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2018年3月9日 健康日本21(第二次)推進専門委員会(議事録)

○日時

平成30年3月9日(金) 10:00~12:30


○場所

厚生労働省 専用第22会議室


○議題

1.各項目の進捗状況について

2.目標の設定について

3.「健康日本21(第2次)」中間評価報告書 素案について

4.その他

○議事

 

○川本課長補佐 定刻になりましたので、ただいまから第11回健康日本21(第二次)推進専門委員会を開催いたします。委員の皆様には、御多忙の折お集まりいただき、御礼申し上げます。

 それでは、前回の開催以降に委員の改選がありましたので、新しく当部会の委員に御就任いただきました委員を御紹介させていただきます。独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター副院長の松下幸生委員です。

○松下委員 久里浜医療センターの松下と申します。基本的には精神科の臨床医でありまして、ちょっと場違いな気がしておりますが、よろしくお願いいたします。

○川本課長補佐 よろしくお願いいたします。本日は、現在のところ22人中21人の委員の先生方に御出席いただいておりますので、議事が成立することを御報告いたします。

 まず、配布資料の確認をいたします。議事次第、委員名簿、座席図の下に資料1-1は評価シート【様式1】、資料1-2は評価シート【様式2】、資料2は目標に関する整理2、資料3は目標の変更案一覧。参考資料1は中間評価方法について、参考資料2は目標項目

一覧です。また別のクリップどめで、資料4-1は中間評価報告書素案、資料4-2は中間評価報告書素案別添です。資料の確認は以上ですが、もしお手元に配られていないもの、あるいは落丁等がございましたら事務局までお申し付けください。

 それでは、カメラ撮影はここまでとさせていただきます。以降の進行は、辻委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○辻委員長 それでは、どうぞよろしくお願いいたします。本日の議題1は「各項目の進捗状況について」です。まず、事務局から資料の説明をお願いいたします。

○知念課長補佐 健康課の知念です。私からは資料1-11-2を使いまして、議題1について御説明いたします。これまで各項目の進捗につきましては、今年度開催させていただきました3回の会議の中で、ある程度進んでいるところです。一部の未算出でしたり、直近の実績値がなかったため評価保留にしていた項目について、本日改めて評価をしていただくことと考えております。基本的には、各御担当の委員の先生方から資料の説明をお願いしたいと考えています。また一度は評価していただいた部分で、今回直近値の更新という点で御説明いただくような項目におきましては、修正点を中心に御説明いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

○辻委員長 ありがとうございました。まずは評価保留となっていた項目で、この度、直近の実績値が更新されたということで、新たに評価いただいた項目について、各担当委員の方から御説明を頂きたいと思います。各項目の説明時間は5分程度でお願いしたいと思います。

 それでは早速、私から目標項目1の健康寿命の延伸と健康格差の縮小の実現に関する目標の(1)健康寿命の延伸について説明いたします。資料1-1の一番最初のページを御覧いただくと、目標といたしましては、平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加ということになっています。皆さん御案内のとおり、健康寿命というのは国民生活基礎調査の3年に1遍行われる大規模調査、約70万人の方を対象として行われるものですけれども、その平

28年の調査結果のデータを基に、私どもの厚生労働科学研究班で橋本修二先生を中心に計算をいたしましたので、報告したいと思います。

 まず、策定時のベースライン値ですが、健康寿命は男性が70.42年でした。それが平成28年、つまり6年後には男性で72.14年ということですので、1.72年の伸びということになります。女性は73.62年から74.79年ということで、1.17年健康寿命が伸びたことになります。そこで、この様式1の真ん中の(1)直近値に係るデータ分析の所を御覧いただきたいのですが、2つ目の○の平成24年から平成28年までに平均寿命が男性で1.43年、女性で0.84年増加していますので、健康寿命の増加分は平均寿命のそれを上回っています。したがいまして現時点においては、平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加という目標は達成されている、達成中と評価できます。

 次の○ですが、これは統計学的な検定を行ったということであります。別紙1を御覧くださいとなっていますが、2つ目のカバーになっている資料1-23ページの右上に別紙1というボックスが書いてあります。これは健康寿命の算定結果の概要、全国の推移ということで、私どもの厚生労働科学研究班で藤田保健衛生大学の橋本修二教授が出された分担研究報告書をそのまま掲載させていただきますけれども、2010年、2013年、2016年の健康寿命の推定値とその推移の検討をしたわけでありますが、日常生活に制限のない期間と制限のある期間それぞれについて、この3時点での推移を見ています。

 その結果、次ページを御覧いただくと、図1として「日常生活に制限のない期間の平均」と「日常生活に制限のある期間の平均」、これは男性の結果が書いてあります。2つグラフがありまして、上のグラフは「日常生活に制限のない期間の平均」ということで、いわゆる健康寿命になります。2010年、2013年、2016年の各数値は直線的にフィットいたしまして、この傾きを統計学的に検定すると傾きがゼロを上回っている、つまり、有意に増加しているということについて、P0.000ということですので、有意に増加しているということです。下のグラフの「日常生活に制限のある期間の平均」ですが、これはいわゆる平均寿命と健康寿命の差になりますけれども、それがこの2010年、2013年、2016年の3時点比較で書いてあり、これも非常に直線的にフィットし、-0.06xということで傾きが有意にゼロを下回っているかということでは、有意な差があったということであります。

 女性も同様の結果でした。この3時点比較で考えると、男女とも日常生活に制限のない期間の平均、つまり健康寿命が有意に増加し、平均寿命と健康寿命の差であるところの日常生活に制限のある期間の平均は男女とも有意に減少しているということで、目標を十分に果たしていると判断されました。以上です。

 続いて、同じく目標項目1の健康寿命の延伸と健康格差の縮小の実現に関する目標のうち、(2)健康格差の縮小について、横山先生から御説明をお願いいたします。

○横山委員 (2)の健康格差の縮小について説明いたします。資料は様式12ページです。こちらは健康格差の縮小で、日常生活に制限のない期間の平均の都道府県格差の縮小というものを指標としています。そこに示してあります数字は、健康寿命が最も長い県と最も短い県の差です。具体的な数字については、先ほど辻先生から御説明がありました別紙1の続き、7ページからになります。こちらが「日常生活に制限のない期間の平均」の男性の都道府県別の値で、2010年から2016年の3時点の値及びそれらの平均も併せて示してあります。次ページが女性で、その後が「制限のある期間」で男女、次の11ページからが長い順に並べて図示したものとなっています。この一番長い所と一番短い所の差を取ったのが様式1の所に書いてある数字です。これを見ますと、男性2.79年という差だったものが直近では2.00年と縮まっている、また女性は2.95年だったものが2.70年と少し縮まっているということになっていますので、つまり格差が縮小報向に動いているという解釈になります。

 ただし、様式1(1)の所にも書いてありますけれども、単純に最も長い県と短い県の差のみでは、都道府県間の格差全体の縮小に関する分析としては十分ではないだろうと、47都道府県間のばらつきの大きさを全体として見て、これは標準偏差で表すことができますが、これは都道府県格差の指標(以下、「地域格差指標」という)になると考えております。これにつきまして、辻先生の厚生労働科学研究において地域格差指標を計算し、その検定も行っています。

 これらの数字は全て橋本修二先生が計算されたものですが、それを見ますと標準偏差で表した場合、男性は0.580.470.37年と徐々に小さくなっている、女性では0.650.610.53年とやはり小さくなっている、ただし男性のみ有意ということになっています。これを視覚的に分かりやすいようにしたのが別紙23ページです。この図の左が男性ですが、横軸が正規スコア、いわゆるZスコアで、右側のほうが健康寿命が長い、左側のほうが短いと。3つの線があって、それぞれ平成22年、25年、28年でプロットしてあります。これを見ると、この直線の傾きが都道府県格差の大きさを表しています。傾きが急なほど格差が大きい、緩やかなほど格差が小さいということを意味しますので、平成22年の一番下の線の傾きが急だったものが、徐々に上に上昇し、かつ傾きが緩やかになっていることから、健康寿命は改善し、かつ都道府県間の格差が縮小傾向にあるということが見て分かるかと思います。

 同様に、右側は女性ですが、男性に比べると傾きが緩やかになりつつあるように見えますけれども、統計学的に検定するとP0.083で有意ではないと、ただそういった傾向はあるのかなという気がいたします。ということで、男性は低い県ほどより大きく改善し、上のほうも改善はしているけれども、改善幅は小さい。それに対して女性は全体的に改善しているということから、女性については格差が明らかに縮小という形には見えないということになっております。

 先ほどの別紙1に戻りますけれども、都道府県別の2010年から2016年の3ポイントと、3時点の平均値を示したものがあります。図で見たほうが分かりやすいと思いますので、11ページを見ていただくと、この棒が健康寿命の推定値、横に伸びているひげのような棒が95%信頼区間です。単年ごとに見ると、これが信頼区間がやや広くなりますので、例えば上位3県を見たときに、どこが本当に1番か2番かということははっきりしないわけで、そういった意味で余り12番の違いというのは大きな違いではない、偶然誤差の変動の範囲内だろうという気がいたします。

3時点の平均値を見た場合、これは2010年から2016年までの平均的な健康寿命という位置付けになるかと思いますが、信頼区間がやや短くなっていますので、割と上位にいるのか下位にいるのかということをより分かりやすく示されているのではないかと思います。ただし、信頼区間はこの程度の幅を持っていますので、こちらにしても12番の差は誤差のうちと考えられるかと思います。私からは以上です。

○辻委員長 ありがとうございました。続きまして、項目3の社会生活を営むために必要な機能の維持・向上に関する目標の(3)高齢者の健康の(6)高齢者の社会参加の促進(就業又は何らかの地域活動をしている高齢者の割合の増加)、及び項目4の、健康を支え守るための社会環境の整備に関する目標の(2)健康づくりを目的とした活動に主体的に関わっている国民の割合の増加について、近藤先生から御説明をお願いいたします。

○近藤委員 様式1で行きますと、7ページです。目標値が80%と掲げられた、社会生活を営むために必要な機能の維持・向上に関する社会参加の促進の就業又は何らかの地域活動をしている高齢者の割合です。左にありますように、策定時は2つの調査をベースラインにしていました。それに対して右の新しい直近のほうについては1種類になります。比較可能なのはこの1種類だけでして、それでいくと男性は64.0%から62.4%、女性ですと55.1%から55.0%ということで、残念ながら改善とは言えない、横ばいということになります。それを図示したのが次の8ページということです。

10ページです。(2)健康づくりを目的とした活動に主体的に関わっている国民の割合の増加については、35%を目標にしていました。これについては残念ながら全く同じ調査がありませんので、判定が難しい調査もありました。「国民健康・栄養調査」につきましては、平成24年度が27.7、直近のほうでは27.8ということで、これもほとんど横ばいということです。それを図示したのが11ページということになります。

 もう1つ、先ほどちょっと1つグラフを飛ばしてしまいましたが、9ページで、これは社会参加の促進ということで、左のグラフ1が雇用の確保に取り組む企業で、95%ぐらいから徐々に増えています。グラフ2の通いの場の数、これは高齢者の介護予防事業の一環として通いの場を増やそうということに取り組んでいる自治体の数で、オレンジのほうが通いの場がある市町村数でして、1,100弱から1,400ぐらいまで増えています。青い折れ線のほうは通いの場の数、高齢者人口10万単位で、これも徐々に140辺りから210220辺りまで順調に増えてきているという状況です。以上です。

○辻委員長 ありがとうございました。それでは、引き続き項目5の歯・口腔の健康のうち、(2)歯の喪失防止及び(3)歯周病を有する者の割合の減少につきまして、高野委員から御説明をお願いします。

○高野委員 資料1-11221ページと、資料1-22123ページがグラフですので、お開きください。80歳で20歯以上の歯を有する者の割合の増加については、16ページの別紙7ですが、平成17年の25.0%から平成28年で51.2%となっております。17ページの図のほうが分かりやすいかもしれません。「歯科疾患実態調査」のものですが、平成17年はベースラインとして60.2%でスタートしておりますが、平成28年の直近では74.4%ということで増えております。18ページにあります別紙9ですが、平成17年は54.1%で、直近の平成28年は73.2%になっております。暫時、目標値に近付いている状態です。19ページのものは、国民栄養調査の直近が平成26年で、それのスタートの平成16年はベースラインとして38.3%ですが、直近の平成26年では27.1%に下がってきております。20ページの別紙11にありますように」、平成17年は37.3%でしたが、平成28年は44.7%です。21ページの別紙12ですが、平成17年の54.7%が平成28年の直近では62.0%と増加を示しております。

 それぞれ目標に達している前半の部分の項目としては、(2)歯の喪失の中のアの80歳で20歯以上の自分の歯を有する者の割合が増加していて、目標を達成しており、イの60歳で24歯以上の自分の歯を有する者の割合の増加においても改善しており、目標を達成しております。

 ただ、14ページに示しますように、イの項目ですが、40歳代における進行した歯周炎を有する者の割合の変化、このグラフだけを見ると悪化している状態を示しております。これについては平成28年度歯科疾患実態調査から、歯周病の評価手法に一部変更があり、「歯肉出血」と「歯周ポケット」に分けて確認することとなったため、4mm以上の歯周ポケットを有する者が増加した可能性があるということですので、より適切な実態把握と評価を行うためには、新しい調査の方法に則って、今後注視して見ていく必要があるのではないかと考えております。

15ページに示しますように、ウの60歳代における進行した歯周炎を有する者の割合の減少ですが、これも同じように、歯周病の評価手法が変わったために増加した可能性もありますし、さらに、60歳で24歯以上の自分の歯を有する者が増加しており、残存歯数の増加の影響もあると考えられますので、今後引き続き注視していこうかと思っております。以上です。

○辻委員長 ありがとうございました。ただいま4名の先生方から、健康寿命の動向、健康格差の動向、高齢者の社会参加等々に関すること、歯科口腔衛生について、御報告いただきました。これについて、委員の皆様から御質問、御意見がありましたらいただきたいと思います。

○近藤委員 1つよろしいですか。1の(2)の都道府県別の健康寿命で格差が縮まったという大変望ましい、喜ばしい結果が得られています。辻研究班でその要因の分析を進められておられるか、その計画もあるか、また次年度、そのような研究班が立ち上がる見込みがあるか。要因を知りたいと多分多くの方が思われるし、それが分からないと次の手立てとして何が有効かも見えないので、是非、御検討いただきたいという要望も含めて質問です。

○辻委員長 私どもの研究班は健康格差についても見るようにということになっていますので、基本的な生活習慣レベルではありますが、市町村レベルで、NDBデータを使い、格差の状況を見ようと思っています。これは、データを頂くために手続きの時間がかかり、ようやく手に入りつつありますので、来年度の仕事としてその辺はきっちりやっていきたいと思っています。

 ちなみに、都道府県格差ですが、平均寿命の都道府県格差は現実に縮まっているのです。ですので、平均寿命の格差が縮まる以上は健康寿命の格差も縮まって当然ですので、その意味で平均寿命の格差が縮小していることの理由もまだ十分解明されておりませんので、それも併せて考えていきたいと思います。どうもありがとうございます。

 ほかにどなたかありますか。平均寿命の伸び以上に健康寿命が伸びているということですが、何か要因として考えられることはありますか。岡村先生、何かありますか。

○岡村委員 何というのか、同じ年の中での分析をまずして、何が決定をしているかを見て、それを拾い出しておいてから横を見ていくことをしないと、分からなくなってくると思うのです。原因分析は必要なのだけれども、かなり難しいというのが、今、別件でやっている分が思い当たったので、その関連だけです。

○辻委員長 どなたかいらっしゃいませんか。3時点で都道府県の健康寿命を平均してみたら、男女とも山梨県、愛知県、静岡県が上位3位に並んでいますが、今日、たまたま山梨県から来てくださっている先生、愛知県から来てくださっている先生がいらっしゃいますが、こういうものかなというところは何かありますか。

○山縣委員 ほとんど誤差のない、ただ0.01秒差でも金メダルは金メダルみたいな感じの結果だと思うのです。私たち山梨県は、実はかなり前から健康寿命が上位にいることに関しては、いろいろなデータが出ております。2003年からそういう調査をやっており、ワイヘールという高齢者600名をずっと、今年で15年目になりますが、追跡している調査とか、生態学的な調査を基にして要因分析をしているのですが、一応3つ考えております。

1つは、この測定そのものの特徴が出ているだろうと。つまり、主観的健康度とかがあって、若干見栄っ張りだったりすれば、元気だよと○を付けるだろうし、その反映が、例えば要介護認定で見ますと、この上位、特に山梨県などは要介護度1ぐらいまでは非常に割合が低くて、要介護認定で見ても健康寿命は非常に高く出ます。そういう要因が1つあるだろうと。

2つ目は、我々がソーシャルキャピタルのことをやっておりますが、やはり地域でのコミュニティーとか、人のつながりみたいなものがあって、それの1つの形が無尽だということはずっとお話していますが、そういったこと、それから、地域活動が活発だということが、2点目にあるだろうと思います。

3点目が、高齢者の就業率が高いということです。これは生態学的に見ても、65歳以上の就業率を見ますと、やはり正の相関があり、山梨県はトップクラスにあって、農業とか、そういうものができるところがあって、こういう意味では、よく生きがいと言われますが、我々は高齢者が役割を持つことが大切だと思っており、そういう部分がいいだろうと。平均寿命は、男性21位ですし、女性は12位と決して高くなくて、こういう健康寿命が高いということは、山梨県のそういったところが背景にあるかと思っております。以上です。

○津下委員 愛知県もこれまでも健康寿命が高い方には入っていましたが、前回が余りよくない成績でしたが今回は返り咲き。一喜一憂してはいけないと言いながらも、一喜一憂している自分自身の気持ちも感じた今回の結果です。

愛知県の特徴は3つぐらいあると思います。古くから産業県でもあり、今、健康経営ということがクローズアップされていますが、以前から健康を意識した企業が多く、お互いに情報交換をしながら職域の保健活動をずっと進められていることです。一方、女性は平均寿命が余りよくなかったのですが、考えてみると、女性の地域活動は非常に活発で、健康づくりリーダーなどが、地域・ブロックごとに体操など健康づくりの取組をがんばっています。介護予防という概念が出る前からブロック別にいろいろな大会をしたりとかいう状況です。コミュニティーとしての地盤は、居住区もありますが趣味や関心事の集まりがかなり活発に行われていて、それに対して行政側もバックアップしているという長い歴史はあるのだろうと思います。

 もう1つ、愛知県の特徴は、子供のう歯が少ないのです。子供の頃からの学校や家庭での歯の健康に対する取り組みがしっかり行われています。8020の発祥地は愛知県だということですが、歯科保健と全身健康の関係について、かなり長い間一緒に取り組んできたこともあります。子供のときの衛生習慣や行動がずっと大人になっても根付いているというのが、2点目です。

3点目ですが、健康日本21で「スマート・ライフ・プロジェクト」効果が大きいと私たちは思っています。身近な市町村が認証評価される。それで、どのような取組をしているのだろうということで、市町村は、国のガイドラインも見ますが、近くの市町村がどのような取組をしていて、どのような成果があるのか、をよく見ています。また、それをそのままコピーするのではなくて、自分の所で何ができるのかを、咀嚼して取組にいかすことを努力するようになってきました。そういう意味では、健診等のデータが地区別に分析、マップ化されて、それが首長、市長、町長の目に留まって、組織横断的に健康課題を捉えることがごく当たり前になってきたというのが、今、愛知県でひとつ評価できる取組なのかと思っています。

 近藤先生の御発言ではないですが、行政の取り組み、例えば健康日本21、健康寿命を伸ばそうというキャンペーンをいろいろな自治体でやっているわけですが、どういう取組が結果につながるのかは非常に関心が高いところです。取組格差の実態や保健事業についてPDCAが回っているのかどうかの検証が必要と思っています。ブームでいろいろなことを取り組んでいるけれども結果まで行き着かない市町村もあるように思いますので、その辺を丁寧に見て、健康寿命の延伸につながる保健事業を組み立ていくこと、そういう調査ができればいいかと思っています。

○辻委員長 ありがとうございます。ほかにいかがですか。よろしいですか。静岡県の関係の方はいらっしゃいますか。いらっしゃいませんか。ほかに何か。

○曽根委員 歯科のほうで、歯周病のことについて悪化しているのは、主に測定の調査の仕方が変わったということで理解してよろしいのでしょうか。その場合、ただ単に悪化したからCというふうに単純に評価してよろしいのかどうか、その辺りをお聞かせいただけますか。

○高野委員 一番の基本な理由は、調査を行った、診断するというか、測定方法の変化だと思っているのです。ただ、先ほどもお話ししましたように、歯も残ってきていますので、そういう意味で国民自体が歯を残そうということで、かなり厳しい歯も残されてきているということで悪化してしまっていることも、背景としては少しそのあたりもあるのではないかと思っております。

○辻委員長 よろしいですか。ほかにどなたか御質問は。

○山縣委員 これは少し専門的になると思うのですが、先ほど近藤先生が言われた、格差が狭まるというのは、例えばそれは天井効果のようなものとか、それから、低下していけばどんどんその差は縮まっていくというのが、例えば子供の虫歯でも、すごく差があったものが、全体が下がっていくので、結局ゼロに近付いていくと縮まって、その辺りは何か分析できるのですか。健康寿命は天井がどこにあるのかみたいなことを踏まえないと、その差の縮まりみたいなものは評価できない気が少ししたのですが、その辺りはどうなのでしょうか。

○辻委員長 横山先生、何かありますか。

○横山委員 今おっしゃった天井効果というものはあるのかと思いますが、長い県ほどそこから先に更に大きく伸ばすためには、大きな努力が必要なのではないかということもあるのではないかとは思います。ただ、本当にそれが理由で格差が縮小しているかというと、そこまでは分析できていないので何とも言えませんが、結果として、天井効果であったとしても、格差が縮小していくことは、特に低い所は大きく改善していくのは重要なことではないかと思います。

○温泉川委員 今、上位のほう、いい所を皆さんは言われたのですが、下のほう、結構、中・四国は多い、私は四国でもあるし、出身は四国で、広島でもあるのですが、ここは食生活でしょうか、よくうどんを食べるから糖尿病が多いとか、いろいろ言われるのですが、上位ばかりではなくて、なぜ下位なのかと。少し見て本当にショックでした。

○中村委員 大阪は、かなり以前から平均寿命が短いということで、大阪大学や大阪府を中心に研究がされてきました。必ずしもこれだという原因は分からないのですが、1つ大きな要因として考えられるのは、中小・零細企業が多いという社会的な背景が大きく影響していると思います。あと、病気でいうと、主要ながんの死亡率が高い。胃がんのように、大阪ではそれほどり患が高くないにもかかわらず、死亡率が高いものもあり、生活習慣の問題もあるのですが、がん検診による二次予防もきちんとできていない特徴があります。その背景には、労働環境が大きく影響していると考えています。

 最近の状況をは見ていないのですが、古いデータですが、阪大が分析した結果、中年期、働き盛りにあった死亡率が高いことが報告されています。脳卒中にように、要介護の原因として生活習慣や生活習慣病の関与が大きいことがわかっています。認知症についても、喫煙や運動以外に、高血圧や糖尿病といった生活習慣病の要因が関係しています。中高年での死亡率を増加させる労働環境や生活習慣の乱れが、恐らく要介護にもつながっているのではないかと考えています。そのために平均寿命や健康寿命が低迷しているのではないかと考えております。

○温泉川委員 ありがとうございます。

○西村委員 健康寿命と平均寿命の格差に関して、男女の格差がコンスタントに非常に大きい形で続いているのですが、これについての説明は既に出されているのでしょうか。女性のほうがかなり確実に長いという状況が見えるので、こういったものは何か社会的な背景があるのか、あるいは疾患による性差が生まれているのか。この辺についての御説明があると、大変理解しやすいと思いますが。

○横山委員 今の質問は同一県における男女の差という意味ですか。

○西村委員 いや、全体として、常に女性のほうの健康寿命と平均寿命の格差を見ますと、いつの時代においても女性のほうが長いですよね。

○辻委員長 日常生活に支障のある期間のデータですか。

○西村委員 そういうことです。

○辻委員長 平均寿命と健康寿命の格差ということですね。

○西村委員 こういった格差というのが世界共通に見られる現象なのか、あるいは日本に非常に特異的に起こっている現象なのか、その辺は社会的要因が関係しているか、あるいはそれぞれの性差による疾患が背景にあるのか。それで対策が全然違うと思うのです。

○横山委員 今は何とも言えないですが、その点についての要因分析、男性の要因と女性の要因を分析することで、今後、研究班で検討していくべき事項かと思います。

○津下委員 今の御質問は、男性の要介護認定になる理由が、どちらかというと循環器疾患や生活習慣病の重症化、脳卒中関係が多いけれども、女性の要介護理由は、どちらかというと、より高齢に認定されることが多いのですが、整形外科的なものとか認知機能の低下とかが多く、要介護になる理由が男女で明らかに違っています。また、男性は解決すべき生活習慣、喫煙や肥満とかが、女性と比べると課題がまだ大きくて、そういう疾患で要介護になったりされる方が多いという背景があるのが、この結果なのかということです。あと、百寿者などの調査結果を見ると、女性のほうが介護を受けていて長く生きられる方が多くて、100歳に達した方では、男性のQOLのほうが良いと。だから、男性は体の状態が良いと長生きされるのだけれども、女性は低空飛行でも長生きする、その辺の違いがあるかと思われます。女性はケアを受けるのが上手、助けられ上手かもしれません。少し推測での話も含んでいますが、介護のデータから見るとそのようなことが見えるのではないかと。

○辻委員長 よろしいでしょうか。基本的に女性の方が健康期間が長いというのは、日本だけではなくて、世界中、大体そういう状況ですね。

○谷川委員 愛媛県の話が出ましたので、愛媛県に6年間いました経験から述べます。愛媛県は思ったほど温かい所ではなくて、結構、山間部は寒さが厳しい所です。あと、塩分の摂取が山間部では多いというのが、我々の愛媛県のデータでも出しております。何よりも効いているのは、恐らくどこに行くにも車を使わないといけないということで、運動不足は避けられません。私は東京都と愛媛県を往復しているときに、月曜日から木曜日まで東京都に居るとしんどいのです。やはり歩く量が多いのだと思います。そういう意味で、地理的な条件も絡んでいるかということも、私の推測ですが思いました。山梨県でも車(社会)でしょう。

○山縣委員 今の点、少しだけ。例えば、最近、大分よくなってきたのですが、つい最近の国民健康・栄養調査では、塩分摂取は山梨県がワーストでした。それから、大人の数だけ車があるという状況が続いています。ただ、今回の調査は、65歳以上の人たちに関して、当時からそうだったかということに関しては、それほど差がなかったかもしれなくて、その要因は小さくて、むしろ我々山梨県は、今、我々世代や、その下の世代が本当にこういう状況でいけるかどうかに関しての興味を持って、今後対策をというふうに考えています。

○辻委員長 ありがとうございました。ほかにどなたかいらっしゃいますか。

○高野委員 先ほどの歯周病の悪化についての追加ですが、私見を交えてお話させていただきますと、う蝕の低下はフッ化物配合の歯磨剤などの製剤の恩恵をかなり受けて減少化していると思うのです。そのためなのか定かではありませんが口腔ケアを毎食後行わないという習慣が一部では進んでいるのではないかと思います。そういう意味で、う蝕であればしみたり痛みがあるので、歯科医院に来て受診をして治療されるのですが、歯周病の場合はかなり重症化しないと痛みを自覚しないこともあり歯科医院にまで来ないで済ますことになっているのでは、そのような状況ではないかと思っております。

○辻委員長 ありがとうございます。

○岡村委員 格差に戻りますが、私は高知県にいたことがあるのですが、県の中での更に格差みたいなのが恐らくあって、人口が1か所に全部集中している。だから、例えば高知市内とか松山市内だと町なのだけれども、離れた所は何かものすごく遠くて、車に乗れなかったらどこにも行けないみたいな感じの所もあるので、恐らく中の格差が更に県の中でも悪影響を及ぼしている可能性が高いのではないかというのが1つあるだろうと思いました。

○津下委員 先生のおっしゃるとおり、特定健診の地区別のデータ分析などでも、喫煙率、肥満の状況、疾病の保有状況など、同じ県の中でもエリアで、愛知県の中でもかなり格差がはっきり分かっていて、それはずっと定着している。だから、たとえばモーニング(朝食におまけがつく)文化がある所では肥満者が多かったりとか、男性では海の近くが、女性では都市部が喫煙率が高いなど、そういうデータを県が把握して、市町村とかエリア単位で啓発材料にしていくのは非常に重要なことです。先ほどの都道府県の健康格差に対する取組の調査をしましたところ、健康格差対策を意識してやっている都道府県と、まだそこまでは意識していませんという所で温度があることも感じましたので、その辺りは今後の課題になるかと思いました。

○辻委員長 ありがとうございました。ほかにありますでしょうか。

○山之内委員 少し思いつきですが、歯のことで思ったのですが、精神でも、例えば最近、発達障害が精神科医の中ではやっていて、それで診断のつく人がものすごく増えているという現象があります。そういった意味でいくと、例えば歯周病なども、国民の間で有名になってきて、ライオンとかそういう所で、それで歯科医の中でも意識が高まって、逆にそういうことで悪化しているとか、そういったことも考えられるのかと少し感じたところです。

○高野委員 意識が高まって、治療とかケアを熱心にしていただければいいのですが、歯周病に有効なすごく決定的に効く薬効成分がそう多くないことが一番大きいかと。要するに、歯磨き粉とか、デンタルリンス的なものはかなり使われているのだけれども、歯周病は、機械的に除去しないと、デンタルプラークを取らないと治らない。それもポケットの深い所ですので、そういう意味で歯ブラシだと本来届かない。イメージでは届いていることになっていますが、届いたらすごく痛いだろうと私どもは思うところですので、その辺もあるかと思っています。

○辻委員長 それでは、この議題についてはこのぐらいでよろしいですか。では、議題2「目標の設定について」に入ります。事務局から御説明をお願いします。

○知念課長補佐 それでは議題2について資料2を中心に御説明いたします。目標に関する整理については、前回9月に行いました本委員会においても御議論いただいております。その際に、まだ基となっている計画が案段階であったり、またその後新しい展開があったものについて本日、追加で御審議いただければと思います。

 まず最初に、(1)目標設定の際に準拠した計画等の改訂が行われた項目についてです。1つ目の「がん対策推進基本計画」に関しては、別表二で定めている、主要な生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底に関する目標のうち、(1)がん分野において、もともとがん対策推進基本計画に準拠して策定した形になっておりますが、こちらについては前回9月の際にもお諮りしていましたが、その際にはがん計画がまだ閣議決定前でしたので、案として示しておりました。今般、第3期の計画が閣議決定されたことに伴いまして、改めて御審議いただきたいと思っております。

 第3期の計画においては、75歳未満のがんの年齢調整死亡率については、減少傾向へということで定めておりまして、具体的な数値目標は掲げておりません。これはがんによる死亡者を着実に低下させていくためには、がんに罹る者を減らすことが重要であることから、がん検診の受診率等を具体的な目標としているということで、がん対策推進協議会で御議論されたと承知しております。そのため「健康日本21」においても、がん対策推進基本計画に準じまして、(175歳未満のがんの年齢調整死亡率の減少と(2)がん検診の受診率の向上については、推進基本計画に合わせた目標設定にしてはいかがかと考えております。

2ページ目、こちらは「医療費適正化計画」についてです。こちらについても前回9月にお諮りしたものですが、その際もこの計画がまだ案段階でございましたので、今般は正式に計画が策定されたことを踏まえて改めてお諮りするものです。内容については前回も御紹介しておりますが、第3期の医療費適正化計画においても、これに準じた目標としております特定健康診査・特定保健指導の実施率の向上については、第2期と数値目標の変更がなされていないことから、現行の目標を維持してはどうかと考えております。また目標の期限については、第3期の医療費適正化計画と同じく、平成35年度としてはどうかと考えております。

 続いて3ページ目です。こちらは(2)目標値に既に現時点で達成している項目について、今後、目標値の再設定はどうするかという部分について御審議いただきたいと思います。先ほど高野先生から御紹介いただきましたが、別表第五の「歯・口腔の健康」の部分について、幾つか目標値を既に上回った部分がございます。まず、(2)歯の喪失防止です。こちらは目標については、「80歳で20歯以上の自分の歯を有する者の割合の増加」が50%を目標としていたものと、「60歳で24歯以上の自分の歯を有する者の割合の増加」が70%としていたところ、いずれも51.2%、74.4%で目標値を達成したとなっております。これを受けまして、80歳で20歯以上の者の割合の増加につきましては、平成34年度までに60%を目標にすること、また60歳で24歯以上の者の割合については、平成34年度までに80%とすることについて、改めて目標を上乗せする形で再設定してはどうかと考えております。

 続いて(4)幼児・学齢期のう蝕のない者の増加です。こちらの状況については、前回9月の際にも御報告はしておりましたが、その後、歯科の専門の検討委員会を終えまして、目標値を既に達成していることから、今後、47都道府県を目標としてはどうかということで御報告を頂いております。

 続いて5ページ目です。「その他の項目」となっておりますが、こちらについては特に準拠した計画等の変更があるわけではないのですが、メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少については、策定時の目標年度の平成27年度を既に過ぎている状況です。ただ依然として目標値には到達しておりませんので、引き続き目標達成に向けて取り組む必要があることから、目標設定年を健康日本21(2)の終了年に合わせ、平成34年度に変更してはどうかと考えております。こちらは年度の変更のみでございます。

 続きまして、6ページ目です。こちらはこれまで判定困難ということで度々御意見を頂いておりましたが、別表第三の高齢者の健康のうち(2)認知機能低下ハイリスク高齢者の把握率の向上に関する目標です。こちらは策定時に厚労省の「介護予防事業報告」をデータソースとしておりましたが、平成26年の介護保険法改正により、この基本チェックリスト自体を今現在は必須としては使用していない状況にあります。そのため、目標項目そのものの変更が必要となっている状況です。こちらについて厚労省内の担当課、また吉村先生と御相談させていただきながら、新たな目標項目として、認知症サポーター数の増加を改めて設定してはどうかと考えております。こちらの認知症サポーターについては、6ページ目の下に位置付けについて記載しておりますが、こちらは認知症施策推進総合戦略、いわゆる「新オレンジプラン」の中で、認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進でも、主要な政策の数値目標の1つとして掲げられております。認知症はみんなにとって身近な病気であることを、普及・啓発等を通じて改めて社会全体として確認していくという基本的な考え方に基づいて、認知症サポーターの養成と活動の支援を推進することとされております。

 健康日本21においては、社会環境の整備に関することが非常に重要と設定しておりまして、認知症サポーターについても、認知症高齢者等にやさしい地域づくりの推進の重要な要素の1つであるとされており、認知症に関する正しい知識と理解を持って、地域や職域で認知症の人やその家族を手助けする認知症サポーターが養成されることは、社会環境の整備という視点においても、高齢者の健康において目指すべき重要な目標であると考えております。そのため、認知症サポーター数の増加を新たな目標として、新オレンジプラン等の目標との整合を取り、平成26年のベースライン値の545万人から、平成32年度までに目標値1,200万人を目指すこととしたいと考えております。

 最後は8ページ目です。こちらは別表第五の喫煙の中でも、受動喫煙の機会を有する者の割合の減少に関する部分です。受動喫煙防止に関しては、いろいろ報道等されておりますが、今、健康増進法改正の議論の中でまださまざま調整を行っている段階です。そうした昨今の受動喫煙対策に関する動向を踏まえて、こちらにおいても必要に応じて目標の変更を検討したいと考えております。資料2についての説明については以上です。

 また資料3については、これまで様々な策定時からの目標の変更とか、ベースライン値の参考からまた新たに変わった部分とか、ここ数年かけて御審議いただいた内容について一覧にしているものです。グレーの網掛けになっている所が変更点でして、こちらに記載のない目標については、特に修正がないということでお考えいただければと思います。事務局からの説明は以上でございます。

○辻委員長 ただいま議題2として「目標の設定について」、新たな目標の案を提示いただきました。これについて委員の皆様からの御質問、御意見を頂きたいと思います。若尾先生、このがんの方は推進計画に則って、よろしいでしょうか。

○若尾委員 そうしましたら今、事務局から説明がありましたので、若干補足させていただきます。参考としまして、本日の資料4-22ページも一緒に御覧ください。がん対策推進基本計画については、もともと2007年に第1期の計画が立てられまして、その2007標として設定されました。その後平成24年に第2期の計画が立てられたのですが、そのときも第1期の計画を引き継ぐ形で、こちらにある平成27年で目標の73.9が継続されておりました。この度、昨年10月に第3期の計画が立てられたのですが、そのときに全体目標自体が今までの年齢調整死亡率20%という結構きちっとしたものではなくて、1つ目としては、科学的根拠に基づくがん予防、がん検診の充実というスローガン的なものに変更されまして、数値目標も外されて、今御説明がありましたとおり、がんの死亡者の減少を実現するということに変更されましたので、この健康日本21を作ったときの根拠となる基本計画から、その数値目標がなくなったということで、今回の変更が提案されたものと考えます。

 同じように先ほどの資料4-22ページの下側の所にも検診がありますが、検診も第2期計画が立てられたのが2012年ですが、そのときまではちょうどグラフで男性で4本、女性も4本ありますが、2本目までの状態で第2期の計画が立てられたというところで、もともとは50%という計画は第1期から立てられていたのですが、なかなか50%は難しいだろうということで、第2期のときに胃がん、肺がん、大腸がんについては「当面40%」というのが追加されました。ところが、こちらの国民生活基礎調査のデータですが、2013年のデータからかなりがん検診受診率が上がったということで、今回の3期計画では「当面40%」が外されたということで、そちらも併せて今回御提案いただいたものと考えます。以上となります。

○辻委員長 特定健診・特定保健指導の実施率の向上、関わっている先生はいらっしゃいますか。津下先生、よろしいですか。

○津下委員 特定健診・保健指導については平成30年度から第3期に入るということで、検討会において目標値を堅持するけれども、特定保健指導については弾力化する方策とか、それから健診についても随時血糖などが可能になるなど、さまざまな緩和策を取っていますので、是非、目標に向かってやれる工夫をしていくことが必要なのだろうと思います。目標はそのまま維持し、そして保険者ごとの実績を公表するとか、加算、減算を厚くするとか、保険者努力支援制度とかさまざまな方法で上げようという目標がありますので、今後の推移に注目したいと思います。

○辻委員長 ありがとうございます。歯の方はいかがですか。

○高野委員 歯のほうは達成した項目がありますので、やはりそれらの目標設定ではアップしていただければと思っておりますので、よろしくお願いします。

○辻委員長 メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少はいかがですか。これは年度を決めたということでよろしいですか。あとは、この認知症のサポーター数の増加になりますが。

○吉村委員 介護保険法の先ほど知念課長補佐からも御説明がありましたように、ハイリスク者の把握率の向上が指標として最もいいのではないかと思っていたのですが、現実問題として基本チェックリストを使用した介護事業の見直しがありましたので、行政的に把握可能な数字ということで、認知症サポーター数の増加を新たな目標とするのがいいのではないかと思っております。実際問題、認知症そのものの予防というよりも、認知症患者の環境の改善を考慮に入れた場合、サポーター数を取り上げるのは適当な数字ではないかと思います。認知症サポーター養成講座との質の担保であるとか、あるいはサポーター数の増加、将来、認知症の方々の環境改善にどれほど役立つのかといった、効果のの検証についても、今後の課題として考えていかなければならないのではないかと思っております。

○辻委員長 おっしゃるとおりですね。認知症サポーターの講義を聞いて、理解者が増えることはとってもいいことなのですが、ただ、そのサポーターになった方は本当にサポートができるかというと、なかなか力になってないという話を私も聞くことがありますが、その辺また御検討をよろしくお願いします。

○近藤委員 基本チェックリストを全市町村でやらなくなったのですが、ニーズ調査は代表サンプルでやるようにというように厚労省が各市町村にお願いとして出しています。ニーズ調査をやられている自治体はそこそこあると思うのですが、あの中では全員ではなくて代表サンプルの高齢者に調査票を送って調べているのです。その中に認知機能低下に関わる質問が1問しかないのですが、「物忘れありますか」というのがあって、それがたった1問なのだけれども、それなりに認知症の発症を予測する力があるというのは、そこそこ文献があります。認知症サポーター、環境に着目した指標としてはとてもいいと思うのですが、高齢者の中の認知機能低下者の割合が増えているか減っているかをモニタリングする指標としてはやはり全く性質が違う。やらない市町村があるのをどう考えるかという問題があるのでしょうけれども、なくしてしまうよりはニーズ調査を使えないかなという気がします。やはり全市町村が必ずやっている日本の代表サンプルではないということで、使うのは望ましくないということになってしまうのでしょうか。

○知念課長補佐 御指摘ありがとうございます。基本的に今回、中間評価していく中で、いろいろな指標について微妙に策定時とずれているもの等がありました関係もありまして、やはり計画の進捗のフォローの安定性という視点からは、確実に国が把握できるデータソースをもって目標としたほうがいいのではないかといったような考え方がベースにあったものですから、また認知症対策については、国全体としてはオレンジプランの中で推進しているということもございまして、オレンジプランの中で使われている指標を健康日本21の中でも同じく追いかけていくほうが、全体の施策のフォローという意味でも有効ではないかといったような考え方の下に、今回、認知症サポーターについて御提案いたしました。先生に御指摘いただいたような部分ですとか、そのほかのいろいろな調査もので少し関係するかなと思われる部分は確かにあったのですけれども、それをまた新たに独自のものとして展開して、進捗、フォローしていくよりは、基本的な考え方としては、オレンジプランを準拠としてやっていくことのほうが望ましいかなということもございまして、今回の提案に至った次第でございます。

○近藤委員 状況は分かりましたし、そのように考えるのも了解はできます。ただ、高齢者のほうの指標が何もなくなってしまうのはいいのだろうかという思いは少し残ります。参考指標とか、正規の目標ではないのだけれども、モニタリングの努力はしますというようなことはできないでしょうか。そんな中途半端ならやめろということだったら、やめるしかないのでしょうけれど。「見えないものはマネージメントできない」という言葉もありますし、何か見ようと努力はしていますというのはあってもいいのではないかなという気は少しします。

○辻委員長 そうですね、私も賛成ですね。何かきちんとした目標にはならないとしても、参考資料としてずっと見ていけるようなものであるかなと思います。特にこの認知症については予防とかハイリスクというのはとても大事な話ですので、そこの動向をこのインフラとしても見ていきたいなという気がしますので、御検討いただければと思います。

○知念課長補佐 今日は認知症の担当課の方にも同席いただいているのですが、何かコメントがあればお願いできますか。

○老健局認知症施策推進室 老健局認知症施策推進室の佐藤です。よろしくお願いいたします。認知症施策については、先ほど御説明がありましたとおり、新オレンジプランに基づいて施策を推進しております。認知症サポーターについては、平成32年度までに1,200万人ということでもともと平成29年度末までに800万人という目標を掲げておりましたが、既に昨年7月時点で880万人と、目標を達成している状況です。サポーターの養成については、引き続き養成を進めていくとともに、先ほど先生からも御指摘がございましたとおり、サポーターの方々がサポーターになった後に活動できるようにということで、サポーター講座の中で活動事例を紹介したりとか、修了者の方が活動されている、そういった取組について、実際にそういった活動をされている団体の紹介を行うなど、次の活動につなげていくことも今後は進めていきたいと考えております。

○辻委員長 そういうことでお願いいたします。

○道明委員 認知症に関してですけれども、昨年度から新オレンジプランの中で歯科医師、薬剤師も認知症対応力向上ということで研修が行われております。店頭での対応ということで研修を行っているのですが、研修の内容は認知症サポーターとは違って、もう少しレベル的には上になるかと思います。せっかく研修を行っているので、認知症サポーターの養成で活用していただくとか、また認知症サポーターの講師になると、また違うという形になるので、養成されてなってきている部分を活用していくと、もっと広まっていくのではないかなと思いますので、また検討していただきたいと思います。

○辻委員長 ありがとうございます。よろしいですか、ほかに御意見ございますか。

○津下委員 今回の話ではなくて、次になるとは思うのですが、健康寿命の延伸を阻害する要因として、がんとか循環器疾患以外に認知症というのは非常に重要なことであると思います。どちらかと言うと、ハイリスク者とか対策の指標はあるのですけれども、アウトカムに近いところに指標を持ってこれないか、例えば日常生活自立度2以上の方が各都道府県にどれぐらいいるのかとか、それは市町村別にも見ることができる指標なので、少し堅い指標を入れることを視野に置きつつ、今回は現状取れる指標で見ていくなどの、少し指標を整理をしていただくことを御検討いただけるといいのかなと思います。

 また一方、認知症サポーターですが、繰り返し1人が何回も受けていて、本当に頭数なのかなというのが心配で、カバー率のような登録制にしたほうが良いと思います。何人が参加したかのようになってしまうと、どうしても本当の数なのかなという心配もありますので、指標の精度を上げる御検討をお願いしたいなと思います。

○辻委員長 ありがとうございました。では認知症については取りあえず、今回、御提案いただいた認知症サポーター数の増加はお認めするということで、それに加えて、健康日本の第3次と言いますか、その次に向けて、どのような指標があり得るかをこの委員会としても勉強していこうということで、よろしくお願いしたいと思います。ほかに何かございますか。

○山之内委員 ちょっと全般的なそもそものような感じなのですが、目標値のいわゆる根拠というか、例えば今の認知症サポーターでも何で1,200万人なのか、それからがんの検診も50%なのですが、なぜ50%なのかが、自分で言いながら非常に難しい問題だというのはよく分かっているところなのですが、そういったところのもう少し科学的な考察、そういったものが今後入ってくると、これは第3次なのかもしれませんが、いいかなと思っているところです。

○辻委員長 これは健康日本21の始まったときからずっと語られてきている、かなり20年近い議論があるわけですけれども、やはりある意味、自然の推移を基に考えるとか、あるいは到達可能性、フィージビリティも含めて考えるなど、さまざまな次元で皆さん御苦労されながら数字を出されていると思います。特に第1次のときは、健康づくりとして目標を出すこと自体が非常に斬新で、斬新であるがゆえに皆さん混乱もされたわけですけれども、だんだんそれも今収まってきているのかなと思います。これから後でまた議論になりますけれども、第3次に向けて、あるいは第2次の後半の展開に向けて、目標の設定という問題がどうしても出てくると思いますので、そこの中で広く議論したいと思いますので、よろしくお願いします。よろしいでしょうか。

○中村委員 今の御発言に関してですが、これまでも何度か発言しているかと思いますが、第2次の後半でできれば準備をしていけばいいかと思うのですが、第3次に向けてできれば目標値だけではなくて、目標を達成するためにどういう政策や事業が具体的に必要かというところも検討して、設定していくことがやはり重要かなと思います。そういう政策をやった場合にナチュラルトレンドに対してどこまで影響を及ぼすのかということを検討しながら、必要な政策や事業の検討ができるとよいと思います。そういう努力をしていくということが、今後、都道府県とか市町村に対して、こういう政策をやれば、ここまで改善するという、そういうメッセージも併せて国の計画として発信できるのがよいとと思っておりますので、よろしくお願いします。

○辻委員長 その辺で言うと、いちばんロジカルな目標設定を出していらっしゃるのは循環器疾患の方かと思うのです。脳血管疾患の死亡率をこれから減らす。そのためには血圧の平均値が これくらい下がると、どれくらい下がるとか、喫煙率がこれくらい下がると、これくらい下がると。かなり従来の疫学的な数値を基に積み上げて計算していらっしゃいますが、その辺について何か岡村先生、お願いします。

○岡村委員 循環器のところは逆に言うと、基本的なところからになるので、例えばたばこや塩分とか運動とか、生活習慣の改善目標が立てられていますので、そちらの指標が動いたら血圧がどれだけ動いて、それで動いた血圧に対して脳・心血管疾患がどう動くかという、そういう積み上げで計算していることになります。ただ疫学研究の蓄積が分野ごとに違いますから、同じようにできるかどうかというのはかなり厳しいというのがあるのと、それでリスクファクターの管理をしたら少なくとも疾患が減るというのは、循環器ではもう臨床試験できれいに出ているのですけれども、逆に介入の効果の推定は難しいです。例えば観察研究でこういう食べ方をしたらがんが少ないですというのは当然出るのですが、では野菜を食べさせてがんが減るかどうかは、実は分からないかもしれないとか。その研究の分野によって特性が違うので、領域の進捗に合わせてやり方を変えていかなければいけないかなと思います。循環器は循環器で逆に発症登録がないので、死亡でしか評価できないのですが、年齢調整が本当にうまくいっているのかどうかというような、逆にこの分野としての問題点がまたありますので、それぞれケースバイケースなので、特性に応じてということが必要で、一律のやり方はやはり難しいのかなというのが現状だろうと思います。

○辻委員長 ありがとうございました。何か、この目標設定についてちょうどいい議論ですので、何かありますでしょうか。

○温泉川委員 今から議論するのかもしれませんが、この受動喫煙に関してなのですが、行政、医療機関は0%、0%でこれはもちろんよろしいのですが、家庭のところが3%になっているのです。飲食店15%。いろいろな関係があって、これは仕方がないのでしょうが、家庭は一応0%目標では無理なのでしょうか。一応、日本医師会といたしましては、265万も署名を集めて、受動喫煙ゼロとしていますので、家庭では子どものことがありますので、家庭ではせめてゼロでいかがかと思います。職場は、ない職場の実現ということで、ここは目標設定はないのです。日本医師会としての希望です。

○中村委員 私が答えるのが適当かどうか分かりませんが、一応、最初の第2次で設定をする際にいろいろ議論があって、この数字になっています。行政機関、医療機関については、その当時の状況や公共性の高い施設であるということも踏まえて0%に設定しました。全てゼロに設定できればそれに越したことはないのですが、やはり家庭についてはなかなか法規制が難しい。東京都は子どもを受動喫煙から守る啓発条例を作り、家庭での受動喫煙をなくすことを家族の努力義務としましたが、罰則はありませんし、それが全国的に広がっているわけでもありません。今回、健康増進法の改正においても家庭は取り扱っておりませんので、なかなか難しいのではないかということで、目指すはゼロなのだけれども、前回と同様の目標設定でよいと考えています。前回の目標値の設定方法は、やめたい人が全員やめたとみなして、その分の受動喫煙が減るが、それをさらに半減するという考え方でこの数字を出しています。飲食店についても同じような考えで出しています。

 

○温泉川委員 やめたい人の割合から出したのですか。

○中村委員 そうです。

○温泉川委員 分かりました。

○中村委員 更に少し付け加えるとすれば、今回、厚労省が進められている健康増進法の改正の初期の案では、飲食店については屋内禁煙か喫煙専用室設置にして受動喫煙をゼロレベルに近くまで抑えられるような案だったので、それがもし通っていたら、飲食店の目標値を0%にしてはどうかということになるのですが、しかし実際のところ既存の店舗については例外が認められたので、私個人としては今のままの目標値の設定でもいいのかなと、取りあえず第2次が終わるまではいいのではないかなと考えています。

○温泉川委員 いや、どうして3%なのかなと思ったのですが、今のきちんとした計算式があるのですね。

○中村委員 はい、平成24年に厚生労働省から出された「健康日本21(第二次)の推進に関する参考資料」にその説明が書かれています。

○温泉川委員 はい。

○辻委員長 ほかにどなたかございますか。

○正林健康課長 実は今日の午前中ですが、法律、健康増進法の改正案が閣議決定されたと同時に、第3期がんの計画、それも併せて閣議決定されました。実はがんの計画はもう秋に1回閣議決定されていたのですが、受動喫煙の目標だけが、法律とセットにしようということで閣議決定のタイミングが今日になってしまったのです。そこではもうこの行政機関から医療機関から家庭から、もう全部について、とにかく望まない受動喫煙をなくすというのが目標に入りましたので、今後は多分これを見直した結果として、そういう表現に変わっていくと思います。

○辻委員長 分かりました。いずれまたそれについても御議論いただくということで、よろしいですか。それでは目標についてはこれくらいでよろしいでしょうか。では次の議題に入ります。「健康日本21(2)」中間評価報告書の素案について事務局から説明をお願いします。

○知念課長補佐 それでは、資料4-14-2を用いて御説明いたします。委員の先生方のお手元には、まとめてクリップ止めさせていただいております。この素案につきましては、前回の委員会において骨子を示させていただいて、御了承いただきましたので、それを基に12ページ目の目次で書いておりますような構成としております。最初のほうの「健康日本21(2)」の策定の趣旨・動向や、中間評価の目的と方法については、これまで示した内容ですので、御覧いただければと思います。

8ページ目から「中間評価の結果」としてまとめております。8ページ目を御覧ください。今回、指標の全体の評価の状況として、53のうち、32が改善している、19が変わらない、1が悪化している、1が評価困難という形になっております。個別の項目ごとの評価については911ページ目に載せておりますので、御確認ください。その後に続きまして、これまで主に様式2として御記載いただいておりました、各分野ごとの目標設定の状況や、それに関連する取組、また今後の課題についてまとめたものが続く形になります。

54ページ目からは「目標に関する整理」となっており、前回の委員会と本日示した資料を暫定版として載せておりまして、それぞれの準拠した計画の改訂に伴う変更や、目標値が既に達成したことによって、新たな目標を設定したもの、また、その他の項目について、目標値の変更に関する資料を載せております。70ページ目からは「中間評価の総括と今後の課題」として、前回の委員会の中で諮らせていただき、各委員の先生方から頂いた御意見について中心にまとめている部分です。

 また、別紙にしております資料4-2につきましては、参考資料という形で、中間報告書とまとめて全体として公表資料にする予定で考えております。別紙に付けておりますのは、これまでいわゆる評価表1と別紙という形で先生方にお作りいただいた資料になっております。全体の構成については、このような形になっております。 また、中身につきましては、70ページの第5章「中間評価の総括と今後の課題」を中心に御説明させていただきます。こちらについて、前回骨子の段階で諮りましたものに加えて、基本的な方向15までについての総括についてもまとめております。真ん中の辺りから基本的方向1の説明が始まります。基本的方向1の「健康寿命の延伸と健康格差の縮小」につきましては、基本的方向25の目標達成に向けた取組を引き続き推進することが、この上位目標である基本的方向1の達成には不可欠であるということ。健康寿命の延伸の要因や、それに対する対策による健康寿命の延伸期間を具体的に推定するためのエビデンスが必要であるため、今後も引き続き研究を行うことが求められるといった内容についてまとめております。

 基本的方向2につきましては「主要な生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底」に関する部分ですので、一次予防とともに、重症化予防が必要であること。また、疾患ごとに定められております「がん対策推進基本計画」や「糖尿病腎症重症化予防プログラム」等が引き続き推進されていくことが期待されるといった内容についてまとめております。

 続きまして、71ページの基本的方向3の「社会生活を営むために必要な機能の維持・向上」に関する目標につきましては、乳幼児期から高齢期まで、それぞれのライフステージにおいて、健康づくりに取り組むことが必要であることや、子供の頃から健康な生活習慣づくりに取り組むこと、また、心の健康づくりに取り組むことが重要であることについて書いております。これらにつきましても「自殺総合対策大綱」や「健やか親子21(2)」「新オレンジプラン」等、各分野に関連する計画や施策が引き続き推進されていくことが期待されると記載しております。

 基本的方向4につきましては「健康を支え、守るための社会環境の整備」に関する目標で、国民一人一人が主体的に社会参加しながら、支え合い、地域や人とのつながりを深めるとともに、企業、民間団体等の多様な主体が自発的に健康づくりに取り組むことが重要であるという考え方の下に、目標が設定されたこと、また、国だけではなく、産業界や企業、また自治体や団体等と連携して、社会環境の整備を行っていくことが重要であることについてまとめております。

72ページに入りますが、基本的方向5に関する目標につきましては、国民の健康の増進を形成する基本要素として重要であるという考えに基づき設定されたものであること。すなわち、ほかの基本的方向に基づく目標の達成に資する基本要素でもある点について、ほかの目標全体の進捗を支える基盤としての役割を担っていることについて書いております。ただし、こちらの基本的方向5につきましては、中間評価においてはそのほとんどに余り変化が見られない結果であったこと、目標同士の相関関係を鑑みるに、これら基本的要素の改善が不十分な状況については、その他の目標進捗も滞る一因となる可能性が十分考えられることから、より一層の目標の達成に向けた取組が必要であることについて書いております。

 前回の骨子の中では、この基本的方向5について、より強力な取組を進めることが必要ではないかということで、事務局が御提案させていただきました。それにつきまして、各先生方から、基本的方向5についても重要であるけれども、それを支える社会環境の整備もやはり重要ではないかという御指摘を頂きましたことから、それに続く「しかし」以降の文につきましては、基本的方向5とともに、基本的方向4で示しております社会環境の整備に関する部分についても、並行して重点的に取り組むべきではないかということについて述べております。

72ページの○で箇条書きで書いております所につきましては、前回先生方から具体的にお示しいただきました、具体的な取組の方針ということで、まとめております。まず、国、都道府県、市区町村、保険者、保健医療関係団体、産業界が連携して社会環境の整備を進めることで、社会全体としての健康づくり運動に対する気運をより一層高めていくことについて。

73ページになりますが、厚生労働省において健康づくりに資することを目的として策定した各指針等については、認知率が低いとの指摘があることから、スマート・ライフ・プロジェクト等を通じて、健康づくりに取り組む企業や団体においても活用してもらうことで、情報が個人にまで届くよう図っていく必要があること。

3つ目に、自治体における健康づくりに対する取組は、分野によって温度差があるという指摘を踏まえて、効果的な取組を行っている自治体や、企業、団体の事例を広く周知していくこと。また、健康格差の要因分析を引き続き行い、その結果を周知することで、各自治体がより重点的に取り組むべき課題等を分かりやすくしていく必要があることについて記載しております。

 その次につきましては、健康課題に取り組む自治体は増加傾向である一方で、取組そのものや結果に対する評価が適切に行われているのかが不明瞭であるという指摘もあります。取組そのものだけではなく、実施した取組に対する評価のプロセスや、その改善の実施方法についても、優良な取組事例の展開を今後図る必要があること。最後に、近年、健康経営をはじめ、健康づくりに自発的に取り組む企業・団体も増加しております。スマート・ライフ・プロジェクトにおける表彰活動等を通じて、優良な事例を周知し、更なる健康づくり対策への参画を広く呼びかけていく必要があることについて記載しております。

 本日につきましては、全体の構成について改めて御意見を頂きたいとともに、特に70ページからの中間評価の総括と、今後の課題につきまして、具体的な内容を含めて御意見、追加の視点がありましたら、是非御審議をお願いしたいと考えております。以上です。

○辻委員長 ありがとうございました。今、この中間評価報告書の素案について御説明いただきました。全体の構成、特に70ページ以降の第5章、中間評価の総括と今後の課題ということについて、先生方から忌憚のない御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。

○西村委員 私、呼吸器を代表して、今回、第2次からここに入れていただいているのですが、実は呼吸器の立場で考えると、肺の健康という観点がこの全体を通して非常に薄いのです。御存じのように、今、肺炎というのは死因の第3位になっています。それから、がんの中でも一番亡くなっているのは肺がんです。また、その背景としてCOPDがあるわけです。ところが、COPDは認知率の向上ということだけでも、第2次に目標として入ったのは大変結構だと思いますけれども、全体を通して肺の健康という概念が、国民の健康という観点からすると非常に薄いので、これは第3次に向けてなのかもしれませんけれども、是非、その点を一言、第3次に向けての目標設定という観点で触れていただけないかなと思うのです。どういう形で入れたらいいか私も分からないですが、この中間の時点でガラッと変えるわけにいかないのはよく分かりますけれども、肺の健康という観点を、どこか一言触れていただいて、その辺を第3次に向けてのきっかけにしていただけないかなと思いますので、一言申し上げました。

○辻委員長 ありがとうございました。ほかには、どなたかいらっしゃいますか。

○近藤委員 70ページからの中間評価の総括の部分で1つ、それから今後の課題で1つ意見があります。まず、この中間評価の目的が5ページにあって、「目標達成のための促進・阻害要因を検討すること」とあるものですから、個別の課題については大変丁寧にデータに基づいてやってきたなと思うのですが、総括的評価みたいなものがないなと、70ページを見て感じました。というのは、健康日本21の第1次の中間評価及び最終評価では、悪化した指標が多くて、このままでいいのかという論議が起きた。その中で社会環境の重要性が認知されてきた。大きく言うとそんな流れだと私は解釈しています。それで言いますと、今回、8ページの一覧表を見ますと悪化した項目が1項目しかないという意味では、第1次に比べて第2次はものすごく進んでいるという言い方ができて、なぜという評価がないというふうに感じるのです。それが何らかの手立てを変えたことで良い方向に向かったのであれば、そのことは積極的に評価して、そういう流れと言いますか取組を、一層強めるべきではないかということになります。その辺が基本的方向の5つの中で言えば、特にこの領域は進んだとか、こちらは遅れているとか、その要因は何でしょうかというような一つ一つの目標値に対する各論ではない、総括的なレベルでの評価というのはあり得るのではないか。そういう論議はあまりしていないので、コンセンサスを得られるのか心配な面はありますが、中間評価の目的がそういう促進・阻害要因を明らかにすることだとすれば、この全体に対する評価、その背景要因についての記載はあるのが望ましいのではないかというのが、総括のほうに対する意見です。

 今後の課題のほうに関しての意見としては、先ほども御発言があったように、3期に向けての課題みたいなものがあってほしいなと思います。途中で論議があったように、目標設定をしようとしたときにデータがなかったので、それは見送りましたという経過があったという御説明を受けて、確かに何もなければできないだろうなと思ったのです。が、そうしますと3期を5年後にやるぞというときに、結局、またデータがないのでできませんでしたと言っていると、みんなが重要だと感じていながら準備ができていないために、いつまでたっても始まらないという凸凹が残ってしまうのではないかという気がいたします。そういう意味で3期のときには、是非、この辺りは今の2次では弱いので、より強めるべきだという緩やかなコンセンサスがあることについては、然るべき研究班を設置したりして、第3次の健康日本21を検討するときに材料が整っているような、そんなことは中間評価のときにやらないと、チャンスを逃がしてしまうのではないかと思います。ですから、3次に向けた課題と言いますか準備すべきことと言いますか、そのようなものが少しあってほしいなと思います。以上、2点です。

○辻委員長 ありがとうございました。ほかに、どなたか御意見はありますか。

○曽根委員 特に70ページ、今後の必要な方針という所ですが、この10年以上、Social determinants of healthとか、あるいは最近ではSocial capitalという形で、いわゆるヘルスの分野以外の様々な要因が、健康に影響を及ぼしているということで、そういう中で健康経営という話も出てきたと思います。ヘルスの中だけに議論が閉じ籠もっているような気がして、もう少し幅広く他の様々な産業政策であったり経済政策であったり、教育の政策であったり、そういうことの健康影響にも目配りをすることも盛り込んだほうが、いいのではないかという印象を持ちました。

○津下委員 私も同感です。健康寿命の延伸が第1次のときには厚生労働省健康局の中だけで語られていて、第2次で広がり、さらに今は日本健康会議とか政府全体で健康寿命の延伸を目指す後ろ盾があって、経済界も動き、首長さんも動いているという大きな構造が、なぜ良くなったかというところの1つの大きな背景にあるのかなと思います。引き続き、様々なステークホルダーが一緒に取り組むことの重要性や、政府としてこういう健康政策を強く押し進めるんだという姿勢が、こういう結果につながった可能性があると示していただくとよいのではないでしょうか。まだ課題はあるけれども、中間評価までのさまざまな動きについても少し触れておいていただくとよいかと思います。スマート・ライフ・プロジェクトも企業が健康に意識を持っていただいたり、キャンペーンも随分上手になったような感じがして、説教くささが抜けてきたような気がします。そういういろいろなものが、それぞれ噛み合った総合評価であることに留意をして記載が必要かなと思いました。

 もう1つ、書かれていないことで地域格差と言っていますけど、実は経済格差とか社会的弱者、う歯の問題や子供の肥満でも、生活保護受給者の家庭の子供や経済的に困窮している家庭の子供についてあまり良くない結果とか、大人のデータでも出ています。こういう調査物というのは調査に答えてくれる人のデータであり、健診を受けてくれる人のデータでもあるものが多く含まれていて、救急外来に飛び込んで来る人というのは健診もあまり受けていないと、救急科の先生とも話をしています。そういう見えていない人たちの存在も意識した記述や、個々の都道府県の取組だけでなく、もう少し横串を刺した格差対策として、今後、何をすべきかということについても言及していくことも必要なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○辻委員長 ありがとうございます。2点、お話いただいたかと思います。前半の方の新しい健康づくり、社会環境の整備と言われましたけれども、1つだけ追加させていただくと、厚生労働省はインセンティブに関するガイドラインを出され、それにより地域で新しい形の健康づくりが広がってきて、これまでそういった行事に来ない人たちにまで広がってきたと思います。ポピュレーション戦略の新たな展開、あるいは、健康づくりと地域の商店街の活性化とのリンク、そういった新しいものが出てきていますので、それによる成果も確実にありますから、そこも足してほしいということ。

 確かに格差ですが、第2次に関しては地域格差だけ取りあえず掲げたというもので、しかも健康寿命の格差という話だけだったのですが、これから更に具体化していく必要はあるでしょうし、そこのところも底上げしないと全体が上がっていかないと思います。非常に重要な御指摘、ありがとうございました。ほかに、どなたかいらっしゃいますか。

○谷川委員 睡眠学会の立場というか、私、別に睡眠学会の理事でも何でもありませんけれども、72ページの上から6行目、「一次予防と深く関連する」という所で栄養と運動が書いてありますけれども、これは休養が書いていないのです。恐らく健康づくりの三本柱として栄養、運動、休養というのは3点セットだと思いますが休養が書かれていません。その原因の1つとしては、例えば39ページの栄養・食生活の所を見ていただくと項目数として5つあって、特に「適正な量と質の食事」とか、これまでも循環器疾患の予防に関するエビデンスというのは、恐らくこの議論がされる20年ぐらい前から既に固まっている非常に成熟した学問分野が、この栄養の分野だと思います。それに比較して45ページの休養の指標ですと、これも20年ぐらい前の学問レベルだと思いますが、「睡眠による休養を十分にとれていない者の割合」と、こんな漠然としたものを書いているわけです。

 一方、45ページに「健康づくりのための睡眠指針2014」の策定とあります。これには相当突っ込んだ様々な睡眠に関する12か条の指針を入れ、さらに国内外の参考文献を豊富に入れて相当苦労して作っていただきました。私もそのときにいましたけれども、46ページに今後の課題を書いていますが、栄養と同じように睡眠が、例えば高血圧とか糖尿病、さらに脳卒中、心筋梗塞の発症予防に、少なくとも睡眠不足若しくは不眠、そして交代勤務、睡眠時無呼吸、この4つを相当しっかりとすることによって、8割ぐらいの睡眠障害というのはカバーできるのではないかと考えています。そういう意味で、これは中間評価ではないと思いますけれども、次の期に向けて改善の所でも交代勤務と睡眠時間、いびき、この3つぐらいの項目を是非とも入れていただきたいというのが、かねてからのお願いであります。以上です。

○辻委員長 山縣先生、その後、温泉川先生。

○山縣委員 71ページの基本的方向の中で、いわゆる乳幼児期からというか子供の時期からの話が入っていて非常に重要な点だと思いますが、全体的に将来を通じたライフコース・ヘルスケアの視点の重要性というのを、もう少し色濃く出せないかなと。この「健やか親子21」などもそうですけれども。その際に言うは易くですが、こういうものを評価していくときに個人のデータの突合、生涯を通じたデータの突合という基盤がなければ、なかなかこういったものの現状を把握したり評価することが難しく、そういったことも具体的な施策の中で、方向性でデータヘルスのような言葉は入っていますが、次世代医療基盤法もこれから走り始めますし、そういう中で、こういったヘルスのデータについても推進されていくと思いますので、そういう文言がこの中に入ってくると、他の政策との関連性も見えてきていいのではないかと思いました。以上です。

○温泉川委員 20ページ、糖尿病関係の所のイで関連した取組というのがあります。私、担当ではないのですが、日医の担当からのお願いです。糖尿病対策の関連した取組で、日本医師会でも糖尿病対策の重要性を早くから認識していて、20052月に日本医師会、日本糖尿病学会、日本糖尿病協会の三者で日本糖尿病対策推進会議を設立いたしました。その後、日本歯科医師会も幹事団体に加わっていただき、現在では理念に賛同した関係団体の御参加のもと、計18団体で構成されております。この取組は47都道府県に広がり、都道府県版の対策会議が設置されており、○の3つ目に書いてある日本健康会議の宣言にも同会議の活用がうたわれておりますので、糖尿病対策推進会議の取組についても、ここに記載してほしいと考えております。

○辻委員長 分かりました。そのように事務局、お願いします。

○温泉川委員 もう1つ、43ページの身体活動・運動という所です。ここで国民の運動習慣向上のためには有疾患患者への運動指導が大切です。そのためには健康スポーツ医の活動の活性化や健康運動指導医・指導士、施設等との連携が必要です。日本医師会では、平成3年から認定健康スポーツ医制度を発足させ、これまで延べ23,000人の認定健康スポーツ医を養成してまいりました。平成20年度から保険者に義務付けられた特定健診、特定保健指導においては、健康増進を担う人材として認定健康スポーツ医が位置付けられておりますが、安全に効果的な運動を実践するためには、認定健康スポーツ医と運動指導者が連携していくことが重要だと思います。その点も書き込んでいただきたいということですので、よろしくお願いします。

○辻委員長 分かりました。ほかに、どなたかいらっしゃいますか。

○山之内委員 71ページ、基本的方向3の所ですが、ライフステージという所で「子供」とか「乳幼児」と表現にばらつきがあり、2行目の所は「乳幼児期から高齢期まで」、3行目になると「子どもの頃からの健康な生活習慣」となっています。一方で周産期とか胎生期、そういったところから実は健康づくりは胎児がどうこうというより、むしろそのお母さんの健康からになるので「健やか親子」とも関連しますが、そういう意味では、ここは2つとも表記を胎児期とか胎生期とか、正に子どもが発生したときからみたいな形にすると、ライフステージ感もより出るのではないかと考えています。

 もう1つ、「こころの健康においては」という後段の部分です。こころの健康においては「自殺総合対策大綱」、「健やか親子21」、「新オレンジプラン」に関連する計画や施策が引き続き推進されていくとなっています。表記の問題だけだとは思いますが、こころの健康ということで3つ例示されていて、自殺の対策、健やか親子、新オレンジプランといったところで、例えば新オレンジプランでやると老人対策という所に目が向いてしまい、こころがいつも落ちるのです。市役所レベルの担当の人たちですけれども。健やか親子になると母子のことになってしまって、こころが落ちるというような狭間の中でやっている感じを何とかしたいなと思います。表記だけの問題ですが、例えば「こころの健康においては」という所をむしろ最後に持ってきて、「自殺総合対策大綱とか健やか親子、新オレンジプランなど、各分野に関連する計画や施策に、こころの健康にも目を向けた形で引き続き推進されていくことを期待したい」とか、そういったそれぞれの計画が、こころの健康にも目を向けてほしいといった書きぶりにしていただけると、市町村が動きやすいのかなという気はいたしました。

○辻委員長 ありがとうございました。岡村先生、その後、瀧本先生。

○岡村委員 70ページの下で循環器疾患の所があるのですが、危険因子の効果を超えて減っていますという所で、これだけ読むと未知の要因Xがあって減っているみたいに取れてしまいます。この原因は明らかで、予防の評価をするためには発症で見なければいけないのに死亡で評価しているからというのが、原因として多分一番大きくて、要するに病院での治療が向上しても死亡率は下がるのです。推定というのは危険因子だけでやっていますから、実際にもっと長期的なもので、危険因子の改善と病院での治療のどちらが循環器の死亡に効いているかを見なければいけない。今、別途、インパクトモデルというのを使って論文を投稿しているのですが、循環器疾患の減少に対して、大体、危険因子の影響が1で治療の進歩が2ぐらいの比率です。だから予防だけの効果は3分の1ぐらいに薄まるだろうというのがそちらのほうでも分かるのです。何が問題かというと、未知の要因Xがあるから、それを防ぐこの健康食品を食べましょうとか言われても困るので、評価の仕方の問題もあります。要するに基本的な指標への予防効果を見るには発症で見なければいけませんというのが基本的にあるので、そこだけ誤解のないように追記したほうがよろしいような気がいたします。

○瀧本委員 非常に多くの項目で改善ということで、素晴らしい結果だと思いますけれども、先ほど今後の課題という所で、3次に向けて整理していくことが必要という御意見があったかと思います。国民健康・栄養調査では、この進捗をモニタリングするという目的で今までいろいろな調査項目が立てられてきて、その結果がこちらに用いられてきたのですが、今後、もし第3次に向けてということであれば、そのベースラインとなるような課題をあらかじめ整理する内容設定というのも、検討課題として挙げていいのではないかと思いました。32年が拡大調査になりますし、そのときにまた都道府県格差を見ますから、そのときに何か加えることができれば、第3次に向けて有用な情報が得られるのではないかと考えます。以上です。

○津下委員 1つは、今、温泉川先生から御発言があった糖尿病性腎症等重症化予防の観点で言うと、市町村の国保が頑張っているだけの地域と比べると、医師会の先生や糖尿病の専門医が地域ぐるみで一緒になっていると、かなりダイナミックに動いていくということがあります。第1次は一次予防を中心としてきましたけど、第2次はそういう重症化予防というか、合併症の人を減らそうという目標も掲げていますが、意外と健康日本21は医師に十分に伝わっていないとか、あれは予防の戦略だよねという捉え方をされています。本当は医師会の先生や専門医も、一緒になって取り組むべき課題であるということです。温泉川先生の御発言にもありましたけれども、今後のそういう所への周知が重要と思います。また、運動のところでも、運動したい人は運動の指導者に自ら近づいて行ったり、自分で運動できる場を探していくのですが、運動はあまり好きでないとか、忙しいからできないと思っている人はそういう行動には出ないでしょう。でも、健診や医療の場で「運動を始めるタイミングだよ」と背中を押してくれるのが医師の役割です。今、スポーツ庁でもスポーツ実施率を高めることを目指していますが、健康スポーツ医の養成や活躍していただくことによって、健康づくりになかなか踏み切れない人への対策として盛り込んでいただくのは、非常に重要なことかなと思います。御検討をお願いしたいと思います。

 もう1点、こういうデータは今回良かったのですが、実は経済が良かったかもしれないし、そういう社会情勢とかバックグラウンドの健康には関係ない情勢も、後で見たときに何で良かったのだろうと。この後、何かが起こって急に悪くなったりしたときに、政策が悪かったのかという話になってしまうので、そういうバックグラウンド情報も併せて取っていく。先ほど自動車の保有台数というのもありましたけれども、軽自動車の保有台数が増えると身近なところでもすぐに乗るので、健康状態が良くないというデータを出している先生もいます。そういう身近な生活情報をどうやって取っていくか。この国民健康・栄養調査だけでなく、そういう社会にある情報をどう活用して評価していくかというのも、第3次に向けて検討していただく必要があるのかなと思います。

○辻委員長 ありがとうございました。若尾先生。

○若尾委員 ありがとうございます。これ、以前も発言させていただいて最終的には却下されたということで、ぶり返す形になってしまうのですが、先ほどから指標の評価の状況が非常に良いということですけれども、実際にはベースラインと比較して良くなっているものが6割ということで、こちらの様式1を見ると、目標値の達成は難しいというのがまだ数項目あります。改善しているけれども、目標値の達成が難しいというのは見える化しないと、9ページの結果一覧で見ると、それが埋もれてしまって、みんな良いように見えてしまう。改善はしているけど、まだまだ改善が足りないというところを見える化する。アスタリスクを付けるとか何かそういう形で見えるようにしないと、パッとこの表だけ見ていたら、うまくいっているという間違った評価をしてしまう。難しいところを加速しないといけないところがあるので、そこは見える化するのが望ましいと思います。

 それと、その後ろの12ページ以降の個別の課題の所で、ウの「今後の課題」を各項目別にまとめていただいています。それをもう1回見た上で、最後に70ページ以降の今後の課題の所は、そこを抽出するような形で書くような今後の課題の記載があったほうが、各分野で考えられたことが、今、抜け落ちています。各分野の所まで戻らないと全体として見にくくなっていると思いますので、そういう整理もあったほうがいいのではないかと感じました。以上です。

○辻委員長 ありがとうございました。確かに改善していても、このままいくと目標を達成しそうな改善と、ちょっと難しいけど改善しているというのでは全然違いますね。少しその辺はまた整理させていただきます。ありがとうございます。宮地先生。

○宮地委員 32項目が改善傾向ということで、良い結果だということですが、そのうち9項目が、いわゆるインプット若しくはアウトプット指標と言われる、ロコモティブシンドロームを認知している国民の割合とか、身体活動で言えば、住民が運動しやすいまちづくり・環境整備に取り組む自治体の数といった、アウトカム指標でない指標で3分の1ぐらいを占めています。ですから、この32改善している中で、アウトカムがどれぐらい改善しているのか、インプット、アウトプットがどれだけ改善しているのかを、評価の切り口として持つ必要があると思いました。

 あと、身体活動・運動の部分で、些細な修正をお願いしたいのですが、44ページの下から4行目で、「取り組みが行われていない都道府県において、どのような要因が達成を阻害しているのか」とあります。私が記述を誤ったのですが、「達成」ではなくて「取組」に修正していただくよう、事務局で御検討ください。

○辻委員長 村山先生、どうぞ。

○村山委員 2点、お願いいたします。先ほど岡村委員からも御意見があったところで重なりますけれども、7071ページについてです。疾患の予防あるいは疾患の状況に対して生活因子があまり関係しないのではないかという誤解を与える表現になっていますので修正をお願いしたいと思います。

2点目は、栄養・食生活についてです。全体にほかの分野を見る中で抜けていると思った点は都道府県格差についてです。栄養・食生活分野でも食塩の摂取量の平均値など、国民健康・栄養調査において都道府県の差を見ていますので、加えさせていただきたいと思います。以上です。

○中村委員 最後のまとめについてですが、既に何人かの先生から御意見がありましたが、私も読ませていただいて感じたのは、まとめとしての文章にはなっていますけれども、国としての中間評価がどのような結果でああって、今後の課題は何かをもう少し明確に記載できればよいと思います。海外などの報告書でもよくみられるように、まず中間評価の総括と課題、課題解決のために必要な政策や研究といった構成でまとめることができないでしょうか?今、かなり混ざって文章が作られているので、項目立てを分けて文章を作るほうが、分かりやすくなると思います。

 先ほど、若尾先生から御意見のあった今後の課題というのも、それぞれの担当分野で結構書き込みがされています。そういったものはそれぞれ各論を読めばわかりますが、、この最終章においても要約があるとよいと思いました。

○辻委員長 ほかに、どなたかいらっしゃいますか。曽根先生。

○曽根委員 今の御意見や先ほどの若尾先生の御意見にもあるのですが、今回、中間評価が全体的にはよかったのですけど、変わらないのが35%あり、むしろこれは、今の状況で言うと何らかの対応が本当に必要なところだと思います。そこに対する考察を個別に書くのはもちろんですが、もう少しシステマティックに共通の特徴などを見て、指標の問題なのか、それとも取組の問題なのかということを深く掘り下げたほうが、自治体の方とか、これを読む方に役に立つものになるのかなと思いました。

○辻委員長 ありがとうございました。大体、よろしいでしょうか。

○西村委員 さっきもCOPDの話を私は入れたのですが、COPDというのは第2次で初めて取り上げられているのです。取り上げられたけど、まとめで何も触れていないというのは私としては大変残念で、先ほど第3次に向けて肺の健康という概念を是非入れてほしいと申し上げたのですが、まとめの中でも、なぜ第2次で取り上げられて、しかも認知率だけしか入っていませんから、さっきアウトカムが何も入っていないという話がありましたけれども、肺の健康で大事だからこそ入っているわけであり、その点、何らかの形でまとめの中でも一言触れて、なぜ入ったか、そして現状がどうかということを、ちょっと触れていただければと思います。というのは、呼吸器学会の中に、基本的に国は肺の病気に関して関心が薄いのではないかという不満が非常にあるのです。要するに循環器の疾患が触れられている一方で、先ほど申し上げたように肺炎だって今は第3位で非常に亡くなる方が多いですし、がんで一括されていますけれども、今、肺がんの死亡たるや大変な数であり、その背景疾患としてCOPDもあり肺の健康ということがあって、いわゆる肺炎の予防に関しても、例えば肺炎球菌ワクチンということを我々は盛んに啓発しているわけです。そういったことが全然入れられていないと、肺はどうでもいいのかみたいな、それは極端な言い方ですけれども、そういうふうに思ってしまうので、是非、何か一言、肺のことに関するメッセージを入れていただきたいと、改めてもう一度、強調しておきたいと思います。

○辻委員長 ありがとうございました。大体、皆様、よろしいでしょうか。今、委員の皆様方から大変貴重な御意見を頂きましたので、事務局あるいは私も含めて改訂していきたいと思いますが、その際は先生方に必ずフィードバックしながら常に先生方の御意見を頂きますので、その節は、また、どうぞよろしく御協力いただきたいと思います。その他、全体を通して何か御意見、御質問はございますか。よろしいですか。特にございませんか。

○若尾委員 先ほどから出ている3期に向けてということで、それの扱いですが、もしそれについて中間報告という形で入れ込むのが難しいのであれば、何か備忘録みたいな形で、この委員会の資料として次期計画に向けた課題とかto doのようなものを、別の形でまとめるというのも1つのやり方ではないかと思います。

○辻委員長 おっしゃるとおり、今回はあくまでも第2次の中間報告ということで、現状をまとめた上で後半に向けてどうするかということが主眼になりますから、中間報告の段階では第3期に関する議論はまだ早いのではないのかなとも思います。とは言え、今日、いろいろな形で第3期に向けて非常に建設的な御意見を頂きましたので、それはそれでまた、少なくとも議事録には載りますし、別途、議論ということで進めていきたいと思います。ほかに何か全体を通してございますか。

○山之内委員 これ、スケジュール感をちょっと伺いたい。今後のこの中間報告とか。

○辻委員長 それを含めて、知念課長補佐、よろしくお願いします。

○知念課長補佐 様々な御意見を頂きまして、ありがとうございます。簡単に事務局の整理も含めまして、いただいた御意見をざくっとまとめさせていただければと思います。まず中間評価、個別の構成についてのいろいろな御意見については反映させていただきたいと思います。全体としまして、いわゆる厚生労働省が取り組んでいる、特に健康局中心にやっているような健康分野の話だけではなく、経産省、その他国全体の中で取り組んでいる様々な取組についても、もっと幅広い視点の中で記載したほうがいいのではないかといった御意見、また、読んだ人が何をしたらいいのか分かるような、もうちょっと具体的なメッセージになったほうがいいのではないか、といったこともあったかと思います。あと1つ、今、若尾先生からもお話があったように、今回、中間評価の報告書という形になる関係上、事務局としましては下半期、残りの5年間に具体的に何をすべきかを重点に置いた取りまとめをしてきたところですが、本日、多くの御意見が、第3期に向けた課題とか問題提起を頂いたところもあったかと思います。それについて、この報告書で触れることが良いのか悪いのか。読み手である自治体の関係者の方とか、その他の方々が、来年から何をすべきかという下半期に力点を置いたメッセージを、より前面に出すほうがいいのか。第3期に向けた課題として、私ども事務局サイドで検討を進めるべき内容も多々含まれていることから、それについて、あまりこの報告書の中で書いてしまうと混乱が生じると言いますか、第3期に向けてではなく、来年からやればいいではないかと恐らく思われてしまうところもあろうかと思いますので、そこについては事務局のほうでも整理させていただきたいと思います。基本的な考えとしては、まだ第2次計画の中間年ですので、残り5年間でより具体的に何をしていただいて、10年間の目標をしっかり達成していきましょうという呼び掛けを、メインにさせていただきたいと考えています。

 また、冒頭に近藤先生から頂いた全体としての総括、第2次計画が今のところ全体としてどうだったのか。そういうところを総括できるといいなという思いもありますが、なかなかそれを一言で言うのが難しいところもあり、上位目標である健康寿命の延伸と格差の是正が達成されていることをもって、本当の簡単な概要でいくと、第2次計画については今のところ順調に進行しているという程度の書きぶりで、さらっと流してしまっています。まだ時間はございますので、先生方のほうから、こういった要因で計画全体が今の状況にあるのではないかといった御意見があれば、是非、幅広に事務局にお寄せいただけると大変有り難く思います。

 最後に、今後のスケジュール感ですが、本年度が中間年ということで1年間を通して様々な御意見を頂いたところです。この中間評価の報告書につきましてはあまり時間を置いてということではなく、来年度、30年度の前半には公表したいと考えていますので、おおむね夏までのところで取りまとめという形にさせていただきたいと思います。その間、また本委員会について1回ないし2回、お集まりいただきたいと考えていますので、そういったスケジュール感でお考えいただければと思います。よろしくお願いいたします。

○辻委員長 ありがとうございました。私も中間報告書については、この第2次の後半に向けて、課題を明らかに提起していくということで十分だと思います。3期につきましては、こういった場または別途で更に議論いただくことになるかと思いますが、特に議論しなければいけないのは、指標のところと運動論のところだと思います。格差をどうするか、社会環境の整備をどうするかという議論は、この延長線上として出てくる話ですので、また折に触れて皆様から御意見を頂きたいと思います。よろしくお願いします。ほかに全体を通して何か御質問、御意見はございますか。高野先生、どうぞ。

○高野委員 健康増進というか健康寿命の延伸のためには、直接的には対象である高齢者になると思いますが、80歳を超えて歯の数だけ評価するのではなく、口腔機能も診ていかなければいけなくなります。そういう意味で60歳だけでなく、80歳以降の健康寿命の延伸に直接関わる年代の指標というのを今後においては加えていくべきではないか。結構、80歳以上も増えてきていますので、そういう意味で調べていただければと思います。

○辻委員長 ありがとうございました。ほかに、どなたかいらっしゃいますか。よろしいでしょうか。それでは、本日の議論はここまでとしたいと思います。事務局から何かありますか。

○川本課長補佐 本日は活発な御議論を頂き、ありがとうございました。次回の委員会開催の日程はまだ未定ですけれども、先ほど知念より説明させていただいたとおりのスケジュールで、中間評価報告書案をまとめていきたいと考えておりますので、また次回の委員会では、今日頂いた御意見等を基にまた案をまとめていきたいと思っております。日程調整等については御連絡を差し上げたいと思いますので、引き続き、よろしくお願いいたします。

○辻委員長 それでは、本日はこれにて閉会といたします。活発な御意見を頂きまして、どうもありがとうございました。


(了)

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