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2024年3月11日 第2回健康日本21(第三次)推進専門委員会(議事録)

○日時

令和6年3月11日(月) 15:00~17:00

○場所

TKP東京駅日本橋ホール6C(オンライン開催)

○議題

 <審議事項>

(1)スマート・ライフ・プロジェクト等のあり方について
(2)個別領域の取組について:身体活動・運動、休養・睡眠
(3)その他

○議事

1 開会
【加藤補佐】  定刻になりましたので、ただいまから、「第2回健康日本21(第三次)推進専門委員会」を開催いたします。本日、議事に入るまでの間、議事進行役を務めさせていただきます、健康・生活衛生局健康課の加藤と申します。
委員の皆様には、御多忙の折御参加いただき、御礼申し上げます。本日は、委員の皆様にはオンラインにて御参加いただいております。なお、会議の模様をYouTubeによるライブ配信にて公開しておりますので、御承知おきください。
本日の委員の先生方の出席状況ですが、山下委員から遅れて御出席の御連絡をいただいております。また、「議題2 個別領域の取組について」の議論においては、身体活動・運動領域4名、休養・睡眠領域3名の参考人にも議論に参加いただく予定ですので、後ほど御紹介いたします。
 
・資料の確認
【加藤補佐】  次に、資料の確認をさせていただきます。事前にお送りしているファイルに不足がないか、御確認ください。座席表、委員名簿、議事次第のほかに、資料1「スマート・ライフ・プロジェクトの見直しについて(案)」、資料2「健康日本21(第三次)推進の方向性(イメージ)(身体活動・運動、休養・睡眠領域)」、資料3-1「身体活動・運動領域資料」、資料3-2「アクティブガイド2023(イメージ)」、資料4-1「休養・睡眠領域資料」、資料4-2「ぐっすりガイド(イメージ)」、及び、参考資料1~8までが本日の配布資料になります。不備がございましたら事務局まで御連絡ください。
 
・WEB参加に係る注意点
【加藤補佐】  議事に入る前に、オンライン参加にあたっての留意事項を申し上げます。ビデオカメラはオンにしていただき、御発言時以外はマイクをミュートにしてください。御発言されたい場合には、オンライン会議システムで挙手ボタンを押していただくか、画面上で見えるように挙手をしていただき、委員長からの指名後、御発言ください。御発言時にはマイクをオンにしていただき、お名前をおっしゃった上で御発言ください。御発言後は挙手ボタンを下ろし、マイクを再度ミュートにしてください。以上、どうぞよろしくお願いいたします。それでは、カメラ撮影はここまでとさせていただきます。
以後の進行は、辻委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
2 議題
(1)スマート・ライフ・プロジェクト等のあり方について
【辻委員長】  それでは、どうぞよろしくお願いいたします。では、早速、本日の議題に入りたいと思います。議題(1)「スマート・ライフ・プロジェクト等のあり方について」、事務局から御説明をお願いします。なお、資料は事前にお送りしていますので、議論の時間を十分取るため説明は簡略にお願いいたします。
【田邉室長】  では、資料1を御覧ください。「スマート・ライフ・プロジェクトの見直しについて」でございます。こちらは、これまでに先生方から策定専門委員会等を通じていただいた御意見等をまとめたイメージでございます。
おめくりいただきまして、最初のページはスマート・ライフ・プロジェクトの現状でございます。平成20年から「健康日本21」の傘下事業として開始いたしました。その後、平成23年から普及・発展ということで、「スマート・ライフ・プロジェクト(SLP)」に事業を展開したという経緯でございます。「適度な運動」、「適切な食生活」、「禁煙」、「健診・検診の受診」の4つのテーマを中心に、具体な取組を進めているという状況でございます。また、4ポツ目、こちらにつきましてアワード等をさせていただいておりまして、「健康寿命をのばそう!アワード」で、優れた取組等について表彰させていただいてございます。併せて、好事例の収集・横展開等々も行っている状況でございます。また、普及啓発という観点では、ホームページ等を活用いたしまして、健康寿命延伸に向けた取組についての普及啓発を行ってございます。参画団体数でございますが、こちらのグラフで御覧いただけますように、徐々に伸びているという状況になってございます。
おめくりいただきまして、次のページは参考でございます。スマート・ライフ・プロジェクトの全体像を示してございます。取組といたしましては、民間企業・団体・自治体等への参加の呼びかけ、あるいは、リーフレットやポスターを使った普及啓発、また、大臣表彰であります「健康寿命をのばそう!アワード」等々による表彰、それから、「健康寿命をのばそう!サロン」ということで、団体での交流、好事例の横展開を進めているという状況でございます。
おめくりいただきまして、次のページからが、健康日本21(第三次)におきますスマート・ライフ・プロジェクトの進め方(案)ということで、先生方に御指導いただきたい内容になってございます。まず1点目でございますが、「スマート・ライフ・プロジェクトのテーマの設定について」でございます。先ほど申しましたように、これまで4つの主要なテーマ、適度な運動、食生活、禁煙、健診・検診の受診を中心に取組を進めてまいったという経緯がございます。この4つのテーマは非常に大事な基本的な健康づくりのテーマであると考えておりますので、こちらの4つについては引き続き継続してはどうかと、事務局では考えております。
一方で、この4つのテーマに加えまして、さらに重点的に取り組む課題等々についてはどう考えるかということについて、先生方に御議論いただければというイメージでございます。健康日本21(第三次)におきましても、この4つ以外にも、例えば睡眠でありますとか、飲酒でありますとか、あるいは環境整備、様々なテーマの目標を設定した上で取組を進めていくということになってございます。そういう観点を鑑みていただきまして、今後の進め方について先生方の御意見を伺えればと考えてございます。
2点目でございます。1点目のテーマとも若干関連する部分でございますけれども、普及啓発、好事例の横展開ということで、「健康寿命をのばそう!アワード」をスマート・ライフ・プロジェクトの中で進めているのですが、このアワードにおける募集テーマについてどのように考えていくかということで、先ほど申しましたように、健康日本21(第三次)におきましては様々な健康づくりのための目標等々を設定してございます。そういう領域についても好事例を今後どう集めていくかということについて、表彰のあり方も含めて、先生方に御議論いただければという考えております。また、下のグラフを見ていただきますと、民間企業等につきましては応募件数が一定数あるのですけれども、特に地方自治体については少し件数が少ないですので、こういう点も含めて、地方の良い取組、素晴らしい取組を何とか集めていきたいということで、応募数も含めてどのように増やしていくかということも重要な観点ではないかと考えてございます。
そういう意味で、先ほどの4つのテーマに加えて、今後追加で表彰等を行うテーマについても募集してはどうかということを事務局では考えてございます。また、そういう意味では、将来の応募テーマ、来年はこういうテーマで公募します、再来年はこういうテーマでの取組を表彰しますということをあらかじめ公表させていただきまして、応募のための準備期間、時間的余裕がしっかり取れるように設けてはどうかと考えてございます。また、都道府県の推薦枠というものを考えてはどうかということで、特に管内の市町村等の素晴らしい取組についても都道府県でしっかりと見ていただいて、良いものについては「応募してはどうか」というように、市町村に限らず民間企業も含めまして、そういう管内の取組について推薦するような枠を設けてはどうかということについても、先生方の御意見を頂ければと考えてございます。
おめくりいただきまして、3点目ございます。「参画団体の継続的な活動の維持と活動状況の把握について」でございます。健康日本21(第三次)では、「参画し活動している企業・団体数」を目標として設定してございまして、この参画団体数の把握が必要になってございます。第二次までは累積の団体数となってございましたが、第三次からは活動している団体数という形でございますので、今の活動状況について把握する必要があると考えております。その新たな方法としまして、活動団体の方の事務負担等々を鑑み、あまり難しいことはお願いしにくいので、年に1回の登録状況の更新をまずしてはどうかと考えてございます。当然、担当の方等々についても異動があると思いますので、年に1回、担当の方の登録情報等についての更新をお願いする。その際に、次のページにいっていただきまして、活動状況についての報告をお願いしてはどうかというイメージでございます。こちらはチェックボックス形式にいたしまして、今年度の主な取組ということで、どういう活動をしたかということをチェックしていただいて、厚生労働省のほうに送っていただき、直近の活動状況についての御報告を頂きまして、参画団体の活動状況を把握するという方向にしてはどうかというイメージでございます。
お戻りいただきまして、それと同時に、活動団体数の増加ということもございますので、新規団体の参入を促すという点についても、先生方から御指導いただければと考えてございます。
4点目、「広報の進め方について」ということで、こちらはなかなか難しいのですけれども、国民に浸透しやすい、情報が届くということで、情報発信のあり方についてどういう方向性がいいかということが大事な論点かと考えてございます。特に対象が企業、団体、自治体、あるいは国民ということで、当然違う媒体等々についての活用についても検討が必要と思いますので、そういう点も鑑みて、どういう効果的、戦略的な広報のあり方がいいのかなどについて、特に第三次に向けての活動ということで、先生方の御指導を頂ければというところでございます。
資料1につきまして、事務局からの御説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
 
〈質疑応答〉
・スマート・ライフ・プロジェクトのテーマ、アワードについて
【辻委員長】  ありがとうございました。それでは、議論させていただきたいのですが、今回、2つに時間を分けて議論いただきたいと思います。まず最初に、スマート・ライフ・プロジェクトのテーマ、アワードについて御議論いただきたいと思います。基本テーマ、あるいは、追加テーマということが先ほど事務局からありましたけれども、例えばアワードの応募方法等につきまして、委員の皆様から御意見を頂きたいと思います。どうぞよろしくお願いします。では、津下委員から、お願いします。
【津下委員】  このアワード、スマート・ライフ・プロジェクトについては、この推進やアワードの審査などに関わらせていただいて、今まで、この事業が受け身ではなく、積極的にそれぞれのいい取組を発表するという動きにつながってきたのではないかと思っています。そういう点では、このテーマ、そして特に運動、食生活、禁煙、健診・検診という基本については、多くの自治体、保険者、企業が取り組まれる内容ですので、これについて引き続き良い取組を収集していく。また、このアワードについてもそうなのですけれども、結果を見ていく。その事業評価をして効果を見ていくということもありますので、長期的な効果を見られるという意味でも、このテーマを基本的に押さえておくということには賛同いたします。
また、新しいテーマですが、時々そういうテーマが出てくるのですけれども、なかなか体系立てた評価がしにくいとか、きちんとどういうものを評価すればいいのかということが定まらないということもありますので、重点的な課題を取り上げていただくというのは重要なのではないかと思います。その中で、この動きをする、または、アワードに関しても、申請するまでにはどうしても時間がかかるので、3年とか5年とか、そういうスパンで準備を進めていくとか、来年のテーマが何かということも十分に理解した上で、書類の作成やまとめをしていくなどのことも必要なので、あらかじめ目標設定をできるような形で進められるということは、非常に重要かと思っています。
もう1つ、このアワードに申請が、特にコロナ禍以降、自治体からの手挙げが非常に寂しくなってきている状況で、忙しいし、いろいろな業務負担もあるのですけとれども、一番大きな理由は、周りからの推薦といいますか、「この事業はすごいよね」ということを、当たり前として思っているようなことが、実は長く続けていって非常に価値のあるものが埋もれているということがありますので、都道府県等の推薦枠については、より良い取組、そして、地道な取組なのだけれども住民に十分に浸透している、関係者の連携につながっている、そのようなものを拾い上げるということは重要かと思いますので、推薦枠についても御検討いただく方向でよろしいのではないかと思います。
【辻委員長】  ありがとうございます。では、横山委員、お願いします。
【横山委員】  国立保健医療科学院の横山です。アワードの応募数が、特に自治体、市町村からが少ないということで、都道府県の推薦枠を設けるというのは賛成です。ただ、都道府県からは市町村だけではなくて、企業の推薦もあるかとは思うのですが、ただ、自治体としての都道府県が民間企業を推薦するのは、少し推薦しにくいという側面もあるのではないかという気がいたします。ですので、これまで中小企業からどのくらい応募があったかは把握してないのですけれども、もし少ないようであれば、協会けんぽの支部から中小企業の推薦をする枠等を設けていただくとか、あるいは県全体であれば、地域・職域連携推進関係者会議としての推薦枠を設けるとか、民間企業、特に中小企業を推薦するときの工夫ができたほうがいいように思います。
それから、アワードも企業でひとくくりになっているのですが、中小企業と大企業でかなり体力も違いますので、例えば大企業枠と中小企業枠に分けてアワードを設定するとか、そんなことも検討してもいいのではないかと思いました。
【辻委員長】  ありがとうございます。では、山縣委員、お願いします。
【山縣委員】  スマート・ライフ・プロジェクトのテーマの設定について、この4つは本当に重要だと思うのですが、加えて、日本人の睡眠の時間が世界的に見ても少ないということで、そういったものも考えてもいいのではないかと思いました。
あと、設定としては少し難しいとは思うのですが、今回の第三次の健康日本21としては、自然に健康になれるまちづくりというのが1つの大きなキーワードなので、全体としてどういうことをしているのかといったようなことも、テーマにあるといいのではないかと。その中には、ライフコースアプローチのような、生涯を通じた健康支援を、市町村、自治体、もしくは企業などでどのようにやっているのかということも、あってもいいのではないかと思いました。
【辻委員長】  ありがとうございます。では、古井委員、お願いします。
【古井委員】  私は2番目の横展開のところでコメントなのですけれども、私も、以前スマート・ライフ・プロジェクトの委員をさせていただいた時から、自治体の負担というのが、我々が思っている以上に非常に大きいのではないかと思っています。これは定常業務と別に、特に人事評価があるわけではなく、補助金が特に付くわけでもないので、そういった意味では、なるべく周知・普及はすごく大事なのですが、簡便化をしていく方向にならざるを得ないかなと思っています。
ただ、一方で、横展開をする場合には、やはり、ある程度知見がないとなかなか参考事例になりませんので、そういう意味では、広く薄く集めるだけでは横展開になりません。そうすると、ある程度絞って深く、例えば自治体自身が抽出するのは難しいとすると、事務局など、どなたかがしっかりとヒアリングなどをして、データも集めて、1つのレポートにしていくとか、それがもしかすると推薦枠なのかもしれないですが、普及で広くする部分と、少ししっかりと、毎年度こことここはしっかりと聞き出すとか、そういった組み合わせも必要だと思います。
津下委員がおっしゃっていたことで、私もすごく賛同するのは、毎年毎年全ての分野でというのは非常に難しいので、3年とか4年の単位で、例えば先ほどおっしゃった睡眠とか食事とか、そういう単位の中で捉えていくと、事例が集まりやすいというか、応募もしやすいのではないかと思いました。
【辻委員長】  ありがとうございます。それでは、長津委員、お願いします。
【長津委員】  今、山縣委員がおっしゃっていた睡眠というのは、私もかなり強く同意するところです。睡眠は健康を保つためには非常に必要不可欠なところであるので、その睡眠の質と量ということに関しては、やはり改善というか、いいレベルで保つというのが大事。ところが、年代によってもそのスタイルは様々ですので、年齢層に応じたもので評価をしていくというのが必要なのではないかと思っています。
それと、なかなか医療にアクセスが乏しい、国民の中でも例えば若い女性の健康です。女性の健康を支援するというのは非常に重要なところだと思っています。まして若い世代から健康を意識していただくというのは、何十年か先、20年、40年先の日本国民の健康が強く左右されるところであると思いますので、その辺りにも着目したテーマがあるとよろしいかと思っております。今のところ以上でございます。
【辻委員長】  ありがとうございます。では、中野委員、お願いします。
【中野委員】  前回欠席しましたので、少し的違いの発言になったらお許しください。
まず、テーマについてですけれども、4つのテーマが非常に重要で、時間をかけてフォローしていくべき課題だというところは私も同意しますが、一方で、企業さんや自治体によっては、テーマをどこかに重点化するのではなく、広く健康に関してという形で活動をされているケースも多いと思っております。その場合、テーマをそのどこかに寄せて、もう一回その活動を再整理し直すという御負担があったりとか、出しにくいという状況があるのではないかということも想像できますので、先ほど山縣委員もおっしゃられたと思うのですけれども、少し、全体的に健康に取り組んでいるというような方も、何らか参画しやすいようなフレームが1個あるとよろしいのではないかというところに賛同いたします。
もう1つ、取り組みたいのだけれどもなかなか手が出ないとか、行動に移せないというところもたくさんあるかと思うのですけれども、アワードでこういう良い事例がありますというものを示して、それを見て今の取組を喚起するということも一定意味があると思うのですが、私どもの事業の中でも業務効率化のアワードがありまして、こちらはいい事例を示すとともに、いいことに取り組みたいけれども自分たちではどのように一歩を踏み出していいかわからないというところにマッチングをして、いい事例の取組をしているところと、やりたいところをマッチングして、最初のところをお手伝いしましょうというような事業も一緒に行っていて、相応の成果が挙がっていると思います。では、その財源はどうするのかとか、お互いの役割分担はどうするのかとか、いろいろ難しい課題はあるかと思うのですが、アワードとして表彰する横で少しそういう取組もあると、また違う動きも出てくるのではないかと思い、参考までに御発言申し上げました。
【辻委員長】  ありがとうございます。今までの御議論としては、この運動、食生活、禁煙、健診・検診受診、この4つは基本テーマとして続けていただいた上で、さらに何か追加のテーマを考えてもいいのではないかということで、今のところ、確か睡眠とか、女性の健康とか、ライフコース的なアプローチも含めて、出していただきました。そういった御提案を頂きました。
あと、もう1つあったのが、主に自治体をイメージしているのかと思うのですが、応募する方の負担を軽減するということをもう少し考えてもいいのではないのかという御議論と、それから、事例の横展開について、どのようにうまく行うかということで、事例を持っているところと取り組みたいところでマッチングしてもらうとか、そういった大変いい御提案を頂きました。
追加テーマとしてほかに何かないか、あるいは、この応募をもっと増やすためにどのような工夫が必要かということについて、もう少し、何か御意見がありましたらば頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。長津委員、お願いします。
【長津委員】  今挙がっているテーマは、割と大きな面積を占めるテーマなので、今から言う私の疑問と少し面積比が違うのですけれども、例えば、第二次で結果が出ているわけですけれども、その中で、例えば評価が悪化した指標や、コロナの影響で、E評価でおしまいになってしまった指標があるのですが、そういったところは、その後どうしていくのかというのが非常に疑問です。
例えば前回の第二次ですと、糖尿病の重症化に関しては、確か評価が良かったかと記憶しています。AだかBだかの評価になった。ただ、これは医療の進化による影響が強かったのではないかという発言もしたと記憶しているのですけれども、一方、糖尿病有病者の増加の抑制に関しては、調査が中止になっていたとか。もうコロナは開けていますので、こういったところを再度フォーカスしていく必要はないのかというところが気掛かりであります。あるいは、メタボリックシンドローム該当者とか、あるいは予備軍の増加の抑制というのも評価がDだったような記憶がありますけれども、そういった第二次でうまくいかなかった、結果が出なかったというところは、第三次においてはどうされるのかなというのが少し気になっていますので、もし御説明いただければ幸いでございます。
【辻委員長】  長津委員、これは事務局にですか、それとも委員の皆様にですか。
【長津委員】  事務局さんがいいかと思っております。
【辻委員長】  そうですか。では、事務局、いかがでしょうか。
【田邉室長】  先生がおっしゃるとおり、D評価のものについては、例えば睡眠でありますとか、あるいは飲酒についてはD評価ということでございました。ただ一方で、ではB評価であればやらなくてもいいかということがあると思います。例えば禁煙などですと、B評価で目標は達成して改善方向にあるのですが、それはあくまで相対的な目標に対する達成度でございますので、健康づくりという観点での考え方と、第二次で行動科学等を踏まえて目標を立てて、それを達成したかどうかという観点もございますので、悪化したものはもちろん、何か取り組みをしたほうがいいのではないかという御指摘はそうなのですけれども、改善であったとしても、それはあくまで第二次の目標の中での改善であって、本来の健康づくりという点では継続したほうがいいという点もあると思いますので、その点を含めて先生方に、特にこういうテーマについては重点的にやったほうがいいということについて御指導いただければと考えてございます。
【長津委員】  ありがとうございます。同じような話なのですけれども、今回も挙がっています健診の受診の話なのですけれども、これも前回の第二次の時も、受診のガン検診だったかがB評価で、まあまあいいかなという評価だったような気がするのですけれども、例えば、その検診を受けたあとの行動については、もうこれは健康づくりではなくて医療というくくりで、健診・検診を受ければ、もうそれで、0か1かであれば1という、そういう考え方でいかれるのか、あるいは、健診・検診を受けたあとの行動についてもフォローされるのかというのは、そこまでやったら切りがないと言えば切りがないのですけれども、そこがどういうことなのかなというのも理解したいところなのですが、いかがでしょうか。
【辻委員長】  では、事務局、お願いいたします。
【田邉室長】  ありがとうございます。おっしゃるとおり、フォーカスをどこまで当てていくかというところについては、むしろ先生方に御議論いただいて、テーマの設定の中でどの辺りまでということは、ぜひ先生方の御意見を伺えればということで考えております。
【長津委員】  ありがとうございました。
【辻委員長】  今、この議論に一番近いところにいらっしゃるのが津下委員かと思います。今、ちょうど手が挙がっていますので、そこも含めてお話しいただけますでしょうか。
【津下委員】  手を挙げたのは別の理由だったのですけれども、重症化予防とか様々な取組があって、健診・検診を受けてすぐに動きやすいものと、なかなか生活習慣に行き届かないものがあったりとか、まだその前の段階のものがあって、時期的なフェーズということもあろうかと思います。今まで20年見てきたのですけれども、第三次に向けて、より一次予防というか、底上げ的なところしっかり、悪い評価のままではなく取り組むにはどうしたらいいのかという研究や、エビデンスはわかっていてもそれが実践につながっていかないし、わかっているけれどできていないということをきちんと解決していくということが必要なのだろうと思います。
それで、私の意見に入るのですけれども、ちょうど健康日本21というのは、そういう健康課題を分析して、それに対してどのように取り組んだらいいのかということを考えて、計画を立てていきましょうという、そして、それはエビデンスに基づくものでというのが基本骨格だったと思うのですけれども、自治体の担当者がそれをしっかりと学ぶ機会がどれくらいあるのかと思ったりします。
今回、国全体の評価もありますし、都道府県や自治体でそれぞれ評価をしていきますけれども、その評価からどんなことを考えて、どんな事業を重点化しようかということを考えるプロセスを共有する。これはアワードというよりも、スマート・ライフ・プロジェクトにあるサロンという機能かもしれないのですけれども、関心のある方たちが集まって、いろいろ課題についてディスカッションし、解決策、ヒントを得ていくという、横のつながりの中で学習をしていくという、そういうサロンがあるのですが、それがうまく機能していくことがもっと重要ではないかと。サロンの位置づけがいまひとつはっきりしないところがあって、そういう、健康日本21の健康増進計画をよりきちんと動かしていくための勉強の機会や、その課題解決のための取組につなげるための方策、それを、科学的な見地もそうですし、他の自治体の取組、他の企業の取組を学び合える機会を作るようなサロンの運営をしていただいて、もう1つ、そこから好事例が出てきますので、好事例をアワードのほうにつなげていく努力をしてはどうかと。
実は、重症化予防や、地域・職域連携などの各事業や、高齢者の一体的な実施でもそうなのですけれども、多くの好事例の発表をいろいろな研修会でしていただいていますが、そこはその分野の研修会で終わってしまって、広くほかの分野の皆様に知っていただく機会が少ないという気がしていますので、そういう各事業の好事例から、例えば研修の担当者が推薦するとか、そのような形もあるのではないかと思いまして、研修で活用された事例をアップデート、ブラッシュアップして、広く知っていただけるといいかと感じています。
一般的なところへのメッセージが強いので、自治体や健康づくりを担当する人に向けてのしっかりした情報提供の機会や考える機会を、スマート・ライフ・プロジェクトの中に入れていただくといいのではないかと思っています。
【辻委員長】  ありがとうございました。研修会というのは講師から聴衆へ一方的な情報提供という感じになってしまうのに対して、スマート・ライフ・サロンや、そういった何か双方向性の、みんながディスカッションできるような形での、そのプロジェクトを作っていくプロセスですよね。いろいろな優良事例をうまく広げていくための、どういったプロセスをやっていけばいいのかというところを少し議論したほうがいいのではないのかという、非常にいい御提案でした。追加がありますか。
【津下委員】  はい。健康増進計画もたくさん冊子は作られるかもしれませんけれども、それを共有する機会とか、どうしてこのように考えたかということを話し合う機会がなかったように思うので、健康増進計画そのものの評価といいますか、好事例も、この機会ですから収集できたらいいのではないかという気がしています。
【辻委員長】  ありがとうございます。では、黒瀨委員、お願いします。
【黒瀨委員】  今まで皆様方が議論されてきたことに関しては、特に異論はございません。
あと1点、私から追加させていただきたいのは、例えばこの4つの基本的なテーマそれぞれにも関わるところとして、今、国を挙げて医療DXが推進されているわけですけれども、データヘルスの観点から、やはりPHR、あるいは医療レコード、あるいはライフログのデータと結び付けて、例えば自治体、あるいは企業がその従業員の方、あるいは住民の方の健康の維持につなげていくという取組が重要になってくるのではないかなと思います。
PHRの環境に関しても、もちろんそれぞれ企業によってシステムが違う中でも、共通項をある程度作って、違うPHRのアプリを使っていても、例えば産業医の先生が見られるとか、あるいは、かかりつけ医に見ていただくことが可能といった環境づくりも、今、進んできていますので、ここはぜひ横断的な、追加テーマというよりは、運動、食生活、禁煙、健診・検診、さらに、先ほどから出ている飲酒や睡眠といったもののライブログをそこに入れた形での健康づくりを、1つのテーマといいますか、重点的に取り組む課題として設定していただくというのもありではないかと感じています。
【辻委員長】  ありがとうございます。では、諸岡委員、お願いします。
【諸岡委員】  日本栄養士会の諸岡です。よろしくお願いします。これまで御議論いただいている内容については、全て賛同で、「そうだな」と思いながらお話を聞いていました。ありがとうございます。
先ほど委員長のほうから、応募を増やす工夫という辺りのところもおっしゃっていたと思うのですけれども、今後12年間という次の第三次の健康日本21の中で、4つの重点テーマにプラスアルファの新たなテーマを取り入れるというのもすごく賛成で、それはできる限り早め早めに、何年次にはこのテーマ、このテーマ、というのをお示しいただくというのは、特に自治体等は2、3年ごとに担当者も異動したりするケースがありますので、そのような工夫をしていただけるといいのではないかと思ったのが1点です。
あともう1点、先ほど津下委員が、健康増進計画などの辺りについても共有ができればと、それも「なるほど」ととても思いました。特に新たな指標という辺りのところもたくさん取り組まれているので、それをどのように取り組んでいるかという共有であったり、特に都道府県においては、データの読み解きやPDCAのサイクルの推進とか、いわゆる市町村支援という辺りのところをどのようにやっているか、あるいは、保険者との連携をどのように取り組んでいるかという、その仕組みの部分についても、好事例があれば、このスマート・ライフ・プロジェクトの中で共有ができると、より全体的に健康増進が進むのではないかと思いましたので、少し発言させてもらいました。よろしくお願いします。
【辻委員長】  ありがとうございました。それでは、前半の時間となりましたので、前半の議論はここまでにさせていただきたいと思います。
 
・スマート・ライフ・プロジェクトの進め方
【辻委員長】  次に、後半部分ですが、スマート・ライフ・プロジェクトの進め方です。活動状況の把握方法、広報の進め方、その他何でも結構すけれども、このスマート・ライフ・プロジェクトの進め方につきまして、委員の皆様から御意見がございましたらば頂きたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。岡村委員、お願いします。
【岡村委員】  この広報の進め方のところは非常に大事なところなのですが、市町村や県などでは、例えば事務職の方はいろいろな部局を動いていきますので、それなりのネットワークを多分持っているのです。ですから、どの団体であれば例えば情報を流せるかとか、どことであれば共有できるかということを、そこの単位で1回集めてみると、例えばここで考えるよりは各自治体でネットワークを持っているのではないかというのが1つです。
それから、基本的に広報の目的というのは、全体的にヘルスリテラシーをどう上げるかということとほぼ絡んできて、それが上がってこないと、いろいろなものがあっても活用していきませんので、そこをターゲットにして行うということと、あと、これも市町村などであれば可能なのですけれども、学校教育とかその辺との連携をしておかないと、先々につながっていかないということになって、これは、かえって組織が上のほうになるほどやりにくくなり、現場であれば比較的やりやすいという場合があります。どこから話をしていくかというのは地域によってまた違ってきますけれども、そこを含めた広い意味での広報・普及というものが必要ではないかなと考えております。
【辻委員長】  どうもありがとうございます。では、瀧本委員、お願いいたします。
【瀧本委員】  私は、3番の継続的な活動状況の把握について、一言申し上げたいのですけれども、新規登録時も、どういうテーマで設定されているかということも把握されたほうが、だんだん内容が移り変わっていったのか、それとも、ずっと継続的に登録時の活動を続けられているのかということが把握できて良いのではないかと思いました。
あと、広報の進め方についても、これは、誰に向けてどのように広報するかということにもよると思うのですけれども、より多くの人々の関心を高めるためには、やはり昨今はソーシャルメディアなども活用していって、本当に要点が伝わるような発信というのも大事なのではないかと思いました。
【辻委員長】  ありがとうございます。では、古井委員、お願いします。
【古井委員】  私も、岡村委員がおっしゃった話とかぶるのですけれども、やはり未成年の時代から、こどもからの集中普及広報がとても大事だと思っています。例えばですけれども、学校保健の中で、生活習慣病予防というのは既に学習指導要領の中にありますので、例えばそこの生活習慣予防の中の授業で、いきなりスマート・ライフ・プロジェクトを主教材にはできないとしても、例えばデータヘルスは、今、副教材としてもう入っていますので、そういうやり方が1つあるのではないかと。
それからあとは、最近、健保組合で小学生向けの「こども健保だより」みたいなものをやっているところが結構増えてきていまして、その中にこのスマート・ライフ・プロジェクトのまさに好事例、企業や自治体でやられている、あるいはこどもも含めて家族もといったようなことを周知するのはあり得るのではないかなと思いました。
【辻委員長】  興味深い御提案、ありがとうございました。津下委員、お願いします。
【津下委員】  まず3番ですけれども、登録情報の更新には賛同するのですけれども、主な取組というと、結構これは、全てやっていますとチェックが入ってしまいそうな気がします。それはそれでいいのですけれども、もう1つ、特に今年重点的に取り組もうとしていることがあればというボタンを増やしていただけると、どこに関心が最もあるのか、1つ、2つなどに絞って聞いてみたらどうかなという気がしましたので、負担のない範囲で御検討をお願いしたいと思います。
それから、広報については、やはりワンストップというか、その目的ではないところでも情報が得られるということが重要なので、公共交通機関とか、学校とか、いろいろなところがあると思います。自治体で言いますと、例えば転居で市役所や区役所に行く機会はそれほどないとは思うのですけれども、そこはほとんど手続きだけで、待ち時間だけで終わってしまうのですけれども、待ち時間の間にしっかりと広報できるとか、何かプレゼントというか、健診の受診券を渡すとか、新しい生活になった時に、そのまちでどうやって生きていこうと考える所とか、保険者が変わったとか、いろいろな節目を通して、ライフコースに合わせた情報をきちんと伝えていくということができるといいのではないかと思いまして、ライフコースアプローチに沿った広報計画、広報活動も検討していただくといいのではないかと思いました。
【辻委員長】  ありがとうございます。では、中野委員、お願いします。
【中野委員】  参加団体の継続的な活動の維持という観点では、今の津下委員の御意見に非常に賛同します。各企業や各市町村、自治体が今どういうところに関心を持っているのかという情報を把握することは、今後のこのプロジェクトを意義あるものにするためにも大事なことかと思いました。
それから、広報についてですけれども、ヘルスリテラシーを向上するということを考えたときに、やはり皆さんがおっしゃっているように、年代に応じた、その人に届きやすい広報を考えるのは大事ですし、特に若年層からといったときに、学校という場を使ったヘルスリテラシーの向上がすごく大事だと思っています。省庁間連携という意味では文部科学省なのでしょうけれども、実際に学校にこどもを通わせていますと、こどもに何をどのように伝えていくかという辺りで結構力が強いのは教育委員会とPTAなので、そういったところに何らか、こういうことをもっとやっていきましょうというアプローチも必要ではないかと思いました。
もう1つが、年代に応じたということと別の軸で、関心がない人に情報が届かないと、この活動は意味がないので、そういう意味で、津下委員の話にもありましたけれども、見ようとしなくても、情報を取りに行こうとしなくても取れるような情報の流布のさせ方が大事だと思っています。媒体を何にするかというのも大事だし、中身をどれだけ耳に残るものにするのかというのも大事で、そういう意味では、全部がいいとも思わないのですが、例えばテレビで流れているACジャパンのようなものは、何となく聞いていても頭の片隅に少し残るとかというのもございますし、効果的に、どの場を使って情報を流していってインプットするかという辺りも少し考えていくと、良い展開になるのではないかと思いました。
【辻委員長】  ありがとうございます。大変重要な御示唆を頂きました。では、長津委員、お願いします。
【長津委員】  先ほど、古井委員がおっしゃっていたかと思うのですが、学校保健の話をされて、ここはなるほどと思いました。我々薬剤師は、なかなか高校生くらいまでしか学校保健に関われていないのですが、実は健診の話になりますと、小中高までは恐らく100%の生徒・児童が健診を受けるのだけれども、大学生になると極端に健診受診率が下がります。大学でも健康診断を実施しているのですけれども、どうも私も誤解していて、健診・検診というのは成人病検診とかがん検診ばかりを今頭の中でイメージしていたのだけれども、そうではなくて、こどもの頃は100%皆さんが受けていた健診を、大学に入った途端に受けなくなってしまうので、ここで人生の中で健診が1回途切れてしまう。ここを切れ目なく、大学生においても健診がしっかり受診できるという環境をつくれば、社会人になった後も健診が日常化するのではないかと、今、ふと思いました。その辺りがもしかすると重要なことになってくるのではないかというのが1つです。
あと、薬剤師会的な話になってしまうのですけれども、自治体の事業として、例えば献血を受けた方の献血の結果が本人へ送られていくわけですけれども、その結果はもらいっぱなしになってしまいまして、いろいろな自治体というか、薬剤師会ベースにやっているところもあるのですけれども、健診の結果につきまして、薬局に持ってきていただいて、受診が必要ならば受診勧奨するし、運動が必要ならばそういう指導もするという、そういう企画というかプロジェクトをしている自治体もありますので、そういったところも拾い上げていくと、少しずつ効果が上がっていくのではないかという気がしましたので、意見でしたけれども、参考までにお願いいたします。
【辻委員長】  ありがとうございます。では、諸岡委員、お願いいたします。
【諸岡委員】  私は2点あります。
まず、3の参画団体のという分ですが、この会に参加するにあたり、スマート・ライフ・プロジェクトのホームページを拝見させていただいて、参画団体を検索するという検索画面の検索エンジンが、50音順、業種別、都道府県別というふうに分かれているのですけれども、兵庫県などで調べると、兵庫県だけは寄せられるのだけれども、次、業種別にしようと思うと、またぱっとばらけてしまうというか、つまり、少しホームページの検索というところを見直していただくという辺りのところが、この活動の継続とか、この取組をしていくという上でも1つあるのではないかと思いました。それと併せて、その検索エンジンの中から、これは好事例という、スマート・ライフ・プロジェクトの表彰されている好事例のところとうまくリンクができるようになると、広報であったり、使っていくところの使いやすさもすごく改善するのではないかと思ったので、あらためて今日の会に出席するにあたり、そういうことを気付いたのが1点です。
もう1点が、広報の進め方というところで、先ほどもお話が出ているように、やはり若者であったり、いわゆるZ世代という辺りに、大事だよというところをしていこうと思うと、ポスターであったりパンフレットというのはまず見ないので、やはりソーシャルメディアという辺りのところになってくる。Instagramでスマート・ライフ・プロジェクトと少し検索をしてみたのですけれども、残念ながらフォロワー数は200人余りくらいと出てきました。つまりは、そういったInstagramという辺りのところについてもう少し、スポーツ選手であったりとか、何かしらインフルエンサー的な方をうまく活用して、刺さりにくい世代にどうしたら刺さるのかということを、もう少し深く検討する必要があるのではないかと感じました。
【辻委員長】  ありがとうございます。大変貴重な御意見だったと思います。特にホームページを検索しやすく、わかりやすくするということは、結構改善の余地がありますので、事務局はぜひやっていただきたいと思います。あとソーシャルネットワーク、SNSもすごく大事な話です。昨今、ITがいろいろ良くなってきているのに合わせた形でのメディア戦略、あるいは広報戦略が必要と思いました。ありがとうございます。では、山縣委員、お願いします。
【山縣委員】  簡単に。先ほど大学生の受診率の話がありましたが、やはり大学によってかなり格差があると思います。国立大学の保健管理施設協議会というものがあって、そういうところでの調査では、80%以上は受診をしていたりするのですけれど、私立でやはり低かったりします。若者の健康を考えるときに、こういった大学の保険管理施設協議会のようなところと連携するというのも非常に重要ではないかと思いました。
【辻委員長】  ありがとうございます。兵庫県の山下委員が途中から参加されていますので、なかなか見えづらかったところもあったかと思うのですが、前半のほうはこれでそろそろ終了にもってきますけれども、全体を通しまして何か御意見がございましたら頂きたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
【山下委員】  辻委員長、ありがとうございます。途中からの参加になりましたことを、まずお詫び申し上げます。
少し的を射てないかもしれませんが、やはりこういういろいろなプロジェクトをするときは、各委員が言われているように、作るだけではなくて、それの発信ということが一番重要です。我々県行政でもいろいろな政策を作るのですけれども、結局は県民に届くかどうかというところがキーになりますので、特にこういう健康を考えるときは、やはり年齢ごとであったり、地域であったり、ターゲットを絞って、そこから拡大していくという進めになるのではないかという気がしました。そういう意味では、SNS等の利用というのは、本当に若者に対しては非常に有用なツールですので、これは本当にいい話だなと思って聞かせていただきました。
【辻委員長】  ありがとうございます。あともうお1人、お2人くらい、御意見を頂く時間がありますけれど、いかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、議題(1)について、まとめたいと思います。まず、運動、食生活、禁煙、健診・検診受診、この4つは基本テーマとしてこれまでどおり継続しつつ、別途、重点テーマを設定しようということで、今日幾つか御提案いただきました。女性の健康は、今回、第三次で新しく始まりましたし、また、睡眠も非常に重要な課題になっておりますので、そのところ。それから、ICTの活用ですね。医療DX等々を考えた上でのICTの活用、あるいはライフコース的な取組、それから、自然に健康になるまちづくりということで、第三次の重点にもなっていますので、そういったところを追加テーマとして考えていったらいかがかという御意見を皆さんから頂きました。ですので、これを受けまして、追加テーマの設定につきましては、皆様からの御意見を踏まえまして引き続き事務局で検討していただくということで、よろしゅうございますでしょうか。
【構成員一同】  異議なし。
【辻委員長】  ありがとうございます。では、アワードの応募のテーマですけれども、これもやはり数年先、あるいは3、4年先のスパンで公表するということも大事ではないかというお話を頂きました。あと、活動状況の把握方法については事務局に御了承いただいたということで、まとめてよろしいでしょうか。
【構成員一同】  異議なし。
【辻委員長】  ありがとうございます。それでは、広報の進め方についても、今日非常に活発な御議論をいただきましたので、皆様から頂いた御意見を踏まえまして、事務局には引き続き御検討いただきたいと思っております。よろしくお願いします。
それでは、議題(1)はこれまでとしたいと思います。どうもありがとうございました。では、次の議題に移ります。
 
(2)個別領域の取組について
・身体活動・運動
【辻委員長】  議題(2)「個別領域の取組について」ですが、今回は「身体活動・運動」領域と「休養・睡眠」領域に分けて議論していきたいと思います。
まず初めに、事務局から参考人の紹介と、身体活動・運動領域の資料の説明をお願いします。
【加藤補佐】  議題(2)では、「健康づくりのための身体活動基準・指針の改訂に関する検討会」及び「健康づくりのための睡眠指針の改定に関する検討会」の座長、及び各領域の有識者の先生方にも、参考人として議論に御参加いただきます。資料の説明の前に、参考人の先生方を御紹介いたします。
身体活動・運動領域の参考人としまして、
日本整形外科学会理事長、九州大学大学院医学研究院 整形外科教授 中島康治様。
NPO法人 日本健康運動指導士会 専務理事 事務局長 荒籾忠志様。
早稲田大学 スポーツ科学学術院教授 澤田亨様。
早稲田大学 スポーツ科学学術院教授 宮地元彦様。
続きまして、休養・睡眠領域の参考人としまして、
日本睡眠学会理事長 久留米大学学長 内村直尚様。
東北大学大学院 医学系研究科 老年・在宅看護学分野教授 尾﨑章子様。
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 睡眠・覚醒障害研究部部長 栗山健一様。
以上、どうぞよろしくお願いいたします。
【田邉室長】  それでは資料2、資料3-1、3-2を用いまして、身体活動・運動領域の御説明をさせていただきます。
まず、資料2をお願いいたします。おめくりいただきまして、最初の3枚は、前回、第1回の推進専門委員会で出させていただい資料と同じでございます。最初のページが体制整備に関するまとめ。2ページ目が、データ利活用、データ分析等に関するまとめでございます。3ページ目が、個別領域につきましてまとめたものでございます。この時の資料の構成は、一番左側が大臣告示になってございまして、真ん中が「地域における取組とそのポイント」ということで、アクションプランの基になるようなイメージといいますか、こういう方向性やアプローチ等があるのではないかということをまとめたものでございます。一番右側が、それを支援するための国の取組についてまとめたものになってございます。
おめくりいただきまして、4ページの個別領域についてまとめたものを、更にそれぞれの個別の分野に落とし込んだものが、次の5ページ、6ページになってございます。
5ページ目が、身体活動・運動領域についてまとめたものでございます。左側は同様に大臣告示になってございまして、告示の子細を書いてございます。
真ん中が、市町村・都道府県等のアクションプランの基になるようなものの考え方、方向性、ラインナップ、そういうものをまとめてございます。例えば普及啓発・情報発信、また、ハイリスクアプローチ、あるいは環境整備、ICTの活用等々について書いてございます。更にそれをさらにブレイクダウンして細かく落とし込んだものを、項目ごとに書いておりまして、例えば情報発信でございますと、対象によって異なりますので、一般国民向けの情報発信としてはこういうものがあるのではないか、あるいは、いわゆる職域に向けた情報発信、あるいは若い世代、学校等々に向けた情報発信等について、様々なアプローチを考えてはどうかというような、アクションプランの基になるイメージを書いてございます。
また、それを支援するという意味で、右側に「国の取組」を書いてございます。情報発信につきまして、例えば今回の身体活動・運動ガイドの策定でありますとか、あるいはスマート・ライフ・プロジェクト等々を介した情報発信、そういうものについてまとめてございます。また、環境整備でございますと、いわゆるウォーカブルなまちづくりということで、これは国交省と連携した取組ですけれども、こういうものも健康日本21の中で推進させていただいておりますので、こういう取組等々についての事例集等を出しているところでございます。こういうものについて、国のほうでも様々な御支援をしていきますというようなイメージになってございます。
次に資料3-1にいかせていただきます。資料3-1は、先ほど御案内いたしました、身体活動・運動ガイドの取りまとめ等についての御説明でございます。
おめくりいただきまして、最初のページが、健康日本21(第二次)の最終評価における身体活動・運動分野の最終評価でございます。歩数、それから運動習慣のある方、ともに横ばいということで、C評価であったという結果でございました。
これを踏まえまして、おめくりいただきまして、策定専門家会のほうでは第三次におきましても、「日常生活における歩数の増加」、それから「運動習慣者の増加」、これを2つの主要な課題とし、継続して目標設定をしてございます。大体10%、1割上昇を目指した値を目標値とさせていただきまして、第三次においてもしっかりと取組を進めていこうというところになってございます。
おめくりいただきまして、その支援、サポートという意味で、これまでにも運動所要量でありますとか、運動基準、また身体活動基準等については、健康日本21の動きとパラレルで進めてまいりました。最新のものが「身体活動基準2013」ということで、約10年前のものでございましたので、今回、第三次に合わせて改訂をし、「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」を、今年1月に公表させていただきました。
おめくりいただきまして、検討会の概要でございます。先ほど御案内がありましたように、日本整形外科学会の中島先生に座長に御就任いただきまして、様々な分野の先生方にお集まりいただきまして、この基準のアップデートをしたという経緯でございます。
おめくりいただきまして、6ページに、この新しい身体活動・運動ガイド2023の推奨事項をまとめてございます。こども、成人、高齢者という世代別に分けまして、それぞれの身体活動についての推奨事項を整理してございます。前回の2013年のところから、エビデンス等を顧みまして、変更した部分、継続している部分等々ございます。例えば、成人の1日60分、8,000歩以上につきましては、様々なエビデンスを評価しましたところ、これについては前回と同じ値を継続した方がいいのではないかということで、推奨事項としては変えてございません。一方で、高齢者につきましては、以前は強度を問わないということだったのですけれども、フレイル予防等の観点では一定の強度が必要ということがエビエンス等を踏まえ、3メッツ以上ということ、1日40分または6,000歩以上ということで、少し変更点がございます。
また、運動分野につきましては、これまでは有酸素運動に主に重点を置いていたのですけれども、筋力トレーニングにつきましてもエビデンスが出てまいりましたので、筋力トレーニングを週2~3日ということで、休む日も当然持ちながら筋力を増強するという、こういう運動もしたほうがいいということを加えてございます。また、高齢者につきましては、有酸素運動、筋力トレーニング、バランス運動等のいわゆる多要素な運動、これのエビデンス等が出てまいりましたので、3日以上というところで、運動についてはこのような点をアップデートしているところでございます。
次に座位行動でございます。これもWHOで、座位行動が長いことが健康リスクにつながるという、身体活動とは独立した健康リスクの因子ということが言われておりますので、座りっぱなしの時間が長く過ぎないように注意するということで、具体的に何分までというところは、エビデンス等の問題があってまだお示しできなかったのですが、座位行動についても注意喚起を促すということは非常に重要な観点であり、座位行動についても、今回、新しく推奨事項として加えているという状況でございます。
おめくりいただきまして、こちらが1月に公表させていただきましたガイドのまとめでございます。ガイドは運動を指導される方向けの、少し専門的な内容になってございますので、一般国民に向けた普及啓発についても検討してはどうかと考えております。これまでもアクティブガイドというものを作らせていただきまして、こちらを使っていたのですけれども、こちらを最新のガイドに合わせて、エビデンスを踏まえた2023バージョンついても用意をさせていただいて、国民全般に向けた普及啓発に活用してはどうかと考えてございます。
そのイメージが資料3-2でございます。こちらはあくまでイメージでございます。こういうものをアクティブガイドとして作ってはどうかというイメージで考えてございます。特に今回は、最後から2ページ目を御覧いただきまして、慢性疾患を有する方への「身体活動・運動を安全に行うためのポイント」を書いてございます。例えば高血圧ですと4,000万人以上いると言われておりますので、何らかの疾患がある上で、やはり運動は非常に大事だというメッセージを出してはどうかということで、こちらにつきましては、各学会の先生方にも御確認いただきましてまとめたものを、このようなシートに落とし込んでございます。裏のページには、慢性疾患を有する方が運動をする上での注意点等についてまとめたものを、シートからこちらに移してございます。こういうものについて、普及啓発のツールとして国のほうで準備してはどうかと考えておりますので、その点につきましても、先生方の御意見を頂ければと考えております。
では、資料3-1に戻っていただきまして、次のページにいっていただきまして、先ほどのものは国民全般に向けた普及発想のツールでございます。その次のページは、生活指導をされる場、例えば自治体等々で保健師さんや管理栄養士さんが生活指導をされる時に使っていただくツールということで、国で準備してございます。こちらは「e-健康づくりネット」というホームページで、支援ツールとして生活指導を受ける方に向けたもの、それから、実際に指導される方向けの解説書をセットで用意させていただいて、無料でダウンロードして使えるようになってございます。こちらのほうは、今、2013版をベースに作ってございますので、早急に最新の2023版に基づくアップデートをした上で公表し、このような地方自治体の生活指導をされる方に向けた支援ツールについても、国で準備をさせていただいているという状況でございます。
おめくりいただきまして、次は好事例でございます。好事例につきましては、スマート・ライフ・プロジェクトのアワード等で集めているものについて出しております。先ほど先生方から御意見を頂きましたように、アワードのページ等につきましても、見やすく活用しやすいような形でのアップデートということを御指導いただきましたので、その点を踏まえて、この好事例の発信の仕方について検討してまいりたいと考えてございます。
おめくりいただきまして、身体活動・運動分野につきましては、個人の歩数でありますとか運動習慣に加えて、環境整備の指標についても設定してございます。いわゆるウォーカブルな区域ということで、国交省でされている取組と連携しようというものでございます。こちらが実際の推進都市の一覧であり、次のページには、まちづくりの事例集が出ております。こちらにつきましても、連名通知等で自治体の方々に、まちづくりをするときに、健康づくり、健康という観点も1つのポイントとして進めていただいてはどうかというような事例集も用意して、環境整備からの身体活動・運動分野の取組ということで進めてはどうかと考えてございます。
このような国からのサポート・支援等についてのツール等を御用意させていただいて、身体活動・運動分野の現場でのアクションプランについて、このようなラインナップではどうかというイメージでございますけれども、足りない観点、あるいは、こういうアプローチがあったほうがいいのではないかということについて、先生方から御意見を頂きまして、市町村の方が参考にできるようなものにしていければと思っておりますので、ぜひ御指導をお願いいたします。
 
〈質疑応答〉
【辻委員長】  ありがとうございました。それでは、身体活動・運動領域の取組について議論したいと思います。これからは参考人の中島先生、荒籾先生、澤田先生、宮地先生にも御参加いただきます。
まず最初に、身体活動・運動ガイドを策定した検討会の座長であられました中島先生から、一言お願いいたしたいと思います。
【中島先生】  皆さん、こんにちは。日本整形外科学会の理事長の中島でございます。今回、このガイドのまとめ役という役目を果たしました。
今回の身体活動・運動ガイド2023というのは、過去の1つ前のバージョンから比べますと、先ほど御紹介がありましたように、ライフステージ、成人であるとか高齢者の方、慢性疾患を有している方等々のそれぞれに応じた推奨事項を見直したということが大きい点でございますし、筋力トレーニングを行いましょう、それも具体的に週に何回行いましょうとか、座位行動に関して、これは具体的に何時間以上座ったら立ちましょうというところはまだ入ってないですけれども、これを一応皆さんの国民の目に触れるようにということで、入れているのが大きな特徴でございます。
このガイドが身体活動、運動分野を目安となって広まればいいと思っています。皆さん、よろしくお願いいたします。
【辻委員長】  ありがとうございました。それでは、身体活動・運動領域の取組につきまして、委員の皆様から御意見を頂きたいと思います。できましたらば資料2の議論を中心に、そして、資料3-2のアクティブガイドにつきましても御意見がございましたらお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。宮地先生、お願いします。
【宮地先生】  早稲田大学の宮地でございます。アクティブガイドの改訂に関わらせていただきまして、感謝申し上げます。関わった立場として、この資料2の内容について意見をさせていただければと思います。
栄養の分野であれば管理栄養士の方々、その他の分野であれば保健師あるいは医師の方々ということで、医療者が関われる分野は良いですが、身体活動・運動の場合は医療資格者が基本的にはいないという現状の中で、どんな専門家がこれの普及啓発に関わっていくのか。また、このガイドをいかに国民に正しく伝えていくのかがポイントになると思いまます。その点で、厚生労働省が養成に関わってきた健康運動指導士の役割は、大変重要だと考えています。私ども身体活動・運動の専門家としましては、新しいガイドのポイントについて、この健康運動指導士に徹底的に周知をしたいと考えております。またそのための機会を厚生労働省でも設けていただく、あるいは機会を頂くことができましたら、大変ありがたいと思います。
2つ目は、これまでの基準やアクティブガイドの認知度の問題です。これまで、様々な方々が、定点的にこれらの認知度を調べてきました。国民の認知度は概ね10~20%の範囲にとどまっており、認知が十分ではない現状があります。したがいまして、認知度を高めていく上でも、専門家である健康運動指導士、それから日本医師会で養成されている健康スポーツ医の先生方などに、この内容をしっかり知らせていく機会をいただいて、身体活動・運動の専門家を通して国民に広げていくといった手だてをぜひ取らせていただければと考えております。
【辻委員長】  ありがとうございます。では、山縣委員、お願いします。
【山縣委員】  運動については本当に大きな課題があると思いますが、こういったアクティブガイドとか、それから「健康づくりからの身体活動・運動ガイド2023」で、特にこどもの部分で遊びというものがしっかり書き込まれているのはとてもいいと思いました。といいますのも、もう今、こどもの健康課題の1つとして、やはりゲームとかネット依存があって、もうこれに関しては治療法がなかなかなくて、それよりももっと面白いものがあって初めてゲームとかネットから離れるということなので、そういった面白い遊びとかそういったものが本当にこどもたちの間で普及し、親と一緒に遊べるような、そういうものが具体的にたくさん出てくるといいなと思いました。感想です。ありがとうございました。
【辻委員長】  ありがとうございます。では、続きまして、津下委員、お願いします。
【津下委員】  まず、身体活動・運動ですけれども、歩数の状況が、これまでの健康日本21が始まってからずっと経過を追うと、だんだん下がる傾向というか、第二次では変わらないとは言っているのですけれども、実は右肩下がりの傾向は否めないし、日常生活が便利になった分、では意識的に運動するかというと、運動習慣者はそれほど伸びてないという、この事態はかなり危機感を持って取り組まなければいけない状況であるという認識を、今までの延長ではなく、ここを1つのきっかけとして進めていく必要があるのではないかと強く思います。
今回、慢性疾患を抱える方々へのガイドが出ました。生活習慣病もさることながら、変形性関節症などについても、今までは膝が痛いから運動できないという、運動しない理由に入っていたのですけれども、そういう運動器の問題を解決するためにも適切な運動が必要なのだと。それから、自分一人で行った場合に、頑張りすぎて膝を痛めてしまうという経験をしている人は非常にたくさんいらっしゃるので、その人にとって体に合った運動をきちんと見つけていくプロセスが重要と思います。そういう点では、医師、保健師など、健診・検診の場面で運動の必要性をきちんと伝える立場、ここはしっかり行っていく必要があって、健康スポーツ医はじめ、それだけではなく、かかりつけ医の先生、全ての保健師さんが運動について話す習慣を持つというように意識を変えていく必要があるのではないかというのが1点です。
それから、運動に問題を抱えてないかを必ず確認して、膝が痛いからやめた、または、頑張りすぎたけれど効果でないからやめたという、やめた経験がある人を拾い上げて、健康運動指導士などの運動の専門家につなげていく。そうすると、歩き方やフォームが変わることによって、楽に運動ができるようになって、大人がスポーツ、運動を楽しめるようになる。糖尿病で血糖を下げたいから運動療法を始めたのだけれども、うまくいきだすと、本当に運動が楽しいから運動するというように、人生の目標が変わってくる方々がたくさんいらっしゃいます。なので、運動を諦めない、そういう社会がつくられたらいいのではないかというのが、この第三次で取り組んでいただく方向としてお願いしたいということと、運動したいと思ったときに、日本は本当に歩いていて不快感がないというか、公害も少なくなりましたし、歩きやすいまちもできてきて、でも、これは日本がすごく努力したからこういう健康な環境があるわけで、今後も維持し、また、ほかの国の人たちからも見本になるような健康的な環境を作っていくという、そういう皆さんの努力を結集できるようなムーブメントにつながることを期待しています。
その中で、こういうわかりやすいツールを広く知っていただくことで、健康運動指導士が知るだけではなく、それを使って指導したり話をするという、二次、三次の活用を広めるような取組に使ってもらう、住民の口コミ活動にも使ってもらうというように、次から次へと広がるような仕掛け、自分だけがわかったのではなくて、人に伝えようという活用方法についても検討していただけるといいのではないかと思いました。
【辻委員長】  ありがとうございます。荒籾先生、手が挙がっていますので、今までの山縣委員、津下委員の御提案に対するお答えなどももしありましたらば、それも含めてお願いいたします。
【荒籾先生】  日本健康運動指導士会の荒籾でございます。各先生方から健康運動指導士に対する期待等頂戴いたしまして、重く重要に受け止めているところでございます。
健康運動指導士としましては、こういった運動ガイド2023やアクティブガイドが出来上がったことによって、1人で多くの国民の皆さんが、運動を安全で効果的に、その方に合った内容のものを、無理をしないでやっていただくということが重要だと思います。そのためにも、健康スポーツ医の先生方、医師の先生方や、もともと健康運動指導士は、保健師、管理栄養士の先生方と連携して、適切な運動指導、プログラム作成というのが我々の任務ですので、その辺をさらに重点的に進めてまいりたいと思います。また、普及啓発を目的としましたセミナーの開催とか、各運動指導現場でアクティブガイドを活用していただいて、情報発信の推進もどんどん進めてまいりたいと思います。
これは少し主観的なところなのですが、11月27日に身体活動指針・運動ガイド2023の第3回の検討委員会が開催されまして、そのあと、テレビ等を拝見しておりましたら、新聞やテレビ局各社がその内容を、具体的には週2~3回の筋力トレーニングが効果的であるというエビデンスが示されて、それが推奨されるというようなものが紹介されました。これは、その後、私が見た番組なのですけれど、少しエビデンスに乏しいかもしれないのですが、2024年に成人の方々が始めたいこと、新たに始めたい習慣というところで、第3位に筋肉トレーニングという、そんな紹介をされた番組がありましたので、ソーシャルネットワークの活用も重要なのですが、今、テレビ番組、マスメディアもスマホなどで見る方が多くいらっしゃいますので、マスメディア、新聞やテレビ各社の協力なども有効ではないかと思っております。
それに伴いまして、先ほども議論されていたようなのですが、スマート・ライフ・プロジェクトに加盟する、健康増進認識の高い各企業様や、それと、健康日本21推進全国連絡協議会というものがありますので、そちらの加盟団体の効果的な連携・協力も有効だと思いますので、この両組織の活用なども図ってまいられればと思います。
また、2024年、今年はオリンピックイヤーですので、国民の皆様の運動に対する興味もすごく上がる時だと思います。オリンピック・パラリンピックのこの年に、いろいろと普及に向けてどんどん活動していきたいと思います。
すみません、あと2つだけ。少し細かいことになるのですが、アクティブガイドについてもということでございましたので、アクティブガイドの件ですが、運動の効果を上げるためには、栄養と睡眠がかなり重要でございます。それで、アクティブガイドのどこかに、今回せっかく、このあと議論されます「ぐっすりガイド」も紹介していただくような形で、「運動をしたら、しっかりと栄養を摂って、ちゃんと休みましょう」というような、メジャーリーグの有名な選手もたくさん寝るという情報もありますので、アクティブガイドやぐっすりガイドを横断的に組み合わせて活用できるような、そういったコメントなども入れるといいかと思いました。
それと、アクティブガイドの成人版や高齢者版の中ほどに、運動施設の筋力トレーニングや自宅でのトレーニングをというところがあります。せっかくですので、「健康増進施設などの運動施設での」とか、やはり厚生労働省が進める施策の中の健康増進施設でもありますので、「健康増進施設」ということを入れてはいかがかと思いました。
それと、有酸素運動と筋力トレーニングは満遍なく効果的に無理なく組み合わせるのがいいと思います。そして、筋力トレーニングは個々の部位だけでなく、できるだけ全身の筋肉を満遍なくトレーニングすることも理想なので、上半身や下半身など分けて日ごとに行うようにとか、そういったところもいざなうような文章もどこかに入れていただければと思いました。
【辻委員長】  ありがとうございます。では、山縣委員、お願いします。
【山縣委員】  先ほどのこどもの関係で、少子化に伴って課題になっているのが、通学の時のスクールバスです。山梨県でも、ずっと担当している甲州市で、やはり小学校が統合してスクールバスになるのです。こどもにとって「自然に健康になるまちづくり」の1つが、通学だったはずなのですが、片道15分、往復30分で、1週間に2時間半、これが奪われるというのは非常に大きな問題で、例えば地域によっては、少し手前で降りて、そこから学校まで歩くといったような活動を始めている所もあるように聞いています。ただ、その際に、その間の安全とか、見守りのようなものというのをどうするかということも、恐らく実際に取り組むことになった時には課題になると思いますので、ぜひそういった取組につきましても、先生方の対応が何かされるといいかと思いました。
【辻委員長】  ありがとうございます。では、澤田先生。お願いします。
【澤田先生】  参考人として参加させていただきました、早稲田大学の澤田です。私から、この5ページ中央の「地域における取組とそのポイント」につきまして4点、御提案、コメントさせていただければと思います。
【辻委員長】  先生、すみません、手短にお願いします。
【澤田先生】  はい、承知しました。まず、「普及啓発・情報発信」のところで、一般向けにポスター・リフレット配布とありますけれども、本日、イメージを共有していただきましたアクティブガイド2023を周知する意味で、「リーフレット(アクティブガイド2023等)配布」というような記載をしていただければと思います。
2点目は、「働き世代・企業へのアプローチ」と「若い世代へのアプローチ」ですけれども、研究班といたしましては、今回イメージとして示していただいたアクティブガイド2023と同じようなフォーマットで、働く人版ですとかこども版を作成しておりますので、そちらもぜひ採用していただいて、地域を通じて、あるいは国の取組で連名通知等されておりますけれども、労働部局ですとかスポーツ庁と連携して、職域とか学校とかに配布していただければと思います。
3つ目は、「健康教育・保健指導」です。こちらは括弧書きで「ハイリスクアプローチ」と記載されておりますけれども、特定保健指導の対象者をハイリスクと定義するように受け取られてしまうとか、あるいは、健康教育や保険指導は必ずしもハイリスクアプローチではないと思いますから、削除することを提案させていただければと思います。そして、生活習慣病患者への運動指導につきましては、健康増進施設等というよりは、生活習慣病患者への運動指導という役割がはっきりしている指定運動療法施設がございますので、そちらは「指定運動療法施設等の活用」と記載していただいて、健康増進施設の認定制度におけます指定運動療法施設の認知度を高めることを提案させていただければと思います。
最後に、「環境整備」ですけれども、参考資料4の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」の中に、「身体活動支援環境」というシートを掲載していますので、そちらもぜひ広く周知していただければと思います。
長くなって申し訳ございませんが、右側の国の取組につきまして2点、簡単に提案させていただきたいと思います。まずは、「自治体が使う普及啓発資材の作成と周知」についてですけれども、こちらも「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023の作成と周知」と、記載していただいておりますけれども、本日イメージを共有していただいた「アクティブガイド2023」につきましても国民向けとして作成と周知として記載していただくことを提案させていただきます。
最後は、国として調査研究の推進を追加していただくことを提案させていただきます。例えば国民健康・栄養調査ですとか、特定健康診査における身体活動・運動の現状把握と調査結果の解析・周知、あるいは、身体活動・運動と健康に関する研究を推進して、エビデンスに基づく健康政策を推進することや、あるいは、厚生労働科学研究によるエビデンスの創出といったことを、こちらに記載することを提案させていただきます。すみません、長くなりました。以上です。
【辻委員長】  ありがとうございました。ただいま参考人の先生方から、特に資料2の5ページの細かい文言について追加・修正等の御提案を頂きましたので、これにつきましては、また事務局と私のほうで検討させていただきたいと思います。貴重な御意見どうもありがとうございました。
いずれにいたしましても、この身体活動・運動領域の一次、二次の流れをずっと見ていますと、基本的には歩数は減る一方であって、身体活動をする人も減ってきている。これは環境づくりで言えば、自然に健康になる環境づくりというのが今回の1つのものとして出ているわけですけれども、この間の流れを見ていきますと、自然に運動不足になってしまうような環境が、もう日本全国で広がっているわけです。ですから、この環境の流れは変えることはできないわけですけれども、その上で国民の歩数、あるいは身体活動を増やしていくというのは、容易ではないことは事実なのですけれども、我々委員のほうも頑張りますし、事務局の厚生労働省の方々も頑張ってくださると思いますし、また、今日の参考人の4名の先生方、またなお一層の御努力、また我々との御協力をお願いしたいということで、身体活動・運動領域に関する議論はこれまでとしたいと思います。どうもありがとうございました。
 
・休養・睡眠
【辻委員長】  では、続きまして、休養・睡眠領域の議論に移りたいと思います。初めに事務局から資料の説明お願いします。
【田邉室長】  では、資料2及び資料4-1、4-2を用いて御説明させていただきます。
6ページ目をおめくりいただきまして、こちらは休養・睡眠分野についてまとめたものでございます。左側が告示、真ん中が地方における取組とそのポイント、一番右が国の取組となってございます。同様にアクションプランの基となるといいますか、ラインナップのようなものについて項目を書き出させていただいてございます。普及啓発、健康教育・保健指導、環境整備、それから、健康への関心が薄い方に向けたアプローチとしてのICTの活用等についてまとめてございます。右側のほうに、国の取組ということで、スマート・ライフ・プロジェクトでありますとか、e-ヘルスネット、あるいは今回の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」ということで書かせていただいております。
では、資料4-1にいかせていただきます。おめくりいただきまして、こちらは、まず第二次における睡眠分野の最終評価でございます。睡眠による休養を十分に取れていない者の割合の減少という目標だったのですけれども、残念ながら増えているということで、悪化という評価になってございます。
また、おめくりいただきまして、国民健康・栄養調査で睡眠時間についても見ておりますが、大体4割の方が6時間未満で、世代によっては5割の方が6時間未満ということで、睡眠時間についてもなかなか厳しい状況でございます。
こういう状況を踏まえまして、おめくりいただきまして、第三次では、睡眠の質と量、両方に関する項目について目標を設定してございます。睡眠の質ということで睡眠休養感、睡眠の量ということで睡眠時間、それぞれについて目標を設定して、睡眠で休養をとれている者の割合の増加、それから、睡眠時間が6~9時間、60歳以上については6~8時間の者の割合ということで、第三次では、睡眠分野についてそれぞれ目標を設定して取り組んでいくこととさせていただいてございます。
おめくりいただきまして、健康日本21と睡眠領域の指針の関係でございます。健康日本21とパラレルで、睡眠分野につきましても睡眠指針というものを作ってまいりました。前回のものが睡眠指針2014ということで、今回、睡眠ガイド203としてございます。「指針」と言いますと、どうしても画一的な、みんな誰もが同じものを守るというようなイメージでございますけれども、睡眠についての個人差は大きいですので、「睡眠ガイド」ということで、これを参考にしていただいて質の高い睡眠の確保に努めてはどうかということ等で、名前も「睡眠ガイド」に変更したという経緯でございます。
おめくりいただきまして、こちらの検討会について書かせていただいております。日本睡眠学会の内村先生に座長に就任していただきまして、睡眠領域、それから呼吸器でありますとか、産業医の先生方に集まっていただきまして、このガイドのアップデートをしたという経緯でございます。
おめくりいただきまして、睡眠ガイド2023での推奨事項をまとめてございます。こちらもこれまでと少しフォーマットを変えまして、こども、成人、高齢者と、ライフステージベースに推奨事項をまとめてございます。
まず、こどもにつきましては、睡眠時間に関して、こどもは必要な睡眠時間が世代によって変わってきますので、小学生、中学生、高校生と、それぞれ睡眠時間について参考としての時間を示してございます。それから、こどもの場合はどうしても朝寝坊・夜更かしになりやすいということがございますので、それに対する注意喚起、あるいは、生活のポイント等について記載してございます。
一方で、成人については、睡眠時間が足りない、短いということが日本人の課題と言われてございますので、6時間以上を目安とし、それ以上の時間を確保してくださいという睡眠時間の目安を書いてございます。それから、睡眠の時間に併せて睡眠の質についても重要な観点でございますので、睡眠休養感を高めるということを書いてございます。朝起きた時に、よく寝たという睡眠休養感、これを高めるために生活習慣でありますとか睡眠環境、これについての見直しをしてくださいというメッセージを2つ目に書いてございます。それから、特に成人の場合、生活習慣でありますとか環境を見直しても睡眠の問題が改善しない場合には、睡眠障害という疾患の可能もございますので、そういうものに対する注意喚起について、3点目に書いてございます。
最後、高齢者でございます。高齢者に関しましては、逆に長い床上時間が健康リスクになるというエビデンスがございますので、床上時間が8時間以上にならないことを目安に、睡眠時間の確保ということを1点目で書いてございます。2点目は、同様に睡眠休養感が大事でございますので、生活習慣でありますとか睡眠環境の見直しにより睡眠休養感を高めましょうということを書いてございます。それから、3点目、高齢者では長い昼寝が夜間の良眠の妨げになると言われてございますので、日中の昼寝はなるべく短くしていただいて活動的に過ごすようにということで、昼寝に対する注意喚起を3点目に書いてございます。このような感じで睡眠に関する推奨事項をまとめたのが、睡眠ガイド2023になってございます。
おめくりいただきまして、睡眠ガイドが生活指導される方向ございましたので、こちらについても国民に向けた普及啓発のツールを作ってはどうかと考えてございます。
運動のアクティブガイドのようなものがこれまでございませんでしたので、資料4-2にいっていただきまして、睡眠につきましても普及啓発の素材となるものを作ってはどうかということで、このようなイメージで考えてございます。「ぐっすりガイド」ということで、成人、こども、高齢者と、世代に合わせた推奨事項をまとめてはどうかというイメージございます。今回はイメージを提示させていただいております。
それから、これまでは睡眠領域では、最初の時には7カ条、2回目の改訂で12カ条というものを作成しておりました。今回は、シートの整理等を踏まえまして、「睡眠5原則」ということにしてはどうかというイメージで書いてございます。現在は全世代共通のものなのですが、せっかく世代ごとに推奨事項をまとめておりますので、これも今後世代に応じた睡眠のポイントについてまとめていければというイメージで考えているところでございます。
資料4-1に戻っていただきまして、こちらが、国民一般に向けた普及啓発の素材・ツールについて、国のほうで準備させていただいてはどうかというイメージで考えているところでございます。
おめくりいただきまして、次も身体活動・運動分野と同様に、生活指導の場で睡眠についての指導をされる方に向けたツールの提供でございます。睡眠に関しては支援ツール、解説書はなかなかあまりないという現場からの御意見も頂きましたので、国のほうでも準備しております。こちらも2014版をベースに作っておりますので、早急にアップデートをして、新しいものを公表し、市町村等々で活用いただけるようにと考えてございます。こういう生活指導をされる方に向けた支援のツールということでございます。
おめくりいただきまして、好事例でございます。睡眠領域につきましては、市町村等の取組についての好事例はまだまだ集めきれておりませんので、今後、スマート・ライフ・プロジェクト等を活用して集めていければと思っております。現在、スマート・ライフ・プロジェクトのホームページでは、民間企業での仮眠室等を活用した取組について御紹介しておりますので、今回はそれを例としてあげてございます。今後、こういう好事例についてもしっかり集めて横展開をしていければと考えてございます。
では、資料2のほうにお戻りいただきまして、こちらも同様に、市町村等がアクションプランとして進めていく上でのラインナップといいますか、アプローチの方法等について事務局でまとめてございます。こちらにつきましても、先生方から御意見を頂いて、市町村がより参考になるものに出来ればと考えておりますので、御指導いただければと考えてございます。事務局からの御説明は以上でございます。
 
〈質疑応答〉
【辻委員長】  ありがとうございました。それでは、休養・睡眠領域の取組について議論したいと思います。ここからは参考人の内村先生、尾﨑先生、栗山先生にも御参加いただきます。
まず最初に、睡眠ガイドを策定した検討会の座長を務められました内村先生から、一言お願いしたいと思います。
【内村先生】  久留米大学の内村です。よろしくお願いします。
今回は「睡眠指針2014」を改訂しまして、新しく「睡眠ガイド2023」というものを作成いたしました。これは、今までは睡眠の目標としては睡眠の質ということで、睡眠休養感を唯一の目標値としていたのを、今回は睡眠時間、睡眠の量も目標値としまして、さらに、成人、高齢者、こどもということで、ライフスタイルに分けて、睡眠の量と、そして質、睡眠休養感があるかどうかということと、それぞれの睡眠時間を提示しまして、そして、それぞれのライフステージごとにまとめています。
この睡眠というのは今まで軽視されてきたということがあって、それをいかに国民の方に啓発していくかというのは、なかなか難しいところがありますけれども、ただ、先ほど紹介があった「ぐっすりガイド」、これもすごくわかりやすく、睡眠5原則ということで、睡眠の質と量をきちんと、目標値を達成するためには睡眠環境が大事である、これを第2原則に持ってきて、さらに生活習慣、嗜好品、この3つをきちんとコントロールすることが大事で、それでも睡眠の質や量が達成されない場合は、睡眠障害の可能性があるので専門家に紹介するようにというふうに、一般の国民や、あるいは職域の方々にもわかりやすいように、このぐっすりガイドが作られることによって睡眠の目標値が達成されるのではないかと思っております。
できれば、この第5原則の、睡眠障害がある場合には「専門家」と書いてあるのですけれども、今、睡眠の専門家というのがわかりにくいというか、ホームページで調べれば睡眠の専門医や専門施設が分かるのですけれども、まだ睡眠のほうは、先ほどの運動のような整形外科とかリハビリテーションというような、いわゆる標榜ができないようになっていますから、睡眠科というふうに標榜できるようになって、このぐっすりガイドで、一般の方々が問題を感じた場合に相談に行ける場所、受診する場所が明らかになっていくと、今回作りました睡眠ガイド2023、さらに、ぐっすりガイドが、より活かされるのではないかと考えております。
ただし、今回は睡眠に関しての専門家だけではなくて、一般の国民へ啓発するためにすごくわかりやすく作られたものだと感じています。
【辻委員長】  ありがとうございました。それでは、休養・睡眠領域の取組につきまして、皆様から御意見を頂きたいと思います。できましたらば資料2の6ページ目の議論を中心にしていただいて、資料4-2のぐっすりガイドにつきましても、御意見がありましたら頂きたいと思います。どうぞよろしくお願いします。では、尾﨑先生、お願いします。
【尾﨑先生】  参考人の尾﨑です。よろしくお願いいたします。
この真ん中の「地域における取組とそのポイント」について、気が付いたことなのですけれども、高齢者へのアプローチのところに、ぜひ介護部門との連携というのを入れていただけたらと思っております。例えば高齢者の介護の施設というのは、消灯時刻が夜の8時頃になっていて、起床時刻が朝の6時というふうに、非常に床に就いている時間が長すぎるところもあります。もちろん、高齢者の方の意向でその辺りのスケジュールを決められる所もあるのですけれど、決まっている所があります。そうしますと、床に入っている時間が長いがために睡眠休養感がとれなくて、日中昼寝をして、夜、さらに眠れなくなるといった悪循環に陥っている高齢者の方があるかと思います。
それから、睡眠呼吸障害などでCPAP(シーパップ)を使う高齢者が介護施設に入っていることもありますので、介護関係の方に睡眠や睡眠障害について御理解いただくことが重要かと存じます。よろしくお願いいたします。
【辻委員長】  ありがとうございます。では、長津委員、お願いします。
【長津委員】  「若い世代のアプローチ」のところですけれども、先ほどの学校保健の話もそうなのですけれども、私たち薬剤師は中高生に対して、薬物の適正使用もそうなのですけれども、健康づくりに対しての授業をすることがあって、その中で睡眠に関してや、栄養ですとか、そういったこともアプローチしていくのですけれども、こどものうちから睡眠の習慣が付いてないと、絶対大人になって取り戻せないので、ここは1つ、学校保健も利用して児童生徒に対しての睡眠の教育というか、周知ということも1つ掲げておいたほうが良いのではないかと思います。大人になってから睡眠の習慣を整理するというのはなかなか難しいと思いますので、ぜひそこは御一考いただきたいと思います。
【辻委員長】  ありがとうございます。では、津下委員、お願いします。
【津下委員】  3点あります。1つは、「健康教育・保健指導」のところで、特定健診対象者で睡眠の質に問題がある者の生活指導とあるのですけれども、質問項目の中に入っているのですが、そこに対してきちんとアプローチをすることが重要で、ここにチェックを受けた人にはぐっすりガイドを提供するとか、眠れていない状況を確認するということが重要ではないかと思います。特定保健指導で、睡眠不足の方はなかなか食生活・運動の行動変容が起きにくいということがわかっていますので、食生活・運動の指導の前に、睡眠をきちんと確保するということを伝えていただくというのも重要ではないかと感じています。
2点目ですけれども、こどもですけれども、睡眠時間を削って頑張るというか、塾など、いろいろ遅くまで頑張っているということがあって、学校だけではなく塾など、こどもの生活全体をどうしていくか、とはいえ大人の社会全体も夜遅くまで仕事をしているという現実もあるので、もう本当にこれは睡眠だけ取り上げるというか、社会の考え方を変えていく、こどもも夜の時間の過ごし方をどうしていくのかというのは、学校だけでは対応できないことでもあり、親の関心とか、そういうことが非常に重要、寝ないと成績も上がらないとか、そのようなことがもしエビデンスとしてあるのであれば、そういうこともきちんと伝えていくというのが重要かと思っています。
それから、高齢者ですけれども、国保データベース(KDB)で分析していると、かなりの方が睡眠薬を服用しています。睡眠薬を服用して転倒したことがあるというところにチェックを付ける方が、かなりの数があるということがKDBのデータから抽出できています。ということで、睡眠薬について、どう向き合えばいいのかということについて悩んでいる国民も多いと思います。ぐっすりガイドでは生活習慣とか環境という話なのですけれども、睡眠に問題がある方について、どうアプローチするのか。医療機関にかかると睡眠薬の処方で終わってしまわないかとか、その辺りもどうしていくのかということをしっかり議論し、コンセンサスを作っていくということが重要ではないかなとも感じますし、特に転倒歴のある高齢者の睡眠薬については、これはしっかりと本人又は家族とも相談していく必要があるのではないかと感じています。
【辻委員長】  ありがとうございます。では、栗山先生、手が挙がっていますので、どうぞよろしくお願いします。
【栗山先生】  私から2点ございます。まず最初は、先ほど運動班の中でも話題に挙がりましたし、今、津下委員からもお話があったと思いますけれども、運動、食生活、こういったものとしっかりとリンクをしていくということが非常に重要だと思っております。というのも、やはり睡眠のタイミングを決めるのは、食生活を含めた規則正しい生活がないと難しいことですし、睡眠の質を十分上げるためには、やはり昼間にしっかり十分運動するということも重要になってきますので、ここのリンクを今後強めていく必要があると考えております。
もう1点は、記録です。運動班もそうだと思うのですけれども、やはり、自分がどれくらい寝たかというのをしっかり自覚することはなかなか難しいと。そういったことを背景に、誤った睡眠時間というものができてしまっていると。若い人は睡眠不足ですし、高齢者は床上時間過剰ということになりますけれども、こういったものを是正するためには、やはり、今流行していますけれども、スマートウォッチ等々を使ったICTの活用によって、客観的に評価をしていくような流れをつくって、それによって記録された毎日の行動状態を、本人が確認してそれをフィードバックすることも重要ですけれども、地域、地方自治体、そして職域がこれを活用して、健康増進に役立てていくこと。そして、それをもって疫学調査をしながら、将来の目標をより強固にしていくこと。こういった流れが今後非常に重要だと考えております。
【辻委員長】  ありがとうございました。ほかに皆さんから何かございませんか。諸岡委員、お願いします。
【諸岡委員】  もう多くの先生方がおっしゃっていただいたことではあるのですけれども、先ほどの運動もそうですし、この睡眠もそうですけれども、やはり食事という面を、適切に摂取する。特にこの睡眠に関しては、食事のタイミングという辺りが非常に重要かと思いますので、生活習慣という文言はここに記載はありますけれども、やはりどこかに具体的に、適切な食事という辺りの記載をしていただけるといいのではないかと思ったのが1点です。
次に申し上げるもう1点は、もしかするとすごくピントがずれているかもしれないのですが、この「環境整備」というところで、自分自身の睡眠について考える時というのが、例えば枕を買いに行く時とか、ベッド、寝具を用意する時とか、つまり、何かしら睡眠の質を上げるために良い睡眠環境を整えるという意味においては、先ほどの運動のところは、歩きやすい環境ということがあったように、この睡眠のところについてもそういったところ、寝るというところの環境を整えるための、何かしら普及啓発であったり取組というものもあってもいいのではないかと思いましたので、少し発言させてもらいました。
【辻委員長】  ありがとうございます。ほかにどなたかいらっしゃいますか。よろしいでしょうか。
それでは、だいぶ時間も迫っていますので、これくらいにしたいと思います。今日の議論を振り返ってみますと、「健康寿命をのばそう!アワード」の中でも、この睡眠は追加してもいいのではないかという議論が出るくらい、今、睡眠に対する関心、あるいはそのような事例も広がってきていますので、ぜひ対応していただきたいと思います。
あとは、今日何度か御発言がありましたが、睡眠だけを切り離して議論するのではなくて、食生活、運動も含めて総合的に取組をしていくという点では、まさにスマート・ライフ・プロジェクトそのものですので、そういった形での戦略も進めていただきたいということ。
それから、今回睡眠に関して1つ新しいことが起こってきているなというのが、先ほど栗山先生もお話になりましたけれども、スマホ等で睡眠の質や時間をきちんとモニターできるような体制ができてきているという点では、睡眠に関する戦略も従来のものとはかなり変わってくるのではないかと思いますので、そういったところもまた楽しみに進めていただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
では、議題(2)につきましては以上にしたいと思います。本日皆様から頂いた御意見を踏まえまして、事務局のほうで引き続き御検討お願いしたいと思います。
まだ若干時間がありますけれども、全体を通しまして皆さんから何か御質問、追加、御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
御意見はないようですので、それでは、本日の議論はここまでとさせていただきます。
 
(3)その他
【辻委員長】  最後に、事務局から何か追加で御連絡等あれば、お伺いいたします。
【加藤補佐】  今後のスケジュールについて、御案内申し上げます。次回の委員会については、今回の議論等を踏まえまして、追って調整させていただきますので、お忙しい中恐れ入りますが御参加いただきますよう、よろしくお願いいたします。
 
3 閉会
【辻委員長】  それでは、本日の委員会を終了したいと思います。委員の皆様、それから、参考人としてお越しいただいた先生方、活発な御意見を頂きましたこと、また、スムーズな議事進行に御協力いただきましたこと、改めて御礼申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。
では、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

 

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