上市されますと、下に「置換え時期」と書いてございますとおり、最初の5年間は後発品の置きかえを進めていく。その後の5年間につきましては、後発品の置きかえが進んでいないものについては、追加的引き下げのZ2も適用していくということでございます。そして、この後発品への置きかえ時期が終了した時点で、G1、G2に相当するものにつきましては、後発品の価格の2.5倍まで一気に価格を引き下げて、その後、G1、G2、Cに応じた対応をしていくということでございます。
9コマ目をごらんください。「引下げの下限と円滑実施係数」と書いてございますとおり、この長期収載品の薬価の見直しによりまして、一定の品目・企業については大きな影響を受けることが想定されるために、そういった激変緩和措置的な対応も導入させていただいているところでございます。
10コマ目は、G1に関する撤退スキームをまとめたものでございます。
11コマ目につきましては、薬価制度抜本改革において今後の検討事項とされている部分について枠囲みで示しております。
12コマ目は、長期収載品の考え方について、以前薬価部会にお示しした資料を参考までにおつけしているところでございます。
そして、13コマ目は、後発品医薬品への置きかえ率の推移についてお示ししたものでございます。今般導入しましたG1対象品目とG2対象品目のうち、市場規模の大きな品目につきまして、幾つか後発品への置きかえ率の推移がどうなっているかというものを剤形区分ごとにお示ししたものでございます。
全体として、後発品への置きかえがどんどん進んでいく状況でございますけれども、一部ごらんいただきたいのは、G1対象品目における青のグラフで示されている注射薬Cにつきましては、平成29年度薬価調査の時点から平成30年の薬価調査の時点で置きかえ率が減少していることがうかがえるところでございます。
下の表に全体としての傾向をまとめてございますけれども、全体としては平成29年の薬価調査から平成30年の薬価調査に向けて、G1、G2いずれも後発品への置きかえ率としてはそれぞれ進捗しているという状況ではございます。ただ、一番右のカラムに書いてございますとおり、G1、G2適用後置きかえ率が2%ポイント以上下がった品目というのがG1では5品目、G2では16品目あったということでございます。
続きまして、14コマ目でございます。いわゆるオーソライズド・ジェネリックが上市された場合の後発医薬品の置きかえ率の状況でございます。こちらは、後ほど御紹介しますけれども、先般、薬価算定組織のほうから、オーソライズド・ジェネリックが上市された品目などについては、長期収載品の引き下げ時期について検討の余地があるのではないかといった御指摘がありましたので、今回資料を用意したものでございます。
表をごらんいただければと思いますけれども、これらはいずれも平成26年に初めて後発医薬品が収載された約10品目のその後の後発品の置きかえ率の状況がどうなっているか示したものでございます。
一番右の平成30年の薬価調査時点のカラムをごらんいただきたいと思いますけれども、この時点で後発品収載4年後に後発品への置きかえ率が80%以上になったものが1品目ございまして、括弧書きで示したとおり、この1品目についてはいわゆるオーソライズド・ジェネリック、AGが上市された品目でございました。また、60%以上80%未満になったものは4品目ございますけれども、そのうち3品目がAGが上市された品目でございまして、AGが上市されている品目については、数が少ない中での分析ではございますけれども、後発品への置きかえが進みやすい傾向にあるということがうかがわれる状況になってございます。
15コマ目は、以前、AG、いわゆるオーソライズド・ジェネリックについて説明したときの資料でございます。参考としておつけしてございます。
次に、16コマ目でございます。「後発品の新規収載、流通状況等」ということでございますけれども、まず、後発品の新規収載品目数をグラフとして示しております。G1、G2ルールを適用後、後発品の新規収載というのは平成30年6月、12月、令和元年6月と3回あったわけでございますけれども、これらの傾向から品目数がどうなっているかというような一定の傾向を導き出すのはなかなか難しいかなと思っているところでございます。
また、後発品の供給停止品目数についてでございます。平成30年度は330品目ということで、ほかの年度よりも一見多いようにも見受けられますけれども、実際にはこのうち91品目は製造販売業者の吸収合併に伴う整理ということでございますので、こちらについても、傾向としては何か一定のことが言える状況ではないと考えております。
ちなみに、一番下に書いてございますとおり、2018年末ごろに汎用される抗生物質であるセファゾリンにつきまして、国内企業が原薬を輸入している海外企業における異物混入等が重なりまして、生産に支障が発生して供給低下が生じたという事態が発生しているということを付記しております。
17コマ目でございます。こうした後発品の安定供給を図るための厚労省の取り組みをまとめております。まず、後発品の安定供給につきましては、少なくとも5年間は継続して製造販売すること等の安定供給の要件を規定して、製造販売業者に遵守を要請しているところでございます。
また、薬価収載に先立ちまして、経済課において過去に供給不安事例を報告した企業などを中心に、安定供給に支障を生じさせるおそれがないか、事前にヒアリングにより確認をしております。
また、原薬の調達経路を複数化することを推奨しておりまして、下に表がございますけれども、平成25年度の28.6%から29年度の42.7%まで原薬の調達経路の複数化ができている後発品の割合は上がっているという状況でございます。
18コマ目でございます。後発品への置きかえが進まない先発品の薬価の追加引き下げルールであるZ2についてでございます。こちらにつきましては、後発品の使用割合に関する政府目標の推移、変更などを踏まえて、左に表がございますけれども、平成26年、28年、30年度改定のいずれにおいても、その都度、置きかえ率の基準、水準等を変更してきているという状況でございます。
最後に、20コマ目をごらんいただければと思います。薬価算定組織からの意見を紹介しておりますけれども、薬価算定組織からは、後発品への置きかえが進んでいる事例などにおいては、先発メーカーの撤退の意向も踏まえ、段階的引き下げまでの期間を短縮できることとしてはどうかという御意見。それから、長期収載品と有効成分、原薬、添加物及び製法が同一の後発品、長期収載品と同一の製造所に製造委託をしている後発品を想定しているということでございますけれども、こうしたものが収載された場合には、Z2及びG1、G2の適用までの期間を短縮してはどうかという御意見をいただいているところでございます。
したがいまして、論点といたしましては、まず、我が国の製薬産業の向上を長期収載品依存から、より高い創薬力を持つものへと転換する観点。それから、後発品置きかえ率の状況等を踏まえて、長期収載への段階的引き下げまでの期間についてどう考えるかというのが1点目。
それから、後発品置きかえ時期に実施しているZ2及びCの置きかえ率の水準につきまして、最近の後発品への置きかえ率を踏まえてどう考えるかということを2点目として用意させていただいております。
御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○中村部会長
ありがとうございました。
ただいまの説明を踏まえ、協議を行いたいと思います。御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。
では、松本委員、お願いします。
○松本委員
ありがとうございます。
では、20ページ目の論点に沿って発言させていただきます。
1つ目の論点についてですが、長期収載品と後発品の薬価差がどの程度まで縮まると置きかえが進まなくなるのかといったことや、置きかえが進まない品目の特徴などを詳しく見る必要がありますけれども、G1、G2が導入されてから間もないこともあって、現時点では知見が少ないので、全ての長期収載品についてはZ2やG1、G2の適用開始時期を現行よりも早めるのがよいかどうかは慎重に見きわめる必要があると思います。事務局には引き続き検討するようお願いいたします。他方、薬価算定組織の意見どおり、後発品への置きかえが進んでいる品目や、オーソライズド・ジェネリックに相当する後発品が上市されている場合は、Z2が適用されるまでの期間を短縮することなどを検討すべきと考えます。
2つ目の論点であるZ2における後発品置きかえ率の基準につきましては、これまでも後発品の使用割合の状況に応じて、改定の都度適切な水準に設定してきていると理解しております。したがって、今回の改定においても、薬価調査における直近の後発品の使用割合を踏まえて、より適切な基準を定める必要があると考えます。後発品を製造販売する会社が1社しかないという場合もありますので、後発品への置きかえではなく、長期収載品と後発品がともに安定供給に寄与する場合があります。置きかえ率の水準そのものは丁寧な検討が必要と考えます。
とりあえず以上です。
○中村部会長
ほかはよろしいでしょうか。
では、吉森委員、お願いします。
○吉森委員
ありがとうございます。
同じく20ページの論点について、まず1つ目、後発品の置きかえ率が80%以上と高い品目のG1ルールの収載品は、一般的には製品の有効性、安全性などの有意差が同等であれば、価格競争力の差においてメーカーの経営的戦略判断が働くのは自然な考えでございますし、価格がもし同等になれば市場撤退もあるというのも自然だと思います。
そういう意味では、長期収載品の薬価が引き下げられて後発品に近づけば、13ページの注射薬のように置きかえ率が減少するというのは、長期収載の先発品が価格競争力よりは製品信頼性が有意になり、置きかえ率が上げ止まるというか、下がるというのは当然考えられることだと思っております。
しかし、G1ルールにおいての段階的引き下げ期間設置そのものの趣旨というのは、後発品メーカーの増産準備に必要な準備期間として設定されたと理解しておりますので、近年の後発品メーカーの製造体制、製品競争力強化という現状を踏まえますと、置きかえ率が80%以上の高い品目については、段階的引き下げまでの期間は当然短縮してもいいのではないかと考えます。薬価専門部会の提言どおりであると思っています。
また、AGについて、AGメーカーは一般的な後発品より早く販売できるわけですし、有効成分のみならず、原薬、添加、製法など、先発品と同等であるということ、かつ、先発品メーカーの許諾を受けて製造、販売するというようなことから考えれば、先発品メーカーへの経営的配慮、AGメーカーへの製造準備への配慮は特段の必要性はないのかなと思います。したがって、Z2及びG1、G2の適用までの期間は当然短縮していいのではないかと考えています。
一方で、置きかえの進んでいないG2ルールの品目については、先ほど松本委員からもございましたが、長期収載品に依存しないビジネスモデルの転換を目指し見直しをした2018年度の制度改定を踏まえますと、先発品及び後発品の各企業の動向、影響をしっかりと分析した上で、慎重に検討すべきではないかと考えます。
ただし、後発品収載後10年という置きかえ期間、薬価収載後5年としているZ2のあり方、こういう考え方は、長期収載品に依存しない、より高い創薬力を持つビジネスモデルへの転換という観点、また、現在スピード感が求められている世界水準で競争しなければならない環境にある先発品企業及び後発品企業の動向を踏まえますと、この10年、5年というあり方そのものを見直す議論をしてもよいのではないかとも思っております。
以上、意見です。
○中村部会長
ほかはいかがでしょうか。
では、幸野委員、お願いします。
○幸野委員
似たような意見もあるのですが、ちょっと違った部分もありますので、まずお聞きしたいのは、Z2になるまで5年、それから、Z2を始めてから5年。この5年という根拠を過去の経緯から教えていただきたいです。
○中村部会長
では、薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
前回の薬価制度抜本改革の議論の中で、まず最初に、後発品上市後10年までの期間を後発品への置きかえ時期という形で位置づけると。その後の後発品10年を長期収載品の後発品価格への引き下げ時期に位置づけるという形で議論されたと承知しております。
その以前のZ2ルールの導入のときには、考え方としては、基本的には後発品が上市されたら後発品への置きかえの促進策を診療報酬上の対応も含めてどんどん推進してきたという中で、ただ、一定のところまで進む品目もあれば、なかなか進まない品目もあるという中で、後発品への置きかえが進んでいないものについて追加で引き下げをするという形で、最初5年間の状況を見た上でZ2のルールを適用するということが平成26年度改定のときに導入されたと理解しておりますので、それを踏まえて前回Z2までの5年間、それから、Z2を5年間やった後、10年経過した後に長期収載品を後発品の価格に近づけていくという期間と位置づけたものと理解しております。
○中村部会長
では、幸野委員、お願いします。
○幸野委員
きのう、私もZ2ができたときの資料を見てみたのですけれども、当時目標にしていたのは、平成30年3月までに旧指標で60%にするということを25年に議論していまして、多分、そのときはあと5年で60%にもっていくということで、5年たっても置きかわらないものはZ2に移行するということが議論されたというような資料があったので、そうだと思うのですが、見てみると、今は80%目標時代になっているので、5年という昔の根拠は意味をなしていないと思っていますので、この5年というのは、5年ありきで考えるのではなくて、早期に置きかえ率が高まったものについては、G1、G2の強制的引き下げに入っていくべきだと思います。
ということで、14ページにありますように、後発品収載後3年で80%となっているものについては、待つことなく即G1、G2に入っていくことを検討していくべきだと思います。
それで、早期になっているものを見てみると、AGが多いのですが、AGで置きかえ率が高まっているものについては、早期にG1、G2に移行するべきだという提案が薬価算定組織からなされているのですが、AGについてはこういうことではなくて、その権利を譲り渡すと。特許を売ったり、子会社に完全移管させるというふうに放棄しているわけなので、AGが上市された時点で猶予なく、例えば薬価を同じにするといったことを考えていくべきではないかと思います。
AGが出ているのに、先発品が異なった価格でまだ何年も存在しているというのは理屈上おかしくて、安定供給というものがありますので、例えば15ページにありますように、別の会社に契約関係を売って、製造所が異なる場合には安定供給までに時間がかかるので、その間は異なった価格で先発品が存在してもいいと思うのですが、完全子会社の同じラインでAGをつくる場合には、先発品の役目はその時点で終わっているので、価格に差があってはいけないと思うので、期間を短縮するどころか、AGが出た段階で先発品は価格を同一にすることも考えていくべきではないかと思います。
ということで、薬価算定組織の意見はあるのですけれども、これよりももっとスピード感を持って、AGが出た時点で先発品の価格をそろえる、あるいは撤退していただくことを考えていくべきではないかと思います。
もう一つは、2点目の論点のCなのですが、7ページを見てみますと、Cの品目が圧倒的に多いというデータが出ていて、しかも、Cの中でも40%未満のものが特に多いという現状がある。これは我が国の長期収載品が多く残っているということをあらわしていると思うのですが、では、Cについてどういう取り扱いがなされているかというと、G2は結構8%から9%で2年ごとに落としていっている。CについてはZ2を適用するということで、1.5%から2%ぐらいで落ちていくということなのですが、G2とCの違いは何かというと、価格が2.5倍以上か未満かというだけだと思うのですが、その違いでCの価格の下げ幅をZ2のように緩やかにするのが果たして妥当なのかというところについては検討する余地があると思っています。G2とCの違いは、価格の違いだけであるにもかかわらず、価格の落とし幅はかなり違うということで、CもできればG2と同じようなスピード感で対応していくべきではないかと思います。
極端な話を言うと、CもG2と同じような対応でいいのではないかと思いますが、この辺についてはいかがでしょうか。
○中村部会長
では、薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
今、御質問いただいた件でございますけれども、後発品の価格の2.5倍まで下げるというところから始まるのがG2でございます。そして、Cにつきましては、もともとこのG1、G2ルールというのは長期収載品の価格を後発品の価格に近づけていくということでございますので、そういう趣旨からすると、2.5倍以下の範囲でおさまっているものがCということになります。
ただ、そうは言っても、CについてもZ2を適用して引き下げていくということでございまして、かつ、そういう意味では、G2のルールは10年かけて1.5倍まで段階的に引き下げていくわけでございますけれども、Cに該当するものについてはZ2を適用していく中で、例えば5コマ目をごらんいただければと思います。4年目に後発品価格の比として2.1倍というのがございます。仮にCの品目の引き下げが緩やかでこの2.1倍を超えたということになると、そこはG2の2.1倍というのがキャップとしてかかりますので、そういう意味では、ルールとしては、Cのほうが甘いということではなくて、たまたまCの最初の価格がG2の2.5倍とかよりももっと低いところにあるのでZ2のルールを適用しているということでございますので、あくまでG2ルールの補完という意味でこのCを適用しているということでございます。ですから、Cに該当するものがG2に比べて引き下げの率が甘いとかということではないと考えているところでございます。
あわせて、先ほど幸野委員から幾つか御指摘がありましたので、補足説明をさせていただければと思います。
まず、Z2ルールについて、平成26年度改定のときに、5年間以内に60%以内を目標ということで5年間ということでやったのではないかという御指摘でございました。もしZ2の置きかえ率の水準が60%ということを基準にして、ずっとその基準を維持しているのであれば、御指摘のとおり5年間の猶予を持つ、待つ必要はないとは思いますが、実際には28年度改定、それから30年度改定とともに、後発品の使用割合の政府目標とともに、Z2の基準の後発品の置きかえ率の水準というのは引き上げてきておりますので、そういう意味では、幸野委員の指摘のように5年を待たずにすぐ適用するということではなくて、逆に基準を引き上げることで、5年間は5年間でございますけれども、これまで対応してきたと理解しているところでございます。
もう一点でございますけれども、オーソライズド・ジェネリックが上市された際に、長期収載品の価格をオーソライズド・ジェネリックの価格まで引き下げてはどうかという御指摘がございましたが、この点について恐らく検討する必要があると思いますのは、オーソライズド・ジェネリックの価格まで長期収載品が引き下がるというルールができた場合に、逆に今度はオーソライズド・ジェネリックを先発品企業が許諾して上市するような行動をとるのかどうかということが懸念されるところでございます。逆にそういうふうになりますと、むしろオーソライズド・ジェネリックを許諾して、後発品の製造・販売承認を認めるということが生まれなくなることも考えられますので、その辺も含めて議論が必要かなと考えております。
○中村部会長
よろしいでしょうか。
ほかはいかがでしょうか。
では、上出専門委員、お願いします。
○上出専門委員
ありがとうございます。
今回、長期収載品の段階的引き下げまでの期間につきましていろいろ御意見がございましたけれども、先ほど松本先生から御指摘もございましたように、この制度を導入してまだ1年半ということで、その影響を評価するための知見はまだ少ない状況と理解しております。
その中で、今回の資料で幾つかの状況を示すデータをお示しいただきましたけれども、13コマ目のスライドにもございますように、トータルで見ますとG1、G2の導入後も置きかえ率は順調に上がっている。ただ一方で、置きかえ率が下がった品目もあるということでございます。置きかえ率が下がった理由というのは今後精査が必要かと思いますけれども、先発品と後発品の価格差が縮まったということも影響している可能性もございます。
そのような中で、この段階で引き下げまでの期間を検討するに当たりましては、今回、これも議論がございましたけれども、Z2、Cといったものの基準も含めて、今後後発品への置きかえの妨げにならないようなルール変更にしていくという視点での検討が非常に重要かと考えております。
また、AGにつきましてもいろいろ御議論がございましたけれども、AGによって後発品への置きかえが促進されたという側面もあろうかと思います。AGは薬価制度上明確な定義がないものでございますので、このAGという切り口で何か制度を変えていくということについて、本当に適切かどうかというところにつきましても、ぜひ慎重な御議論をいただければと考えております。
また、本日御議論はございませんでしたけれども、このG1、G2は、一部の企業もしくは品目については非常に大きな影響が発生するわけでございまして、本日のスライド9コマ目にもございます円滑実施措置というものがこの30年度改定では取り入れられております。
私どもの分析では、この円滑実施措置の対象になった品目は恐らく40品目ぐらいあっただろうと見ております。そのうちの10品目程度は、この措置がなければ薬価が70%ぐらい下がってしまっているという状況でございますので、今後もこういったことが発生する可能性がございますので、この円滑実施措置につきましては、次回の改定でも取り入れていただきたいと考えております。
以上でございます。
○中村部会長
ほかはよろしいでしょうか。
では、幸野委員、お願いします。
○幸野委員
AGについてちょっとこだわるのですが、14ページの表で、平成29年度、後発品医薬品収載3年後にAGが80%以上を占めているのですが、この先発品をどうしていくのかというところなのですけれども、これはG1、G2の適用を早めるにしても、80%以上のAGが出ている先発品も6年間ぐらいは長期収載品として残るという理解でよろしいのですか。
○中村部会長
では、薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
長期収載品が市場から撤退するかどうかというところは、こういった後発品への置きかえ状況を踏まえて、その長期収載品の企業が判断するところかとは思います。そういう意味では、この途中の段階で長期収載品のメーカーが撤退するということもあり得ると思いますし、あるいは実際のG1ルールが適用されてから、その段階で後発品の供給体制なども踏まえて撤退するということもあろうかと思いますので、一概にどういう形になるかというのは申し上げることは難しいかなと思います。
○中村部会長
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
例えば完全子会社などにラインを移した場合に、先発品は役目を終えていると思うのですが、撤退するのが一番いいと思うのですけれども、価格に差をつけて残すというルールというのは果たしてあっていいのかなと思うのですが、いかがでしょうか。
○中村部会長
薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
そこのところは、もちろん医療現場の現場サイドからのニーズといったこととの関係も出てくると思いますので、一律に薬価制度上のルールだけでこうあるべきということは議論できないところもあろうかと思います。ただ、幸野委員御指摘のところでいうと、例えば当該医薬製品分の薬剤費という観点でいくと、置きかえが進んでいればその当該医薬品の薬剤費としては抑制されているということは言えると思いますので、その中で、あとは医療現場とのニーズの中で、そういう品目をどういうふうに扱うのかと。長期収載品の企業自身もどういうふうに考えるかということになろうかとは思っております。
○中村部会長
ほかはいかがでしょうか。
ありがとうございました。ほかに御質問等ないようでしたら、本件に係る質疑はこのあたりにしたいと思います。
本日予定された議題は以上になります。
次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の薬価専門部会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。
○岡田医療技術評価推進室長
事務局でございます。
総会は準備が整い次第開催とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 
 

 
 

(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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